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  • 親の遺産を放棄したい!手続き方法や期間・注意点を解説

    親の遺産を放棄したい!手続き方法や期間・注意点を解説

    「遺産相続」というキーワードを耳にしたとき、ごく自然に「プラスの財産」を思い浮かべる方も多いかと思います。しかし実際には、「マイナスの財産」が相続されてしまうケースも少なくありません。また何らかの事情で、「親の財産を受け継ぎたくない」と思うこともあるでしょう。 このような場合に検討したいのが、「相続放棄」についてです。具体的な手続き方法や注意点を解説します。 相続放棄とは? 相続放棄とは? 相続放棄とは、相続人が、被相続人の財産を相続する権利を一切放棄する手続きを指します。亡くなった方の財産が、相続人にとって好ましいものとは限らないでしょう。このような場合に、一定の手続きを経て相続放棄をすれば、「相続しない自由」を選択できます。 相続放棄の特徴は、「相続する財産のすべてを放棄する」という点です。非常にシンプルですが、誤解しやすいポイントでもありますから、十分に注意してください。相続する財産には、さまざまなものが含まれています。「その一部のみを相続し、その他を放棄する」ということはできません。あくまでも、「相続放棄するのであれば、財産のすべてをあきらめる」選択になるでしょう。 相続放棄は、以下のようなシーンで有効です。 ・プラスの財産よりも、明らかに負債の方が多い・相続問題に巻き込まれたくない・自分ではない相続人に、すべての財産を譲りたい たとえば、預貯金や不動産といったプラスの財産よりも、借金額の方が多ければ、財産を受け継ぐ金銭的なメリットはありません。それどころか、相続によって自身の生活が困窮する可能性すらあるでしょう。プラスの財産をあきらめる代わりに借金も受け継がなくて済むのであれば、そちらのメリットの方が大きくなります。 また遺産相続には、相続問題も付き物です。「わずかな遺産を取り合っていざこざを起こすくらいなら…」と思うときにも、相続放棄の手続きをとりましょう。別の相続人に遺産を相続させたい場合にも、相続放棄の手続きは有効です。たとえば、夫の財産を妻と子どもで受け継ぐ場合、子どもが相続放棄すれば、夫の財産を妻が一人で相続できます。残された家族の生活が不安な場合にも、有効な方法と言えるでしょう。 相続放棄の手続きができる期間は3ヶ月 さまざまな事情がある場合に、有効な手続きである相続放棄。しかし、いつでも自由に手続きできるわけではありません。相続放棄の手続きは、民法によって、相続の事実を知った日から3ヶ月以内に行う必要があると定められています。 相続放棄の手続きは、家庭裁判所にて行います。必要書類をそろえた上で、期間内に申述しましょう。家庭裁判所に直接出向いても良いですし、郵送で必要書類を届けても構いません。ただし、これらの手続きを3ヶ月以内に完了できなければ、自動的に「プラスの財産もマイナスの財産もすべて相続する(単純承認)」と判断されてしまうので注意してください。 「相続の事実を知ってから3ヶ月以内」というのは、非常に厳しいスケジュールです。実際には、「被相続人の財産状況が複雑で調査が終えられなかった…」というケースもあるでしょう。このような場合には、その旨を家庭裁判所へと申し立てましょう。その正当性を裁判所が認めてくれれば、手続き期間が伸長されます。柔軟な対応をしてくれるケースも少なくありませんから、まずは一度、弁護士などの専門家に相談してみてください。 相続放棄に必要な書類とは? 子どもが親の財産を相続放棄する場合、家庭裁判所に対して、以下の書類の提出を求められます。 ・相続放棄申述書・亡くなった人(親)の住民票除票(もしくは戸籍附票)・自分の戸籍謄本・亡くなった人(親)の死亡の記載がある戸籍謄本 住民票除票や戸籍謄本は、市町村役場で手に入ります。相続放棄申述書は、裁判所のホームページからダウンロードしましょう。申述人(相続放棄したい本人)や被相続人(亡くなった人)の情報のほか、相続放棄したい理由を記入して提出します。理由については、できる範囲で詳しく記載するのがおすすめです。 連絡先欄には、平日の日中に連絡がつく番号を記入しましょう。相続財産について記入する欄がありますが、ざっくりとした内容で問題ありません。またよくわかっていない部分については、そのまま「不明」と記載しましょう。押印は実印以外でも大丈夫ですが、自分がどの印鑑を使ったのか、忘れないようにしてください。 相続放棄する場合に知っておきたい注意点3つ 相続放棄の手続きには、いくつか注意したいポイントもあります。こちらもあわせてチェックしてみてください。 ★1.相続放棄が認められないケースもある 相続放棄の手続きは、よほどの事情がなければ、家庭裁判所によって認められます。しかし、以下のような事情がある場合、認められない可能性が高いでしょう。 ・相続人が相続財産を処分した・相続人が相続財産を隠したり、消費したりした つまり、相続人の立場で、勝手に財産を処分したり使ったり、隠したりすれば相続放棄が認められなくなるというわけです。もし相続放棄を検討しているなら、財産の取り扱いには十分に注意しましょう。 特に注意が必要なのは、死亡保険の解約返戻金についてです。死亡に伴い保険契約が解約されれば、一部商品では解約返戻金が支払われます。しかしこちらは、被相続人の財産にあたるため、相続人が勝手に消費することは認められていません。どういったお金なのかしっかりと確認した上で、適切な対処を求められます。 ★2.相続放棄しても死亡保険金を受け取れるケースもある 相続放棄する場合には、被相続人が加入していた死亡保険にも注目してみてください。もし死亡保険金の受取人が指定されていれば、相続放棄した場合でも死亡保険金を受け取れます。 なぜなら、受取人が指定されている死亡保険金は、受取人に固有の財産と判断されるから。「被相続人の財産」ではないため、相続放棄に影響はないというわけです。こちらも頭に入れた上で、相続放棄について検討する必要があるでしょう。 ★3.必要に応じて「限定承認」の検討も 遺産相続には、すべての財産を受け継ぐ「単純承認」と、すべての財産を放棄する「相続放棄」のほか、一部の財産のみを受け継ぐ「限定承認」という方法もあります。 限定承認とは、「相続したプラスの財産以上に、マイナスの財産は負わない」という相続手法のこと。プラス財産とマイナス財産のどちらが多くなるのか、わからないときにも有効な相続手法です。リスクはなく、現時点で把握できていないメリットを逃さないという強みがあります。 限定承認の道を探る場合は、専門家に相談の上で話を進めていくのがおすすめです。自身にとって、ベストな相続の形を探ってみてください。 相続放棄を検討するなら素早い行動を 相続放棄を検討するなら素早い行動を 相続放棄は、マイナスの財産が明らかに多いときや、相続トラブルを避けたいときに有効です。とはいえ、手続きには期限が定められており、あまりゆっくりはしていられません。相続の事実を知ったら、ぜひ早めに専門家に相談してみてください。素早い行動が、自身の利益につながるでしょう。 参考サイトhttps://shine-souzoku.com/genteisyounin/?utm_source=google&utm_medium=cpc&utm_campaign=gentei&gclid=Cj0KCQjw1bqZBhDXARIsANTjCPKBS7d1uOymSBeLtzQBOfIP5Z2aIjRHLblRoxd5DvH7z452uwPmI70aAmN1EALw_wcBhttps://souzoku-pro.info/columns/souzokuhouki/105/#toc_anchor-1-3-4https://www.courts.go.jp/saiban/syurui/syurui_kazi/kazi_06_13/index.htmlhttps://legacy.ne.jp/knowledge/now/souzoku-houki/008-kimekata-tetsuduki-nagare/

  • 遺族年金の種類は2つ!受給要件や受取人はどうなる?

    遺族年金の種類は2つ!受給要件や受取人はどうなる?

    家計を支えていた家族が亡くなってしまったら…。今後の生活がどうなるのか、経済的な不安を抱える方も多いでしょう。こんなとき、ぜひ知っておきたいのが「遺族年金」に関する知識です。 亡くなった家族の年金加入状況によっては、亡くなったあとに年金を受け取れる可能性があります。遺族年金の種類とそれぞれの特徴、受給要件や受取人について詳しく解説します。 遺族年金とは?2つの種類を知っておこう 遺族年金とは、年金保険の加入者が亡くなった場合に、亡くなった人によって生計を維持されていた家族を支えるための年金制度です。たとえば、働き盛りの会社員が亡くなった場合、その配偶者や子どもは、これから先どう生活すれば良いか不安を抱えてしまうでしょう。遺族年金を受給できれば、その後の生活費も確保できます。 さて、そんな遺族年金には、以下の2つの種類があります。 ・遺族基礎年金・遺族厚生年金 日本の年金制度は、いわゆる二階建ての仕組みになっています。原則として20歳以上の国民全員が加入するのが国民年金制度で、会社員や公務員として働いている人は、国民年金にプラスして厚生年金にも加入しています。遺族基礎年金の場合、20歳以上の国民すべてが対象になる可能性があるのに対して、遺族厚生年金は対象者が限定されます。自営業を営んでいる方や無職の方は、対象になりません。 ただし現在は自営業者であっても、過去に会社員として仕事をした経験があり、厚生年金にも加入していた場合は、受給要件を満たしている可能性も。過去の加入記録をもとに、専門家にアドバイスをもらいましょう。 遺族基礎年金と遺族厚生年金は、それぞれ別の制度です。遺族基礎年金だけが対象になる方もいれば、両方を同時に受け取れる方もいるでしょう。残念ながら受給要件を満たせず、どちらの遺族年金も受け取れないケースも存在しています。次項目からは、それぞれの受給要件について、より詳しくチェックしていきましょう。 遺族基礎年金を受給できる人はごくわずか 遺族基礎年金を受給できる人はごくわずか 20歳以上の国民全員に加入が義務付けられている国民年金。そこから支給される遺族基礎年金ですが、実際に受給できる人はごくわずかです。遺族基礎年金を受給するためには、以下の条件をクリアする必要があります。 ・死亡した人によって生計を維持されていた子どももしくは配偶者である・保険料の納付期間や滞納に関する基準を満たしている 遺族基礎年金は、子育て中の方々を支える目的の制度です。このため、子どもが「18歳到達年度の3月31日を経過していない」もしくは「20歳未満で障害年金の障害等級1級または2級である」の、いずれかの条件を満たしている必要があります。 たとえば、子どもがいない夫婦の夫が亡くなっても、妻は遺族基礎年金を受給できません。子どもがいる夫婦でも、すでに成長し19歳以上になっていれば、やはり受給要件は満たせないのです。 ちなみに、遺族基礎年金の制度は近年大幅に改定されています。過去のルールでは、遺族基礎年金を受給できるのは「子ども」もしくは「子どもを養育中の妻」だけに限られていました。つまり、父子家庭では受け取ることができなかったのです。現在このルールは撤廃され、上記の条件を満たしていれば、「妻を亡くした夫」の立場でも受給が可能に。こちらも頭に入れておきましょう。 遺族厚生年金を受給できるのは厚生年金加入者家族 一方で、遺族厚生年金を受給できるのは厚生年金に加入している(していた)会社員や公務員の遺族です。具体的には、以下のような場合に遺族年金を受給できる可能性があります。 ・厚生年金保険の被保険者である間に死亡したとき・厚生年金の被保険者期間に初診日がある病気やけがが原因で初診日から5年以内に死亡したとき・1級・2級の障害厚生(共済)年金を受け取っている方が死亡したとき・老齢厚生年金の受給権者であった方が死亡したとき・老齢厚生年金の受給資格を満たした方が死亡したとき (※1) 遺族厚生年金の場合も、受給資格を持つのは、亡くなった方に生計を維持されていた家族です。具体的には、以下のような方々が当てはまります。 ・妻・子・夫・父母・孫・祖父母 上で言う子や孫は、遺族基礎年金の場合と同じく、「18歳到達年度の3月31日を経過していない」もしくは「20歳未満で障害年金の障害等級1級または2級である」の、いずれかの条件を満たしている人を指します。また夫や父母、祖父母については、「死亡当時に55歳以上」という条件を満たしている場合にのみ、受給できる可能性があります。 遺族の中で受給要件を満たす人が複数いる場合、遺族厚生年金を受け取れるのは、もっとも優先順位の高い方のみ。妻がいなければ子、それもいなければ55歳以上の夫…といった仕組みです。遺族基礎年金とは違い、対象年齢の子どもがいない場合でも、妻は遺族年金を受け取れる可能性があるでしょう。ただし妻の年齢が30歳未満であり、なおかつ夫婦の間に子どもがいなかった場合は、5年間のみ支給されます。 遺族基礎年金を受給できる人がごく限られているのに対して、遺族厚生年金では、「亡くなった人に生計を維持されていた人がいれば、誰かは受給できる」というケースが多く見られます。遺族基礎年金よりも、受給できる人の幅が広い制度だと言えるでしょう。ただし遺族厚生年金の場合も、受給するためには、保険料の支払い期間に関する要件を満たしている必要があります。過去の加入履歴をチェックしてみてください。 遺族年金がよくわからない…相談先は? 遺族年金の受給要件は非常に複雑で、「説明を読んでもよくわからない…」という方も多いのではないでしょうか?こんなときには、自分だけで判断するのではなく、ぜひその道のプロに相談してみてください。 遺族年金についてもっとも手軽に相談できるのが、各自治体が開設している年金相談窓口です。年金事務所や街角の年金相談センターを頼ってみるのも良いでしょう。年金番号など、必要な情報をまとめて相談にいけば、自身の状況に合ったアドバイスがもらえるはずです。 また「内縁の妻」や「死亡当時に別居していた」など、複雑な要因を抱えている場合は、社会保険労務士に相談してみましょう。遺族年金に強い専門家に相談すれば、解決に向けた糸口がつかめるかもしれません。 身近な家族が亡くなったら遺族年金も確認を 身近な家族が亡くなったら遺族年金も確認を 大黒柱として生活を支えてくれていた家族が亡くなったとき、今後の生活に不安を抱き、途方に暮れてしまう方も多いのではないでしょうか。遺族基礎年金もしくは遺族厚生年金を受給できれば、生活の支えになってくれるでしょう。まずは一度、亡くなった家族の過去の年金加入履歴と、現在の家族の状況についてチェックしてみてくださいね。

  • 遺産【争族】を防ぐために…やっておくべき事前準備とは?

    遺産【争族】を防ぐために…やっておくべき事前準備とは?

    身近な人が亡くなった際に、発生するのが相続です。できるだけ円満に解決したいと思いつつ、実際には遺産「争族」になってしまうケースも少なくありません。余計なトラブルを防ぐためには、事前にしっかりと相続準備を進めておくことが大切です。争いを避けるための3つのポイントを紹介します。 相続人の負担を減らすための対策をする 相続人の負担を減らすための対策をする 遺産相続でトラブルが発生する理由は、各家庭によってさまざまです。比較的多くみられるのが、相続にかかる負担が大きく、「できるだけ負担を少なくしたい」と願う親族同士で、トラブルに発展してしまうケースです。できるだけ負担を少なくするための対策をとっておきましょう。具体的な対策は、以下のとおりです。 ★相続財産を減らす 相続財産が多い場合に、問題になりやすいのが相続税です。遺産相続には「3,000万円+600万円×法定相続人の数」という基礎控除が用意されていますが、この金額を超えてしまえば、その分に対して相続税が課税されます。相続時の負担を軽減し、できるだけ多くの財産を手元に残すためには、「相続が発生する前に、できるだけ相続財産を減らしておく」必要があるでしょう。 贈与税の負担が大きくならない範囲で生前贈与をしたり、不動産を購入したりする方法が一般的。現金を不動産に変えておけば、相続税評価額は80%程度に減額されるため、相続税の負担軽減に役立つはずです。 またもう一点重要なのが、「もらって困る財産はできる限り事前に処分しておく」ということです。たとえば、田舎の空き家を財産として残されても、困る方がほとんどでしょう。プラスになるどころか、修繕費や管理費などで、マイナスの資産になってしまう可能性も高いです。いざ売却しようとしても、状態の悪い物件を購入したいと思う人は決して多くはありません。不必要な財産は、相続人間の間で押し付け合いのような状況に陥りがちです。できるだけ自分の代で整理しておくと良いでしょう。 どういった相続対策が有効なのかは、個々の状況によって異なります。対策方法を間違えると、相続人の負担がかえって増加してしまう恐れもあるため、注意してください。相続問題に強い専門家に、相談に乗ってもらうのもおすすめです。 ★相続税を納付するための現金をあらかじめ用意しておく 相続税の申告と納付には、期限が定められています。相続が発生した日の翌日から10か月以内と短いため、話をスムーズに進めていく必要があるでしょう。またもう一点注意しなければならないのが、「相続税が発生した場合、税金は現金で納める必要がある」という点です。 不動産相続などで相続税が高額になる場合、現金の準備で苦労する相続人は少なくありません。最悪の場合、せっかく相続した不動産を短期間で売却し、相続税の支払いにあてなければならないような事態も考えられます。 だからこそ、相続税の支払いにあてる分の現金は、相続準備として事前に用意しておくのがおすすめです。不動産の一部を売却して現金を用意したり、不動産投資で賃貸経営をし、そのリターンを確保したりする方法も良いでしょう。こちらも、相続税の負担がだいたいいくらくらいになりそうなのか、専門家と試算した上で必要額を準備しておくのがおすすめです。 家族としっかりコミュニケーションをとる 遺産相続で、あえて揉めようとするご家族は少ないはず。しかし実際には、争いごとが発生してしまうケースは珍しくありません。その多くは、コミュニケーション不足が原因で発生しています。 たとえば、被相続人が「自分の面倒を献身的にみてくれた長男に、全財産を残したい」と考えたとします。とはいえ、こうした考えに、その他の相続人が納得できるとは限らないでしょう。その他の兄弟の中にも「自分は○○で貢献した」「長男は確かに同居していたが、その分生前に受けた恩恵も誰より多かったはず」など、モヤモヤした気持ちが残ってしまう可能性があります。 こうしたトラブルを予防するため、生前から家族間でしっかりとコミュニケーションをとっておくことも、非常に重要な相続準備の一つです。被相続人の立場としても、相続人それぞれの思いを知るきっかけになるでしょう。 たとえば、先ほどの「長男に全財産を残したい」という希望がある場合でも、生前に自らの口から伝えておけば、印象は変わります。どれだけ感謝していて、なぜ財産を残したいと思っているのか。その代わり、その他の相続人に対して何をしようと思っているのか、しっかりと伝えてみてください。その他の相続人からは、もしかしたら文句の言葉が出てくるかもしれません。しかし、生前であれば、それぞれの相続人の思いを知った上で、それを実際の相続に反映させることもできるはずです。 亡くなる前に相続の話をするなんて…と思う方もいるかもしれませんが、これも立派な終活の一つです。自らがコミュニケーションをとれる段階でしっかりと話し合いを進めておくことで、余計なトラブルを防げるはずです。 自身の思いを遺言書に残す 自身の思いを遺言書に残す 相続人たちとの間でしっかりとコミュニケーションがとれたら、自身の思いも反映させた内容を、遺言書に残しておきましょう。どれだけ蜜にコミュニケーションをとっていても、きちんとした書類が残っていなければ、やはりトラブルになってしまう可能性も。終活ブームの今、一般の方でも遺言を残すことは決して難しくありません。ぜひ、自身の言葉を記しておきましょう。 遺言を残す際に、争族にさせないための注意点は以下のとおりです。 ・遺言書を無効にさせない ・相続人の感情を逆なでしない 近年人気の自筆証書遺言は、誰でも自宅で手軽に遺言を残せる方法です。しかしその有効性が認められるためには、ルールに則った形式で書かれていなくてはいけません。実際に、「遺言は残っていたが、ほんの少しのミスが原因で無効と判断されてしまった…」というケースも少なくないのです。 また、遺言を残していた場合でも、法定相続人にはそれぞれ遺留分が認められています。遺留分を無視して「○○に全財産を相続させる」といった内容を残しても、結局のところ、トラブルに発展してしまう可能性が高いでしょう。あらかじめ遺留分に配慮した内容を記載し、またそのように決断した理由についても丁寧に残しておくことで、各相続人の感情にも配慮できるのではないでしょうか。 ちょっとした工夫で遺産「争族」を防ぐことはできる! トラブルのイメージも強い遺産相続ですが、準備段階からしっかりと配慮しておけば、余計な問題を避けられるでしょう。重要なのは、トラブルの芽を事前に察知し、できる限りつぶしておくということ。決して難しい内容ではありませんから、ぜひ終活の一環として取り入れてみてください。 自身が亡くなったあとも、残された家族はみんな仲良くやってほしいと願う方は多いでしょう。円満な遺産相続で、その後押しができると良いですね。

  • 遺産を相続する際に支払う税金は?計算方法から困ったときの相談先まで

    遺産を相続する際に支払う税金は?計算方法から困ったときの相談先まで

    遺産を相続する際に、考えておかなければならないのが「税金」についてです。場合によっては、事前の準備が負担を減らす鍵となる可能性も。まずは「どういった税金がかかるのか?」「どの程度の負担になるのか?」など、基本的な知識を身につけておきましょう。 遺産相続と税金について、気になる点をまとめます。将来の自分たちのため、子どものために、まず何からすればチェックしてみてください。 遺産相続にかかる税金は「相続税」 遺産相続で発生する税金は、相続税です。相続税は、身近な人が亡くなってその財産を受け継いだときのみに発生する税金。普段あまり馴染みがない…と感じる方がほとんどでしょう。 相続税は、相続する財産の金額によって、以下のように税額が定められています。 課税価格 1,000万円以下 → 税率10% 3,000万円以下 → 税率15%(控除額50万円) 5,000万円以下 → 税率20%(控除額200万円) 1億円以下 → 税率30%(控除額700万円) 2億円以下 → 税率40%(控除額1,700万円) 3億円以下 → 税率45%(控除額2,700万円) 6億円以下 → 税率50%(控除額4,200万円) 6億円超 → 税率55%(控除額7,200万円) 相続する財産の課税価格が多ければ多いほど、納める税金額は多くなる仕組みです。仮に課税価格3億円超の財産を受け継ごうとした場合、税率は5割を超えてしまうため、その負担は非常に重いと言えるでしょう。 とはいえ、相続税は相続で財産を受け継いだすべての人が支払うわけではありません。これは、相続税にはさまざまな控除制度が用意されているため。受け継ぐ財産の金額が控除額を下回れば、相続税を支払う必要はないのです。この場合、相続税を負担することなく、すべての財産を受け継げます。 財務省ホームページによると、令和元年度に亡くなった方の中で、実際に相続税がかかったケースの割合は、全体の8%程度です。ほとんどのケースで相続税について心配する必要はないものの、最近は以前よりも、相続税を支払わなければならない事例が増えているのも事実。相続税について正しい知識を身につけ、必要に応じて適切な準備を整えておくのがおすすめです。(※1) 相続税の控除制度と税額シミュレーション 相続税の控除制度と税額シミュレーション 相続税の基礎控除額は、法定相続人の数によって異なります。だからこそ、「受け継ぐ財産の金額はほぼ同じ」というケースでも、法定相続人の数によって、相続税が発生する事例もあれば、発生しない事例もあるというわけです。 相続税の基礎控除額は「3000万円+600万円×法定相続人の数」という数式で求められます。法定相続人が「配偶者1人+子ども1人」の合計2人の場合、相続する遺産の4,200万円を超えた部分に対して、相続税が発生します。一方で、法定相続人の数が多く「8人」いる場合の基礎控除額は、7,800万円にまでアップするのです。 では、より具体的に、相続税のシミュレーションをチェックしていきましょう。 配偶者1人と子ども2人の法定相続人が、合計2億4,800万円の相続財産を受け継ぐ場合、基礎控除額(4,800万円)を引いた2億円が課税価格になります。ここから相続人それぞれの割合を計算して、それぞれに対して相続税を決定する仕組みです。 法定相続分に沿って計算した場合、課税価格2億円のうち、妻が1億円、2人の子どもそれぞれが5,000万円ずつという計算に。ここから、それぞれの相続税を求めていきましょう。 まず妻については、相続税の配偶者控除を活用できます。「配偶者の相続遺産が1億6,000万円以下」「配偶者の相続遺産が法定相続分より少ない」のいずれかの条件に当てはまっていれば、相続税は発生しません。つまり、今回のシミュレーションでも妻の相続税負担は0円です。 一方で2人の子どもたちについては、5,000万円×20%-200万円=800万円ずつを、相続税として納めなければいけません。配偶者については、手厚い控除制度が用意されていますが、その他の相続人については注意が必要です。「できるだけ多くの財産を残したい」と思う場合、事前準備が鍵になるでしょう。 遺産相続と税金の注意点は? 何かと複雑な、遺産相続と相続税。いくつか注意点があるので、ぜひこちらも頭に入れておいてください。3つのポイントを紹介します。 ★1.相続税の申告には期限が設定されている 相続税の申告には、「相続開始の翌日から10カ月以内」という期限が設定されています。申告期限を過ぎてしまうと、ペナルティとして延滞税が加算されます。また、配偶者の税額控除や小規模宅地の特例等、税金を少なくできる各種特例を利用できるのも、期限内に申告してこそ。自分の力だけで難しい場合は、専門家の手も借りて期限内に申告するのがおすすめです。 ★2.相続税が0円でも申告が必要なケースもある 相続した遺産の総額が基礎控除額以内に収まっているなど、相続税が0円の場合、基本的に申告は必要ありません。しかし、以下のケースでは例外的に申告が必要になりますから、忘れないようにしてください。 ・配偶者の税額軽減で税額が0円になった ・小規模宅地等の特例を受けて税額が0円になった これらの特例は、申告して初めて適用されるものです。自己判断で申告をスルーしてしまわないよう、十分に注意しましょう。 ★3.申告内容によっては税務調査が入る可能性も 相続税を申告した場合でも、それですべての手続きが完了するわけではありません。申告内容に不明な点や疑わしい点、誤りがある場合には、税務調査が入ります。 中でも注意が必要なのは、預貯金についてです。「相続税対策のため、贈与税がかからない範囲で少しずつ現金を渡していく」という手法をとる方は多いものの、相続開始の日から過去3年以内の贈与は、持ち戻しする必要があるでしょう。遺産の総額に含めて、相続税額を計算しなければいけません。 最初から税理士に入ってもらい、サポートを受けていればまず心配はないでしょう。自分たちですべての調査を完了し、計算した場合、税務署からのチェックも厳しくなりがちです。「申告したらそれで終わり」というわけではない点も、頭に入れておいてください。 遺産相続と税金で悩んだら税理士に相談を 遺産相続と税金で悩んだら税理士に相談を 遺産相続には、税金の問題も複雑に絡み合ってきます。「相続する財産が明らかに基礎控除内で収まる」というケースを除いて、事前の準備が非常に重要な意味を持つでしょう。 とはいえ、間違った対策をすれば、「相続対策として何の意味もなかった。結局たくさんの相続税を支払うことになった…」という事態にも陥りかねません。具体的な相続税対策については、税理士に相談しながら進めていくのがおすすめです。 実際に相続が発生した場合も、税理士にサポートしてもらえば、ややこしい手続きはお任せできます。税金面での不安も和らげられるでしょう。 ※1https://www.mof.go.jp/tax_information/qanda005.html

  • 遺族年金の受け取り方法を一から解説!必要書類や振込までの期間も紹介

    遺族年金の受け取り方法を一から解説!必要書類や振込までの期間も紹介

    一家の大黒柱に万が一のことがあった際に、残された家族の生活を支える柱になってくれるのが、遺族年金です。とはいえ、いざそのときを迎えた際に、迷いなくスムーズに手続きできる方は稀ではないでしょうか? 今回は、遺族年金を受け取るための手続き方法について、一からわかりやすく解説します。必要書類や振り込みまでに要する期間も紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。 遺族年金を受け取るためにするべきことは? 遺族年金を受け取るための手続きは、やや複雑です。できるだけスムーズに手続きできるよう、流れを頭に入れておきましょう。大まかな流れは以下のとおりです。 1.死亡届の提出 2.年金請求書の取得・記入 3.年金請求書の提出 4.遺族年金の受け取り 遺族年金を受け取るためには、まず死亡届を提出する必要があります。亡くなった方の状況によって提出先や方法が異なりますから、以下を参考にしてみてください。 ・厚生年金加入者 → 会社に「資格喪失届」を提出する ・国民年金加入者 → 市町村役場に「国民年金被保険者死亡届」を提出する ・年金受給者 → 年金事務所に「年金受給権者死亡届」を提出する 死亡届の提出は、仮に遺族年金を受け取らない場合でも必要な手続きです。忘れないようにしましょう。請求書を提出する場合、死亡届と同時でも大丈夫です。 死亡届を提出したあとに、年金を請求するための手続きをスタートします。次項目で詳しくチェックしていきましょう。 遺族年金を請求する場合の手続きと必要書類 遺族年金を請求する場合の手続きと必要書類 生前に国民年金に加入していて、遺族基礎年金の支給要件に当てはまっている場合、「年金請求書(国民年金遺族基礎年金)様式第108号」を準備して記入していきます。一方で、遺族厚生年金を請求する場合、必要な請求書類は「年金請求書(国民年金・厚生年金保険遺族給付)様式第105号」です。どちらの書類も、年金事務所や年金相談センターにて入手できます。 請求時の必要書類は以下のとおりです。 ・基礎年金番号通知書(もしくは年金手帳等) ・戸籍謄本(記載事項証明書) ・住民票の写し(世帯全員分) ・収入確認書類(請求者と子ども) ・死亡診断書のコピー ・受取先金融機関の通帳やキャッシュカードのコピー 住民票の写しについては、請求書にマイナンバーを記載すれば、添付なしで提出可能です。また子どもが義務教育終了前もしくは高等学校等在学中の場合は、収入確認書類は必要ありません。義務教育以外の杯、在学証明書や学生証のコピーを提出しましょう。 死亡の原因に第三者が関わっている場合は、上にプラスして以下のような書類の提出を求められます。 ・第三者行為事故状況届 ・事故証明等 ・確認書 ・家族を扶養していた場合、その事実がわかる書類 ・損害賠償金の算定書 こちらの場合、用意する書類の種類はさらに多く複雑になります。また過去に国民年金に任意加入しなかった期間がある場合も、それぞれで用意するべき書類があります。間違いなく用意するためにも、年金事務所窓口等で、一度しっかりと説明してもらうとわかりやすいでしょう。 書類がそろったら、申請する年金の種類に応じた窓口に提出しましょう。遺族基礎年金を請求する場合は、住所地の市区町村役場が窓口です。遺族厚生年金の場合、年金事務所窓口へと提出するようにしてください。 提出後2カ月以内に、「年金証書・年金決定通知書」等の書類が自宅へ届くでしょう。実際に振り込みがスタートするのは、さらにその1~2ヶ月程度あと。請求時に指定した口座に、2ヶ月に1度振り込まれます。 遺族年金の受け取り手続きは早めがおすすめ 遺族年金は、受け取りのための手続きを終えて、初めて振り込まれるお金です。家族が亡くなったあとは、何かと忙しいもの。バタバタしているうちに、ついうっかり、遺族年金の請求手続きを忘れてしまうようなこともあるかもしれません。 しかし、遺族年金には時効があり、「5年」と定められています。何も手続きしないままこの期間が過ぎると、「資格を満たしていても遺族年金を受け取れない」といった事態になりかねないのです。すぐに手続きができない場合でも、過去にさかのぼって請求すること自体は可能。しかしこのケースにおいても、「過去5年分」までしか受け取れません。 遺族年金の場合、たとえ死亡届を提出しても、年金事務所側から請求書が届いたり、遺族年 金対象者のお知らせが届いたりすることはありません。自分自身で受給要件を満たしているかを調べ、適切な手続きをとる必要があるでしょう。 ・本当に自分が対象なのかわからない ・3年前に夫が亡くなったものの、遺族年金の手続きをしていない このような場合には、一度現状をチェックするのがおすすめです。専門家や年金窓口で相談してみるのも良いでしょう。 遺族年金の請求手続きを代行してくれるのは? 遺族年金は、「誰でも簡単に請求できる」というわけではありません。また、請求手続きも非常に複雑です。日々の忙しさの中で、手続きしないままなんとなく放置してしまう方も、決して少なくありません。 こんなときには、ぜひ遺族年金の請求手続き代行業者を頼ってみてください。社会保険労務士や行政書士といった遺族年金の専門家に、面倒な手続きを任せられます。本当に自分が支給対象かどうかについても相談に乗ってもらえますから、まずは一度、アドバイスをもらうのもおすすめです。 代行業者の利用がおすすめなのは、以下のような条件に当てはまる方です。 ・内縁関係にあったパートナーの遺族年金を請求したい ・平日の昼間に年金事務所を訪れる時間がない ・申請に必要な書類を集めるのが難しい ・手続きに関する説明を聞いても、よくわからない 手続きを代行してもらうためには、専門家に支払う報酬が発生します。とはいえ、遺族年金の請求漏れを防ぐためには、非常に有効な方法と言えるでしょう。「手続きしなければ…」と思いつつ、つい放置してしまっている方も、ぜひ一度相談してみてはいかがでしょうか。 遺族年金の請求手続きはやや複雑 遺族年金の請求手続きはやや複雑 遺族年金の請求手続きは、「所定の請求書に事実を記し、必要書類を添付して提出するだけ」と、いたってシンプルなもの。しかし、 ・そもそも受給要件が複雑である ・請求手続きに必要な書類が多い ・年金事務所側からの案内が全くない といった事情が絡み、やや複雑で難しいものになってしまっています。自分の場合はどの遺族年金を請求できるのか、しっかりとチェックした上で、適切な手続きをとる必要があるでしょう。 遺族年金には時効が設定されていて、5年以上が経過すると、せっかくのお金も受け取れなくなってしまいます。ときには専門家の手も借りつつ、できるだけ素早く手続きしておきましょう。残された家族の生活も、楽になるのではないでしょうか。

  • 死亡保険の受取人に指定できるのは?トラブルを避けるためのコツを紹介

    死亡保険の受取人に指定できるのは?トラブルを避けるためのコツを紹介

    自分に万が一のことがあった場合に、残された人々の生活の支えになるように…との思いから、死亡保険への加入を検討する方は少なくありません。自身が死亡した際に、保険金が支払われる仕組みの保険ですが、誰を受取人にするのかが非常に重要なポイントになるでしょう。 そもそも死亡保険の受取人として指定できるのはどのような人なのでしょうか。詳しく説明すると共に、トラブルを避けるためのポイントについても紹介します。死亡保険への加入を検討し始めたら、ぜひチェックしてみてください。 死亡保険の受取人に指定できるのは誰? 死亡保険の受取人に指定できるのは誰? まずは、死亡保険の受取人に指定できる人について、確認していきましょう。死亡保険の受取人は、「自分の好きなように指定できる」というわけではありません。契約後に「こんなはずじゃなかった!」とならないためにも、事前にルールを確認しておいてください。 一般的には、死亡保険の受取人に指定できるのは「配偶者もしくは二親等内の血族」です。祖父母や父母、子どもや孫、そして兄弟姉妹などが当てはまります。この範囲内であれば、一人だけではなく、複数人を受取人に指定できる保険商品も。その場合、自分自身でそれぞれの取り分割合を指定することもできるでしょう。 残念ながら、全く血縁関係にない他人を、死亡保険の受取人に指定するのは難しいでしょう。ただし近年では、内縁関係や事実婚関係にあるパートナーを受取人として認めてくれる保険会社も増えてきています。同性パートナーがその対象に含まれるケースもあるため、事前に保険会社と相談の上で、加入先を検討するのがおすすめです。 内縁関係や事実婚関係にあるパートナーを受取人に指定する場合、保険会社が提示する条件をクリアできているかどうか確認する必要があります。戸籍上の配偶者の有無や同居期間、生計を共にしているかどうかなど…。こちらについても、保険会社に問い合わせの上、指示に従うのがおすすめです。 受取人によっては「贈与税」が発生する可能性も 死亡保険の受取人を設定する際に、注意しなければならないのが、税金との関係性についてです。受取人の指定方法によっては、受け取った保険金に贈与税が発生してしまう可能性もあるでしょう。少しでも多くの現金を手元に残すためにも、「誰を受取人に指定するのか?」は、極めて重要なポイントだと言えます。 死亡保険には、以下の3つの立場が関わってきます。 ・契約者 → 保険を契約し、保険料を支払う人 ・被保険者 → 保険の対象になる人 ・受取人 → 保険金を受け取る人 死亡保険の場合、被保険者が受取人になることはできません。よって、契約者・被保険者・受取人の関係性には、以下の3つのパターンが考えられます。 1.契約者と被保険者が同じで、受取人のみが別の人 2.契約者と受取人が同じで、被保険者のみが別の人 3.契約者と被保険者、受取人がそれぞれ別の人 1のパターンに当てはまるのは、「契約者:夫、被保険者:夫、受取人:妻(もしくは子ども)」というケースです。この場合、夫が亡くなり、妻が受け取る保険料は「相続税」の対象になります。妻ではなく子どもが受け取る場合も同様です。 2のパターンに当てはまるのは「契約者:夫、被保険者:妻、受取人:夫」というケースです。この場合、妻が亡くなり、夫が受け取る保険料は「所得税」の対象になるでしょう。 3のパターンに当てはまるのは「契約者:夫、被保険者:妻、受取人:子ども」というケースです。この場合、保険料を支払っている人とは別の人が保険金を受け取るため、「贈与税」の対象になります。 「どれを選んだとしても結局税金を取られるなら、誰を受取人に設定しても同じなのでは?」と思う方もいるかもしれません。しかし実際には、どの税金が発生するのかによって、利用できる控除制度にも違いがあります。もっとも多くの現金を手元に残せるのは、「相続税」の課税対象にするパターンです。 死亡保険に相続税が課税される場合、「相続税における生命保険金等の非課税枠」を利用できます。受け取った保険金のうち、「500万円×法定相続人の数」が非課税枠として扱われます。非課税枠を超えた分のみに相続税が課税されることになりますが、その他の相続財産と合わせて、「3,000万円+(600万円×法定相続人の数)」までが基礎控除額になるのです。 【夫、妻、子ども2人】 夫が亡くなり、妻が2,000万円の死亡保険金を受け取る → 500万円×3人(母と子2人)=1,500万円が非課税枠に。 2,000万円-1,500万円=500万円が相続税の対象になる。 死亡保険金以外に総額4,000万円の財産を相続した場合、相続税の課税対象は4,500万円に。 3,000万円+(600万円×3人)=4,800万円が基礎控除額となり、相続税の負担は0円になる。 生命保険の非課税枠と相続税の基礎控除額を組み合わせることで、非常に大きな金額も、税負担額は最小限に受け取れるでしょう。 トラブルを避けるための2つのポイント トラブルを避けるための2つのポイント 死亡保険の受取人に関わるトラブルを避けるためには、以下の2つのポイントを意識するのがおすすめです。ぜひチェックしてみてください。 ★契約者と被保険者を同一にする 先ほども解説したとおり、死亡保険の契約者・被保険者・受取人を誰にするのかによって、支払う税金の種類や金額は大きく変わってきます。トラブルを防ぐためには、まずは契約者と被保険者が同一になっているかどうかを確認しておきましょう。 同一であることを確認した上で、死亡保険の受取人を法定相続人に指定しておけば、余計な税金を支払うリスクを低減できます。 ★変更が生じた際には受取人の変更を忘れない 若い時期に死亡保険に加入した場合、その後のライフイベントの中で、受取人に指定した人との関係性が変化するケースもあります。たとえば、結婚や離婚、子どもの誕生や身近な人の死亡などが挙げられるでしょう。 独身時代に保険に加入している場合、受取人が「親」になっている可能性も。配偶者に変更すれば、万が一のときの安心にもつながるでしょう。また、受取人の方が先に亡くなってしまった場合、「受取人不在」という事態に陥ってしまう可能性も。この場合、亡くなった受取人の法定相続人全員が受取人になるため、手続きの手間が膨大になってしまいます。もちろん、トラブルの可能性も否定できません。 受取人の変更は、保険会社に届け出ることで、比較的簡単に手続きできます。被保険者の同意を得る必要がありますが、契約者と被保険者が同一であれば、スムーズに手続きできるでしょう。 死亡保険の受取人は誰に?将来を考え冷静に決定を 死亡保険の受取人を誰にするのか、悩む方も多いのではないでしょうか。死亡保険の受取人に設定しておけば、ほぼ確実に、その人のためにお金を残せます。非常に合理的な、財産の受け渡し方法とも言えるでしょう。 契約者・被保険者・受取人の関係性によっては、発生する税金額を抑える効果も期待できます。これから死亡保険に加入しようと考えている方はもちろん、すでに保険に加入している方も、ぜひ一度見直してみてはいかがでしょうか。

  • 【夫婦】財産分与とは何か?遺産分割との違いも含めて詳しく解説

    【夫婦】財産分与とは何か?遺産分割との違いも含めて詳しく解説

    【夫婦】財産分与とは何か?遺産分割との違いも含めて詳しく解説 財産分与とは何でしょうか。単語は知っているけど、「遺産分割」と「財産分与」の違いを知らない方は多くいるのではないでしょうか。今回はそんな難しいけど問題なく解決したい財産分与について解説していきます。 財産分与と遺産分割の違いとは 財産分与と遺産分割の違いとは これまで「遺産」や「財産」などに関わる機会が少なかった方たちからすると、「財産分与」と「遺産分割」の違いは何か、わかりにくいのではないでしょうか。 「財産分与」と「遺産分割」は、いずれも財産・遺産を分ける手続きの際に用いられる言葉ですが、場面が全く異なっています。 財産分与とは 離婚をした者の一方が他方に対して財産の分与を請求できる制度を言います。 財産分与はこれらに基づいて定められています。 夫婦が共同生活を送る中で形成した財産の公平な分配離婚後の生活保障離婚の原因を作ったことへの損害賠償の性質 特に、1つ目の意味合いが強いとされています。つまり、離婚してもなるべく今までと同じレベルの生活を続けられるように均等に分けましょうといったものです。 遺産分割とは 遺産分割とは、被相続人(亡くなった方)の財産を相続人で分配する手続きのことです。被相続人が死亡した場合、残された財産(遺産)は、何人かの相続権のある方の中で共有状態になっています。ですので、相続人間で遺産の所有を確定させなければなりません。この遺産の所有を確定するために、遺産分割が必要となります。 財産分与の対象となる資産はどこまでなのか 財産分与の対象となる資産はどこまでなのか では、財産分与の対象となるのはどこからどこまでなのでしょうか。 一緒に生活していたのですから、家や家具家電はもちろん、貯金やペットなどはどうなるのでしょうか。 夫婦のいずれか一方の名義になっている財産であっても、実際には夫婦の協力によって形成されたものであれば、財産分与の対象となります。 離婚までに協議をしておき離婚と同時に分与するのが最もよいでしょう。離婚をしてから分与を請求することもできますが、離婚から2年以上経過してしまうと、家庭裁判所に申立てができなくなりますので、お気をつけください。 財産分与で注意すべき点 財産分与で注意すべき点 実際、財産分与をするとなった場合に注意すべき点はいくつかあります。お金や財産のお話ですので、しっかり注意しましょう。 相続した遺産を配偶者が「財産分与の対象だ」と言って話し合いがまとまらない 相手が相続した遺産を配偶者が財産分与の対象ではないかと申し出てくる場合がよく見られます。しかし、相続した遺産は共有財産ではないため、財産分与の対象財産にはなりません。 単独名義の不動産について 例えば、婚姻中に夫の収入で土地や建物を購入して夫の単独名義になっているとしましょう。その場合、家事の分担などによって異なります。名義人がほぼ100%で働き、かつ家事もこなしていたのであれば、名義人の物になります。 妻が家事等を分担して夫を支えていたときは、その建物は、実質的には夫婦2人の財産といえると考えられます。 相続したペットは財産分与の対象になるのか 家族・子として育ててきたペットも、法律上は「物」として扱われることになります。 そのため、離婚するにあたって、夫婦間でペットの引き取りについて揉めた場合には、離婚における財産分与の問題として考えていく必要があります。 夫婦が結婚後に飼育することになったペットに限られ、結婚前に夫婦の一方が飼育していたペットは、従前から飼育していた者の所有物として扱われるため(民法762条1項)、夫婦の共有財産の清算である財産分与の問題は生じません。つまり、相続したペットも上記同様、共有財産ではないため、財産分与の対象とはなりません。 遺産・財産分与はできれば弁護士に依頼しよう 遺産・財産分与はできれば弁護士に依頼しよう 夫婦間で相談した結果、分からないことがあった場合は弁護士に相談するのがよいでしょう。財産は大切なものですので、些細なことでもわからなければ相談してください。 弁護士に依頼することで財産を探すことができる 弁護士に依頼することで、自分たちでは気が付かなかった共有財産が出てくる場合があります。貰い損ねることのないよう、気になる場合はすぐにでも相談してみましょう。 自分で交渉するよりも、多くの財産を得られる可能性がある また、しっかりとした国家資格を持っている方である弁護士に相談することによって、どちらのものか分からず曖昧な物をはっきりと区別が出来るでしょう。 調停に同席し、主張をサポート 離婚調停になった場合、弁護士が同席してくれるので分からないことも説明してくれる心強い存在になることでしょう。これまで、弁護士に相談したことない方は金銭面とかで躊躇してしまうかもしれませんが、初めは無料で相談できる場所も多くありますので1度行ってみるのも手です。 相続した遺産は財産分与の対象となるのか 相続した遺産は財産分与の対象となるのか 先程も少し出てきましたが、相続した遺産は財産分与の対象とならないのが原則です。 法定財産制における夫婦の財産には共有財産と特有財産があります。共有財産とは、婚姻期間中に夫婦の協力によって取得し維持した財産をいいます。特有財産とは、婚姻前から夫婦の一方が有していた財産あるいは、婚姻中でも夫婦の協力とは無関係に取得した財産をいいます。 離婚にともなう財産分与の対象となるのは共有財産のみです。財産分与は、夫婦の共有財産を婚姻関係の解消にともない公平に分配する清算的要素をその中核とするからです。 まとめ:遺産分割と財産分与は別物 遺産分割と財産分与は別物 遺産分割と財産分与は全くの別物です。名前は少し似ていますが、遺産分割はその財産を持った方が亡くなった場合に相続人で財産を分けること、財産分与は離婚する際に、夫婦間で共有していた財産を分けることです。 共有財産は均等に分け、名義人が片方であってもどのように使用していたかによって分け方が異なってきます。 もし、分からない場合はきちんと法律を理解している専門家である弁護士に相談してはいかがでしょうか。

  • 【終活】遺産とは?相続人に当たる人物や手続き方法などについて解説

    【終活】遺産とは?相続人に当たる人物や手続き方法などについて解説

    【終活】遺産とは?相続人に当たる人物や手続き方法などについて解説 もし親戚や親、旦那さんや奥さんが亡くなったら遺産はどうなるのでしょう。相続人は誰になるのでしょうか。今回は、そんな難しい話をどんな方でもわかりやすいように解説していきます。 遺産とは 遺産とは 遺産とは、亡くなった人が所有していたすべての財産のことを言い、「相続財産」とも呼ぶ事もあります。財産といっても金銭的な価値をもつプラスの財産(積極財産)のみではありません。借金などといった弁済しなくてはならないマイナスの財産(消極財産)も遺産に含まれます。 相続の対象となる財産には「プラスの財産」と「マイナスの財産」があります。これらの中には、ネット銀行の預金やネット上の証券口座にある株式、仮想通貨(暗号資産)のように、デジタル化されているために被相続人でなければ存在を把握しにくい財産もあるので、実際の遺産確認の際には注意が必要です。 【プラスの財産】 現預金外国通貨自宅用の建物と土地、賃貸用の建物と土地、店舗田畑、山林、空き地、立木など有価証券(株式、投資信託、公社債など)債権(売掛金、貸付金、立替金、被相続人が受取人の生命保険金請求権など)借家権・借地権家庭用財産(車、家具、宝石、宝飾品、絵画、書画、骨とう品など)ゴルフ会員権船舶・飛行機など仮想通貨(暗号資産)知的財産権(特許権・著作権など)慰謝料請求権・損害賠償請求権電話加入権プラスの財産 【マイナスの財産】 借金(ローン、クレジットカードの未決済分)買掛金医療費や水道光熱費などの未払経費未払税金未払家賃・未払地代未払いの慰謝料・損害賠償金預り金(敷金、保証金など)保証債務マイナスの財産 マイナスの財産については、これらを相続により引き継いだ場合、相続人が弁済する義務を負います。 相続人とは 相続人とは 相続人とは、被相続人がなくなった場合に財産を相続する人間を指します。 配偶者はどうなるのか 死亡した人の配偶者は相続人となります。もし配偶者がいなかった場合など、配偶者以外の人は次の順序で配偶者と一緒に相続人になります。 相続するにあたっての順位とは なお、相続を放棄した人は初めから相続人でなかったものとされ、内縁関係の人は相続人に含まれません。 第1順位:死亡した人の子ども その子どもが既に死亡しているときは、その子どもや孫などが相続人となります。 第2順位:死亡した人の直系尊属(父母や祖父母など) 父母も祖父母もいるときは、死亡した人により近い世代である父母の方を優先します。 第2順位の人は、第1順位の人がいないとき相続人になります。 第3順位:死亡した人の兄弟姉妹 その兄弟姉妹が既に死亡しているときは、その人の子どもが相続人となります。第3順位の人は、第1順位の人も第2順位の人もいないとき相続人になります。 孫が代わりに相続する「代襲相続」とは 代襲相続(だいしゅうそうぞく)とは、被相続人より先に相続人が亡くなっている場合に、被相続人から見て「孫」「ひ孫」「甥、姪」等が相続財産を受け継ぐことをいいます。 養子の立ち位置 相続人が養子でも、実の子どもとして取り扱われます。 つまり養子はすべて法定相続人の数に含まれます。 相続人が未成年だったらどうなるのか 未成年者が相続人になる場合、未成年者には「代理人」を立てる必要があります。通常、代理人は親が務めます(法定代理人)。 しかし、親も未成年者である子も、ともに相続人で、相続人全員で遺産分割協議が行われる場合などは、親が未成年者の代理人になれないことがあります。このような場合には、「特別代理人」の選任を家庭裁判所に申し立てる必要があります。そして代理人は未成年者に代わり、遺産分割協議や手続書類の記入・捺印等を行うことになります。 ただし、未成年者であっても結婚している等、成人とみなされる場合もあります。 行方不明者がいる場合はどうなるのか 家庭裁判所に対し、不在者財産管理人の選任を申し立てるか、失踪宣告の申し立てをする必要があります。 失踪宣告を受けた行方不明者は法律上、「死亡したもの」として扱われます。ですので、遺産分割協議の参加義務はもちろん、相続人から除外されることになります。ただし、その相続人に子がいる場合には代襲相続となります。 そのほか、相続に関する疑問を解決 そのほか、相続に関する疑問を解決 相続に関して下記の疑問について説明します。 この人に相続権はあるのか相続権はあるけど相続したくないときはどうしたらいいのか そのほか疑問点として多く挙げられるものを解説していきます。 相続権がありそうでない人たち 子どもの相続権は、被相続人との関係性でその有無が決まります。つまり、亡くなった方の前妻や前夫との子が実子であれば、現在の親権の所在にかかわらず、その子には相続権が付与されます。 しかし、あなたの配偶者が亡くなった場合のあなたの連れ子の相続権という意味では、被相続人との養子縁組の有無によって相続権の有無も決定され、被相続人の生前に養子縁組をしていた場合には相続人となりますが、そうでない場合にはその子に相続権はありません。 相続人のはずなのに貰えない?「相続欠格」とは 特定の相続人が民法891条の相続欠格事由に当てはまる場合に相続権を失わせる制度のことです。遺贈を受けることも出来なくなりますが、欠格者の子は代襲相続が可能です。 相続人側が相続権を剝奪する「相続廃除」とは 相続人の廃除とは、相続人から虐待を受けたり、重大な侮辱を受けたりしたとき、またはそのほかの著しい非行が相続人にあったときに、被相続人が家庭裁判所に請求して虐待などした相続人の地位を奪うことをいいます。 この申立は、被相続人が生前か遺言書でしかすることは出来ません。 相続放棄するとどうなるのか 相続での悩みとして、最も多いお悩みは『亡くなった親の借金を相続放棄したいこと』と言われています。 次いで、不仲だった家族、疎遠だった親族の相続に関わり合いたくないというお悩みから相続放棄を検討する方も多くいらっしゃいます。 相続放棄は、「相続放棄=その相続は存在しない」ということになります。 また、放棄した相続人に子がいても代襲相続はありません。マイナスの遺産のみ相続しないなど、そのようなことは出来かねます。 相続人でなくても財産を受け取れる人とその条件 被相続人が作成した遺言書により遺産の受取人として指定された人は相続人でなくても、遺産を受け取ることができます。 ただし、以下の2つ注意点があります。 遺言書の形式が民法に規定された方式に従っていること法定相続人の遺留分を侵害できないこと 2つ目について、法定相続人の遺留分とは、一定の法定相続人について民法により保障された相続分のことをいいます。遺言書の内容が遺留分を侵害している場合は、受遺者は法定相続人からの請求に応じ、遺留分を請求人に支払わなくてはなりません。 相続に関する手続きはどうやってするのか 相続に関する手続きはどうやってするのか 相続をする際の手順について、順番にご説明します。 遺言書の調査 まずはじめに遺言書の確認をしましょう。自宅を探すのはもちろん、銀行や弁護士・司法書士・税理士に預けられている可能性もあります。なお、遺言書が公正証書遺言の場合、公証役場で存在の有無を照会することもできますので問い合わせてみましょう。                                                   相続人の調査・確定 遺言書の調査と同時進行で法定相続人をくまなく調べる作業を行う必要があります。法定相続人とは、相続人になる可能性のある人の事です。 被相続人の前妻との間に子がいる、あるいは生前養子縁組をした子がいる可能性もあります。法定相続人は戸籍謄本を取得して確認できます。 まとめ:遺産の相続人は法律で決まっている 遺産の相続人は法律で決まっている 遺産相続は複雑な手続きに思えますが、しっかり確認出来ればそんなに複雑ではありません。相続にはプラスの遺産もマイナスの遺産も関わってきます。 また、相続人が亡くなっている場合などは代襲相続が適用されます。相続権を放棄したい場合は放棄することもできますので、もしわからない場合はすぐに専門家に相談し、正確な判断を仰ぎましょう。

  • 相続放棄を選択肢の1つに 子どもに負の遺産を相続させない

    相続放棄を選択肢の1つに 子どもに負の遺産を相続させない

    相続放棄を選択肢の1つに 子どもに負の遺産を相続させない 終活で遺産整理などを行っていると、返しきれない借金がある、ローンの返済が終わらないといった事態に気づく場合があるかもしれません。 もし借金やローンの返済が完済せずあなたが亡くなってしまった場合、返済義務は相続権のある子どもに渡ってしまいます。 子どもにそんな物を相続したくないと思う方に向けて、今回は相続放棄といった選択肢があり、負の遺産を相続させない方法を紹介します。借金やローン返済などが残っている方、必見です。 遺産相続をすると負の遺産も相続される 遺産相続をすると負の遺産も相続される 遺産相続といえば、現金や預貯金、不動産を思い浮かべるでしょう。それらは正の遺産と言われており、その逆の借金やローンなどは負の遺産といわれています。 遺産相続を行った場合、現金や預貯金だけ相続して借金などは相続しないといった選択はできません。相続をする場合は、正の遺産も負の遺産も相続しなければいけません。 まずは、どんなものが負の遺産と呼ばれるか知っておきましょう。 負の遺産と言われるもの 負の遺産と言われるものは主に以下の7つです。 金融機関などからの借り入れ(ローンやクレジットカードの未決済分など)ツケの未払いリース料家賃(未払い分)税金や健康保険料(未払い分)損害賠償責務(交通事故などで支払い義務のある賠償金)連帯保証人の立場 意外と知られていないのが、連帯保証人の立場ではないでしょうか。 自分や親が連帯保証人になっているか分からない場合には調べる方法が3つあります。 株式会社日本信用情報(クレジット会社や金融機関との契約内容、返済状況といった情報を管理している)株式会社シー・アイ・シー(クレジット事業や携帯電話会社などの企業を会員としている信用情報機関)全国銀行個人信用情報センター(銀行や信用金庫などを会員としている信用情報機関) これらの場所に問い合わせてみましょう。 ただし、これらの場所に問い合わせても絶対に連帯保証人になっていないとは言い切れません。どうしても不安な場合は、相続放棄も視野にいれるとよいでしょう。 遺産を放棄しても受け取れるもの 遺産を放棄すれば、正の遺産も負の遺産も受け取れないと先ほど記載しましたが、一部例外があります。 死亡保険金(受取人が指定されているもの)香典やご霊前仏壇やお墓などの祭祀財産葬祭費や埋葬料死亡退職金(受取人が家族であるもの)遺族年金や未支給年金 上記の6つは仮に遺産を放棄した場合でも受け取れます。 これらは亡くなった方の財産ではなく、残された家族のためのものとされてるからです。 相続されないもの 連帯保証人の立場が相続されるため、勘違いされる場合がありますが亡くなった方に対して個人的に認められていた権利や義務は相続されません。 養育費の請求権と支払い義務婚姻費用の請求権と支払い義務年金受給する権利(遺族年金や未支給年金は別)生活保護を受ける権利 これらは相続されないので注意してください。 遺産を放棄するメリット・デメリット 遺産を放棄するメリット・デメリット 実際に遺産を放棄した場合、どのようなメリットやデメリットがあるのでしょうか?遺産の放棄を子どもにすすめる、決断する前に必ずメリットとデメリットの両方を知っておきましょう。 遺産を放棄するメリット 遺産を放棄するメリットは大きく2つです。 借金の返済義務がなくなる相続争いに巻き込まれない 仮に、1,000万円の借金があり相続人が2人の場合は、1人あたり500万の借金を背負わなければいけません。 返済が遅れていた場合は遅延損害金の支払いも必要です。 遺産を放棄するのは借金などの負の遺産だけが理由だと思われがちですが、実は遺産争いに巻き込まれたくないといった理由も多いです。 元々家族と仲が悪かった、疎遠になっていて正直どうでもいいといった場合も、遺産を放棄すると遺産分割協議などに参加する必要がなくなります。 遺産を放棄するデメリット 次に遺産を放棄するデメリットですが、主に4つあります。 一切の相続財産を手放さなければいけないやり直しできない遺産の放棄が認められない場合がある相続順位が変わりトラブルになる可能性がある 遺産を放棄してしまうと、「この貯金分だけは相続する」といった選択はできません。 また、一度遺産を放棄する手続きを行い、受理されてしまうと今回亡くなった方の遺産に対する相続権は復活しません。 それだけではなく、遺産を放棄する手続きが完了していたとしても、亡くなった方の遺産を使用した、勝手に処分した場合は手続きが無効になる場合があります。 遺産の放棄が無効になれば、当然相続権が復活するため、負の遺産なども相続しなければいけなくなります。 最後に確認しておくべきなのは相続順位の変更です。 遺産の相続には優先される順位が決められています。 最優先は配偶者で次に実子となっていますが、相続を放棄した方の立場や状況によっては相続順位が変わります。 相続に関するトラブルを避けるために遺産を放棄したのに、逆にトラブルに巻き込まれてしまう可能性もあるので注意してください。 遺産を放棄する方法 遺産を放棄する方法 実際に遺産を放棄したいと思ってもどのような手続きを行えばよいのかわからない方が多いと思います。ここでは、遺産を放棄する方法についてくわしく紹介していきます。 亡くなった方の住所地の裁判所へ 相続放棄する場合の相続放棄申述書は必ず亡くなった方の最後の住所地の家庭裁判所に提出します。申述書自体は裁判所でもらってもいいですが、家庭裁判所が指定する形であればネットから印刷しても問題ありません。 直接の提出が難しい場合は郵送でも大丈夫です。申述書に必要事項を記載し、以下の必要書類を用意します。 亡くなった方の除籍謄本(亡くなった方の戸籍謄本)亡くなった方の住民票除票相続放棄をするあなたの戸籍謄本 戸籍謄本と除籍謄本は本籍地にある役所に行くか取り寄せをする必要があります。 相続放棄の手続きは原則として相続の開始を知った時から3ヵ月となっています。それまでに必要書類を集めて、家庭裁判所へ提出または郵送しましょう。 必要書類が期限内に揃わない場合 必要書類がどうしても期限内に揃わない場合、とりあえず相続放棄申述書だけでも提出してください。その際に、戸籍謄本等はあとから提出する旨を書き添えておくと提出期限が過ぎてしまっても大丈夫です。 裁判所からの質問書類に答える 相続放棄申述書を家庭裁判所が受理すると、質問事項が書かれた書面が送られてくるので、回答して返送しましょう。 亡くなった方との親族関係亡くなったと知った日あなたの名前で相続放棄の申し立てがされていると知っているかなぜ相続放棄するのかこの申し立てはあなた自身の意思か 質問内容は家庭裁判所によって少し変わりますが、大筋は変わりません。当然ですが記載事項に嘘はないようにしましょう。 相続放棄申述受理通知書が届く 質問書類を返送し、特に問題がなければ相続放棄申述受理通知書が届きます。これでようやく正式に相続放棄が認められました。 仮に借金の返済などを迫られた場合は、相続放棄申述受理通知書を見せればそれ以上の催促はされません。必ず大切に保管しておきましょう。 これらの手続きがなければ正式に遺産を放棄したとはならない 家庭裁判所から相続放棄申述受理通知書が届くまでは、正式に遺産を放棄したとはなりません。相続放棄を宣言しただけでは諸々の権利は放棄できていないので注意してください。 生前に遺産の放棄はできない 生前に遺産の放棄はできない 終活で負の遺産の存在に気付いた、そもそも遺産を相続するつもりがなく、忘れない間に相続放棄の手続きをしたいと思っても生前には遺産の放棄はできません。 遺産とは人が亡くなって初めて発生します。生きている間はまだ遺産が発生していないため、放棄できません。 しかし、亡くなった方の除籍謄本以外の必要書類を用意するのは問題ありません。亡くなった時点で除籍謄本を取り寄せ、相続放棄申述書の死亡日の欄を記入して提出しましょう。 限定承認の選択も 限定承認の選択も 負の遺産があり、すべてを相続したくないけどすべてを放棄はしたくないといった場合、限定承認を行う場合があります。それでは限定承認について紹介します。 限定承認とは 限定承認とは、相続した正の遺産の限度で負の遺産の相続を行います。 例えば、負の遺産が1,000万円、正の遺産が自宅(資産価値400万円)だった場合で説明します。普通に相続すれば自宅を相続できますが、同時に1,000万円の借金を背負わなければいけません。 相続放棄をすれば借金の返済義務はなくなりますが、自宅を手放さなければいけません。限定承認を行えば自宅の資産価値分の400万円を支払い、自宅を引き継ぐことができる場合があります。 仮に、負の遺産が400万円、正の遺産が1,000万円だった場合は、400万円を支払い600万円を相続できます。 限定承認をしないほうがいい場合 限定承認ではなく相続放棄をしたほうがいい場合は以下の3つです。 負の遺産の金額が多額であり正の遺産の方が圧倒的に少ないそもそも相続に関わりたくない手続きにお金をかけたくない 相続放棄を行う場合は、自分たちで手続きが可能ですが、限定承認の場合は弁護士などの専門家に依頼するので弁護士費用が別途かかります。 限定承認をしたほうがよい場合 限定承認をしたほうがよい場合は以下の3つです。 遺産の内容は不明だが、プラスになるなら相続したい負の遺産分をできる限り返済したい負の遺産があるが遺産の中にどうしても相続したいものがある このような場合は、相続放棄をしてしまうとすべてできなくなってしまうので、限定承認を選択しましょう。 限定承認はかなりややこしい 先程も少し触れましたが、自分で手続きができる相続放棄とは違い限定承認はかなり複雑なため専門家に依頼しなければいけません。 それだけではなく、1人でもできる相続放棄とは違い限定承認は相続人全員が同意していなければできません。 それだけではなく、弁護士や司法書士でも実際に限定承認の手続きを行った経験のある方が非常に少ないので、経験のある専門家を見つけるのが困難です。 便利な制度だと思われがちですが、かなりややこしいので選択する方はごく僅かというのが実情です。 まとめ:遺産を放棄するのも選択肢の1つに 遺産を放棄するのも選択肢の1つに いかがでしたか?今回は遺産の放棄についてくわしく紹介しました。 終活をしている時点で負の遺産の存在に気付いた場合は、すぐに子どもに伝えましょう。 遺産を放棄するのも選択肢の1つです。 遺産を相続するのか、放棄するのか、限定承認といった選択肢を選ぶのか考えておくように伝えておくとよいかもしれません。

  • 遺産相続のトラブルを防ぐには?対策や起きやすい事例をご紹介

    遺産相続のトラブルを防ぐには?対策や起きやすい事例をご紹介

    遺産相続のトラブルを防ぐには?対策や起きやすい事例をご紹介                                                                                                                    「遺産相続でトラブルを起こしたくない」「でも、どうすればいいのか分からない」そんな悩みをお持ちではありませんか?「家族に迷惑をかけたくない」そんな思いがあれば余計に悩んでしまいますよね。 起きやすいトラブルとその対策を知っておけば、トラブルは防ぐことができます。また、万が一トラブルが発生した場合でも対処法や解決にかかる費用を知っておけば安心できますね。 今回は、遺産相続のトラブルの防ぎ方と対策や起きやすい事例をご紹介します。 遺産相続で起きやすい5つのトラブル事例 遺産相続で起きやすい5つのトラブル事例 遺産相続の中でも起きやすいトラブルについて、以下の事例を5つご紹介します。 遺産の額が少ない場合不動産(土地)関連遺族の独占相続人の多さ子どものいない夫婦 自身に当てはまらないかぜひ確認してください。 トラブル1:遺産の額が少ない場合 比較的小規模な遺産(1,000万円以下など)では、相続が発生してからトラブルになるケースが多いです。なぜなら、遺産が小規模なために必要ないと思い、事前の対策を特にしていないからです。 遺産が多くある場合、比較的早い段階で専門家に依頼して事前のトラブルを防ぐ対応が出来ますが、小規模な遺産の場合は大丈夫だろうと油断してしまうことが多くあります。 トラブル2:不動産(土地)関連 土地などの不動産は「わけられない資産」であり、「評価が難しい資産」でもあります。 そのため、遺産相続のトラブルの原因になりやすいです。 分割して分けることが難しく、いくらと評価するかも迷います。売却してお金にしたい方や、取得してそのまま土地を活用したい方など意見も分かれがちです。 トラブル3:遺族の独占 例としては「長男だから」などの理由で遺産をすべて独り占めしようとする場合です。民法上は、遺産相続はあくまで被相続人の意思が尊重されるので、被相続人が遺した遺言書にしたがって相続内容が決められます。 今でも、「家督相続」といって長男が一人で全部遺産を相続するものといった考えの方もいますが、法律上の権利に基づき是正する必要があります。 トラブル4:相続人の多さ 法定相続人とは、遺産相続で被相続人の遺産を受け取れる権利をもつと民法で定められている者です。具体的には被相続人の配偶者や子、兄弟姉妹などになります。しかし、養子や隠し子などの存在が発覚する場合もあります。 また、介護をしてくれた人に遺産を残すために遺言書に記載した場合など相続人が増えることも。法定相続人を増やす養子縁組は節税対策につながりますが、相続人が増えれば増えるほどトラブルに発展していく可能性も高くなってしまいます。 トラブル5:子どものいない夫婦 子どもがいない夫婦の場合、被相続人の兄弟や甥・姪が相続人に含まれる場合があります。関係性が希薄なために、全員の合意を得にくいケースが多く、トラブルにつながります。 遺産に関するトラブルの対策4選 遺産に関するトラブルの対策4選 遺産に関するトラブルを起こさないためにできる対策を以下の4つご紹介します。 家族と話し合っておく遺言書(財産目録)を作る遺産の分け方・法定相続人の数を把握しておく民事信託や後見制度を使う 一つずつ見ていきましょう。 対策1:家族と話し合っておく まずは元気なうちに家族でしっかり話し合いをしておきましょう。被相続人の希望や考え方をしっかり家族に伝え、理解してもらいます。遺産内容や管理方法なども親族の間でしっかり共有しておきます。 対策2:遺言書(財産目録)を作る 全財産を正確に把握するのは本人でも大変です。死後に相続人が把握するのはもっと大変な作業になってしまいます。 そのため、遺産のトラブルを防止するためにも、生前に財産目録を作っておくと財産の把握が簡単に出来るため有効です。特に、プラスの財産だけでなくマイナスの財産もきちんと記載しておくと、トラブル回避に有効でしょう。 対策3:遺産の分け方・法定相続人の数を把握しておく 不動産の評価や分割の方法、遺産をどうやって分ければよいかについて把握しておくと円滑に遺産分割できますね。揉めそうな場合には、法定相続を前提に、遺産分割協議をしてみるとよいでしょう。 また、相続人の数が増えると、「話がまとまらない」「相続人が後から増える」などトラブルの元になります。遺産分割協議をおこない、相続人を確定させるとスムーズに遺産分割をおこなえます。 対策4:民事信託制度を使う 民事信託(家族信託)を利用することで、相続トラブルを避けられる場合もあります。生前から死後に掛けての財産管理方法や死後の財産帰属先を取り決めることが可能です。 遺産相続でトラブルが発生したら弁護士に相談を 遺産相続でトラブルが発生したら弁護士に相談を 遺産相続でトラブルになった場合は、弁護士に相談するのがおすすめです。また、トラブルが大きくならないうちに早めに依頼するのがポイントです。 ここでは、弁護士に依頼するメリットや気になる料金についてもご紹介します。 弁護士に依頼するメリット 実際にトラブルが発生したときは、早めに弁護士に相談して対応することをおすすめします。弁護士に相談すると以下のようなメリットがあります。 法律の正しい知識を教えてもらえる代理交渉をお願いできる調停・裁判・訴訟も依頼できる有利に解決できる可能性が高くなる 弁護士に相談することで、遺産分割の方針も決めやすくなります。代理交渉をしてもらうと、直接的な対立を防げるので、ストレス軽減もできますね。 弁護士に依頼する場合の費用相場 弁護士に相談するといくら位かかるのでしょう?相談料の相場は、30分5,500円程度です。無料相談を利用できる場合は、相談料は無料になります。 では、着手金はどの程度でしょうか。着手金は経済的利益の数パーセントとパーセンテージで料金が設定されている事務所もあります。また、内容によって「一律20万円」など定額料金の場合もあります。 報酬金については、経済的利益からパーセンテージで料金設定されていることがほとんどです。弁護士事務所によって、料金設定は異なりますので、相談する際に事前に料金についても確認しましょう。 まとめ:遺産に関するトラブルはしっかり対策できる 遺産に関するトラブルはしっかり対策できる 遺産に関するトラブルを防ぐ方法を見てきました。 遺産に関するトラブルの良くある例を参考に、実際ご自身の身の回りでおきそうなトラブルを想定できますね。想定されるトラブルに対して、しっかりと対策をとればトラブルは回避できます。 想定されるトラブル内容によっては、弁護士に相談するなどしてしっかり対策をおこなってください。そうすると、トラブルを防げるでしょう。

  • 親の遺産を放棄したい!手続き方法や期間・注意点を解説

    「遺産相続」というキーワードを耳にしたとき、ごく自然に「プラスの財産」を思い浮かべる方も多いかと思います。しかし実際には、「マイナスの財産」が相続されてしまうケースも少なくありません。また何らかの事情で、「親の財産を受け継ぎたくない」と思うこともあるでしょう。 このような場合に検討したいのが、「相続放棄」についてです。具体的な手続き方法や注意点を解説します。 相続放棄とは? 相続放棄とは? 相続放棄とは、相続人が、被相続人の財産を相続する権利を一切放棄する手続きを指します。亡くなった方の財産が、相続人にとって好ましいものとは限らないでしょう。このような場合に、一定の手続きを経て相続放棄をすれば、「相続しない自由」を選択できます。 相続放棄の特徴は、「相続する財産のすべてを放棄する」という点です。非常にシンプルですが、誤解しやすいポイントでもありますから、十分に注意してください。相続する財産には、さまざまなものが含まれています。「その一部のみを相続し、その他を放棄する」ということはできません。あくまでも、「相続放棄するのであれば、財産のすべてをあきらめる」選択になるでしょう。 相続放棄は、以下のようなシーンで有効です。 ・プラスの財産よりも、明らかに負債の方が多い・相続問題に巻き込まれたくない・自分ではない相続人に、すべての財産を譲りたい たとえば、預貯金や不動産といったプラスの財産よりも、借金額の方が多ければ、財産を受け継ぐ金銭的なメリットはありません。それどころか、相続によって自身の生活が困窮する可能性すらあるでしょう。プラスの財産をあきらめる代わりに借金も受け継がなくて済むのであれば、そちらのメリットの方が大きくなります。 また遺産相続には、相続問題も付き物です。「わずかな遺産を取り合っていざこざを起こすくらいなら…」と思うときにも、相続放棄の手続きをとりましょう。別の相続人に遺産を相続させたい場合にも、相続放棄の手続きは有効です。たとえば、夫の財産を妻と子どもで受け継ぐ場合、子どもが相続放棄すれば、夫の財産を妻が一人で相続できます。残された家族の生活が不安な場合にも、有効な方法と言えるでしょう。 相続放棄の手続きができる期間は3ヶ月 さまざまな事情がある場合に、有効な手続きである相続放棄。しかし、いつでも自由に手続きできるわけではありません。相続放棄の手続きは、民法によって、相続の事実を知った日から3ヶ月以内に行う必要があると定められています。 相続放棄の手続きは、家庭裁判所にて行います。必要書類をそろえた上で、期間内に申述しましょう。家庭裁判所に直接出向いても良いですし、郵送で必要書類を届けても構いません。ただし、これらの手続きを3ヶ月以内に完了できなければ、自動的に「プラスの財産もマイナスの財産もすべて相続する(単純承認)」と判断されてしまうので注意してください。 「相続の事実を知ってから3ヶ月以内」というのは、非常に厳しいスケジュールです。実際には、「被相続人の財産状況が複雑で調査が終えられなかった…」というケースもあるでしょう。このような場合には、その旨を家庭裁判所へと申し立てましょう。その正当性を裁判所が認めてくれれば、手続き期間が伸長されます。柔軟な対応をしてくれるケースも少なくありませんから、まずは一度、弁護士などの専門家に相談してみてください。 相続放棄に必要な書類とは? 子どもが親の財産を相続放棄する場合、家庭裁判所に対して、以下の書類の提出を求められます。 ・相続放棄申述書・亡くなった人(親)の住民票除票(もしくは戸籍附票)・自分の戸籍謄本・亡くなった人(親)の死亡の記載がある戸籍謄本 住民票除票や戸籍謄本は、市町村役場で手に入ります。相続放棄申述書は、裁判所のホームページからダウンロードしましょう。申述人(相続放棄したい本人)や被相続人(亡くなった人)の情報のほか、相続放棄したい理由を記入して提出します。理由については、できる範囲で詳しく記載するのがおすすめです。 連絡先欄には、平日の日中に連絡がつく番号を記入しましょう。相続財産について記入する欄がありますが、ざっくりとした内容で問題ありません。またよくわかっていない部分については、そのまま「不明」と記載しましょう。押印は実印以外でも大丈夫ですが、自分がどの印鑑を使ったのか、忘れないようにしてください。 相続放棄する場合に知っておきたい注意点3つ 相続放棄の手続きには、いくつか注意したいポイントもあります。こちらもあわせてチェックしてみてください。 ★1.相続放棄が認められないケースもある 相続放棄の手続きは、よほどの事情がなければ、家庭裁判所によって認められます。しかし、以下のような事情がある場合、認められない可能性が高いでしょう。 ・相続人が相続財産を処分した・相続人が相続財産を隠したり、消費したりした つまり、相続人の立場で、勝手に財産を処分したり使ったり、隠したりすれば相続放棄が認められなくなるというわけです。もし相続放棄を検討しているなら、財産の取り扱いには十分に注意しましょう。 特に注意が必要なのは、死亡保険の解約返戻金についてです。死亡に伴い保険契約が解約されれば、一部商品では解約返戻金が支払われます。しかしこちらは、被相続人の財産にあたるため、相続人が勝手に消費することは認められていません。どういったお金なのかしっかりと確認した上で、適切な対処を求められます。 ★2.相続放棄しても死亡保険金を受け取れるケースもある 相続放棄する場合には、被相続人が加入していた死亡保険にも注目してみてください。もし死亡保険金の受取人が指定されていれば、相続放棄した場合でも死亡保険金を受け取れます。 なぜなら、受取人が指定されている死亡保険金は、受取人に固有の財産と判断されるから。「被相続人の財産」ではないため、相続放棄に影響はないというわけです。こちらも頭に入れた上で、相続放棄について検討する必要があるでしょう。 ★3.必要に応じて「限定承認」の検討も 遺産相続には、すべての財産を受け継ぐ「単純承認」と、すべての財産を放棄する「相続放棄」のほか、一部の財産のみを受け継ぐ「限定承認」という方法もあります。 限定承認とは、「相続したプラスの財産以上に、マイナスの財産は負わない」という相続手法のこと。プラス財産とマイナス財産のどちらが多くなるのか、わからないときにも有効な相続手法です。リスクはなく、現時点で把握できていないメリットを逃さないという強みがあります。 限定承認の道を探る場合は、専門家に相談の上で話を進めていくのがおすすめです。自身にとって、ベストな相続の形を探ってみてください。 相続放棄を検討するなら素早い行動を 相続放棄を検討するなら素早い行動を 相続放棄は、マイナスの財産が明らかに多いときや、相続トラブルを避けたいときに有効です。とはいえ、手続きには期限が定められており、あまりゆっくりはしていられません。相続の事実を知ったら、ぜひ早めに専門家に相談してみてください。素早い行動が、自身の利益につながるでしょう。 参考サイトhttps://shine-souzoku.com/genteisyounin/?utm_source=google&utm_medium=cpc&utm_campaign=gentei&gclid=Cj0KCQjw1bqZBhDXARIsANTjCPKBS7d1uOymSBeLtzQBOfIP5Z2aIjRHLblRoxd5DvH7z452uwPmI70aAmN1EALw_wcBhttps://souzoku-pro.info/columns/souzokuhouki/105/#toc_anchor-1-3-4https://www.courts.go.jp/saiban/syurui/syurui_kazi/kazi_06_13/index.htmlhttps://legacy.ne.jp/knowledge/now/souzoku-houki/008-kimekata-tetsuduki-nagare/

  • 遺族年金の種類は2つ!受給要件や受取人はどうなる?

    家計を支えていた家族が亡くなってしまったら…。今後の生活がどうなるのか、経済的な不安を抱える方も多いでしょう。こんなとき、ぜひ知っておきたいのが「遺族年金」に関する知識です。 亡くなった家族の年金加入状況によっては、亡くなったあとに年金を受け取れる可能性があります。遺族年金の種類とそれぞれの特徴、受給要件や受取人について詳しく解説します。 遺族年金とは?2つの種類を知っておこう 遺族年金とは、年金保険の加入者が亡くなった場合に、亡くなった人によって生計を維持されていた家族を支えるための年金制度です。たとえば、働き盛りの会社員が亡くなった場合、その配偶者や子どもは、これから先どう生活すれば良いか不安を抱えてしまうでしょう。遺族年金を受給できれば、その後の生活費も確保できます。 さて、そんな遺族年金には、以下の2つの種類があります。 ・遺族基礎年金・遺族厚生年金 日本の年金制度は、いわゆる二階建ての仕組みになっています。原則として20歳以上の国民全員が加入するのが国民年金制度で、会社員や公務員として働いている人は、国民年金にプラスして厚生年金にも加入しています。遺族基礎年金の場合、20歳以上の国民すべてが対象になる可能性があるのに対して、遺族厚生年金は対象者が限定されます。自営業を営んでいる方や無職の方は、対象になりません。 ただし現在は自営業者であっても、過去に会社員として仕事をした経験があり、厚生年金にも加入していた場合は、受給要件を満たしている可能性も。過去の加入記録をもとに、専門家にアドバイスをもらいましょう。 遺族基礎年金と遺族厚生年金は、それぞれ別の制度です。遺族基礎年金だけが対象になる方もいれば、両方を同時に受け取れる方もいるでしょう。残念ながら受給要件を満たせず、どちらの遺族年金も受け取れないケースも存在しています。次項目からは、それぞれの受給要件について、より詳しくチェックしていきましょう。 遺族基礎年金を受給できる人はごくわずか 遺族基礎年金を受給できる人はごくわずか 20歳以上の国民全員に加入が義務付けられている国民年金。そこから支給される遺族基礎年金ですが、実際に受給できる人はごくわずかです。遺族基礎年金を受給するためには、以下の条件をクリアする必要があります。 ・死亡した人によって生計を維持されていた子どももしくは配偶者である・保険料の納付期間や滞納に関する基準を満たしている 遺族基礎年金は、子育て中の方々を支える目的の制度です。このため、子どもが「18歳到達年度の3月31日を経過していない」もしくは「20歳未満で障害年金の障害等級1級または2級である」の、いずれかの条件を満たしている必要があります。 たとえば、子どもがいない夫婦の夫が亡くなっても、妻は遺族基礎年金を受給できません。子どもがいる夫婦でも、すでに成長し19歳以上になっていれば、やはり受給要件は満たせないのです。 ちなみに、遺族基礎年金の制度は近年大幅に改定されています。過去のルールでは、遺族基礎年金を受給できるのは「子ども」もしくは「子どもを養育中の妻」だけに限られていました。つまり、父子家庭では受け取ることができなかったのです。現在このルールは撤廃され、上記の条件を満たしていれば、「妻を亡くした夫」の立場でも受給が可能に。こちらも頭に入れておきましょう。 遺族厚生年金を受給できるのは厚生年金加入者家族 一方で、遺族厚生年金を受給できるのは厚生年金に加入している(していた)会社員や公務員の遺族です。具体的には、以下のような場合に遺族年金を受給できる可能性があります。 ・厚生年金保険の被保険者である間に死亡したとき・厚生年金の被保険者期間に初診日がある病気やけがが原因で初診日から5年以内に死亡したとき・1級・2級の障害厚生(共済)年金を受け取っている方が死亡したとき・老齢厚生年金の受給権者であった方が死亡したとき・老齢厚生年金の受給資格を満たした方が死亡したとき (※1) 遺族厚生年金の場合も、受給資格を持つのは、亡くなった方に生計を維持されていた家族です。具体的には、以下のような方々が当てはまります。 ・妻・子・夫・父母・孫・祖父母 上で言う子や孫は、遺族基礎年金の場合と同じく、「18歳到達年度の3月31日を経過していない」もしくは「20歳未満で障害年金の障害等級1級または2級である」の、いずれかの条件を満たしている人を指します。また夫や父母、祖父母については、「死亡当時に55歳以上」という条件を満たしている場合にのみ、受給できる可能性があります。 遺族の中で受給要件を満たす人が複数いる場合、遺族厚生年金を受け取れるのは、もっとも優先順位の高い方のみ。妻がいなければ子、それもいなければ55歳以上の夫…といった仕組みです。遺族基礎年金とは違い、対象年齢の子どもがいない場合でも、妻は遺族年金を受け取れる可能性があるでしょう。ただし妻の年齢が30歳未満であり、なおかつ夫婦の間に子どもがいなかった場合は、5年間のみ支給されます。 遺族基礎年金を受給できる人がごく限られているのに対して、遺族厚生年金では、「亡くなった人に生計を維持されていた人がいれば、誰かは受給できる」というケースが多く見られます。遺族基礎年金よりも、受給できる人の幅が広い制度だと言えるでしょう。ただし遺族厚生年金の場合も、受給するためには、保険料の支払い期間に関する要件を満たしている必要があります。過去の加入履歴をチェックしてみてください。 遺族年金がよくわからない…相談先は? 遺族年金の受給要件は非常に複雑で、「説明を読んでもよくわからない…」という方も多いのではないでしょうか?こんなときには、自分だけで判断するのではなく、ぜひその道のプロに相談してみてください。 遺族年金についてもっとも手軽に相談できるのが、各自治体が開設している年金相談窓口です。年金事務所や街角の年金相談センターを頼ってみるのも良いでしょう。年金番号など、必要な情報をまとめて相談にいけば、自身の状況に合ったアドバイスがもらえるはずです。 また「内縁の妻」や「死亡当時に別居していた」など、複雑な要因を抱えている場合は、社会保険労務士に相談してみましょう。遺族年金に強い専門家に相談すれば、解決に向けた糸口がつかめるかもしれません。 身近な家族が亡くなったら遺族年金も確認を 身近な家族が亡くなったら遺族年金も確認を 大黒柱として生活を支えてくれていた家族が亡くなったとき、今後の生活に不安を抱き、途方に暮れてしまう方も多いのではないでしょうか。遺族基礎年金もしくは遺族厚生年金を受給できれば、生活の支えになってくれるでしょう。まずは一度、亡くなった家族の過去の年金加入履歴と、現在の家族の状況についてチェックしてみてくださいね。

  • 遺産【争族】を防ぐために…やっておくべき事前準備とは?

    身近な人が亡くなった際に、発生するのが相続です。できるだけ円満に解決したいと思いつつ、実際には遺産「争族」になってしまうケースも少なくありません。余計なトラブルを防ぐためには、事前にしっかりと相続準備を進めておくことが大切です。争いを避けるための3つのポイントを紹介します。 相続人の負担を減らすための対策をする 相続人の負担を減らすための対策をする 遺産相続でトラブルが発生する理由は、各家庭によってさまざまです。比較的多くみられるのが、相続にかかる負担が大きく、「できるだけ負担を少なくしたい」と願う親族同士で、トラブルに発展してしまうケースです。できるだけ負担を少なくするための対策をとっておきましょう。具体的な対策は、以下のとおりです。 ★相続財産を減らす 相続財産が多い場合に、問題になりやすいのが相続税です。遺産相続には「3,000万円+600万円×法定相続人の数」という基礎控除が用意されていますが、この金額を超えてしまえば、その分に対して相続税が課税されます。相続時の負担を軽減し、できるだけ多くの財産を手元に残すためには、「相続が発生する前に、できるだけ相続財産を減らしておく」必要があるでしょう。 贈与税の負担が大きくならない範囲で生前贈与をしたり、不動産を購入したりする方法が一般的。現金を不動産に変えておけば、相続税評価額は80%程度に減額されるため、相続税の負担軽減に役立つはずです。 またもう一点重要なのが、「もらって困る財産はできる限り事前に処分しておく」ということです。たとえば、田舎の空き家を財産として残されても、困る方がほとんどでしょう。プラスになるどころか、修繕費や管理費などで、マイナスの資産になってしまう可能性も高いです。いざ売却しようとしても、状態の悪い物件を購入したいと思う人は決して多くはありません。不必要な財産は、相続人間の間で押し付け合いのような状況に陥りがちです。できるだけ自分の代で整理しておくと良いでしょう。 どういった相続対策が有効なのかは、個々の状況によって異なります。対策方法を間違えると、相続人の負担がかえって増加してしまう恐れもあるため、注意してください。相続問題に強い専門家に、相談に乗ってもらうのもおすすめです。 ★相続税を納付するための現金をあらかじめ用意しておく 相続税の申告と納付には、期限が定められています。相続が発生した日の翌日から10か月以内と短いため、話をスムーズに進めていく必要があるでしょう。またもう一点注意しなければならないのが、「相続税が発生した場合、税金は現金で納める必要がある」という点です。 不動産相続などで相続税が高額になる場合、現金の準備で苦労する相続人は少なくありません。最悪の場合、せっかく相続した不動産を短期間で売却し、相続税の支払いにあてなければならないような事態も考えられます。 だからこそ、相続税の支払いにあてる分の現金は、相続準備として事前に用意しておくのがおすすめです。不動産の一部を売却して現金を用意したり、不動産投資で賃貸経営をし、そのリターンを確保したりする方法も良いでしょう。こちらも、相続税の負担がだいたいいくらくらいになりそうなのか、専門家と試算した上で必要額を準備しておくのがおすすめです。 家族としっかりコミュニケーションをとる 遺産相続で、あえて揉めようとするご家族は少ないはず。しかし実際には、争いごとが発生してしまうケースは珍しくありません。その多くは、コミュニケーション不足が原因で発生しています。 たとえば、被相続人が「自分の面倒を献身的にみてくれた長男に、全財産を残したい」と考えたとします。とはいえ、こうした考えに、その他の相続人が納得できるとは限らないでしょう。その他の兄弟の中にも「自分は○○で貢献した」「長男は確かに同居していたが、その分生前に受けた恩恵も誰より多かったはず」など、モヤモヤした気持ちが残ってしまう可能性があります。 こうしたトラブルを予防するため、生前から家族間でしっかりとコミュニケーションをとっておくことも、非常に重要な相続準備の一つです。被相続人の立場としても、相続人それぞれの思いを知るきっかけになるでしょう。 たとえば、先ほどの「長男に全財産を残したい」という希望がある場合でも、生前に自らの口から伝えておけば、印象は変わります。どれだけ感謝していて、なぜ財産を残したいと思っているのか。その代わり、その他の相続人に対して何をしようと思っているのか、しっかりと伝えてみてください。その他の相続人からは、もしかしたら文句の言葉が出てくるかもしれません。しかし、生前であれば、それぞれの相続人の思いを知った上で、それを実際の相続に反映させることもできるはずです。 亡くなる前に相続の話をするなんて…と思う方もいるかもしれませんが、これも立派な終活の一つです。自らがコミュニケーションをとれる段階でしっかりと話し合いを進めておくことで、余計なトラブルを防げるはずです。 自身の思いを遺言書に残す 自身の思いを遺言書に残す 相続人たちとの間でしっかりとコミュニケーションがとれたら、自身の思いも反映させた内容を、遺言書に残しておきましょう。どれだけ蜜にコミュニケーションをとっていても、きちんとした書類が残っていなければ、やはりトラブルになってしまう可能性も。終活ブームの今、一般の方でも遺言を残すことは決して難しくありません。ぜひ、自身の言葉を記しておきましょう。 遺言を残す際に、争族にさせないための注意点は以下のとおりです。 ・遺言書を無効にさせない ・相続人の感情を逆なでしない 近年人気の自筆証書遺言は、誰でも自宅で手軽に遺言を残せる方法です。しかしその有効性が認められるためには、ルールに則った形式で書かれていなくてはいけません。実際に、「遺言は残っていたが、ほんの少しのミスが原因で無効と判断されてしまった…」というケースも少なくないのです。 また、遺言を残していた場合でも、法定相続人にはそれぞれ遺留分が認められています。遺留分を無視して「○○に全財産を相続させる」といった内容を残しても、結局のところ、トラブルに発展してしまう可能性が高いでしょう。あらかじめ遺留分に配慮した内容を記載し、またそのように決断した理由についても丁寧に残しておくことで、各相続人の感情にも配慮できるのではないでしょうか。 ちょっとした工夫で遺産「争族」を防ぐことはできる! トラブルのイメージも強い遺産相続ですが、準備段階からしっかりと配慮しておけば、余計な問題を避けられるでしょう。重要なのは、トラブルの芽を事前に察知し、できる限りつぶしておくということ。決して難しい内容ではありませんから、ぜひ終活の一環として取り入れてみてください。 自身が亡くなったあとも、残された家族はみんな仲良くやってほしいと願う方は多いでしょう。円満な遺産相続で、その後押しができると良いですね。

  • 遺産を相続する際に支払う税金は?計算方法から困ったときの相談先まで

    遺産を相続する際に、考えておかなければならないのが「税金」についてです。場合によっては、事前の準備が負担を減らす鍵となる可能性も。まずは「どういった税金がかかるのか?」「どの程度の負担になるのか?」など、基本的な知識を身につけておきましょう。 遺産相続と税金について、気になる点をまとめます。将来の自分たちのため、子どものために、まず何からすればチェックしてみてください。 遺産相続にかかる税金は「相続税」 遺産相続で発生する税金は、相続税です。相続税は、身近な人が亡くなってその財産を受け継いだときのみに発生する税金。普段あまり馴染みがない…と感じる方がほとんどでしょう。 相続税は、相続する財産の金額によって、以下のように税額が定められています。 課税価格 1,000万円以下 → 税率10% 3,000万円以下 → 税率15%(控除額50万円) 5,000万円以下 → 税率20%(控除額200万円) 1億円以下 → 税率30%(控除額700万円) 2億円以下 → 税率40%(控除額1,700万円) 3億円以下 → 税率45%(控除額2,700万円) 6億円以下 → 税率50%(控除額4,200万円) 6億円超 → 税率55%(控除額7,200万円) 相続する財産の課税価格が多ければ多いほど、納める税金額は多くなる仕組みです。仮に課税価格3億円超の財産を受け継ごうとした場合、税率は5割を超えてしまうため、その負担は非常に重いと言えるでしょう。 とはいえ、相続税は相続で財産を受け継いだすべての人が支払うわけではありません。これは、相続税にはさまざまな控除制度が用意されているため。受け継ぐ財産の金額が控除額を下回れば、相続税を支払う必要はないのです。この場合、相続税を負担することなく、すべての財産を受け継げます。 財務省ホームページによると、令和元年度に亡くなった方の中で、実際に相続税がかかったケースの割合は、全体の8%程度です。ほとんどのケースで相続税について心配する必要はないものの、最近は以前よりも、相続税を支払わなければならない事例が増えているのも事実。相続税について正しい知識を身につけ、必要に応じて適切な準備を整えておくのがおすすめです。(※1) 相続税の控除制度と税額シミュレーション 相続税の控除制度と税額シミュレーション 相続税の基礎控除額は、法定相続人の数によって異なります。だからこそ、「受け継ぐ財産の金額はほぼ同じ」というケースでも、法定相続人の数によって、相続税が発生する事例もあれば、発生しない事例もあるというわけです。 相続税の基礎控除額は「3000万円+600万円×法定相続人の数」という数式で求められます。法定相続人が「配偶者1人+子ども1人」の合計2人の場合、相続する遺産の4,200万円を超えた部分に対して、相続税が発生します。一方で、法定相続人の数が多く「8人」いる場合の基礎控除額は、7,800万円にまでアップするのです。 では、より具体的に、相続税のシミュレーションをチェックしていきましょう。 配偶者1人と子ども2人の法定相続人が、合計2億4,800万円の相続財産を受け継ぐ場合、基礎控除額(4,800万円)を引いた2億円が課税価格になります。ここから相続人それぞれの割合を計算して、それぞれに対して相続税を決定する仕組みです。 法定相続分に沿って計算した場合、課税価格2億円のうち、妻が1億円、2人の子どもそれぞれが5,000万円ずつという計算に。ここから、それぞれの相続税を求めていきましょう。 まず妻については、相続税の配偶者控除を活用できます。「配偶者の相続遺産が1億6,000万円以下」「配偶者の相続遺産が法定相続分より少ない」のいずれかの条件に当てはまっていれば、相続税は発生しません。つまり、今回のシミュレーションでも妻の相続税負担は0円です。 一方で2人の子どもたちについては、5,000万円×20%-200万円=800万円ずつを、相続税として納めなければいけません。配偶者については、手厚い控除制度が用意されていますが、その他の相続人については注意が必要です。「できるだけ多くの財産を残したい」と思う場合、事前準備が鍵になるでしょう。 遺産相続と税金の注意点は? 何かと複雑な、遺産相続と相続税。いくつか注意点があるので、ぜひこちらも頭に入れておいてください。3つのポイントを紹介します。 ★1.相続税の申告には期限が設定されている 相続税の申告には、「相続開始の翌日から10カ月以内」という期限が設定されています。申告期限を過ぎてしまうと、ペナルティとして延滞税が加算されます。また、配偶者の税額控除や小規模宅地の特例等、税金を少なくできる各種特例を利用できるのも、期限内に申告してこそ。自分の力だけで難しい場合は、専門家の手も借りて期限内に申告するのがおすすめです。 ★2.相続税が0円でも申告が必要なケースもある 相続した遺産の総額が基礎控除額以内に収まっているなど、相続税が0円の場合、基本的に申告は必要ありません。しかし、以下のケースでは例外的に申告が必要になりますから、忘れないようにしてください。 ・配偶者の税額軽減で税額が0円になった ・小規模宅地等の特例を受けて税額が0円になった これらの特例は、申告して初めて適用されるものです。自己判断で申告をスルーしてしまわないよう、十分に注意しましょう。 ★3.申告内容によっては税務調査が入る可能性も 相続税を申告した場合でも、それですべての手続きが完了するわけではありません。申告内容に不明な点や疑わしい点、誤りがある場合には、税務調査が入ります。 中でも注意が必要なのは、預貯金についてです。「相続税対策のため、贈与税がかからない範囲で少しずつ現金を渡していく」という手法をとる方は多いものの、相続開始の日から過去3年以内の贈与は、持ち戻しする必要があるでしょう。遺産の総額に含めて、相続税額を計算しなければいけません。 最初から税理士に入ってもらい、サポートを受けていればまず心配はないでしょう。自分たちですべての調査を完了し、計算した場合、税務署からのチェックも厳しくなりがちです。「申告したらそれで終わり」というわけではない点も、頭に入れておいてください。 遺産相続と税金で悩んだら税理士に相談を 遺産相続と税金で悩んだら税理士に相談を 遺産相続には、税金の問題も複雑に絡み合ってきます。「相続する財産が明らかに基礎控除内で収まる」というケースを除いて、事前の準備が非常に重要な意味を持つでしょう。 とはいえ、間違った対策をすれば、「相続対策として何の意味もなかった。結局たくさんの相続税を支払うことになった…」という事態にも陥りかねません。具体的な相続税対策については、税理士に相談しながら進めていくのがおすすめです。 実際に相続が発生した場合も、税理士にサポートしてもらえば、ややこしい手続きはお任せできます。税金面での不安も和らげられるでしょう。 ※1https://www.mof.go.jp/tax_information/qanda005.html

  • 遺族年金の受け取り方法を一から解説!必要書類や振込までの期間も紹介

    一家の大黒柱に万が一のことがあった際に、残された家族の生活を支える柱になってくれるのが、遺族年金です。とはいえ、いざそのときを迎えた際に、迷いなくスムーズに手続きできる方は稀ではないでしょうか? 今回は、遺族年金を受け取るための手続き方法について、一からわかりやすく解説します。必要書類や振り込みまでに要する期間も紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。 遺族年金を受け取るためにするべきことは? 遺族年金を受け取るための手続きは、やや複雑です。できるだけスムーズに手続きできるよう、流れを頭に入れておきましょう。大まかな流れは以下のとおりです。 1.死亡届の提出 2.年金請求書の取得・記入 3.年金請求書の提出 4.遺族年金の受け取り 遺族年金を受け取るためには、まず死亡届を提出する必要があります。亡くなった方の状況によって提出先や方法が異なりますから、以下を参考にしてみてください。 ・厚生年金加入者 → 会社に「資格喪失届」を提出する ・国民年金加入者 → 市町村役場に「国民年金被保険者死亡届」を提出する ・年金受給者 → 年金事務所に「年金受給権者死亡届」を提出する 死亡届の提出は、仮に遺族年金を受け取らない場合でも必要な手続きです。忘れないようにしましょう。請求書を提出する場合、死亡届と同時でも大丈夫です。 死亡届を提出したあとに、年金を請求するための手続きをスタートします。次項目で詳しくチェックしていきましょう。 遺族年金を請求する場合の手続きと必要書類 遺族年金を請求する場合の手続きと必要書類 生前に国民年金に加入していて、遺族基礎年金の支給要件に当てはまっている場合、「年金請求書(国民年金遺族基礎年金)様式第108号」を準備して記入していきます。一方で、遺族厚生年金を請求する場合、必要な請求書類は「年金請求書(国民年金・厚生年金保険遺族給付)様式第105号」です。どちらの書類も、年金事務所や年金相談センターにて入手できます。 請求時の必要書類は以下のとおりです。 ・基礎年金番号通知書(もしくは年金手帳等) ・戸籍謄本(記載事項証明書) ・住民票の写し(世帯全員分) ・収入確認書類(請求者と子ども) ・死亡診断書のコピー ・受取先金融機関の通帳やキャッシュカードのコピー 住民票の写しについては、請求書にマイナンバーを記載すれば、添付なしで提出可能です。また子どもが義務教育終了前もしくは高等学校等在学中の場合は、収入確認書類は必要ありません。義務教育以外の杯、在学証明書や学生証のコピーを提出しましょう。 死亡の原因に第三者が関わっている場合は、上にプラスして以下のような書類の提出を求められます。 ・第三者行為事故状況届 ・事故証明等 ・確認書 ・家族を扶養していた場合、その事実がわかる書類 ・損害賠償金の算定書 こちらの場合、用意する書類の種類はさらに多く複雑になります。また過去に国民年金に任意加入しなかった期間がある場合も、それぞれで用意するべき書類があります。間違いなく用意するためにも、年金事務所窓口等で、一度しっかりと説明してもらうとわかりやすいでしょう。 書類がそろったら、申請する年金の種類に応じた窓口に提出しましょう。遺族基礎年金を請求する場合は、住所地の市区町村役場が窓口です。遺族厚生年金の場合、年金事務所窓口へと提出するようにしてください。 提出後2カ月以内に、「年金証書・年金決定通知書」等の書類が自宅へ届くでしょう。実際に振り込みがスタートするのは、さらにその1~2ヶ月程度あと。請求時に指定した口座に、2ヶ月に1度振り込まれます。 遺族年金の受け取り手続きは早めがおすすめ 遺族年金は、受け取りのための手続きを終えて、初めて振り込まれるお金です。家族が亡くなったあとは、何かと忙しいもの。バタバタしているうちに、ついうっかり、遺族年金の請求手続きを忘れてしまうようなこともあるかもしれません。 しかし、遺族年金には時効があり、「5年」と定められています。何も手続きしないままこの期間が過ぎると、「資格を満たしていても遺族年金を受け取れない」といった事態になりかねないのです。すぐに手続きができない場合でも、過去にさかのぼって請求すること自体は可能。しかしこのケースにおいても、「過去5年分」までしか受け取れません。 遺族年金の場合、たとえ死亡届を提出しても、年金事務所側から請求書が届いたり、遺族年 金対象者のお知らせが届いたりすることはありません。自分自身で受給要件を満たしているかを調べ、適切な手続きをとる必要があるでしょう。 ・本当に自分が対象なのかわからない ・3年前に夫が亡くなったものの、遺族年金の手続きをしていない このような場合には、一度現状をチェックするのがおすすめです。専門家や年金窓口で相談してみるのも良いでしょう。 遺族年金の請求手続きを代行してくれるのは? 遺族年金は、「誰でも簡単に請求できる」というわけではありません。また、請求手続きも非常に複雑です。日々の忙しさの中で、手続きしないままなんとなく放置してしまう方も、決して少なくありません。 こんなときには、ぜひ遺族年金の請求手続き代行業者を頼ってみてください。社会保険労務士や行政書士といった遺族年金の専門家に、面倒な手続きを任せられます。本当に自分が支給対象かどうかについても相談に乗ってもらえますから、まずは一度、アドバイスをもらうのもおすすめです。 代行業者の利用がおすすめなのは、以下のような条件に当てはまる方です。 ・内縁関係にあったパートナーの遺族年金を請求したい ・平日の昼間に年金事務所を訪れる時間がない ・申請に必要な書類を集めるのが難しい ・手続きに関する説明を聞いても、よくわからない 手続きを代行してもらうためには、専門家に支払う報酬が発生します。とはいえ、遺族年金の請求漏れを防ぐためには、非常に有効な方法と言えるでしょう。「手続きしなければ…」と思いつつ、つい放置してしまっている方も、ぜひ一度相談してみてはいかがでしょうか。 遺族年金の請求手続きはやや複雑 遺族年金の請求手続きはやや複雑 遺族年金の請求手続きは、「所定の請求書に事実を記し、必要書類を添付して提出するだけ」と、いたってシンプルなもの。しかし、 ・そもそも受給要件が複雑である ・請求手続きに必要な書類が多い ・年金事務所側からの案内が全くない といった事情が絡み、やや複雑で難しいものになってしまっています。自分の場合はどの遺族年金を請求できるのか、しっかりとチェックした上で、適切な手続きをとる必要があるでしょう。 遺族年金には時効が設定されていて、5年以上が経過すると、せっかくのお金も受け取れなくなってしまいます。ときには専門家の手も借りつつ、できるだけ素早く手続きしておきましょう。残された家族の生活も、楽になるのではないでしょうか。

  • 死亡保険の受取人に指定できるのは?トラブルを避けるためのコツを紹介

    自分に万が一のことがあった場合に、残された人々の生活の支えになるように…との思いから、死亡保険への加入を検討する方は少なくありません。自身が死亡した際に、保険金が支払われる仕組みの保険ですが、誰を受取人にするのかが非常に重要なポイントになるでしょう。 そもそも死亡保険の受取人として指定できるのはどのような人なのでしょうか。詳しく説明すると共に、トラブルを避けるためのポイントについても紹介します。死亡保険への加入を検討し始めたら、ぜひチェックしてみてください。 死亡保険の受取人に指定できるのは誰? 死亡保険の受取人に指定できるのは誰? まずは、死亡保険の受取人に指定できる人について、確認していきましょう。死亡保険の受取人は、「自分の好きなように指定できる」というわけではありません。契約後に「こんなはずじゃなかった!」とならないためにも、事前にルールを確認しておいてください。 一般的には、死亡保険の受取人に指定できるのは「配偶者もしくは二親等内の血族」です。祖父母や父母、子どもや孫、そして兄弟姉妹などが当てはまります。この範囲内であれば、一人だけではなく、複数人を受取人に指定できる保険商品も。その場合、自分自身でそれぞれの取り分割合を指定することもできるでしょう。 残念ながら、全く血縁関係にない他人を、死亡保険の受取人に指定するのは難しいでしょう。ただし近年では、内縁関係や事実婚関係にあるパートナーを受取人として認めてくれる保険会社も増えてきています。同性パートナーがその対象に含まれるケースもあるため、事前に保険会社と相談の上で、加入先を検討するのがおすすめです。 内縁関係や事実婚関係にあるパートナーを受取人に指定する場合、保険会社が提示する条件をクリアできているかどうか確認する必要があります。戸籍上の配偶者の有無や同居期間、生計を共にしているかどうかなど…。こちらについても、保険会社に問い合わせの上、指示に従うのがおすすめです。 受取人によっては「贈与税」が発生する可能性も 死亡保険の受取人を設定する際に、注意しなければならないのが、税金との関係性についてです。受取人の指定方法によっては、受け取った保険金に贈与税が発生してしまう可能性もあるでしょう。少しでも多くの現金を手元に残すためにも、「誰を受取人に指定するのか?」は、極めて重要なポイントだと言えます。 死亡保険には、以下の3つの立場が関わってきます。 ・契約者 → 保険を契約し、保険料を支払う人 ・被保険者 → 保険の対象になる人 ・受取人 → 保険金を受け取る人 死亡保険の場合、被保険者が受取人になることはできません。よって、契約者・被保険者・受取人の関係性には、以下の3つのパターンが考えられます。 1.契約者と被保険者が同じで、受取人のみが別の人 2.契約者と受取人が同じで、被保険者のみが別の人 3.契約者と被保険者、受取人がそれぞれ別の人 1のパターンに当てはまるのは、「契約者:夫、被保険者:夫、受取人:妻(もしくは子ども)」というケースです。この場合、夫が亡くなり、妻が受け取る保険料は「相続税」の対象になります。妻ではなく子どもが受け取る場合も同様です。 2のパターンに当てはまるのは「契約者:夫、被保険者:妻、受取人:夫」というケースです。この場合、妻が亡くなり、夫が受け取る保険料は「所得税」の対象になるでしょう。 3のパターンに当てはまるのは「契約者:夫、被保険者:妻、受取人:子ども」というケースです。この場合、保険料を支払っている人とは別の人が保険金を受け取るため、「贈与税」の対象になります。 「どれを選んだとしても結局税金を取られるなら、誰を受取人に設定しても同じなのでは?」と思う方もいるかもしれません。しかし実際には、どの税金が発生するのかによって、利用できる控除制度にも違いがあります。もっとも多くの現金を手元に残せるのは、「相続税」の課税対象にするパターンです。 死亡保険に相続税が課税される場合、「相続税における生命保険金等の非課税枠」を利用できます。受け取った保険金のうち、「500万円×法定相続人の数」が非課税枠として扱われます。非課税枠を超えた分のみに相続税が課税されることになりますが、その他の相続財産と合わせて、「3,000万円+(600万円×法定相続人の数)」までが基礎控除額になるのです。 【夫、妻、子ども2人】 夫が亡くなり、妻が2,000万円の死亡保険金を受け取る → 500万円×3人(母と子2人)=1,500万円が非課税枠に。 2,000万円-1,500万円=500万円が相続税の対象になる。 死亡保険金以外に総額4,000万円の財産を相続した場合、相続税の課税対象は4,500万円に。 3,000万円+(600万円×3人)=4,800万円が基礎控除額となり、相続税の負担は0円になる。 生命保険の非課税枠と相続税の基礎控除額を組み合わせることで、非常に大きな金額も、税負担額は最小限に受け取れるでしょう。 トラブルを避けるための2つのポイント トラブルを避けるための2つのポイント 死亡保険の受取人に関わるトラブルを避けるためには、以下の2つのポイントを意識するのがおすすめです。ぜひチェックしてみてください。 ★契約者と被保険者を同一にする 先ほども解説したとおり、死亡保険の契約者・被保険者・受取人を誰にするのかによって、支払う税金の種類や金額は大きく変わってきます。トラブルを防ぐためには、まずは契約者と被保険者が同一になっているかどうかを確認しておきましょう。 同一であることを確認した上で、死亡保険の受取人を法定相続人に指定しておけば、余計な税金を支払うリスクを低減できます。 ★変更が生じた際には受取人の変更を忘れない 若い時期に死亡保険に加入した場合、その後のライフイベントの中で、受取人に指定した人との関係性が変化するケースもあります。たとえば、結婚や離婚、子どもの誕生や身近な人の死亡などが挙げられるでしょう。 独身時代に保険に加入している場合、受取人が「親」になっている可能性も。配偶者に変更すれば、万が一のときの安心にもつながるでしょう。また、受取人の方が先に亡くなってしまった場合、「受取人不在」という事態に陥ってしまう可能性も。この場合、亡くなった受取人の法定相続人全員が受取人になるため、手続きの手間が膨大になってしまいます。もちろん、トラブルの可能性も否定できません。 受取人の変更は、保険会社に届け出ることで、比較的簡単に手続きできます。被保険者の同意を得る必要がありますが、契約者と被保険者が同一であれば、スムーズに手続きできるでしょう。 死亡保険の受取人は誰に?将来を考え冷静に決定を 死亡保険の受取人を誰にするのか、悩む方も多いのではないでしょうか。死亡保険の受取人に設定しておけば、ほぼ確実に、その人のためにお金を残せます。非常に合理的な、財産の受け渡し方法とも言えるでしょう。 契約者・被保険者・受取人の関係性によっては、発生する税金額を抑える効果も期待できます。これから死亡保険に加入しようと考えている方はもちろん、すでに保険に加入している方も、ぜひ一度見直してみてはいかがでしょうか。

  • 【夫婦】財産分与とは何か?遺産分割との違いも含めて詳しく解説

    【夫婦】財産分与とは何か?遺産分割との違いも含めて詳しく解説 財産分与とは何でしょうか。単語は知っているけど、「遺産分割」と「財産分与」の違いを知らない方は多くいるのではないでしょうか。今回はそんな難しいけど問題なく解決したい財産分与について解説していきます。 財産分与と遺産分割の違いとは 財産分与と遺産分割の違いとは これまで「遺産」や「財産」などに関わる機会が少なかった方たちからすると、「財産分与」と「遺産分割」の違いは何か、わかりにくいのではないでしょうか。 「財産分与」と「遺産分割」は、いずれも財産・遺産を分ける手続きの際に用いられる言葉ですが、場面が全く異なっています。 財産分与とは 離婚をした者の一方が他方に対して財産の分与を請求できる制度を言います。 財産分与はこれらに基づいて定められています。 夫婦が共同生活を送る中で形成した財産の公平な分配離婚後の生活保障離婚の原因を作ったことへの損害賠償の性質 特に、1つ目の意味合いが強いとされています。つまり、離婚してもなるべく今までと同じレベルの生活を続けられるように均等に分けましょうといったものです。 遺産分割とは 遺産分割とは、被相続人(亡くなった方)の財産を相続人で分配する手続きのことです。被相続人が死亡した場合、残された財産(遺産)は、何人かの相続権のある方の中で共有状態になっています。ですので、相続人間で遺産の所有を確定させなければなりません。この遺産の所有を確定するために、遺産分割が必要となります。 財産分与の対象となる資産はどこまでなのか 財産分与の対象となる資産はどこまでなのか では、財産分与の対象となるのはどこからどこまでなのでしょうか。 一緒に生活していたのですから、家や家具家電はもちろん、貯金やペットなどはどうなるのでしょうか。 夫婦のいずれか一方の名義になっている財産であっても、実際には夫婦の協力によって形成されたものであれば、財産分与の対象となります。 離婚までに協議をしておき離婚と同時に分与するのが最もよいでしょう。離婚をしてから分与を請求することもできますが、離婚から2年以上経過してしまうと、家庭裁判所に申立てができなくなりますので、お気をつけください。 財産分与で注意すべき点 財産分与で注意すべき点 実際、財産分与をするとなった場合に注意すべき点はいくつかあります。お金や財産のお話ですので、しっかり注意しましょう。 相続した遺産を配偶者が「財産分与の対象だ」と言って話し合いがまとまらない 相手が相続した遺産を配偶者が財産分与の対象ではないかと申し出てくる場合がよく見られます。しかし、相続した遺産は共有財産ではないため、財産分与の対象財産にはなりません。 単独名義の不動産について 例えば、婚姻中に夫の収入で土地や建物を購入して夫の単独名義になっているとしましょう。その場合、家事の分担などによって異なります。名義人がほぼ100%で働き、かつ家事もこなしていたのであれば、名義人の物になります。 妻が家事等を分担して夫を支えていたときは、その建物は、実質的には夫婦2人の財産といえると考えられます。 相続したペットは財産分与の対象になるのか 家族・子として育ててきたペットも、法律上は「物」として扱われることになります。 そのため、離婚するにあたって、夫婦間でペットの引き取りについて揉めた場合には、離婚における財産分与の問題として考えていく必要があります。 夫婦が結婚後に飼育することになったペットに限られ、結婚前に夫婦の一方が飼育していたペットは、従前から飼育していた者の所有物として扱われるため(民法762条1項)、夫婦の共有財産の清算である財産分与の問題は生じません。つまり、相続したペットも上記同様、共有財産ではないため、財産分与の対象とはなりません。 遺産・財産分与はできれば弁護士に依頼しよう 遺産・財産分与はできれば弁護士に依頼しよう 夫婦間で相談した結果、分からないことがあった場合は弁護士に相談するのがよいでしょう。財産は大切なものですので、些細なことでもわからなければ相談してください。 弁護士に依頼することで財産を探すことができる 弁護士に依頼することで、自分たちでは気が付かなかった共有財産が出てくる場合があります。貰い損ねることのないよう、気になる場合はすぐにでも相談してみましょう。 自分で交渉するよりも、多くの財産を得られる可能性がある また、しっかりとした国家資格を持っている方である弁護士に相談することによって、どちらのものか分からず曖昧な物をはっきりと区別が出来るでしょう。 調停に同席し、主張をサポート 離婚調停になった場合、弁護士が同席してくれるので分からないことも説明してくれる心強い存在になることでしょう。これまで、弁護士に相談したことない方は金銭面とかで躊躇してしまうかもしれませんが、初めは無料で相談できる場所も多くありますので1度行ってみるのも手です。 相続した遺産は財産分与の対象となるのか 相続した遺産は財産分与の対象となるのか 先程も少し出てきましたが、相続した遺産は財産分与の対象とならないのが原則です。 法定財産制における夫婦の財産には共有財産と特有財産があります。共有財産とは、婚姻期間中に夫婦の協力によって取得し維持した財産をいいます。特有財産とは、婚姻前から夫婦の一方が有していた財産あるいは、婚姻中でも夫婦の協力とは無関係に取得した財産をいいます。 離婚にともなう財産分与の対象となるのは共有財産のみです。財産分与は、夫婦の共有財産を婚姻関係の解消にともない公平に分配する清算的要素をその中核とするからです。 まとめ:遺産分割と財産分与は別物 遺産分割と財産分与は別物 遺産分割と財産分与は全くの別物です。名前は少し似ていますが、遺産分割はその財産を持った方が亡くなった場合に相続人で財産を分けること、財産分与は離婚する際に、夫婦間で共有していた財産を分けることです。 共有財産は均等に分け、名義人が片方であってもどのように使用していたかによって分け方が異なってきます。 もし、分からない場合はきちんと法律を理解している専門家である弁護士に相談してはいかがでしょうか。

  • 【終活】遺産とは?相続人に当たる人物や手続き方法などについて解説

    【終活】遺産とは?相続人に当たる人物や手続き方法などについて解説 もし親戚や親、旦那さんや奥さんが亡くなったら遺産はどうなるのでしょう。相続人は誰になるのでしょうか。今回は、そんな難しい話をどんな方でもわかりやすいように解説していきます。 遺産とは 遺産とは 遺産とは、亡くなった人が所有していたすべての財産のことを言い、「相続財産」とも呼ぶ事もあります。財産といっても金銭的な価値をもつプラスの財産(積極財産)のみではありません。借金などといった弁済しなくてはならないマイナスの財産(消極財産)も遺産に含まれます。 相続の対象となる財産には「プラスの財産」と「マイナスの財産」があります。これらの中には、ネット銀行の預金やネット上の証券口座にある株式、仮想通貨(暗号資産)のように、デジタル化されているために被相続人でなければ存在を把握しにくい財産もあるので、実際の遺産確認の際には注意が必要です。 【プラスの財産】 現預金外国通貨自宅用の建物と土地、賃貸用の建物と土地、店舗田畑、山林、空き地、立木など有価証券(株式、投資信託、公社債など)債権(売掛金、貸付金、立替金、被相続人が受取人の生命保険金請求権など)借家権・借地権家庭用財産(車、家具、宝石、宝飾品、絵画、書画、骨とう品など)ゴルフ会員権船舶・飛行機など仮想通貨(暗号資産)知的財産権(特許権・著作権など)慰謝料請求権・損害賠償請求権電話加入権プラスの財産 【マイナスの財産】 借金(ローン、クレジットカードの未決済分)買掛金医療費や水道光熱費などの未払経費未払税金未払家賃・未払地代未払いの慰謝料・損害賠償金預り金(敷金、保証金など)保証債務マイナスの財産 マイナスの財産については、これらを相続により引き継いだ場合、相続人が弁済する義務を負います。 相続人とは 相続人とは 相続人とは、被相続人がなくなった場合に財産を相続する人間を指します。 配偶者はどうなるのか 死亡した人の配偶者は相続人となります。もし配偶者がいなかった場合など、配偶者以外の人は次の順序で配偶者と一緒に相続人になります。 相続するにあたっての順位とは なお、相続を放棄した人は初めから相続人でなかったものとされ、内縁関係の人は相続人に含まれません。 第1順位:死亡した人の子ども その子どもが既に死亡しているときは、その子どもや孫などが相続人となります。 第2順位:死亡した人の直系尊属(父母や祖父母など) 父母も祖父母もいるときは、死亡した人により近い世代である父母の方を優先します。 第2順位の人は、第1順位の人がいないとき相続人になります。 第3順位:死亡した人の兄弟姉妹 その兄弟姉妹が既に死亡しているときは、その人の子どもが相続人となります。第3順位の人は、第1順位の人も第2順位の人もいないとき相続人になります。 孫が代わりに相続する「代襲相続」とは 代襲相続(だいしゅうそうぞく)とは、被相続人より先に相続人が亡くなっている場合に、被相続人から見て「孫」「ひ孫」「甥、姪」等が相続財産を受け継ぐことをいいます。 養子の立ち位置 相続人が養子でも、実の子どもとして取り扱われます。 つまり養子はすべて法定相続人の数に含まれます。 相続人が未成年だったらどうなるのか 未成年者が相続人になる場合、未成年者には「代理人」を立てる必要があります。通常、代理人は親が務めます(法定代理人)。 しかし、親も未成年者である子も、ともに相続人で、相続人全員で遺産分割協議が行われる場合などは、親が未成年者の代理人になれないことがあります。このような場合には、「特別代理人」の選任を家庭裁判所に申し立てる必要があります。そして代理人は未成年者に代わり、遺産分割協議や手続書類の記入・捺印等を行うことになります。 ただし、未成年者であっても結婚している等、成人とみなされる場合もあります。 行方不明者がいる場合はどうなるのか 家庭裁判所に対し、不在者財産管理人の選任を申し立てるか、失踪宣告の申し立てをする必要があります。 失踪宣告を受けた行方不明者は法律上、「死亡したもの」として扱われます。ですので、遺産分割協議の参加義務はもちろん、相続人から除外されることになります。ただし、その相続人に子がいる場合には代襲相続となります。 そのほか、相続に関する疑問を解決 そのほか、相続に関する疑問を解決 相続に関して下記の疑問について説明します。 この人に相続権はあるのか相続権はあるけど相続したくないときはどうしたらいいのか そのほか疑問点として多く挙げられるものを解説していきます。 相続権がありそうでない人たち 子どもの相続権は、被相続人との関係性でその有無が決まります。つまり、亡くなった方の前妻や前夫との子が実子であれば、現在の親権の所在にかかわらず、その子には相続権が付与されます。 しかし、あなたの配偶者が亡くなった場合のあなたの連れ子の相続権という意味では、被相続人との養子縁組の有無によって相続権の有無も決定され、被相続人の生前に養子縁組をしていた場合には相続人となりますが、そうでない場合にはその子に相続権はありません。 相続人のはずなのに貰えない?「相続欠格」とは 特定の相続人が民法891条の相続欠格事由に当てはまる場合に相続権を失わせる制度のことです。遺贈を受けることも出来なくなりますが、欠格者の子は代襲相続が可能です。 相続人側が相続権を剝奪する「相続廃除」とは 相続人の廃除とは、相続人から虐待を受けたり、重大な侮辱を受けたりしたとき、またはそのほかの著しい非行が相続人にあったときに、被相続人が家庭裁判所に請求して虐待などした相続人の地位を奪うことをいいます。 この申立は、被相続人が生前か遺言書でしかすることは出来ません。 相続放棄するとどうなるのか 相続での悩みとして、最も多いお悩みは『亡くなった親の借金を相続放棄したいこと』と言われています。 次いで、不仲だった家族、疎遠だった親族の相続に関わり合いたくないというお悩みから相続放棄を検討する方も多くいらっしゃいます。 相続放棄は、「相続放棄=その相続は存在しない」ということになります。 また、放棄した相続人に子がいても代襲相続はありません。マイナスの遺産のみ相続しないなど、そのようなことは出来かねます。 相続人でなくても財産を受け取れる人とその条件 被相続人が作成した遺言書により遺産の受取人として指定された人は相続人でなくても、遺産を受け取ることができます。 ただし、以下の2つ注意点があります。 遺言書の形式が民法に規定された方式に従っていること法定相続人の遺留分を侵害できないこと 2つ目について、法定相続人の遺留分とは、一定の法定相続人について民法により保障された相続分のことをいいます。遺言書の内容が遺留分を侵害している場合は、受遺者は法定相続人からの請求に応じ、遺留分を請求人に支払わなくてはなりません。 相続に関する手続きはどうやってするのか 相続に関する手続きはどうやってするのか 相続をする際の手順について、順番にご説明します。 遺言書の調査 まずはじめに遺言書の確認をしましょう。自宅を探すのはもちろん、銀行や弁護士・司法書士・税理士に預けられている可能性もあります。なお、遺言書が公正証書遺言の場合、公証役場で存在の有無を照会することもできますので問い合わせてみましょう。                                                   相続人の調査・確定 遺言書の調査と同時進行で法定相続人をくまなく調べる作業を行う必要があります。法定相続人とは、相続人になる可能性のある人の事です。 被相続人の前妻との間に子がいる、あるいは生前養子縁組をした子がいる可能性もあります。法定相続人は戸籍謄本を取得して確認できます。 まとめ:遺産の相続人は法律で決まっている 遺産の相続人は法律で決まっている 遺産相続は複雑な手続きに思えますが、しっかり確認出来ればそんなに複雑ではありません。相続にはプラスの遺産もマイナスの遺産も関わってきます。 また、相続人が亡くなっている場合などは代襲相続が適用されます。相続権を放棄したい場合は放棄することもできますので、もしわからない場合はすぐに専門家に相談し、正確な判断を仰ぎましょう。

  • 相続放棄を選択肢の1つに 子どもに負の遺産を相続させない

    相続放棄を選択肢の1つに 子どもに負の遺産を相続させない 終活で遺産整理などを行っていると、返しきれない借金がある、ローンの返済が終わらないといった事態に気づく場合があるかもしれません。 もし借金やローンの返済が完済せずあなたが亡くなってしまった場合、返済義務は相続権のある子どもに渡ってしまいます。 子どもにそんな物を相続したくないと思う方に向けて、今回は相続放棄といった選択肢があり、負の遺産を相続させない方法を紹介します。借金やローン返済などが残っている方、必見です。 遺産相続をすると負の遺産も相続される 遺産相続をすると負の遺産も相続される 遺産相続といえば、現金や預貯金、不動産を思い浮かべるでしょう。それらは正の遺産と言われており、その逆の借金やローンなどは負の遺産といわれています。 遺産相続を行った場合、現金や預貯金だけ相続して借金などは相続しないといった選択はできません。相続をする場合は、正の遺産も負の遺産も相続しなければいけません。 まずは、どんなものが負の遺産と呼ばれるか知っておきましょう。 負の遺産と言われるもの 負の遺産と言われるものは主に以下の7つです。 金融機関などからの借り入れ(ローンやクレジットカードの未決済分など)ツケの未払いリース料家賃(未払い分)税金や健康保険料(未払い分)損害賠償責務(交通事故などで支払い義務のある賠償金)連帯保証人の立場 意外と知られていないのが、連帯保証人の立場ではないでしょうか。 自分や親が連帯保証人になっているか分からない場合には調べる方法が3つあります。 株式会社日本信用情報(クレジット会社や金融機関との契約内容、返済状況といった情報を管理している)株式会社シー・アイ・シー(クレジット事業や携帯電話会社などの企業を会員としている信用情報機関)全国銀行個人信用情報センター(銀行や信用金庫などを会員としている信用情報機関) これらの場所に問い合わせてみましょう。 ただし、これらの場所に問い合わせても絶対に連帯保証人になっていないとは言い切れません。どうしても不安な場合は、相続放棄も視野にいれるとよいでしょう。 遺産を放棄しても受け取れるもの 遺産を放棄すれば、正の遺産も負の遺産も受け取れないと先ほど記載しましたが、一部例外があります。 死亡保険金(受取人が指定されているもの)香典やご霊前仏壇やお墓などの祭祀財産葬祭費や埋葬料死亡退職金(受取人が家族であるもの)遺族年金や未支給年金 上記の6つは仮に遺産を放棄した場合でも受け取れます。 これらは亡くなった方の財産ではなく、残された家族のためのものとされてるからです。 相続されないもの 連帯保証人の立場が相続されるため、勘違いされる場合がありますが亡くなった方に対して個人的に認められていた権利や義務は相続されません。 養育費の請求権と支払い義務婚姻費用の請求権と支払い義務年金受給する権利(遺族年金や未支給年金は別)生活保護を受ける権利 これらは相続されないので注意してください。 遺産を放棄するメリット・デメリット 遺産を放棄するメリット・デメリット 実際に遺産を放棄した場合、どのようなメリットやデメリットがあるのでしょうか?遺産の放棄を子どもにすすめる、決断する前に必ずメリットとデメリットの両方を知っておきましょう。 遺産を放棄するメリット 遺産を放棄するメリットは大きく2つです。 借金の返済義務がなくなる相続争いに巻き込まれない 仮に、1,000万円の借金があり相続人が2人の場合は、1人あたり500万の借金を背負わなければいけません。 返済が遅れていた場合は遅延損害金の支払いも必要です。 遺産を放棄するのは借金などの負の遺産だけが理由だと思われがちですが、実は遺産争いに巻き込まれたくないといった理由も多いです。 元々家族と仲が悪かった、疎遠になっていて正直どうでもいいといった場合も、遺産を放棄すると遺産分割協議などに参加する必要がなくなります。 遺産を放棄するデメリット 次に遺産を放棄するデメリットですが、主に4つあります。 一切の相続財産を手放さなければいけないやり直しできない遺産の放棄が認められない場合がある相続順位が変わりトラブルになる可能性がある 遺産を放棄してしまうと、「この貯金分だけは相続する」といった選択はできません。 また、一度遺産を放棄する手続きを行い、受理されてしまうと今回亡くなった方の遺産に対する相続権は復活しません。 それだけではなく、遺産を放棄する手続きが完了していたとしても、亡くなった方の遺産を使用した、勝手に処分した場合は手続きが無効になる場合があります。 遺産の放棄が無効になれば、当然相続権が復活するため、負の遺産なども相続しなければいけなくなります。 最後に確認しておくべきなのは相続順位の変更です。 遺産の相続には優先される順位が決められています。 最優先は配偶者で次に実子となっていますが、相続を放棄した方の立場や状況によっては相続順位が変わります。 相続に関するトラブルを避けるために遺産を放棄したのに、逆にトラブルに巻き込まれてしまう可能性もあるので注意してください。 遺産を放棄する方法 遺産を放棄する方法 実際に遺産を放棄したいと思ってもどのような手続きを行えばよいのかわからない方が多いと思います。ここでは、遺産を放棄する方法についてくわしく紹介していきます。 亡くなった方の住所地の裁判所へ 相続放棄する場合の相続放棄申述書は必ず亡くなった方の最後の住所地の家庭裁判所に提出します。申述書自体は裁判所でもらってもいいですが、家庭裁判所が指定する形であればネットから印刷しても問題ありません。 直接の提出が難しい場合は郵送でも大丈夫です。申述書に必要事項を記載し、以下の必要書類を用意します。 亡くなった方の除籍謄本(亡くなった方の戸籍謄本)亡くなった方の住民票除票相続放棄をするあなたの戸籍謄本 戸籍謄本と除籍謄本は本籍地にある役所に行くか取り寄せをする必要があります。 相続放棄の手続きは原則として相続の開始を知った時から3ヵ月となっています。それまでに必要書類を集めて、家庭裁判所へ提出または郵送しましょう。 必要書類が期限内に揃わない場合 必要書類がどうしても期限内に揃わない場合、とりあえず相続放棄申述書だけでも提出してください。その際に、戸籍謄本等はあとから提出する旨を書き添えておくと提出期限が過ぎてしまっても大丈夫です。 裁判所からの質問書類に答える 相続放棄申述書を家庭裁判所が受理すると、質問事項が書かれた書面が送られてくるので、回答して返送しましょう。 亡くなった方との親族関係亡くなったと知った日あなたの名前で相続放棄の申し立てがされていると知っているかなぜ相続放棄するのかこの申し立てはあなた自身の意思か 質問内容は家庭裁判所によって少し変わりますが、大筋は変わりません。当然ですが記載事項に嘘はないようにしましょう。 相続放棄申述受理通知書が届く 質問書類を返送し、特に問題がなければ相続放棄申述受理通知書が届きます。これでようやく正式に相続放棄が認められました。 仮に借金の返済などを迫られた場合は、相続放棄申述受理通知書を見せればそれ以上の催促はされません。必ず大切に保管しておきましょう。 これらの手続きがなければ正式に遺産を放棄したとはならない 家庭裁判所から相続放棄申述受理通知書が届くまでは、正式に遺産を放棄したとはなりません。相続放棄を宣言しただけでは諸々の権利は放棄できていないので注意してください。 生前に遺産の放棄はできない 生前に遺産の放棄はできない 終活で負の遺産の存在に気付いた、そもそも遺産を相続するつもりがなく、忘れない間に相続放棄の手続きをしたいと思っても生前には遺産の放棄はできません。 遺産とは人が亡くなって初めて発生します。生きている間はまだ遺産が発生していないため、放棄できません。 しかし、亡くなった方の除籍謄本以外の必要書類を用意するのは問題ありません。亡くなった時点で除籍謄本を取り寄せ、相続放棄申述書の死亡日の欄を記入して提出しましょう。 限定承認の選択も 限定承認の選択も 負の遺産があり、すべてを相続したくないけどすべてを放棄はしたくないといった場合、限定承認を行う場合があります。それでは限定承認について紹介します。 限定承認とは 限定承認とは、相続した正の遺産の限度で負の遺産の相続を行います。 例えば、負の遺産が1,000万円、正の遺産が自宅(資産価値400万円)だった場合で説明します。普通に相続すれば自宅を相続できますが、同時に1,000万円の借金を背負わなければいけません。 相続放棄をすれば借金の返済義務はなくなりますが、自宅を手放さなければいけません。限定承認を行えば自宅の資産価値分の400万円を支払い、自宅を引き継ぐことができる場合があります。 仮に、負の遺産が400万円、正の遺産が1,000万円だった場合は、400万円を支払い600万円を相続できます。 限定承認をしないほうがいい場合 限定承認ではなく相続放棄をしたほうがいい場合は以下の3つです。 負の遺産の金額が多額であり正の遺産の方が圧倒的に少ないそもそも相続に関わりたくない手続きにお金をかけたくない 相続放棄を行う場合は、自分たちで手続きが可能ですが、限定承認の場合は弁護士などの専門家に依頼するので弁護士費用が別途かかります。 限定承認をしたほうがよい場合 限定承認をしたほうがよい場合は以下の3つです。 遺産の内容は不明だが、プラスになるなら相続したい負の遺産分をできる限り返済したい負の遺産があるが遺産の中にどうしても相続したいものがある このような場合は、相続放棄をしてしまうとすべてできなくなってしまうので、限定承認を選択しましょう。 限定承認はかなりややこしい 先程も少し触れましたが、自分で手続きができる相続放棄とは違い限定承認はかなり複雑なため専門家に依頼しなければいけません。 それだけではなく、1人でもできる相続放棄とは違い限定承認は相続人全員が同意していなければできません。 それだけではなく、弁護士や司法書士でも実際に限定承認の手続きを行った経験のある方が非常に少ないので、経験のある専門家を見つけるのが困難です。 便利な制度だと思われがちですが、かなりややこしいので選択する方はごく僅かというのが実情です。 まとめ:遺産を放棄するのも選択肢の1つに 遺産を放棄するのも選択肢の1つに いかがでしたか?今回は遺産の放棄についてくわしく紹介しました。 終活をしている時点で負の遺産の存在に気付いた場合は、すぐに子どもに伝えましょう。 遺産を放棄するのも選択肢の1つです。 遺産を相続するのか、放棄するのか、限定承認といった選択肢を選ぶのか考えておくように伝えておくとよいかもしれません。

  • 遺産相続のトラブルを防ぐには?対策や起きやすい事例をご紹介

    遺産相続のトラブルを防ぐには?対策や起きやすい事例をご紹介                                                                                                                    「遺産相続でトラブルを起こしたくない」「でも、どうすればいいのか分からない」そんな悩みをお持ちではありませんか?「家族に迷惑をかけたくない」そんな思いがあれば余計に悩んでしまいますよね。 起きやすいトラブルとその対策を知っておけば、トラブルは防ぐことができます。また、万が一トラブルが発生した場合でも対処法や解決にかかる費用を知っておけば安心できますね。 今回は、遺産相続のトラブルの防ぎ方と対策や起きやすい事例をご紹介します。 遺産相続で起きやすい5つのトラブル事例 遺産相続で起きやすい5つのトラブル事例 遺産相続の中でも起きやすいトラブルについて、以下の事例を5つご紹介します。 遺産の額が少ない場合不動産(土地)関連遺族の独占相続人の多さ子どものいない夫婦 自身に当てはまらないかぜひ確認してください。 トラブル1:遺産の額が少ない場合 比較的小規模な遺産(1,000万円以下など)では、相続が発生してからトラブルになるケースが多いです。なぜなら、遺産が小規模なために必要ないと思い、事前の対策を特にしていないからです。 遺産が多くある場合、比較的早い段階で専門家に依頼して事前のトラブルを防ぐ対応が出来ますが、小規模な遺産の場合は大丈夫だろうと油断してしまうことが多くあります。 トラブル2:不動産(土地)関連 土地などの不動産は「わけられない資産」であり、「評価が難しい資産」でもあります。 そのため、遺産相続のトラブルの原因になりやすいです。 分割して分けることが難しく、いくらと評価するかも迷います。売却してお金にしたい方や、取得してそのまま土地を活用したい方など意見も分かれがちです。 トラブル3:遺族の独占 例としては「長男だから」などの理由で遺産をすべて独り占めしようとする場合です。民法上は、遺産相続はあくまで被相続人の意思が尊重されるので、被相続人が遺した遺言書にしたがって相続内容が決められます。 今でも、「家督相続」といって長男が一人で全部遺産を相続するものといった考えの方もいますが、法律上の権利に基づき是正する必要があります。 トラブル4:相続人の多さ 法定相続人とは、遺産相続で被相続人の遺産を受け取れる権利をもつと民法で定められている者です。具体的には被相続人の配偶者や子、兄弟姉妹などになります。しかし、養子や隠し子などの存在が発覚する場合もあります。 また、介護をしてくれた人に遺産を残すために遺言書に記載した場合など相続人が増えることも。法定相続人を増やす養子縁組は節税対策につながりますが、相続人が増えれば増えるほどトラブルに発展していく可能性も高くなってしまいます。 トラブル5:子どものいない夫婦 子どもがいない夫婦の場合、被相続人の兄弟や甥・姪が相続人に含まれる場合があります。関係性が希薄なために、全員の合意を得にくいケースが多く、トラブルにつながります。 遺産に関するトラブルの対策4選 遺産に関するトラブルの対策4選 遺産に関するトラブルを起こさないためにできる対策を以下の4つご紹介します。 家族と話し合っておく遺言書(財産目録)を作る遺産の分け方・法定相続人の数を把握しておく民事信託や後見制度を使う 一つずつ見ていきましょう。 対策1:家族と話し合っておく まずは元気なうちに家族でしっかり話し合いをしておきましょう。被相続人の希望や考え方をしっかり家族に伝え、理解してもらいます。遺産内容や管理方法なども親族の間でしっかり共有しておきます。 対策2:遺言書(財産目録)を作る 全財産を正確に把握するのは本人でも大変です。死後に相続人が把握するのはもっと大変な作業になってしまいます。 そのため、遺産のトラブルを防止するためにも、生前に財産目録を作っておくと財産の把握が簡単に出来るため有効です。特に、プラスの財産だけでなくマイナスの財産もきちんと記載しておくと、トラブル回避に有効でしょう。 対策3:遺産の分け方・法定相続人の数を把握しておく 不動産の評価や分割の方法、遺産をどうやって分ければよいかについて把握しておくと円滑に遺産分割できますね。揉めそうな場合には、法定相続を前提に、遺産分割協議をしてみるとよいでしょう。 また、相続人の数が増えると、「話がまとまらない」「相続人が後から増える」などトラブルの元になります。遺産分割協議をおこない、相続人を確定させるとスムーズに遺産分割をおこなえます。 対策4:民事信託制度を使う 民事信託(家族信託)を利用することで、相続トラブルを避けられる場合もあります。生前から死後に掛けての財産管理方法や死後の財産帰属先を取り決めることが可能です。 遺産相続でトラブルが発生したら弁護士に相談を 遺産相続でトラブルが発生したら弁護士に相談を 遺産相続でトラブルになった場合は、弁護士に相談するのがおすすめです。また、トラブルが大きくならないうちに早めに依頼するのがポイントです。 ここでは、弁護士に依頼するメリットや気になる料金についてもご紹介します。 弁護士に依頼するメリット 実際にトラブルが発生したときは、早めに弁護士に相談して対応することをおすすめします。弁護士に相談すると以下のようなメリットがあります。 法律の正しい知識を教えてもらえる代理交渉をお願いできる調停・裁判・訴訟も依頼できる有利に解決できる可能性が高くなる 弁護士に相談することで、遺産分割の方針も決めやすくなります。代理交渉をしてもらうと、直接的な対立を防げるので、ストレス軽減もできますね。 弁護士に依頼する場合の費用相場 弁護士に相談するといくら位かかるのでしょう?相談料の相場は、30分5,500円程度です。無料相談を利用できる場合は、相談料は無料になります。 では、着手金はどの程度でしょうか。着手金は経済的利益の数パーセントとパーセンテージで料金が設定されている事務所もあります。また、内容によって「一律20万円」など定額料金の場合もあります。 報酬金については、経済的利益からパーセンテージで料金設定されていることがほとんどです。弁護士事務所によって、料金設定は異なりますので、相談する際に事前に料金についても確認しましょう。 まとめ:遺産に関するトラブルはしっかり対策できる 遺産に関するトラブルはしっかり対策できる 遺産に関するトラブルを防ぐ方法を見てきました。 遺産に関するトラブルの良くある例を参考に、実際ご自身の身の回りでおきそうなトラブルを想定できますね。想定されるトラブルに対して、しっかりと対策をとればトラブルは回避できます。 想定されるトラブル内容によっては、弁護士に相談するなどしてしっかり対策をおこなってください。そうすると、トラブルを防げるでしょう。

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