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2022年10月の記事一覧

  • 生前贈与の「相続時精算課税」とは?遺産を受け取る際の注意点やデメリットも解説

    生前贈与の「相続時精算課税」とは?遺産を受け取る際の注意点やデメリットも解説

    将来の相続税負担を和らげるため、生前贈与を検討する方も多いでしょう。生きている間に財産を子どもや孫に渡してしまえば、相続財産を減少させ、相続税が発生するリスクも少なくできます。 とはいえ、生前贈与を行う場合に、考慮しなければならないのが「贈与税」についてです。生前贈与をしても贈与税が課せられないと言われる「相続時精算課税」をわかりやすく解説します。遺産を受け取る際の注意点やデメリットについても、注目してみましょう。 相続時精算課税とは? 相続時精算課税とは? 生前贈与で相続時精算課税を検討する場合、まず「相続時精算課税とは具体的にどのような制度なのか?」という点について、正しい知識を身につけておく必要があります。相続時精算課税とは、贈与税の課税方式の一つです。 生きている人から別の人に財産を贈与した際に、課せられるのが贈与税です。「相続税を減少させるために生前贈与を」と考える方も多いですが、この場合、相続税ではなく贈与税が課せられてしまいます。こうした仕組みにある意味で「逃げ道」を提案してくれているのが、相続時精算課税というシステムなのです。 相続時精算課税制度を使った場合、特別控除額2,500万円までの範囲であれば、生前贈与を受けた時点で贈与税は発生しません。ただし生前贈与を行った人が亡くなれば、過去に生前贈与された財産も相続財産にプラスして、相続税を計算する必要があります。 たとえば合計で1億円の財産を持つ父親Aさんが、相続時精算課税制度を使い、息子Bさんに2,500万円を生前贈与したとします。息子Bさんは2,500万円を受け取った時点で贈与税を支払う必要はありませんが、将来Aさんが亡くなったときには、受け継ぐ財産に生前贈与分をプラスして、相続税を求めなくてはいけません。生前贈与後の財産に変動がなければ、相続発生時点で7,500万円の遺産を受け取り、生前贈与分を含めた1億円で計算された相続税を納めることになります。 相続時精算課税制度を使えるのは、生前贈与をする年の1月1日時点で60歳以上の方のみ。また生前贈与を受ける人は、贈与者の直系卑属である推定相続人もしくは孫のうち、贈与を受ける年の1月1日時点で20歳以上の方のみです。 相続時精算課税制度の注意点とは? 相続時精算課税制度は、一度の多くのお金を贈与できる、非常に便利なシステムと言えるでしょう。たとえば、「子どもや孫が事業を始めるため、援助したい」「住宅取得等資金の特例の範囲を超えて、住宅購入資金を援助したい」といった場合に、強みを発揮してくれます。とはいえ、相続時精算課税制度を利用した場合、税金が免除されるわけではありません。あくまでも「本来支払うべき税金を、先送りにしているだけ」と捉えてください。 また贈与税の課税方式の選択は、1度だけしかできません。1度でも相続時精算課税制度を選択して生前贈与を行えば、その後の贈与も、すべて相続時精算課税制度を利用したものと判断されます。2,500万円というのは生涯を通じた累計非課税枠であり、贈与額がこの数字を超えてしまえば、超えた分に対して20%の贈与税が課せられます。 たとえば60歳のときに相続時精算課税制度を利用して生前贈与を行ったとしたら、その後20年以上にわたって、贈与額を少しずつ積み重ねていく可能性も。その先の資金援助プランも見据えて、利用を検討するべき制度と言えるでしょう。 相続時精算課税では「年110万円まで」の非課税枠が使えない! 相続時精算課税では「年110万円まで」の非課税枠が使えない! 相続時精算課税制度のデメリットとして、必ず頭に入れておきたいのが、「年110万円まで非課税で贈与できる制度は2度と使えない」という点です。そもそも「年110万円まで非課税で贈与できる」というのは、贈与税の暦年課税制度に設定された基礎控除によるもの。相続時精算課税制度を利用するということは、2度と暦年課税制度を利用しないのと同意ですから、110万円までの非課税枠も失われてしまいます。 実際に、相続時精算課税制度を使って贈与をしたのちに、その事実を忘れて110万円までの贈与を行ってしまう事例は少なくありません。相続時精算課税制度を使って2,000万円を贈与した後に、その事実を忘れて年間110万円ずつ贈与を行った場合、わずか5年後には贈与税の支払いを求められるでしょう。 また暦年課税制度を利用していた場合、年間110万円までは相続税も贈与税もかからない計算になります。一方で相続時精算課税制度を選択した場合、年間の贈与額が110万円以内であっても、その分は将来的に相続税の対象になってしまうのです。「相続税の負担を和らげる」という目的で利用する場合、かえって逆効果になってしまう可能性もあるという点が、非常に大きなデメリットと言えます。 土地の生前贈与にも注意が必要 相続時精算課税制度のデメリットで、もう1点頭に入れておきたいのが「土地の生前贈与」についてです。相続時精算課税制度を使えば、不動産の生前贈与も可能。ただしこの場合、相続税で認められている「小規模宅地等の特例」の利用はできません。 小規模宅地の特例とは、亡くなった人が使用していた宅地等のうち、一定部分までであれば相続税評価額を80%まで減額できる制度のこと。この特例を使えば、土地や自宅に関しては、非常に少ない負担で相続できる可能性が高いでしょう。しかし相続時精算課税制度を利用した場合、減額されない価格で相続税が計算されます。余計な負担が発生する可能性があるのです。 こちらのデメリットも頭に入れた上で、相続時精算課税制度を利用した不動産の贈与については、慎重に検討する必要があるでしょう。税負担の軽減という目的だけを考えるなら、相続時精算課税による贈与財産からは除外するのがおすすめです。 相続税が0円なら利用のメリットは大! 相続税には「3,000万円+(600万円×法定相続人数)」という基礎控除額が定められています。この範囲内であれば、相続税が課せられることはありません。もちろんこの基礎控除は、相続時精算課税制度を利用した場合でも適用されます。 「単なる税金の先送り」とも言われる相続時精算課税制度ですが、法定相続人が1人で合計3,500万円の遺産を受け継ぐケースでは、「非課税で早く大金を受け取れる」というメリットが発生する可能性も。相続時精算課税制度を利用して先に2,500万円を受け取っても、残りの財産が1,000万円なら、相続税は課せられません。 相続時精算課税制度を利用しない場合、 ・被相続人が亡くなった段階で3,500万円を受け取る・2,500万円の生前贈与を受ける時点で、相応の贈与税を支払う のいずれかを選択せざるを得ないでしょう。相続時精算課税制度によって、「税金の負担なく早い段階で親の遺産を引き継ぎ、活用する」という第3の選択肢が生まれるのです。 自分にとってのメリット・デメリットを検討し慎重な決断を 生前贈与を行う際の相続時精算課税制度を利用する際には、メリットもあればデメリットもあります。自分にとってはどちらの方が大きいのか、冷静に判断する必要があるでしょう。 ・本当に今大金を受け取る必要があるのか?・その他の非課税制度(住宅資金や教育資金)は利用できないか? これらの点も踏まえて、ぜひ慎重に検討してみてくださいね。

  • 遺産の独り占めはよくあるトラブル!3つの対処法と予防のポイントは?

    遺産の独り占めはよくあるトラブル!3つの対処法と予防のポイントは?

    遺産相続に関するトラブルで、耳にする機会も多いのが「独り占め」です。相続人のうちの1人が財産を独占してしまったら、その他の相続人にとっては、到底納得できる状況とは言えないでしょう。 では実際に独り占めトラブルが発生してしまった際に、私たちはどう対処するべきなのでしょうか。3つの方法と、そもそも独り占めトラブルを起こさないための予防法をお伝えします。 遺産の独り占めが起きる理由 遺産の独り占めが起きる理由 相続が発生する前は、「相続人の誰かが財産を独り占めするなんて、想像もできない…」と思う方も多いのかもしれません。しかし実際には、遺産の独り占めは「よくあるトラブル」の一つ。決して珍しくないのです。では、そもそもなぜ遺産の独り占めという状況が生まれてしまうのでしょうか?理由として考えられるのは、以下の2つの状況です。 ★遺言書に「○○にすべての財産を譲る」という記載がある場合 被相続人が遺言書に、「特定の相続人のみにすべての財産を譲る」と記載していた場合、遺産の独り占めは可能になります。法的に有効な遺言書に記載された内容は、何よりも優先されるべき事項だからです。相続人の意志というよりは、被相続人の意志によるものと捉え、受け入れる必要があるでしょう。 ★同居中の家族が遺産分割協議に応じない場合 遺言書がない場合でも、被相続人と同居していた相続人によって、財産を独り占めされてしまうケースもあります。同居家族であれば、預金口座に残されたお金やその他の財産についても、別の相続人よりも詳しく把握しているでしょう。また自宅が被相続人名義であれば、遺産分割協議によって住む場所を失う事態にもなりかねません。 ・不動産分割に関する協議に一切応じない ・遺産を勝手に使い込む このような状況で、独り占めが発生するケースもあります。 もしも遺産を独り占めされてしまったら…対処法3つ もしも本当に遺産を独り占めされてしまったら、できるだけ早く具体的な行動をとる必要があります。3つの対処法を紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。 ★遺言書が有効なのか確かめる 遺言書によって独り占めが発生している場合、何よりも先に確認しておきたいのが「遺言書の有効性」についてです。近年の終活ブームに伴って、増えている自筆証書遺言では、遺言書に必要な要件を満たせていないことが原因で、無効と判断される事例も少なくありません。遺言書そのものが無効であれば、「○○にすべての財産を譲る」といった内容も無効に。一から遺産分割協議を行う必要があり、独り占めを阻止できるでしょう。 また、たとえ遺言書の必要要件を満たしていても、自宅で保管されていた遺言書の場合、偽造されている可能性や内容を変えられている可能性も捨てきれません。あらゆる可能性を考慮しながら、遺言書そのものについてチェックしてみてください。チェックポイントがよくわからない場合には、弁護士などの専門家に相談するのもおすすめです。 ★遺留分を請求する 「○○にすべての財産を譲る」という内容の遺言書が有効であると認められた場合、相続人1人の独り占めが可能になります。とはいえ、その他の相続人には「遺留分を請求する権利」が認められていますから、必要な手続きを進めていきましょう。 遺留分とは、法定相続人に認められている遺産の最低限の取り分のこと。たとえば法定相続人が配偶者のみの場合は1/2が、配偶者と子どもの場合はそれぞれ1/4ずつが遺留分として認められます。たとえ遺言書で独り占めを認めていても、遺留分を請求すれば、実質的に独り占めを阻止できるでしょう。 ただし遺留分の請求権が認められているのは、 ・配偶者や子供などの直系卑属 ・両親などの直系尊属 のみです。兄弟姉妹の立場で法定相続人になった場合、残念ながら請求できません。 ★家庭裁判所に申し立てる 有効な遺言書がないにもかかわらず、遺産の独り占めトラブルが発生している場合、最初は説得にあたるケースがほとんどでしょう。説得に耳を貸し、遺産分割協議に応じてくれるようであれば、問題はありません。より深刻なのは、そうした説得でも効果が見られない場合です。 この場合、家庭裁判所に遺産分割調停を申し立てる方法があります。調停委員による説得や遺産分割審判による分割方法の決定など、法律的な側面からより公正な遺産分割をサポートしてくれるでしょう。 またすでに遺産が使い込まれている場合、まずは銀行に連絡して口座をストップしてもらいましょう。被相続人が亡くなったあとの出入金記録を確認し、使い込みの有無をチェックしてください。その記録をもとに遺産分割調停に臨むことで、使い込まれた財産分も取り返せる可能性があります。本当に使い込まれているのか、またどの程度取り返せるのかは、個々の状況によって異なります。経験豊富な弁護士に相談すると良いでしょう。 そもそも遺産の独り占めを防ぐためには? 遺産の独り占めは、さまざまなトラブルを招きかねません。その他の相続人との間に深い亀裂が生じる恐れもありますし、最終的に裁判になれば、トラブルが年単位で続いていく可能性もあるでしょう。こうしたトラブルを避けるためには、ぜひ以下のような対策を心掛けてみてください。 ★遺言書は正しく、相続人感情に配慮した形で残す 遺言書は被相続人の遺志を伝えるためのものです。余計なトラブルを防ぐためには、まず「法律的に有効な形で遺言書を残す」ことを意識してください。またその内容についても注意が必要です。 先ほどもお伝えしたとおり、相続人の1人に独り占めさせるような形の遺言を残したとしても、その他の法定相続人には遺留分の請求が認められています。最初から遺留分に配慮した内容にしておけば、独り占めにはならず、余計なトラブルを回避できる可能性も高まるでしょう。また遺産分配が公平ではない理由についても、丁寧な説明を心掛けると、より自分の気持ちを届けやすくなります。 ★同居中の相続人とその他の相続人とが円満な関係性を築く 遺言書の有無にかかわらず、遺産の独り占めは同居中の相続人によって行われるケースが目立ちます。これには、「被相続人の面倒は全部自分が見て来た」という自負や犠牲の気持ちが関係していると思われます。 同居中の家族だけが介護を担当するのではなく、周囲の相続人が積極的に関わりサポートすれば、独り占めトラブルが発生する可能性は低くなります。 遺産の独り占めトラブルは早めの相談が鍵 遺産の独り占めトラブルは早めの相談が鍵 万が一遺産の独り占めトラブルが発生してしまったら、できるだけ早い段階で弁護士に相談しましょう。遺言書の有効性や独り占めの正当性について、法律の専門家として状況を判断してくれるでしょう。また独り占めしている相続人との交渉役も担ってもらえます。 相続トラブルで弁護士なんて…と思う方もいるかもしれませんが、話がこじれれば、問題はより大きく深くなっていきます。法律の力も借りつつ、少しでもスッキリと解決できる道を探ってみてください。

  • 親の遺産を放棄したい!手続き方法や期間・注意点を解説

    親の遺産を放棄したい!手続き方法や期間・注意点を解説

    「遺産相続」というキーワードを耳にしたとき、ごく自然に「プラスの財産」を思い浮かべる方も多いかと思います。しかし実際には、「マイナスの財産」が相続されてしまうケースも少なくありません。また何らかの事情で、「親の財産を受け継ぎたくない」と思うこともあるでしょう。 このような場合に検討したいのが、「相続放棄」についてです。具体的な手続き方法や注意点を解説します。 相続放棄とは? 相続放棄とは? 相続放棄とは、相続人が、被相続人の財産を相続する権利を一切放棄する手続きを指します。亡くなった方の財産が、相続人にとって好ましいものとは限らないでしょう。このような場合に、一定の手続きを経て相続放棄をすれば、「相続しない自由」を選択できます。 相続放棄の特徴は、「相続する財産のすべてを放棄する」という点です。非常にシンプルですが、誤解しやすいポイントでもありますから、十分に注意してください。相続する財産には、さまざまなものが含まれています。「その一部のみを相続し、その他を放棄する」ということはできません。あくまでも、「相続放棄するのであれば、財産のすべてをあきらめる」選択になるでしょう。 相続放棄は、以下のようなシーンで有効です。 ・プラスの財産よりも、明らかに負債の方が多い・相続問題に巻き込まれたくない・自分ではない相続人に、すべての財産を譲りたい たとえば、預貯金や不動産といったプラスの財産よりも、借金額の方が多ければ、財産を受け継ぐ金銭的なメリットはありません。それどころか、相続によって自身の生活が困窮する可能性すらあるでしょう。プラスの財産をあきらめる代わりに借金も受け継がなくて済むのであれば、そちらのメリットの方が大きくなります。 また遺産相続には、相続問題も付き物です。「わずかな遺産を取り合っていざこざを起こすくらいなら…」と思うときにも、相続放棄の手続きをとりましょう。別の相続人に遺産を相続させたい場合にも、相続放棄の手続きは有効です。たとえば、夫の財産を妻と子どもで受け継ぐ場合、子どもが相続放棄すれば、夫の財産を妻が一人で相続できます。残された家族の生活が不安な場合にも、有効な方法と言えるでしょう。 相続放棄の手続きができる期間は3ヶ月 さまざまな事情がある場合に、有効な手続きである相続放棄。しかし、いつでも自由に手続きできるわけではありません。相続放棄の手続きは、民法によって、相続の事実を知った日から3ヶ月以内に行う必要があると定められています。 相続放棄の手続きは、家庭裁判所にて行います。必要書類をそろえた上で、期間内に申述しましょう。家庭裁判所に直接出向いても良いですし、郵送で必要書類を届けても構いません。ただし、これらの手続きを3ヶ月以内に完了できなければ、自動的に「プラスの財産もマイナスの財産もすべて相続する(単純承認)」と判断されてしまうので注意してください。 「相続の事実を知ってから3ヶ月以内」というのは、非常に厳しいスケジュールです。実際には、「被相続人の財産状況が複雑で調査が終えられなかった…」というケースもあるでしょう。このような場合には、その旨を家庭裁判所へと申し立てましょう。その正当性を裁判所が認めてくれれば、手続き期間が伸長されます。柔軟な対応をしてくれるケースも少なくありませんから、まずは一度、弁護士などの専門家に相談してみてください。 相続放棄に必要な書類とは? 子どもが親の財産を相続放棄する場合、家庭裁判所に対して、以下の書類の提出を求められます。 ・相続放棄申述書・亡くなった人(親)の住民票除票(もしくは戸籍附票)・自分の戸籍謄本・亡くなった人(親)の死亡の記載がある戸籍謄本 住民票除票や戸籍謄本は、市町村役場で手に入ります。相続放棄申述書は、裁判所のホームページからダウンロードしましょう。申述人(相続放棄したい本人)や被相続人(亡くなった人)の情報のほか、相続放棄したい理由を記入して提出します。理由については、できる範囲で詳しく記載するのがおすすめです。 連絡先欄には、平日の日中に連絡がつく番号を記入しましょう。相続財産について記入する欄がありますが、ざっくりとした内容で問題ありません。またよくわかっていない部分については、そのまま「不明」と記載しましょう。押印は実印以外でも大丈夫ですが、自分がどの印鑑を使ったのか、忘れないようにしてください。 相続放棄する場合に知っておきたい注意点3つ 相続放棄の手続きには、いくつか注意したいポイントもあります。こちらもあわせてチェックしてみてください。 ★1.相続放棄が認められないケースもある 相続放棄の手続きは、よほどの事情がなければ、家庭裁判所によって認められます。しかし、以下のような事情がある場合、認められない可能性が高いでしょう。 ・相続人が相続財産を処分した・相続人が相続財産を隠したり、消費したりした つまり、相続人の立場で、勝手に財産を処分したり使ったり、隠したりすれば相続放棄が認められなくなるというわけです。もし相続放棄を検討しているなら、財産の取り扱いには十分に注意しましょう。 特に注意が必要なのは、死亡保険の解約返戻金についてです。死亡に伴い保険契約が解約されれば、一部商品では解約返戻金が支払われます。しかしこちらは、被相続人の財産にあたるため、相続人が勝手に消費することは認められていません。どういったお金なのかしっかりと確認した上で、適切な対処を求められます。 ★2.相続放棄しても死亡保険金を受け取れるケースもある 相続放棄する場合には、被相続人が加入していた死亡保険にも注目してみてください。もし死亡保険金の受取人が指定されていれば、相続放棄した場合でも死亡保険金を受け取れます。 なぜなら、受取人が指定されている死亡保険金は、受取人に固有の財産と判断されるから。「被相続人の財産」ではないため、相続放棄に影響はないというわけです。こちらも頭に入れた上で、相続放棄について検討する必要があるでしょう。 ★3.必要に応じて「限定承認」の検討も 遺産相続には、すべての財産を受け継ぐ「単純承認」と、すべての財産を放棄する「相続放棄」のほか、一部の財産のみを受け継ぐ「限定承認」という方法もあります。 限定承認とは、「相続したプラスの財産以上に、マイナスの財産は負わない」という相続手法のこと。プラス財産とマイナス財産のどちらが多くなるのか、わからないときにも有効な相続手法です。リスクはなく、現時点で把握できていないメリットを逃さないという強みがあります。 限定承認の道を探る場合は、専門家に相談の上で話を進めていくのがおすすめです。自身にとって、ベストな相続の形を探ってみてください。 相続放棄を検討するなら素早い行動を 相続放棄を検討するなら素早い行動を 相続放棄は、マイナスの財産が明らかに多いときや、相続トラブルを避けたいときに有効です。とはいえ、手続きには期限が定められており、あまりゆっくりはしていられません。相続の事実を知ったら、ぜひ早めに専門家に相談してみてください。素早い行動が、自身の利益につながるでしょう。 参考サイトhttps://shine-souzoku.com/genteisyounin/?utm_source=google&utm_medium=cpc&utm_campaign=gentei&gclid=Cj0KCQjw1bqZBhDXARIsANTjCPKBS7d1uOymSBeLtzQBOfIP5Z2aIjRHLblRoxd5DvH7z452uwPmI70aAmN1EALw_wcBhttps://souzoku-pro.info/columns/souzokuhouki/105/#toc_anchor-1-3-4https://www.courts.go.jp/saiban/syurui/syurui_kazi/kazi_06_13/index.htmlhttps://legacy.ne.jp/knowledge/now/souzoku-houki/008-kimekata-tetsuduki-nagare/

  • 遺言書は誰にサポートしてもらう?弁護士に依頼した場合のメリット・デメリット

    遺言書は誰にサポートしてもらう?弁護士に依頼した場合のメリット・デメリット

    終活ブームの今、「相続トラブルを避けるためにも遺言書を残したい」と考える人が増えてきています。遺言書の方式によっては、自力で残すことも可能。しかし実際には、弁護士に依頼して遺言書作成のサポートを受ける人も少なくありません。 遺言書の作成を弁護士にサポートしてもらうと、どのようなメリットが発生するのでしょうか。デメリットについても解説するので、ぜひ自身の遺言書を作成する際のヒントとして活用してみてください。 遺言書作成を弁護士に依頼した場合のメリットとは? 遺言書作成を弁護士に依頼した場合のメリットとは? まずは、メリットからチェックしていきましょう。弁護士に依頼した場合のメリットは、主に以下の3点です。 ★法律面で確実な遺言書を残せる 本人が手書きで残す自筆証書遺言であれば、自宅でいつでも手軽に遺言を残せます。しかしいざ遺言執行の瞬間を迎えた際に、トラブルが発生するケースは少なくありません。遺言書そのものが無効になってしまったり、相続人同士の遺産分割協議のスムーズな進行を妨げてしまったりします。 遺言書の作成を弁護士にサポートしてもらえば、法律の専門家のもとで、確実に有効な遺言書を残せます。 ・遺言書の書き方が間違っていて無効になる・遺産の調査が不十分で、漏れが生じている・相続人の調査が不十分で、漏れが生じている このようなトラブルを予防できます。せっかく遺言書を残しても、法的に必要な条件をクリアできていなければ、相続に自身の遺志を反映させることはできません。また各種調査が不十分であれば、その分相続人の手間は増えてしまうでしょう。弁護士にサポートしてもらえば、無効リスクを最小限にできるでしょう。 ★トラブル予防のためのアドバイスが受けられる 遺言書に記した内容によっては、自身の死後、相続トラブルが勃発する可能性があります。たとえば「相続人のうちの一人だけを指定して全財産を相続させる」「家族や親族以外の人を相続人に指定する」といった事例では、特に注意が必要です。たとえそれが被相続人の要望であっても、その他の相続人にとっては、到底納得できる内容ではないでしょう。 また、たとえ「長男に全財産を相続させる」といった遺言を残したとしても、その他の相続人には遺留分が認められます。遺留分を無視した内容の遺言書を残しても、メリットは少ないと考えられます。 弁護士に遺言書作成をサポートしてもらえば、遺言書の作成段階で、内容に対する法律面からのアドバイスを受けられます。自身の要望を伝えた上で、それにもっとも寄り添った形の提案を受けられるでしょう。 弁護士であれば、過去の判例をもとに、より具体的なアドバイスをしてくれます。遺言書の作成サポートは司法書士や行政書士も行っていますが、法律や判例をもとにした具体的なアドバイスは、弁護士ならではのメリットです。 ★訴訟トラブルにもワンストップで対応可能 どれだけ配慮して遺言書を作成しても、トラブルが発生する可能性はあります。話がこじれて訴訟にまで発展してしまった場合でも、弁護士であればワンストップでのサポートが可能です。遺言書作成段階から関わってもらえば、話もスムーズに進めていけるでしょう。 訴訟トラブルへの対応も、基本的に対応できるのは弁護士のみです。司法書士の場合、案件の内容や金額によっては対応できる可能性もありますが、「万全の体制」とは言えないでしょう。いざというときの安心感も、弁護士ならではのメリットですね。 弁護士に依頼した場合のデメリット解説 では反対に、遺言書作成を弁護士に依頼した場合、どういったデメリットが生じるのでしょうか。こちらも頭に入れておきましょう。 弁護士に依頼した場合のデメリットは、主に費用面です。弁護士に相談しようと思えば相談料が発生しますし、正式に依頼するとなれば、さらに費用がかさみます。相談料は30分5,000円程度、遺言書の作成費用は10万円~20万円程度が相場です。内容が複雑であったり、作成に手間がかかったりする場合には、さらに加算料金が発生する可能性もあるでしょう。 たとえば同じ専門家でも、書類作成業務をメインでこなす行政書士であれば、費用は安く済む可能性が高いです。弁護士に依頼するメリットと費用のバランスを考慮して、依頼するかどうか決定しましょう。 またひと言で弁護士と言っても、どのような業務を得意としているのかは、それぞれで異なっています。弁護士の中でも、遺言書や相続に強い事務所を探さなければならない点も、デメリットの一つと言えるでしょう。 弁護士への依頼がおすすめな人とは? 弁護士への依頼がおすすめな人とは? メリット・デメリットを知ったところで、「結局自分は弁護士にサポートを依頼するべきなのだろうか?」と感じる方も多いのではないでしょうか。以下の条件に当てはまる場合、デメリットよりもメリットの方が大きくなると思われます。ぜひ依頼についても、積極的に検討してみてください。 ・将来的に相続トラブルが発生する可能性が高い場合・事業を継承する場合・家族以外に財産を相続させたい場合・自身の財産や相続人の調査が難しい場合・遺言の保管や執行までを依頼したい場合 相続の内容がシンプルでわかりやすく、また相続人が納得している状況なら、わざわざ弁護士に依頼する必要性は低いでしょう。行政書士に、法的に間違いのない遺言書に仕立ててもらうだけ、もしくは自治体などの無料相談会を活用し自筆証書遺言を残す方法でも、自身の要望を伝えられます。自ら公証役場に赴き、公正証書遺言を残す方法もあるでしょう。 トラブルの発生が予見される場合や、相続そのものが複雑な場合には、最初から弁護士に依頼するのがおすすめです。「本当にこれで良いのか…」という不安からも解消され、精神的にも楽になるでしょう。もちろん費用はかかりますが、それ以上のメリットが期待できます。 弁護士なら、遺言作成の初期段階から、執行される瞬間、そして執行後にトラブルが発生してしまった場合でも対応を依頼可能です。「自分が依頼した場合にはどのようなメリットが期待できるのか?」と疑問を抱いたときには、ぜひ初回相談無料の弁護士事務所を頼ってみてください。自分のケースにおけるメリットについて、わかりやすく解説してもらえるでしょう。 遺言を残す場合は専門家のサポートも検討してみて 「弁護士に相談して遺言書を残す」と聞くと、大げさな行動のように思われる方もいるかもしれません。実際に、「何もそこまで…」とためらっている方も多いのではないでしょうか。しかし遺言書の作成は、想像以上に複雑で難しいもの。より確実に、トラブルのない遺産相続を目指すためには、ぜひ弁護士も含めた専門家のサポートを活用してみてくださいね。

  • 遺族厚生年金とは?特徴・受給資格・受け取り方法など…基礎知識を学ぼう!

    遺族厚生年金とは?特徴・受給資格・受け取り方法など…基礎知識を学ぼう!

    会社員や公務員として働いていた家族が亡くなったら、残された遺族は遺族厚生年金を受け取れる可能性があります。遺族年金の特徴や受給資格、受け取り方法など、基本的な知識を解説します。遺族厚生年金を受給する際の注意点も紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。 遺族厚生年金とは? 遺族厚生年金とは? 遺族厚生年金とは、厚生年金保険に加入していた方が亡くなった際に、その人によって生計を維持されていた家族に支給される年金のことです。厚生年金制度と言えば、「老後の備え」と感じている方も多いのではないでしょうか?しかし実際には、老後を迎える前に亡くなった場合でも、残された家族の生活をサポートしてくれるというメリットがあります。 遺族厚生年金は、遺族基礎年金にプラスして支払われるものです。遺族基礎年金が支給の対象外であっても、遺族厚生年金は支給されるケースは珍しくありません。特に「厚生年金に加入していた夫が亡くなった妻」という立場では、遺族厚生年金を受給できる可能性は高いと言えるでしょう。遺族年金制度について正しく理解し、適切に手続きを進めていきましょう。 遺族厚生年金を受け取れる人とは? 遺族厚生年金を受け取れる人の基本的な条件は、以下のとおりです。 ・死亡した人と同居していた人・死亡した人によって生計を維持されていた人・遺族厚生年金の受給順位がもっとも高い人 まず、遺族厚生年金の受給資格を持つのは、亡くなった人と同居していた人。ただし学業や仕事など、一定の条件で別居していた場合は「同居」と判断され、受給資格を有します。また遺族厚生年金は、条件を満たしたすべての人が受給できるわけではありません。亡くなった人との関係別に受給順位が定められていて、対象者の中でもっとも順位が高い人のみが受け取れる仕組みです。 遺族厚生年金の受給順位は、以下のように定められています。 第一順位 → 配偶者と子(※子を持つ妻・子を持つ夫>子ども>子のいない妻・子のいない夫の順で優先度が高い)第二順位 → 亡くなった人の両親(※亡くなった時点で55歳以上)第三順位 → 亡くなった人の孫第四順位 → 亡くなった人の祖父母(※亡くなった時点で55歳以上) ここで言う「子」や「孫」とは、18歳の年度末を迎えていない、もしくは20歳未満で障害年金の障害等級1・2級を持つことが条件になります。また注意しなければならないのが、「夫」の立場で遺族厚生年金を受給するケースです。 もともとは「夫を亡くした妻」を助ける目的が強かった遺族厚生年金ですが、共働き世帯が増えている今、状況は変化。「妻を亡くした夫」も遺族厚生年金を受給できるよう、ルールが変更されています。ただしこの場合、妻が亡くなった時点での夫の年齢が、「55歳以上」という区切りがあるので注意してください。 「夫を亡くした妻」の場合、特に年齢制限はありません。ただし、夫の死亡時に妻の年齢が30歳未満で子どもがいない場合、5年間のみの支給となります。 また亡くなった人の生前の厚生年金保険加入状況が、一定の条件を満たしていなければ、そもそも遺族厚生年金は支給されません。以下のいずれかの条件を満たしているか、事前にチェックしておきましょう。 ・死亡した人の厚生年金保険料納付済期間が、加入期間の2/3以上である・死亡した日に65歳未満であり、要は死亡月の2ヶ月前までの1年間で保険料を滞納していないこと 1つ目の条件については、保険料の免除期間は「納付済み期間」として扱われます。2つ目の条件については、保険料を納付しなくても良い月は対象外と判断されます。過去に滞納の経験がある方は、事前に確認しておくと安心ですね。 遺族厚生年金の受け取り方法は? 遺族厚生年金は、年金事務所や年金相談センターへの必要書類提出によって申請できます。必要書類は以下のとおりです。 ・年金請求書(国民年金・厚生年金保険遺族給付)様式第105号・死亡した人の年金手帳・住民票の写し(世帯全員分)・亡くなった人の住民票の除票・死亡診断書・収入確認書類・振込先情報がわかる書類(通帳やキャッシュカードなど)・資格喪失届(※厚生年金保険加入中に亡くなった場合)・年金受給権者死亡届(※厚生年金受給中に亡くなった場合) 遺族厚生年金を申請するためには、まず保険に加入している人、もしくは年金を受け取っている人が亡くなったことを知らせなければいけません。両者の書類は同時に提出できますから、必要書類を集めた上で、年金事務所もしくは年金相談センター窓口を訪れましょう。年金請求書は、各窓口で入手できるほか、ウェブサイトからダウンロードし、印刷することも可能です。 また世帯全員分の住民票の写しや収入確認書類については、マイナンバーの記入によって省略可能です。書類を用意する手間が省けるので、ぜひ活用してみてください。 遺族厚生年金を受け取る際の注意点 遺族厚生年金を受け取る際の注意点 遺族厚生年金の請求や受け取りで注意しなければならないのが、時効についてです。遺族厚生年金を受け取る資格を有していても、請求しなければ支給はされません。またそのまま状況を放置すれば、死亡の翌日から5年経過で「遺族厚生年金を請求する権利」が時効を迎え消滅してしまうのです。 身近な人が亡くなった場合、当分の間はバタバタするでしょう。たとえば、死亡の翌日から3年後に遺族厚生年金受給の手続きを行った場合、過去3年分をさかのぼって請求可能です。一方で死亡の6年後に同じ手続きを行った場合、時効を迎えた分については請求できません。過去5年分までしか支給されないため、注意してください。葬儀や法要など、最初の忙しい時期を乗り越えたら、忘れないうちに手続きするのがおすすめです。 また以下のような状況になった場合は、遺族厚生年金を受け取る権利は失われます。 ・受給者本人が亡くなった場合・受給者が別の人と婚姻した場合 などたとえば夫が亡くなったあと妻が遺族厚生年金を受給し、その妻も亡くなった場合、妻の受給権は失われます。ただし夫と妻の間に子どもがいれば、親の死亡と共に、子ども自身の受給権が復活します。「遺族年金受給権者支給停止事由消滅届」を提出し、適切な手続きをとれば、子ども自身が遺族厚生年金の受け取り手になれるでしょう。 遺族厚生年金についてもしっかりと理解を 厚生年金保険に加入している人とその家族にとって、遺族厚生年金は、大黒柱死亡後の生活の支えになってくれるでしょう。特に子どもがいる場合の支給額は大きく、生活困窮を防いでくれます。時効もあるため、できるだけ早めに手続きしましょう。 遺族厚生年金を受け取るためには、制度の基礎についてしっかりと学んでおく必要があります。まずは現在の加入状況をチェックし、支給要件を満たせているかどうか、確認するところからスタートしてみてはいかがでしょうか。

  • 死亡共済金の受取人は誰になる?トラブル予防のために準備しておきたいこと

    死亡共済金の受取人は誰になる?トラブル予防のために準備しておきたいこと

    万が一のときのために加入する共済。死亡時には、死亡共済金が受け取れる商品も少なくありません。 「実際に共済への加入を検討している」「共済に加入している家族が亡くなった」場合に、知っておきたいのが「死亡共済金の受取人」についてです。いったい誰が受け取ることになるのかを事前に把握しておくと共に、トラブル予防のための対策を実施しましょう。 死亡共済金の受取人とは? 死亡共済金の受取人とは? 共済には、さまざまなタイプの商品があります。たとえば、病気やケガを理由に共済金を受け取る場合、受取人は契約者本人に。ただし死亡共済金の場合は、契約者本人が受け取ることはできません。あらかじめ定められたルールに則って、以下の中からもっとも優先順位が高い人が、受け取る仕組みになっています。 1.加入者の配偶者(婚姻届の提出あり)2.同一世帯に属する加入者の子3.同一世帯に属する加入者の孫4.同一世帯に属する加入者の父母5.同一世帯に属する加入者の祖父母6.同一世帯に属する加入者の兄弟姉妹7.加入者のその他の子8.加入者のその他の孫9.加入者のその他の父母10.加入者のその他の祖父母11.加入者のその他の兄弟姉妹12.加入者の甥姪 つまり、共済に加入していた人に法律上の配偶者がいれば、死亡共済金は自然にその配偶者のもとに支払われます。配偶者がいない、すでに亡くなっている場合には、同居中の子や孫へと、順序が移っていくというわけです。 死亡共済金は残された家族の生活を支えるためのお金であり、受取人優先順位からもわかるとおり、「同一世帯に属しているか否か」が重要視されています。実際には現在同居していなくても、その理由が「修学・療養・勤務」といった事情であれば、「同一世帯に属するもの」として判断されます。また同一順位が複数人いる場合には、平等に分配される仕組みです。 順位を無視して特定の誰かに受け取ってほしい場合は? 自分に万が一のことがあったとき、残された家族の生活を支えるために…という目的から、「受取人の順位が上位ではない人に死亡共済金を受け取ってほしい」と思うケースもあるでしょう。このような場合には、「死亡共済金受取人指定」の制度を活用してください。 死亡共済金受取人指定とは、その名前のとおり、死亡共済金を受け取る人を、あらかじめ加入者が指定しておける制度のこと。もしこの制度で受取人が指定されていれば、上記の順位を無視して、共済金を受け取れます。ただし死亡共済金受取人として指定できる人にも、一定のルールが設けられているケースがほとんどです。 ・契約者の親族・反社会的勢力に属していない人 内縁関係にある人や同性婚のパートナーを共済金の受取人として指定できるかどうかは、共済商品によって事情が異なるため、契約時にしっかりと確認しておきましょう。内縁関係にある場合、「法的な配偶者がいないこと」などを条件に、受取人指定が認められるケースもあります。また同性パートナーについても、一定の事情を伝えた上で、日常生活上密接な関わりがあると認められれば受取人になれる可能性があるでしょう。 どちらの場合も、事前準備が欠かせませんから、まずは組合側へと問い合わせてみてください。後々のトラブルを防ぐためにも、また自身の遺志を反映させるためにも、早めの準備が鍵となります。 死亡共済金の受け取りが相続問題に発展する可能性も? 死亡共済金は、加入者が亡くなったあとの、家族の生活をサポートしてくれるでしょう。しかし残念ながら、この死亡共済金が原因で相続トラブルに発展してしまう恐れもあります。2つの事例を解説します。 ★兄弟間の不公平な相続について 先ほどもお伝えしたとおり、死亡共済金は受取人の指定が可能。たとえば、兄弟姉妹のうち1人だけが死亡共済金の受取人に指定されている場合、その他の兄弟姉妹から、その不公平さに文句が出る可能性があります。 なぜなら、受取人が指定された死亡共済金は、受取人に固有の財産とみなされるから。死亡共済金をすべて1人で受け取った上で、その他の財産についても、その他の兄弟と同じ分だけ受け取れる可能性があるというわけです。あまりに大きすぎる差に、深い亀裂が生じてしまうケースも少なくありません。 死亡共済金の受取で相続トラブルを発生させないためには、受取人を指定する段階で、過度に不公平な状況にならないよう注意する必要があるでしょう。 ★相続放棄と死亡共済金の受け取りについて こちらは反対に、死亡共済金の受取指定をしなかった場合のトラブル事例です。 遺産相続とは、プラスの財産もマイナスの財産も、すべてひっくるめて受け取るか、放棄するのかを選ぶ仕組み。たとえば、父親の財産を母親と子どもで受け継ぐ場合、不動産や預金といったプラスの財産のほか、借金などのマイナスの財産も対象になります。プラスの財産よりもマイナスの財産が多い場合には、相続放棄の手続きをとる必要があるでしょう。 もしも、 ・死亡共済金の受取人が指定されていない・受取人指定欄に、ただ「相続人」とだけ記載されている といった状況の場合、死亡共済金は遺産の一部として扱われます。つまり、1,000万円の死亡共済金が支払われても、負債総額がそれ以上であれば相続するメリットはなくなってしまうというわけです。 先ほども説明したとおり、死亡共済金の受取人が指定されていれば、共済金は受取人に固有の財産とみなされます。遺産とは切り離して考えられますから、負債まみれの財産を相続放棄した場合でも、死亡共済金は受け取れるでしょう。 ただしこの場合も、相続人が複数人いる場合には注意が必要です。「相続人全員で相続放棄の手続きをしたが、実際には共済金で利益だけを得ている人がいる」という事態になってしまいます。こちらもトラブルの可能性について事前に考慮し、専門家への事前相談がおすすめです。 万が一のときのための共済金だからこそ事前準備が鍵 万が一のときのための共済金だからこそ事前準備が鍵 万が一のときのための共済金ですが、加入時に「死亡共済金を受け取るときのこと」を具体的にイメージするのは難しいかもしれません。なんとなく受取人を指定している、もしくは指定しないままにしているという方も多いのではないでしょうか。とはいえその「なんとなく」の決断が、万が一のときのトラブルにつながってしまう恐れもあります。 これから共済への加入を検討するなら、誰を受取人に指定するのか、しっかりと考えておきましょう。またすでに加入している場合は、現在の状況を確認するのがおすすめです。必要に応じて指定・変更しておけば、いざというときのトラブルも予防できるのではないでしょうか。

  • 遺族年金の種類は2つ!受給要件や受取人はどうなる?

    遺族年金の種類は2つ!受給要件や受取人はどうなる?

    家計を支えていた家族が亡くなってしまったら…。今後の生活がどうなるのか、経済的な不安を抱える方も多いでしょう。こんなとき、ぜひ知っておきたいのが「遺族年金」に関する知識です。 亡くなった家族の年金加入状況によっては、亡くなったあとに年金を受け取れる可能性があります。遺族年金の種類とそれぞれの特徴、受給要件や受取人について詳しく解説します。 遺族年金とは?2つの種類を知っておこう 遺族年金とは、年金保険の加入者が亡くなった場合に、亡くなった人によって生計を維持されていた家族を支えるための年金制度です。たとえば、働き盛りの会社員が亡くなった場合、その配偶者や子どもは、これから先どう生活すれば良いか不安を抱えてしまうでしょう。遺族年金を受給できれば、その後の生活費も確保できます。 さて、そんな遺族年金には、以下の2つの種類があります。 ・遺族基礎年金・遺族厚生年金 日本の年金制度は、いわゆる二階建ての仕組みになっています。原則として20歳以上の国民全員が加入するのが国民年金制度で、会社員や公務員として働いている人は、国民年金にプラスして厚生年金にも加入しています。遺族基礎年金の場合、20歳以上の国民すべてが対象になる可能性があるのに対して、遺族厚生年金は対象者が限定されます。自営業を営んでいる方や無職の方は、対象になりません。 ただし現在は自営業者であっても、過去に会社員として仕事をした経験があり、厚生年金にも加入していた場合は、受給要件を満たしている可能性も。過去の加入記録をもとに、専門家にアドバイスをもらいましょう。 遺族基礎年金と遺族厚生年金は、それぞれ別の制度です。遺族基礎年金だけが対象になる方もいれば、両方を同時に受け取れる方もいるでしょう。残念ながら受給要件を満たせず、どちらの遺族年金も受け取れないケースも存在しています。次項目からは、それぞれの受給要件について、より詳しくチェックしていきましょう。 遺族基礎年金を受給できる人はごくわずか 遺族基礎年金を受給できる人はごくわずか 20歳以上の国民全員に加入が義務付けられている国民年金。そこから支給される遺族基礎年金ですが、実際に受給できる人はごくわずかです。遺族基礎年金を受給するためには、以下の条件をクリアする必要があります。 ・死亡した人によって生計を維持されていた子どももしくは配偶者である・保険料の納付期間や滞納に関する基準を満たしている 遺族基礎年金は、子育て中の方々を支える目的の制度です。このため、子どもが「18歳到達年度の3月31日を経過していない」もしくは「20歳未満で障害年金の障害等級1級または2級である」の、いずれかの条件を満たしている必要があります。 たとえば、子どもがいない夫婦の夫が亡くなっても、妻は遺族基礎年金を受給できません。子どもがいる夫婦でも、すでに成長し19歳以上になっていれば、やはり受給要件は満たせないのです。 ちなみに、遺族基礎年金の制度は近年大幅に改定されています。過去のルールでは、遺族基礎年金を受給できるのは「子ども」もしくは「子どもを養育中の妻」だけに限られていました。つまり、父子家庭では受け取ることができなかったのです。現在このルールは撤廃され、上記の条件を満たしていれば、「妻を亡くした夫」の立場でも受給が可能に。こちらも頭に入れておきましょう。 遺族厚生年金を受給できるのは厚生年金加入者家族 一方で、遺族厚生年金を受給できるのは厚生年金に加入している(していた)会社員や公務員の遺族です。具体的には、以下のような場合に遺族年金を受給できる可能性があります。 ・厚生年金保険の被保険者である間に死亡したとき・厚生年金の被保険者期間に初診日がある病気やけがが原因で初診日から5年以内に死亡したとき・1級・2級の障害厚生(共済)年金を受け取っている方が死亡したとき・老齢厚生年金の受給権者であった方が死亡したとき・老齢厚生年金の受給資格を満たした方が死亡したとき (※1) 遺族厚生年金の場合も、受給資格を持つのは、亡くなった方に生計を維持されていた家族です。具体的には、以下のような方々が当てはまります。 ・妻・子・夫・父母・孫・祖父母 上で言う子や孫は、遺族基礎年金の場合と同じく、「18歳到達年度の3月31日を経過していない」もしくは「20歳未満で障害年金の障害等級1級または2級である」の、いずれかの条件を満たしている人を指します。また夫や父母、祖父母については、「死亡当時に55歳以上」という条件を満たしている場合にのみ、受給できる可能性があります。 遺族の中で受給要件を満たす人が複数いる場合、遺族厚生年金を受け取れるのは、もっとも優先順位の高い方のみ。妻がいなければ子、それもいなければ55歳以上の夫…といった仕組みです。遺族基礎年金とは違い、対象年齢の子どもがいない場合でも、妻は遺族年金を受け取れる可能性があるでしょう。ただし妻の年齢が30歳未満であり、なおかつ夫婦の間に子どもがいなかった場合は、5年間のみ支給されます。 遺族基礎年金を受給できる人がごく限られているのに対して、遺族厚生年金では、「亡くなった人に生計を維持されていた人がいれば、誰かは受給できる」というケースが多く見られます。遺族基礎年金よりも、受給できる人の幅が広い制度だと言えるでしょう。ただし遺族厚生年金の場合も、受給するためには、保険料の支払い期間に関する要件を満たしている必要があります。過去の加入履歴をチェックしてみてください。 遺族年金がよくわからない…相談先は? 遺族年金の受給要件は非常に複雑で、「説明を読んでもよくわからない…」という方も多いのではないでしょうか?こんなときには、自分だけで判断するのではなく、ぜひその道のプロに相談してみてください。 遺族年金についてもっとも手軽に相談できるのが、各自治体が開設している年金相談窓口です。年金事務所や街角の年金相談センターを頼ってみるのも良いでしょう。年金番号など、必要な情報をまとめて相談にいけば、自身の状況に合ったアドバイスがもらえるはずです。 また「内縁の妻」や「死亡当時に別居していた」など、複雑な要因を抱えている場合は、社会保険労務士に相談してみましょう。遺族年金に強い専門家に相談すれば、解決に向けた糸口がつかめるかもしれません。 身近な家族が亡くなったら遺族年金も確認を 身近な家族が亡くなったら遺族年金も確認を 大黒柱として生活を支えてくれていた家族が亡くなったとき、今後の生活に不安を抱き、途方に暮れてしまう方も多いのではないでしょうか。遺族基礎年金もしくは遺族厚生年金を受給できれば、生活の支えになってくれるでしょう。まずは一度、亡くなった家族の過去の年金加入履歴と、現在の家族の状況についてチェックしてみてくださいね。

  • 配偶者の立場で知っておくべき相続のポイント…法定相続や税金、注意点を学ぼう

    配偶者の立場で知っておくべき相続のポイント…法定相続や税金、注意点を学ぼう

    配偶者が亡くなったとき、深い悲しみに沈んでしまう方も多いことでしょう。とはいえ、相続手続きは待ってはくれません。愛する配偶者が残してくれた財産と今後の自分の生活を守るためにも、「配偶者の立場での相続」について、基本的な知識を身につけておきましょう。 法定相続のポイントや相続税の配偶者控除、各種注意点について順番に解説するので、ぜひ最後までご覧ください。 配偶者は法律上、無条件で法定相続人に! 相続とは、被相続人から相続人へと、財産が受け継がれることを意味しています。ここで大きな問題になるのが、「ではいったい誰が法定相続人になるのか?」という点。亡くなった人に「法律上の婚姻関係がある配偶者」がいれば、その配偶者は必ず法定相続人になります。 ここで重要なのは、「法律上の婚姻関係がある」という部分です。長年連れ添ったパートナーであっても、事実婚や内縁関係の場合、配偶者としての相続権が無条件で認められるわけではありません。まずはこのあたりを、しっかりと確認しておきましょう。 またもう一点注意しなければならないのが、「配偶者以外の法定相続人」についてです。配偶者以外にも法定相続人がいれば、当然遺産を分け合うことに。配偶者の立場であっても、被相続人の財産をすべて受け継ぐことはできないのです。 配偶者以外の法定相続人は、 ・第1順位 → 被相続人の実の子ども・第2順位 → 被相続人の父母・第3順位 → 被相続人の兄弟姉妹 と定められており、順位に沿って決定されます。亡くなった方に子どもがいれば、配偶者と子どもが法定相続人です。子どもがすでに亡くなっている場合は、その子どもの子や孫へと相続権が受け継がれていきます。 注意しなければならないのは、亡くなった方に子どもがいないケースです。第1順位不在の場合、第2順位の両親、第3順位の兄弟姉妹と法定相続人の範囲は広くなっていきます。 もし第3順位の兄弟姉妹が法定相続人になり、さらにその本人がすでに亡くなっている場合、兄弟姉妹の子ども、つまり被相続人にとっての甥や姪が財産を受け継ぐ可能性も。配偶者の立場では、こちらも頭に入れた上で、事前にしっかりと対策を取っておくことをおすすめします。 相続税における配偶者控除とは? 相続税における配偶者控除とは? 配偶者は、「亡くなった人と協力して財産を築き上げた人」であるため、他の法定相続人よりも多くの財産を受け取れるように設定されています。とはいえ、受け継ぐ財産が増えれば増えるほど、気になるのが相続税について。こうした不安を解消するために、相続税においては配偶者のみが利用できる控除制度が用意されています。 相続税における配偶者控除は、 ・相続する財産が1億6,000万円までであれば非課税・相続する財産が配偶者の法定相続範囲内であれば非課税 という2つのルールが定められています。遺産分割協議の結果、配偶者の立場で受け取る財産が1億6,000万円までであれば、配偶者の相続分に対して相続税が課せられることはありません。またたとえ1億6,000万円以上であったとしても、以下の法定相続範囲内に収まっていれば、やはり相続税を納める必要はないのです。 ・配偶者と子どもが法定相続人になる場合 → 配偶者の法定相続分は遺産の2分の1・配偶者と被相続人の親が法定相続人になる場合 → 配偶者の法定相続分は遺産の3分の2・配偶者と被相続人の兄弟姉妹が法定相続人になる場合 → 配偶者の法定相続分は遺産の4分の3 10億円の財産を配偶者と子どもが受け継ぐ場合でも、配偶者の取り分が5億円までであれば、配偶者分の相続税は発生しません。また、もし法定相続人が配偶者のみの場合、遺産のすべてが配偶者の法定相続分となります。たとえ遺産が100億円あり、そのすべてを受け継いだとしても、配偶者に相続税は課せられないのです。 ただし、先ほどの「10億円の財産を配偶者と子どもが受け継ぐ」ケースで、相続税が控除されるのは配偶者のみです。子どもが受け継ぐ分については、基礎控除額を除き、相続税が課せられるため注意してください。 配偶者の相続で知っておくべき3つの注意点 配偶者の立場で財産を相続する際には、以下の3つの点に注意しましょう。 ★1.相続税の申告を忘れない 配偶者の立場で多額の財産を受け継ぐ場合、よほどのケースでなければ、相続税は0円で済む方がほとんどでしょう。ここで注意が必要なのは、「相続税が0円とわかっていても、相続税の申告はしなければならない」という点です。 相続税の配偶者控除は、自動で適用されるわけではありません。「相続の状況を正直に申告した結果、配偶者控除が認められるため0円になる」という仕組みです。申告は、被相続人が居住していた地域を管轄している税務署にて行います。申告書や遺産分割協議書など、必要書類をそろえた上で手続きしましょう。 ★2.手続きの期限を守る 相続税の申告には、「相続の発生を知った日の翌日から10か月以内」という期限が設定されています。この間に遺産分割協議を完了させ、必要書類をそろえた上で手続きする必要があるのです。 配偶者が亡くなってすぐのタイミングで、遺産相続について考えるのは難しいかもしれません。しかし後回しにしていると、手続き期限を過ぎ、配偶者控除を受けられなくなってしまうリスクもあります。残念ながら、遺産分割協議が常にスムーズに進むとは限らないでしょう。早め早めを意識して行動することをおすすめします。 ★3.二次相続のリスクも考慮しよう 配偶者の立場で財産を相続する際に、便利に使える配偶者控除。配偶者の立場としては非常に心強い制度ですが、二次相続のリスクについても、あらかじめ知っておきましょう。 二次相続とは、財産を受け継いだ配偶者が亡くなった際に発生する相続のこと。一次相続で多額の財産を受け継いだ配偶者が亡くなった場合、またその財産は、次の相続人へと受け継がれていきます。一時相続で「配偶者と子ども」が相続人になった場合、二次相続でも「子ども」が相続人になる可能性は高いでしょう。二次相続では、当然配偶者控除は適用されません。一次相続で配偶者が受け継いだ財産の額が大きければ大きいほど、二次相続における子どもの負担は上昇してしまうでしょう。 二次相続に関するリスクは非常に複雑で、一次相続の段階からしっかりと準備を整える必要があります。相続や税金のプロにサポートしてもらうのがおすすめです。 不安な点は専門家に相談するのがベスト 不安な点は専門家に相談するのがベスト 配偶者の立場で、相続に関する不安を抱えている方は決して少なくありません。できるだけ早く専門家に相談し、アドバイスをもらうのがおすすめです。また「配偶者にすべての財産を残したい」といった希望がある場合、相続が発生する前の段階から準備を進める必要があるでしょう。ぜひ終活の一つとして、将来発生するであろう「相続」にも、目を向けてみてくださいね。

  • 相続した一戸建てに住む場合の注意点とは?基礎知識やトラブル回避方法も

    相続した一戸建てに住む場合の注意点とは?基礎知識やトラブル回避方法も

    両親が亡くなった際に、実家の相続で悩む方は少なくありません。現金や預貯金の相続とは、全く異なる性質を持っている一戸建ての相続。「実家に住むのか、それとも住まずに手放すのか」と、判断を迫られる方も多いのではないでしょうか。 今回紹介するのは、迷った末に「住む」と決断した場合の注意点です。必要書類や具体的な手続き方法といった基礎知識から、一戸建て相続にまつわるトラブル回避法まで詳しく解説していきます。 相続した一戸建てに住むメリットとは? 実家の両親が亡くなった際に、両親が暮らしていた実家の一戸建てを相続するケースは多くあります。「相続した一戸建てに住む」という決断をした場合のメリットは、以下のとおりです。 ・家賃がいらない・住みながら自宅のメンテナンスができる・両親の思い出を手元に残せる 現在の住まいが賃貸住宅なら、毎月家賃が発生します。相続した一戸建てに引っ越せば、家賃を支払う必要はありません。毎月の生活費にも余裕が生まれるでしょう。 また住まずに空き家にした場合と比較して、「家が傷みにくい」というメリットがあります。建物の修繕や庭の管理といった一戸建てに特有のメンテナンスも、暮らしの中で、自力で対処していけるでしょう。「ちょっと見ない間に庭の草木が伸びすぎて、近隣住民から苦情を言われる」なんてリスクも少なくなります。 最後に、相続した家を手元に残し、実際にそこで暮らすようになれば、両親が大切にしてきた家や思い出をそのまま保存できるでしょう。自身が幼い頃の思い出を、よりいっそう身近に感じられるのではないでしょうか。 相続した一戸建てに住む場合の手続きは? ■相続した一戸建てに住む場合の手続きは? ではここからは、一戸建ての相続と、実際にそこに住むまでに流れについて解説します。以下の手順で手続きを進めていきましょう。 ★1.遺言書を確認する 相続手続きを進めていく際に、最初に行うべきなのが遺言書の確認です。遺言書が残されていれば、そこには故人の遺志が記されています。もしそこに実家に関する記述があれば、それは何よりも優先される事項です。遺書は自宅や貸金庫から見つかるケースも多いですが、勝手に開封して確認しないよう注意してください。 遺言書の形式によっても詳細なルールは異なりますが、見つけた遺言書を勝手に開けると罰金を命じられる可能性も。裁判所にて、検認の手続きを取ったのちに、内容を確認するようにしましょう。 ★2.遺産分割協議を行う 遺言書の内容を確認したら、遺産を相続する人たちの間で遺産分割協議を行います。遺言書が残されていない場合は、相続財産を確認した後に、分割協議に移りましょう。 遺産分割協議とは、誰が何を、どの程度相続するのか決定するための話し合いのこと。参加者全員が納得しなければ、協議は終わりません。反対に、たとえ遺言書の内容と異なっていたとしても、相続人全員が納得し、意見が一致しているのであれば、遺言書よりも遺産分割協議の内容を相続に反映させられます。 ★3.所有者移転登記を行う 遺産分割協議を経て、正式に実家を相続すると決まったら、不動産の所有権移転登記を行いましょう。所有者移転登記とは、「実家の所有者が変わりましたよ」と役所に届け出るための手続きです。法務局にて受け付けています。 所有者移転登記をしなかった場合でも、実家で暮らすことは可能です。ただし登記を行っていなければ、「この建物が法的に見ても自分のものである」と主張できません。後々のトラブルを避けるためにも、ぜひ早めに手続きしておいてください。 ★4.引っ越しする 両親が所有していた一戸建てが、名実共に自分のものになったら、引っ越しをしましょう。相続人が自分一人だけの場合は特に心配はありませんが、複数人いる場合は引っ越しのタイミングにも注意してください。早く引っ越した方が家賃の負担は軽減できますが、その他の相続人の感情を逆なでしてしまう可能性があります。 ★必要な書類は? 一戸建ての相続に必要な書類は、以下のとおりです。 ・亡くなった親の戸籍謄本・相続人の戸籍謄本・それぞれの住民票・相続する物件の固定資産税評価証明書 また登記を行う際には一定の費用も発生します。登録免許税や書類の発行代のほか、手続きを専門家に依頼すれば報酬が発生するでしょう。専門家報酬も含める場合、10~15万円程度用意しておくと安心です。 相続した一戸建てに住む場合のトラブルと対処法は? 相続した一戸建てに住む場合、遺産相続とその手続きをめぐり、さまざまなトラブルに巻き込まれてしまう恐れがあります。トラブル事例について学ぶと共に、具体的な対処法や予防策を頭に入れておきましょう。 ★その他の相続人の合意を得られない可能性がある 遺産相続で自分以外にも相続人がいる場合、実家を含めた「不動産」が、トラブルの火種になるケースは決して少なくありません。なぜなら、不動産は現金のように、等分には分けられないから。相続人の一人が「実家に住む」と決めた場合、その他の相続人との間のバランスをどう取るのかが問題になります。 実家に住む人がいなければ、売却した上で、その利益を等分に分けるという選択肢もあるでしょう。しかしそのまま住む人がいる場合、それも不可能になってしまいます。 トラブルを避けるためには、遺産分割協議を丁寧に進めていくことが大切です。実家を残したいという気持ちを、真摯に伝えましょう。また、1人が不動産を相続する代わりに、その他の相続人に現金を支払う代償分割についても検討してみてください。 ★家族の合意を得られない可能性がある 「親が残した一戸建てに住む」という決断は、今後のライフスタイルにも深く関わってきます。実家が遠ければ、引っ越しに伴う負担も大きくなるでしょう。子どもがいれば、転校しなければいけません。 また比較的近隣エリアに実家がある場合でも、デメリットは決して少なくありません。古くなった一戸建てには、メンテナンス費用や修繕費用もかさむもの。「やっぱり新築一戸建ての方が…」と思うケースもあるでしょう。 相続した一戸建てに住む場合、現在の家族が抱える負担についてもしっかりと検討し、話し合うことが大切です。合意を得られなければ、「どうすれば不安を解消できるのか」を一緒に考えていきましょう。「親の家を残したい」という強い気持ちがある場合でも、配偶者や子どもがいる場合は、家族の意向も尊重してください。 相続した一戸建てに住む|後悔のない選択を 相続した一戸建てに住む|後悔のない選択を 相続した一戸建てに住めば、家賃の負担はなくなりますし、両親の思い出も手元に残せます。とはいえ、実際の相続ではトラブルが発生してしまう可能性も。どういったトラブルのリスクがあるのかを把握し、丁寧に話を進めていくことが大切です。今回紹介した内容ももとに、ぜひ後悔のない選択をしてくださいね。

  • 終活の情報収集にはセミナーがおすすめ!具体的な内容や参加方法は?

    終活の情報収集にはセミナーがおすすめ!具体的な内容や参加方法は?

    終活をスタートするため、「まずは情報収集したい」と思う方も多いのではないでしょうか。終活に関する各種情報を手に入れるためには、終活セミナーを活用するのがおすすめです。終活セミナーとは具体的にどのようなもので、何を学べるのでしょうか?セミナーの流れや探し方、参加方法など、気になる点をまとめます。 終活セミナーとは? 終活セミナーは、終活に関する情報提供を目的に行われるイベントを指します。 ・お墓はどのようにするのか?・終活を見据えた保険やお金はどう捉え、どのように準備すれば良いのか?・葬儀にはどのような種類があり、どの程度の費用がかかるのか?・相続で揉めないためにはどういった準備をするのが効果的か?・遺言を残すためにはどうすれば良いか?・エンディングノートの活用方法は?・生前整理は何をどう進めるべきか? このような情報を、終活のプロから直接教えてもらえるでしょう。終活をスタートする際には、「まず何からやればいいのかまったくわからない…」という方も少なくありません。このような場合にも、指針を示してくれるのが各種セミナーだと言えます。 終活セミナーの多くは、終活に関わる各種企業や団体が実施しています。無料で参加できるセミナーも多いのは、情報提供そのものが、各企業の宣伝を兼ねているからです。ぜひ積極的に活用してみてください。 終活セミナーの具体的な流れとは? 終活セミナーの多くは、以下のような流れで進められます。 1.受付2.座学での情報提供3.体験メニュー4.個別相談会 会場に到着したら、まずは受付を済ませましょう。そこで当日のプログラムを教えてもらえます。一般的には、まず参加者全員が集められ、セミナーを受けます。当日のテーマによって、話の内容や時間は変わってくるでしょう。終活の中には体験型のメニューを売りにしているところも多く、座学のあとはそうしたイベントを体験できます。最後に個別での相談の機会が設けられ、セミナーは終了です。 終活セミナーはどう選ぶ?選び方のポイント3つ 終活セミナーはどう選ぶ?選び方のポイント3つ 終活に興味を抱き、初心者向けのセミナーを探してみると、非常に多くのイベントがヒットするかと思います。終活ブームの今、終活セミナーの数も増えていますから、ぜひ好みのものを選んでみてください。 「どれを選べば良いのかわからない…」という場合には、以下の3つのポイントを意識しましょう。自身のニーズに合ったセミナーを見つけやすくなるはずです。 ★ポイント1「セミナーの内容をチェックしてみよう」 終活セミナーには、大きくわけて2つのタイプが存在しています。 ・総合型セミナー・テーマ特化型セミナー 総合型セミナーは、「終活とは何か?」というテーマから、ざっくりと大きく教えてくれるイメージです。さまざまなテーマについて表面的な知識を教えてくれるものの、より深い知識を求める方には、物足りない内容と言えるかもしれません。 一方でテーマ特化型セミナーは、終活の中でも、特定の分野にのみ深く切り込むタイプのセミナーです。葬儀・遺言・相続・お墓・生前整理など、自分が知りたい内容のセミナーを選んで参加すれば、表面的な基礎知識だけではなく、自分がこれから何をどうするべきか、より突っ込んだ情報を得られるでしょう。 どちらのタイプにもメリットがあればデメリットもあります。自分に合わないタイプを選択してしまうと、「せっかくセミナーに参加したものの、得られるものが少なかった…」といった事態にも陥りかねません。まずは自身が終活に参加する目的をはっきりさせ、セミナーの内容についても詳しくチェックしてみましょう。 総合型なのか特化型なのか、また特化型の中でも特に何を知りたいと思っているのか、ニーズをはっきりさせると、自分に合ったセミナーも見つけやすくなります。 ★ポイント2「セミナーの開催もとや費用を確認しよう」 終活セミナーは、さまざまな企業・団体が主催しています。セミナー選びで悩んだときには、開催もとに注目してみるのも良いでしょう。保険に関する話を聞きたい場合には、保険会社が主催するセミナーを選ぶのがおすすめ。葬儀について聞きたいときには、葬儀会社主催のセミナーを選択すると、より終活に活かせる話を聞けるはずです。 ただし企業にとっての終活セミナーとは、自社サービスを宣伝する絶好の機会でもあります。セミナーで自社のサービスを積極的にアピールしたり、中には強引に契約や購入を迫ったりするケースもあるかもしれません。なんとなく流されて契約してしまわないよう、気持ちをしっかりと持って参加するのがおすすめです。 「強引におすすめされると断れないかも…」と不安を感じる場合には、自治体が主催するタイプの終活セミナーを探してみてください。企業主導型よりも数は少なくなりますが、一部の企業から猛烈な営業を受けるようなリスクはありません。 またセミナーの参加費用から、参加先を選択するのもおすすめです。無料のセミナーも多く開催されていますが、一部有料セミナーもあります。とはいえ、「お金がかかるから悪い」ということではありません。お金をとる分、質の高い話を聞けたり、珍しいイベントに参加できたりする可能性も。内容と費用のバランスも、チェック項目の一つになります。 ★ポイント3「自分の疑問を解消できるかどうか見極めよう」 終活セミナーに参加する場合、自分自身の生活の中で、何か具体的な悩みや不安を抱えている方もいるのではないでしょうか。このような場合にチェックしたいのが、「個別で相談する機会が設けられているか?」という点です。 終活に関わる情報には、それぞれの個々の事情も深く関わってくるもの。個別相談の機会があれば、自身の状況を伝えた上で、適切なアドバイスを受けられるでしょう。ぜひこちらもチェックしてみてください。 終活セミナーへの参加方法は? 終活セミナーに参加したい!と思ったら、まずは以下のような手段でセミナー情報を集めましょう。 ・インターネット・新聞の折り込み広告・終活関連企業のコマーシャル 気になるイベントを見つけたら、インターネットや電話で申し込みをします。人気イベントの場合、告知してからあっという間に席が埋まってしまう可能性も。できるだけ早く行動に移すことをおすすめします。 終活セミナーを活用して終活情報を収集しよう 終活セミナーを活用して終活情報を収集しよう 手軽に参加できる終活セミナーは、終活に関する情報収集の場として最適です。「まだ終活をスタートしていない」「あまり真剣に考えてこなかった…」という方でも気軽に参加できますから、ぜひ活用してみてください。 それぞれのセミナーの特徴を理解した上で参加すれば、より意義のある時間にできるでしょう。今回紹介した情報をもとに、まずは気になる終活セミナーを探してみてはいかがでしょうか?就活の第一歩を踏み出せるはずです。

  • 生前贈与の「相続時精算課税」とは?遺産を受け取る際の注意点やデメリットも解説

    将来の相続税負担を和らげるため、生前贈与を検討する方も多いでしょう。生きている間に財産を子どもや孫に渡してしまえば、相続財産を減少させ、相続税が発生するリスクも少なくできます。 とはいえ、生前贈与を行う場合に、考慮しなければならないのが「贈与税」についてです。生前贈与をしても贈与税が課せられないと言われる「相続時精算課税」をわかりやすく解説します。遺産を受け取る際の注意点やデメリットについても、注目してみましょう。 相続時精算課税とは? 相続時精算課税とは? 生前贈与で相続時精算課税を検討する場合、まず「相続時精算課税とは具体的にどのような制度なのか?」という点について、正しい知識を身につけておく必要があります。相続時精算課税とは、贈与税の課税方式の一つです。 生きている人から別の人に財産を贈与した際に、課せられるのが贈与税です。「相続税を減少させるために生前贈与を」と考える方も多いですが、この場合、相続税ではなく贈与税が課せられてしまいます。こうした仕組みにある意味で「逃げ道」を提案してくれているのが、相続時精算課税というシステムなのです。 相続時精算課税制度を使った場合、特別控除額2,500万円までの範囲であれば、生前贈与を受けた時点で贈与税は発生しません。ただし生前贈与を行った人が亡くなれば、過去に生前贈与された財産も相続財産にプラスして、相続税を計算する必要があります。 たとえば合計で1億円の財産を持つ父親Aさんが、相続時精算課税制度を使い、息子Bさんに2,500万円を生前贈与したとします。息子Bさんは2,500万円を受け取った時点で贈与税を支払う必要はありませんが、将来Aさんが亡くなったときには、受け継ぐ財産に生前贈与分をプラスして、相続税を求めなくてはいけません。生前贈与後の財産に変動がなければ、相続発生時点で7,500万円の遺産を受け取り、生前贈与分を含めた1億円で計算された相続税を納めることになります。 相続時精算課税制度を使えるのは、生前贈与をする年の1月1日時点で60歳以上の方のみ。また生前贈与を受ける人は、贈与者の直系卑属である推定相続人もしくは孫のうち、贈与を受ける年の1月1日時点で20歳以上の方のみです。 相続時精算課税制度の注意点とは? 相続時精算課税制度は、一度の多くのお金を贈与できる、非常に便利なシステムと言えるでしょう。たとえば、「子どもや孫が事業を始めるため、援助したい」「住宅取得等資金の特例の範囲を超えて、住宅購入資金を援助したい」といった場合に、強みを発揮してくれます。とはいえ、相続時精算課税制度を利用した場合、税金が免除されるわけではありません。あくまでも「本来支払うべき税金を、先送りにしているだけ」と捉えてください。 また贈与税の課税方式の選択は、1度だけしかできません。1度でも相続時精算課税制度を選択して生前贈与を行えば、その後の贈与も、すべて相続時精算課税制度を利用したものと判断されます。2,500万円というのは生涯を通じた累計非課税枠であり、贈与額がこの数字を超えてしまえば、超えた分に対して20%の贈与税が課せられます。 たとえば60歳のときに相続時精算課税制度を利用して生前贈与を行ったとしたら、その後20年以上にわたって、贈与額を少しずつ積み重ねていく可能性も。その先の資金援助プランも見据えて、利用を検討するべき制度と言えるでしょう。 相続時精算課税では「年110万円まで」の非課税枠が使えない! 相続時精算課税では「年110万円まで」の非課税枠が使えない! 相続時精算課税制度のデメリットとして、必ず頭に入れておきたいのが、「年110万円まで非課税で贈与できる制度は2度と使えない」という点です。そもそも「年110万円まで非課税で贈与できる」というのは、贈与税の暦年課税制度に設定された基礎控除によるもの。相続時精算課税制度を利用するということは、2度と暦年課税制度を利用しないのと同意ですから、110万円までの非課税枠も失われてしまいます。 実際に、相続時精算課税制度を使って贈与をしたのちに、その事実を忘れて110万円までの贈与を行ってしまう事例は少なくありません。相続時精算課税制度を使って2,000万円を贈与した後に、その事実を忘れて年間110万円ずつ贈与を行った場合、わずか5年後には贈与税の支払いを求められるでしょう。 また暦年課税制度を利用していた場合、年間110万円までは相続税も贈与税もかからない計算になります。一方で相続時精算課税制度を選択した場合、年間の贈与額が110万円以内であっても、その分は将来的に相続税の対象になってしまうのです。「相続税の負担を和らげる」という目的で利用する場合、かえって逆効果になってしまう可能性もあるという点が、非常に大きなデメリットと言えます。 土地の生前贈与にも注意が必要 相続時精算課税制度のデメリットで、もう1点頭に入れておきたいのが「土地の生前贈与」についてです。相続時精算課税制度を使えば、不動産の生前贈与も可能。ただしこの場合、相続税で認められている「小規模宅地等の特例」の利用はできません。 小規模宅地の特例とは、亡くなった人が使用していた宅地等のうち、一定部分までであれば相続税評価額を80%まで減額できる制度のこと。この特例を使えば、土地や自宅に関しては、非常に少ない負担で相続できる可能性が高いでしょう。しかし相続時精算課税制度を利用した場合、減額されない価格で相続税が計算されます。余計な負担が発生する可能性があるのです。 こちらのデメリットも頭に入れた上で、相続時精算課税制度を利用した不動産の贈与については、慎重に検討する必要があるでしょう。税負担の軽減という目的だけを考えるなら、相続時精算課税による贈与財産からは除外するのがおすすめです。 相続税が0円なら利用のメリットは大! 相続税には「3,000万円+(600万円×法定相続人数)」という基礎控除額が定められています。この範囲内であれば、相続税が課せられることはありません。もちろんこの基礎控除は、相続時精算課税制度を利用した場合でも適用されます。 「単なる税金の先送り」とも言われる相続時精算課税制度ですが、法定相続人が1人で合計3,500万円の遺産を受け継ぐケースでは、「非課税で早く大金を受け取れる」というメリットが発生する可能性も。相続時精算課税制度を利用して先に2,500万円を受け取っても、残りの財産が1,000万円なら、相続税は課せられません。 相続時精算課税制度を利用しない場合、 ・被相続人が亡くなった段階で3,500万円を受け取る・2,500万円の生前贈与を受ける時点で、相応の贈与税を支払う のいずれかを選択せざるを得ないでしょう。相続時精算課税制度によって、「税金の負担なく早い段階で親の遺産を引き継ぎ、活用する」という第3の選択肢が生まれるのです。 自分にとってのメリット・デメリットを検討し慎重な決断を 生前贈与を行う際の相続時精算課税制度を利用する際には、メリットもあればデメリットもあります。自分にとってはどちらの方が大きいのか、冷静に判断する必要があるでしょう。 ・本当に今大金を受け取る必要があるのか?・その他の非課税制度(住宅資金や教育資金)は利用できないか? これらの点も踏まえて、ぜひ慎重に検討してみてくださいね。

  • 遺産の独り占めはよくあるトラブル!3つの対処法と予防のポイントは?

    遺産相続に関するトラブルで、耳にする機会も多いのが「独り占め」です。相続人のうちの1人が財産を独占してしまったら、その他の相続人にとっては、到底納得できる状況とは言えないでしょう。 では実際に独り占めトラブルが発生してしまった際に、私たちはどう対処するべきなのでしょうか。3つの方法と、そもそも独り占めトラブルを起こさないための予防法をお伝えします。 遺産の独り占めが起きる理由 遺産の独り占めが起きる理由 相続が発生する前は、「相続人の誰かが財産を独り占めするなんて、想像もできない…」と思う方も多いのかもしれません。しかし実際には、遺産の独り占めは「よくあるトラブル」の一つ。決して珍しくないのです。では、そもそもなぜ遺産の独り占めという状況が生まれてしまうのでしょうか?理由として考えられるのは、以下の2つの状況です。 ★遺言書に「○○にすべての財産を譲る」という記載がある場合 被相続人が遺言書に、「特定の相続人のみにすべての財産を譲る」と記載していた場合、遺産の独り占めは可能になります。法的に有効な遺言書に記載された内容は、何よりも優先されるべき事項だからです。相続人の意志というよりは、被相続人の意志によるものと捉え、受け入れる必要があるでしょう。 ★同居中の家族が遺産分割協議に応じない場合 遺言書がない場合でも、被相続人と同居していた相続人によって、財産を独り占めされてしまうケースもあります。同居家族であれば、預金口座に残されたお金やその他の財産についても、別の相続人よりも詳しく把握しているでしょう。また自宅が被相続人名義であれば、遺産分割協議によって住む場所を失う事態にもなりかねません。 ・不動産分割に関する協議に一切応じない ・遺産を勝手に使い込む このような状況で、独り占めが発生するケースもあります。 もしも遺産を独り占めされてしまったら…対処法3つ もしも本当に遺産を独り占めされてしまったら、できるだけ早く具体的な行動をとる必要があります。3つの対処法を紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。 ★遺言書が有効なのか確かめる 遺言書によって独り占めが発生している場合、何よりも先に確認しておきたいのが「遺言書の有効性」についてです。近年の終活ブームに伴って、増えている自筆証書遺言では、遺言書に必要な要件を満たせていないことが原因で、無効と判断される事例も少なくありません。遺言書そのものが無効であれば、「○○にすべての財産を譲る」といった内容も無効に。一から遺産分割協議を行う必要があり、独り占めを阻止できるでしょう。 また、たとえ遺言書の必要要件を満たしていても、自宅で保管されていた遺言書の場合、偽造されている可能性や内容を変えられている可能性も捨てきれません。あらゆる可能性を考慮しながら、遺言書そのものについてチェックしてみてください。チェックポイントがよくわからない場合には、弁護士などの専門家に相談するのもおすすめです。 ★遺留分を請求する 「○○にすべての財産を譲る」という内容の遺言書が有効であると認められた場合、相続人1人の独り占めが可能になります。とはいえ、その他の相続人には「遺留分を請求する権利」が認められていますから、必要な手続きを進めていきましょう。 遺留分とは、法定相続人に認められている遺産の最低限の取り分のこと。たとえば法定相続人が配偶者のみの場合は1/2が、配偶者と子どもの場合はそれぞれ1/4ずつが遺留分として認められます。たとえ遺言書で独り占めを認めていても、遺留分を請求すれば、実質的に独り占めを阻止できるでしょう。 ただし遺留分の請求権が認められているのは、 ・配偶者や子供などの直系卑属 ・両親などの直系尊属 のみです。兄弟姉妹の立場で法定相続人になった場合、残念ながら請求できません。 ★家庭裁判所に申し立てる 有効な遺言書がないにもかかわらず、遺産の独り占めトラブルが発生している場合、最初は説得にあたるケースがほとんどでしょう。説得に耳を貸し、遺産分割協議に応じてくれるようであれば、問題はありません。より深刻なのは、そうした説得でも効果が見られない場合です。 この場合、家庭裁判所に遺産分割調停を申し立てる方法があります。調停委員による説得や遺産分割審判による分割方法の決定など、法律的な側面からより公正な遺産分割をサポートしてくれるでしょう。 またすでに遺産が使い込まれている場合、まずは銀行に連絡して口座をストップしてもらいましょう。被相続人が亡くなったあとの出入金記録を確認し、使い込みの有無をチェックしてください。その記録をもとに遺産分割調停に臨むことで、使い込まれた財産分も取り返せる可能性があります。本当に使い込まれているのか、またどの程度取り返せるのかは、個々の状況によって異なります。経験豊富な弁護士に相談すると良いでしょう。 そもそも遺産の独り占めを防ぐためには? 遺産の独り占めは、さまざまなトラブルを招きかねません。その他の相続人との間に深い亀裂が生じる恐れもありますし、最終的に裁判になれば、トラブルが年単位で続いていく可能性もあるでしょう。こうしたトラブルを避けるためには、ぜひ以下のような対策を心掛けてみてください。 ★遺言書は正しく、相続人感情に配慮した形で残す 遺言書は被相続人の遺志を伝えるためのものです。余計なトラブルを防ぐためには、まず「法律的に有効な形で遺言書を残す」ことを意識してください。またその内容についても注意が必要です。 先ほどもお伝えしたとおり、相続人の1人に独り占めさせるような形の遺言を残したとしても、その他の法定相続人には遺留分の請求が認められています。最初から遺留分に配慮した内容にしておけば、独り占めにはならず、余計なトラブルを回避できる可能性も高まるでしょう。また遺産分配が公平ではない理由についても、丁寧な説明を心掛けると、より自分の気持ちを届けやすくなります。 ★同居中の相続人とその他の相続人とが円満な関係性を築く 遺言書の有無にかかわらず、遺産の独り占めは同居中の相続人によって行われるケースが目立ちます。これには、「被相続人の面倒は全部自分が見て来た」という自負や犠牲の気持ちが関係していると思われます。 同居中の家族だけが介護を担当するのではなく、周囲の相続人が積極的に関わりサポートすれば、独り占めトラブルが発生する可能性は低くなります。 遺産の独り占めトラブルは早めの相談が鍵 遺産の独り占めトラブルは早めの相談が鍵 万が一遺産の独り占めトラブルが発生してしまったら、できるだけ早い段階で弁護士に相談しましょう。遺言書の有効性や独り占めの正当性について、法律の専門家として状況を判断してくれるでしょう。また独り占めしている相続人との交渉役も担ってもらえます。 相続トラブルで弁護士なんて…と思う方もいるかもしれませんが、話がこじれれば、問題はより大きく深くなっていきます。法律の力も借りつつ、少しでもスッキリと解決できる道を探ってみてください。

  • 親の遺産を放棄したい!手続き方法や期間・注意点を解説

    「遺産相続」というキーワードを耳にしたとき、ごく自然に「プラスの財産」を思い浮かべる方も多いかと思います。しかし実際には、「マイナスの財産」が相続されてしまうケースも少なくありません。また何らかの事情で、「親の財産を受け継ぎたくない」と思うこともあるでしょう。 このような場合に検討したいのが、「相続放棄」についてです。具体的な手続き方法や注意点を解説します。 相続放棄とは? 相続放棄とは? 相続放棄とは、相続人が、被相続人の財産を相続する権利を一切放棄する手続きを指します。亡くなった方の財産が、相続人にとって好ましいものとは限らないでしょう。このような場合に、一定の手続きを経て相続放棄をすれば、「相続しない自由」を選択できます。 相続放棄の特徴は、「相続する財産のすべてを放棄する」という点です。非常にシンプルですが、誤解しやすいポイントでもありますから、十分に注意してください。相続する財産には、さまざまなものが含まれています。「その一部のみを相続し、その他を放棄する」ということはできません。あくまでも、「相続放棄するのであれば、財産のすべてをあきらめる」選択になるでしょう。 相続放棄は、以下のようなシーンで有効です。 ・プラスの財産よりも、明らかに負債の方が多い・相続問題に巻き込まれたくない・自分ではない相続人に、すべての財産を譲りたい たとえば、預貯金や不動産といったプラスの財産よりも、借金額の方が多ければ、財産を受け継ぐ金銭的なメリットはありません。それどころか、相続によって自身の生活が困窮する可能性すらあるでしょう。プラスの財産をあきらめる代わりに借金も受け継がなくて済むのであれば、そちらのメリットの方が大きくなります。 また遺産相続には、相続問題も付き物です。「わずかな遺産を取り合っていざこざを起こすくらいなら…」と思うときにも、相続放棄の手続きをとりましょう。別の相続人に遺産を相続させたい場合にも、相続放棄の手続きは有効です。たとえば、夫の財産を妻と子どもで受け継ぐ場合、子どもが相続放棄すれば、夫の財産を妻が一人で相続できます。残された家族の生活が不安な場合にも、有効な方法と言えるでしょう。 相続放棄の手続きができる期間は3ヶ月 さまざまな事情がある場合に、有効な手続きである相続放棄。しかし、いつでも自由に手続きできるわけではありません。相続放棄の手続きは、民法によって、相続の事実を知った日から3ヶ月以内に行う必要があると定められています。 相続放棄の手続きは、家庭裁判所にて行います。必要書類をそろえた上で、期間内に申述しましょう。家庭裁判所に直接出向いても良いですし、郵送で必要書類を届けても構いません。ただし、これらの手続きを3ヶ月以内に完了できなければ、自動的に「プラスの財産もマイナスの財産もすべて相続する(単純承認)」と判断されてしまうので注意してください。 「相続の事実を知ってから3ヶ月以内」というのは、非常に厳しいスケジュールです。実際には、「被相続人の財産状況が複雑で調査が終えられなかった…」というケースもあるでしょう。このような場合には、その旨を家庭裁判所へと申し立てましょう。その正当性を裁判所が認めてくれれば、手続き期間が伸長されます。柔軟な対応をしてくれるケースも少なくありませんから、まずは一度、弁護士などの専門家に相談してみてください。 相続放棄に必要な書類とは? 子どもが親の財産を相続放棄する場合、家庭裁判所に対して、以下の書類の提出を求められます。 ・相続放棄申述書・亡くなった人(親)の住民票除票(もしくは戸籍附票)・自分の戸籍謄本・亡くなった人(親)の死亡の記載がある戸籍謄本 住民票除票や戸籍謄本は、市町村役場で手に入ります。相続放棄申述書は、裁判所のホームページからダウンロードしましょう。申述人(相続放棄したい本人)や被相続人(亡くなった人)の情報のほか、相続放棄したい理由を記入して提出します。理由については、できる範囲で詳しく記載するのがおすすめです。 連絡先欄には、平日の日中に連絡がつく番号を記入しましょう。相続財産について記入する欄がありますが、ざっくりとした内容で問題ありません。またよくわかっていない部分については、そのまま「不明」と記載しましょう。押印は実印以外でも大丈夫ですが、自分がどの印鑑を使ったのか、忘れないようにしてください。 相続放棄する場合に知っておきたい注意点3つ 相続放棄の手続きには、いくつか注意したいポイントもあります。こちらもあわせてチェックしてみてください。 ★1.相続放棄が認められないケースもある 相続放棄の手続きは、よほどの事情がなければ、家庭裁判所によって認められます。しかし、以下のような事情がある場合、認められない可能性が高いでしょう。 ・相続人が相続財産を処分した・相続人が相続財産を隠したり、消費したりした つまり、相続人の立場で、勝手に財産を処分したり使ったり、隠したりすれば相続放棄が認められなくなるというわけです。もし相続放棄を検討しているなら、財産の取り扱いには十分に注意しましょう。 特に注意が必要なのは、死亡保険の解約返戻金についてです。死亡に伴い保険契約が解約されれば、一部商品では解約返戻金が支払われます。しかしこちらは、被相続人の財産にあたるため、相続人が勝手に消費することは認められていません。どういったお金なのかしっかりと確認した上で、適切な対処を求められます。 ★2.相続放棄しても死亡保険金を受け取れるケースもある 相続放棄する場合には、被相続人が加入していた死亡保険にも注目してみてください。もし死亡保険金の受取人が指定されていれば、相続放棄した場合でも死亡保険金を受け取れます。 なぜなら、受取人が指定されている死亡保険金は、受取人に固有の財産と判断されるから。「被相続人の財産」ではないため、相続放棄に影響はないというわけです。こちらも頭に入れた上で、相続放棄について検討する必要があるでしょう。 ★3.必要に応じて「限定承認」の検討も 遺産相続には、すべての財産を受け継ぐ「単純承認」と、すべての財産を放棄する「相続放棄」のほか、一部の財産のみを受け継ぐ「限定承認」という方法もあります。 限定承認とは、「相続したプラスの財産以上に、マイナスの財産は負わない」という相続手法のこと。プラス財産とマイナス財産のどちらが多くなるのか、わからないときにも有効な相続手法です。リスクはなく、現時点で把握できていないメリットを逃さないという強みがあります。 限定承認の道を探る場合は、専門家に相談の上で話を進めていくのがおすすめです。自身にとって、ベストな相続の形を探ってみてください。 相続放棄を検討するなら素早い行動を 相続放棄を検討するなら素早い行動を 相続放棄は、マイナスの財産が明らかに多いときや、相続トラブルを避けたいときに有効です。とはいえ、手続きには期限が定められており、あまりゆっくりはしていられません。相続の事実を知ったら、ぜひ早めに専門家に相談してみてください。素早い行動が、自身の利益につながるでしょう。 参考サイトhttps://shine-souzoku.com/genteisyounin/?utm_source=google&utm_medium=cpc&utm_campaign=gentei&gclid=Cj0KCQjw1bqZBhDXARIsANTjCPKBS7d1uOymSBeLtzQBOfIP5Z2aIjRHLblRoxd5DvH7z452uwPmI70aAmN1EALw_wcBhttps://souzoku-pro.info/columns/souzokuhouki/105/#toc_anchor-1-3-4https://www.courts.go.jp/saiban/syurui/syurui_kazi/kazi_06_13/index.htmlhttps://legacy.ne.jp/knowledge/now/souzoku-houki/008-kimekata-tetsuduki-nagare/

  • 遺言書は誰にサポートしてもらう?弁護士に依頼した場合のメリット・デメリット

    終活ブームの今、「相続トラブルを避けるためにも遺言書を残したい」と考える人が増えてきています。遺言書の方式によっては、自力で残すことも可能。しかし実際には、弁護士に依頼して遺言書作成のサポートを受ける人も少なくありません。 遺言書の作成を弁護士にサポートしてもらうと、どのようなメリットが発生するのでしょうか。デメリットについても解説するので、ぜひ自身の遺言書を作成する際のヒントとして活用してみてください。 遺言書作成を弁護士に依頼した場合のメリットとは? 遺言書作成を弁護士に依頼した場合のメリットとは? まずは、メリットからチェックしていきましょう。弁護士に依頼した場合のメリットは、主に以下の3点です。 ★法律面で確実な遺言書を残せる 本人が手書きで残す自筆証書遺言であれば、自宅でいつでも手軽に遺言を残せます。しかしいざ遺言執行の瞬間を迎えた際に、トラブルが発生するケースは少なくありません。遺言書そのものが無効になってしまったり、相続人同士の遺産分割協議のスムーズな進行を妨げてしまったりします。 遺言書の作成を弁護士にサポートしてもらえば、法律の専門家のもとで、確実に有効な遺言書を残せます。 ・遺言書の書き方が間違っていて無効になる・遺産の調査が不十分で、漏れが生じている・相続人の調査が不十分で、漏れが生じている このようなトラブルを予防できます。せっかく遺言書を残しても、法的に必要な条件をクリアできていなければ、相続に自身の遺志を反映させることはできません。また各種調査が不十分であれば、その分相続人の手間は増えてしまうでしょう。弁護士にサポートしてもらえば、無効リスクを最小限にできるでしょう。 ★トラブル予防のためのアドバイスが受けられる 遺言書に記した内容によっては、自身の死後、相続トラブルが勃発する可能性があります。たとえば「相続人のうちの一人だけを指定して全財産を相続させる」「家族や親族以外の人を相続人に指定する」といった事例では、特に注意が必要です。たとえそれが被相続人の要望であっても、その他の相続人にとっては、到底納得できる内容ではないでしょう。 また、たとえ「長男に全財産を相続させる」といった遺言を残したとしても、その他の相続人には遺留分が認められます。遺留分を無視した内容の遺言書を残しても、メリットは少ないと考えられます。 弁護士に遺言書作成をサポートしてもらえば、遺言書の作成段階で、内容に対する法律面からのアドバイスを受けられます。自身の要望を伝えた上で、それにもっとも寄り添った形の提案を受けられるでしょう。 弁護士であれば、過去の判例をもとに、より具体的なアドバイスをしてくれます。遺言書の作成サポートは司法書士や行政書士も行っていますが、法律や判例をもとにした具体的なアドバイスは、弁護士ならではのメリットです。 ★訴訟トラブルにもワンストップで対応可能 どれだけ配慮して遺言書を作成しても、トラブルが発生する可能性はあります。話がこじれて訴訟にまで発展してしまった場合でも、弁護士であればワンストップでのサポートが可能です。遺言書作成段階から関わってもらえば、話もスムーズに進めていけるでしょう。 訴訟トラブルへの対応も、基本的に対応できるのは弁護士のみです。司法書士の場合、案件の内容や金額によっては対応できる可能性もありますが、「万全の体制」とは言えないでしょう。いざというときの安心感も、弁護士ならではのメリットですね。 弁護士に依頼した場合のデメリット解説 では反対に、遺言書作成を弁護士に依頼した場合、どういったデメリットが生じるのでしょうか。こちらも頭に入れておきましょう。 弁護士に依頼した場合のデメリットは、主に費用面です。弁護士に相談しようと思えば相談料が発生しますし、正式に依頼するとなれば、さらに費用がかさみます。相談料は30分5,000円程度、遺言書の作成費用は10万円~20万円程度が相場です。内容が複雑であったり、作成に手間がかかったりする場合には、さらに加算料金が発生する可能性もあるでしょう。 たとえば同じ専門家でも、書類作成業務をメインでこなす行政書士であれば、費用は安く済む可能性が高いです。弁護士に依頼するメリットと費用のバランスを考慮して、依頼するかどうか決定しましょう。 またひと言で弁護士と言っても、どのような業務を得意としているのかは、それぞれで異なっています。弁護士の中でも、遺言書や相続に強い事務所を探さなければならない点も、デメリットの一つと言えるでしょう。 弁護士への依頼がおすすめな人とは? 弁護士への依頼がおすすめな人とは? メリット・デメリットを知ったところで、「結局自分は弁護士にサポートを依頼するべきなのだろうか?」と感じる方も多いのではないでしょうか。以下の条件に当てはまる場合、デメリットよりもメリットの方が大きくなると思われます。ぜひ依頼についても、積極的に検討してみてください。 ・将来的に相続トラブルが発生する可能性が高い場合・事業を継承する場合・家族以外に財産を相続させたい場合・自身の財産や相続人の調査が難しい場合・遺言の保管や執行までを依頼したい場合 相続の内容がシンプルでわかりやすく、また相続人が納得している状況なら、わざわざ弁護士に依頼する必要性は低いでしょう。行政書士に、法的に間違いのない遺言書に仕立ててもらうだけ、もしくは自治体などの無料相談会を活用し自筆証書遺言を残す方法でも、自身の要望を伝えられます。自ら公証役場に赴き、公正証書遺言を残す方法もあるでしょう。 トラブルの発生が予見される場合や、相続そのものが複雑な場合には、最初から弁護士に依頼するのがおすすめです。「本当にこれで良いのか…」という不安からも解消され、精神的にも楽になるでしょう。もちろん費用はかかりますが、それ以上のメリットが期待できます。 弁護士なら、遺言作成の初期段階から、執行される瞬間、そして執行後にトラブルが発生してしまった場合でも対応を依頼可能です。「自分が依頼した場合にはどのようなメリットが期待できるのか?」と疑問を抱いたときには、ぜひ初回相談無料の弁護士事務所を頼ってみてください。自分のケースにおけるメリットについて、わかりやすく解説してもらえるでしょう。 遺言を残す場合は専門家のサポートも検討してみて 「弁護士に相談して遺言書を残す」と聞くと、大げさな行動のように思われる方もいるかもしれません。実際に、「何もそこまで…」とためらっている方も多いのではないでしょうか。しかし遺言書の作成は、想像以上に複雑で難しいもの。より確実に、トラブルのない遺産相続を目指すためには、ぜひ弁護士も含めた専門家のサポートを活用してみてくださいね。

  • 遺族厚生年金とは?特徴・受給資格・受け取り方法など…基礎知識を学ぼう!

    会社員や公務員として働いていた家族が亡くなったら、残された遺族は遺族厚生年金を受け取れる可能性があります。遺族年金の特徴や受給資格、受け取り方法など、基本的な知識を解説します。遺族厚生年金を受給する際の注意点も紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。 遺族厚生年金とは? 遺族厚生年金とは? 遺族厚生年金とは、厚生年金保険に加入していた方が亡くなった際に、その人によって生計を維持されていた家族に支給される年金のことです。厚生年金制度と言えば、「老後の備え」と感じている方も多いのではないでしょうか?しかし実際には、老後を迎える前に亡くなった場合でも、残された家族の生活をサポートしてくれるというメリットがあります。 遺族厚生年金は、遺族基礎年金にプラスして支払われるものです。遺族基礎年金が支給の対象外であっても、遺族厚生年金は支給されるケースは珍しくありません。特に「厚生年金に加入していた夫が亡くなった妻」という立場では、遺族厚生年金を受給できる可能性は高いと言えるでしょう。遺族年金制度について正しく理解し、適切に手続きを進めていきましょう。 遺族厚生年金を受け取れる人とは? 遺族厚生年金を受け取れる人の基本的な条件は、以下のとおりです。 ・死亡した人と同居していた人・死亡した人によって生計を維持されていた人・遺族厚生年金の受給順位がもっとも高い人 まず、遺族厚生年金の受給資格を持つのは、亡くなった人と同居していた人。ただし学業や仕事など、一定の条件で別居していた場合は「同居」と判断され、受給資格を有します。また遺族厚生年金は、条件を満たしたすべての人が受給できるわけではありません。亡くなった人との関係別に受給順位が定められていて、対象者の中でもっとも順位が高い人のみが受け取れる仕組みです。 遺族厚生年金の受給順位は、以下のように定められています。 第一順位 → 配偶者と子(※子を持つ妻・子を持つ夫>子ども>子のいない妻・子のいない夫の順で優先度が高い)第二順位 → 亡くなった人の両親(※亡くなった時点で55歳以上)第三順位 → 亡くなった人の孫第四順位 → 亡くなった人の祖父母(※亡くなった時点で55歳以上) ここで言う「子」や「孫」とは、18歳の年度末を迎えていない、もしくは20歳未満で障害年金の障害等級1・2級を持つことが条件になります。また注意しなければならないのが、「夫」の立場で遺族厚生年金を受給するケースです。 もともとは「夫を亡くした妻」を助ける目的が強かった遺族厚生年金ですが、共働き世帯が増えている今、状況は変化。「妻を亡くした夫」も遺族厚生年金を受給できるよう、ルールが変更されています。ただしこの場合、妻が亡くなった時点での夫の年齢が、「55歳以上」という区切りがあるので注意してください。 「夫を亡くした妻」の場合、特に年齢制限はありません。ただし、夫の死亡時に妻の年齢が30歳未満で子どもがいない場合、5年間のみの支給となります。 また亡くなった人の生前の厚生年金保険加入状況が、一定の条件を満たしていなければ、そもそも遺族厚生年金は支給されません。以下のいずれかの条件を満たしているか、事前にチェックしておきましょう。 ・死亡した人の厚生年金保険料納付済期間が、加入期間の2/3以上である・死亡した日に65歳未満であり、要は死亡月の2ヶ月前までの1年間で保険料を滞納していないこと 1つ目の条件については、保険料の免除期間は「納付済み期間」として扱われます。2つ目の条件については、保険料を納付しなくても良い月は対象外と判断されます。過去に滞納の経験がある方は、事前に確認しておくと安心ですね。 遺族厚生年金の受け取り方法は? 遺族厚生年金は、年金事務所や年金相談センターへの必要書類提出によって申請できます。必要書類は以下のとおりです。 ・年金請求書(国民年金・厚生年金保険遺族給付)様式第105号・死亡した人の年金手帳・住民票の写し(世帯全員分)・亡くなった人の住民票の除票・死亡診断書・収入確認書類・振込先情報がわかる書類(通帳やキャッシュカードなど)・資格喪失届(※厚生年金保険加入中に亡くなった場合)・年金受給権者死亡届(※厚生年金受給中に亡くなった場合) 遺族厚生年金を申請するためには、まず保険に加入している人、もしくは年金を受け取っている人が亡くなったことを知らせなければいけません。両者の書類は同時に提出できますから、必要書類を集めた上で、年金事務所もしくは年金相談センター窓口を訪れましょう。年金請求書は、各窓口で入手できるほか、ウェブサイトからダウンロードし、印刷することも可能です。 また世帯全員分の住民票の写しや収入確認書類については、マイナンバーの記入によって省略可能です。書類を用意する手間が省けるので、ぜひ活用してみてください。 遺族厚生年金を受け取る際の注意点 遺族厚生年金を受け取る際の注意点 遺族厚生年金の請求や受け取りで注意しなければならないのが、時効についてです。遺族厚生年金を受け取る資格を有していても、請求しなければ支給はされません。またそのまま状況を放置すれば、死亡の翌日から5年経過で「遺族厚生年金を請求する権利」が時効を迎え消滅してしまうのです。 身近な人が亡くなった場合、当分の間はバタバタするでしょう。たとえば、死亡の翌日から3年後に遺族厚生年金受給の手続きを行った場合、過去3年分をさかのぼって請求可能です。一方で死亡の6年後に同じ手続きを行った場合、時効を迎えた分については請求できません。過去5年分までしか支給されないため、注意してください。葬儀や法要など、最初の忙しい時期を乗り越えたら、忘れないうちに手続きするのがおすすめです。 また以下のような状況になった場合は、遺族厚生年金を受け取る権利は失われます。 ・受給者本人が亡くなった場合・受給者が別の人と婚姻した場合 などたとえば夫が亡くなったあと妻が遺族厚生年金を受給し、その妻も亡くなった場合、妻の受給権は失われます。ただし夫と妻の間に子どもがいれば、親の死亡と共に、子ども自身の受給権が復活します。「遺族年金受給権者支給停止事由消滅届」を提出し、適切な手続きをとれば、子ども自身が遺族厚生年金の受け取り手になれるでしょう。 遺族厚生年金についてもしっかりと理解を 厚生年金保険に加入している人とその家族にとって、遺族厚生年金は、大黒柱死亡後の生活の支えになってくれるでしょう。特に子どもがいる場合の支給額は大きく、生活困窮を防いでくれます。時効もあるため、できるだけ早めに手続きしましょう。 遺族厚生年金を受け取るためには、制度の基礎についてしっかりと学んでおく必要があります。まずは現在の加入状況をチェックし、支給要件を満たせているかどうか、確認するところからスタートしてみてはいかがでしょうか。

  • 死亡共済金の受取人は誰になる?トラブル予防のために準備しておきたいこと

    万が一のときのために加入する共済。死亡時には、死亡共済金が受け取れる商品も少なくありません。 「実際に共済への加入を検討している」「共済に加入している家族が亡くなった」場合に、知っておきたいのが「死亡共済金の受取人」についてです。いったい誰が受け取ることになるのかを事前に把握しておくと共に、トラブル予防のための対策を実施しましょう。 死亡共済金の受取人とは? 死亡共済金の受取人とは? 共済には、さまざまなタイプの商品があります。たとえば、病気やケガを理由に共済金を受け取る場合、受取人は契約者本人に。ただし死亡共済金の場合は、契約者本人が受け取ることはできません。あらかじめ定められたルールに則って、以下の中からもっとも優先順位が高い人が、受け取る仕組みになっています。 1.加入者の配偶者(婚姻届の提出あり)2.同一世帯に属する加入者の子3.同一世帯に属する加入者の孫4.同一世帯に属する加入者の父母5.同一世帯に属する加入者の祖父母6.同一世帯に属する加入者の兄弟姉妹7.加入者のその他の子8.加入者のその他の孫9.加入者のその他の父母10.加入者のその他の祖父母11.加入者のその他の兄弟姉妹12.加入者の甥姪 つまり、共済に加入していた人に法律上の配偶者がいれば、死亡共済金は自然にその配偶者のもとに支払われます。配偶者がいない、すでに亡くなっている場合には、同居中の子や孫へと、順序が移っていくというわけです。 死亡共済金は残された家族の生活を支えるためのお金であり、受取人優先順位からもわかるとおり、「同一世帯に属しているか否か」が重要視されています。実際には現在同居していなくても、その理由が「修学・療養・勤務」といった事情であれば、「同一世帯に属するもの」として判断されます。また同一順位が複数人いる場合には、平等に分配される仕組みです。 順位を無視して特定の誰かに受け取ってほしい場合は? 自分に万が一のことがあったとき、残された家族の生活を支えるために…という目的から、「受取人の順位が上位ではない人に死亡共済金を受け取ってほしい」と思うケースもあるでしょう。このような場合には、「死亡共済金受取人指定」の制度を活用してください。 死亡共済金受取人指定とは、その名前のとおり、死亡共済金を受け取る人を、あらかじめ加入者が指定しておける制度のこと。もしこの制度で受取人が指定されていれば、上記の順位を無視して、共済金を受け取れます。ただし死亡共済金受取人として指定できる人にも、一定のルールが設けられているケースがほとんどです。 ・契約者の親族・反社会的勢力に属していない人 内縁関係にある人や同性婚のパートナーを共済金の受取人として指定できるかどうかは、共済商品によって事情が異なるため、契約時にしっかりと確認しておきましょう。内縁関係にある場合、「法的な配偶者がいないこと」などを条件に、受取人指定が認められるケースもあります。また同性パートナーについても、一定の事情を伝えた上で、日常生活上密接な関わりがあると認められれば受取人になれる可能性があるでしょう。 どちらの場合も、事前準備が欠かせませんから、まずは組合側へと問い合わせてみてください。後々のトラブルを防ぐためにも、また自身の遺志を反映させるためにも、早めの準備が鍵となります。 死亡共済金の受け取りが相続問題に発展する可能性も? 死亡共済金は、加入者が亡くなったあとの、家族の生活をサポートしてくれるでしょう。しかし残念ながら、この死亡共済金が原因で相続トラブルに発展してしまう恐れもあります。2つの事例を解説します。 ★兄弟間の不公平な相続について 先ほどもお伝えしたとおり、死亡共済金は受取人の指定が可能。たとえば、兄弟姉妹のうち1人だけが死亡共済金の受取人に指定されている場合、その他の兄弟姉妹から、その不公平さに文句が出る可能性があります。 なぜなら、受取人が指定された死亡共済金は、受取人に固有の財産とみなされるから。死亡共済金をすべて1人で受け取った上で、その他の財産についても、その他の兄弟と同じ分だけ受け取れる可能性があるというわけです。あまりに大きすぎる差に、深い亀裂が生じてしまうケースも少なくありません。 死亡共済金の受取で相続トラブルを発生させないためには、受取人を指定する段階で、過度に不公平な状況にならないよう注意する必要があるでしょう。 ★相続放棄と死亡共済金の受け取りについて こちらは反対に、死亡共済金の受取指定をしなかった場合のトラブル事例です。 遺産相続とは、プラスの財産もマイナスの財産も、すべてひっくるめて受け取るか、放棄するのかを選ぶ仕組み。たとえば、父親の財産を母親と子どもで受け継ぐ場合、不動産や預金といったプラスの財産のほか、借金などのマイナスの財産も対象になります。プラスの財産よりもマイナスの財産が多い場合には、相続放棄の手続きをとる必要があるでしょう。 もしも、 ・死亡共済金の受取人が指定されていない・受取人指定欄に、ただ「相続人」とだけ記載されている といった状況の場合、死亡共済金は遺産の一部として扱われます。つまり、1,000万円の死亡共済金が支払われても、負債総額がそれ以上であれば相続するメリットはなくなってしまうというわけです。 先ほども説明したとおり、死亡共済金の受取人が指定されていれば、共済金は受取人に固有の財産とみなされます。遺産とは切り離して考えられますから、負債まみれの財産を相続放棄した場合でも、死亡共済金は受け取れるでしょう。 ただしこの場合も、相続人が複数人いる場合には注意が必要です。「相続人全員で相続放棄の手続きをしたが、実際には共済金で利益だけを得ている人がいる」という事態になってしまいます。こちらもトラブルの可能性について事前に考慮し、専門家への事前相談がおすすめです。 万が一のときのための共済金だからこそ事前準備が鍵 万が一のときのための共済金だからこそ事前準備が鍵 万が一のときのための共済金ですが、加入時に「死亡共済金を受け取るときのこと」を具体的にイメージするのは難しいかもしれません。なんとなく受取人を指定している、もしくは指定しないままにしているという方も多いのではないでしょうか。とはいえその「なんとなく」の決断が、万が一のときのトラブルにつながってしまう恐れもあります。 これから共済への加入を検討するなら、誰を受取人に指定するのか、しっかりと考えておきましょう。またすでに加入している場合は、現在の状況を確認するのがおすすめです。必要に応じて指定・変更しておけば、いざというときのトラブルも予防できるのではないでしょうか。

  • 遺族年金の種類は2つ!受給要件や受取人はどうなる?

    家計を支えていた家族が亡くなってしまったら…。今後の生活がどうなるのか、経済的な不安を抱える方も多いでしょう。こんなとき、ぜひ知っておきたいのが「遺族年金」に関する知識です。 亡くなった家族の年金加入状況によっては、亡くなったあとに年金を受け取れる可能性があります。遺族年金の種類とそれぞれの特徴、受給要件や受取人について詳しく解説します。 遺族年金とは?2つの種類を知っておこう 遺族年金とは、年金保険の加入者が亡くなった場合に、亡くなった人によって生計を維持されていた家族を支えるための年金制度です。たとえば、働き盛りの会社員が亡くなった場合、その配偶者や子どもは、これから先どう生活すれば良いか不安を抱えてしまうでしょう。遺族年金を受給できれば、その後の生活費も確保できます。 さて、そんな遺族年金には、以下の2つの種類があります。 ・遺族基礎年金・遺族厚生年金 日本の年金制度は、いわゆる二階建ての仕組みになっています。原則として20歳以上の国民全員が加入するのが国民年金制度で、会社員や公務員として働いている人は、国民年金にプラスして厚生年金にも加入しています。遺族基礎年金の場合、20歳以上の国民すべてが対象になる可能性があるのに対して、遺族厚生年金は対象者が限定されます。自営業を営んでいる方や無職の方は、対象になりません。 ただし現在は自営業者であっても、過去に会社員として仕事をした経験があり、厚生年金にも加入していた場合は、受給要件を満たしている可能性も。過去の加入記録をもとに、専門家にアドバイスをもらいましょう。 遺族基礎年金と遺族厚生年金は、それぞれ別の制度です。遺族基礎年金だけが対象になる方もいれば、両方を同時に受け取れる方もいるでしょう。残念ながら受給要件を満たせず、どちらの遺族年金も受け取れないケースも存在しています。次項目からは、それぞれの受給要件について、より詳しくチェックしていきましょう。 遺族基礎年金を受給できる人はごくわずか 遺族基礎年金を受給できる人はごくわずか 20歳以上の国民全員に加入が義務付けられている国民年金。そこから支給される遺族基礎年金ですが、実際に受給できる人はごくわずかです。遺族基礎年金を受給するためには、以下の条件をクリアする必要があります。 ・死亡した人によって生計を維持されていた子どももしくは配偶者である・保険料の納付期間や滞納に関する基準を満たしている 遺族基礎年金は、子育て中の方々を支える目的の制度です。このため、子どもが「18歳到達年度の3月31日を経過していない」もしくは「20歳未満で障害年金の障害等級1級または2級である」の、いずれかの条件を満たしている必要があります。 たとえば、子どもがいない夫婦の夫が亡くなっても、妻は遺族基礎年金を受給できません。子どもがいる夫婦でも、すでに成長し19歳以上になっていれば、やはり受給要件は満たせないのです。 ちなみに、遺族基礎年金の制度は近年大幅に改定されています。過去のルールでは、遺族基礎年金を受給できるのは「子ども」もしくは「子どもを養育中の妻」だけに限られていました。つまり、父子家庭では受け取ることができなかったのです。現在このルールは撤廃され、上記の条件を満たしていれば、「妻を亡くした夫」の立場でも受給が可能に。こちらも頭に入れておきましょう。 遺族厚生年金を受給できるのは厚生年金加入者家族 一方で、遺族厚生年金を受給できるのは厚生年金に加入している(していた)会社員や公務員の遺族です。具体的には、以下のような場合に遺族年金を受給できる可能性があります。 ・厚生年金保険の被保険者である間に死亡したとき・厚生年金の被保険者期間に初診日がある病気やけがが原因で初診日から5年以内に死亡したとき・1級・2級の障害厚生(共済)年金を受け取っている方が死亡したとき・老齢厚生年金の受給権者であった方が死亡したとき・老齢厚生年金の受給資格を満たした方が死亡したとき (※1) 遺族厚生年金の場合も、受給資格を持つのは、亡くなった方に生計を維持されていた家族です。具体的には、以下のような方々が当てはまります。 ・妻・子・夫・父母・孫・祖父母 上で言う子や孫は、遺族基礎年金の場合と同じく、「18歳到達年度の3月31日を経過していない」もしくは「20歳未満で障害年金の障害等級1級または2級である」の、いずれかの条件を満たしている人を指します。また夫や父母、祖父母については、「死亡当時に55歳以上」という条件を満たしている場合にのみ、受給できる可能性があります。 遺族の中で受給要件を満たす人が複数いる場合、遺族厚生年金を受け取れるのは、もっとも優先順位の高い方のみ。妻がいなければ子、それもいなければ55歳以上の夫…といった仕組みです。遺族基礎年金とは違い、対象年齢の子どもがいない場合でも、妻は遺族年金を受け取れる可能性があるでしょう。ただし妻の年齢が30歳未満であり、なおかつ夫婦の間に子どもがいなかった場合は、5年間のみ支給されます。 遺族基礎年金を受給できる人がごく限られているのに対して、遺族厚生年金では、「亡くなった人に生計を維持されていた人がいれば、誰かは受給できる」というケースが多く見られます。遺族基礎年金よりも、受給できる人の幅が広い制度だと言えるでしょう。ただし遺族厚生年金の場合も、受給するためには、保険料の支払い期間に関する要件を満たしている必要があります。過去の加入履歴をチェックしてみてください。 遺族年金がよくわからない…相談先は? 遺族年金の受給要件は非常に複雑で、「説明を読んでもよくわからない…」という方も多いのではないでしょうか?こんなときには、自分だけで判断するのではなく、ぜひその道のプロに相談してみてください。 遺族年金についてもっとも手軽に相談できるのが、各自治体が開設している年金相談窓口です。年金事務所や街角の年金相談センターを頼ってみるのも良いでしょう。年金番号など、必要な情報をまとめて相談にいけば、自身の状況に合ったアドバイスがもらえるはずです。 また「内縁の妻」や「死亡当時に別居していた」など、複雑な要因を抱えている場合は、社会保険労務士に相談してみましょう。遺族年金に強い専門家に相談すれば、解決に向けた糸口がつかめるかもしれません。 身近な家族が亡くなったら遺族年金も確認を 身近な家族が亡くなったら遺族年金も確認を 大黒柱として生活を支えてくれていた家族が亡くなったとき、今後の生活に不安を抱き、途方に暮れてしまう方も多いのではないでしょうか。遺族基礎年金もしくは遺族厚生年金を受給できれば、生活の支えになってくれるでしょう。まずは一度、亡くなった家族の過去の年金加入履歴と、現在の家族の状況についてチェックしてみてくださいね。

  • 配偶者の立場で知っておくべき相続のポイント…法定相続や税金、注意点を学ぼう

    配偶者が亡くなったとき、深い悲しみに沈んでしまう方も多いことでしょう。とはいえ、相続手続きは待ってはくれません。愛する配偶者が残してくれた財産と今後の自分の生活を守るためにも、「配偶者の立場での相続」について、基本的な知識を身につけておきましょう。 法定相続のポイントや相続税の配偶者控除、各種注意点について順番に解説するので、ぜひ最後までご覧ください。 配偶者は法律上、無条件で法定相続人に! 相続とは、被相続人から相続人へと、財産が受け継がれることを意味しています。ここで大きな問題になるのが、「ではいったい誰が法定相続人になるのか?」という点。亡くなった人に「法律上の婚姻関係がある配偶者」がいれば、その配偶者は必ず法定相続人になります。 ここで重要なのは、「法律上の婚姻関係がある」という部分です。長年連れ添ったパートナーであっても、事実婚や内縁関係の場合、配偶者としての相続権が無条件で認められるわけではありません。まずはこのあたりを、しっかりと確認しておきましょう。 またもう一点注意しなければならないのが、「配偶者以外の法定相続人」についてです。配偶者以外にも法定相続人がいれば、当然遺産を分け合うことに。配偶者の立場であっても、被相続人の財産をすべて受け継ぐことはできないのです。 配偶者以外の法定相続人は、 ・第1順位 → 被相続人の実の子ども・第2順位 → 被相続人の父母・第3順位 → 被相続人の兄弟姉妹 と定められており、順位に沿って決定されます。亡くなった方に子どもがいれば、配偶者と子どもが法定相続人です。子どもがすでに亡くなっている場合は、その子どもの子や孫へと相続権が受け継がれていきます。 注意しなければならないのは、亡くなった方に子どもがいないケースです。第1順位不在の場合、第2順位の両親、第3順位の兄弟姉妹と法定相続人の範囲は広くなっていきます。 もし第3順位の兄弟姉妹が法定相続人になり、さらにその本人がすでに亡くなっている場合、兄弟姉妹の子ども、つまり被相続人にとっての甥や姪が財産を受け継ぐ可能性も。配偶者の立場では、こちらも頭に入れた上で、事前にしっかりと対策を取っておくことをおすすめします。 相続税における配偶者控除とは? 相続税における配偶者控除とは? 配偶者は、「亡くなった人と協力して財産を築き上げた人」であるため、他の法定相続人よりも多くの財産を受け取れるように設定されています。とはいえ、受け継ぐ財産が増えれば増えるほど、気になるのが相続税について。こうした不安を解消するために、相続税においては配偶者のみが利用できる控除制度が用意されています。 相続税における配偶者控除は、 ・相続する財産が1億6,000万円までであれば非課税・相続する財産が配偶者の法定相続範囲内であれば非課税 という2つのルールが定められています。遺産分割協議の結果、配偶者の立場で受け取る財産が1億6,000万円までであれば、配偶者の相続分に対して相続税が課せられることはありません。またたとえ1億6,000万円以上であったとしても、以下の法定相続範囲内に収まっていれば、やはり相続税を納める必要はないのです。 ・配偶者と子どもが法定相続人になる場合 → 配偶者の法定相続分は遺産の2分の1・配偶者と被相続人の親が法定相続人になる場合 → 配偶者の法定相続分は遺産の3分の2・配偶者と被相続人の兄弟姉妹が法定相続人になる場合 → 配偶者の法定相続分は遺産の4分の3 10億円の財産を配偶者と子どもが受け継ぐ場合でも、配偶者の取り分が5億円までであれば、配偶者分の相続税は発生しません。また、もし法定相続人が配偶者のみの場合、遺産のすべてが配偶者の法定相続分となります。たとえ遺産が100億円あり、そのすべてを受け継いだとしても、配偶者に相続税は課せられないのです。 ただし、先ほどの「10億円の財産を配偶者と子どもが受け継ぐ」ケースで、相続税が控除されるのは配偶者のみです。子どもが受け継ぐ分については、基礎控除額を除き、相続税が課せられるため注意してください。 配偶者の相続で知っておくべき3つの注意点 配偶者の立場で財産を相続する際には、以下の3つの点に注意しましょう。 ★1.相続税の申告を忘れない 配偶者の立場で多額の財産を受け継ぐ場合、よほどのケースでなければ、相続税は0円で済む方がほとんどでしょう。ここで注意が必要なのは、「相続税が0円とわかっていても、相続税の申告はしなければならない」という点です。 相続税の配偶者控除は、自動で適用されるわけではありません。「相続の状況を正直に申告した結果、配偶者控除が認められるため0円になる」という仕組みです。申告は、被相続人が居住していた地域を管轄している税務署にて行います。申告書や遺産分割協議書など、必要書類をそろえた上で手続きしましょう。 ★2.手続きの期限を守る 相続税の申告には、「相続の発生を知った日の翌日から10か月以内」という期限が設定されています。この間に遺産分割協議を完了させ、必要書類をそろえた上で手続きする必要があるのです。 配偶者が亡くなってすぐのタイミングで、遺産相続について考えるのは難しいかもしれません。しかし後回しにしていると、手続き期限を過ぎ、配偶者控除を受けられなくなってしまうリスクもあります。残念ながら、遺産分割協議が常にスムーズに進むとは限らないでしょう。早め早めを意識して行動することをおすすめします。 ★3.二次相続のリスクも考慮しよう 配偶者の立場で財産を相続する際に、便利に使える配偶者控除。配偶者の立場としては非常に心強い制度ですが、二次相続のリスクについても、あらかじめ知っておきましょう。 二次相続とは、財産を受け継いだ配偶者が亡くなった際に発生する相続のこと。一次相続で多額の財産を受け継いだ配偶者が亡くなった場合、またその財産は、次の相続人へと受け継がれていきます。一時相続で「配偶者と子ども」が相続人になった場合、二次相続でも「子ども」が相続人になる可能性は高いでしょう。二次相続では、当然配偶者控除は適用されません。一次相続で配偶者が受け継いだ財産の額が大きければ大きいほど、二次相続における子どもの負担は上昇してしまうでしょう。 二次相続に関するリスクは非常に複雑で、一次相続の段階からしっかりと準備を整える必要があります。相続や税金のプロにサポートしてもらうのがおすすめです。 不安な点は専門家に相談するのがベスト 不安な点は専門家に相談するのがベスト 配偶者の立場で、相続に関する不安を抱えている方は決して少なくありません。できるだけ早く専門家に相談し、アドバイスをもらうのがおすすめです。また「配偶者にすべての財産を残したい」といった希望がある場合、相続が発生する前の段階から準備を進める必要があるでしょう。ぜひ終活の一つとして、将来発生するであろう「相続」にも、目を向けてみてくださいね。

  • 相続した一戸建てに住む場合の注意点とは?基礎知識やトラブル回避方法も

    両親が亡くなった際に、実家の相続で悩む方は少なくありません。現金や預貯金の相続とは、全く異なる性質を持っている一戸建ての相続。「実家に住むのか、それとも住まずに手放すのか」と、判断を迫られる方も多いのではないでしょうか。 今回紹介するのは、迷った末に「住む」と決断した場合の注意点です。必要書類や具体的な手続き方法といった基礎知識から、一戸建て相続にまつわるトラブル回避法まで詳しく解説していきます。 相続した一戸建てに住むメリットとは? 実家の両親が亡くなった際に、両親が暮らしていた実家の一戸建てを相続するケースは多くあります。「相続した一戸建てに住む」という決断をした場合のメリットは、以下のとおりです。 ・家賃がいらない・住みながら自宅のメンテナンスができる・両親の思い出を手元に残せる 現在の住まいが賃貸住宅なら、毎月家賃が発生します。相続した一戸建てに引っ越せば、家賃を支払う必要はありません。毎月の生活費にも余裕が生まれるでしょう。 また住まずに空き家にした場合と比較して、「家が傷みにくい」というメリットがあります。建物の修繕や庭の管理といった一戸建てに特有のメンテナンスも、暮らしの中で、自力で対処していけるでしょう。「ちょっと見ない間に庭の草木が伸びすぎて、近隣住民から苦情を言われる」なんてリスクも少なくなります。 最後に、相続した家を手元に残し、実際にそこで暮らすようになれば、両親が大切にしてきた家や思い出をそのまま保存できるでしょう。自身が幼い頃の思い出を、よりいっそう身近に感じられるのではないでしょうか。 相続した一戸建てに住む場合の手続きは? ■相続した一戸建てに住む場合の手続きは? ではここからは、一戸建ての相続と、実際にそこに住むまでに流れについて解説します。以下の手順で手続きを進めていきましょう。 ★1.遺言書を確認する 相続手続きを進めていく際に、最初に行うべきなのが遺言書の確認です。遺言書が残されていれば、そこには故人の遺志が記されています。もしそこに実家に関する記述があれば、それは何よりも優先される事項です。遺書は自宅や貸金庫から見つかるケースも多いですが、勝手に開封して確認しないよう注意してください。 遺言書の形式によっても詳細なルールは異なりますが、見つけた遺言書を勝手に開けると罰金を命じられる可能性も。裁判所にて、検認の手続きを取ったのちに、内容を確認するようにしましょう。 ★2.遺産分割協議を行う 遺言書の内容を確認したら、遺産を相続する人たちの間で遺産分割協議を行います。遺言書が残されていない場合は、相続財産を確認した後に、分割協議に移りましょう。 遺産分割協議とは、誰が何を、どの程度相続するのか決定するための話し合いのこと。参加者全員が納得しなければ、協議は終わりません。反対に、たとえ遺言書の内容と異なっていたとしても、相続人全員が納得し、意見が一致しているのであれば、遺言書よりも遺産分割協議の内容を相続に反映させられます。 ★3.所有者移転登記を行う 遺産分割協議を経て、正式に実家を相続すると決まったら、不動産の所有権移転登記を行いましょう。所有者移転登記とは、「実家の所有者が変わりましたよ」と役所に届け出るための手続きです。法務局にて受け付けています。 所有者移転登記をしなかった場合でも、実家で暮らすことは可能です。ただし登記を行っていなければ、「この建物が法的に見ても自分のものである」と主張できません。後々のトラブルを避けるためにも、ぜひ早めに手続きしておいてください。 ★4.引っ越しする 両親が所有していた一戸建てが、名実共に自分のものになったら、引っ越しをしましょう。相続人が自分一人だけの場合は特に心配はありませんが、複数人いる場合は引っ越しのタイミングにも注意してください。早く引っ越した方が家賃の負担は軽減できますが、その他の相続人の感情を逆なでしてしまう可能性があります。 ★必要な書類は? 一戸建ての相続に必要な書類は、以下のとおりです。 ・亡くなった親の戸籍謄本・相続人の戸籍謄本・それぞれの住民票・相続する物件の固定資産税評価証明書 また登記を行う際には一定の費用も発生します。登録免許税や書類の発行代のほか、手続きを専門家に依頼すれば報酬が発生するでしょう。専門家報酬も含める場合、10~15万円程度用意しておくと安心です。 相続した一戸建てに住む場合のトラブルと対処法は? 相続した一戸建てに住む場合、遺産相続とその手続きをめぐり、さまざまなトラブルに巻き込まれてしまう恐れがあります。トラブル事例について学ぶと共に、具体的な対処法や予防策を頭に入れておきましょう。 ★その他の相続人の合意を得られない可能性がある 遺産相続で自分以外にも相続人がいる場合、実家を含めた「不動産」が、トラブルの火種になるケースは決して少なくありません。なぜなら、不動産は現金のように、等分には分けられないから。相続人の一人が「実家に住む」と決めた場合、その他の相続人との間のバランスをどう取るのかが問題になります。 実家に住む人がいなければ、売却した上で、その利益を等分に分けるという選択肢もあるでしょう。しかしそのまま住む人がいる場合、それも不可能になってしまいます。 トラブルを避けるためには、遺産分割協議を丁寧に進めていくことが大切です。実家を残したいという気持ちを、真摯に伝えましょう。また、1人が不動産を相続する代わりに、その他の相続人に現金を支払う代償分割についても検討してみてください。 ★家族の合意を得られない可能性がある 「親が残した一戸建てに住む」という決断は、今後のライフスタイルにも深く関わってきます。実家が遠ければ、引っ越しに伴う負担も大きくなるでしょう。子どもがいれば、転校しなければいけません。 また比較的近隣エリアに実家がある場合でも、デメリットは決して少なくありません。古くなった一戸建てには、メンテナンス費用や修繕費用もかさむもの。「やっぱり新築一戸建ての方が…」と思うケースもあるでしょう。 相続した一戸建てに住む場合、現在の家族が抱える負担についてもしっかりと検討し、話し合うことが大切です。合意を得られなければ、「どうすれば不安を解消できるのか」を一緒に考えていきましょう。「親の家を残したい」という強い気持ちがある場合でも、配偶者や子どもがいる場合は、家族の意向も尊重してください。 相続した一戸建てに住む|後悔のない選択を 相続した一戸建てに住む|後悔のない選択を 相続した一戸建てに住めば、家賃の負担はなくなりますし、両親の思い出も手元に残せます。とはいえ、実際の相続ではトラブルが発生してしまう可能性も。どういったトラブルのリスクがあるのかを把握し、丁寧に話を進めていくことが大切です。今回紹介した内容ももとに、ぜひ後悔のない選択をしてくださいね。

  • 終活の情報収集にはセミナーがおすすめ!具体的な内容や参加方法は?

    終活をスタートするため、「まずは情報収集したい」と思う方も多いのではないでしょうか。終活に関する各種情報を手に入れるためには、終活セミナーを活用するのがおすすめです。終活セミナーとは具体的にどのようなもので、何を学べるのでしょうか?セミナーの流れや探し方、参加方法など、気になる点をまとめます。 終活セミナーとは? 終活セミナーは、終活に関する情報提供を目的に行われるイベントを指します。 ・お墓はどのようにするのか?・終活を見据えた保険やお金はどう捉え、どのように準備すれば良いのか?・葬儀にはどのような種類があり、どの程度の費用がかかるのか?・相続で揉めないためにはどういった準備をするのが効果的か?・遺言を残すためにはどうすれば良いか?・エンディングノートの活用方法は?・生前整理は何をどう進めるべきか? このような情報を、終活のプロから直接教えてもらえるでしょう。終活をスタートする際には、「まず何からやればいいのかまったくわからない…」という方も少なくありません。このような場合にも、指針を示してくれるのが各種セミナーだと言えます。 終活セミナーの多くは、終活に関わる各種企業や団体が実施しています。無料で参加できるセミナーも多いのは、情報提供そのものが、各企業の宣伝を兼ねているからです。ぜひ積極的に活用してみてください。 終活セミナーの具体的な流れとは? 終活セミナーの多くは、以下のような流れで進められます。 1.受付2.座学での情報提供3.体験メニュー4.個別相談会 会場に到着したら、まずは受付を済ませましょう。そこで当日のプログラムを教えてもらえます。一般的には、まず参加者全員が集められ、セミナーを受けます。当日のテーマによって、話の内容や時間は変わってくるでしょう。終活の中には体験型のメニューを売りにしているところも多く、座学のあとはそうしたイベントを体験できます。最後に個別での相談の機会が設けられ、セミナーは終了です。 終活セミナーはどう選ぶ?選び方のポイント3つ 終活セミナーはどう選ぶ?選び方のポイント3つ 終活に興味を抱き、初心者向けのセミナーを探してみると、非常に多くのイベントがヒットするかと思います。終活ブームの今、終活セミナーの数も増えていますから、ぜひ好みのものを選んでみてください。 「どれを選べば良いのかわからない…」という場合には、以下の3つのポイントを意識しましょう。自身のニーズに合ったセミナーを見つけやすくなるはずです。 ★ポイント1「セミナーの内容をチェックしてみよう」 終活セミナーには、大きくわけて2つのタイプが存在しています。 ・総合型セミナー・テーマ特化型セミナー 総合型セミナーは、「終活とは何か?」というテーマから、ざっくりと大きく教えてくれるイメージです。さまざまなテーマについて表面的な知識を教えてくれるものの、より深い知識を求める方には、物足りない内容と言えるかもしれません。 一方でテーマ特化型セミナーは、終活の中でも、特定の分野にのみ深く切り込むタイプのセミナーです。葬儀・遺言・相続・お墓・生前整理など、自分が知りたい内容のセミナーを選んで参加すれば、表面的な基礎知識だけではなく、自分がこれから何をどうするべきか、より突っ込んだ情報を得られるでしょう。 どちらのタイプにもメリットがあればデメリットもあります。自分に合わないタイプを選択してしまうと、「せっかくセミナーに参加したものの、得られるものが少なかった…」といった事態にも陥りかねません。まずは自身が終活に参加する目的をはっきりさせ、セミナーの内容についても詳しくチェックしてみましょう。 総合型なのか特化型なのか、また特化型の中でも特に何を知りたいと思っているのか、ニーズをはっきりさせると、自分に合ったセミナーも見つけやすくなります。 ★ポイント2「セミナーの開催もとや費用を確認しよう」 終活セミナーは、さまざまな企業・団体が主催しています。セミナー選びで悩んだときには、開催もとに注目してみるのも良いでしょう。保険に関する話を聞きたい場合には、保険会社が主催するセミナーを選ぶのがおすすめ。葬儀について聞きたいときには、葬儀会社主催のセミナーを選択すると、より終活に活かせる話を聞けるはずです。 ただし企業にとっての終活セミナーとは、自社サービスを宣伝する絶好の機会でもあります。セミナーで自社のサービスを積極的にアピールしたり、中には強引に契約や購入を迫ったりするケースもあるかもしれません。なんとなく流されて契約してしまわないよう、気持ちをしっかりと持って参加するのがおすすめです。 「強引におすすめされると断れないかも…」と不安を感じる場合には、自治体が主催するタイプの終活セミナーを探してみてください。企業主導型よりも数は少なくなりますが、一部の企業から猛烈な営業を受けるようなリスクはありません。 またセミナーの参加費用から、参加先を選択するのもおすすめです。無料のセミナーも多く開催されていますが、一部有料セミナーもあります。とはいえ、「お金がかかるから悪い」ということではありません。お金をとる分、質の高い話を聞けたり、珍しいイベントに参加できたりする可能性も。内容と費用のバランスも、チェック項目の一つになります。 ★ポイント3「自分の疑問を解消できるかどうか見極めよう」 終活セミナーに参加する場合、自分自身の生活の中で、何か具体的な悩みや不安を抱えている方もいるのではないでしょうか。このような場合にチェックしたいのが、「個別で相談する機会が設けられているか?」という点です。 終活に関わる情報には、それぞれの個々の事情も深く関わってくるもの。個別相談の機会があれば、自身の状況を伝えた上で、適切なアドバイスを受けられるでしょう。ぜひこちらもチェックしてみてください。 終活セミナーへの参加方法は? 終活セミナーに参加したい!と思ったら、まずは以下のような手段でセミナー情報を集めましょう。 ・インターネット・新聞の折り込み広告・終活関連企業のコマーシャル 気になるイベントを見つけたら、インターネットや電話で申し込みをします。人気イベントの場合、告知してからあっという間に席が埋まってしまう可能性も。できるだけ早く行動に移すことをおすすめします。 終活セミナーを活用して終活情報を収集しよう 終活セミナーを活用して終活情報を収集しよう 手軽に参加できる終活セミナーは、終活に関する情報収集の場として最適です。「まだ終活をスタートしていない」「あまり真剣に考えてこなかった…」という方でも気軽に参加できますから、ぜひ活用してみてください。 それぞれのセミナーの特徴を理解した上で参加すれば、より意義のある時間にできるでしょう。今回紹介した情報をもとに、まずは気になる終活セミナーを探してみてはいかがでしょうか?就活の第一歩を踏み出せるはずです。

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