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2022年9月の記事一覧

  • 家族に託す大切な気持ち…ビデオメッセージを活用するメリットとは?

    家族に託す大切な気持ち…ビデオメッセージを活用するメリットとは?

    終活では、「家族に向けたメッセージを残したい」と思う方も多いことでしょう。手紙を残したり、エンディングノートにメッセージをつづったりと、その方法はさまざまです。 「より気持ちの伝わるメッセージを届けたい」と思う方に、近年人気なのがビデオメッセージです。家族に対して、ビデオメッセージを残すメリットや具体的な方法について解説します。ぜひ参考にしてみてください。 終活で「ビデオメッセージを残す」とは? 終活では、大切な家族に向けたメッセージを、何らかの形で残すよう、促すケースも多いものです。ビデオメッセージは、メッセージを残すための形式の一つと言えるでしょう。 文字で書かれたメッセージは、読み手に「情報」を伝えてくれますが、それ以上のものではありません。一方でビデオメッセージの場合、生きている自分の姿や声、仕草など、さまざまなポイントで気持ちを伝えやすくなるでしょう。パソコンやスマートフォンで手軽に動画撮影できるようになった今、「最期の思いを届けるための手段」として、ビデオメッセージを選択する方も増えてきています。 実際に、ビデオメッセージを残そうと思ったときに気になるのが、その扱いについてです。残念ながらビデオメッセージには、法的拘束力は存在しません。遺言書のように、自身の死後の、家族の動きを指定できるわけではないのです。 法的拘束力を持つ遺言は遺言として残し、その内容をより身近に感じてもらうため、ビデオメッセージも併せて活用すると良いでしょう。 ビデオメッセージならではの3つのメリット ビデオメッセージには、その他のメッセージ伝達手段にはないメリットがあります。3つ紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。 ★1.自分の「声」を届けられる ビデオメッセージならではの特徴と言えば、自分の声をそのままの形で残せるという点です。身近な人が亡くなったあと、恋しい思いに囚われてしまう方は、決して少なくありません。生前の声を聞くことで、元気を取り戻せる方もいます。 耳から入る情報が持つインパクトは非常に大きく、遺族の心を揺さぶるでしょう。また、何度も繰り返し再生できるため、亡くなった人をいつでも身近に感じやすくなります。 ★2.気持ちが伝わりやすくなる 文字ではなく言葉で気持ちを伝えるビデオメッセージは、自身の感情をより一層伝えやすいというメリットがあります。伝える内容が同じであっても、文字で記載された情報を読むのと、声で直接届けるのとでは、印象が異なります。 自分の気持ちを届けたいと思うときには、やはりビデオメッセージの方が、効果が高くなるでしょう。ビデオメッセージが苦手…と感じる方もいるかもしれませんが、難しく考える必要はありません。事前に用意した原稿を読むだけであっても、気持ちを伝える効果は十分にあるでしょう。 ★3.「自分らしさ」を演出しやすい 遺言とは違い、法的拘束力を持たないビデオメッセージ。デメリットのようにも思えますが、見方を変えればメリットにもなります。法的な必要要件を満たすために、必死になる必要はありません。自分の好きな形で、好きなようにメッセージを残せるでしょう。 たとえば、自分一人でメッセージを残す必要はありませんし、友人や家族と一緒に楽しく撮影するのもおすすめです。自分の趣味を取り入れたり、前からやってみたいと思っていたことに挑戦したりするのも良いでしょう。自分らしい演出で、世界に一つだけのビデオメッセージを作ってみてください。 家族へのビデオメッセージの残し方2つ 残された家族へ、素直な気持ちを届けてくれるビデオメッセージ。具体的には、どのように残せばよいのでしょうか。2つの方法と注意点を紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。 ★1.自分のスマホで撮影する 家族へのビデオメッセージの残し方2つ 低コストで手軽にビデオメッセージを残したいと思う方におすすめなのが、自分自身で動画を撮影する方法です。普段からスマートフォンを愛用している方なら、決して難しい作業ではないでしょう。お気に入りの場所でカメラをセットしたら、あっという間に撮影スタジオが出来上がります。 自分で撮影する場合の注意点は、ビデオメッセージの質は、自身のスキル次第だということ。編集まで難なくこなす人もいれば、ダラダラと話すだけの、まとまりのないメッセージになってしまうケースもあるでしょう。 また自分の手でビデオメッセージを作成する場合、自身の死後、確実に見つけてもらうための仕組み作りが必須です。 ・パソコンやスマホの目立つところに保存しておく・エンディングノートに、家族あてのビデオメッセージのありかを記録しておく・身近な人に、ビデオメッセージの存在を伝えておく せっかくのメッセージが埋もれてしまわないよう、十分に注意してください。 ★2.制作業者に依頼する 制作業者に依頼する 終活ブームの今、さまざまな作業を代行する業者も登場してきています。家族あてのビデオメッセージの制作代行業者もその一つです。コストはかかりますが、自分で作成するよりも高いクオリティで、より確実にメッセージを残せるでしょう。 ビデオメッセージの制作業者に依頼する際の注意点は、以下のとおりです。 ・自分のイメージに沿った制作物を納品してくれること・料金が明瞭であること・業者側と、しっかりコミュニケーションが取れること ひと言で「家族向けビデオメッセージ」と言っても、コンセプトが変われば、動画の雰囲気もがらりと変わります。理想の仕上がりにするためには、業者選びの段階で、しっかりと比較検討する必要があるでしょう。 費用についても、業者によって非常に大きな差があります。4万円~10万円程度で制作できる業者が多いものの、中には30万円以上と高額プランを打ち出しているところもあります。 ビデオメッセージ制作を業者に依頼した場合、「自分が亡くなるまで保管し、その後家族のもとへと届けてくれるサービス」までを展開しているところもあります。それぞれのサービスの内容を理解した上で、利用先を決定するようにしましょう。 家族あてのビデオメッセージも上手に活用を 遺言とはまた違った形で、最期の言葉を家族のもとへと届けてくれるビデオメッセージ。「遺言の内容に信ぴょう性を持たせたい」と思う場合にも、極めて有効な方法と言えるでしょう。ぜひ遺言と併せて活用してみてください。自分にとっても、終活を楽しくすすめていくための拠り所になってくれるのではないでしょうか。 単に文字を伝えるだけではなく、声や表情を通して伝えることで、大切な思いはより一層届きやすくなります。大切な家族だからこそ、形にこだわってみるのも良いでしょう。どういった形でメッセージを残そうか悩んだときには、ぜひビデオメッセージにも注目してみてください。

  • 子供に残す資産に要注意!万が一のときのための予備知識

    子供に残す資産に要注意!万が一のときのための予備知識

    親として、子供のためにできるだけ多くの資産を残したいと願う方も多いのではないでしょうか。とはいえ、相続に関するルールの中には、複雑でよくわからない点も多いもの。「おそらく大丈夫だろう」という認識で話を進めていくと、将来的に、子供が困る事態にもなりかねないでしょう。 今回は、子供に資産を残す際の注意点について解説します。万が一のときのための予備知識として、ぜひ最後までご覧ください。 子供名義の預金通帳に注意 子供名義の預金通帳に注意 親が子供のために資産を残す方法として、「子供名義の預金通帳を作り、そこにお金を積み立てていく」というものがあります。最初から子供名義にしておけば、遺産相続の際に相続税が加算されることはありません。また、「贈与税の非課税枠に収まる範囲にしておけば、余計なお金を取られる恐れもない」と考える方も多いのではないでしょうか。 確かに、非常に有効で非常に手軽な方法に映りますが、実際には注意するべき点も少なくありません。ただ単純に「親が子供名義の通帳を作ってそこにお金を入れていく」というだけでは、「贈与」とみなされない可能性が高いからです。 贈与としてみなされなければ、通帳の名義だけが子供であっても、実際には親の財産に。相続が発生すれば相続税の対象になりますし、基礎控除分を超える場合、子供自身が税金を納めなくてはいけなくなります。 このケースで最も重要なポイントになるのは、「親から子供への贈与が本当に存在していたのか?」という点です。ただ単純に親がお金を積み立て、子供自身はその存在を把握していないような場合、贈与と認められないのです。この方法で子供のための財産を残したいと考えるなら、ぜひ以下の点に注意してください。 ・お金をあげる、もらうという意識をはっきりさせる・通帳の管理を子供自身にさせる(子供がすでに成人している場合) より確実にトラブルを予防するためには、贈与のたびに「贈与契約書」を作成するのがおすすめです。多少手間はかかりますが、「本当に贈与があった」と証明する手立てになるでしょう。また、贈与税の非課税枠から、あえてほんの少し足が出る程度の贈与を行うのも効果的です。もちろん、非課税枠を超えた分に対しては贈与税が加算されますが、ときおり贈与税を納めておくことで、子供自身の資産であると認められやすくなるでしょう。 「持ち家を残す」のが正解とは限らない 「持ち家を残す」のが正解とは限らない 子供のために資産を残すことを考え始めたとき、「不動産」が頭に思い浮かぶ方も多いのではないでしょうか。家族みんなで暮らした家に思い入れがあるのは当たり前のこと。また持ち家をそのままの形で子供に残せば、「子供自身が住む場所を確保できる」というメリットがあります。 とはいえ、子供のために持ち家を残したことがきっかけで、相続トラブルに発展するようなケースも珍しくありません。なぜなら、相続人が一人だけとは限らないから。「相続人同士で揉めないため、きっちり遺産を分割したい」と思っていても、持ち家があると、途端にそれは難しくなってしまうでしょう。 また不動産の維持・管理にはそれなりの費用がかかるものです。自分たちが長く生活してきたマイホームを子供に相続させようとすれば、子供自身にメンテナンスやリフォームの手間やコストがかかってくるでしょう。「住まいを確保できてうれしい」と思う人もいれば、「自分の住まいは別で確保したいから、正直負担…」というケースも少なくないのが現実です。 持ち家を残すかどうかについては、子供との間で事前にしっかりと話し合っておくことをおすすめします。持ち家を残した方が良いということであれば、どのような形で相続するのがベストなのかまで、あらかじめ確認しておくと安心です。 子供自身が「残されても困る」ということであれば、相続が発生する前に自宅を売却し、現金で相続させるのも一つの方法です。遺産分割協議で揉める可能性は低くなりますし、「相続人同士できっちり等分に分ける」という選択もしやすくなるでしょう。 子供が居住しない住居を財産として相続させた場合、自身の死後、マイホームは空き家になる可能性も。きちんとした手入れや管理が行き届かず、「特定空き家等」に認定されてしまった場合、固定資産税は大幅にアップします。人の手が入らなくなった古い物件を売却するのは、決して簡単ではありません。そうなる前に、自分自身の代で「家じまい」を検討するのもおすすめです。 生命保険の活用も検討しておこう 親が子供に財産を残す際に、「子供たちとの関係性によって、残す財産の額に差をつけたい」と思うこともあるかもしれません。たとえば、2人の子供のうち1人は同居し自分の面倒を見てくれ、もう1人は長く疎遠になっているような場合、「同居して面倒を見てくれる子供の方に、多くの財産を残したい」と思うのは、ある意味で当然だと言えるでしょう。 このような場合、子供たちの相続分に対して、遺言で割合を指定するのがおすすめです。このとき、「なぜ片方の子供にだけ多くの財産を残すのか」という理由まで、しっかりと伝えておくと良いでしょう。相続人の間の不公平感を和らげる効果が期待できます。 また、生命保険を活用するのもおすすめの方法です。遺産を多めに渡したいと思っている相続人を受取人にした、生命保険に加入しましょう。すると、自身が亡くなった際に支給される生命保険金は、事前に指定しておいた受取人のもとに直接わたります。 年齢を重ねると加入できる保険にも制限が出てきますが、死亡保険金には非課税措置も設けられており、相続税対策としても有効です。自身に合ったタイプの保険を探し、できるだけ早い段階から対策を取っておくのも良いでしょう。 注意点を理解して子供に資産を残そう 子供に資産を残す際に、注意するべき3つのポイントをまとめました。相続に関するルールをしっかりと理解した上で準備を進めておけば、相続の手続きそのものをスムーズに進めていける可能性も。子供の負担も軽減できるでしょう。子供のために良かれと思ってしたことでも、実際には「大きな負担になってしまった…」というケースは決して少なくありません。そして、相続する側の負担が増えれば増えるほど、相続トラブルに発展するリスクも高まってしまいます。 子供のためを思って財産を残すのであれば、相手の気持ちに寄り添って、必要な準備を丁寧に整えておくことが大切です。それも大切な終活の一つ。いつそのときが訪れても良いように、少しずつ準備を進めていきましょう。今回紹介した3つのポイントもぜひ参考にしながら、子供に財産を残すことについて、今一度検討してみてください。

  • 遺産【争族】を防ぐために…やっておくべき事前準備とは?

    遺産【争族】を防ぐために…やっておくべき事前準備とは?

    身近な人が亡くなった際に、発生するのが相続です。できるだけ円満に解決したいと思いつつ、実際には遺産「争族」になってしまうケースも少なくありません。余計なトラブルを防ぐためには、事前にしっかりと相続準備を進めておくことが大切です。争いを避けるための3つのポイントを紹介します。 相続人の負担を減らすための対策をする 相続人の負担を減らすための対策をする 遺産相続でトラブルが発生する理由は、各家庭によってさまざまです。比較的多くみられるのが、相続にかかる負担が大きく、「できるだけ負担を少なくしたい」と願う親族同士で、トラブルに発展してしまうケースです。できるだけ負担を少なくするための対策をとっておきましょう。具体的な対策は、以下のとおりです。 ★相続財産を減らす 相続財産が多い場合に、問題になりやすいのが相続税です。遺産相続には「3,000万円+600万円×法定相続人の数」という基礎控除が用意されていますが、この金額を超えてしまえば、その分に対して相続税が課税されます。相続時の負担を軽減し、できるだけ多くの財産を手元に残すためには、「相続が発生する前に、できるだけ相続財産を減らしておく」必要があるでしょう。 贈与税の負担が大きくならない範囲で生前贈与をしたり、不動産を購入したりする方法が一般的。現金を不動産に変えておけば、相続税評価額は80%程度に減額されるため、相続税の負担軽減に役立つはずです。 またもう一点重要なのが、「もらって困る財産はできる限り事前に処分しておく」ということです。たとえば、田舎の空き家を財産として残されても、困る方がほとんどでしょう。プラスになるどころか、修繕費や管理費などで、マイナスの資産になってしまう可能性も高いです。いざ売却しようとしても、状態の悪い物件を購入したいと思う人は決して多くはありません。不必要な財産は、相続人間の間で押し付け合いのような状況に陥りがちです。できるだけ自分の代で整理しておくと良いでしょう。 どういった相続対策が有効なのかは、個々の状況によって異なります。対策方法を間違えると、相続人の負担がかえって増加してしまう恐れもあるため、注意してください。相続問題に強い専門家に、相談に乗ってもらうのもおすすめです。 ★相続税を納付するための現金をあらかじめ用意しておく 相続税の申告と納付には、期限が定められています。相続が発生した日の翌日から10か月以内と短いため、話をスムーズに進めていく必要があるでしょう。またもう一点注意しなければならないのが、「相続税が発生した場合、税金は現金で納める必要がある」という点です。 不動産相続などで相続税が高額になる場合、現金の準備で苦労する相続人は少なくありません。最悪の場合、せっかく相続した不動産を短期間で売却し、相続税の支払いにあてなければならないような事態も考えられます。 だからこそ、相続税の支払いにあてる分の現金は、相続準備として事前に用意しておくのがおすすめです。不動産の一部を売却して現金を用意したり、不動産投資で賃貸経営をし、そのリターンを確保したりする方法も良いでしょう。こちらも、相続税の負担がだいたいいくらくらいになりそうなのか、専門家と試算した上で必要額を準備しておくのがおすすめです。 家族としっかりコミュニケーションをとる 遺産相続で、あえて揉めようとするご家族は少ないはず。しかし実際には、争いごとが発生してしまうケースは珍しくありません。その多くは、コミュニケーション不足が原因で発生しています。 たとえば、被相続人が「自分の面倒を献身的にみてくれた長男に、全財産を残したい」と考えたとします。とはいえ、こうした考えに、その他の相続人が納得できるとは限らないでしょう。その他の兄弟の中にも「自分は○○で貢献した」「長男は確かに同居していたが、その分生前に受けた恩恵も誰より多かったはず」など、モヤモヤした気持ちが残ってしまう可能性があります。 こうしたトラブルを予防するため、生前から家族間でしっかりとコミュニケーションをとっておくことも、非常に重要な相続準備の一つです。被相続人の立場としても、相続人それぞれの思いを知るきっかけになるでしょう。 たとえば、先ほどの「長男に全財産を残したい」という希望がある場合でも、生前に自らの口から伝えておけば、印象は変わります。どれだけ感謝していて、なぜ財産を残したいと思っているのか。その代わり、その他の相続人に対して何をしようと思っているのか、しっかりと伝えてみてください。その他の相続人からは、もしかしたら文句の言葉が出てくるかもしれません。しかし、生前であれば、それぞれの相続人の思いを知った上で、それを実際の相続に反映させることもできるはずです。 亡くなる前に相続の話をするなんて…と思う方もいるかもしれませんが、これも立派な終活の一つです。自らがコミュニケーションをとれる段階でしっかりと話し合いを進めておくことで、余計なトラブルを防げるはずです。 自身の思いを遺言書に残す 自身の思いを遺言書に残す 相続人たちとの間でしっかりとコミュニケーションがとれたら、自身の思いも反映させた内容を、遺言書に残しておきましょう。どれだけ蜜にコミュニケーションをとっていても、きちんとした書類が残っていなければ、やはりトラブルになってしまう可能性も。終活ブームの今、一般の方でも遺言を残すことは決して難しくありません。ぜひ、自身の言葉を記しておきましょう。 遺言を残す際に、争族にさせないための注意点は以下のとおりです。 ・遺言書を無効にさせない ・相続人の感情を逆なでしない 近年人気の自筆証書遺言は、誰でも自宅で手軽に遺言を残せる方法です。しかしその有効性が認められるためには、ルールに則った形式で書かれていなくてはいけません。実際に、「遺言は残っていたが、ほんの少しのミスが原因で無効と判断されてしまった…」というケースも少なくないのです。 また、遺言を残していた場合でも、法定相続人にはそれぞれ遺留分が認められています。遺留分を無視して「○○に全財産を相続させる」といった内容を残しても、結局のところ、トラブルに発展してしまう可能性が高いでしょう。あらかじめ遺留分に配慮した内容を記載し、またそのように決断した理由についても丁寧に残しておくことで、各相続人の感情にも配慮できるのではないでしょうか。 ちょっとした工夫で遺産「争族」を防ぐことはできる! トラブルのイメージも強い遺産相続ですが、準備段階からしっかりと配慮しておけば、余計な問題を避けられるでしょう。重要なのは、トラブルの芽を事前に察知し、できる限りつぶしておくということ。決して難しい内容ではありませんから、ぜひ終活の一環として取り入れてみてください。 自身が亡くなったあとも、残された家族はみんな仲良くやってほしいと願う方は多いでしょう。円満な遺産相続で、その後押しができると良いですね。

  • 遺産を相続する際に支払う税金は?計算方法から困ったときの相談先まで

    遺産を相続する際に支払う税金は?計算方法から困ったときの相談先まで

    遺産を相続する際に、考えておかなければならないのが「税金」についてです。場合によっては、事前の準備が負担を減らす鍵となる可能性も。まずは「どういった税金がかかるのか?」「どの程度の負担になるのか?」など、基本的な知識を身につけておきましょう。 遺産相続と税金について、気になる点をまとめます。将来の自分たちのため、子どものために、まず何からすればチェックしてみてください。 遺産相続にかかる税金は「相続税」 遺産相続で発生する税金は、相続税です。相続税は、身近な人が亡くなってその財産を受け継いだときのみに発生する税金。普段あまり馴染みがない…と感じる方がほとんどでしょう。 相続税は、相続する財産の金額によって、以下のように税額が定められています。 課税価格 1,000万円以下 → 税率10% 3,000万円以下 → 税率15%(控除額50万円) 5,000万円以下 → 税率20%(控除額200万円) 1億円以下 → 税率30%(控除額700万円) 2億円以下 → 税率40%(控除額1,700万円) 3億円以下 → 税率45%(控除額2,700万円) 6億円以下 → 税率50%(控除額4,200万円) 6億円超 → 税率55%(控除額7,200万円) 相続する財産の課税価格が多ければ多いほど、納める税金額は多くなる仕組みです。仮に課税価格3億円超の財産を受け継ごうとした場合、税率は5割を超えてしまうため、その負担は非常に重いと言えるでしょう。 とはいえ、相続税は相続で財産を受け継いだすべての人が支払うわけではありません。これは、相続税にはさまざまな控除制度が用意されているため。受け継ぐ財産の金額が控除額を下回れば、相続税を支払う必要はないのです。この場合、相続税を負担することなく、すべての財産を受け継げます。 財務省ホームページによると、令和元年度に亡くなった方の中で、実際に相続税がかかったケースの割合は、全体の8%程度です。ほとんどのケースで相続税について心配する必要はないものの、最近は以前よりも、相続税を支払わなければならない事例が増えているのも事実。相続税について正しい知識を身につけ、必要に応じて適切な準備を整えておくのがおすすめです。(※1) 相続税の控除制度と税額シミュレーション 相続税の控除制度と税額シミュレーション 相続税の基礎控除額は、法定相続人の数によって異なります。だからこそ、「受け継ぐ財産の金額はほぼ同じ」というケースでも、法定相続人の数によって、相続税が発生する事例もあれば、発生しない事例もあるというわけです。 相続税の基礎控除額は「3000万円+600万円×法定相続人の数」という数式で求められます。法定相続人が「配偶者1人+子ども1人」の合計2人の場合、相続する遺産の4,200万円を超えた部分に対して、相続税が発生します。一方で、法定相続人の数が多く「8人」いる場合の基礎控除額は、7,800万円にまでアップするのです。 では、より具体的に、相続税のシミュレーションをチェックしていきましょう。 配偶者1人と子ども2人の法定相続人が、合計2億4,800万円の相続財産を受け継ぐ場合、基礎控除額(4,800万円)を引いた2億円が課税価格になります。ここから相続人それぞれの割合を計算して、それぞれに対して相続税を決定する仕組みです。 法定相続分に沿って計算した場合、課税価格2億円のうち、妻が1億円、2人の子どもそれぞれが5,000万円ずつという計算に。ここから、それぞれの相続税を求めていきましょう。 まず妻については、相続税の配偶者控除を活用できます。「配偶者の相続遺産が1億6,000万円以下」「配偶者の相続遺産が法定相続分より少ない」のいずれかの条件に当てはまっていれば、相続税は発生しません。つまり、今回のシミュレーションでも妻の相続税負担は0円です。 一方で2人の子どもたちについては、5,000万円×20%-200万円=800万円ずつを、相続税として納めなければいけません。配偶者については、手厚い控除制度が用意されていますが、その他の相続人については注意が必要です。「できるだけ多くの財産を残したい」と思う場合、事前準備が鍵になるでしょう。 遺産相続と税金の注意点は? 何かと複雑な、遺産相続と相続税。いくつか注意点があるので、ぜひこちらも頭に入れておいてください。3つのポイントを紹介します。 ★1.相続税の申告には期限が設定されている 相続税の申告には、「相続開始の翌日から10カ月以内」という期限が設定されています。申告期限を過ぎてしまうと、ペナルティとして延滞税が加算されます。また、配偶者の税額控除や小規模宅地の特例等、税金を少なくできる各種特例を利用できるのも、期限内に申告してこそ。自分の力だけで難しい場合は、専門家の手も借りて期限内に申告するのがおすすめです。 ★2.相続税が0円でも申告が必要なケースもある 相続した遺産の総額が基礎控除額以内に収まっているなど、相続税が0円の場合、基本的に申告は必要ありません。しかし、以下のケースでは例外的に申告が必要になりますから、忘れないようにしてください。 ・配偶者の税額軽減で税額が0円になった ・小規模宅地等の特例を受けて税額が0円になった これらの特例は、申告して初めて適用されるものです。自己判断で申告をスルーしてしまわないよう、十分に注意しましょう。 ★3.申告内容によっては税務調査が入る可能性も 相続税を申告した場合でも、それですべての手続きが完了するわけではありません。申告内容に不明な点や疑わしい点、誤りがある場合には、税務調査が入ります。 中でも注意が必要なのは、預貯金についてです。「相続税対策のため、贈与税がかからない範囲で少しずつ現金を渡していく」という手法をとる方は多いものの、相続開始の日から過去3年以内の贈与は、持ち戻しする必要があるでしょう。遺産の総額に含めて、相続税額を計算しなければいけません。 最初から税理士に入ってもらい、サポートを受けていればまず心配はないでしょう。自分たちですべての調査を完了し、計算した場合、税務署からのチェックも厳しくなりがちです。「申告したらそれで終わり」というわけではない点も、頭に入れておいてください。 遺産相続と税金で悩んだら税理士に相談を 遺産相続と税金で悩んだら税理士に相談を 遺産相続には、税金の問題も複雑に絡み合ってきます。「相続する財産が明らかに基礎控除内で収まる」というケースを除いて、事前の準備が非常に重要な意味を持つでしょう。 とはいえ、間違った対策をすれば、「相続対策として何の意味もなかった。結局たくさんの相続税を支払うことになった…」という事態にも陥りかねません。具体的な相続税対策については、税理士に相談しながら進めていくのがおすすめです。 実際に相続が発生した場合も、税理士にサポートしてもらえば、ややこしい手続きはお任せできます。税金面での不安も和らげられるでしょう。 ※1https://www.mof.go.jp/tax_information/qanda005.html

  • 遺言作成の基礎知識…3つの形式とメリット・デメリットは?

    遺言作成の基礎知識…3つの形式とメリット・デメリットは?

    遺言を正しく残すためには、まず基本的な知識を身につけておく必要があるでしょう。ひと言で「遺言」と言っても、実はその形式は3つに分かれます。形式が変われば、遺言を残すための手順も違ってきますから、十分に注意してください。 遺言の3つの形式と、それぞれのメリット・デメリットを解説します。終活の一環として、これから遺言を残そうと思っている方は、ぜひ参考にしてみてください。 遺言の形式1「自筆証書遺言」 自筆証書遺言は、近年人気の遺言スタイルです。用意するものは、紙とペンのみ。自宅で遺言書を作成することも可能ですから、3つの形式の中でもっとも手軽に遺言を残せる形式と言えるでしょう。 自筆証書遺言として認められるためには、遺言の全文を直筆かつ手書きで書く必要があります。財産目録など、一部ワープロを使った作業が認められるものもありますが、基本的には「タイトル、本文、日付、署名押印など、すべてを自分で書かなければ有効とは認められない」という点を、頭に入れておいてください。 自筆証書遺言を残す場合、紙やペン、書式に指定はありません。縦書きでも横書きでも、紙のサイズも自分の自由に決めて良いでしょう。本人の署名捺印や日付の記入を忘れないでください。文字や文章を間違った際には、定められたルールに沿って訂正や加筆する必要があるという点も、知っておくと安心です。 自筆証書遺言のメリットは以下のとおりです。 ・いつでも好きなときに、遺言を残せる ・コストが低い ・内容を自分だけの秘密にできる 自筆証書遺言を選ぶ人が増えているのは、制限の少なさに惹かれる方が多いからなのでしょう。自筆証書遺言なら、「遺言を残したい」と思ったときにいつでも作成可能です。実際に、自宅で一人、遺言を作成する方も少なくありません。 一方で、自筆証書遺言のデメリットは以下のとおりです。 ・無効リスクが高い ・トラブルの可能性がある ・執行する前に家庭裁判所の検認が必要 手軽に残せる自筆証書遺言ですが、必要要件を満たしていなければ「無効」と判断されてしまいます。誰の手も借りずに残せる遺言形式だからこそ、チェック体制にも漏れが生じやすいと言えるでしょう。 また自筆証書遺言を作成して自宅で保管した場合、遺言を見つけてもらえない、勝手に破棄されてしまう、内容を改ざんされるといったリスクも否定できません。実際に多く報告されているのが「見つけてもらえない」というケースでしょう。遺産分割協議後に遺書が発見された場合、遺族の手間や負担が増えてしまいます。 遺言の形式2「公正証書遺言」 遺言の形式2「公正証書遺言」 遺言の2つ目の形式は、公正証書遺言と言います。より確実に遺言を残せることから、専門家からもおすすめされやすい形式です。 公正証書遺言の特徴は、遺言を作成するのが「公証人」と呼ばれる専門家であるという点です。このため、公正証書遺言を残したいと思ったら、公証人がいる公証役場まで出向かなければいけません。遺言の内容は、公証人と打ち合わせしながら決定していきます。少し手間はかかりますが、自分で難しいことをあれこれと考える必要はないでしょう。 そんな公正証書遺言のメリットは以下のとおりです。 ・遺言が無効になる可能性が低い ・内容を改ざんされたり、破棄や紛失したりするリスクが極めて少ない ・遺言書の検認手続きが必要ない 公正証書遺言は、遺言の内容が公証役場に保管されます。遺言の内容を、より確実に遺族のもとへと届けられるでしょう。自筆証書遺言のように、「遺言そのものが無効と判断されてしまう」ような可能性もなく、安心です。 一方で、公正証書遺言のデメリットは以下のとおりです。 ・コストがかかる ・公証人以外に、2名の証人を用意して立ち会ってもらう必要がある ・遺言の内容を完全に秘密にすることはできない 公正証書遺言を作成するためには、公証人の手数料が発生します。2万円~5万円程度を見ておきましょう。それほど高くはありませんが、自筆証書遺言(無料)と比較すると、ためらう方が多いのも現実です。 また公正証書遺言を作成する際には、2名の証人に立ち会ってもらう必要があります。ただし、将来遺産相続の関係者になる見込みの人は、証人にはなれません。身内以外で2人の証人を確保しなければならないため、手間だと感じる方も多いようです。また証人が立ち会っている以上、遺言の内容を完全に秘密にすることはできません。「誰にも知られずに遺言を残したい」と思う方には、向いていない方法と言えるでしょう。 遺言の形式3「秘密証書遺言」 遺言の形式、最後の1つは秘密証書遺言です。こちらの遺言も公証役場に行き、手続きするスタイルです。 秘密証書遺言は公正証書遺言とは違い、遺言書の存在のみを公証してもらいます。遺言はあらかじめ書き上げておき、封をした状態で公証役場に持参しましょう。証人立ち会いのもとで「遺言が残された」という事実のみを記録してもらいます。公正証書遺言の「遺言内容を秘密にできない」というデメリットを、補えるスタイルの遺言と言えるでしょう。 ただし秘密証書遺言の場合、その内容まで保証してもらえるわけではありません。秘密にできる代わりに、いざ遺言を執行する際に、必要要件を満たしておらず「無効」と判断されてしまうようなケースもあります。 秘密証書遺言のメリットは、以下のとおりです。 ・署名以外はワープロでの作成が可能 ・公正証書遺言よりも低コストで作成できる ・遺言の内容を秘密にできる 一方で、デメリットは以下のとおりです。 ・遺言が無効になるリスクがある ・遺言は本人で保管するため、隠蔽や改ざんの恐れがある ・執行前の検認手続きが必要 デメリットについては、自筆証書遺言とほぼ同じです。自分にとってどれだけのメリットが期待できるかで、秘密証書遺言を選ぶかどうか決定してみてください。実際には、あまり選ばれない形式の遺言です。 おすすめの遺言形式は? おすすめの遺言形式は? 遺言をより確実に残したい場合には、多少コストと手間がかかっても、公正証書遺言を選択するのがおすすめです。遺言の存在だけではなく、その内容もしっかりと保証してもらえるため、後々のトラブルを予防できるのではないでしょうか。 「自宅で手軽に遺言を準備したい」「内容を秘密にしたい」という場合には自筆証書遺言をおすすめしますが、この場合、専門家のサポートを検討してみてください。無効リスクを低減できますし、専門家のアドバイスによって、より自身の希望に沿った遺言にできる可能性も高まるでしょう。 それぞれの形式の特徴を知り、自分に合ったタイプを選ぼう ここまで解説してきたとおり、遺言の形式には3つのタイプが存在しています。それぞれに異なる特徴がありますから、自分の希望に沿ったものを選択しましょう。遺言に関する基礎知識を身につけておけば、相続トラブルを回避できる可能性も高まるはずです。今回紹介した内容も参考にして、ぜひ自分に合ったタイプの遺言を作成してみてください。

  • 遺言がきっかけでトラブル発生!具体例から予防策を学ぼう

    遺言がきっかけでトラブル発生!具体例から予防策を学ぼう

    自身が亡くなったあとの相続トラブルを予防する目的で、遺言を残す方も多いことでしょう。しかし現実には、そうして残した遺言がきっかけで、親族間のトラブルが勃発してしまうケースもあります。 遺言がきっかけで発生するトラブルは、ポイントさえ押さえておけば回避可能です。トラブルの具体例から、遺言を残す段階で意識したい対処法を学びましょう。 トラブル事例1「遺言書の偽造」 トラブル事例1「遺言書の偽造」 遺言書は、故人の最期の意思を残された人々に伝えるものです。遺産相続に関連した内容が記されるケースも多いのですが、「偽造」によるトラブルもゼロではありません。具体的には、以下のような事例が挙げられるでしょう。 ・同居中の家族が一足先に遺言書を見つけ、自分にとって都合の良い内容へと書き換えてしまった ・認知症になった親に、半ば強制的に遺言書を書かせる これらの遺言書には、故人の思いが正しく反映されていません。また実際に偽造があったかどうかにかかわらず、「もしかして偽造されたものなのでは…」という疑念が、家族の中に生まれてしまうでしょう。また偽造とは少し内容が異なりますが、「自分にとって不利な内容が記された遺言書を、勝手に処分する」というケースも少なくありません。 遺言書を偽造した場合、有印私文書偽造罪に問われる可能性がありますし、破棄した場合には私用文書毀棄罪が適用される恐れがあります。また民法では、遺言書を偽造・破棄・隠匿した場合、その人は相続人になれないと定められています。非常にリスクの高い行為だと言えるでしょう。 遺言を残す側としては、できるだけトラブルを避けたいところです。自筆証書遺言ではなく、公正証書遺言を作成すれば、遺言書の内容を公証役場の公証人がチェックしてくれます。また自筆証書遺言を選択する場合でも、法務局に預けることで、偽造や廃棄といったトラブルを防ぐ効果が期待できるでしょう。遺言をただ書くのではなく、どう残しておくのかにまで配慮して、具体的な方法を決定しましょう。 トラブル事例2「記載内容のあいまいさ」 正しい形式・方法で遺言を残した場合でも、記載内容のあいまいさからトラブルに発展するケースも少なくありません。具体的な事例としては、以下のようなケースが挙げられます。 ・相続財産の〇%を長男、△%を次男、□%を長女に相続させる ・遺言書に不動産に関する記載があったものの、内容が漠然としている ・不動産の記載内容が微妙に間違っている 財産の割合を指定して、相続人それぞれに分割する遺言方法は、古くから知られたもの。ドラマや映画で見かけた経験があるという方も多いかもしれません。しかし、実際の遺産相続でこの方法をとってしまうと、その内容は非常にあいまいなものになってしまうでしょう。 相続財産が現金だけという可能性は低く、遺言書の割合に沿ってきっちり分けるのは困難です。遺言どおりに分けようとした結果、親族間のトラブルに発展するケースも少なくありません。またせっかく遺言書が残っていても、結局のところ遺産分割協議をするしかないというデメリットも発生するでしょう。 こうしたトラブルを避けるためには、どの財産を誰に相続させるのか具体的に特定する「特定財産承継遺言」を選択するのがおすすめです。遺言を残す側に適切な知識があれば、あいまいな内容に遺族が頭を抱えるようなこともなくなるでしょう。 また不動産に関して、特定財産承継遺言で相続人を指定する場合、どの不動産を指しているのか正確に伝える必要があります。不動産名が間違っていると遺言は無効になり、不動産登記も難しくなってしまいます。「家族だから多少あいまいでもわかってくれるだろう」と考えるのは危険です。スムーズかつ確実な遺産相続のため、専門家のアドバイスのもとで作成すると良いでしょう。 トラブル事例3「遺留分を無視した内容」 遺言がきっかけでトラブルが発生するケースとして、もっとも多いのが相続財産の取り分に関するものです。わざわざ遺言を残そうと考える裏には、相続に対して強い思い入れがある可能性も。具体的には、「子どもの1人にすべての財産を受け継いでもらいたい」といった事例が挙げられるでしょう。 もちろん、「長男Aにすべての財産を譲る」という遺言を残すことは、法律的に見ても可能です。しかし他の相続人が納得できるかどうかは、また別の話。「自分は財産を受け継げない」と知ったその他の家族が、モヤモヤした感情を抱くのは想像に難くありません。 そもそも、兄弟姉妹や甥姪以外の法定相続人には、「遺留分」が認められています。遺留分とは、最低限の遺産取得割合のこと。たとえ「長男Aにすべての財産を譲る」という遺言が残されていたとしても、その他の子どもや配偶者は、自身の遺留分を金銭で受け取ることができるのです。とはいえ、その過程で親族間トラブルを経験する方は、決して少なくありません。 遺言を残す側が遺留分について正しい知識を身につけ、最初から配慮した内容にできていれば、不要なトラブルは防げるはずです。自分の想いを残すための遺言書ではありますが、周囲の気持ちにも一定の配慮を示すことで、よりスムーズな遺産相続に近づけられるでしょう。 トラブル事例4「遺言の内容に納得できない」 「遺留分を無視した内容」にも関連しますが、偏りのある遺言を残す場合、遺族間に軋轢を生む恐れがあります。特に多いのが、「偏りのある遺言の内容に納得できない」という気持ちが、遺族間の紛争につながるケースです。 たとえば、遺言書に「長男Aにすべての財産を譲る」とだけ記載されていた場合、長男A以外は「いったいなぜ1人だけ?」と、不審に思うことでしょう。もちろん、遺言を残す側にとっては、何か明確な理由があるのでしょうが、自身の死後、その理由が正確に伝わるとは限らないのです。 こうしたトラブルは、相続の内容に偏りが生じる「理由」を丁寧に説明することで、避けられる可能性があります。 ・長男Aとその嫁から献身的に介護をしてもらったため、感謝の気持ちを伝えたい ・現在同居中の家族の住まいを確保するため、○○に相続させたい またこの場合も、最低限遺留分に配慮した内容を意識することで、余計なトラブルを防げるでしょう。残された家族同士が気持ちの良い関係を維持し続けるためにも、「納得できない」という気持ちをできるだけ和らげられるよう、意識してみてください。 遺言のコツを踏まえて余計なトラブルを予防しよう 遺言のコツを踏まえて余計なトラブルを予防しよう 終活が一般的になった今、一般の方でも「余計なトラブルを防ぐために遺言を残そう」と考える方が増えてきています。とはいえ、中途半端な知識で遺言を残すと、かえってそれがトラブルの火種になってしまう恐れもあるでしょう。 今回紹介したトラブル事例も参考に、残された遺族の気持ちや状況に配慮した遺言を意識してみてください。遺言に関する各種サービスや、専門家のサポートを受けるのもおすすめですよ。

  • 遺族年金の受け取り方法を一から解説!必要書類や振込までの期間も紹介

    遺族年金の受け取り方法を一から解説!必要書類や振込までの期間も紹介

    一家の大黒柱に万が一のことがあった際に、残された家族の生活を支える柱になってくれるのが、遺族年金です。とはいえ、いざそのときを迎えた際に、迷いなくスムーズに手続きできる方は稀ではないでしょうか? 今回は、遺族年金を受け取るための手続き方法について、一からわかりやすく解説します。必要書類や振り込みまでに要する期間も紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。 遺族年金を受け取るためにするべきことは? 遺族年金を受け取るための手続きは、やや複雑です。できるだけスムーズに手続きできるよう、流れを頭に入れておきましょう。大まかな流れは以下のとおりです。 1.死亡届の提出 2.年金請求書の取得・記入 3.年金請求書の提出 4.遺族年金の受け取り 遺族年金を受け取るためには、まず死亡届を提出する必要があります。亡くなった方の状況によって提出先や方法が異なりますから、以下を参考にしてみてください。 ・厚生年金加入者 → 会社に「資格喪失届」を提出する ・国民年金加入者 → 市町村役場に「国民年金被保険者死亡届」を提出する ・年金受給者 → 年金事務所に「年金受給権者死亡届」を提出する 死亡届の提出は、仮に遺族年金を受け取らない場合でも必要な手続きです。忘れないようにしましょう。請求書を提出する場合、死亡届と同時でも大丈夫です。 死亡届を提出したあとに、年金を請求するための手続きをスタートします。次項目で詳しくチェックしていきましょう。 遺族年金を請求する場合の手続きと必要書類 遺族年金を請求する場合の手続きと必要書類 生前に国民年金に加入していて、遺族基礎年金の支給要件に当てはまっている場合、「年金請求書(国民年金遺族基礎年金)様式第108号」を準備して記入していきます。一方で、遺族厚生年金を請求する場合、必要な請求書類は「年金請求書(国民年金・厚生年金保険遺族給付)様式第105号」です。どちらの書類も、年金事務所や年金相談センターにて入手できます。 請求時の必要書類は以下のとおりです。 ・基礎年金番号通知書(もしくは年金手帳等) ・戸籍謄本(記載事項証明書) ・住民票の写し(世帯全員分) ・収入確認書類(請求者と子ども) ・死亡診断書のコピー ・受取先金融機関の通帳やキャッシュカードのコピー 住民票の写しについては、請求書にマイナンバーを記載すれば、添付なしで提出可能です。また子どもが義務教育終了前もしくは高等学校等在学中の場合は、収入確認書類は必要ありません。義務教育以外の杯、在学証明書や学生証のコピーを提出しましょう。 死亡の原因に第三者が関わっている場合は、上にプラスして以下のような書類の提出を求められます。 ・第三者行為事故状況届 ・事故証明等 ・確認書 ・家族を扶養していた場合、その事実がわかる書類 ・損害賠償金の算定書 こちらの場合、用意する書類の種類はさらに多く複雑になります。また過去に国民年金に任意加入しなかった期間がある場合も、それぞれで用意するべき書類があります。間違いなく用意するためにも、年金事務所窓口等で、一度しっかりと説明してもらうとわかりやすいでしょう。 書類がそろったら、申請する年金の種類に応じた窓口に提出しましょう。遺族基礎年金を請求する場合は、住所地の市区町村役場が窓口です。遺族厚生年金の場合、年金事務所窓口へと提出するようにしてください。 提出後2カ月以内に、「年金証書・年金決定通知書」等の書類が自宅へ届くでしょう。実際に振り込みがスタートするのは、さらにその1~2ヶ月程度あと。請求時に指定した口座に、2ヶ月に1度振り込まれます。 遺族年金の受け取り手続きは早めがおすすめ 遺族年金は、受け取りのための手続きを終えて、初めて振り込まれるお金です。家族が亡くなったあとは、何かと忙しいもの。バタバタしているうちに、ついうっかり、遺族年金の請求手続きを忘れてしまうようなこともあるかもしれません。 しかし、遺族年金には時効があり、「5年」と定められています。何も手続きしないままこの期間が過ぎると、「資格を満たしていても遺族年金を受け取れない」といった事態になりかねないのです。すぐに手続きができない場合でも、過去にさかのぼって請求すること自体は可能。しかしこのケースにおいても、「過去5年分」までしか受け取れません。 遺族年金の場合、たとえ死亡届を提出しても、年金事務所側から請求書が届いたり、遺族年 金対象者のお知らせが届いたりすることはありません。自分自身で受給要件を満たしているかを調べ、適切な手続きをとる必要があるでしょう。 ・本当に自分が対象なのかわからない ・3年前に夫が亡くなったものの、遺族年金の手続きをしていない このような場合には、一度現状をチェックするのがおすすめです。専門家や年金窓口で相談してみるのも良いでしょう。 遺族年金の請求手続きを代行してくれるのは? 遺族年金は、「誰でも簡単に請求できる」というわけではありません。また、請求手続きも非常に複雑です。日々の忙しさの中で、手続きしないままなんとなく放置してしまう方も、決して少なくありません。 こんなときには、ぜひ遺族年金の請求手続き代行業者を頼ってみてください。社会保険労務士や行政書士といった遺族年金の専門家に、面倒な手続きを任せられます。本当に自分が支給対象かどうかについても相談に乗ってもらえますから、まずは一度、アドバイスをもらうのもおすすめです。 代行業者の利用がおすすめなのは、以下のような条件に当てはまる方です。 ・内縁関係にあったパートナーの遺族年金を請求したい ・平日の昼間に年金事務所を訪れる時間がない ・申請に必要な書類を集めるのが難しい ・手続きに関する説明を聞いても、よくわからない 手続きを代行してもらうためには、専門家に支払う報酬が発生します。とはいえ、遺族年金の請求漏れを防ぐためには、非常に有効な方法と言えるでしょう。「手続きしなければ…」と思いつつ、つい放置してしまっている方も、ぜひ一度相談してみてはいかがでしょうか。 遺族年金の請求手続きはやや複雑 遺族年金の請求手続きはやや複雑 遺族年金の請求手続きは、「所定の請求書に事実を記し、必要書類を添付して提出するだけ」と、いたってシンプルなもの。しかし、 ・そもそも受給要件が複雑である ・請求手続きに必要な書類が多い ・年金事務所側からの案内が全くない といった事情が絡み、やや複雑で難しいものになってしまっています。自分の場合はどの遺族年金を請求できるのか、しっかりとチェックした上で、適切な手続きをとる必要があるでしょう。 遺族年金には時効が設定されていて、5年以上が経過すると、せっかくのお金も受け取れなくなってしまいます。ときには専門家の手も借りつつ、できるだけ素早く手続きしておきましょう。残された家族の生活も、楽になるのではないでしょうか。

  • 死亡保険の受取人に指定できるのは?トラブルを避けるためのコツを紹介

    死亡保険の受取人に指定できるのは?トラブルを避けるためのコツを紹介

    自分に万が一のことがあった場合に、残された人々の生活の支えになるように…との思いから、死亡保険への加入を検討する方は少なくありません。自身が死亡した際に、保険金が支払われる仕組みの保険ですが、誰を受取人にするのかが非常に重要なポイントになるでしょう。 そもそも死亡保険の受取人として指定できるのはどのような人なのでしょうか。詳しく説明すると共に、トラブルを避けるためのポイントについても紹介します。死亡保険への加入を検討し始めたら、ぜひチェックしてみてください。 死亡保険の受取人に指定できるのは誰? 死亡保険の受取人に指定できるのは誰? まずは、死亡保険の受取人に指定できる人について、確認していきましょう。死亡保険の受取人は、「自分の好きなように指定できる」というわけではありません。契約後に「こんなはずじゃなかった!」とならないためにも、事前にルールを確認しておいてください。 一般的には、死亡保険の受取人に指定できるのは「配偶者もしくは二親等内の血族」です。祖父母や父母、子どもや孫、そして兄弟姉妹などが当てはまります。この範囲内であれば、一人だけではなく、複数人を受取人に指定できる保険商品も。その場合、自分自身でそれぞれの取り分割合を指定することもできるでしょう。 残念ながら、全く血縁関係にない他人を、死亡保険の受取人に指定するのは難しいでしょう。ただし近年では、内縁関係や事実婚関係にあるパートナーを受取人として認めてくれる保険会社も増えてきています。同性パートナーがその対象に含まれるケースもあるため、事前に保険会社と相談の上で、加入先を検討するのがおすすめです。 内縁関係や事実婚関係にあるパートナーを受取人に指定する場合、保険会社が提示する条件をクリアできているかどうか確認する必要があります。戸籍上の配偶者の有無や同居期間、生計を共にしているかどうかなど…。こちらについても、保険会社に問い合わせの上、指示に従うのがおすすめです。 受取人によっては「贈与税」が発生する可能性も 死亡保険の受取人を設定する際に、注意しなければならないのが、税金との関係性についてです。受取人の指定方法によっては、受け取った保険金に贈与税が発生してしまう可能性もあるでしょう。少しでも多くの現金を手元に残すためにも、「誰を受取人に指定するのか?」は、極めて重要なポイントだと言えます。 死亡保険には、以下の3つの立場が関わってきます。 ・契約者 → 保険を契約し、保険料を支払う人 ・被保険者 → 保険の対象になる人 ・受取人 → 保険金を受け取る人 死亡保険の場合、被保険者が受取人になることはできません。よって、契約者・被保険者・受取人の関係性には、以下の3つのパターンが考えられます。 1.契約者と被保険者が同じで、受取人のみが別の人 2.契約者と受取人が同じで、被保険者のみが別の人 3.契約者と被保険者、受取人がそれぞれ別の人 1のパターンに当てはまるのは、「契約者:夫、被保険者:夫、受取人:妻(もしくは子ども)」というケースです。この場合、夫が亡くなり、妻が受け取る保険料は「相続税」の対象になります。妻ではなく子どもが受け取る場合も同様です。 2のパターンに当てはまるのは「契約者:夫、被保険者:妻、受取人:夫」というケースです。この場合、妻が亡くなり、夫が受け取る保険料は「所得税」の対象になるでしょう。 3のパターンに当てはまるのは「契約者:夫、被保険者:妻、受取人:子ども」というケースです。この場合、保険料を支払っている人とは別の人が保険金を受け取るため、「贈与税」の対象になります。 「どれを選んだとしても結局税金を取られるなら、誰を受取人に設定しても同じなのでは?」と思う方もいるかもしれません。しかし実際には、どの税金が発生するのかによって、利用できる控除制度にも違いがあります。もっとも多くの現金を手元に残せるのは、「相続税」の課税対象にするパターンです。 死亡保険に相続税が課税される場合、「相続税における生命保険金等の非課税枠」を利用できます。受け取った保険金のうち、「500万円×法定相続人の数」が非課税枠として扱われます。非課税枠を超えた分のみに相続税が課税されることになりますが、その他の相続財産と合わせて、「3,000万円+(600万円×法定相続人の数)」までが基礎控除額になるのです。 【夫、妻、子ども2人】 夫が亡くなり、妻が2,000万円の死亡保険金を受け取る → 500万円×3人(母と子2人)=1,500万円が非課税枠に。 2,000万円-1,500万円=500万円が相続税の対象になる。 死亡保険金以外に総額4,000万円の財産を相続した場合、相続税の課税対象は4,500万円に。 3,000万円+(600万円×3人)=4,800万円が基礎控除額となり、相続税の負担は0円になる。 生命保険の非課税枠と相続税の基礎控除額を組み合わせることで、非常に大きな金額も、税負担額は最小限に受け取れるでしょう。 トラブルを避けるための2つのポイント トラブルを避けるための2つのポイント 死亡保険の受取人に関わるトラブルを避けるためには、以下の2つのポイントを意識するのがおすすめです。ぜひチェックしてみてください。 ★契約者と被保険者を同一にする 先ほども解説したとおり、死亡保険の契約者・被保険者・受取人を誰にするのかによって、支払う税金の種類や金額は大きく変わってきます。トラブルを防ぐためには、まずは契約者と被保険者が同一になっているかどうかを確認しておきましょう。 同一であることを確認した上で、死亡保険の受取人を法定相続人に指定しておけば、余計な税金を支払うリスクを低減できます。 ★変更が生じた際には受取人の変更を忘れない 若い時期に死亡保険に加入した場合、その後のライフイベントの中で、受取人に指定した人との関係性が変化するケースもあります。たとえば、結婚や離婚、子どもの誕生や身近な人の死亡などが挙げられるでしょう。 独身時代に保険に加入している場合、受取人が「親」になっている可能性も。配偶者に変更すれば、万が一のときの安心にもつながるでしょう。また、受取人の方が先に亡くなってしまった場合、「受取人不在」という事態に陥ってしまう可能性も。この場合、亡くなった受取人の法定相続人全員が受取人になるため、手続きの手間が膨大になってしまいます。もちろん、トラブルの可能性も否定できません。 受取人の変更は、保険会社に届け出ることで、比較的簡単に手続きできます。被保険者の同意を得る必要がありますが、契約者と被保険者が同一であれば、スムーズに手続きできるでしょう。 死亡保険の受取人は誰に?将来を考え冷静に決定を 死亡保険の受取人を誰にするのか、悩む方も多いのではないでしょうか。死亡保険の受取人に設定しておけば、ほぼ確実に、その人のためにお金を残せます。非常に合理的な、財産の受け渡し方法とも言えるでしょう。 契約者・被保険者・受取人の関係性によっては、発生する税金額を抑える効果も期待できます。これから死亡保険に加入しようと考えている方はもちろん、すでに保険に加入している方も、ぜひ一度見直してみてはいかがでしょうか。

  • 遺産相続と財産分与の違いは?離婚する際の相続財産の扱い方

    遺産相続と財産分与の違いは?離婚する際の相続財産の扱い方

    遺産相続について考え始めた際に、気になるのが「財産分与」との違いについてです。どちらも大切な「財産」に関わる行動ですから、適切な知識を身につけておきましょう。 今回は、知っているようで知らない遺産相続と財産分与の違いについて、離婚と遺産相続の関係性などを詳しく解説します。気になる情報をチェックしてみてください。 遺産相続と財産分与の違いとは? 遺産相続と財産分与は、似ている言葉のように思われがちですが、実際の意味は全く異なります。どちらも「財産を分け合う」という意味では共通しているのですが、言葉が使われるシーンは大きく異なっているのです。 遺産相続とは、身近な人(被相続人)が亡くなった際に、相続権を持つ人々(相続人)が財産を受け継ぐことを言います。相続人の数は、状況によって異なるもの。「配偶者と子ども(たち)」というスタイルがもっとも一般的ではあるものの、生前の家族の形によっては、被相続人の両親や、甥や姪が相続人になる可能性もあるでしょう。遺産分割協議などを経て、どのように財産を分割するのか決定されます。 一方で、財産分与とは夫婦が離婚する場面で使われる言葉です。婚姻期間には、夫婦が協力してさまざまな財産を築き上げるでしょう。いざ離婚するとなれば、これまで「共有財産」として扱ってきたものを、夫と妻それぞれで分け合わなければいけません。この「離婚する夫婦間の財産の分割」のことを、財産分与と言います。もちろん、両親や甥や姪が関わってくることはありません。 遺産相続には「遺産」という言葉が入っているため、「人が亡くなったときに行うもの」というイメージが強いのではないでしょうか。一方で財産分与に「離婚」をイメージさせる言葉は入っていないため、その意味を直観的に把握するのは困難です。 つい「父親が亡くなったので財産分与したい」といった表現をしてしまいがちですが、意味が全く通じなくなってしまうという点を、頭に入れておきましょう。 遺産相続で受け取った財産は財産分与の対象になる? 遺産相続で受け取った財産は財産分与の対象になる? 遺産相続と財産分与、それぞれの意味を正しく理解したところで、気になるのが両者の関係性についてです。遺産相続で財産を受け取ったあとに離婚が決まれば、その財産も財産分与しなければならないのか、不安に感じている方も多いのではないでしょうか。 結論からお伝えすると、遺産相続で受け取った財産は基本的に財産分与の対象にはなりません。遺産相続が婚姻中に行われた場合でも、「夫婦が共同して築き上げた財産である」とは認められないからです。 そもそも、婚姻中の夫婦の財産には、 ・共有財産 ・特有財産 の2種類があります。 共有財産とは、「夫婦の協力のもとで築き上げた財産である」と認められるもののこと。たとえば、婚姻中に購入した家具や不動産、夫婦が協力して貯めた貯蓄などが当てはまります。 不動産や貯蓄などは、形式上どちらか一方の名義になっているケースも多いですが、そのままどちらか一方の財産になってしまうわけではありません。退職金についても、すでに支払われている場合や近々支払われる予定のものは、共有財産として扱われます。 一方で特有財産とは、夫婦それぞれが所有する個人的な財産を指します。結婚前にそれぞれが個人で貯めたお金は、この特有財産と判断され、財産分与の対象外と判断されるでしょう。別居後に作った財産も、特有財産に含まれます。 遺産相続で受け取るお金も、夫、もしくは妻が個人で所有する財産と考えられます。実際に離婚となって財産分与する場合でも、「遺産を含めた特有財産を除いた上で、共有財産分を夫婦で分け合う」というスタイルになるでしょう。 遺産相続と財産分与の例外的措置とは? ここまでお伝えしてきたとおり、遺産相続で得た財産は、財産分与の対象にはなりません。しかし中には、例外的なケースもあります。 遺産相続からある程度の時間が経過したあとに離婚する場合、配偶者との協力のもとで、受け継いだ遺産が形を変えていることもあるかと思います。受け継いだ財産そのものは特有財産でも、夫婦が協力して価値が増えたり、維持されていたりした場合には、財産分与の対象と判断されるケースがあるのです。 この場合に気になるのは、「いったいどのくらいが財産分与の対象になるのか?」という点でしょう。そもそも財産分与の対象になるのか、どの程度分与されるのかに、明確なルールは存在していません。配偶者の貢献度がどの程度あったのかを軸に、臨機応変に判断されます。 遺産相続後の財産分与で心配な点がある場合は、できるだけ早めに専門家に相談するのがおすすめです。財産分与の問題点やリスクを把握した上で、今後どう行動していくべきか、指針を示してもらえるでしょう。 離婚後の遺産相続はどうなる?問題が複雑化しやすい理由は? 離婚後の遺産相続はどうなる?問題が複雑化しやすい理由は? 先ほどは、遺産相続後に離婚するパターンを解説しました。では反対に、離婚してから遺産相続が発生する場合、どのような注意点があるのでしょうか。 離婚してからの遺産相続で問題が発生しやすいのは、「子どもがいる夫婦が離婚し、その後元夫婦のどちらかが亡くなる」というパターンです。この場合、元配偶者に相続権はありませんが、子どもは相続権を持つため法定相続人の一人に数えられます。 たとえば、亡くなった人が離婚後に別の家庭を築いていた場合、現在の配偶者と子どもも、当然法定相続人になります。現在の家族にとっては、「前の家族の子どもに遺産を分け与えることで、自分たちの取り分が少なくなる」という仕組みですから、揉め事に発展しやすいのも当然だと言えるでしょう。 とはいえ、法定相続人であっても、必ず遺産を受け取れるわけではありません。元配偶者が遺言書を残していて、「自身の財産の全てを新しい妻と子どもに譲る」といった内容が確認された場合、そちらの方が優先されます。元配偶者の子どもは遺留分を請求し、受け取る流れになるでしょう。 離婚後の遺産相続であっても、新しい家庭さえなければ、そこまで大きく話がこじれてしまうようなケースは珍しいかもしれません。一方で、すでに新たな家庭を築いている場合、現配偶者と元配偶者、そしてそれぞれの子どもたちが円満な関係を築けているとは限らないでしょう。むしろ、「まったく関係がない」「どちらかというと険悪」といったケースの方が多いはずです。遺産相続で揉め事が起こらないよう、しっかりと準備を整えておく必要があるでしょう。 遺産相続と財産分与、それぞれの意味を知って適切な行動を 遺産相続と財産分与は、まったく異なるシーンで使われる言葉です。どちらも大切な「財産」に関わる行動ですから、それぞれの意味を知って、その都度適切な対応を心掛けましょう。 遺産相続と財産分与が重なると、さまざまな問題へと発展してしまうケースもあります。ときには専門家の手も借りつつ、問題を事前に回避できるよう意識してみてくださいね。

  • 終活スタートは「エンディングノート」から…記しておきたいメッセージとは?

    終活スタートは「エンディングノート」から…記しておきたいメッセージとは?

    「そろそろ終活をスタートしよう」と思う方におすすめなのが、エンディングノートです。終活ノートとも呼ばれるエンディングノートは、自身の考えをまとめ、また大切な人たちへ最期のメッセージを残すための支えになってくれるでしょう。 とはいえ実際には、「エンディングノートにメッセージを、と言われても…具体的に何をどう書けば良いのかわからない」と悩む方も少なくありません。エンディングノートに記載するべき内容と、ぜひ残しておきたいメッセージや書き方について解説します。 エンディングノートに記しておきたい3つの内容 エンディングノートは、自分のこれまでを振り返り、考えをまとめるために記すものです。 ただ漠然と「終活をスタートしよう」と思っても、考えがまとまらないという方は決して少なくありません。ノートに文字として記すことで、自身の本当の希望も見えやすくなるでしょう。また、自身が亡くなったあとに、身近な人に遺志を伝えるツールとしても機能してくれます。 エンディングノートは遺書とは違い、「自分の好きなように、自由に記載できる」というメリットがあります。とはいえ、自身が亡くなったあとのことまで考えるなら、以下の3つの内容を含めておくと安心です。 ★1.情報 エンディングノートには、これまでの人生や終活に関連する情報(データ)を記載するのがおすすめです。各種情報をわかりやすくまとめておけば、老後の生活を充実させるためにも使えますし、万が一のときにも焦る必要はなくなるでしょう。 具体的には、以下のような情報をまとめておくと良いでしょう。 ・知人や友人、家族の連絡先・自身が保有する財産について・銀行口座や保険に関する情報・過去の人生の振り返り 実生活の中でさまざまな場所に散らばっている情報を、一か所にまとめるための作業です。特に難しいことを考える必要がないため、比較的記入しやすい項目と言えるでしょう。「エンディングノートにまず何から書けば良いのかわからない…」と思う場合には、ぜひここからスタートしてみてください。 ★2.自身の希望 エンディングノートには、自身の希望を自分の言葉で記載しておくのがおすすめです。正式な遺言書のように法的効力を持つわけではありませんが、自身が言葉を発せなくなったあとでも、希望を伝えるツールとして機能してくれます。 ・葬儀はどのようなスタイルを希望するのか?・誰に見送ってほしいのか?・遺産分割に関する要望 これらのポイントを踏まえて準備しておくと、残された家族にとっても役立つのではないでしょうか。 ★3.大切な人へのメッセージ 終活のためのエンディングノートは、必要な「情報」と「自身の希望」さえそろっていれば、十分な価値を持つものです。とはいえ、「自身の言葉を残す最後の機会」と捉えると、それだけでは少々形式ばった印象になってしまう可能性も。大切な人へのメッセージを残す場としても、ぜひ活用してみてください。 ・配偶者・子ども・両親・孫・友人 大切な人それぞれに宛てたメッセージを残しておけば、エンディングノートにより一層厚みが生まれ、自身の気持ちも届けやすくなるでしょう。 大切な人へのメッセージはどう記せばいい? 大切な人へのメッセージはどう記せばいい? エンディングノートを記載する際に、もっとも悩みやすいのが、大切な人に向けたメッセージでしょう。とはいえ、難しく考える必要はありません。自分の気持ちを、そのまま素直に記せば大丈夫です。 「何も書く内容が思い浮かばない…」という場合には、メッセージを残す相手との思い出を、ひとつひとつ丁寧に振り返ってみてください。事実をそのまま、エンディングノートに記載していっても良いでしょう。そのとき自分がどう感じていたのか、書き残すだけでも立派なメッセージとして機能してくれるはずです。 またエンディングノートに記載するメッセージで、忘れてはいけない内容が2つあります。それは「感謝」と「謝罪」です。相手の行動に感謝していることがあれば、しっかりとメッセージとして記しておきましょう。謝罪の言葉も同様です。 感謝や謝罪は、口にするのが難しいもの。家族という近しい関係になると、「なんとなく伝わっているだろう」とあいまいに判断してしまいがちです。しかし実際には、自分の思っている以上に伝わっていない可能性も。エンディングノートに記すメッセージは、最期のチャンスと捉えて良いでしょう。 普段は言えないような恥ずかしい言葉も、「エンディングノートなら自由に書ける」という方も決して少なくありません。面と向かって伝えるわけではありませんから、どんな言葉も素直な気持ちで記してみてください。 ただし、怒りや恨みの気持ちだけは、冷静に判断するのがおすすめです。エンディングノートに記すメッセージは、文字通り「最期の言葉」になりますから、自分が思う以上に相手の心に重く沈み込んでしまう可能性があるでしょう。 気持ちがたかぶっているときには、怒りや恨みの感情が素直にそのまま出てしまうかもしれません。このような場合には、ぜひ、一定の時間をおいたあとに見返してみてください。冷静になれば、本当に最期の言葉がこれでいいのか、おのずと見えてくるでしょう。 エンディングノートに記すメッセージ…おすすめ2スタイル メッセージの残し方で悩んだときには、以下の2スタイルを参考にしてみてください。どう書けば良いのか、悩みを抜け出すヒントになるでしょう。 ★手紙スタイル メッセージをどう書けば良いのか迷ったときには、メッセージを残したい相手それぞれに宛てた、手紙をイメージするのがおすすめです。エンディングノートという形にこだわらないことで、書きやすくなるのではないでしょうか。 相手へのメッセージは、実際に便箋にしたためて、封筒に入れて保管しておくのもおすすめです。エンディングノートにはさんでおけば、紛失する恐れもありません。ノートではなく便箋にすることで、その人だけに読んでほしいメッセージも残せるでしょう。 ★箇条書きスタイル どうあってもメッセージが書けない、手紙スタイルも苦手…という方には、箇条書きスタイルがおすすめです。自分の思うまま、短文でひとつひとつまとめていきましょう。「○○のときに△△してくれたのが嬉しかった」程度でも、メッセージとしては十分です。 箇条書きスタイルなら、思いついたときに手軽に足していけるというメリットもあります。エンディングノート上にメッセージを残したい相手それぞれの専用ページを作り、どんどん埋めていってください。文章を整えようとがんばる必要はありません。 エンディングノートを活用してより豊かな終活を エンディングノートを活用してより豊かな終活を 終活の入り口としてぴったりのエンディングノート。終活ブームの今、その種類も非常に豊富です。ぜひ自分にとって書きやすいものを手に取ってみてください。 必要な情報や自身の死後に伝えたい遺志のほか、身近な人へのメッセージを残す場としても、エンディングノートは最適です。記しておきたい内容や書き方を学んだら、心豊かな終活をスタートしましょう。

  • 家族に託す大切な気持ち…ビデオメッセージを活用するメリットとは?

    終活では、「家族に向けたメッセージを残したい」と思う方も多いことでしょう。手紙を残したり、エンディングノートにメッセージをつづったりと、その方法はさまざまです。 「より気持ちの伝わるメッセージを届けたい」と思う方に、近年人気なのがビデオメッセージです。家族に対して、ビデオメッセージを残すメリットや具体的な方法について解説します。ぜひ参考にしてみてください。 終活で「ビデオメッセージを残す」とは? 終活では、大切な家族に向けたメッセージを、何らかの形で残すよう、促すケースも多いものです。ビデオメッセージは、メッセージを残すための形式の一つと言えるでしょう。 文字で書かれたメッセージは、読み手に「情報」を伝えてくれますが、それ以上のものではありません。一方でビデオメッセージの場合、生きている自分の姿や声、仕草など、さまざまなポイントで気持ちを伝えやすくなるでしょう。パソコンやスマートフォンで手軽に動画撮影できるようになった今、「最期の思いを届けるための手段」として、ビデオメッセージを選択する方も増えてきています。 実際に、ビデオメッセージを残そうと思ったときに気になるのが、その扱いについてです。残念ながらビデオメッセージには、法的拘束力は存在しません。遺言書のように、自身の死後の、家族の動きを指定できるわけではないのです。 法的拘束力を持つ遺言は遺言として残し、その内容をより身近に感じてもらうため、ビデオメッセージも併せて活用すると良いでしょう。 ビデオメッセージならではの3つのメリット ビデオメッセージには、その他のメッセージ伝達手段にはないメリットがあります。3つ紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。 ★1.自分の「声」を届けられる ビデオメッセージならではの特徴と言えば、自分の声をそのままの形で残せるという点です。身近な人が亡くなったあと、恋しい思いに囚われてしまう方は、決して少なくありません。生前の声を聞くことで、元気を取り戻せる方もいます。 耳から入る情報が持つインパクトは非常に大きく、遺族の心を揺さぶるでしょう。また、何度も繰り返し再生できるため、亡くなった人をいつでも身近に感じやすくなります。 ★2.気持ちが伝わりやすくなる 文字ではなく言葉で気持ちを伝えるビデオメッセージは、自身の感情をより一層伝えやすいというメリットがあります。伝える内容が同じであっても、文字で記載された情報を読むのと、声で直接届けるのとでは、印象が異なります。 自分の気持ちを届けたいと思うときには、やはりビデオメッセージの方が、効果が高くなるでしょう。ビデオメッセージが苦手…と感じる方もいるかもしれませんが、難しく考える必要はありません。事前に用意した原稿を読むだけであっても、気持ちを伝える効果は十分にあるでしょう。 ★3.「自分らしさ」を演出しやすい 遺言とは違い、法的拘束力を持たないビデオメッセージ。デメリットのようにも思えますが、見方を変えればメリットにもなります。法的な必要要件を満たすために、必死になる必要はありません。自分の好きな形で、好きなようにメッセージを残せるでしょう。 たとえば、自分一人でメッセージを残す必要はありませんし、友人や家族と一緒に楽しく撮影するのもおすすめです。自分の趣味を取り入れたり、前からやってみたいと思っていたことに挑戦したりするのも良いでしょう。自分らしい演出で、世界に一つだけのビデオメッセージを作ってみてください。 家族へのビデオメッセージの残し方2つ 残された家族へ、素直な気持ちを届けてくれるビデオメッセージ。具体的には、どのように残せばよいのでしょうか。2つの方法と注意点を紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。 ★1.自分のスマホで撮影する 家族へのビデオメッセージの残し方2つ 低コストで手軽にビデオメッセージを残したいと思う方におすすめなのが、自分自身で動画を撮影する方法です。普段からスマートフォンを愛用している方なら、決して難しい作業ではないでしょう。お気に入りの場所でカメラをセットしたら、あっという間に撮影スタジオが出来上がります。 自分で撮影する場合の注意点は、ビデオメッセージの質は、自身のスキル次第だということ。編集まで難なくこなす人もいれば、ダラダラと話すだけの、まとまりのないメッセージになってしまうケースもあるでしょう。 また自分の手でビデオメッセージを作成する場合、自身の死後、確実に見つけてもらうための仕組み作りが必須です。 ・パソコンやスマホの目立つところに保存しておく・エンディングノートに、家族あてのビデオメッセージのありかを記録しておく・身近な人に、ビデオメッセージの存在を伝えておく せっかくのメッセージが埋もれてしまわないよう、十分に注意してください。 ★2.制作業者に依頼する 制作業者に依頼する 終活ブームの今、さまざまな作業を代行する業者も登場してきています。家族あてのビデオメッセージの制作代行業者もその一つです。コストはかかりますが、自分で作成するよりも高いクオリティで、より確実にメッセージを残せるでしょう。 ビデオメッセージの制作業者に依頼する際の注意点は、以下のとおりです。 ・自分のイメージに沿った制作物を納品してくれること・料金が明瞭であること・業者側と、しっかりコミュニケーションが取れること ひと言で「家族向けビデオメッセージ」と言っても、コンセプトが変われば、動画の雰囲気もがらりと変わります。理想の仕上がりにするためには、業者選びの段階で、しっかりと比較検討する必要があるでしょう。 費用についても、業者によって非常に大きな差があります。4万円~10万円程度で制作できる業者が多いものの、中には30万円以上と高額プランを打ち出しているところもあります。 ビデオメッセージ制作を業者に依頼した場合、「自分が亡くなるまで保管し、その後家族のもとへと届けてくれるサービス」までを展開しているところもあります。それぞれのサービスの内容を理解した上で、利用先を決定するようにしましょう。 家族あてのビデオメッセージも上手に活用を 遺言とはまた違った形で、最期の言葉を家族のもとへと届けてくれるビデオメッセージ。「遺言の内容に信ぴょう性を持たせたい」と思う場合にも、極めて有効な方法と言えるでしょう。ぜひ遺言と併せて活用してみてください。自分にとっても、終活を楽しくすすめていくための拠り所になってくれるのではないでしょうか。 単に文字を伝えるだけではなく、声や表情を通して伝えることで、大切な思いはより一層届きやすくなります。大切な家族だからこそ、形にこだわってみるのも良いでしょう。どういった形でメッセージを残そうか悩んだときには、ぜひビデオメッセージにも注目してみてください。

  • 子供に残す資産に要注意!万が一のときのための予備知識

    親として、子供のためにできるだけ多くの資産を残したいと願う方も多いのではないでしょうか。とはいえ、相続に関するルールの中には、複雑でよくわからない点も多いもの。「おそらく大丈夫だろう」という認識で話を進めていくと、将来的に、子供が困る事態にもなりかねないでしょう。 今回は、子供に資産を残す際の注意点について解説します。万が一のときのための予備知識として、ぜひ最後までご覧ください。 子供名義の預金通帳に注意 子供名義の預金通帳に注意 親が子供のために資産を残す方法として、「子供名義の預金通帳を作り、そこにお金を積み立てていく」というものがあります。最初から子供名義にしておけば、遺産相続の際に相続税が加算されることはありません。また、「贈与税の非課税枠に収まる範囲にしておけば、余計なお金を取られる恐れもない」と考える方も多いのではないでしょうか。 確かに、非常に有効で非常に手軽な方法に映りますが、実際には注意するべき点も少なくありません。ただ単純に「親が子供名義の通帳を作ってそこにお金を入れていく」というだけでは、「贈与」とみなされない可能性が高いからです。 贈与としてみなされなければ、通帳の名義だけが子供であっても、実際には親の財産に。相続が発生すれば相続税の対象になりますし、基礎控除分を超える場合、子供自身が税金を納めなくてはいけなくなります。 このケースで最も重要なポイントになるのは、「親から子供への贈与が本当に存在していたのか?」という点です。ただ単純に親がお金を積み立て、子供自身はその存在を把握していないような場合、贈与と認められないのです。この方法で子供のための財産を残したいと考えるなら、ぜひ以下の点に注意してください。 ・お金をあげる、もらうという意識をはっきりさせる・通帳の管理を子供自身にさせる(子供がすでに成人している場合) より確実にトラブルを予防するためには、贈与のたびに「贈与契約書」を作成するのがおすすめです。多少手間はかかりますが、「本当に贈与があった」と証明する手立てになるでしょう。また、贈与税の非課税枠から、あえてほんの少し足が出る程度の贈与を行うのも効果的です。もちろん、非課税枠を超えた分に対しては贈与税が加算されますが、ときおり贈与税を納めておくことで、子供自身の資産であると認められやすくなるでしょう。 「持ち家を残す」のが正解とは限らない 「持ち家を残す」のが正解とは限らない 子供のために資産を残すことを考え始めたとき、「不動産」が頭に思い浮かぶ方も多いのではないでしょうか。家族みんなで暮らした家に思い入れがあるのは当たり前のこと。また持ち家をそのままの形で子供に残せば、「子供自身が住む場所を確保できる」というメリットがあります。 とはいえ、子供のために持ち家を残したことがきっかけで、相続トラブルに発展するようなケースも珍しくありません。なぜなら、相続人が一人だけとは限らないから。「相続人同士で揉めないため、きっちり遺産を分割したい」と思っていても、持ち家があると、途端にそれは難しくなってしまうでしょう。 また不動産の維持・管理にはそれなりの費用がかかるものです。自分たちが長く生活してきたマイホームを子供に相続させようとすれば、子供自身にメンテナンスやリフォームの手間やコストがかかってくるでしょう。「住まいを確保できてうれしい」と思う人もいれば、「自分の住まいは別で確保したいから、正直負担…」というケースも少なくないのが現実です。 持ち家を残すかどうかについては、子供との間で事前にしっかりと話し合っておくことをおすすめします。持ち家を残した方が良いということであれば、どのような形で相続するのがベストなのかまで、あらかじめ確認しておくと安心です。 子供自身が「残されても困る」ということであれば、相続が発生する前に自宅を売却し、現金で相続させるのも一つの方法です。遺産分割協議で揉める可能性は低くなりますし、「相続人同士できっちり等分に分ける」という選択もしやすくなるでしょう。 子供が居住しない住居を財産として相続させた場合、自身の死後、マイホームは空き家になる可能性も。きちんとした手入れや管理が行き届かず、「特定空き家等」に認定されてしまった場合、固定資産税は大幅にアップします。人の手が入らなくなった古い物件を売却するのは、決して簡単ではありません。そうなる前に、自分自身の代で「家じまい」を検討するのもおすすめです。 生命保険の活用も検討しておこう 親が子供に財産を残す際に、「子供たちとの関係性によって、残す財産の額に差をつけたい」と思うこともあるかもしれません。たとえば、2人の子供のうち1人は同居し自分の面倒を見てくれ、もう1人は長く疎遠になっているような場合、「同居して面倒を見てくれる子供の方に、多くの財産を残したい」と思うのは、ある意味で当然だと言えるでしょう。 このような場合、子供たちの相続分に対して、遺言で割合を指定するのがおすすめです。このとき、「なぜ片方の子供にだけ多くの財産を残すのか」という理由まで、しっかりと伝えておくと良いでしょう。相続人の間の不公平感を和らげる効果が期待できます。 また、生命保険を活用するのもおすすめの方法です。遺産を多めに渡したいと思っている相続人を受取人にした、生命保険に加入しましょう。すると、自身が亡くなった際に支給される生命保険金は、事前に指定しておいた受取人のもとに直接わたります。 年齢を重ねると加入できる保険にも制限が出てきますが、死亡保険金には非課税措置も設けられており、相続税対策としても有効です。自身に合ったタイプの保険を探し、できるだけ早い段階から対策を取っておくのも良いでしょう。 注意点を理解して子供に資産を残そう 子供に資産を残す際に、注意するべき3つのポイントをまとめました。相続に関するルールをしっかりと理解した上で準備を進めておけば、相続の手続きそのものをスムーズに進めていける可能性も。子供の負担も軽減できるでしょう。子供のために良かれと思ってしたことでも、実際には「大きな負担になってしまった…」というケースは決して少なくありません。そして、相続する側の負担が増えれば増えるほど、相続トラブルに発展するリスクも高まってしまいます。 子供のためを思って財産を残すのであれば、相手の気持ちに寄り添って、必要な準備を丁寧に整えておくことが大切です。それも大切な終活の一つ。いつそのときが訪れても良いように、少しずつ準備を進めていきましょう。今回紹介した3つのポイントもぜひ参考にしながら、子供に財産を残すことについて、今一度検討してみてください。

  • 遺産【争族】を防ぐために…やっておくべき事前準備とは?

    身近な人が亡くなった際に、発生するのが相続です。できるだけ円満に解決したいと思いつつ、実際には遺産「争族」になってしまうケースも少なくありません。余計なトラブルを防ぐためには、事前にしっかりと相続準備を進めておくことが大切です。争いを避けるための3つのポイントを紹介します。 相続人の負担を減らすための対策をする 相続人の負担を減らすための対策をする 遺産相続でトラブルが発生する理由は、各家庭によってさまざまです。比較的多くみられるのが、相続にかかる負担が大きく、「できるだけ負担を少なくしたい」と願う親族同士で、トラブルに発展してしまうケースです。できるだけ負担を少なくするための対策をとっておきましょう。具体的な対策は、以下のとおりです。 ★相続財産を減らす 相続財産が多い場合に、問題になりやすいのが相続税です。遺産相続には「3,000万円+600万円×法定相続人の数」という基礎控除が用意されていますが、この金額を超えてしまえば、その分に対して相続税が課税されます。相続時の負担を軽減し、できるだけ多くの財産を手元に残すためには、「相続が発生する前に、できるだけ相続財産を減らしておく」必要があるでしょう。 贈与税の負担が大きくならない範囲で生前贈与をしたり、不動産を購入したりする方法が一般的。現金を不動産に変えておけば、相続税評価額は80%程度に減額されるため、相続税の負担軽減に役立つはずです。 またもう一点重要なのが、「もらって困る財産はできる限り事前に処分しておく」ということです。たとえば、田舎の空き家を財産として残されても、困る方がほとんどでしょう。プラスになるどころか、修繕費や管理費などで、マイナスの資産になってしまう可能性も高いです。いざ売却しようとしても、状態の悪い物件を購入したいと思う人は決して多くはありません。不必要な財産は、相続人間の間で押し付け合いのような状況に陥りがちです。できるだけ自分の代で整理しておくと良いでしょう。 どういった相続対策が有効なのかは、個々の状況によって異なります。対策方法を間違えると、相続人の負担がかえって増加してしまう恐れもあるため、注意してください。相続問題に強い専門家に、相談に乗ってもらうのもおすすめです。 ★相続税を納付するための現金をあらかじめ用意しておく 相続税の申告と納付には、期限が定められています。相続が発生した日の翌日から10か月以内と短いため、話をスムーズに進めていく必要があるでしょう。またもう一点注意しなければならないのが、「相続税が発生した場合、税金は現金で納める必要がある」という点です。 不動産相続などで相続税が高額になる場合、現金の準備で苦労する相続人は少なくありません。最悪の場合、せっかく相続した不動産を短期間で売却し、相続税の支払いにあてなければならないような事態も考えられます。 だからこそ、相続税の支払いにあてる分の現金は、相続準備として事前に用意しておくのがおすすめです。不動産の一部を売却して現金を用意したり、不動産投資で賃貸経営をし、そのリターンを確保したりする方法も良いでしょう。こちらも、相続税の負担がだいたいいくらくらいになりそうなのか、専門家と試算した上で必要額を準備しておくのがおすすめです。 家族としっかりコミュニケーションをとる 遺産相続で、あえて揉めようとするご家族は少ないはず。しかし実際には、争いごとが発生してしまうケースは珍しくありません。その多くは、コミュニケーション不足が原因で発生しています。 たとえば、被相続人が「自分の面倒を献身的にみてくれた長男に、全財産を残したい」と考えたとします。とはいえ、こうした考えに、その他の相続人が納得できるとは限らないでしょう。その他の兄弟の中にも「自分は○○で貢献した」「長男は確かに同居していたが、その分生前に受けた恩恵も誰より多かったはず」など、モヤモヤした気持ちが残ってしまう可能性があります。 こうしたトラブルを予防するため、生前から家族間でしっかりとコミュニケーションをとっておくことも、非常に重要な相続準備の一つです。被相続人の立場としても、相続人それぞれの思いを知るきっかけになるでしょう。 たとえば、先ほどの「長男に全財産を残したい」という希望がある場合でも、生前に自らの口から伝えておけば、印象は変わります。どれだけ感謝していて、なぜ財産を残したいと思っているのか。その代わり、その他の相続人に対して何をしようと思っているのか、しっかりと伝えてみてください。その他の相続人からは、もしかしたら文句の言葉が出てくるかもしれません。しかし、生前であれば、それぞれの相続人の思いを知った上で、それを実際の相続に反映させることもできるはずです。 亡くなる前に相続の話をするなんて…と思う方もいるかもしれませんが、これも立派な終活の一つです。自らがコミュニケーションをとれる段階でしっかりと話し合いを進めておくことで、余計なトラブルを防げるはずです。 自身の思いを遺言書に残す 自身の思いを遺言書に残す 相続人たちとの間でしっかりとコミュニケーションがとれたら、自身の思いも反映させた内容を、遺言書に残しておきましょう。どれだけ蜜にコミュニケーションをとっていても、きちんとした書類が残っていなければ、やはりトラブルになってしまう可能性も。終活ブームの今、一般の方でも遺言を残すことは決して難しくありません。ぜひ、自身の言葉を記しておきましょう。 遺言を残す際に、争族にさせないための注意点は以下のとおりです。 ・遺言書を無効にさせない ・相続人の感情を逆なでしない 近年人気の自筆証書遺言は、誰でも自宅で手軽に遺言を残せる方法です。しかしその有効性が認められるためには、ルールに則った形式で書かれていなくてはいけません。実際に、「遺言は残っていたが、ほんの少しのミスが原因で無効と判断されてしまった…」というケースも少なくないのです。 また、遺言を残していた場合でも、法定相続人にはそれぞれ遺留分が認められています。遺留分を無視して「○○に全財産を相続させる」といった内容を残しても、結局のところ、トラブルに発展してしまう可能性が高いでしょう。あらかじめ遺留分に配慮した内容を記載し、またそのように決断した理由についても丁寧に残しておくことで、各相続人の感情にも配慮できるのではないでしょうか。 ちょっとした工夫で遺産「争族」を防ぐことはできる! トラブルのイメージも強い遺産相続ですが、準備段階からしっかりと配慮しておけば、余計な問題を避けられるでしょう。重要なのは、トラブルの芽を事前に察知し、できる限りつぶしておくということ。決して難しい内容ではありませんから、ぜひ終活の一環として取り入れてみてください。 自身が亡くなったあとも、残された家族はみんな仲良くやってほしいと願う方は多いでしょう。円満な遺産相続で、その後押しができると良いですね。

  • 遺産を相続する際に支払う税金は?計算方法から困ったときの相談先まで

    遺産を相続する際に、考えておかなければならないのが「税金」についてです。場合によっては、事前の準備が負担を減らす鍵となる可能性も。まずは「どういった税金がかかるのか?」「どの程度の負担になるのか?」など、基本的な知識を身につけておきましょう。 遺産相続と税金について、気になる点をまとめます。将来の自分たちのため、子どものために、まず何からすればチェックしてみてください。 遺産相続にかかる税金は「相続税」 遺産相続で発生する税金は、相続税です。相続税は、身近な人が亡くなってその財産を受け継いだときのみに発生する税金。普段あまり馴染みがない…と感じる方がほとんどでしょう。 相続税は、相続する財産の金額によって、以下のように税額が定められています。 課税価格 1,000万円以下 → 税率10% 3,000万円以下 → 税率15%(控除額50万円) 5,000万円以下 → 税率20%(控除額200万円) 1億円以下 → 税率30%(控除額700万円) 2億円以下 → 税率40%(控除額1,700万円) 3億円以下 → 税率45%(控除額2,700万円) 6億円以下 → 税率50%(控除額4,200万円) 6億円超 → 税率55%(控除額7,200万円) 相続する財産の課税価格が多ければ多いほど、納める税金額は多くなる仕組みです。仮に課税価格3億円超の財産を受け継ごうとした場合、税率は5割を超えてしまうため、その負担は非常に重いと言えるでしょう。 とはいえ、相続税は相続で財産を受け継いだすべての人が支払うわけではありません。これは、相続税にはさまざまな控除制度が用意されているため。受け継ぐ財産の金額が控除額を下回れば、相続税を支払う必要はないのです。この場合、相続税を負担することなく、すべての財産を受け継げます。 財務省ホームページによると、令和元年度に亡くなった方の中で、実際に相続税がかかったケースの割合は、全体の8%程度です。ほとんどのケースで相続税について心配する必要はないものの、最近は以前よりも、相続税を支払わなければならない事例が増えているのも事実。相続税について正しい知識を身につけ、必要に応じて適切な準備を整えておくのがおすすめです。(※1) 相続税の控除制度と税額シミュレーション 相続税の控除制度と税額シミュレーション 相続税の基礎控除額は、法定相続人の数によって異なります。だからこそ、「受け継ぐ財産の金額はほぼ同じ」というケースでも、法定相続人の数によって、相続税が発生する事例もあれば、発生しない事例もあるというわけです。 相続税の基礎控除額は「3000万円+600万円×法定相続人の数」という数式で求められます。法定相続人が「配偶者1人+子ども1人」の合計2人の場合、相続する遺産の4,200万円を超えた部分に対して、相続税が発生します。一方で、法定相続人の数が多く「8人」いる場合の基礎控除額は、7,800万円にまでアップするのです。 では、より具体的に、相続税のシミュレーションをチェックしていきましょう。 配偶者1人と子ども2人の法定相続人が、合計2億4,800万円の相続財産を受け継ぐ場合、基礎控除額(4,800万円)を引いた2億円が課税価格になります。ここから相続人それぞれの割合を計算して、それぞれに対して相続税を決定する仕組みです。 法定相続分に沿って計算した場合、課税価格2億円のうち、妻が1億円、2人の子どもそれぞれが5,000万円ずつという計算に。ここから、それぞれの相続税を求めていきましょう。 まず妻については、相続税の配偶者控除を活用できます。「配偶者の相続遺産が1億6,000万円以下」「配偶者の相続遺産が法定相続分より少ない」のいずれかの条件に当てはまっていれば、相続税は発生しません。つまり、今回のシミュレーションでも妻の相続税負担は0円です。 一方で2人の子どもたちについては、5,000万円×20%-200万円=800万円ずつを、相続税として納めなければいけません。配偶者については、手厚い控除制度が用意されていますが、その他の相続人については注意が必要です。「できるだけ多くの財産を残したい」と思う場合、事前準備が鍵になるでしょう。 遺産相続と税金の注意点は? 何かと複雑な、遺産相続と相続税。いくつか注意点があるので、ぜひこちらも頭に入れておいてください。3つのポイントを紹介します。 ★1.相続税の申告には期限が設定されている 相続税の申告には、「相続開始の翌日から10カ月以内」という期限が設定されています。申告期限を過ぎてしまうと、ペナルティとして延滞税が加算されます。また、配偶者の税額控除や小規模宅地の特例等、税金を少なくできる各種特例を利用できるのも、期限内に申告してこそ。自分の力だけで難しい場合は、専門家の手も借りて期限内に申告するのがおすすめです。 ★2.相続税が0円でも申告が必要なケースもある 相続した遺産の総額が基礎控除額以内に収まっているなど、相続税が0円の場合、基本的に申告は必要ありません。しかし、以下のケースでは例外的に申告が必要になりますから、忘れないようにしてください。 ・配偶者の税額軽減で税額が0円になった ・小規模宅地等の特例を受けて税額が0円になった これらの特例は、申告して初めて適用されるものです。自己判断で申告をスルーしてしまわないよう、十分に注意しましょう。 ★3.申告内容によっては税務調査が入る可能性も 相続税を申告した場合でも、それですべての手続きが完了するわけではありません。申告内容に不明な点や疑わしい点、誤りがある場合には、税務調査が入ります。 中でも注意が必要なのは、預貯金についてです。「相続税対策のため、贈与税がかからない範囲で少しずつ現金を渡していく」という手法をとる方は多いものの、相続開始の日から過去3年以内の贈与は、持ち戻しする必要があるでしょう。遺産の総額に含めて、相続税額を計算しなければいけません。 最初から税理士に入ってもらい、サポートを受けていればまず心配はないでしょう。自分たちですべての調査を完了し、計算した場合、税務署からのチェックも厳しくなりがちです。「申告したらそれで終わり」というわけではない点も、頭に入れておいてください。 遺産相続と税金で悩んだら税理士に相談を 遺産相続と税金で悩んだら税理士に相談を 遺産相続には、税金の問題も複雑に絡み合ってきます。「相続する財産が明らかに基礎控除内で収まる」というケースを除いて、事前の準備が非常に重要な意味を持つでしょう。 とはいえ、間違った対策をすれば、「相続対策として何の意味もなかった。結局たくさんの相続税を支払うことになった…」という事態にも陥りかねません。具体的な相続税対策については、税理士に相談しながら進めていくのがおすすめです。 実際に相続が発生した場合も、税理士にサポートしてもらえば、ややこしい手続きはお任せできます。税金面での不安も和らげられるでしょう。 ※1https://www.mof.go.jp/tax_information/qanda005.html

  • 遺言作成の基礎知識…3つの形式とメリット・デメリットは?

    遺言を正しく残すためには、まず基本的な知識を身につけておく必要があるでしょう。ひと言で「遺言」と言っても、実はその形式は3つに分かれます。形式が変われば、遺言を残すための手順も違ってきますから、十分に注意してください。 遺言の3つの形式と、それぞれのメリット・デメリットを解説します。終活の一環として、これから遺言を残そうと思っている方は、ぜひ参考にしてみてください。 遺言の形式1「自筆証書遺言」 自筆証書遺言は、近年人気の遺言スタイルです。用意するものは、紙とペンのみ。自宅で遺言書を作成することも可能ですから、3つの形式の中でもっとも手軽に遺言を残せる形式と言えるでしょう。 自筆証書遺言として認められるためには、遺言の全文を直筆かつ手書きで書く必要があります。財産目録など、一部ワープロを使った作業が認められるものもありますが、基本的には「タイトル、本文、日付、署名押印など、すべてを自分で書かなければ有効とは認められない」という点を、頭に入れておいてください。 自筆証書遺言を残す場合、紙やペン、書式に指定はありません。縦書きでも横書きでも、紙のサイズも自分の自由に決めて良いでしょう。本人の署名捺印や日付の記入を忘れないでください。文字や文章を間違った際には、定められたルールに沿って訂正や加筆する必要があるという点も、知っておくと安心です。 自筆証書遺言のメリットは以下のとおりです。 ・いつでも好きなときに、遺言を残せる ・コストが低い ・内容を自分だけの秘密にできる 自筆証書遺言を選ぶ人が増えているのは、制限の少なさに惹かれる方が多いからなのでしょう。自筆証書遺言なら、「遺言を残したい」と思ったときにいつでも作成可能です。実際に、自宅で一人、遺言を作成する方も少なくありません。 一方で、自筆証書遺言のデメリットは以下のとおりです。 ・無効リスクが高い ・トラブルの可能性がある ・執行する前に家庭裁判所の検認が必要 手軽に残せる自筆証書遺言ですが、必要要件を満たしていなければ「無効」と判断されてしまいます。誰の手も借りずに残せる遺言形式だからこそ、チェック体制にも漏れが生じやすいと言えるでしょう。 また自筆証書遺言を作成して自宅で保管した場合、遺言を見つけてもらえない、勝手に破棄されてしまう、内容を改ざんされるといったリスクも否定できません。実際に多く報告されているのが「見つけてもらえない」というケースでしょう。遺産分割協議後に遺書が発見された場合、遺族の手間や負担が増えてしまいます。 遺言の形式2「公正証書遺言」 遺言の形式2「公正証書遺言」 遺言の2つ目の形式は、公正証書遺言と言います。より確実に遺言を残せることから、専門家からもおすすめされやすい形式です。 公正証書遺言の特徴は、遺言を作成するのが「公証人」と呼ばれる専門家であるという点です。このため、公正証書遺言を残したいと思ったら、公証人がいる公証役場まで出向かなければいけません。遺言の内容は、公証人と打ち合わせしながら決定していきます。少し手間はかかりますが、自分で難しいことをあれこれと考える必要はないでしょう。 そんな公正証書遺言のメリットは以下のとおりです。 ・遺言が無効になる可能性が低い ・内容を改ざんされたり、破棄や紛失したりするリスクが極めて少ない ・遺言書の検認手続きが必要ない 公正証書遺言は、遺言の内容が公証役場に保管されます。遺言の内容を、より確実に遺族のもとへと届けられるでしょう。自筆証書遺言のように、「遺言そのものが無効と判断されてしまう」ような可能性もなく、安心です。 一方で、公正証書遺言のデメリットは以下のとおりです。 ・コストがかかる ・公証人以外に、2名の証人を用意して立ち会ってもらう必要がある ・遺言の内容を完全に秘密にすることはできない 公正証書遺言を作成するためには、公証人の手数料が発生します。2万円~5万円程度を見ておきましょう。それほど高くはありませんが、自筆証書遺言(無料)と比較すると、ためらう方が多いのも現実です。 また公正証書遺言を作成する際には、2名の証人に立ち会ってもらう必要があります。ただし、将来遺産相続の関係者になる見込みの人は、証人にはなれません。身内以外で2人の証人を確保しなければならないため、手間だと感じる方も多いようです。また証人が立ち会っている以上、遺言の内容を完全に秘密にすることはできません。「誰にも知られずに遺言を残したい」と思う方には、向いていない方法と言えるでしょう。 遺言の形式3「秘密証書遺言」 遺言の形式、最後の1つは秘密証書遺言です。こちらの遺言も公証役場に行き、手続きするスタイルです。 秘密証書遺言は公正証書遺言とは違い、遺言書の存在のみを公証してもらいます。遺言はあらかじめ書き上げておき、封をした状態で公証役場に持参しましょう。証人立ち会いのもとで「遺言が残された」という事実のみを記録してもらいます。公正証書遺言の「遺言内容を秘密にできない」というデメリットを、補えるスタイルの遺言と言えるでしょう。 ただし秘密証書遺言の場合、その内容まで保証してもらえるわけではありません。秘密にできる代わりに、いざ遺言を執行する際に、必要要件を満たしておらず「無効」と判断されてしまうようなケースもあります。 秘密証書遺言のメリットは、以下のとおりです。 ・署名以外はワープロでの作成が可能 ・公正証書遺言よりも低コストで作成できる ・遺言の内容を秘密にできる 一方で、デメリットは以下のとおりです。 ・遺言が無効になるリスクがある ・遺言は本人で保管するため、隠蔽や改ざんの恐れがある ・執行前の検認手続きが必要 デメリットについては、自筆証書遺言とほぼ同じです。自分にとってどれだけのメリットが期待できるかで、秘密証書遺言を選ぶかどうか決定してみてください。実際には、あまり選ばれない形式の遺言です。 おすすめの遺言形式は? おすすめの遺言形式は? 遺言をより確実に残したい場合には、多少コストと手間がかかっても、公正証書遺言を選択するのがおすすめです。遺言の存在だけではなく、その内容もしっかりと保証してもらえるため、後々のトラブルを予防できるのではないでしょうか。 「自宅で手軽に遺言を準備したい」「内容を秘密にしたい」という場合には自筆証書遺言をおすすめしますが、この場合、専門家のサポートを検討してみてください。無効リスクを低減できますし、専門家のアドバイスによって、より自身の希望に沿った遺言にできる可能性も高まるでしょう。 それぞれの形式の特徴を知り、自分に合ったタイプを選ぼう ここまで解説してきたとおり、遺言の形式には3つのタイプが存在しています。それぞれに異なる特徴がありますから、自分の希望に沿ったものを選択しましょう。遺言に関する基礎知識を身につけておけば、相続トラブルを回避できる可能性も高まるはずです。今回紹介した内容も参考にして、ぜひ自分に合ったタイプの遺言を作成してみてください。

  • 遺言がきっかけでトラブル発生!具体例から予防策を学ぼう

    自身が亡くなったあとの相続トラブルを予防する目的で、遺言を残す方も多いことでしょう。しかし現実には、そうして残した遺言がきっかけで、親族間のトラブルが勃発してしまうケースもあります。 遺言がきっかけで発生するトラブルは、ポイントさえ押さえておけば回避可能です。トラブルの具体例から、遺言を残す段階で意識したい対処法を学びましょう。 トラブル事例1「遺言書の偽造」 トラブル事例1「遺言書の偽造」 遺言書は、故人の最期の意思を残された人々に伝えるものです。遺産相続に関連した内容が記されるケースも多いのですが、「偽造」によるトラブルもゼロではありません。具体的には、以下のような事例が挙げられるでしょう。 ・同居中の家族が一足先に遺言書を見つけ、自分にとって都合の良い内容へと書き換えてしまった ・認知症になった親に、半ば強制的に遺言書を書かせる これらの遺言書には、故人の思いが正しく反映されていません。また実際に偽造があったかどうかにかかわらず、「もしかして偽造されたものなのでは…」という疑念が、家族の中に生まれてしまうでしょう。また偽造とは少し内容が異なりますが、「自分にとって不利な内容が記された遺言書を、勝手に処分する」というケースも少なくありません。 遺言書を偽造した場合、有印私文書偽造罪に問われる可能性がありますし、破棄した場合には私用文書毀棄罪が適用される恐れがあります。また民法では、遺言書を偽造・破棄・隠匿した場合、その人は相続人になれないと定められています。非常にリスクの高い行為だと言えるでしょう。 遺言を残す側としては、できるだけトラブルを避けたいところです。自筆証書遺言ではなく、公正証書遺言を作成すれば、遺言書の内容を公証役場の公証人がチェックしてくれます。また自筆証書遺言を選択する場合でも、法務局に預けることで、偽造や廃棄といったトラブルを防ぐ効果が期待できるでしょう。遺言をただ書くのではなく、どう残しておくのかにまで配慮して、具体的な方法を決定しましょう。 トラブル事例2「記載内容のあいまいさ」 正しい形式・方法で遺言を残した場合でも、記載内容のあいまいさからトラブルに発展するケースも少なくありません。具体的な事例としては、以下のようなケースが挙げられます。 ・相続財産の〇%を長男、△%を次男、□%を長女に相続させる ・遺言書に不動産に関する記載があったものの、内容が漠然としている ・不動産の記載内容が微妙に間違っている 財産の割合を指定して、相続人それぞれに分割する遺言方法は、古くから知られたもの。ドラマや映画で見かけた経験があるという方も多いかもしれません。しかし、実際の遺産相続でこの方法をとってしまうと、その内容は非常にあいまいなものになってしまうでしょう。 相続財産が現金だけという可能性は低く、遺言書の割合に沿ってきっちり分けるのは困難です。遺言どおりに分けようとした結果、親族間のトラブルに発展するケースも少なくありません。またせっかく遺言書が残っていても、結局のところ遺産分割協議をするしかないというデメリットも発生するでしょう。 こうしたトラブルを避けるためには、どの財産を誰に相続させるのか具体的に特定する「特定財産承継遺言」を選択するのがおすすめです。遺言を残す側に適切な知識があれば、あいまいな内容に遺族が頭を抱えるようなこともなくなるでしょう。 また不動産に関して、特定財産承継遺言で相続人を指定する場合、どの不動産を指しているのか正確に伝える必要があります。不動産名が間違っていると遺言は無効になり、不動産登記も難しくなってしまいます。「家族だから多少あいまいでもわかってくれるだろう」と考えるのは危険です。スムーズかつ確実な遺産相続のため、専門家のアドバイスのもとで作成すると良いでしょう。 トラブル事例3「遺留分を無視した内容」 遺言がきっかけでトラブルが発生するケースとして、もっとも多いのが相続財産の取り分に関するものです。わざわざ遺言を残そうと考える裏には、相続に対して強い思い入れがある可能性も。具体的には、「子どもの1人にすべての財産を受け継いでもらいたい」といった事例が挙げられるでしょう。 もちろん、「長男Aにすべての財産を譲る」という遺言を残すことは、法律的に見ても可能です。しかし他の相続人が納得できるかどうかは、また別の話。「自分は財産を受け継げない」と知ったその他の家族が、モヤモヤした感情を抱くのは想像に難くありません。 そもそも、兄弟姉妹や甥姪以外の法定相続人には、「遺留分」が認められています。遺留分とは、最低限の遺産取得割合のこと。たとえ「長男Aにすべての財産を譲る」という遺言が残されていたとしても、その他の子どもや配偶者は、自身の遺留分を金銭で受け取ることができるのです。とはいえ、その過程で親族間トラブルを経験する方は、決して少なくありません。 遺言を残す側が遺留分について正しい知識を身につけ、最初から配慮した内容にできていれば、不要なトラブルは防げるはずです。自分の想いを残すための遺言書ではありますが、周囲の気持ちにも一定の配慮を示すことで、よりスムーズな遺産相続に近づけられるでしょう。 トラブル事例4「遺言の内容に納得できない」 「遺留分を無視した内容」にも関連しますが、偏りのある遺言を残す場合、遺族間に軋轢を生む恐れがあります。特に多いのが、「偏りのある遺言の内容に納得できない」という気持ちが、遺族間の紛争につながるケースです。 たとえば、遺言書に「長男Aにすべての財産を譲る」とだけ記載されていた場合、長男A以外は「いったいなぜ1人だけ?」と、不審に思うことでしょう。もちろん、遺言を残す側にとっては、何か明確な理由があるのでしょうが、自身の死後、その理由が正確に伝わるとは限らないのです。 こうしたトラブルは、相続の内容に偏りが生じる「理由」を丁寧に説明することで、避けられる可能性があります。 ・長男Aとその嫁から献身的に介護をしてもらったため、感謝の気持ちを伝えたい ・現在同居中の家族の住まいを確保するため、○○に相続させたい またこの場合も、最低限遺留分に配慮した内容を意識することで、余計なトラブルを防げるでしょう。残された家族同士が気持ちの良い関係を維持し続けるためにも、「納得できない」という気持ちをできるだけ和らげられるよう、意識してみてください。 遺言のコツを踏まえて余計なトラブルを予防しよう 遺言のコツを踏まえて余計なトラブルを予防しよう 終活が一般的になった今、一般の方でも「余計なトラブルを防ぐために遺言を残そう」と考える方が増えてきています。とはいえ、中途半端な知識で遺言を残すと、かえってそれがトラブルの火種になってしまう恐れもあるでしょう。 今回紹介したトラブル事例も参考に、残された遺族の気持ちや状況に配慮した遺言を意識してみてください。遺言に関する各種サービスや、専門家のサポートを受けるのもおすすめですよ。

  • 遺族年金の受け取り方法を一から解説!必要書類や振込までの期間も紹介

    一家の大黒柱に万が一のことがあった際に、残された家族の生活を支える柱になってくれるのが、遺族年金です。とはいえ、いざそのときを迎えた際に、迷いなくスムーズに手続きできる方は稀ではないでしょうか? 今回は、遺族年金を受け取るための手続き方法について、一からわかりやすく解説します。必要書類や振り込みまでに要する期間も紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。 遺族年金を受け取るためにするべきことは? 遺族年金を受け取るための手続きは、やや複雑です。できるだけスムーズに手続きできるよう、流れを頭に入れておきましょう。大まかな流れは以下のとおりです。 1.死亡届の提出 2.年金請求書の取得・記入 3.年金請求書の提出 4.遺族年金の受け取り 遺族年金を受け取るためには、まず死亡届を提出する必要があります。亡くなった方の状況によって提出先や方法が異なりますから、以下を参考にしてみてください。 ・厚生年金加入者 → 会社に「資格喪失届」を提出する ・国民年金加入者 → 市町村役場に「国民年金被保険者死亡届」を提出する ・年金受給者 → 年金事務所に「年金受給権者死亡届」を提出する 死亡届の提出は、仮に遺族年金を受け取らない場合でも必要な手続きです。忘れないようにしましょう。請求書を提出する場合、死亡届と同時でも大丈夫です。 死亡届を提出したあとに、年金を請求するための手続きをスタートします。次項目で詳しくチェックしていきましょう。 遺族年金を請求する場合の手続きと必要書類 遺族年金を請求する場合の手続きと必要書類 生前に国民年金に加入していて、遺族基礎年金の支給要件に当てはまっている場合、「年金請求書(国民年金遺族基礎年金)様式第108号」を準備して記入していきます。一方で、遺族厚生年金を請求する場合、必要な請求書類は「年金請求書(国民年金・厚生年金保険遺族給付)様式第105号」です。どちらの書類も、年金事務所や年金相談センターにて入手できます。 請求時の必要書類は以下のとおりです。 ・基礎年金番号通知書(もしくは年金手帳等) ・戸籍謄本(記載事項証明書) ・住民票の写し(世帯全員分) ・収入確認書類(請求者と子ども) ・死亡診断書のコピー ・受取先金融機関の通帳やキャッシュカードのコピー 住民票の写しについては、請求書にマイナンバーを記載すれば、添付なしで提出可能です。また子どもが義務教育終了前もしくは高等学校等在学中の場合は、収入確認書類は必要ありません。義務教育以外の杯、在学証明書や学生証のコピーを提出しましょう。 死亡の原因に第三者が関わっている場合は、上にプラスして以下のような書類の提出を求められます。 ・第三者行為事故状況届 ・事故証明等 ・確認書 ・家族を扶養していた場合、その事実がわかる書類 ・損害賠償金の算定書 こちらの場合、用意する書類の種類はさらに多く複雑になります。また過去に国民年金に任意加入しなかった期間がある場合も、それぞれで用意するべき書類があります。間違いなく用意するためにも、年金事務所窓口等で、一度しっかりと説明してもらうとわかりやすいでしょう。 書類がそろったら、申請する年金の種類に応じた窓口に提出しましょう。遺族基礎年金を請求する場合は、住所地の市区町村役場が窓口です。遺族厚生年金の場合、年金事務所窓口へと提出するようにしてください。 提出後2カ月以内に、「年金証書・年金決定通知書」等の書類が自宅へ届くでしょう。実際に振り込みがスタートするのは、さらにその1~2ヶ月程度あと。請求時に指定した口座に、2ヶ月に1度振り込まれます。 遺族年金の受け取り手続きは早めがおすすめ 遺族年金は、受け取りのための手続きを終えて、初めて振り込まれるお金です。家族が亡くなったあとは、何かと忙しいもの。バタバタしているうちに、ついうっかり、遺族年金の請求手続きを忘れてしまうようなこともあるかもしれません。 しかし、遺族年金には時効があり、「5年」と定められています。何も手続きしないままこの期間が過ぎると、「資格を満たしていても遺族年金を受け取れない」といった事態になりかねないのです。すぐに手続きができない場合でも、過去にさかのぼって請求すること自体は可能。しかしこのケースにおいても、「過去5年分」までしか受け取れません。 遺族年金の場合、たとえ死亡届を提出しても、年金事務所側から請求書が届いたり、遺族年 金対象者のお知らせが届いたりすることはありません。自分自身で受給要件を満たしているかを調べ、適切な手続きをとる必要があるでしょう。 ・本当に自分が対象なのかわからない ・3年前に夫が亡くなったものの、遺族年金の手続きをしていない このような場合には、一度現状をチェックするのがおすすめです。専門家や年金窓口で相談してみるのも良いでしょう。 遺族年金の請求手続きを代行してくれるのは? 遺族年金は、「誰でも簡単に請求できる」というわけではありません。また、請求手続きも非常に複雑です。日々の忙しさの中で、手続きしないままなんとなく放置してしまう方も、決して少なくありません。 こんなときには、ぜひ遺族年金の請求手続き代行業者を頼ってみてください。社会保険労務士や行政書士といった遺族年金の専門家に、面倒な手続きを任せられます。本当に自分が支給対象かどうかについても相談に乗ってもらえますから、まずは一度、アドバイスをもらうのもおすすめです。 代行業者の利用がおすすめなのは、以下のような条件に当てはまる方です。 ・内縁関係にあったパートナーの遺族年金を請求したい ・平日の昼間に年金事務所を訪れる時間がない ・申請に必要な書類を集めるのが難しい ・手続きに関する説明を聞いても、よくわからない 手続きを代行してもらうためには、専門家に支払う報酬が発生します。とはいえ、遺族年金の請求漏れを防ぐためには、非常に有効な方法と言えるでしょう。「手続きしなければ…」と思いつつ、つい放置してしまっている方も、ぜひ一度相談してみてはいかがでしょうか。 遺族年金の請求手続きはやや複雑 遺族年金の請求手続きはやや複雑 遺族年金の請求手続きは、「所定の請求書に事実を記し、必要書類を添付して提出するだけ」と、いたってシンプルなもの。しかし、 ・そもそも受給要件が複雑である ・請求手続きに必要な書類が多い ・年金事務所側からの案内が全くない といった事情が絡み、やや複雑で難しいものになってしまっています。自分の場合はどの遺族年金を請求できるのか、しっかりとチェックした上で、適切な手続きをとる必要があるでしょう。 遺族年金には時効が設定されていて、5年以上が経過すると、せっかくのお金も受け取れなくなってしまいます。ときには専門家の手も借りつつ、できるだけ素早く手続きしておきましょう。残された家族の生活も、楽になるのではないでしょうか。

  • 死亡保険の受取人に指定できるのは?トラブルを避けるためのコツを紹介

    自分に万が一のことがあった場合に、残された人々の生活の支えになるように…との思いから、死亡保険への加入を検討する方は少なくありません。自身が死亡した際に、保険金が支払われる仕組みの保険ですが、誰を受取人にするのかが非常に重要なポイントになるでしょう。 そもそも死亡保険の受取人として指定できるのはどのような人なのでしょうか。詳しく説明すると共に、トラブルを避けるためのポイントについても紹介します。死亡保険への加入を検討し始めたら、ぜひチェックしてみてください。 死亡保険の受取人に指定できるのは誰? 死亡保険の受取人に指定できるのは誰? まずは、死亡保険の受取人に指定できる人について、確認していきましょう。死亡保険の受取人は、「自分の好きなように指定できる」というわけではありません。契約後に「こんなはずじゃなかった!」とならないためにも、事前にルールを確認しておいてください。 一般的には、死亡保険の受取人に指定できるのは「配偶者もしくは二親等内の血族」です。祖父母や父母、子どもや孫、そして兄弟姉妹などが当てはまります。この範囲内であれば、一人だけではなく、複数人を受取人に指定できる保険商品も。その場合、自分自身でそれぞれの取り分割合を指定することもできるでしょう。 残念ながら、全く血縁関係にない他人を、死亡保険の受取人に指定するのは難しいでしょう。ただし近年では、内縁関係や事実婚関係にあるパートナーを受取人として認めてくれる保険会社も増えてきています。同性パートナーがその対象に含まれるケースもあるため、事前に保険会社と相談の上で、加入先を検討するのがおすすめです。 内縁関係や事実婚関係にあるパートナーを受取人に指定する場合、保険会社が提示する条件をクリアできているかどうか確認する必要があります。戸籍上の配偶者の有無や同居期間、生計を共にしているかどうかなど…。こちらについても、保険会社に問い合わせの上、指示に従うのがおすすめです。 受取人によっては「贈与税」が発生する可能性も 死亡保険の受取人を設定する際に、注意しなければならないのが、税金との関係性についてです。受取人の指定方法によっては、受け取った保険金に贈与税が発生してしまう可能性もあるでしょう。少しでも多くの現金を手元に残すためにも、「誰を受取人に指定するのか?」は、極めて重要なポイントだと言えます。 死亡保険には、以下の3つの立場が関わってきます。 ・契約者 → 保険を契約し、保険料を支払う人 ・被保険者 → 保険の対象になる人 ・受取人 → 保険金を受け取る人 死亡保険の場合、被保険者が受取人になることはできません。よって、契約者・被保険者・受取人の関係性には、以下の3つのパターンが考えられます。 1.契約者と被保険者が同じで、受取人のみが別の人 2.契約者と受取人が同じで、被保険者のみが別の人 3.契約者と被保険者、受取人がそれぞれ別の人 1のパターンに当てはまるのは、「契約者:夫、被保険者:夫、受取人:妻(もしくは子ども)」というケースです。この場合、夫が亡くなり、妻が受け取る保険料は「相続税」の対象になります。妻ではなく子どもが受け取る場合も同様です。 2のパターンに当てはまるのは「契約者:夫、被保険者:妻、受取人:夫」というケースです。この場合、妻が亡くなり、夫が受け取る保険料は「所得税」の対象になるでしょう。 3のパターンに当てはまるのは「契約者:夫、被保険者:妻、受取人:子ども」というケースです。この場合、保険料を支払っている人とは別の人が保険金を受け取るため、「贈与税」の対象になります。 「どれを選んだとしても結局税金を取られるなら、誰を受取人に設定しても同じなのでは?」と思う方もいるかもしれません。しかし実際には、どの税金が発生するのかによって、利用できる控除制度にも違いがあります。もっとも多くの現金を手元に残せるのは、「相続税」の課税対象にするパターンです。 死亡保険に相続税が課税される場合、「相続税における生命保険金等の非課税枠」を利用できます。受け取った保険金のうち、「500万円×法定相続人の数」が非課税枠として扱われます。非課税枠を超えた分のみに相続税が課税されることになりますが、その他の相続財産と合わせて、「3,000万円+(600万円×法定相続人の数)」までが基礎控除額になるのです。 【夫、妻、子ども2人】 夫が亡くなり、妻が2,000万円の死亡保険金を受け取る → 500万円×3人(母と子2人)=1,500万円が非課税枠に。 2,000万円-1,500万円=500万円が相続税の対象になる。 死亡保険金以外に総額4,000万円の財産を相続した場合、相続税の課税対象は4,500万円に。 3,000万円+(600万円×3人)=4,800万円が基礎控除額となり、相続税の負担は0円になる。 生命保険の非課税枠と相続税の基礎控除額を組み合わせることで、非常に大きな金額も、税負担額は最小限に受け取れるでしょう。 トラブルを避けるための2つのポイント トラブルを避けるための2つのポイント 死亡保険の受取人に関わるトラブルを避けるためには、以下の2つのポイントを意識するのがおすすめです。ぜひチェックしてみてください。 ★契約者と被保険者を同一にする 先ほども解説したとおり、死亡保険の契約者・被保険者・受取人を誰にするのかによって、支払う税金の種類や金額は大きく変わってきます。トラブルを防ぐためには、まずは契約者と被保険者が同一になっているかどうかを確認しておきましょう。 同一であることを確認した上で、死亡保険の受取人を法定相続人に指定しておけば、余計な税金を支払うリスクを低減できます。 ★変更が生じた際には受取人の変更を忘れない 若い時期に死亡保険に加入した場合、その後のライフイベントの中で、受取人に指定した人との関係性が変化するケースもあります。たとえば、結婚や離婚、子どもの誕生や身近な人の死亡などが挙げられるでしょう。 独身時代に保険に加入している場合、受取人が「親」になっている可能性も。配偶者に変更すれば、万が一のときの安心にもつながるでしょう。また、受取人の方が先に亡くなってしまった場合、「受取人不在」という事態に陥ってしまう可能性も。この場合、亡くなった受取人の法定相続人全員が受取人になるため、手続きの手間が膨大になってしまいます。もちろん、トラブルの可能性も否定できません。 受取人の変更は、保険会社に届け出ることで、比較的簡単に手続きできます。被保険者の同意を得る必要がありますが、契約者と被保険者が同一であれば、スムーズに手続きできるでしょう。 死亡保険の受取人は誰に?将来を考え冷静に決定を 死亡保険の受取人を誰にするのか、悩む方も多いのではないでしょうか。死亡保険の受取人に設定しておけば、ほぼ確実に、その人のためにお金を残せます。非常に合理的な、財産の受け渡し方法とも言えるでしょう。 契約者・被保険者・受取人の関係性によっては、発生する税金額を抑える効果も期待できます。これから死亡保険に加入しようと考えている方はもちろん、すでに保険に加入している方も、ぜひ一度見直してみてはいかがでしょうか。

  • 遺産相続と財産分与の違いは?離婚する際の相続財産の扱い方

    遺産相続について考え始めた際に、気になるのが「財産分与」との違いについてです。どちらも大切な「財産」に関わる行動ですから、適切な知識を身につけておきましょう。 今回は、知っているようで知らない遺産相続と財産分与の違いについて、離婚と遺産相続の関係性などを詳しく解説します。気になる情報をチェックしてみてください。 遺産相続と財産分与の違いとは? 遺産相続と財産分与は、似ている言葉のように思われがちですが、実際の意味は全く異なります。どちらも「財産を分け合う」という意味では共通しているのですが、言葉が使われるシーンは大きく異なっているのです。 遺産相続とは、身近な人(被相続人)が亡くなった際に、相続権を持つ人々(相続人)が財産を受け継ぐことを言います。相続人の数は、状況によって異なるもの。「配偶者と子ども(たち)」というスタイルがもっとも一般的ではあるものの、生前の家族の形によっては、被相続人の両親や、甥や姪が相続人になる可能性もあるでしょう。遺産分割協議などを経て、どのように財産を分割するのか決定されます。 一方で、財産分与とは夫婦が離婚する場面で使われる言葉です。婚姻期間には、夫婦が協力してさまざまな財産を築き上げるでしょう。いざ離婚するとなれば、これまで「共有財産」として扱ってきたものを、夫と妻それぞれで分け合わなければいけません。この「離婚する夫婦間の財産の分割」のことを、財産分与と言います。もちろん、両親や甥や姪が関わってくることはありません。 遺産相続には「遺産」という言葉が入っているため、「人が亡くなったときに行うもの」というイメージが強いのではないでしょうか。一方で財産分与に「離婚」をイメージさせる言葉は入っていないため、その意味を直観的に把握するのは困難です。 つい「父親が亡くなったので財産分与したい」といった表現をしてしまいがちですが、意味が全く通じなくなってしまうという点を、頭に入れておきましょう。 遺産相続で受け取った財産は財産分与の対象になる? 遺産相続で受け取った財産は財産分与の対象になる? 遺産相続と財産分与、それぞれの意味を正しく理解したところで、気になるのが両者の関係性についてです。遺産相続で財産を受け取ったあとに離婚が決まれば、その財産も財産分与しなければならないのか、不安に感じている方も多いのではないでしょうか。 結論からお伝えすると、遺産相続で受け取った財産は基本的に財産分与の対象にはなりません。遺産相続が婚姻中に行われた場合でも、「夫婦が共同して築き上げた財産である」とは認められないからです。 そもそも、婚姻中の夫婦の財産には、 ・共有財産 ・特有財産 の2種類があります。 共有財産とは、「夫婦の協力のもとで築き上げた財産である」と認められるもののこと。たとえば、婚姻中に購入した家具や不動産、夫婦が協力して貯めた貯蓄などが当てはまります。 不動産や貯蓄などは、形式上どちらか一方の名義になっているケースも多いですが、そのままどちらか一方の財産になってしまうわけではありません。退職金についても、すでに支払われている場合や近々支払われる予定のものは、共有財産として扱われます。 一方で特有財産とは、夫婦それぞれが所有する個人的な財産を指します。結婚前にそれぞれが個人で貯めたお金は、この特有財産と判断され、財産分与の対象外と判断されるでしょう。別居後に作った財産も、特有財産に含まれます。 遺産相続で受け取るお金も、夫、もしくは妻が個人で所有する財産と考えられます。実際に離婚となって財産分与する場合でも、「遺産を含めた特有財産を除いた上で、共有財産分を夫婦で分け合う」というスタイルになるでしょう。 遺産相続と財産分与の例外的措置とは? ここまでお伝えしてきたとおり、遺産相続で得た財産は、財産分与の対象にはなりません。しかし中には、例外的なケースもあります。 遺産相続からある程度の時間が経過したあとに離婚する場合、配偶者との協力のもとで、受け継いだ遺産が形を変えていることもあるかと思います。受け継いだ財産そのものは特有財産でも、夫婦が協力して価値が増えたり、維持されていたりした場合には、財産分与の対象と判断されるケースがあるのです。 この場合に気になるのは、「いったいどのくらいが財産分与の対象になるのか?」という点でしょう。そもそも財産分与の対象になるのか、どの程度分与されるのかに、明確なルールは存在していません。配偶者の貢献度がどの程度あったのかを軸に、臨機応変に判断されます。 遺産相続後の財産分与で心配な点がある場合は、できるだけ早めに専門家に相談するのがおすすめです。財産分与の問題点やリスクを把握した上で、今後どう行動していくべきか、指針を示してもらえるでしょう。 離婚後の遺産相続はどうなる?問題が複雑化しやすい理由は? 離婚後の遺産相続はどうなる?問題が複雑化しやすい理由は? 先ほどは、遺産相続後に離婚するパターンを解説しました。では反対に、離婚してから遺産相続が発生する場合、どのような注意点があるのでしょうか。 離婚してからの遺産相続で問題が発生しやすいのは、「子どもがいる夫婦が離婚し、その後元夫婦のどちらかが亡くなる」というパターンです。この場合、元配偶者に相続権はありませんが、子どもは相続権を持つため法定相続人の一人に数えられます。 たとえば、亡くなった人が離婚後に別の家庭を築いていた場合、現在の配偶者と子どもも、当然法定相続人になります。現在の家族にとっては、「前の家族の子どもに遺産を分け与えることで、自分たちの取り分が少なくなる」という仕組みですから、揉め事に発展しやすいのも当然だと言えるでしょう。 とはいえ、法定相続人であっても、必ず遺産を受け取れるわけではありません。元配偶者が遺言書を残していて、「自身の財産の全てを新しい妻と子どもに譲る」といった内容が確認された場合、そちらの方が優先されます。元配偶者の子どもは遺留分を請求し、受け取る流れになるでしょう。 離婚後の遺産相続であっても、新しい家庭さえなければ、そこまで大きく話がこじれてしまうようなケースは珍しいかもしれません。一方で、すでに新たな家庭を築いている場合、現配偶者と元配偶者、そしてそれぞれの子どもたちが円満な関係を築けているとは限らないでしょう。むしろ、「まったく関係がない」「どちらかというと険悪」といったケースの方が多いはずです。遺産相続で揉め事が起こらないよう、しっかりと準備を整えておく必要があるでしょう。 遺産相続と財産分与、それぞれの意味を知って適切な行動を 遺産相続と財産分与は、まったく異なるシーンで使われる言葉です。どちらも大切な「財産」に関わる行動ですから、それぞれの意味を知って、その都度適切な対応を心掛けましょう。 遺産相続と財産分与が重なると、さまざまな問題へと発展してしまうケースもあります。ときには専門家の手も借りつつ、問題を事前に回避できるよう意識してみてくださいね。

  • 終活スタートは「エンディングノート」から…記しておきたいメッセージとは?

    「そろそろ終活をスタートしよう」と思う方におすすめなのが、エンディングノートです。終活ノートとも呼ばれるエンディングノートは、自身の考えをまとめ、また大切な人たちへ最期のメッセージを残すための支えになってくれるでしょう。 とはいえ実際には、「エンディングノートにメッセージを、と言われても…具体的に何をどう書けば良いのかわからない」と悩む方も少なくありません。エンディングノートに記載するべき内容と、ぜひ残しておきたいメッセージや書き方について解説します。 エンディングノートに記しておきたい3つの内容 エンディングノートは、自分のこれまでを振り返り、考えをまとめるために記すものです。 ただ漠然と「終活をスタートしよう」と思っても、考えがまとまらないという方は決して少なくありません。ノートに文字として記すことで、自身の本当の希望も見えやすくなるでしょう。また、自身が亡くなったあとに、身近な人に遺志を伝えるツールとしても機能してくれます。 エンディングノートは遺書とは違い、「自分の好きなように、自由に記載できる」というメリットがあります。とはいえ、自身が亡くなったあとのことまで考えるなら、以下の3つの内容を含めておくと安心です。 ★1.情報 エンディングノートには、これまでの人生や終活に関連する情報(データ)を記載するのがおすすめです。各種情報をわかりやすくまとめておけば、老後の生活を充実させるためにも使えますし、万が一のときにも焦る必要はなくなるでしょう。 具体的には、以下のような情報をまとめておくと良いでしょう。 ・知人や友人、家族の連絡先・自身が保有する財産について・銀行口座や保険に関する情報・過去の人生の振り返り 実生活の中でさまざまな場所に散らばっている情報を、一か所にまとめるための作業です。特に難しいことを考える必要がないため、比較的記入しやすい項目と言えるでしょう。「エンディングノートにまず何から書けば良いのかわからない…」と思う場合には、ぜひここからスタートしてみてください。 ★2.自身の希望 エンディングノートには、自身の希望を自分の言葉で記載しておくのがおすすめです。正式な遺言書のように法的効力を持つわけではありませんが、自身が言葉を発せなくなったあとでも、希望を伝えるツールとして機能してくれます。 ・葬儀はどのようなスタイルを希望するのか?・誰に見送ってほしいのか?・遺産分割に関する要望 これらのポイントを踏まえて準備しておくと、残された家族にとっても役立つのではないでしょうか。 ★3.大切な人へのメッセージ 終活のためのエンディングノートは、必要な「情報」と「自身の希望」さえそろっていれば、十分な価値を持つものです。とはいえ、「自身の言葉を残す最後の機会」と捉えると、それだけでは少々形式ばった印象になってしまう可能性も。大切な人へのメッセージを残す場としても、ぜひ活用してみてください。 ・配偶者・子ども・両親・孫・友人 大切な人それぞれに宛てたメッセージを残しておけば、エンディングノートにより一層厚みが生まれ、自身の気持ちも届けやすくなるでしょう。 大切な人へのメッセージはどう記せばいい? 大切な人へのメッセージはどう記せばいい? エンディングノートを記載する際に、もっとも悩みやすいのが、大切な人に向けたメッセージでしょう。とはいえ、難しく考える必要はありません。自分の気持ちを、そのまま素直に記せば大丈夫です。 「何も書く内容が思い浮かばない…」という場合には、メッセージを残す相手との思い出を、ひとつひとつ丁寧に振り返ってみてください。事実をそのまま、エンディングノートに記載していっても良いでしょう。そのとき自分がどう感じていたのか、書き残すだけでも立派なメッセージとして機能してくれるはずです。 またエンディングノートに記載するメッセージで、忘れてはいけない内容が2つあります。それは「感謝」と「謝罪」です。相手の行動に感謝していることがあれば、しっかりとメッセージとして記しておきましょう。謝罪の言葉も同様です。 感謝や謝罪は、口にするのが難しいもの。家族という近しい関係になると、「なんとなく伝わっているだろう」とあいまいに判断してしまいがちです。しかし実際には、自分の思っている以上に伝わっていない可能性も。エンディングノートに記すメッセージは、最期のチャンスと捉えて良いでしょう。 普段は言えないような恥ずかしい言葉も、「エンディングノートなら自由に書ける」という方も決して少なくありません。面と向かって伝えるわけではありませんから、どんな言葉も素直な気持ちで記してみてください。 ただし、怒りや恨みの気持ちだけは、冷静に判断するのがおすすめです。エンディングノートに記すメッセージは、文字通り「最期の言葉」になりますから、自分が思う以上に相手の心に重く沈み込んでしまう可能性があるでしょう。 気持ちがたかぶっているときには、怒りや恨みの感情が素直にそのまま出てしまうかもしれません。このような場合には、ぜひ、一定の時間をおいたあとに見返してみてください。冷静になれば、本当に最期の言葉がこれでいいのか、おのずと見えてくるでしょう。 エンディングノートに記すメッセージ…おすすめ2スタイル メッセージの残し方で悩んだときには、以下の2スタイルを参考にしてみてください。どう書けば良いのか、悩みを抜け出すヒントになるでしょう。 ★手紙スタイル メッセージをどう書けば良いのか迷ったときには、メッセージを残したい相手それぞれに宛てた、手紙をイメージするのがおすすめです。エンディングノートという形にこだわらないことで、書きやすくなるのではないでしょうか。 相手へのメッセージは、実際に便箋にしたためて、封筒に入れて保管しておくのもおすすめです。エンディングノートにはさんでおけば、紛失する恐れもありません。ノートではなく便箋にすることで、その人だけに読んでほしいメッセージも残せるでしょう。 ★箇条書きスタイル どうあってもメッセージが書けない、手紙スタイルも苦手…という方には、箇条書きスタイルがおすすめです。自分の思うまま、短文でひとつひとつまとめていきましょう。「○○のときに△△してくれたのが嬉しかった」程度でも、メッセージとしては十分です。 箇条書きスタイルなら、思いついたときに手軽に足していけるというメリットもあります。エンディングノート上にメッセージを残したい相手それぞれの専用ページを作り、どんどん埋めていってください。文章を整えようとがんばる必要はありません。 エンディングノートを活用してより豊かな終活を エンディングノートを活用してより豊かな終活を 終活の入り口としてぴったりのエンディングノート。終活ブームの今、その種類も非常に豊富です。ぜひ自分にとって書きやすいものを手に取ってみてください。 必要な情報や自身の死後に伝えたい遺志のほか、身近な人へのメッセージを残す場としても、エンディングノートは最適です。記しておきたい内容や書き方を学んだら、心豊かな終活をスタートしましょう。

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