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2022年4月の記事一覧

  • 残す家族へ想いを届ける|想いの届け方や伝えるべき内容をご紹介!

    残す家族へ想いを届ける|想いの届け方や伝えるべき内容をご紹介!

    残す家族へ想いを届ける|想いの届け方や伝えるべき内容をご紹介! 終活を進めていくうえで、残してしまう家族に届けたい想いが出てくるのは当然です。今回は、家族に届けたい想いが出てきた方に向けて、想いの届け方や伝えるべき内容についてご紹介します。 ただし、ここで紹介するのはほんの1例であり、必ずこうしなければいけないといったきまりは特にありません。間違いなどはないので、あなたのまっすぐで素直な想いを残しましょう。 残す家族に想いを届ける 残す家族に想いを届ける 想いを残したいけど残される家族は想いを残して迷惑と思われないか、不安に思っている方もいるかも知れません。 残される家族はあなたの想いを残してほしいと思っているのでしょうか?また、どのくらいの方は家族に想いを残したいと思っているのでしょうか? 8割の子どもが想いを残して欲しいと思っている もし想いを残しても迷惑と思われないか不安に思っている方がいれば、そんな心配は全くありません。8割の子どもが親に本心や想いを残してほしいと思っています。[1]  いままで大切に育ててきてくれた親だからこそ、最後に今までの想いや本心を聞きたいと思うようです。 あなた自身の想いや希望家族への想い相続について今までは言えなかった話しあなたの今までの体験談家族との思い出家族への応援や励まし 特に、これらの想いを残して欲しいと思う方が多いようです。普段はあまりゆっくり話す内容ではないからこそ、最後の最後にどう想っていたのか残して欲しいのでしょう。 あなたが亡くなったあとで、家族が前向きに過ごせるように前向きな言葉を残してあげるとよいでしょう。 3割以上の方が家族に想いを残したい 終活を進めていくうえで、約3割以上の方が家族に想いを残したいと思うようです。[2] 終活は亡くなった後の片付けや整理だけではなく、今までの人生を振り返る時間でもあります。 アルバムの整理や思い出品の整理をすると、多くの思い出がありより多くの時間を過ごした家族に対しての想いが溢れてくるのでしょう。家族への溢れた想いをどのように残すかは、人それぞれあり自由です。 手紙などに文字で伝える生きている間に自分で伝えるビデオなどの動画で伝える 多くはこれらの方法を選ぶ場合が多いようです。ただ、家族に自分の本心を伝えるのは照れくさく感じる方が多いようで、手紙やビデオなどの動画を選ぶ方がほとんどです。 残す家族に想いを届ける3つの方法 残す家族に想いを届ける3つの方法 生きている間に自分で伝えるのではなく、亡くなったあとの家族に想いを届ける方法は主に3つあります。 エンディングノート手紙ビデオメッセージ これ以外にも思いつく方法があればそちらでもよいでしょう。どの方法を選ぶのかはあなた次第です。 しかし、どの方法であっても必ず家族に向けたメッセージを残していると伝えておきましょう。サプライズとして用意する方もいますが、誰もメッセージの存在を知らなかった場合、気付いてもらえない可能性があります。 最悪の場合、気付かれず遺品整理の際に処分されてしまうかもしれません。家族に秘密にしたいのであれば友人など、誰かにメッセージの存在を明かしておいてください。 できればその方に、自分が亡くなったら家族にメッセージを届けるようにお願いしてもいいでしょう。 エンディングノート 終活を始めるにあたり、いろいろな情報を書き残すためにエンディングノートを用意する方も多いでしょう。ほとんどのエンディングノートには、家族への想いを書き残すページが用意されています。 「あなたが一番思い出に残っているできごとは?」といった、質問形式で想いを残せるものもあります。家族に想いを残したいけど、何から書いたらよいのか迷う方は、このような質問形式でいろいろな想いを残せるエンディングノートを探してみましょう。 手紙 手紙は昔から想いを伝えるために使われてきたものです。どんな便箋を使うのか、どんな想いを伝えたいのか、何度も書き直しながら書きすすめる手紙は残された家族の今後の宝物となるでしょう。 手紙とは少し違うかもしれませんが、遺言書の付言部分に家族への想いを残す方もいます。付言とは、遺言書の最後に記載できるものです。書式やきまりに縛られず、自由に好きなだけ想いを書き綴れます。 ビデオメッセージ 最近は、ほとんどの方がスマホやカメラなどの手軽に動画を撮影できる機器を持っています。また、文字が書けない状態でも家族に想いを残せるため多く選ばれている方法です。 実際の姿や表情、声を残せるため、エンディングノートや手紙よりも多くの想いを家族に残せます。動画の撮影は自分で行うか、友人や家族にビデオメッセージの撮影をお願いしてもよいでしょう。 終活のビデオメッセージを撮影してくれるスタジオや業者もいます。 ただし、スタジオや業者に依頼した場合は当然お金がかかります。安くて4〜10万円程、こだわって編集などを依頼すると30万程度かかる場合もあるので、終活費用と相談しつつ業者の担当と相談しましょう。 家族にどんな想いを届けるといいの? 家族にどんな想いを届けるといいの? 遺言書とは違うので、書かなくていけない事項や書いてはいけない事項はありません。しかし、自由だからこそ何を残そうか迷うかもしれません。 家族への愛情や感謝言えなかった謝罪お願い相続について 多くの方は上記の4つを残しているケースが多いです。あくまで一例ですが、ぜひ参考にしてください。 家族への愛情や感謝 想いを残す場合、ほとんどの方が家族への愛情や感謝を残しています。日頃、家族に対して愛情や感謝をはっきりと伝えていますか? 照れくさかったり、恥ずかしかったりしてなかなか伝えられない想いも、亡くなったあとに見せるメッセージならはっきりと伝えられるでしょう。 言えなかった謝罪 仲違いしてしまった方や過去の行動に対して後悔しているのであれば、ぜひ想いを残しましょう。今まで謝罪をしても受け入れてもらえなかった場合でも、亡くなったあとに残した謝罪であれば受け入れてもらいやすくなります。 亡くなる寸前まで後悔しているくらいなら、メッセージをのこし心残りを解消してスッキリとした残りの人生を過ごしましょう。 お願い 亡くなったあと何か希望やお願いがあれば残しておきましょう。 家族同士仲良く過ごしてほしい遺骨や位牌をもって回って欲しい場所ペットの今後遺品整理について亡くなったと伝えてほしい友人や知人 心配事があれば、家族に想いを残すこのタイミングで伝えておいてもよいでしょう。 相続について 相続について触れる方も多いです。ただし、家族に想いを残すタイミングで遺産分割方法について触れても問題はありませんが、遺言書ではないので法的効力はありません。 しっかりと遺産分割方法について指定したい場合は、遺言書に遺産分割方法を記載し、こちらでなぜこのような内容にしたのかを伝えましょう。 遺言書だけではなく、実際にどんな想いで財産を分けたのかわかるため、納得してもらいやすくなります。遺産相続で家族に揉めてほしくないのであれば、相続について触れておきましょう。 まとめ:想いを届けるのは家族にとってもあなたにとってもよいこと 想いを届けるのは家族にとってもあなたにとってもよいこと いかがでしたか?今回は、想いを届ける方法や伝えるべき内容について紹介しました。 どんな方法で想いを届け、どんな内容を伝えるか、考えはまとまりましたか?残すメッセージに伝えてはいけない、伝えなければいけない内容にきまりは全くありません。自由だからこそ、あなたらしい想いを家族に届けましょう。 想いを届けるのは残してしまう家族にとっても、あなたが後悔のない最後を迎えるためにもよいです。ぜひ少しずつ、残す想いについて考えてみましょう。 参照元URL:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000005.000049866.html 参照元URL:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000005.000049866.html

  • 残す資産で家族が揉めないためにやっておくべきことをご紹介!

    残す資産で家族が揉めないためにやっておくべきことをご紹介!

    残す資産で家族が揉めないためにやっておくべきことをご紹介! 自分は家族に残せる遺産が少ないから、残した遺産で家族が揉めるような事態にはならないと安心していませんか?また、どんな遺産を家族に残せるのかしっかりと把握していますか? 今回は、残す遺産で家族が揉めないためにやっておくべきことをご紹介します。自分たちは関係ないのではなく、少しずつ家族に残す遺産について考えていきましょう。 家族に残す遺産とは 家族に残す遺産とは 家族に残す遺産といえば、お金や土地を思い浮かべる方が多いです。しかし、実際には多くの方が思い浮かべるお金や土地といった正の遺産にも相続税がかかるものと、かからないものがあります。 また、注意すべきは負の遺産といわれるものです。どういったものが該当するのか、くわしく見てきましょう。 相続税のかかる正の遺産 まずは多くの方が家族に残す遺産として意識している、相続税のかかる正の遺産です。国税庁は相続税のかかるものとして、以下のように決められています。 「死亡した人の財産を相続や遺贈(死因贈与を含みます。)によって取得した場合に、その取得した財産にかかります。」 引用:『No.4105 相続税がかかる財産』 この決まりに該当し、主に相続税がかかるものは以下の9つです。 現金預貯金有価証券宝石や貴金属土地家屋貸付金特許権著作権 これらの金銭に見積もれる経済的価値のあるものすべてに相続税がかかります。 意外と知られていないのが、特許権や著作権でしょう。もし、特許権や著作権を持っているのであれば、必ずその旨やいくら位の収入があるかを家族にわかるようにしておくとわかりやすいです。 相続税がかからない遺産 亡くなった方から引き継ぐもので経済的価値のあるものはすべて相続税かかるといいましたが、一部例外もあります。 相続税がかからない遺産例外墓地・墓石・仏具・神棚など骨董品として所持していた金の仏像など弔慰金・花輪代など業務上の死亡(普通給与の3年分を超える場合) 業務上の死亡ではない(普通給与の半年分を超える場合)生命保険金・退職手当金500万円×法定相続人の数以上の金額損害賠償金財産的損害(付添看護費や医療費などに対する賠償金を請求権)、逸失利益寄附した財産-相続税がかからない遺産 上記の5つは一定条件をクリアすれば相続税がかかりません。しかし、例外として記載した条件を外れた場合は相続税がかかります。 生命保険は場合によって相続税がかかる 先程、生命保険に関しては500万円×法定相続人の数以下の金額は相続税がかからないとお伝えしましたが、それを超える場合には相続税がかかります。 また、生命保険の中でも以下のようなものについては、被相続人自体が受取人の場合には相続税の課税財産となります。 入院給付金手術給付金通院給付金ガン診断一時金特定疾病保険金先進医療給付金就業不能給付金 さらに、死亡保険や満期保険金は契約者や被保険者に誰が該当しているかによって、税金の種類が変わることにも注意が必要です。 契約者=被保険者(相続税)500万円×法定相続人の数までは相続税がかかりません。契約者=保険金受取人(所得税)支払った保険料を差し引いた分から所得税を支払います。契約者・被保険者・保険金受取人がそれぞれ違う(贈与税) 所得税や贈与税は金額に応じた分を支払う必要があります。   できれば家族に残したくない負の遺産 遺産は何も先程紹介した正の遺産だけではありません。問題はできれば家族に残したくない負の遺産です。 借入金やローン未払金保証金や預り金保証責務や連帯責務公租公課 これらはあなたが亡くなった場合、残された家族に相続されます。 借入金やローンは負の遺産としてわかりやすいですが、意外と家族に伝えずにあとからトラブルになるのは連帯保証人です。連帯保証人になっている場合は誰の、どんな保証人になっており、いくらの借入金額なのかしっかりと家族に残しておきましょう。 相続放棄や限定承認といった選択 負の遺産があった場合や正の遺産であっても何らかの事情で遺産を相続したくない場合、残された家族には2つの選択肢があります。 1つ目は、正の遺産と負の遺産の両方の相続権を完全に放棄する相続放棄。2つ目は、正の遺産の金額が負の遺産を上回っている場合、正の遺産で負の遺産を支払い残った正の遺産分を相続する限定承認です。 どちらも申述期間は相続開始(亡くなった事実を知って)から3ヵ月以内です。相続人が複数いる場合に相続放棄や限定承認を行う場合は注意してください。 相続放棄に関しては複数人いる相続人のうち1人だけ相続放棄して、ほかの方は相続できます。しかし、限定承認は相続人全員が同意しなければ限定承認は行なえません。 残した遺産で揉める家族の特徴 残した遺産で揉める家族の特徴 ここでは、遺産で揉める家族の特徴を紹介します。 家族に残せる遺産は少ないから遺産で揉めたりしないだろうと安心していませんか?遺産で揉めた割合と相続金額は1,000万円以下で約33%、5,000万円以下で約42%です。遺産で揉める理由に相続金額はさほど関係ありません。 それではどんな特徴がある家族が遺産で揉めるのでしょうか? ➀相続人が仲が悪いか疎遠 相続人同士が仲が悪かったり、疎遠だったりすると遺産分割の際に行われる話し合いがスムーズに進まず、揉める場合が多いです。仲が悪い場合は、遺産をより多くもらいたい者同士で譲り合えず、揉める可能性があります。疎遠だった場合、そもそも遺産分割の話し合いに参加できない可能性があります。 また、遺産分割をする際には相続人全員の参加が必要です。委託したり、異議申し立てをしない約束で不参加で行う場合もありますが、連絡が取れる前提です。疎遠の場合、そもそも遺産分割を行う連絡すらできない場合があります。 ➁1人が高額の贈与を受けていた 相続人のうちの1人が高額の生前贈与を受けていた場合も、揉める原因になります。生前贈与がなければ、遺産がもっと残っていたかもしれない、生前贈与をもらっているのに遺産を平等に分けなければいけないのかといった問題が発生します。 特に、有効な遺言書がない場合は相続人同士の話し合いで決まりますが、かなり揉めるケースが多いです。 ➂金融資産以外の資産が多い お金など割れるものであればよいのですが家や土地などの不動産が多い場合、どう分けるのか選択肢が増えるため揉める原因になります。不動産の場合主に4つの選択肢があります。 現物分割換価分割代償分割共有 相続人が現在住んでいる場合は特に揉めやすいです。 ➃相続人に何らかの支障がある 相続人がもし認知症だった場合、きちんとした判断ができるか分からず相続の内容を一切理解していない可能性があります。そのような正常な判断ができないとされた場合は、成年後見人を選任します。 行方不明で連絡が取れない場合も、失踪宣言や不在者財産管理人を選任しなければいけません。これらの手続きは家庭裁判所で行うため、手間と時間がかかります。 ⑤想定外の相続人がいた 亡くなった方の前妻や前夫に子どもが居た場合、家族が知らない子どもが居た場合、血縁者であるため相続権があります。しかし、想定外の相続人と公平な相続を行いたくない相続人がいれば揉める原因になります。 ⑥介護負担が相続人で異なる 亡くなった方の介護を子どものうちの誰か一人だけが行っていた場合、介護分をほかの相続人よりも多く貰おうと思うため揉めやすくなります。一応、民法では介護を行っていた相続人に対してほかの相続人よりも多く相続できる制度があります。 しかし、それが認められるか、どの程度多く相続できるかは相続人同士で決めるため、揉める割合がかなり高いです。 ⑦遺産が使い込まれていた 亡くなった方の財産管理を相続人が1人で行って使い込んでいた、使い込みが疑われる状況の場合、遺産が少なくなるため揉める原因になります。また、相続についての話し合いの際に遺産の一部しか開示せず、揉める場合もあるので財産管理は複数で行うか、書面等ではっきりと残しておくとよいでしょう。 残した遺産で家族が揉めないためにやっておくべきこと 残した遺産で家族が揉めないためにやっておくべきこと 家族が遺産で揉めないため、生前にやっておくべきことはあります。自分が残した遺産で家族が揉める状況を望む方は居ないでしょう。それでは、家族が揉めないためにやっておくべきことを2つ紹介します。 遺言書を作る 相続で起こる揉めごとへの対策として有効なのが遺言書です。 ただし、便箋などに相続の割合を書くような簡易的なものではなく、弁護士や司法書士に依頼して、法的に有効な遺言書を作ってもらいましょう。「長男にすべて相続させて長女は0」など、よほど無茶苦茶ではない限り、法的に有効な遺言書が遺産相続の場では最も有効です。 エンディングノート 最近は早くに終活を始める方も多く、エンディングノートを書く方も増えています。エンディングノートは、財産や介護など意思疎通が難しい場合や死後にまつわるさまざまな希望を書き残すためのものです。 しかし、あくまで希望であり、遺産分割方法について記載はできますが遺言書のような法的効力はありません。エンディングノートに書いてある財産分与を採用するかは、相続人任せになりますので、あくまでも家族同士が揉めないように作っておくとよいでしょう。 家族信託の活用 家族信託とは、判断能力が低下する老後に備えて、持っている不動産や預貯金等の遺産を信用できる家族に管理や処分を任せる方法です。遺言書よりも幅広い遺産の承継ができます。 家族が遺産で揉めないために生前からの準備を 家族が遺産で揉めないために生前からの準備を いかがでしたか?今回は、残す遺産で家族が揉めないためにやっておくべき2つをご紹介しました。家族が揉めないための対策をやって無駄になることはありません。 家族には揉めずに仲良くして欲しいと思うのは当然ですよね。自分の所は大丈夫と決めつけるのではなく、できる限り家族が遺産で揉めないために生前から準備をしておきましょう。

  • 【夫婦】財産分与とは何か?遺産分割との違いも含めて詳しく解説

    【夫婦】財産分与とは何か?遺産分割との違いも含めて詳しく解説

    【夫婦】財産分与とは何か?遺産分割との違いも含めて詳しく解説 財産分与とは何でしょうか。単語は知っているけど、「遺産分割」と「財産分与」の違いを知らない方は多くいるのではないでしょうか。今回はそんな難しいけど問題なく解決したい財産分与について解説していきます。 財産分与と遺産分割の違いとは 財産分与と遺産分割の違いとは これまで「遺産」や「財産」などに関わる機会が少なかった方たちからすると、「財産分与」と「遺産分割」の違いは何か、わかりにくいのではないでしょうか。 「財産分与」と「遺産分割」は、いずれも財産・遺産を分ける手続きの際に用いられる言葉ですが、場面が全く異なっています。 財産分与とは 離婚をした者の一方が他方に対して財産の分与を請求できる制度を言います。 財産分与はこれらに基づいて定められています。 夫婦が共同生活を送る中で形成した財産の公平な分配離婚後の生活保障離婚の原因を作ったことへの損害賠償の性質 特に、1つ目の意味合いが強いとされています。つまり、離婚してもなるべく今までと同じレベルの生活を続けられるように均等に分けましょうといったものです。 遺産分割とは 遺産分割とは、被相続人(亡くなった方)の財産を相続人で分配する手続きのことです。被相続人が死亡した場合、残された財産(遺産)は、何人かの相続権のある方の中で共有状態になっています。ですので、相続人間で遺産の所有を確定させなければなりません。この遺産の所有を確定するために、遺産分割が必要となります。 財産分与の対象となる資産はどこまでなのか 財産分与の対象となる資産はどこまでなのか では、財産分与の対象となるのはどこからどこまでなのでしょうか。 一緒に生活していたのですから、家や家具家電はもちろん、貯金やペットなどはどうなるのでしょうか。 夫婦のいずれか一方の名義になっている財産であっても、実際には夫婦の協力によって形成されたものであれば、財産分与の対象となります。 離婚までに協議をしておき離婚と同時に分与するのが最もよいでしょう。離婚をしてから分与を請求することもできますが、離婚から2年以上経過してしまうと、家庭裁判所に申立てができなくなりますので、お気をつけください。 財産分与で注意すべき点 財産分与で注意すべき点 実際、財産分与をするとなった場合に注意すべき点はいくつかあります。お金や財産のお話ですので、しっかり注意しましょう。 相続した遺産を配偶者が「財産分与の対象だ」と言って話し合いがまとまらない 相手が相続した遺産を配偶者が財産分与の対象ではないかと申し出てくる場合がよく見られます。しかし、相続した遺産は共有財産ではないため、財産分与の対象財産にはなりません。 単独名義の不動産について 例えば、婚姻中に夫の収入で土地や建物を購入して夫の単独名義になっているとしましょう。その場合、家事の分担などによって異なります。名義人がほぼ100%で働き、かつ家事もこなしていたのであれば、名義人の物になります。 妻が家事等を分担して夫を支えていたときは、その建物は、実質的には夫婦2人の財産といえると考えられます。 相続したペットは財産分与の対象になるのか 家族・子として育ててきたペットも、法律上は「物」として扱われることになります。 そのため、離婚するにあたって、夫婦間でペットの引き取りについて揉めた場合には、離婚における財産分与の問題として考えていく必要があります。 夫婦が結婚後に飼育することになったペットに限られ、結婚前に夫婦の一方が飼育していたペットは、従前から飼育していた者の所有物として扱われるため(民法762条1項)、夫婦の共有財産の清算である財産分与の問題は生じません。つまり、相続したペットも上記同様、共有財産ではないため、財産分与の対象とはなりません。 遺産・財産分与はできれば弁護士に依頼しよう 遺産・財産分与はできれば弁護士に依頼しよう 夫婦間で相談した結果、分からないことがあった場合は弁護士に相談するのがよいでしょう。財産は大切なものですので、些細なことでもわからなければ相談してください。 弁護士に依頼することで財産を探すことができる 弁護士に依頼することで、自分たちでは気が付かなかった共有財産が出てくる場合があります。貰い損ねることのないよう、気になる場合はすぐにでも相談してみましょう。 自分で交渉するよりも、多くの財産を得られる可能性がある また、しっかりとした国家資格を持っている方である弁護士に相談することによって、どちらのものか分からず曖昧な物をはっきりと区別が出来るでしょう。 調停に同席し、主張をサポート 離婚調停になった場合、弁護士が同席してくれるので分からないことも説明してくれる心強い存在になることでしょう。これまで、弁護士に相談したことない方は金銭面とかで躊躇してしまうかもしれませんが、初めは無料で相談できる場所も多くありますので1度行ってみるのも手です。 相続した遺産は財産分与の対象となるのか 相続した遺産は財産分与の対象となるのか 先程も少し出てきましたが、相続した遺産は財産分与の対象とならないのが原則です。 法定財産制における夫婦の財産には共有財産と特有財産があります。共有財産とは、婚姻期間中に夫婦の協力によって取得し維持した財産をいいます。特有財産とは、婚姻前から夫婦の一方が有していた財産あるいは、婚姻中でも夫婦の協力とは無関係に取得した財産をいいます。 離婚にともなう財産分与の対象となるのは共有財産のみです。財産分与は、夫婦の共有財産を婚姻関係の解消にともない公平に分配する清算的要素をその中核とするからです。 まとめ:遺産分割と財産分与は別物 遺産分割と財産分与は別物 遺産分割と財産分与は全くの別物です。名前は少し似ていますが、遺産分割はその財産を持った方が亡くなった場合に相続人で財産を分けること、財産分与は離婚する際に、夫婦間で共有していた財産を分けることです。 共有財産は均等に分け、名義人が片方であってもどのように使用していたかによって分け方が異なってきます。 もし、分からない場合はきちんと法律を理解している専門家である弁護士に相談してはいかがでしょうか。

  • 【終活】遺産とは?相続人に当たる人物や手続き方法などについて解説

    【終活】遺産とは?相続人に当たる人物や手続き方法などについて解説

    【終活】遺産とは?相続人に当たる人物や手続き方法などについて解説 もし親戚や親、旦那さんや奥さんが亡くなったら遺産はどうなるのでしょう。相続人は誰になるのでしょうか。今回は、そんな難しい話をどんな方でもわかりやすいように解説していきます。 遺産とは 遺産とは 遺産とは、亡くなった人が所有していたすべての財産のことを言い、「相続財産」とも呼ぶ事もあります。財産といっても金銭的な価値をもつプラスの財産(積極財産)のみではありません。借金などといった弁済しなくてはならないマイナスの財産(消極財産)も遺産に含まれます。 相続の対象となる財産には「プラスの財産」と「マイナスの財産」があります。これらの中には、ネット銀行の預金やネット上の証券口座にある株式、仮想通貨(暗号資産)のように、デジタル化されているために被相続人でなければ存在を把握しにくい財産もあるので、実際の遺産確認の際には注意が必要です。 【プラスの財産】 現預金外国通貨自宅用の建物と土地、賃貸用の建物と土地、店舗田畑、山林、空き地、立木など有価証券(株式、投資信託、公社債など)債権(売掛金、貸付金、立替金、被相続人が受取人の生命保険金請求権など)借家権・借地権家庭用財産(車、家具、宝石、宝飾品、絵画、書画、骨とう品など)ゴルフ会員権船舶・飛行機など仮想通貨(暗号資産)知的財産権(特許権・著作権など)慰謝料請求権・損害賠償請求権電話加入権プラスの財産 【マイナスの財産】 借金(ローン、クレジットカードの未決済分)買掛金医療費や水道光熱費などの未払経費未払税金未払家賃・未払地代未払いの慰謝料・損害賠償金預り金(敷金、保証金など)保証債務マイナスの財産 マイナスの財産については、これらを相続により引き継いだ場合、相続人が弁済する義務を負います。 相続人とは 相続人とは 相続人とは、被相続人がなくなった場合に財産を相続する人間を指します。 配偶者はどうなるのか 死亡した人の配偶者は相続人となります。もし配偶者がいなかった場合など、配偶者以外の人は次の順序で配偶者と一緒に相続人になります。 相続するにあたっての順位とは なお、相続を放棄した人は初めから相続人でなかったものとされ、内縁関係の人は相続人に含まれません。 第1順位:死亡した人の子ども その子どもが既に死亡しているときは、その子どもや孫などが相続人となります。 第2順位:死亡した人の直系尊属(父母や祖父母など) 父母も祖父母もいるときは、死亡した人により近い世代である父母の方を優先します。 第2順位の人は、第1順位の人がいないとき相続人になります。 第3順位:死亡した人の兄弟姉妹 その兄弟姉妹が既に死亡しているときは、その人の子どもが相続人となります。第3順位の人は、第1順位の人も第2順位の人もいないとき相続人になります。 孫が代わりに相続する「代襲相続」とは 代襲相続(だいしゅうそうぞく)とは、被相続人より先に相続人が亡くなっている場合に、被相続人から見て「孫」「ひ孫」「甥、姪」等が相続財産を受け継ぐことをいいます。 養子の立ち位置 相続人が養子でも、実の子どもとして取り扱われます。 つまり養子はすべて法定相続人の数に含まれます。 相続人が未成年だったらどうなるのか 未成年者が相続人になる場合、未成年者には「代理人」を立てる必要があります。通常、代理人は親が務めます(法定代理人)。 しかし、親も未成年者である子も、ともに相続人で、相続人全員で遺産分割協議が行われる場合などは、親が未成年者の代理人になれないことがあります。このような場合には、「特別代理人」の選任を家庭裁判所に申し立てる必要があります。そして代理人は未成年者に代わり、遺産分割協議や手続書類の記入・捺印等を行うことになります。 ただし、未成年者であっても結婚している等、成人とみなされる場合もあります。 行方不明者がいる場合はどうなるのか 家庭裁判所に対し、不在者財産管理人の選任を申し立てるか、失踪宣告の申し立てをする必要があります。 失踪宣告を受けた行方不明者は法律上、「死亡したもの」として扱われます。ですので、遺産分割協議の参加義務はもちろん、相続人から除外されることになります。ただし、その相続人に子がいる場合には代襲相続となります。 そのほか、相続に関する疑問を解決 そのほか、相続に関する疑問を解決 相続に関して下記の疑問について説明します。 この人に相続権はあるのか相続権はあるけど相続したくないときはどうしたらいいのか そのほか疑問点として多く挙げられるものを解説していきます。 相続権がありそうでない人たち 子どもの相続権は、被相続人との関係性でその有無が決まります。つまり、亡くなった方の前妻や前夫との子が実子であれば、現在の親権の所在にかかわらず、その子には相続権が付与されます。 しかし、あなたの配偶者が亡くなった場合のあなたの連れ子の相続権という意味では、被相続人との養子縁組の有無によって相続権の有無も決定され、被相続人の生前に養子縁組をしていた場合には相続人となりますが、そうでない場合にはその子に相続権はありません。 相続人のはずなのに貰えない?「相続欠格」とは 特定の相続人が民法891条の相続欠格事由に当てはまる場合に相続権を失わせる制度のことです。遺贈を受けることも出来なくなりますが、欠格者の子は代襲相続が可能です。 相続人側が相続権を剝奪する「相続廃除」とは 相続人の廃除とは、相続人から虐待を受けたり、重大な侮辱を受けたりしたとき、またはそのほかの著しい非行が相続人にあったときに、被相続人が家庭裁判所に請求して虐待などした相続人の地位を奪うことをいいます。 この申立は、被相続人が生前か遺言書でしかすることは出来ません。 相続放棄するとどうなるのか 相続での悩みとして、最も多いお悩みは『亡くなった親の借金を相続放棄したいこと』と言われています。 次いで、不仲だった家族、疎遠だった親族の相続に関わり合いたくないというお悩みから相続放棄を検討する方も多くいらっしゃいます。 相続放棄は、「相続放棄=その相続は存在しない」ということになります。 また、放棄した相続人に子がいても代襲相続はありません。マイナスの遺産のみ相続しないなど、そのようなことは出来かねます。 相続人でなくても財産を受け取れる人とその条件 被相続人が作成した遺言書により遺産の受取人として指定された人は相続人でなくても、遺産を受け取ることができます。 ただし、以下の2つ注意点があります。 遺言書の形式が民法に規定された方式に従っていること法定相続人の遺留分を侵害できないこと 2つ目について、法定相続人の遺留分とは、一定の法定相続人について民法により保障された相続分のことをいいます。遺言書の内容が遺留分を侵害している場合は、受遺者は法定相続人からの請求に応じ、遺留分を請求人に支払わなくてはなりません。 相続に関する手続きはどうやってするのか 相続に関する手続きはどうやってするのか 相続をする際の手順について、順番にご説明します。 遺言書の調査 まずはじめに遺言書の確認をしましょう。自宅を探すのはもちろん、銀行や弁護士・司法書士・税理士に預けられている可能性もあります。なお、遺言書が公正証書遺言の場合、公証役場で存在の有無を照会することもできますので問い合わせてみましょう。                                                   相続人の調査・確定 遺言書の調査と同時進行で法定相続人をくまなく調べる作業を行う必要があります。法定相続人とは、相続人になる可能性のある人の事です。 被相続人の前妻との間に子がいる、あるいは生前養子縁組をした子がいる可能性もあります。法定相続人は戸籍謄本を取得して確認できます。 まとめ:遺産の相続人は法律で決まっている 遺産の相続人は法律で決まっている 遺産相続は複雑な手続きに思えますが、しっかり確認出来ればそんなに複雑ではありません。相続にはプラスの遺産もマイナスの遺産も関わってきます。 また、相続人が亡くなっている場合などは代襲相続が適用されます。相続権を放棄したい場合は放棄することもできますので、もしわからない場合はすぐに専門家に相談し、正確な判断を仰ぎましょう。

  • 相続放棄を選択肢の1つに 子どもに負の遺産を相続させない

    相続放棄を選択肢の1つに 子どもに負の遺産を相続させない

    相続放棄を選択肢の1つに 子どもに負の遺産を相続させない 終活で遺産整理などを行っていると、返しきれない借金がある、ローンの返済が終わらないといった事態に気づく場合があるかもしれません。 もし借金やローンの返済が完済せずあなたが亡くなってしまった場合、返済義務は相続権のある子どもに渡ってしまいます。 子どもにそんな物を相続したくないと思う方に向けて、今回は相続放棄といった選択肢があり、負の遺産を相続させない方法を紹介します。借金やローン返済などが残っている方、必見です。 遺産相続をすると負の遺産も相続される 遺産相続をすると負の遺産も相続される 遺産相続といえば、現金や預貯金、不動産を思い浮かべるでしょう。それらは正の遺産と言われており、その逆の借金やローンなどは負の遺産といわれています。 遺産相続を行った場合、現金や預貯金だけ相続して借金などは相続しないといった選択はできません。相続をする場合は、正の遺産も負の遺産も相続しなければいけません。 まずは、どんなものが負の遺産と呼ばれるか知っておきましょう。 負の遺産と言われるもの 負の遺産と言われるものは主に以下の7つです。 金融機関などからの借り入れ(ローンやクレジットカードの未決済分など)ツケの未払いリース料家賃(未払い分)税金や健康保険料(未払い分)損害賠償責務(交通事故などで支払い義務のある賠償金)連帯保証人の立場 意外と知られていないのが、連帯保証人の立場ではないでしょうか。 自分や親が連帯保証人になっているか分からない場合には調べる方法が3つあります。 株式会社日本信用情報(クレジット会社や金融機関との契約内容、返済状況といった情報を管理している)株式会社シー・アイ・シー(クレジット事業や携帯電話会社などの企業を会員としている信用情報機関)全国銀行個人信用情報センター(銀行や信用金庫などを会員としている信用情報機関) これらの場所に問い合わせてみましょう。 ただし、これらの場所に問い合わせても絶対に連帯保証人になっていないとは言い切れません。どうしても不安な場合は、相続放棄も視野にいれるとよいでしょう。 遺産を放棄しても受け取れるもの 遺産を放棄すれば、正の遺産も負の遺産も受け取れないと先ほど記載しましたが、一部例外があります。 死亡保険金(受取人が指定されているもの)香典やご霊前仏壇やお墓などの祭祀財産葬祭費や埋葬料死亡退職金(受取人が家族であるもの)遺族年金や未支給年金 上記の6つは仮に遺産を放棄した場合でも受け取れます。 これらは亡くなった方の財産ではなく、残された家族のためのものとされてるからです。 相続されないもの 連帯保証人の立場が相続されるため、勘違いされる場合がありますが亡くなった方に対して個人的に認められていた権利や義務は相続されません。 養育費の請求権と支払い義務婚姻費用の請求権と支払い義務年金受給する権利(遺族年金や未支給年金は別)生活保護を受ける権利 これらは相続されないので注意してください。 遺産を放棄するメリット・デメリット 遺産を放棄するメリット・デメリット 実際に遺産を放棄した場合、どのようなメリットやデメリットがあるのでしょうか?遺産の放棄を子どもにすすめる、決断する前に必ずメリットとデメリットの両方を知っておきましょう。 遺産を放棄するメリット 遺産を放棄するメリットは大きく2つです。 借金の返済義務がなくなる相続争いに巻き込まれない 仮に、1,000万円の借金があり相続人が2人の場合は、1人あたり500万の借金を背負わなければいけません。 返済が遅れていた場合は遅延損害金の支払いも必要です。 遺産を放棄するのは借金などの負の遺産だけが理由だと思われがちですが、実は遺産争いに巻き込まれたくないといった理由も多いです。 元々家族と仲が悪かった、疎遠になっていて正直どうでもいいといった場合も、遺産を放棄すると遺産分割協議などに参加する必要がなくなります。 遺産を放棄するデメリット 次に遺産を放棄するデメリットですが、主に4つあります。 一切の相続財産を手放さなければいけないやり直しできない遺産の放棄が認められない場合がある相続順位が変わりトラブルになる可能性がある 遺産を放棄してしまうと、「この貯金分だけは相続する」といった選択はできません。 また、一度遺産を放棄する手続きを行い、受理されてしまうと今回亡くなった方の遺産に対する相続権は復活しません。 それだけではなく、遺産を放棄する手続きが完了していたとしても、亡くなった方の遺産を使用した、勝手に処分した場合は手続きが無効になる場合があります。 遺産の放棄が無効になれば、当然相続権が復活するため、負の遺産なども相続しなければいけなくなります。 最後に確認しておくべきなのは相続順位の変更です。 遺産の相続には優先される順位が決められています。 最優先は配偶者で次に実子となっていますが、相続を放棄した方の立場や状況によっては相続順位が変わります。 相続に関するトラブルを避けるために遺産を放棄したのに、逆にトラブルに巻き込まれてしまう可能性もあるので注意してください。 遺産を放棄する方法 遺産を放棄する方法 実際に遺産を放棄したいと思ってもどのような手続きを行えばよいのかわからない方が多いと思います。ここでは、遺産を放棄する方法についてくわしく紹介していきます。 亡くなった方の住所地の裁判所へ 相続放棄する場合の相続放棄申述書は必ず亡くなった方の最後の住所地の家庭裁判所に提出します。申述書自体は裁判所でもらってもいいですが、家庭裁判所が指定する形であればネットから印刷しても問題ありません。 直接の提出が難しい場合は郵送でも大丈夫です。申述書に必要事項を記載し、以下の必要書類を用意します。 亡くなった方の除籍謄本(亡くなった方の戸籍謄本)亡くなった方の住民票除票相続放棄をするあなたの戸籍謄本 戸籍謄本と除籍謄本は本籍地にある役所に行くか取り寄せをする必要があります。 相続放棄の手続きは原則として相続の開始を知った時から3ヵ月となっています。それまでに必要書類を集めて、家庭裁判所へ提出または郵送しましょう。 必要書類が期限内に揃わない場合 必要書類がどうしても期限内に揃わない場合、とりあえず相続放棄申述書だけでも提出してください。その際に、戸籍謄本等はあとから提出する旨を書き添えておくと提出期限が過ぎてしまっても大丈夫です。 裁判所からの質問書類に答える 相続放棄申述書を家庭裁判所が受理すると、質問事項が書かれた書面が送られてくるので、回答して返送しましょう。 亡くなった方との親族関係亡くなったと知った日あなたの名前で相続放棄の申し立てがされていると知っているかなぜ相続放棄するのかこの申し立てはあなた自身の意思か 質問内容は家庭裁判所によって少し変わりますが、大筋は変わりません。当然ですが記載事項に嘘はないようにしましょう。 相続放棄申述受理通知書が届く 質問書類を返送し、特に問題がなければ相続放棄申述受理通知書が届きます。これでようやく正式に相続放棄が認められました。 仮に借金の返済などを迫られた場合は、相続放棄申述受理通知書を見せればそれ以上の催促はされません。必ず大切に保管しておきましょう。 これらの手続きがなければ正式に遺産を放棄したとはならない 家庭裁判所から相続放棄申述受理通知書が届くまでは、正式に遺産を放棄したとはなりません。相続放棄を宣言しただけでは諸々の権利は放棄できていないので注意してください。 生前に遺産の放棄はできない 生前に遺産の放棄はできない 終活で負の遺産の存在に気付いた、そもそも遺産を相続するつもりがなく、忘れない間に相続放棄の手続きをしたいと思っても生前には遺産の放棄はできません。 遺産とは人が亡くなって初めて発生します。生きている間はまだ遺産が発生していないため、放棄できません。 しかし、亡くなった方の除籍謄本以外の必要書類を用意するのは問題ありません。亡くなった時点で除籍謄本を取り寄せ、相続放棄申述書の死亡日の欄を記入して提出しましょう。 限定承認の選択も 限定承認の選択も 負の遺産があり、すべてを相続したくないけどすべてを放棄はしたくないといった場合、限定承認を行う場合があります。それでは限定承認について紹介します。 限定承認とは 限定承認とは、相続した正の遺産の限度で負の遺産の相続を行います。 例えば、負の遺産が1,000万円、正の遺産が自宅(資産価値400万円)だった場合で説明します。普通に相続すれば自宅を相続できますが、同時に1,000万円の借金を背負わなければいけません。 相続放棄をすれば借金の返済義務はなくなりますが、自宅を手放さなければいけません。限定承認を行えば自宅の資産価値分の400万円を支払い、自宅を引き継ぐことができる場合があります。 仮に、負の遺産が400万円、正の遺産が1,000万円だった場合は、400万円を支払い600万円を相続できます。 限定承認をしないほうがいい場合 限定承認ではなく相続放棄をしたほうがいい場合は以下の3つです。 負の遺産の金額が多額であり正の遺産の方が圧倒的に少ないそもそも相続に関わりたくない手続きにお金をかけたくない 相続放棄を行う場合は、自分たちで手続きが可能ですが、限定承認の場合は弁護士などの専門家に依頼するので弁護士費用が別途かかります。 限定承認をしたほうがよい場合 限定承認をしたほうがよい場合は以下の3つです。 遺産の内容は不明だが、プラスになるなら相続したい負の遺産分をできる限り返済したい負の遺産があるが遺産の中にどうしても相続したいものがある このような場合は、相続放棄をしてしまうとすべてできなくなってしまうので、限定承認を選択しましょう。 限定承認はかなりややこしい 先程も少し触れましたが、自分で手続きができる相続放棄とは違い限定承認はかなり複雑なため専門家に依頼しなければいけません。 それだけではなく、1人でもできる相続放棄とは違い限定承認は相続人全員が同意していなければできません。 それだけではなく、弁護士や司法書士でも実際に限定承認の手続きを行った経験のある方が非常に少ないので、経験のある専門家を見つけるのが困難です。 便利な制度だと思われがちですが、かなりややこしいので選択する方はごく僅かというのが実情です。 まとめ:遺産を放棄するのも選択肢の1つに 遺産を放棄するのも選択肢の1つに いかがでしたか?今回は遺産の放棄についてくわしく紹介しました。 終活をしている時点で負の遺産の存在に気付いた場合は、すぐに子どもに伝えましょう。 遺産を放棄するのも選択肢の1つです。 遺産を相続するのか、放棄するのか、限定承認といった選択肢を選ぶのか考えておくように伝えておくとよいかもしれません。

  • 遺産相続のトラブルを防ぐには?対策や起きやすい事例をご紹介

    遺産相続のトラブルを防ぐには?対策や起きやすい事例をご紹介

    遺産相続のトラブルを防ぐには?対策や起きやすい事例をご紹介                                                                                                                    「遺産相続でトラブルを起こしたくない」「でも、どうすればいいのか分からない」そんな悩みをお持ちではありませんか?「家族に迷惑をかけたくない」そんな思いがあれば余計に悩んでしまいますよね。 起きやすいトラブルとその対策を知っておけば、トラブルは防ぐことができます。また、万が一トラブルが発生した場合でも対処法や解決にかかる費用を知っておけば安心できますね。 今回は、遺産相続のトラブルの防ぎ方と対策や起きやすい事例をご紹介します。 遺産相続で起きやすい5つのトラブル事例 遺産相続で起きやすい5つのトラブル事例 遺産相続の中でも起きやすいトラブルについて、以下の事例を5つご紹介します。 遺産の額が少ない場合不動産(土地)関連遺族の独占相続人の多さ子どものいない夫婦 自身に当てはまらないかぜひ確認してください。 トラブル1:遺産の額が少ない場合 比較的小規模な遺産(1,000万円以下など)では、相続が発生してからトラブルになるケースが多いです。なぜなら、遺産が小規模なために必要ないと思い、事前の対策を特にしていないからです。 遺産が多くある場合、比較的早い段階で専門家に依頼して事前のトラブルを防ぐ対応が出来ますが、小規模な遺産の場合は大丈夫だろうと油断してしまうことが多くあります。 トラブル2:不動産(土地)関連 土地などの不動産は「わけられない資産」であり、「評価が難しい資産」でもあります。 そのため、遺産相続のトラブルの原因になりやすいです。 分割して分けることが難しく、いくらと評価するかも迷います。売却してお金にしたい方や、取得してそのまま土地を活用したい方など意見も分かれがちです。 トラブル3:遺族の独占 例としては「長男だから」などの理由で遺産をすべて独り占めしようとする場合です。民法上は、遺産相続はあくまで被相続人の意思が尊重されるので、被相続人が遺した遺言書にしたがって相続内容が決められます。 今でも、「家督相続」といって長男が一人で全部遺産を相続するものといった考えの方もいますが、法律上の権利に基づき是正する必要があります。 トラブル4:相続人の多さ 法定相続人とは、遺産相続で被相続人の遺産を受け取れる権利をもつと民法で定められている者です。具体的には被相続人の配偶者や子、兄弟姉妹などになります。しかし、養子や隠し子などの存在が発覚する場合もあります。 また、介護をしてくれた人に遺産を残すために遺言書に記載した場合など相続人が増えることも。法定相続人を増やす養子縁組は節税対策につながりますが、相続人が増えれば増えるほどトラブルに発展していく可能性も高くなってしまいます。 トラブル5:子どものいない夫婦 子どもがいない夫婦の場合、被相続人の兄弟や甥・姪が相続人に含まれる場合があります。関係性が希薄なために、全員の合意を得にくいケースが多く、トラブルにつながります。 遺産に関するトラブルの対策4選 遺産に関するトラブルの対策4選 遺産に関するトラブルを起こさないためにできる対策を以下の4つご紹介します。 家族と話し合っておく遺言書(財産目録)を作る遺産の分け方・法定相続人の数を把握しておく民事信託や後見制度を使う 一つずつ見ていきましょう。 対策1:家族と話し合っておく まずは元気なうちに家族でしっかり話し合いをしておきましょう。被相続人の希望や考え方をしっかり家族に伝え、理解してもらいます。遺産内容や管理方法なども親族の間でしっかり共有しておきます。 対策2:遺言書(財産目録)を作る 全財産を正確に把握するのは本人でも大変です。死後に相続人が把握するのはもっと大変な作業になってしまいます。 そのため、遺産のトラブルを防止するためにも、生前に財産目録を作っておくと財産の把握が簡単に出来るため有効です。特に、プラスの財産だけでなくマイナスの財産もきちんと記載しておくと、トラブル回避に有効でしょう。 対策3:遺産の分け方・法定相続人の数を把握しておく 不動産の評価や分割の方法、遺産をどうやって分ければよいかについて把握しておくと円滑に遺産分割できますね。揉めそうな場合には、法定相続を前提に、遺産分割協議をしてみるとよいでしょう。 また、相続人の数が増えると、「話がまとまらない」「相続人が後から増える」などトラブルの元になります。遺産分割協議をおこない、相続人を確定させるとスムーズに遺産分割をおこなえます。 対策4:民事信託制度を使う 民事信託(家族信託)を利用することで、相続トラブルを避けられる場合もあります。生前から死後に掛けての財産管理方法や死後の財産帰属先を取り決めることが可能です。 遺産相続でトラブルが発生したら弁護士に相談を 遺産相続でトラブルが発生したら弁護士に相談を 遺産相続でトラブルになった場合は、弁護士に相談するのがおすすめです。また、トラブルが大きくならないうちに早めに依頼するのがポイントです。 ここでは、弁護士に依頼するメリットや気になる料金についてもご紹介します。 弁護士に依頼するメリット 実際にトラブルが発生したときは、早めに弁護士に相談して対応することをおすすめします。弁護士に相談すると以下のようなメリットがあります。 法律の正しい知識を教えてもらえる代理交渉をお願いできる調停・裁判・訴訟も依頼できる有利に解決できる可能性が高くなる 弁護士に相談することで、遺産分割の方針も決めやすくなります。代理交渉をしてもらうと、直接的な対立を防げるので、ストレス軽減もできますね。 弁護士に依頼する場合の費用相場 弁護士に相談するといくら位かかるのでしょう?相談料の相場は、30分5,500円程度です。無料相談を利用できる場合は、相談料は無料になります。 では、着手金はどの程度でしょうか。着手金は経済的利益の数パーセントとパーセンテージで料金が設定されている事務所もあります。また、内容によって「一律20万円」など定額料金の場合もあります。 報酬金については、経済的利益からパーセンテージで料金設定されていることがほとんどです。弁護士事務所によって、料金設定は異なりますので、相談する際に事前に料金についても確認しましょう。 まとめ:遺産に関するトラブルはしっかり対策できる 遺産に関するトラブルはしっかり対策できる 遺産に関するトラブルを防ぐ方法を見てきました。 遺産に関するトラブルの良くある例を参考に、実際ご自身の身の回りでおきそうなトラブルを想定できますね。想定されるトラブルに対して、しっかりと対策をとればトラブルは回避できます。 想定されるトラブル内容によっては、弁護士に相談するなどしてしっかり対策をおこなってください。そうすると、トラブルを防げるでしょう。

  • 兄弟は遺産を相続できる?兄弟のパターンごとに事例を使ってご紹介

    兄弟は遺産を相続できる?兄弟のパターンごとに事例を使ってご紹介

    兄弟は遺産を相続できる?兄弟のパターンごとに事例を使ってご紹介 身近な人が亡くなることなど考えたくはありませんが、誰もいつかは彼岸へと旅立ちます。 年齢に関係なく知っておきたい遺産相続について、この記事では兄弟姉妹の相続についてお伝えします。 両親が他界して独身の兄弟姉妹が亡くなった場合や、兄弟姉妹に子どもがいない場合などに遺された兄弟姉妹が遺産を相続できるケースもありますので、ぜひ参考にしてください。 兄弟姉妹が相続人になる場合 兄弟姉妹が相続人になる場合 被相続人(亡くなった人)に直系卑属(子や孫)、直系尊属(親や祖父)がおらず兄弟姉妹がいる場合は、兄弟姉妹が相続人になります。 相続人が兄弟姉妹のみの場合は、兄弟姉妹の法定相続分は相続財産のすべてです。相続財産のすべてを、兄弟姉妹の人数で割ります。配偶者がいる場合は、必ず相続人となります。 相続順位について 配偶者以外の相続人には、順位が決められています。 第1順位は子、子が先に亡くなっている場合は孫、子と孫が先に亡くなっている場合は、ひ孫です。 第2順位は父母、父母が先に亡くなっている場合は、祖父母です。 第3順位は兄弟姉妹、兄弟姉妹が先に亡くなっている場合は、甥もしくは姪です。 兄弟姉妹が法定相続人になるケース 親や祖父母などの直系尊属・子や孫などの直系卑属がいない場合は、兄弟姉妹が相続人となります。配偶者が存命で、親や祖父母などの直系尊属・子や孫などの直系卑属がいない場合は、配偶者と故人の兄弟姉妹が遺産を相続できます。 相続人が配偶者と兄弟姉妹の場合、配偶者の法定相続分は遺産の4分の3、兄弟姉妹の法定相続分は遺産の4分の1です。兄弟姉妹が複数人いる場合は、遺産の4分の1を兄弟姉妹の数で割ります。 例えば、故人以外の兄弟姉妹が二人なら、相続分は一人あたり8分の1です。 ただし、遺言書があった場合には遺言書が優先されます。そのため、法定相続人になっても遺言書の内容によっては財産を取得できないケースもあります。 兄弟間で遺産相続で揉める原因と対処法 兄弟間で遺産相続で揉める原因と対処法 法律に従っていればトラブルは起こらない。そう考えている方も多いと思いますが、金銭等が絡んでくるため、ひょんなことから予想だにしないトラブルが発生するのが遺産相続です。 ここでは、兄弟間で遺産相続で揉めてしまう原因について下記のケースを解説します。 家族や兄弟間での話し合いができていない遺産を平等に分けることが難しい遺産相続の内容が非常に偏っている 実際に争いが起こってしまうと、遺産分割調停を行ったり、弁護士に依頼することになったりと解決したとしても禍根を残すことになりかねません。お互いの気持ちに寄り添い、冷静に話し合いが進められる状況を作れるよう、揉めてしまう原因を前もって把握しておくようにしましょう。 ➀家族や兄弟間での話し合いができていない 揉める原因として最も多くなるのが、家族間・兄弟間での話し合いが適切に行われていないことです。ご家族が亡くなられ、相続が発生すると期限などもあることから、ゆっくりと話し合いをする時間を設けることは困難です。 事前に話し合いが行えておらず、実際に相続が発生してからでは遅い場合も多いです。事前に十分な話し合いが行えていないことが、トラブルや揉め事の根源となる状況は決して珍しいものではありません。 亡くなっていないのに亡くなった後の話をするのは抵抗があるかもしれませんが、前もって話し合いお互いの考えていること・思いを把握しておくのはとても重要です。いざ相続となった段階で残された家族・兄弟が揉めてしまいトラブルになると亡くなられたご家族様が安心して眠れなくなるかもしれません。 話し合った内容をボイスレコーダーなどに録音し、形として残しておくと後々聞き返すこともできますし、トラブルになった際に役立つこともあります。ただし、法律的な意味は持たないことに注意が必要です。 ➁遺産を平等に分けることが難しい 遺産は現金のように分割が容易なものばかりではありません。不動産や車といった分割をすることが難しいものが遺産として残されている可能性も十分にあります。例えば下記のケースです。 3人兄弟残された財産は亡くなった長男名義の土地と建物、預金200万円 こういった場合の解決方法としては、以下のようなことが考えられます。 遺された兄弟2人のどちらかが土地を相続することで合意する土地を相続した人が現金でほかの1人に補填する土地を売却し、得た収入を2人で均等に按分する土地を共同名義で保有する トラブルを避けるため、事前に遺言書を作成し、分割方法についても細かくきちんと定めておくことをおすすめします。 ➂遺産相続の内容が非常に偏っている 遺言書に「長男に財産のすべてを相続させる」旨の記載があった場合でも、一定の相続人には遺留分を請求する権利があります。そのため、遺産相続の内容に不平等さを感じたら、遺留分の請求を検討してください。ただし、相続人が兄弟姉妹の場合には遺留分がないことに注意が必要です。 遺留分とは 遺留分(いりゅうぶん)とは、一定の相続人に対して、遺言によっても奪うことのできない遺産の一定割合の留保分のことを言います。亡くなった方(被相続人)は、自身の財産の行方を遺言により自由に定めることができますが、被相続人の遺族の生活の保障のために一定の制約があります。これが遺留分の制度です。 兄弟姉妹に遺留分はなぜないのか 配偶者には遺留分がありますが、兄弟姉妹にはありません。 それは、被相続人と一緒に暮らしていた配偶者は経済的に困る可能性があることが理由の一つであると考えられます。 まとめ:兄弟間で遺産に関して揉めないために 兄弟間で遺産に関して揉めないために 兄弟姉妹が相続人になる場合は、被相続人に直系卑属・直系尊属がいない場合です。兄弟姉妹が法定相続人になるケースは関係性によって変わってきますので、本記事を参考にしてください。 また、兄弟間で遺産相続で揉める原因と対処法もご紹介しました。大切な家族が遺産に関して揉めてしまわないためにも、遺言書を作成したり、内容に極端な偏りが出ないように配慮したりといった対策が必要です。残される家族のために、できるだけ早い段階で遺産相続について検討してください。

  • 遺産にかかる税金とは?知っておきたい相続税の基礎知識

    遺産にかかる税金とは?知っておきたい相続税の基礎知識

    遺産にかかる税金とは?知っておきたい相続税の基礎知識 子どもたちが独立してほっとしたのもつかの間、そろそろ老後のことと一緒に亡くなった後のことも考えなければならないかもしれません。特に最近は親世帯のみ、子世帯のみで生活しているご家庭が増えてきています。 本記事では、遺産にかかる税金について、計算方法と併せて解説します。自分たちが亡くなった後に困らないように財産の整理と一緒に相続にかかる税金についても考えてみませんか? 遺産にかかる税金「相続税」の手続きについて 遺産にかかる税金「相続税」の手続きについて 貯金や不動産などの財産を遺産として受け継いだ場合には税金として相続税がかかります。相続税は、借金や葬式費用などを除外したあとの残額が、基礎控除額よりも上回る場合にかかります。 財務省のホームページによると、令和元年時点での相続税がかかった方の割合は、亡くなられた方の8%程度です。  参照:『親が亡くなりました。遺産を相続する場合にどのような税金がかかるのですか?』 基礎控除額を超える部分の遺産は相続税の課税対象になります。 相続税の申告期限は被相続人がなくなった日の翌日から10ヵ月以内におこないます。相続税の納税も申告期限内におこなわなければなりません。 相続税の計算に誤りがあると、延滞税や過少申告加算税などのペナルティが課せられる場合もあります。 葬儀費用や相続する財産にまつわる確認などには、書類の取り寄せや手続きするのに時間がかかるものもあります。できるだけ生前のうちから財産を把握しておき、遺言書を準備しておくのが理想です。 遺産相続から税務署へ相続税申告までの税金支払い流れについて 遺言書があれば、原則その内容に沿って相続することになります。 遺言書がなければ、相続財産の分割方法について相続人全員で話し合い、決めなければなりません(遺産分割協議)。 話し合いによって決められた分割遺産の内容で相続税を計算したあと、税務署へ申告します。 遺産の税金対象となる金額について 相続した財産の内、課税対象になるのは、現金・預貯金、株式や債券等の有価証券、土地・建物等の不動産、貴金属、書画骨董等亡くなった人が所有していた財産です。これに加えて、亡くなったことによって入ってくる死亡保険金や死亡退職金等の「みなし相続財産」、相続開始前3年以内に贈与された財産や相続時精算課税制度を適用して贈与された財産も課税対象となります。これらの合計が課税対象となる課税相続財産総額です。 相続税の対象となる金額は、課税相続財産総額から債務・葬儀費用・非課税財産を差し引いた正味の遺産額で計算します。 非課税財産に該当する遺産については下記の通りです。 お墓や仏壇、祭具など寄付した財産生命保険金のうち500万円×法定相続人の人数死亡退職金のうち500万円×法定相続人の人数 上記のものは非課税財産として差し引かれます。 遺産にかかる相続税の基礎控除とは 遺産のうち一定の金額までは税金がかからない制度です。 基礎控除額は「3,000万円+(600万円×法定相続人の数)」で計算します。法定相続人とは民法で定められた相続人のことです。 相続人が死亡・廃除・欠格のどれかに該当すると法定相続人に含めません。 廃除:民法第892条に基づいて相続人の資格を失ったもの欠格:民法第891条の相続欠格事由に当てはまる場合に相続権を失わせる制度 遺産の法定相続人の優先順位は配偶者から 遺産の相続には優先順位があり、相続人が誰になるかで相続割合や法定相続分は違います。 遺産の法定相続人の優先順位は配偶者から順に、以下のように民法で定められています。また内縁の妻は相続人に該当しません。 第1順位:子ども(亡くなっている場合は孫)養子・認知した子ども・前の配偶者との間の子ども第2順位:両親(亡くなっている場合は祖父母)・養父母第3順位:兄弟姉妹(亡くなっている場合は甥姪) 遺産の相続割合について 法定相続分は、相続人が配偶者と子ども2人の場合には配偶者1/2、残りの1/2を子どもたち2人で均等に分けるため、子ども1人につき1/4となります。 配偶者に子どもがなく父母が存命の場合は、配偶者2/3・父母1/3です。 また配偶者に子どもがなく父母もいない場合には、兄弟姉妹と分け合う形になり、配偶者3/4・兄弟姉妹1/3となります。 遺産を相続放棄すると基礎控除はどうなるのか? 相続放棄はなかったとして計算します。仮に法定相続人が子3人のみの時、子3人のうち1人が相続放棄をしたとしても、基礎控除額は4,800万円のままです。 相続税の配偶者控除は1億6,000万円まで 配偶者にはさまざまな相続税の優遇措置があります。配偶者に対する相続税額の軽減という税を減額する規定があり、被相続人と長い間生活を共にしてきたため、一緒に財産を作り上げた貢献があるとみなされるのです。 配偶者への相続は同一世代間の財産の移転とされ、遠くない将来に相続が再び発生するため、相続税の負担を軽減する目的も含まれているのです。  また被相続人が亡くなったあとの、配偶者の生活を保障するために優遇されています。 配偶者控除では相続財産が1億6,000万円までは税金がかかりません。 「配偶者控除」または「法定相続分の基礎控除」のどちらかを選択して相続税の計算を行います。 二次相続の問題とは 相続税の問題は、両親のどちらかが亡くなるとおこります。例えば最初に父が亡くなると、一回目の相続「一次相続」が発生します。次に母がなくなると、二回目の相続「二次相続」の問題がおこるのです。 「二次相続」税金での問題点について 一次相続での通常の相続人の構成は、おおむね「配偶者と子」です。二次相続の場合では「子」となるため、遺産の分け方や相続税の計算方法に違いが生じます。 最も大きいのが相続税の特例の部分で、一次相続で受けられた配偶者控除などの優遇がなくなるため、税金の負担が大きくなるのです。 以上のように二次相続では相続税の負担が大きくなるため、一次相続から将来を見据えた税金対策をとる必要があります。 遺産にかかる税金「相続税」の計算方法について 遺産にかかる税金「相続税」の計算方法について 相続税の計算方法はまず基礎控除を算出し、各人の相続財産を一度合算したあと、法定相続分で按分して仮の相続税を計算します。 仮の相続税の合計が相続税の総額です。 相続税の総額を各人の実際の相続割合に合わせて案分します。 課税の対象となる遺産の総額を計算する 課税の対象となる遺産とは以下のような財産です。 預貯金や不動産などプラスの相続財産死亡保険金、死亡退職金などのみなし相続財産相続開始前3年以内に贈与された財産相続時精算課税制度の生前贈与財産全部 これに、「借金などのマイナスの財産・葬式費用を差し引いたもの」が正味の遺産額となります。 正味の遺産額が基礎控除額より少なければ相続税はかからない 以下のようなときは「正味の遺産総額>基礎控除額」でも納税額が0円になります。 小規模宅地等の特例の適用後、正味の遺産総額が基礎控除額以下になるとき配偶者の税額軽減や相次相続控除などの税額軽減制度で納税額が0かマイナスになるとき 「正味の遺産総額≦基礎控除額」のときだけ申告不要になります。 課税の有無や課税額を知るには「正味の遺産総額」「基礎控除額」を正確に計算しなくてはなりません。 遺産の相続税計算について注意する点 相続税は課税遺産総額に対して課税となりますが、土地の評価額に直接税率をかけて算出するわけではない点に注意が必要です。 宅地の場合の評価方法は2つあります。 路線価方式倍率方式 相続した土地の評価方法がどちらになるかは、毎年の国税庁ホームページに掲載される路線価図・倍率表でわかります。 参照:『財産評価基準書 路線価図・評価倍率表』 また賃貸している場合、評価計算が異なることに注意が必要です。被相続人が土地や建物を他人に貸していると、自由に売却できません。このため土地や建物の評価が低くなり、不動産の評価減を行う必要が出てきます。 遺産に関わる税金の相談は誰にすればいいか 遺産に関わる税金の相談は誰にすればいいか 相続に関する税金の相談方法には以下のような3つの方法があります。 ➀電話で相談する 国税局電話相談センター税務署の窓口 相続に関する税金の相談や質問には、国税局相談センターがよいでしょう。電話の対応専門の職員が常駐しているためスムーズに答えてもらえます。 税務署の窓口では電話対応以外の業務も兼任しているため、すぐに回答ができないこともあります。税務署から届いた書面や税金の支払いに関する相談が必要な場合に限定しておきましょう。 ➁税務署を訪ねて相談する 直接訪問する場合には、事前予約を行います。相談する税務署は被相続人の住所を管轄する税務署を選びましょう。相談する内容や必要な書類は、まとめて準備しておくようにします。 税理士に相談する 税理士に相談するのも一つの手です。税理士の場合、相続税に関する申告業務や遺産分割協議をはじめとする手続きに関するさまざまなアドバイスをしてくれます。 税理士の多くは無料相談を30分ほど行ってくれるので、預金通帳や確定申告書などの必要書類を用意したうえで相談を検討してください。 まとめ:遺産にかかる税金「相続税」を知って不安をなくそう 遺産にかかる税金「相続税」を知って不安をなくそう 遺産にかかる税金、相続税の基本的な情報についてご紹介しました。 相続税がかからないのは基礎控除まで、もしくは配偶者控除の1億6,000万円までとなります。相続税で注意する必要があるのは一次相続よりも二次相続の場合です。 また相続に関する相談は、国税局電話相談センターを利用します。相続税に関する知識を深めて、税金対策に備えていきましょう。

  • 遺言の作成は自作VS専門家どちらが良い?メリット・デメリットを解説

    遺言の作成は自作VS専門家どちらが良い?メリット・デメリットを解説

    遺言の作成は自作VS専門家どちらが良い?メリット・デメリットを解説 「そろそろ子育ても一段落して、自分たちの老後や子どもの将来が気になってきた」「終活ってなにから始めればいいのかな、遺言って必要?」そんな風に感じていませんか?実は遺言書は自分で作れます。ただし、作るのは大変です。 今回は、遺言書の種類と自分で作る場合、専門家に依頼する場合について解説します。 また、専門家に頼んだ場合の気になる費用についてもご紹介しますので、ぜひ読んでみてください。 遺言とは? 遺言とは? 遺言は一般的に遺言書として作成されます。では、遺言書を作成する目的は何でしょうか。 財産を遺す人の意思を表示するため相続トラブルをふせぐため相続手続きをやりやすくするため 主にこの3つが目的となります。ご自身がどうしたいかを明確にして遺言書に遺すのが大切です。 遺言書の種類 遺言書には大きく分けて2つの種類があります。早速、2種類の違いを見ていきましょう。 公正証書遺言 「公正証書遺言」は、公証人に作成してもらう遺言書を指します。公証人が作成するので、確実性の高い形式となります。 公正証書遺言の作成には費用がかかりますが、公証人が関与するので無効になりにくく、争いの種にもなりにくいのがメリットです。公証役場で原本を保管してくれるので、紛失・隠ぺいのリスクもありません。 自筆証書遺言 「自筆証書遺言」は遺言者が自筆で書く遺言書です。 以前はすべて自筆で書く必要がありましたが、現在では財産目録についてパソコンや代書での作成が可能です。ただし、主要部分についてはすべて自筆で書く必要があります。 基本的に自分で保管することになりますが、法務局で保管してもらえる制度もあります。 自宅で気軽に作成でき、費用もかからないのはメリットですが、公正証書遺言と比べると無効になるリスクも高くなります。 遺言書作成時に書く内容 遺言書を作成するには、どのような遺産があるのか把握しないといけません。事前に、財産に関する資料を集めてまとめましょう。 遺産の資料にあたるのは以下のようなものです。 不動産の登記簿預貯金通帳証券会社やFX会社、仮想通貨交換所の取引資料ゴルフ会員権生命保険証書骨董品などの明細書 財産については「財産目録」としてまとめます。「財産目録」が完成すると、誰に何を相続させたいのかを記載する必要があります。 他に、遺言執行者に誰を指名するのか記載します。最後に、ご自身の遺言書を書いた日付、署名、捺印をします。 遺言書は自分で作成できる 遺言書は自分で作成できる 実は、遺言書は自分で作成することが可能です。2020年7月から自筆証書遺言を法務局で保管してもらえる制度が開始されたことにより、今後さらに自分で遺言書を作成する人が増えると予想されています。 遺言書の作成方法 自分で遺言書を作成するとなると「自筆証書遺言」となります。自筆証書遺言は、財産目録を除き全て遺言者が自筆で書きます。タイトルや日付、本文から署名捺印については全て自筆です。 まずは、ひな形を用意し、ひな形にそって内容を記入します。ひな形は、遺言書作成について書かれた書籍などでも入手できますが、インターネットで探すとすぐに見つけられ、印刷もできるので便利です。 紙の大きさや材質などの指定はありません。横書きでも縦書きでもどちらでも良いです。ただし、鉛筆やシャープペンシルなど消えてしまいやすい筆記用具は避けると良いでしょう。 加除訂正の方法には注意が必要です。間違った場合には、以下のように訂正します。 訂正したい箇所に、元の文字が見えるよう、二重線を引く横書きの場合は二重線の上、縦書きの場合は二重線の左側に、正しい文言を記載する二重線のすぐ近くに、元の文字が見えるよう、訂正印を押印する横書きの遺言書では最終ページ最下部の余白、縦書きでは最終ページ最終行より左の余白に、付記として「第〇条中 ◯行目 ◯字削除 ◯字加入」のように訂正内容・遺言者氏名を記載する 修正テープを使ったり、塗りつぶしたりすると無効になる可能性があるので注意しましょう。 遺言書を自分で作成するメリット 自分で作成するメリットは以下のような内容です。 自宅で作成できる紙とペンがあれば作成できる費用がかからない 自宅で作成できるのはメリットでしょう。紙とペンがあれば、他のものを用意しなくても作成できます。 また、費用がかからないので気軽に作成できます。現在ではインターネットで検索すると遺言書の作成方法も見つかるのでそれを参考に書くのも良いですね。 2020年7月から自筆証書遺言を法務局で保管してもらえる制度が開始されたことにより、預ければ紛失の心配もなくなります。費用はかかりますが、公正証書遺言の作成費用に比べると安価で済みます。 遺言書を自分で作成するデメリット 自分で遺言書を作成するデメリットはこちらです。 様式不備で無効になるリスク自筆で書くのが大変自宅保管は紛失の可能性がある 自分で遺言書を作成した場合、様式不備で無効になるリスクがあります。財産目録以外全て自筆で書かなくてはいけないので、意外と大変です。 また、自宅で保管した場合には、紛失の可能性も。法務局での保管をすると費用がかかりますが、紛失のリスクが無くなります。 遺言書を書く時に何を書いたら良いか分からない。そんな方は専門家に依頼したほうが遺言内容も相談することができますね。 遺言書を専門家に依頼する 遺言書を専門家に依頼する では、遺言書の作成を専門家に依頼する場合はどこに依頼すれば良いのでしょう。遺言書の作成を依頼できる専門家と依頼するメリット・デメリットについてもご紹介します。 遺言書の作成を依頼できる専門家は? 遺言書作成の相談先として、弁護士・司法書士・行政書士などがあります。 遺言書に記載したい内容にもよりますので、どの専門家に相談すれば一番良いというのはありません。相談したい内容によって、依頼する専門家を選ぶのがベストです。 遺言書を専門家に依頼するメリット 相続対策やトラブルの未然防止について、適切なアドバイスをしてくれます。遺言者の希望を汲み取り、遺言書の内容を提案してくれるでしょう。 公証人役場との打ち合わせを代行してくれ、証人にもなってもらえます。そのため、自分で作成するより、無効になるリスクも少ないです。 遺言書を専門家に依頼するデメリット 一番のデメリットは自分で作成するのと違い、費用がかかる点でしょう。費用については、次に詳しく説明します。 そのほか、何度も専門家の元を訪れ、遺言書の内容をすり合わせする必要があり、働いている方にとっては時間の捻出も必要になる場合があります。そのような方はテレビ電話やメール、電話、郵送等で対応可能な専門家に依頼することをおすすめします。 専門家に遺言書作成を依頼した場合の料金は? 専門家に遺言書作成を依頼した場合の料金は? 公正証書遺言の作成を専門家に依頼した場合、目安として10~20万円程かかる場合が多いです。あらかじめ、相談する際に具体的にどの位の費用がかかるのか聞いてみるのも良いでしょう。 とくに、弁護士に遺言書の作成を依頼した場合は、司法書士や行政書士より高くなる傾向があります。遺言執行者の就任も合わせて依頼した場合には、最低でも30万円はかかると考えたほうが良いでしょう。 ただし、弁護士に依頼すると「代理権」があるため相続で争いが起きたときには有効です。あらかじめ、争いごとが予想できる場合には、費用が高額でも弁護士に依頼するのが良いでしょう。 まとめ:遺言書の作成は専門家に相談しよう 遺言書の作成は専門家に相談しよう 遺言書の作成について、自分で作成する方法と専門家に依頼する方法それぞれのメリット・デメリットをご紹介しました。 遺言書は遺された人達にとって重要な物になります。せっかく作成した遺言書が無効になってしまうと悲しいですよね。 やはり、専門家に依頼するのがベストです。専門家に相談する場合も、遺言の内容や金額で頼む専門家を選ぶと良いでしょう。 ただし、費用面など気になる方はインターネットや書籍などで充分に調べてから遺言書作成を行いましょう。

  • 【遺言書作成】弁護士費用相場を解説!作成の流れやメリットについても

    【遺言書作成】弁護士費用相場を解説!作成の流れやメリットについても

    【遺言書作成】弁護士費用相場を解説!作成の流れやメリットについても 相続トラブルを避けるためには遺言書を作成することが重要です。遺言書の作成を専門家である弁護士に依頼したいけれど、費用が高そう、どのような流れになるのかわからないと困っている方もいらっしゃるでしょう。 この記事では、遺言書作成を弁護士に依頼する場合の費用の相場や遺言書作成の流れ、弁護士に遺言書作成を依頼することのメリットについて解説していきます。 遺言書を作成して相続に備えよう 遺言書を作成して相続に備えよう 遺言書を作成しておかないと、相続が発生した場合に、自分の思うように遺産を引き継がせることができなかったり、遺産争いとなってしまったりする危険があります。 自分の死後の家族を心配することがないように、遺言書を作成して相続に備えておくことは重要です。 遺言書には、自筆証書遺言と公正証書遺言の2種類の形式があります。自筆証書遺言は、手書きで簡単に作成できるものですが、形式面の不備で無効となってしまうケースも多いです。公正証書遺言は、公証人が公正証書の形式で作成する遺言書です。作成には手間と手数料がかかりますが、形式面でも安心して正確な遺言書を作成するには、公正証書遺言をおすすめします。 遺言書作成にかかる弁護士費用の相場 遺言書作成にかかる弁護士費用の相場 遺言書を作成するには、形式面や内容面で専門的な知識がないと難しいこともあります。その場合、遺言書の作成を弁護士に依頼するのが安心ですが、弁護士に依頼するとなれば費用の心配をされる方も多いでしょう。 ここでは、遺言書作成にかかる弁護士費用の相場について説明します。 相談費用 遺言書作成のアドバイスを求めたり、作成を依頼したりするための相談費用としては、30分あたり5,000円が相場となります。事務所によっては、初回の相談を無料としているところも多くあります。 遺言書作成費用 日弁連が実施したアンケートによると、遺言書作成費用の相場は20万円程度です。 遺言書の作成費用は、自筆証書遺言と公正証書遺言のいずれを作成するのか、財産の内容はどのようなものであるのかによって変わりますので、詳しくは相談の際に聞いてみるようにしましょう。 遺言執行費用 遺言書の執行までを弁護士に依頼する場合には、遺言執行費用もかかります。遺言執行費用としては、財産額の数パーセントに一定の金額を加えたものとしている事務所が多いです。 多くの事務所が参考にしている、弁護士会の旧報酬基準では、遺産の額が3,000万円以下の場合には、2%+24万円、3,000万円を超え1億円以下の場合には、1%+54万円となっております。 そのほかの費用 遺言書の保管を弁護士に依頼する場合には、別途保管費用が発生する可能性があります。また、公正証書遺言を作成する場合には、弁護士費用とは別で公正証書の作成費用も必要です。 遺言書作成を弁護士に依頼する4つのメリット 遺言書作成を弁護士に依頼する4つのメリット 遺言書作成を専門家に依頼すると何となく安心することもあるでしょうが、ここでは遺言書作成を弁護士に依頼する具体的なメリットについて解説していきます。 遺言書作成を弁護士に依頼する具体的なメリットとしては、次の4つを挙げることができます。 法的に正確な内容の遺言書を作成できる遺言書作成に必要な財産の調査もできる遺言書の作成から遺言書の執行まで対応できる相続トラブルとなった場合の対応もできる 一つずつ見ていきましょう。 法的に正確な内容の遺言書を作成できる 遺言書の作成には、正確な法的知識が必要です。知識なしに遺言書を作成すると、最悪の場合には形式が間違っていて遺言そのものが無効になることもあります。 また、法定相続人に最低限認められる遺産の取り分である遺留分を意識せずに遺言書を作成すると、せっかく遺言書を作成したのに、結局は遺産争いが生じてしまうこともあるでしょう。 弁護士に依頼することで、遺留分などにも配慮して、法的に正確な内容の遺言書を作成できます。 遺言書作成に必要な財産の調査もできる 正確な遺言書を作成するためには、財産の内容も正確に把握することが重要です。 遺言書作成を弁護士に依頼することで、財産の内容を把握するための調査も合わせて行うことができます。 財産の記載漏れなどがあると、遺言書を残していても記載が漏れていた財産について遺産争いが生じる場合もあるので財産の調査を行うことは重要です。 遺言書の作成から遺言の執行まで対応できる 遺言書の作成を依頼した弁護士に遺言の執行まで依頼することで、亡くなったあとの対応についても一括して対応してもらうことができます。 被相続人が亡くなってから、遺言執行の対応のみをするとなれば、詳しい事情がわからずに手続きが上手く進まないこともあるでしょう。 被相続人の生前から事情を把握している弁護士が遺言執行まで担当することは、手続きをスムーズに進めるうえでも有効な方法と言えます。 相続トラブルとなった場合の対応もできる 実際に遺産争いなどが生じてしまってから誰かに相談するよりも、生前からよく事情を知っている弁護士がトラブルの対応をできるのは問題を解決するうえで大きなメリットといえるでしょう。 あとにも説明しますが、弁護士以外の専門家は、基本的に相続トラブルの問題には関与することができません。 遺言書作成を弁護士に依頼する際の流れ 遺言書作成を弁護士に依頼する際の流れ ここでは、実際に遺言書作成を弁護士に依頼するまでの流れについて解説します。 弁護士を探す まずは、遺言書作成の相談をする弁護士を探す必要があります。知り合いに弁護士がいない場合などは、インターネットで検索する、法テラスを利用するなどの方法により弁護士を探すことができます。 事務所のホームページで、遺言作成の詳しい対応について説明している弁護士も多いので、自分に合いそうな弁護士を探して相談の予約をしてみましょう。 弁護士と相談する 弁護士と相談する際には、家族構成や財産の内容がわかる資料を持参するようにしましょう。心配事など、聞きたいことをまとめておくと、相談時間を有効に活用することができます。 相談の際には、遺言書作成を実際に依頼する場合の費用や、どれくらいの期間がかかるかなどを確認するようにしましょう。 弁護士と契約する 相談のうえで弁護士に依頼する場合には、弁護士と契約を締結します。かかる費用や対応してもらう内容など、認識が合っているのか確認することが重要です。 遺言書の作成 契約が締結されると、実際に遺言書の作成が進められます。 遺言書の作成にかかる期間は、家族構成や財産の内容、遺言書の形式によってさまざまです。早ければ数日のうちに、長ければ数か月かかる場合もあるので、弁護士に期間の目安を確認しておくようにしましょう。 弁護士以外の遺言書作成の専門家との違い 弁護士以外の遺言書作成の専門家との違い 遺言書の作成は、弁護士以外にも行政書士や司法書士も専門としている場合があります。ここでは、弁護士以外の専門家と弁護士との違いについて解説します。 行政書士や司法書士も遺言書作成をしている 行政書士は文書作成の専門家として、司法書士は相続登記などの専門家として遺言書作成を受け付けていることがあります。 遺言書作成自体については、取扱件数も多く専門的に行っているところもありますので、行政書士や司法書士に依頼することも手段の1つと言えます。 弁護士とほかの専門家との違い 弁護士とほかの専門家との決定的な違いは、代理権が認められるか否かということにあります。 行政書士や司法書士は、相続トラブルとなった際に代理人としての対応ができません。そのため、相続トラブルが発生する場合には弁護士に、その心配がない場合には行政書士や司法書士に依頼することも1つの選択肢といえるでしょう。 遺言書作成を弁護士に依頼する際の注意点 遺言書作成を弁護士に依頼する際の注意点 遺言書の作成は、大きな財産を取り扱うことになる問題です。そのため、弁護士であれば誰に依頼してもよいということはなく、次の点に注意する必要があります。 経験のある弁護士を選ぶ 弁護士であっても、遺言書作成の経験がない弁護士もいます。 そのため、遺言書の作成を依頼する場合には、遺言書作成の経験が豊富な弁護士を選ぶのが安心です。 経験のない弁護士に依頼すると、必要な対応ができずに逆に手間がかかることもあるでしょう。 複数の弁護士を比較する 相談する弁護士を決める場合や、相談のあとでも納得できないような場合には、複数の弁護士を比較するべきです。 無料相談を実施している事務所も多いので、複数の事務所で無料相談を受けてみて自分に合う弁護士を選ぶのもよいでしょう。 まとめ:遺言書作成は弁護士に 遺言書作成は弁護士に 遺言書作成を弁護士に依頼する場合の費用やメリットなどについて解説しました。 亡くなったあとの家族の安心のためには遺言書を作成することが重要です。正しい遺言書を作成し、亡くなったあとのサポートも安心して受けられるためには、弁護士に遺言書作成を依頼することをおすすめします。

  • 残す家族へ想いを届ける|想いの届け方や伝えるべき内容をご紹介!

    残す家族へ想いを届ける|想いの届け方や伝えるべき内容をご紹介! 終活を進めていくうえで、残してしまう家族に届けたい想いが出てくるのは当然です。今回は、家族に届けたい想いが出てきた方に向けて、想いの届け方や伝えるべき内容についてご紹介します。 ただし、ここで紹介するのはほんの1例であり、必ずこうしなければいけないといったきまりは特にありません。間違いなどはないので、あなたのまっすぐで素直な想いを残しましょう。 残す家族に想いを届ける 残す家族に想いを届ける 想いを残したいけど残される家族は想いを残して迷惑と思われないか、不安に思っている方もいるかも知れません。 残される家族はあなたの想いを残してほしいと思っているのでしょうか?また、どのくらいの方は家族に想いを残したいと思っているのでしょうか? 8割の子どもが想いを残して欲しいと思っている もし想いを残しても迷惑と思われないか不安に思っている方がいれば、そんな心配は全くありません。8割の子どもが親に本心や想いを残してほしいと思っています。[1]  いままで大切に育ててきてくれた親だからこそ、最後に今までの想いや本心を聞きたいと思うようです。 あなた自身の想いや希望家族への想い相続について今までは言えなかった話しあなたの今までの体験談家族との思い出家族への応援や励まし 特に、これらの想いを残して欲しいと思う方が多いようです。普段はあまりゆっくり話す内容ではないからこそ、最後の最後にどう想っていたのか残して欲しいのでしょう。 あなたが亡くなったあとで、家族が前向きに過ごせるように前向きな言葉を残してあげるとよいでしょう。 3割以上の方が家族に想いを残したい 終活を進めていくうえで、約3割以上の方が家族に想いを残したいと思うようです。[2] 終活は亡くなった後の片付けや整理だけではなく、今までの人生を振り返る時間でもあります。 アルバムの整理や思い出品の整理をすると、多くの思い出がありより多くの時間を過ごした家族に対しての想いが溢れてくるのでしょう。家族への溢れた想いをどのように残すかは、人それぞれあり自由です。 手紙などに文字で伝える生きている間に自分で伝えるビデオなどの動画で伝える 多くはこれらの方法を選ぶ場合が多いようです。ただ、家族に自分の本心を伝えるのは照れくさく感じる方が多いようで、手紙やビデオなどの動画を選ぶ方がほとんどです。 残す家族に想いを届ける3つの方法 残す家族に想いを届ける3つの方法 生きている間に自分で伝えるのではなく、亡くなったあとの家族に想いを届ける方法は主に3つあります。 エンディングノート手紙ビデオメッセージ これ以外にも思いつく方法があればそちらでもよいでしょう。どの方法を選ぶのかはあなた次第です。 しかし、どの方法であっても必ず家族に向けたメッセージを残していると伝えておきましょう。サプライズとして用意する方もいますが、誰もメッセージの存在を知らなかった場合、気付いてもらえない可能性があります。 最悪の場合、気付かれず遺品整理の際に処分されてしまうかもしれません。家族に秘密にしたいのであれば友人など、誰かにメッセージの存在を明かしておいてください。 できればその方に、自分が亡くなったら家族にメッセージを届けるようにお願いしてもいいでしょう。 エンディングノート 終活を始めるにあたり、いろいろな情報を書き残すためにエンディングノートを用意する方も多いでしょう。ほとんどのエンディングノートには、家族への想いを書き残すページが用意されています。 「あなたが一番思い出に残っているできごとは?」といった、質問形式で想いを残せるものもあります。家族に想いを残したいけど、何から書いたらよいのか迷う方は、このような質問形式でいろいろな想いを残せるエンディングノートを探してみましょう。 手紙 手紙は昔から想いを伝えるために使われてきたものです。どんな便箋を使うのか、どんな想いを伝えたいのか、何度も書き直しながら書きすすめる手紙は残された家族の今後の宝物となるでしょう。 手紙とは少し違うかもしれませんが、遺言書の付言部分に家族への想いを残す方もいます。付言とは、遺言書の最後に記載できるものです。書式やきまりに縛られず、自由に好きなだけ想いを書き綴れます。 ビデオメッセージ 最近は、ほとんどの方がスマホやカメラなどの手軽に動画を撮影できる機器を持っています。また、文字が書けない状態でも家族に想いを残せるため多く選ばれている方法です。 実際の姿や表情、声を残せるため、エンディングノートや手紙よりも多くの想いを家族に残せます。動画の撮影は自分で行うか、友人や家族にビデオメッセージの撮影をお願いしてもよいでしょう。 終活のビデオメッセージを撮影してくれるスタジオや業者もいます。 ただし、スタジオや業者に依頼した場合は当然お金がかかります。安くて4〜10万円程、こだわって編集などを依頼すると30万程度かかる場合もあるので、終活費用と相談しつつ業者の担当と相談しましょう。 家族にどんな想いを届けるといいの? 家族にどんな想いを届けるといいの? 遺言書とは違うので、書かなくていけない事項や書いてはいけない事項はありません。しかし、自由だからこそ何を残そうか迷うかもしれません。 家族への愛情や感謝言えなかった謝罪お願い相続について 多くの方は上記の4つを残しているケースが多いです。あくまで一例ですが、ぜひ参考にしてください。 家族への愛情や感謝 想いを残す場合、ほとんどの方が家族への愛情や感謝を残しています。日頃、家族に対して愛情や感謝をはっきりと伝えていますか? 照れくさかったり、恥ずかしかったりしてなかなか伝えられない想いも、亡くなったあとに見せるメッセージならはっきりと伝えられるでしょう。 言えなかった謝罪 仲違いしてしまった方や過去の行動に対して後悔しているのであれば、ぜひ想いを残しましょう。今まで謝罪をしても受け入れてもらえなかった場合でも、亡くなったあとに残した謝罪であれば受け入れてもらいやすくなります。 亡くなる寸前まで後悔しているくらいなら、メッセージをのこし心残りを解消してスッキリとした残りの人生を過ごしましょう。 お願い 亡くなったあと何か希望やお願いがあれば残しておきましょう。 家族同士仲良く過ごしてほしい遺骨や位牌をもって回って欲しい場所ペットの今後遺品整理について亡くなったと伝えてほしい友人や知人 心配事があれば、家族に想いを残すこのタイミングで伝えておいてもよいでしょう。 相続について 相続について触れる方も多いです。ただし、家族に想いを残すタイミングで遺産分割方法について触れても問題はありませんが、遺言書ではないので法的効力はありません。 しっかりと遺産分割方法について指定したい場合は、遺言書に遺産分割方法を記載し、こちらでなぜこのような内容にしたのかを伝えましょう。 遺言書だけではなく、実際にどんな想いで財産を分けたのかわかるため、納得してもらいやすくなります。遺産相続で家族に揉めてほしくないのであれば、相続について触れておきましょう。 まとめ:想いを届けるのは家族にとってもあなたにとってもよいこと 想いを届けるのは家族にとってもあなたにとってもよいこと いかがでしたか?今回は、想いを届ける方法や伝えるべき内容について紹介しました。 どんな方法で想いを届け、どんな内容を伝えるか、考えはまとまりましたか?残すメッセージに伝えてはいけない、伝えなければいけない内容にきまりは全くありません。自由だからこそ、あなたらしい想いを家族に届けましょう。 想いを届けるのは残してしまう家族にとっても、あなたが後悔のない最後を迎えるためにもよいです。ぜひ少しずつ、残す想いについて考えてみましょう。 参照元URL:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000005.000049866.html 参照元URL:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000005.000049866.html

  • 残す資産で家族が揉めないためにやっておくべきことをご紹介!

    残す資産で家族が揉めないためにやっておくべきことをご紹介! 自分は家族に残せる遺産が少ないから、残した遺産で家族が揉めるような事態にはならないと安心していませんか?また、どんな遺産を家族に残せるのかしっかりと把握していますか? 今回は、残す遺産で家族が揉めないためにやっておくべきことをご紹介します。自分たちは関係ないのではなく、少しずつ家族に残す遺産について考えていきましょう。 家族に残す遺産とは 家族に残す遺産とは 家族に残す遺産といえば、お金や土地を思い浮かべる方が多いです。しかし、実際には多くの方が思い浮かべるお金や土地といった正の遺産にも相続税がかかるものと、かからないものがあります。 また、注意すべきは負の遺産といわれるものです。どういったものが該当するのか、くわしく見てきましょう。 相続税のかかる正の遺産 まずは多くの方が家族に残す遺産として意識している、相続税のかかる正の遺産です。国税庁は相続税のかかるものとして、以下のように決められています。 「死亡した人の財産を相続や遺贈(死因贈与を含みます。)によって取得した場合に、その取得した財産にかかります。」 引用:『No.4105 相続税がかかる財産』 この決まりに該当し、主に相続税がかかるものは以下の9つです。 現金預貯金有価証券宝石や貴金属土地家屋貸付金特許権著作権 これらの金銭に見積もれる経済的価値のあるものすべてに相続税がかかります。 意外と知られていないのが、特許権や著作権でしょう。もし、特許権や著作権を持っているのであれば、必ずその旨やいくら位の収入があるかを家族にわかるようにしておくとわかりやすいです。 相続税がかからない遺産 亡くなった方から引き継ぐもので経済的価値のあるものはすべて相続税かかるといいましたが、一部例外もあります。 相続税がかからない遺産例外墓地・墓石・仏具・神棚など骨董品として所持していた金の仏像など弔慰金・花輪代など業務上の死亡(普通給与の3年分を超える場合) 業務上の死亡ではない(普通給与の半年分を超える場合)生命保険金・退職手当金500万円×法定相続人の数以上の金額損害賠償金財産的損害(付添看護費や医療費などに対する賠償金を請求権)、逸失利益寄附した財産-相続税がかからない遺産 上記の5つは一定条件をクリアすれば相続税がかかりません。しかし、例外として記載した条件を外れた場合は相続税がかかります。 生命保険は場合によって相続税がかかる 先程、生命保険に関しては500万円×法定相続人の数以下の金額は相続税がかからないとお伝えしましたが、それを超える場合には相続税がかかります。 また、生命保険の中でも以下のようなものについては、被相続人自体が受取人の場合には相続税の課税財産となります。 入院給付金手術給付金通院給付金ガン診断一時金特定疾病保険金先進医療給付金就業不能給付金 さらに、死亡保険や満期保険金は契約者や被保険者に誰が該当しているかによって、税金の種類が変わることにも注意が必要です。 契約者=被保険者(相続税)500万円×法定相続人の数までは相続税がかかりません。契約者=保険金受取人(所得税)支払った保険料を差し引いた分から所得税を支払います。契約者・被保険者・保険金受取人がそれぞれ違う(贈与税) 所得税や贈与税は金額に応じた分を支払う必要があります。   できれば家族に残したくない負の遺産 遺産は何も先程紹介した正の遺産だけではありません。問題はできれば家族に残したくない負の遺産です。 借入金やローン未払金保証金や預り金保証責務や連帯責務公租公課 これらはあなたが亡くなった場合、残された家族に相続されます。 借入金やローンは負の遺産としてわかりやすいですが、意外と家族に伝えずにあとからトラブルになるのは連帯保証人です。連帯保証人になっている場合は誰の、どんな保証人になっており、いくらの借入金額なのかしっかりと家族に残しておきましょう。 相続放棄や限定承認といった選択 負の遺産があった場合や正の遺産であっても何らかの事情で遺産を相続したくない場合、残された家族には2つの選択肢があります。 1つ目は、正の遺産と負の遺産の両方の相続権を完全に放棄する相続放棄。2つ目は、正の遺産の金額が負の遺産を上回っている場合、正の遺産で負の遺産を支払い残った正の遺産分を相続する限定承認です。 どちらも申述期間は相続開始(亡くなった事実を知って)から3ヵ月以内です。相続人が複数いる場合に相続放棄や限定承認を行う場合は注意してください。 相続放棄に関しては複数人いる相続人のうち1人だけ相続放棄して、ほかの方は相続できます。しかし、限定承認は相続人全員が同意しなければ限定承認は行なえません。 残した遺産で揉める家族の特徴 残した遺産で揉める家族の特徴 ここでは、遺産で揉める家族の特徴を紹介します。 家族に残せる遺産は少ないから遺産で揉めたりしないだろうと安心していませんか?遺産で揉めた割合と相続金額は1,000万円以下で約33%、5,000万円以下で約42%です。遺産で揉める理由に相続金額はさほど関係ありません。 それではどんな特徴がある家族が遺産で揉めるのでしょうか? ➀相続人が仲が悪いか疎遠 相続人同士が仲が悪かったり、疎遠だったりすると遺産分割の際に行われる話し合いがスムーズに進まず、揉める場合が多いです。仲が悪い場合は、遺産をより多くもらいたい者同士で譲り合えず、揉める可能性があります。疎遠だった場合、そもそも遺産分割の話し合いに参加できない可能性があります。 また、遺産分割をする際には相続人全員の参加が必要です。委託したり、異議申し立てをしない約束で不参加で行う場合もありますが、連絡が取れる前提です。疎遠の場合、そもそも遺産分割を行う連絡すらできない場合があります。 ➁1人が高額の贈与を受けていた 相続人のうちの1人が高額の生前贈与を受けていた場合も、揉める原因になります。生前贈与がなければ、遺産がもっと残っていたかもしれない、生前贈与をもらっているのに遺産を平等に分けなければいけないのかといった問題が発生します。 特に、有効な遺言書がない場合は相続人同士の話し合いで決まりますが、かなり揉めるケースが多いです。 ➂金融資産以外の資産が多い お金など割れるものであればよいのですが家や土地などの不動産が多い場合、どう分けるのか選択肢が増えるため揉める原因になります。不動産の場合主に4つの選択肢があります。 現物分割換価分割代償分割共有 相続人が現在住んでいる場合は特に揉めやすいです。 ➃相続人に何らかの支障がある 相続人がもし認知症だった場合、きちんとした判断ができるか分からず相続の内容を一切理解していない可能性があります。そのような正常な判断ができないとされた場合は、成年後見人を選任します。 行方不明で連絡が取れない場合も、失踪宣言や不在者財産管理人を選任しなければいけません。これらの手続きは家庭裁判所で行うため、手間と時間がかかります。 ⑤想定外の相続人がいた 亡くなった方の前妻や前夫に子どもが居た場合、家族が知らない子どもが居た場合、血縁者であるため相続権があります。しかし、想定外の相続人と公平な相続を行いたくない相続人がいれば揉める原因になります。 ⑥介護負担が相続人で異なる 亡くなった方の介護を子どものうちの誰か一人だけが行っていた場合、介護分をほかの相続人よりも多く貰おうと思うため揉めやすくなります。一応、民法では介護を行っていた相続人に対してほかの相続人よりも多く相続できる制度があります。 しかし、それが認められるか、どの程度多く相続できるかは相続人同士で決めるため、揉める割合がかなり高いです。 ⑦遺産が使い込まれていた 亡くなった方の財産管理を相続人が1人で行って使い込んでいた、使い込みが疑われる状況の場合、遺産が少なくなるため揉める原因になります。また、相続についての話し合いの際に遺産の一部しか開示せず、揉める場合もあるので財産管理は複数で行うか、書面等ではっきりと残しておくとよいでしょう。 残した遺産で家族が揉めないためにやっておくべきこと 残した遺産で家族が揉めないためにやっておくべきこと 家族が遺産で揉めないため、生前にやっておくべきことはあります。自分が残した遺産で家族が揉める状況を望む方は居ないでしょう。それでは、家族が揉めないためにやっておくべきことを2つ紹介します。 遺言書を作る 相続で起こる揉めごとへの対策として有効なのが遺言書です。 ただし、便箋などに相続の割合を書くような簡易的なものではなく、弁護士や司法書士に依頼して、法的に有効な遺言書を作ってもらいましょう。「長男にすべて相続させて長女は0」など、よほど無茶苦茶ではない限り、法的に有効な遺言書が遺産相続の場では最も有効です。 エンディングノート 最近は早くに終活を始める方も多く、エンディングノートを書く方も増えています。エンディングノートは、財産や介護など意思疎通が難しい場合や死後にまつわるさまざまな希望を書き残すためのものです。 しかし、あくまで希望であり、遺産分割方法について記載はできますが遺言書のような法的効力はありません。エンディングノートに書いてある財産分与を採用するかは、相続人任せになりますので、あくまでも家族同士が揉めないように作っておくとよいでしょう。 家族信託の活用 家族信託とは、判断能力が低下する老後に備えて、持っている不動産や預貯金等の遺産を信用できる家族に管理や処分を任せる方法です。遺言書よりも幅広い遺産の承継ができます。 家族が遺産で揉めないために生前からの準備を 家族が遺産で揉めないために生前からの準備を いかがでしたか?今回は、残す遺産で家族が揉めないためにやっておくべき2つをご紹介しました。家族が揉めないための対策をやって無駄になることはありません。 家族には揉めずに仲良くして欲しいと思うのは当然ですよね。自分の所は大丈夫と決めつけるのではなく、できる限り家族が遺産で揉めないために生前から準備をしておきましょう。

  • 【夫婦】財産分与とは何か?遺産分割との違いも含めて詳しく解説

    【夫婦】財産分与とは何か?遺産分割との違いも含めて詳しく解説 財産分与とは何でしょうか。単語は知っているけど、「遺産分割」と「財産分与」の違いを知らない方は多くいるのではないでしょうか。今回はそんな難しいけど問題なく解決したい財産分与について解説していきます。 財産分与と遺産分割の違いとは 財産分与と遺産分割の違いとは これまで「遺産」や「財産」などに関わる機会が少なかった方たちからすると、「財産分与」と「遺産分割」の違いは何か、わかりにくいのではないでしょうか。 「財産分与」と「遺産分割」は、いずれも財産・遺産を分ける手続きの際に用いられる言葉ですが、場面が全く異なっています。 財産分与とは 離婚をした者の一方が他方に対して財産の分与を請求できる制度を言います。 財産分与はこれらに基づいて定められています。 夫婦が共同生活を送る中で形成した財産の公平な分配離婚後の生活保障離婚の原因を作ったことへの損害賠償の性質 特に、1つ目の意味合いが強いとされています。つまり、離婚してもなるべく今までと同じレベルの生活を続けられるように均等に分けましょうといったものです。 遺産分割とは 遺産分割とは、被相続人(亡くなった方)の財産を相続人で分配する手続きのことです。被相続人が死亡した場合、残された財産(遺産)は、何人かの相続権のある方の中で共有状態になっています。ですので、相続人間で遺産の所有を確定させなければなりません。この遺産の所有を確定するために、遺産分割が必要となります。 財産分与の対象となる資産はどこまでなのか 財産分与の対象となる資産はどこまでなのか では、財産分与の対象となるのはどこからどこまでなのでしょうか。 一緒に生活していたのですから、家や家具家電はもちろん、貯金やペットなどはどうなるのでしょうか。 夫婦のいずれか一方の名義になっている財産であっても、実際には夫婦の協力によって形成されたものであれば、財産分与の対象となります。 離婚までに協議をしておき離婚と同時に分与するのが最もよいでしょう。離婚をしてから分与を請求することもできますが、離婚から2年以上経過してしまうと、家庭裁判所に申立てができなくなりますので、お気をつけください。 財産分与で注意すべき点 財産分与で注意すべき点 実際、財産分与をするとなった場合に注意すべき点はいくつかあります。お金や財産のお話ですので、しっかり注意しましょう。 相続した遺産を配偶者が「財産分与の対象だ」と言って話し合いがまとまらない 相手が相続した遺産を配偶者が財産分与の対象ではないかと申し出てくる場合がよく見られます。しかし、相続した遺産は共有財産ではないため、財産分与の対象財産にはなりません。 単独名義の不動産について 例えば、婚姻中に夫の収入で土地や建物を購入して夫の単独名義になっているとしましょう。その場合、家事の分担などによって異なります。名義人がほぼ100%で働き、かつ家事もこなしていたのであれば、名義人の物になります。 妻が家事等を分担して夫を支えていたときは、その建物は、実質的には夫婦2人の財産といえると考えられます。 相続したペットは財産分与の対象になるのか 家族・子として育ててきたペットも、法律上は「物」として扱われることになります。 そのため、離婚するにあたって、夫婦間でペットの引き取りについて揉めた場合には、離婚における財産分与の問題として考えていく必要があります。 夫婦が結婚後に飼育することになったペットに限られ、結婚前に夫婦の一方が飼育していたペットは、従前から飼育していた者の所有物として扱われるため(民法762条1項)、夫婦の共有財産の清算である財産分与の問題は生じません。つまり、相続したペットも上記同様、共有財産ではないため、財産分与の対象とはなりません。 遺産・財産分与はできれば弁護士に依頼しよう 遺産・財産分与はできれば弁護士に依頼しよう 夫婦間で相談した結果、分からないことがあった場合は弁護士に相談するのがよいでしょう。財産は大切なものですので、些細なことでもわからなければ相談してください。 弁護士に依頼することで財産を探すことができる 弁護士に依頼することで、自分たちでは気が付かなかった共有財産が出てくる場合があります。貰い損ねることのないよう、気になる場合はすぐにでも相談してみましょう。 自分で交渉するよりも、多くの財産を得られる可能性がある また、しっかりとした国家資格を持っている方である弁護士に相談することによって、どちらのものか分からず曖昧な物をはっきりと区別が出来るでしょう。 調停に同席し、主張をサポート 離婚調停になった場合、弁護士が同席してくれるので分からないことも説明してくれる心強い存在になることでしょう。これまで、弁護士に相談したことない方は金銭面とかで躊躇してしまうかもしれませんが、初めは無料で相談できる場所も多くありますので1度行ってみるのも手です。 相続した遺産は財産分与の対象となるのか 相続した遺産は財産分与の対象となるのか 先程も少し出てきましたが、相続した遺産は財産分与の対象とならないのが原則です。 法定財産制における夫婦の財産には共有財産と特有財産があります。共有財産とは、婚姻期間中に夫婦の協力によって取得し維持した財産をいいます。特有財産とは、婚姻前から夫婦の一方が有していた財産あるいは、婚姻中でも夫婦の協力とは無関係に取得した財産をいいます。 離婚にともなう財産分与の対象となるのは共有財産のみです。財産分与は、夫婦の共有財産を婚姻関係の解消にともない公平に分配する清算的要素をその中核とするからです。 まとめ:遺産分割と財産分与は別物 遺産分割と財産分与は別物 遺産分割と財産分与は全くの別物です。名前は少し似ていますが、遺産分割はその財産を持った方が亡くなった場合に相続人で財産を分けること、財産分与は離婚する際に、夫婦間で共有していた財産を分けることです。 共有財産は均等に分け、名義人が片方であってもどのように使用していたかによって分け方が異なってきます。 もし、分からない場合はきちんと法律を理解している専門家である弁護士に相談してはいかがでしょうか。

  • 【終活】遺産とは?相続人に当たる人物や手続き方法などについて解説

    【終活】遺産とは?相続人に当たる人物や手続き方法などについて解説 もし親戚や親、旦那さんや奥さんが亡くなったら遺産はどうなるのでしょう。相続人は誰になるのでしょうか。今回は、そんな難しい話をどんな方でもわかりやすいように解説していきます。 遺産とは 遺産とは 遺産とは、亡くなった人が所有していたすべての財産のことを言い、「相続財産」とも呼ぶ事もあります。財産といっても金銭的な価値をもつプラスの財産(積極財産)のみではありません。借金などといった弁済しなくてはならないマイナスの財産(消極財産)も遺産に含まれます。 相続の対象となる財産には「プラスの財産」と「マイナスの財産」があります。これらの中には、ネット銀行の預金やネット上の証券口座にある株式、仮想通貨(暗号資産)のように、デジタル化されているために被相続人でなければ存在を把握しにくい財産もあるので、実際の遺産確認の際には注意が必要です。 【プラスの財産】 現預金外国通貨自宅用の建物と土地、賃貸用の建物と土地、店舗田畑、山林、空き地、立木など有価証券(株式、投資信託、公社債など)債権(売掛金、貸付金、立替金、被相続人が受取人の生命保険金請求権など)借家権・借地権家庭用財産(車、家具、宝石、宝飾品、絵画、書画、骨とう品など)ゴルフ会員権船舶・飛行機など仮想通貨(暗号資産)知的財産権(特許権・著作権など)慰謝料請求権・損害賠償請求権電話加入権プラスの財産 【マイナスの財産】 借金(ローン、クレジットカードの未決済分)買掛金医療費や水道光熱費などの未払経費未払税金未払家賃・未払地代未払いの慰謝料・損害賠償金預り金(敷金、保証金など)保証債務マイナスの財産 マイナスの財産については、これらを相続により引き継いだ場合、相続人が弁済する義務を負います。 相続人とは 相続人とは 相続人とは、被相続人がなくなった場合に財産を相続する人間を指します。 配偶者はどうなるのか 死亡した人の配偶者は相続人となります。もし配偶者がいなかった場合など、配偶者以外の人は次の順序で配偶者と一緒に相続人になります。 相続するにあたっての順位とは なお、相続を放棄した人は初めから相続人でなかったものとされ、内縁関係の人は相続人に含まれません。 第1順位:死亡した人の子ども その子どもが既に死亡しているときは、その子どもや孫などが相続人となります。 第2順位:死亡した人の直系尊属(父母や祖父母など) 父母も祖父母もいるときは、死亡した人により近い世代である父母の方を優先します。 第2順位の人は、第1順位の人がいないとき相続人になります。 第3順位:死亡した人の兄弟姉妹 その兄弟姉妹が既に死亡しているときは、その人の子どもが相続人となります。第3順位の人は、第1順位の人も第2順位の人もいないとき相続人になります。 孫が代わりに相続する「代襲相続」とは 代襲相続(だいしゅうそうぞく)とは、被相続人より先に相続人が亡くなっている場合に、被相続人から見て「孫」「ひ孫」「甥、姪」等が相続財産を受け継ぐことをいいます。 養子の立ち位置 相続人が養子でも、実の子どもとして取り扱われます。 つまり養子はすべて法定相続人の数に含まれます。 相続人が未成年だったらどうなるのか 未成年者が相続人になる場合、未成年者には「代理人」を立てる必要があります。通常、代理人は親が務めます(法定代理人)。 しかし、親も未成年者である子も、ともに相続人で、相続人全員で遺産分割協議が行われる場合などは、親が未成年者の代理人になれないことがあります。このような場合には、「特別代理人」の選任を家庭裁判所に申し立てる必要があります。そして代理人は未成年者に代わり、遺産分割協議や手続書類の記入・捺印等を行うことになります。 ただし、未成年者であっても結婚している等、成人とみなされる場合もあります。 行方不明者がいる場合はどうなるのか 家庭裁判所に対し、不在者財産管理人の選任を申し立てるか、失踪宣告の申し立てをする必要があります。 失踪宣告を受けた行方不明者は法律上、「死亡したもの」として扱われます。ですので、遺産分割協議の参加義務はもちろん、相続人から除外されることになります。ただし、その相続人に子がいる場合には代襲相続となります。 そのほか、相続に関する疑問を解決 そのほか、相続に関する疑問を解決 相続に関して下記の疑問について説明します。 この人に相続権はあるのか相続権はあるけど相続したくないときはどうしたらいいのか そのほか疑問点として多く挙げられるものを解説していきます。 相続権がありそうでない人たち 子どもの相続権は、被相続人との関係性でその有無が決まります。つまり、亡くなった方の前妻や前夫との子が実子であれば、現在の親権の所在にかかわらず、その子には相続権が付与されます。 しかし、あなたの配偶者が亡くなった場合のあなたの連れ子の相続権という意味では、被相続人との養子縁組の有無によって相続権の有無も決定され、被相続人の生前に養子縁組をしていた場合には相続人となりますが、そうでない場合にはその子に相続権はありません。 相続人のはずなのに貰えない?「相続欠格」とは 特定の相続人が民法891条の相続欠格事由に当てはまる場合に相続権を失わせる制度のことです。遺贈を受けることも出来なくなりますが、欠格者の子は代襲相続が可能です。 相続人側が相続権を剝奪する「相続廃除」とは 相続人の廃除とは、相続人から虐待を受けたり、重大な侮辱を受けたりしたとき、またはそのほかの著しい非行が相続人にあったときに、被相続人が家庭裁判所に請求して虐待などした相続人の地位を奪うことをいいます。 この申立は、被相続人が生前か遺言書でしかすることは出来ません。 相続放棄するとどうなるのか 相続での悩みとして、最も多いお悩みは『亡くなった親の借金を相続放棄したいこと』と言われています。 次いで、不仲だった家族、疎遠だった親族の相続に関わり合いたくないというお悩みから相続放棄を検討する方も多くいらっしゃいます。 相続放棄は、「相続放棄=その相続は存在しない」ということになります。 また、放棄した相続人に子がいても代襲相続はありません。マイナスの遺産のみ相続しないなど、そのようなことは出来かねます。 相続人でなくても財産を受け取れる人とその条件 被相続人が作成した遺言書により遺産の受取人として指定された人は相続人でなくても、遺産を受け取ることができます。 ただし、以下の2つ注意点があります。 遺言書の形式が民法に規定された方式に従っていること法定相続人の遺留分を侵害できないこと 2つ目について、法定相続人の遺留分とは、一定の法定相続人について民法により保障された相続分のことをいいます。遺言書の内容が遺留分を侵害している場合は、受遺者は法定相続人からの請求に応じ、遺留分を請求人に支払わなくてはなりません。 相続に関する手続きはどうやってするのか 相続に関する手続きはどうやってするのか 相続をする際の手順について、順番にご説明します。 遺言書の調査 まずはじめに遺言書の確認をしましょう。自宅を探すのはもちろん、銀行や弁護士・司法書士・税理士に預けられている可能性もあります。なお、遺言書が公正証書遺言の場合、公証役場で存在の有無を照会することもできますので問い合わせてみましょう。                                                   相続人の調査・確定 遺言書の調査と同時進行で法定相続人をくまなく調べる作業を行う必要があります。法定相続人とは、相続人になる可能性のある人の事です。 被相続人の前妻との間に子がいる、あるいは生前養子縁組をした子がいる可能性もあります。法定相続人は戸籍謄本を取得して確認できます。 まとめ:遺産の相続人は法律で決まっている 遺産の相続人は法律で決まっている 遺産相続は複雑な手続きに思えますが、しっかり確認出来ればそんなに複雑ではありません。相続にはプラスの遺産もマイナスの遺産も関わってきます。 また、相続人が亡くなっている場合などは代襲相続が適用されます。相続権を放棄したい場合は放棄することもできますので、もしわからない場合はすぐに専門家に相談し、正確な判断を仰ぎましょう。

  • 相続放棄を選択肢の1つに 子どもに負の遺産を相続させない

    相続放棄を選択肢の1つに 子どもに負の遺産を相続させない 終活で遺産整理などを行っていると、返しきれない借金がある、ローンの返済が終わらないといった事態に気づく場合があるかもしれません。 もし借金やローンの返済が完済せずあなたが亡くなってしまった場合、返済義務は相続権のある子どもに渡ってしまいます。 子どもにそんな物を相続したくないと思う方に向けて、今回は相続放棄といった選択肢があり、負の遺産を相続させない方法を紹介します。借金やローン返済などが残っている方、必見です。 遺産相続をすると負の遺産も相続される 遺産相続をすると負の遺産も相続される 遺産相続といえば、現金や預貯金、不動産を思い浮かべるでしょう。それらは正の遺産と言われており、その逆の借金やローンなどは負の遺産といわれています。 遺産相続を行った場合、現金や預貯金だけ相続して借金などは相続しないといった選択はできません。相続をする場合は、正の遺産も負の遺産も相続しなければいけません。 まずは、どんなものが負の遺産と呼ばれるか知っておきましょう。 負の遺産と言われるもの 負の遺産と言われるものは主に以下の7つです。 金融機関などからの借り入れ(ローンやクレジットカードの未決済分など)ツケの未払いリース料家賃(未払い分)税金や健康保険料(未払い分)損害賠償責務(交通事故などで支払い義務のある賠償金)連帯保証人の立場 意外と知られていないのが、連帯保証人の立場ではないでしょうか。 自分や親が連帯保証人になっているか分からない場合には調べる方法が3つあります。 株式会社日本信用情報(クレジット会社や金融機関との契約内容、返済状況といった情報を管理している)株式会社シー・アイ・シー(クレジット事業や携帯電話会社などの企業を会員としている信用情報機関)全国銀行個人信用情報センター(銀行や信用金庫などを会員としている信用情報機関) これらの場所に問い合わせてみましょう。 ただし、これらの場所に問い合わせても絶対に連帯保証人になっていないとは言い切れません。どうしても不安な場合は、相続放棄も視野にいれるとよいでしょう。 遺産を放棄しても受け取れるもの 遺産を放棄すれば、正の遺産も負の遺産も受け取れないと先ほど記載しましたが、一部例外があります。 死亡保険金(受取人が指定されているもの)香典やご霊前仏壇やお墓などの祭祀財産葬祭費や埋葬料死亡退職金(受取人が家族であるもの)遺族年金や未支給年金 上記の6つは仮に遺産を放棄した場合でも受け取れます。 これらは亡くなった方の財産ではなく、残された家族のためのものとされてるからです。 相続されないもの 連帯保証人の立場が相続されるため、勘違いされる場合がありますが亡くなった方に対して個人的に認められていた権利や義務は相続されません。 養育費の請求権と支払い義務婚姻費用の請求権と支払い義務年金受給する権利(遺族年金や未支給年金は別)生活保護を受ける権利 これらは相続されないので注意してください。 遺産を放棄するメリット・デメリット 遺産を放棄するメリット・デメリット 実際に遺産を放棄した場合、どのようなメリットやデメリットがあるのでしょうか?遺産の放棄を子どもにすすめる、決断する前に必ずメリットとデメリットの両方を知っておきましょう。 遺産を放棄するメリット 遺産を放棄するメリットは大きく2つです。 借金の返済義務がなくなる相続争いに巻き込まれない 仮に、1,000万円の借金があり相続人が2人の場合は、1人あたり500万の借金を背負わなければいけません。 返済が遅れていた場合は遅延損害金の支払いも必要です。 遺産を放棄するのは借金などの負の遺産だけが理由だと思われがちですが、実は遺産争いに巻き込まれたくないといった理由も多いです。 元々家族と仲が悪かった、疎遠になっていて正直どうでもいいといった場合も、遺産を放棄すると遺産分割協議などに参加する必要がなくなります。 遺産を放棄するデメリット 次に遺産を放棄するデメリットですが、主に4つあります。 一切の相続財産を手放さなければいけないやり直しできない遺産の放棄が認められない場合がある相続順位が変わりトラブルになる可能性がある 遺産を放棄してしまうと、「この貯金分だけは相続する」といった選択はできません。 また、一度遺産を放棄する手続きを行い、受理されてしまうと今回亡くなった方の遺産に対する相続権は復活しません。 それだけではなく、遺産を放棄する手続きが完了していたとしても、亡くなった方の遺産を使用した、勝手に処分した場合は手続きが無効になる場合があります。 遺産の放棄が無効になれば、当然相続権が復活するため、負の遺産なども相続しなければいけなくなります。 最後に確認しておくべきなのは相続順位の変更です。 遺産の相続には優先される順位が決められています。 最優先は配偶者で次に実子となっていますが、相続を放棄した方の立場や状況によっては相続順位が変わります。 相続に関するトラブルを避けるために遺産を放棄したのに、逆にトラブルに巻き込まれてしまう可能性もあるので注意してください。 遺産を放棄する方法 遺産を放棄する方法 実際に遺産を放棄したいと思ってもどのような手続きを行えばよいのかわからない方が多いと思います。ここでは、遺産を放棄する方法についてくわしく紹介していきます。 亡くなった方の住所地の裁判所へ 相続放棄する場合の相続放棄申述書は必ず亡くなった方の最後の住所地の家庭裁判所に提出します。申述書自体は裁判所でもらってもいいですが、家庭裁判所が指定する形であればネットから印刷しても問題ありません。 直接の提出が難しい場合は郵送でも大丈夫です。申述書に必要事項を記載し、以下の必要書類を用意します。 亡くなった方の除籍謄本(亡くなった方の戸籍謄本)亡くなった方の住民票除票相続放棄をするあなたの戸籍謄本 戸籍謄本と除籍謄本は本籍地にある役所に行くか取り寄せをする必要があります。 相続放棄の手続きは原則として相続の開始を知った時から3ヵ月となっています。それまでに必要書類を集めて、家庭裁判所へ提出または郵送しましょう。 必要書類が期限内に揃わない場合 必要書類がどうしても期限内に揃わない場合、とりあえず相続放棄申述書だけでも提出してください。その際に、戸籍謄本等はあとから提出する旨を書き添えておくと提出期限が過ぎてしまっても大丈夫です。 裁判所からの質問書類に答える 相続放棄申述書を家庭裁判所が受理すると、質問事項が書かれた書面が送られてくるので、回答して返送しましょう。 亡くなった方との親族関係亡くなったと知った日あなたの名前で相続放棄の申し立てがされていると知っているかなぜ相続放棄するのかこの申し立てはあなた自身の意思か 質問内容は家庭裁判所によって少し変わりますが、大筋は変わりません。当然ですが記載事項に嘘はないようにしましょう。 相続放棄申述受理通知書が届く 質問書類を返送し、特に問題がなければ相続放棄申述受理通知書が届きます。これでようやく正式に相続放棄が認められました。 仮に借金の返済などを迫られた場合は、相続放棄申述受理通知書を見せればそれ以上の催促はされません。必ず大切に保管しておきましょう。 これらの手続きがなければ正式に遺産を放棄したとはならない 家庭裁判所から相続放棄申述受理通知書が届くまでは、正式に遺産を放棄したとはなりません。相続放棄を宣言しただけでは諸々の権利は放棄できていないので注意してください。 生前に遺産の放棄はできない 生前に遺産の放棄はできない 終活で負の遺産の存在に気付いた、そもそも遺産を相続するつもりがなく、忘れない間に相続放棄の手続きをしたいと思っても生前には遺産の放棄はできません。 遺産とは人が亡くなって初めて発生します。生きている間はまだ遺産が発生していないため、放棄できません。 しかし、亡くなった方の除籍謄本以外の必要書類を用意するのは問題ありません。亡くなった時点で除籍謄本を取り寄せ、相続放棄申述書の死亡日の欄を記入して提出しましょう。 限定承認の選択も 限定承認の選択も 負の遺産があり、すべてを相続したくないけどすべてを放棄はしたくないといった場合、限定承認を行う場合があります。それでは限定承認について紹介します。 限定承認とは 限定承認とは、相続した正の遺産の限度で負の遺産の相続を行います。 例えば、負の遺産が1,000万円、正の遺産が自宅(資産価値400万円)だった場合で説明します。普通に相続すれば自宅を相続できますが、同時に1,000万円の借金を背負わなければいけません。 相続放棄をすれば借金の返済義務はなくなりますが、自宅を手放さなければいけません。限定承認を行えば自宅の資産価値分の400万円を支払い、自宅を引き継ぐことができる場合があります。 仮に、負の遺産が400万円、正の遺産が1,000万円だった場合は、400万円を支払い600万円を相続できます。 限定承認をしないほうがいい場合 限定承認ではなく相続放棄をしたほうがいい場合は以下の3つです。 負の遺産の金額が多額であり正の遺産の方が圧倒的に少ないそもそも相続に関わりたくない手続きにお金をかけたくない 相続放棄を行う場合は、自分たちで手続きが可能ですが、限定承認の場合は弁護士などの専門家に依頼するので弁護士費用が別途かかります。 限定承認をしたほうがよい場合 限定承認をしたほうがよい場合は以下の3つです。 遺産の内容は不明だが、プラスになるなら相続したい負の遺産分をできる限り返済したい負の遺産があるが遺産の中にどうしても相続したいものがある このような場合は、相続放棄をしてしまうとすべてできなくなってしまうので、限定承認を選択しましょう。 限定承認はかなりややこしい 先程も少し触れましたが、自分で手続きができる相続放棄とは違い限定承認はかなり複雑なため専門家に依頼しなければいけません。 それだけではなく、1人でもできる相続放棄とは違い限定承認は相続人全員が同意していなければできません。 それだけではなく、弁護士や司法書士でも実際に限定承認の手続きを行った経験のある方が非常に少ないので、経験のある専門家を見つけるのが困難です。 便利な制度だと思われがちですが、かなりややこしいので選択する方はごく僅かというのが実情です。 まとめ:遺産を放棄するのも選択肢の1つに 遺産を放棄するのも選択肢の1つに いかがでしたか?今回は遺産の放棄についてくわしく紹介しました。 終活をしている時点で負の遺産の存在に気付いた場合は、すぐに子どもに伝えましょう。 遺産を放棄するのも選択肢の1つです。 遺産を相続するのか、放棄するのか、限定承認といった選択肢を選ぶのか考えておくように伝えておくとよいかもしれません。

  • 遺産相続のトラブルを防ぐには?対策や起きやすい事例をご紹介

    遺産相続のトラブルを防ぐには?対策や起きやすい事例をご紹介                                                                                                                    「遺産相続でトラブルを起こしたくない」「でも、どうすればいいのか分からない」そんな悩みをお持ちではありませんか?「家族に迷惑をかけたくない」そんな思いがあれば余計に悩んでしまいますよね。 起きやすいトラブルとその対策を知っておけば、トラブルは防ぐことができます。また、万が一トラブルが発生した場合でも対処法や解決にかかる費用を知っておけば安心できますね。 今回は、遺産相続のトラブルの防ぎ方と対策や起きやすい事例をご紹介します。 遺産相続で起きやすい5つのトラブル事例 遺産相続で起きやすい5つのトラブル事例 遺産相続の中でも起きやすいトラブルについて、以下の事例を5つご紹介します。 遺産の額が少ない場合不動産(土地)関連遺族の独占相続人の多さ子どものいない夫婦 自身に当てはまらないかぜひ確認してください。 トラブル1:遺産の額が少ない場合 比較的小規模な遺産(1,000万円以下など)では、相続が発生してからトラブルになるケースが多いです。なぜなら、遺産が小規模なために必要ないと思い、事前の対策を特にしていないからです。 遺産が多くある場合、比較的早い段階で専門家に依頼して事前のトラブルを防ぐ対応が出来ますが、小規模な遺産の場合は大丈夫だろうと油断してしまうことが多くあります。 トラブル2:不動産(土地)関連 土地などの不動産は「わけられない資産」であり、「評価が難しい資産」でもあります。 そのため、遺産相続のトラブルの原因になりやすいです。 分割して分けることが難しく、いくらと評価するかも迷います。売却してお金にしたい方や、取得してそのまま土地を活用したい方など意見も分かれがちです。 トラブル3:遺族の独占 例としては「長男だから」などの理由で遺産をすべて独り占めしようとする場合です。民法上は、遺産相続はあくまで被相続人の意思が尊重されるので、被相続人が遺した遺言書にしたがって相続内容が決められます。 今でも、「家督相続」といって長男が一人で全部遺産を相続するものといった考えの方もいますが、法律上の権利に基づき是正する必要があります。 トラブル4:相続人の多さ 法定相続人とは、遺産相続で被相続人の遺産を受け取れる権利をもつと民法で定められている者です。具体的には被相続人の配偶者や子、兄弟姉妹などになります。しかし、養子や隠し子などの存在が発覚する場合もあります。 また、介護をしてくれた人に遺産を残すために遺言書に記載した場合など相続人が増えることも。法定相続人を増やす養子縁組は節税対策につながりますが、相続人が増えれば増えるほどトラブルに発展していく可能性も高くなってしまいます。 トラブル5:子どものいない夫婦 子どもがいない夫婦の場合、被相続人の兄弟や甥・姪が相続人に含まれる場合があります。関係性が希薄なために、全員の合意を得にくいケースが多く、トラブルにつながります。 遺産に関するトラブルの対策4選 遺産に関するトラブルの対策4選 遺産に関するトラブルを起こさないためにできる対策を以下の4つご紹介します。 家族と話し合っておく遺言書(財産目録)を作る遺産の分け方・法定相続人の数を把握しておく民事信託や後見制度を使う 一つずつ見ていきましょう。 対策1:家族と話し合っておく まずは元気なうちに家族でしっかり話し合いをしておきましょう。被相続人の希望や考え方をしっかり家族に伝え、理解してもらいます。遺産内容や管理方法なども親族の間でしっかり共有しておきます。 対策2:遺言書(財産目録)を作る 全財産を正確に把握するのは本人でも大変です。死後に相続人が把握するのはもっと大変な作業になってしまいます。 そのため、遺産のトラブルを防止するためにも、生前に財産目録を作っておくと財産の把握が簡単に出来るため有効です。特に、プラスの財産だけでなくマイナスの財産もきちんと記載しておくと、トラブル回避に有効でしょう。 対策3:遺産の分け方・法定相続人の数を把握しておく 不動産の評価や分割の方法、遺産をどうやって分ければよいかについて把握しておくと円滑に遺産分割できますね。揉めそうな場合には、法定相続を前提に、遺産分割協議をしてみるとよいでしょう。 また、相続人の数が増えると、「話がまとまらない」「相続人が後から増える」などトラブルの元になります。遺産分割協議をおこない、相続人を確定させるとスムーズに遺産分割をおこなえます。 対策4:民事信託制度を使う 民事信託(家族信託)を利用することで、相続トラブルを避けられる場合もあります。生前から死後に掛けての財産管理方法や死後の財産帰属先を取り決めることが可能です。 遺産相続でトラブルが発生したら弁護士に相談を 遺産相続でトラブルが発生したら弁護士に相談を 遺産相続でトラブルになった場合は、弁護士に相談するのがおすすめです。また、トラブルが大きくならないうちに早めに依頼するのがポイントです。 ここでは、弁護士に依頼するメリットや気になる料金についてもご紹介します。 弁護士に依頼するメリット 実際にトラブルが発生したときは、早めに弁護士に相談して対応することをおすすめします。弁護士に相談すると以下のようなメリットがあります。 法律の正しい知識を教えてもらえる代理交渉をお願いできる調停・裁判・訴訟も依頼できる有利に解決できる可能性が高くなる 弁護士に相談することで、遺産分割の方針も決めやすくなります。代理交渉をしてもらうと、直接的な対立を防げるので、ストレス軽減もできますね。 弁護士に依頼する場合の費用相場 弁護士に相談するといくら位かかるのでしょう?相談料の相場は、30分5,500円程度です。無料相談を利用できる場合は、相談料は無料になります。 では、着手金はどの程度でしょうか。着手金は経済的利益の数パーセントとパーセンテージで料金が設定されている事務所もあります。また、内容によって「一律20万円」など定額料金の場合もあります。 報酬金については、経済的利益からパーセンテージで料金設定されていることがほとんどです。弁護士事務所によって、料金設定は異なりますので、相談する際に事前に料金についても確認しましょう。 まとめ:遺産に関するトラブルはしっかり対策できる 遺産に関するトラブルはしっかり対策できる 遺産に関するトラブルを防ぐ方法を見てきました。 遺産に関するトラブルの良くある例を参考に、実際ご自身の身の回りでおきそうなトラブルを想定できますね。想定されるトラブルに対して、しっかりと対策をとればトラブルは回避できます。 想定されるトラブル内容によっては、弁護士に相談するなどしてしっかり対策をおこなってください。そうすると、トラブルを防げるでしょう。

  • 兄弟は遺産を相続できる?兄弟のパターンごとに事例を使ってご紹介

    兄弟は遺産を相続できる?兄弟のパターンごとに事例を使ってご紹介 身近な人が亡くなることなど考えたくはありませんが、誰もいつかは彼岸へと旅立ちます。 年齢に関係なく知っておきたい遺産相続について、この記事では兄弟姉妹の相続についてお伝えします。 両親が他界して独身の兄弟姉妹が亡くなった場合や、兄弟姉妹に子どもがいない場合などに遺された兄弟姉妹が遺産を相続できるケースもありますので、ぜひ参考にしてください。 兄弟姉妹が相続人になる場合 兄弟姉妹が相続人になる場合 被相続人(亡くなった人)に直系卑属(子や孫)、直系尊属(親や祖父)がおらず兄弟姉妹がいる場合は、兄弟姉妹が相続人になります。 相続人が兄弟姉妹のみの場合は、兄弟姉妹の法定相続分は相続財産のすべてです。相続財産のすべてを、兄弟姉妹の人数で割ります。配偶者がいる場合は、必ず相続人となります。 相続順位について 配偶者以外の相続人には、順位が決められています。 第1順位は子、子が先に亡くなっている場合は孫、子と孫が先に亡くなっている場合は、ひ孫です。 第2順位は父母、父母が先に亡くなっている場合は、祖父母です。 第3順位は兄弟姉妹、兄弟姉妹が先に亡くなっている場合は、甥もしくは姪です。 兄弟姉妹が法定相続人になるケース 親や祖父母などの直系尊属・子や孫などの直系卑属がいない場合は、兄弟姉妹が相続人となります。配偶者が存命で、親や祖父母などの直系尊属・子や孫などの直系卑属がいない場合は、配偶者と故人の兄弟姉妹が遺産を相続できます。 相続人が配偶者と兄弟姉妹の場合、配偶者の法定相続分は遺産の4分の3、兄弟姉妹の法定相続分は遺産の4分の1です。兄弟姉妹が複数人いる場合は、遺産の4分の1を兄弟姉妹の数で割ります。 例えば、故人以外の兄弟姉妹が二人なら、相続分は一人あたり8分の1です。 ただし、遺言書があった場合には遺言書が優先されます。そのため、法定相続人になっても遺言書の内容によっては財産を取得できないケースもあります。 兄弟間で遺産相続で揉める原因と対処法 兄弟間で遺産相続で揉める原因と対処法 法律に従っていればトラブルは起こらない。そう考えている方も多いと思いますが、金銭等が絡んでくるため、ひょんなことから予想だにしないトラブルが発生するのが遺産相続です。 ここでは、兄弟間で遺産相続で揉めてしまう原因について下記のケースを解説します。 家族や兄弟間での話し合いができていない遺産を平等に分けることが難しい遺産相続の内容が非常に偏っている 実際に争いが起こってしまうと、遺産分割調停を行ったり、弁護士に依頼することになったりと解決したとしても禍根を残すことになりかねません。お互いの気持ちに寄り添い、冷静に話し合いが進められる状況を作れるよう、揉めてしまう原因を前もって把握しておくようにしましょう。 ➀家族や兄弟間での話し合いができていない 揉める原因として最も多くなるのが、家族間・兄弟間での話し合いが適切に行われていないことです。ご家族が亡くなられ、相続が発生すると期限などもあることから、ゆっくりと話し合いをする時間を設けることは困難です。 事前に話し合いが行えておらず、実際に相続が発生してからでは遅い場合も多いです。事前に十分な話し合いが行えていないことが、トラブルや揉め事の根源となる状況は決して珍しいものではありません。 亡くなっていないのに亡くなった後の話をするのは抵抗があるかもしれませんが、前もって話し合いお互いの考えていること・思いを把握しておくのはとても重要です。いざ相続となった段階で残された家族・兄弟が揉めてしまいトラブルになると亡くなられたご家族様が安心して眠れなくなるかもしれません。 話し合った内容をボイスレコーダーなどに録音し、形として残しておくと後々聞き返すこともできますし、トラブルになった際に役立つこともあります。ただし、法律的な意味は持たないことに注意が必要です。 ➁遺産を平等に分けることが難しい 遺産は現金のように分割が容易なものばかりではありません。不動産や車といった分割をすることが難しいものが遺産として残されている可能性も十分にあります。例えば下記のケースです。 3人兄弟残された財産は亡くなった長男名義の土地と建物、預金200万円 こういった場合の解決方法としては、以下のようなことが考えられます。 遺された兄弟2人のどちらかが土地を相続することで合意する土地を相続した人が現金でほかの1人に補填する土地を売却し、得た収入を2人で均等に按分する土地を共同名義で保有する トラブルを避けるため、事前に遺言書を作成し、分割方法についても細かくきちんと定めておくことをおすすめします。 ➂遺産相続の内容が非常に偏っている 遺言書に「長男に財産のすべてを相続させる」旨の記載があった場合でも、一定の相続人には遺留分を請求する権利があります。そのため、遺産相続の内容に不平等さを感じたら、遺留分の請求を検討してください。ただし、相続人が兄弟姉妹の場合には遺留分がないことに注意が必要です。 遺留分とは 遺留分(いりゅうぶん)とは、一定の相続人に対して、遺言によっても奪うことのできない遺産の一定割合の留保分のことを言います。亡くなった方(被相続人)は、自身の財産の行方を遺言により自由に定めることができますが、被相続人の遺族の生活の保障のために一定の制約があります。これが遺留分の制度です。 兄弟姉妹に遺留分はなぜないのか 配偶者には遺留分がありますが、兄弟姉妹にはありません。 それは、被相続人と一緒に暮らしていた配偶者は経済的に困る可能性があることが理由の一つであると考えられます。 まとめ:兄弟間で遺産に関して揉めないために 兄弟間で遺産に関して揉めないために 兄弟姉妹が相続人になる場合は、被相続人に直系卑属・直系尊属がいない場合です。兄弟姉妹が法定相続人になるケースは関係性によって変わってきますので、本記事を参考にしてください。 また、兄弟間で遺産相続で揉める原因と対処法もご紹介しました。大切な家族が遺産に関して揉めてしまわないためにも、遺言書を作成したり、内容に極端な偏りが出ないように配慮したりといった対策が必要です。残される家族のために、できるだけ早い段階で遺産相続について検討してください。

  • 遺産にかかる税金とは?知っておきたい相続税の基礎知識

    遺産にかかる税金とは?知っておきたい相続税の基礎知識 子どもたちが独立してほっとしたのもつかの間、そろそろ老後のことと一緒に亡くなった後のことも考えなければならないかもしれません。特に最近は親世帯のみ、子世帯のみで生活しているご家庭が増えてきています。 本記事では、遺産にかかる税金について、計算方法と併せて解説します。自分たちが亡くなった後に困らないように財産の整理と一緒に相続にかかる税金についても考えてみませんか? 遺産にかかる税金「相続税」の手続きについて 遺産にかかる税金「相続税」の手続きについて 貯金や不動産などの財産を遺産として受け継いだ場合には税金として相続税がかかります。相続税は、借金や葬式費用などを除外したあとの残額が、基礎控除額よりも上回る場合にかかります。 財務省のホームページによると、令和元年時点での相続税がかかった方の割合は、亡くなられた方の8%程度です。  参照:『親が亡くなりました。遺産を相続する場合にどのような税金がかかるのですか?』 基礎控除額を超える部分の遺産は相続税の課税対象になります。 相続税の申告期限は被相続人がなくなった日の翌日から10ヵ月以内におこないます。相続税の納税も申告期限内におこなわなければなりません。 相続税の計算に誤りがあると、延滞税や過少申告加算税などのペナルティが課せられる場合もあります。 葬儀費用や相続する財産にまつわる確認などには、書類の取り寄せや手続きするのに時間がかかるものもあります。できるだけ生前のうちから財産を把握しておき、遺言書を準備しておくのが理想です。 遺産相続から税務署へ相続税申告までの税金支払い流れについて 遺言書があれば、原則その内容に沿って相続することになります。 遺言書がなければ、相続財産の分割方法について相続人全員で話し合い、決めなければなりません(遺産分割協議)。 話し合いによって決められた分割遺産の内容で相続税を計算したあと、税務署へ申告します。 遺産の税金対象となる金額について 相続した財産の内、課税対象になるのは、現金・預貯金、株式や債券等の有価証券、土地・建物等の不動産、貴金属、書画骨董等亡くなった人が所有していた財産です。これに加えて、亡くなったことによって入ってくる死亡保険金や死亡退職金等の「みなし相続財産」、相続開始前3年以内に贈与された財産や相続時精算課税制度を適用して贈与された財産も課税対象となります。これらの合計が課税対象となる課税相続財産総額です。 相続税の対象となる金額は、課税相続財産総額から債務・葬儀費用・非課税財産を差し引いた正味の遺産額で計算します。 非課税財産に該当する遺産については下記の通りです。 お墓や仏壇、祭具など寄付した財産生命保険金のうち500万円×法定相続人の人数死亡退職金のうち500万円×法定相続人の人数 上記のものは非課税財産として差し引かれます。 遺産にかかる相続税の基礎控除とは 遺産のうち一定の金額までは税金がかからない制度です。 基礎控除額は「3,000万円+(600万円×法定相続人の数)」で計算します。法定相続人とは民法で定められた相続人のことです。 相続人が死亡・廃除・欠格のどれかに該当すると法定相続人に含めません。 廃除:民法第892条に基づいて相続人の資格を失ったもの欠格:民法第891条の相続欠格事由に当てはまる場合に相続権を失わせる制度 遺産の法定相続人の優先順位は配偶者から 遺産の相続には優先順位があり、相続人が誰になるかで相続割合や法定相続分は違います。 遺産の法定相続人の優先順位は配偶者から順に、以下のように民法で定められています。また内縁の妻は相続人に該当しません。 第1順位:子ども(亡くなっている場合は孫)養子・認知した子ども・前の配偶者との間の子ども第2順位:両親(亡くなっている場合は祖父母)・養父母第3順位:兄弟姉妹(亡くなっている場合は甥姪) 遺産の相続割合について 法定相続分は、相続人が配偶者と子ども2人の場合には配偶者1/2、残りの1/2を子どもたち2人で均等に分けるため、子ども1人につき1/4となります。 配偶者に子どもがなく父母が存命の場合は、配偶者2/3・父母1/3です。 また配偶者に子どもがなく父母もいない場合には、兄弟姉妹と分け合う形になり、配偶者3/4・兄弟姉妹1/3となります。 遺産を相続放棄すると基礎控除はどうなるのか? 相続放棄はなかったとして計算します。仮に法定相続人が子3人のみの時、子3人のうち1人が相続放棄をしたとしても、基礎控除額は4,800万円のままです。 相続税の配偶者控除は1億6,000万円まで 配偶者にはさまざまな相続税の優遇措置があります。配偶者に対する相続税額の軽減という税を減額する規定があり、被相続人と長い間生活を共にしてきたため、一緒に財産を作り上げた貢献があるとみなされるのです。 配偶者への相続は同一世代間の財産の移転とされ、遠くない将来に相続が再び発生するため、相続税の負担を軽減する目的も含まれているのです。  また被相続人が亡くなったあとの、配偶者の生活を保障するために優遇されています。 配偶者控除では相続財産が1億6,000万円までは税金がかかりません。 「配偶者控除」または「法定相続分の基礎控除」のどちらかを選択して相続税の計算を行います。 二次相続の問題とは 相続税の問題は、両親のどちらかが亡くなるとおこります。例えば最初に父が亡くなると、一回目の相続「一次相続」が発生します。次に母がなくなると、二回目の相続「二次相続」の問題がおこるのです。 「二次相続」税金での問題点について 一次相続での通常の相続人の構成は、おおむね「配偶者と子」です。二次相続の場合では「子」となるため、遺産の分け方や相続税の計算方法に違いが生じます。 最も大きいのが相続税の特例の部分で、一次相続で受けられた配偶者控除などの優遇がなくなるため、税金の負担が大きくなるのです。 以上のように二次相続では相続税の負担が大きくなるため、一次相続から将来を見据えた税金対策をとる必要があります。 遺産にかかる税金「相続税」の計算方法について 遺産にかかる税金「相続税」の計算方法について 相続税の計算方法はまず基礎控除を算出し、各人の相続財産を一度合算したあと、法定相続分で按分して仮の相続税を計算します。 仮の相続税の合計が相続税の総額です。 相続税の総額を各人の実際の相続割合に合わせて案分します。 課税の対象となる遺産の総額を計算する 課税の対象となる遺産とは以下のような財産です。 預貯金や不動産などプラスの相続財産死亡保険金、死亡退職金などのみなし相続財産相続開始前3年以内に贈与された財産相続時精算課税制度の生前贈与財産全部 これに、「借金などのマイナスの財産・葬式費用を差し引いたもの」が正味の遺産額となります。 正味の遺産額が基礎控除額より少なければ相続税はかからない 以下のようなときは「正味の遺産総額>基礎控除額」でも納税額が0円になります。 小規模宅地等の特例の適用後、正味の遺産総額が基礎控除額以下になるとき配偶者の税額軽減や相次相続控除などの税額軽減制度で納税額が0かマイナスになるとき 「正味の遺産総額≦基礎控除額」のときだけ申告不要になります。 課税の有無や課税額を知るには「正味の遺産総額」「基礎控除額」を正確に計算しなくてはなりません。 遺産の相続税計算について注意する点 相続税は課税遺産総額に対して課税となりますが、土地の評価額に直接税率をかけて算出するわけではない点に注意が必要です。 宅地の場合の評価方法は2つあります。 路線価方式倍率方式 相続した土地の評価方法がどちらになるかは、毎年の国税庁ホームページに掲載される路線価図・倍率表でわかります。 参照:『財産評価基準書 路線価図・評価倍率表』 また賃貸している場合、評価計算が異なることに注意が必要です。被相続人が土地や建物を他人に貸していると、自由に売却できません。このため土地や建物の評価が低くなり、不動産の評価減を行う必要が出てきます。 遺産に関わる税金の相談は誰にすればいいか 遺産に関わる税金の相談は誰にすればいいか 相続に関する税金の相談方法には以下のような3つの方法があります。 ➀電話で相談する 国税局電話相談センター税務署の窓口 相続に関する税金の相談や質問には、国税局相談センターがよいでしょう。電話の対応専門の職員が常駐しているためスムーズに答えてもらえます。 税務署の窓口では電話対応以外の業務も兼任しているため、すぐに回答ができないこともあります。税務署から届いた書面や税金の支払いに関する相談が必要な場合に限定しておきましょう。 ➁税務署を訪ねて相談する 直接訪問する場合には、事前予約を行います。相談する税務署は被相続人の住所を管轄する税務署を選びましょう。相談する内容や必要な書類は、まとめて準備しておくようにします。 税理士に相談する 税理士に相談するのも一つの手です。税理士の場合、相続税に関する申告業務や遺産分割協議をはじめとする手続きに関するさまざまなアドバイスをしてくれます。 税理士の多くは無料相談を30分ほど行ってくれるので、預金通帳や確定申告書などの必要書類を用意したうえで相談を検討してください。 まとめ:遺産にかかる税金「相続税」を知って不安をなくそう 遺産にかかる税金「相続税」を知って不安をなくそう 遺産にかかる税金、相続税の基本的な情報についてご紹介しました。 相続税がかからないのは基礎控除まで、もしくは配偶者控除の1億6,000万円までとなります。相続税で注意する必要があるのは一次相続よりも二次相続の場合です。 また相続に関する相談は、国税局電話相談センターを利用します。相続税に関する知識を深めて、税金対策に備えていきましょう。

  • 遺言の作成は自作VS専門家どちらが良い?メリット・デメリットを解説

    遺言の作成は自作VS専門家どちらが良い?メリット・デメリットを解説 「そろそろ子育ても一段落して、自分たちの老後や子どもの将来が気になってきた」「終活ってなにから始めればいいのかな、遺言って必要?」そんな風に感じていませんか?実は遺言書は自分で作れます。ただし、作るのは大変です。 今回は、遺言書の種類と自分で作る場合、専門家に依頼する場合について解説します。 また、専門家に頼んだ場合の気になる費用についてもご紹介しますので、ぜひ読んでみてください。 遺言とは? 遺言とは? 遺言は一般的に遺言書として作成されます。では、遺言書を作成する目的は何でしょうか。 財産を遺す人の意思を表示するため相続トラブルをふせぐため相続手続きをやりやすくするため 主にこの3つが目的となります。ご自身がどうしたいかを明確にして遺言書に遺すのが大切です。 遺言書の種類 遺言書には大きく分けて2つの種類があります。早速、2種類の違いを見ていきましょう。 公正証書遺言 「公正証書遺言」は、公証人に作成してもらう遺言書を指します。公証人が作成するので、確実性の高い形式となります。 公正証書遺言の作成には費用がかかりますが、公証人が関与するので無効になりにくく、争いの種にもなりにくいのがメリットです。公証役場で原本を保管してくれるので、紛失・隠ぺいのリスクもありません。 自筆証書遺言 「自筆証書遺言」は遺言者が自筆で書く遺言書です。 以前はすべて自筆で書く必要がありましたが、現在では財産目録についてパソコンや代書での作成が可能です。ただし、主要部分についてはすべて自筆で書く必要があります。 基本的に自分で保管することになりますが、法務局で保管してもらえる制度もあります。 自宅で気軽に作成でき、費用もかからないのはメリットですが、公正証書遺言と比べると無効になるリスクも高くなります。 遺言書作成時に書く内容 遺言書を作成するには、どのような遺産があるのか把握しないといけません。事前に、財産に関する資料を集めてまとめましょう。 遺産の資料にあたるのは以下のようなものです。 不動産の登記簿預貯金通帳証券会社やFX会社、仮想通貨交換所の取引資料ゴルフ会員権生命保険証書骨董品などの明細書 財産については「財産目録」としてまとめます。「財産目録」が完成すると、誰に何を相続させたいのかを記載する必要があります。 他に、遺言執行者に誰を指名するのか記載します。最後に、ご自身の遺言書を書いた日付、署名、捺印をします。 遺言書は自分で作成できる 遺言書は自分で作成できる 実は、遺言書は自分で作成することが可能です。2020年7月から自筆証書遺言を法務局で保管してもらえる制度が開始されたことにより、今後さらに自分で遺言書を作成する人が増えると予想されています。 遺言書の作成方法 自分で遺言書を作成するとなると「自筆証書遺言」となります。自筆証書遺言は、財産目録を除き全て遺言者が自筆で書きます。タイトルや日付、本文から署名捺印については全て自筆です。 まずは、ひな形を用意し、ひな形にそって内容を記入します。ひな形は、遺言書作成について書かれた書籍などでも入手できますが、インターネットで探すとすぐに見つけられ、印刷もできるので便利です。 紙の大きさや材質などの指定はありません。横書きでも縦書きでもどちらでも良いです。ただし、鉛筆やシャープペンシルなど消えてしまいやすい筆記用具は避けると良いでしょう。 加除訂正の方法には注意が必要です。間違った場合には、以下のように訂正します。 訂正したい箇所に、元の文字が見えるよう、二重線を引く横書きの場合は二重線の上、縦書きの場合は二重線の左側に、正しい文言を記載する二重線のすぐ近くに、元の文字が見えるよう、訂正印を押印する横書きの遺言書では最終ページ最下部の余白、縦書きでは最終ページ最終行より左の余白に、付記として「第〇条中 ◯行目 ◯字削除 ◯字加入」のように訂正内容・遺言者氏名を記載する 修正テープを使ったり、塗りつぶしたりすると無効になる可能性があるので注意しましょう。 遺言書を自分で作成するメリット 自分で作成するメリットは以下のような内容です。 自宅で作成できる紙とペンがあれば作成できる費用がかからない 自宅で作成できるのはメリットでしょう。紙とペンがあれば、他のものを用意しなくても作成できます。 また、費用がかからないので気軽に作成できます。現在ではインターネットで検索すると遺言書の作成方法も見つかるのでそれを参考に書くのも良いですね。 2020年7月から自筆証書遺言を法務局で保管してもらえる制度が開始されたことにより、預ければ紛失の心配もなくなります。費用はかかりますが、公正証書遺言の作成費用に比べると安価で済みます。 遺言書を自分で作成するデメリット 自分で遺言書を作成するデメリットはこちらです。 様式不備で無効になるリスク自筆で書くのが大変自宅保管は紛失の可能性がある 自分で遺言書を作成した場合、様式不備で無効になるリスクがあります。財産目録以外全て自筆で書かなくてはいけないので、意外と大変です。 また、自宅で保管した場合には、紛失の可能性も。法務局での保管をすると費用がかかりますが、紛失のリスクが無くなります。 遺言書を書く時に何を書いたら良いか分からない。そんな方は専門家に依頼したほうが遺言内容も相談することができますね。 遺言書を専門家に依頼する 遺言書を専門家に依頼する では、遺言書の作成を専門家に依頼する場合はどこに依頼すれば良いのでしょう。遺言書の作成を依頼できる専門家と依頼するメリット・デメリットについてもご紹介します。 遺言書の作成を依頼できる専門家は? 遺言書作成の相談先として、弁護士・司法書士・行政書士などがあります。 遺言書に記載したい内容にもよりますので、どの専門家に相談すれば一番良いというのはありません。相談したい内容によって、依頼する専門家を選ぶのがベストです。 遺言書を専門家に依頼するメリット 相続対策やトラブルの未然防止について、適切なアドバイスをしてくれます。遺言者の希望を汲み取り、遺言書の内容を提案してくれるでしょう。 公証人役場との打ち合わせを代行してくれ、証人にもなってもらえます。そのため、自分で作成するより、無効になるリスクも少ないです。 遺言書を専門家に依頼するデメリット 一番のデメリットは自分で作成するのと違い、費用がかかる点でしょう。費用については、次に詳しく説明します。 そのほか、何度も専門家の元を訪れ、遺言書の内容をすり合わせする必要があり、働いている方にとっては時間の捻出も必要になる場合があります。そのような方はテレビ電話やメール、電話、郵送等で対応可能な専門家に依頼することをおすすめします。 専門家に遺言書作成を依頼した場合の料金は? 専門家に遺言書作成を依頼した場合の料金は? 公正証書遺言の作成を専門家に依頼した場合、目安として10~20万円程かかる場合が多いです。あらかじめ、相談する際に具体的にどの位の費用がかかるのか聞いてみるのも良いでしょう。 とくに、弁護士に遺言書の作成を依頼した場合は、司法書士や行政書士より高くなる傾向があります。遺言執行者の就任も合わせて依頼した場合には、最低でも30万円はかかると考えたほうが良いでしょう。 ただし、弁護士に依頼すると「代理権」があるため相続で争いが起きたときには有効です。あらかじめ、争いごとが予想できる場合には、費用が高額でも弁護士に依頼するのが良いでしょう。 まとめ:遺言書の作成は専門家に相談しよう 遺言書の作成は専門家に相談しよう 遺言書の作成について、自分で作成する方法と専門家に依頼する方法それぞれのメリット・デメリットをご紹介しました。 遺言書は遺された人達にとって重要な物になります。せっかく作成した遺言書が無効になってしまうと悲しいですよね。 やはり、専門家に依頼するのがベストです。専門家に相談する場合も、遺言の内容や金額で頼む専門家を選ぶと良いでしょう。 ただし、費用面など気になる方はインターネットや書籍などで充分に調べてから遺言書作成を行いましょう。

  • 【遺言書作成】弁護士費用相場を解説!作成の流れやメリットについても

    【遺言書作成】弁護士費用相場を解説!作成の流れやメリットについても 相続トラブルを避けるためには遺言書を作成することが重要です。遺言書の作成を専門家である弁護士に依頼したいけれど、費用が高そう、どのような流れになるのかわからないと困っている方もいらっしゃるでしょう。 この記事では、遺言書作成を弁護士に依頼する場合の費用の相場や遺言書作成の流れ、弁護士に遺言書作成を依頼することのメリットについて解説していきます。 遺言書を作成して相続に備えよう 遺言書を作成して相続に備えよう 遺言書を作成しておかないと、相続が発生した場合に、自分の思うように遺産を引き継がせることができなかったり、遺産争いとなってしまったりする危険があります。 自分の死後の家族を心配することがないように、遺言書を作成して相続に備えておくことは重要です。 遺言書には、自筆証書遺言と公正証書遺言の2種類の形式があります。自筆証書遺言は、手書きで簡単に作成できるものですが、形式面の不備で無効となってしまうケースも多いです。公正証書遺言は、公証人が公正証書の形式で作成する遺言書です。作成には手間と手数料がかかりますが、形式面でも安心して正確な遺言書を作成するには、公正証書遺言をおすすめします。 遺言書作成にかかる弁護士費用の相場 遺言書作成にかかる弁護士費用の相場 遺言書を作成するには、形式面や内容面で専門的な知識がないと難しいこともあります。その場合、遺言書の作成を弁護士に依頼するのが安心ですが、弁護士に依頼するとなれば費用の心配をされる方も多いでしょう。 ここでは、遺言書作成にかかる弁護士費用の相場について説明します。 相談費用 遺言書作成のアドバイスを求めたり、作成を依頼したりするための相談費用としては、30分あたり5,000円が相場となります。事務所によっては、初回の相談を無料としているところも多くあります。 遺言書作成費用 日弁連が実施したアンケートによると、遺言書作成費用の相場は20万円程度です。 遺言書の作成費用は、自筆証書遺言と公正証書遺言のいずれを作成するのか、財産の内容はどのようなものであるのかによって変わりますので、詳しくは相談の際に聞いてみるようにしましょう。 遺言執行費用 遺言書の執行までを弁護士に依頼する場合には、遺言執行費用もかかります。遺言執行費用としては、財産額の数パーセントに一定の金額を加えたものとしている事務所が多いです。 多くの事務所が参考にしている、弁護士会の旧報酬基準では、遺産の額が3,000万円以下の場合には、2%+24万円、3,000万円を超え1億円以下の場合には、1%+54万円となっております。 そのほかの費用 遺言書の保管を弁護士に依頼する場合には、別途保管費用が発生する可能性があります。また、公正証書遺言を作成する場合には、弁護士費用とは別で公正証書の作成費用も必要です。 遺言書作成を弁護士に依頼する4つのメリット 遺言書作成を弁護士に依頼する4つのメリット 遺言書作成を専門家に依頼すると何となく安心することもあるでしょうが、ここでは遺言書作成を弁護士に依頼する具体的なメリットについて解説していきます。 遺言書作成を弁護士に依頼する具体的なメリットとしては、次の4つを挙げることができます。 法的に正確な内容の遺言書を作成できる遺言書作成に必要な財産の調査もできる遺言書の作成から遺言書の執行まで対応できる相続トラブルとなった場合の対応もできる 一つずつ見ていきましょう。 法的に正確な内容の遺言書を作成できる 遺言書の作成には、正確な法的知識が必要です。知識なしに遺言書を作成すると、最悪の場合には形式が間違っていて遺言そのものが無効になることもあります。 また、法定相続人に最低限認められる遺産の取り分である遺留分を意識せずに遺言書を作成すると、せっかく遺言書を作成したのに、結局は遺産争いが生じてしまうこともあるでしょう。 弁護士に依頼することで、遺留分などにも配慮して、法的に正確な内容の遺言書を作成できます。 遺言書作成に必要な財産の調査もできる 正確な遺言書を作成するためには、財産の内容も正確に把握することが重要です。 遺言書作成を弁護士に依頼することで、財産の内容を把握するための調査も合わせて行うことができます。 財産の記載漏れなどがあると、遺言書を残していても記載が漏れていた財産について遺産争いが生じる場合もあるので財産の調査を行うことは重要です。 遺言書の作成から遺言の執行まで対応できる 遺言書の作成を依頼した弁護士に遺言の執行まで依頼することで、亡くなったあとの対応についても一括して対応してもらうことができます。 被相続人が亡くなってから、遺言執行の対応のみをするとなれば、詳しい事情がわからずに手続きが上手く進まないこともあるでしょう。 被相続人の生前から事情を把握している弁護士が遺言執行まで担当することは、手続きをスムーズに進めるうえでも有効な方法と言えます。 相続トラブルとなった場合の対応もできる 実際に遺産争いなどが生じてしまってから誰かに相談するよりも、生前からよく事情を知っている弁護士がトラブルの対応をできるのは問題を解決するうえで大きなメリットといえるでしょう。 あとにも説明しますが、弁護士以外の専門家は、基本的に相続トラブルの問題には関与することができません。 遺言書作成を弁護士に依頼する際の流れ 遺言書作成を弁護士に依頼する際の流れ ここでは、実際に遺言書作成を弁護士に依頼するまでの流れについて解説します。 弁護士を探す まずは、遺言書作成の相談をする弁護士を探す必要があります。知り合いに弁護士がいない場合などは、インターネットで検索する、法テラスを利用するなどの方法により弁護士を探すことができます。 事務所のホームページで、遺言作成の詳しい対応について説明している弁護士も多いので、自分に合いそうな弁護士を探して相談の予約をしてみましょう。 弁護士と相談する 弁護士と相談する際には、家族構成や財産の内容がわかる資料を持参するようにしましょう。心配事など、聞きたいことをまとめておくと、相談時間を有効に活用することができます。 相談の際には、遺言書作成を実際に依頼する場合の費用や、どれくらいの期間がかかるかなどを確認するようにしましょう。 弁護士と契約する 相談のうえで弁護士に依頼する場合には、弁護士と契約を締結します。かかる費用や対応してもらう内容など、認識が合っているのか確認することが重要です。 遺言書の作成 契約が締結されると、実際に遺言書の作成が進められます。 遺言書の作成にかかる期間は、家族構成や財産の内容、遺言書の形式によってさまざまです。早ければ数日のうちに、長ければ数か月かかる場合もあるので、弁護士に期間の目安を確認しておくようにしましょう。 弁護士以外の遺言書作成の専門家との違い 弁護士以外の遺言書作成の専門家との違い 遺言書の作成は、弁護士以外にも行政書士や司法書士も専門としている場合があります。ここでは、弁護士以外の専門家と弁護士との違いについて解説します。 行政書士や司法書士も遺言書作成をしている 行政書士は文書作成の専門家として、司法書士は相続登記などの専門家として遺言書作成を受け付けていることがあります。 遺言書作成自体については、取扱件数も多く専門的に行っているところもありますので、行政書士や司法書士に依頼することも手段の1つと言えます。 弁護士とほかの専門家との違い 弁護士とほかの専門家との決定的な違いは、代理権が認められるか否かということにあります。 行政書士や司法書士は、相続トラブルとなった際に代理人としての対応ができません。そのため、相続トラブルが発生する場合には弁護士に、その心配がない場合には行政書士や司法書士に依頼することも1つの選択肢といえるでしょう。 遺言書作成を弁護士に依頼する際の注意点 遺言書作成を弁護士に依頼する際の注意点 遺言書の作成は、大きな財産を取り扱うことになる問題です。そのため、弁護士であれば誰に依頼してもよいということはなく、次の点に注意する必要があります。 経験のある弁護士を選ぶ 弁護士であっても、遺言書作成の経験がない弁護士もいます。 そのため、遺言書の作成を依頼する場合には、遺言書作成の経験が豊富な弁護士を選ぶのが安心です。 経験のない弁護士に依頼すると、必要な対応ができずに逆に手間がかかることもあるでしょう。 複数の弁護士を比較する 相談する弁護士を決める場合や、相談のあとでも納得できないような場合には、複数の弁護士を比較するべきです。 無料相談を実施している事務所も多いので、複数の事務所で無料相談を受けてみて自分に合う弁護士を選ぶのもよいでしょう。 まとめ:遺言書作成は弁護士に 遺言書作成は弁護士に 遺言書作成を弁護士に依頼する場合の費用やメリットなどについて解説しました。 亡くなったあとの家族の安心のためには遺言書を作成することが重要です。正しい遺言書を作成し、亡くなったあとのサポートも安心して受けられるためには、弁護士に遺言書作成を依頼することをおすすめします。

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