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2023年1月の記事一覧

  • 親の死後に発見されたビデオメッセージ…扱い方と注意点は?

    親の死後に発見されたビデオメッセージ…扱い方と注意点は?

    自身の最期の想いをしっかりと伝えるため、終活に取り組む方も増えてきています。遺書やビデオメッセージを残して亡くなる方も多いのではないでしょうか。今回は、親がビデオメッセージを残して亡くなった場合の、扱い方や注意点について解説します。「どうすれば良いのだろう」と悩んだときには、ぜひ参考にしてみてください。 まずはビデオメッセージを確認してみよう 親の死後、ビデオメッセージが残されていることがわかったら、まずはその内容を確認してみましょう。「自分の死後に、その想いを確認してもらうために」という理由で、ビデオメッセージを残す方は増えてきています。自筆証書遺言のように「内容を確認する前に検認手続きが必要になる」ということはありませんから、自分たちの好きなタイミングで確認して大丈夫です。 とはいえ、故人が残したビデオメッセージを、長期間放置するのはおすすめできません。終活の一環としてビデオメッセージを残している場合、葬儀への希望や連絡を取って欲しい人、自身が残す財産についてなど、重要な情報が含まれているケースも多いからです。できるだけ早く確認し、ビデオメッセージを残した人の希望を叶えられるよう準備しましょう。 ビデオメッセージに「遺言書」としての法的拘束力はない ビデオメッセージの内容を確認したところ、財産相続に関わる遺言書のような内容が見つかるケースもあるでしょう。この場合に重要なのは、「ビデオメッセージに遺言書としての効力はない」という事実です。 紙に書いただけの遺言書と、本人は直接語りかけているビデオメッセージを比較すると、「ビデオメッセージの方が自身の想いを伝えやすいのでは?」と思う方もいるかもしれません。しかし遺言書とは、非常に強い法的拘束力を持つもの。間違いなく運用されるよう、厳しいルールが定められているのです。残念ながらビデオメッセージは、遺言書のルールをクリアしていません。 もしビデオメッセージに財産相続にまつわる内容が収録されていたら、遺言書が残されていないかどうか探してみましょう。ビデオメッセージには遺言書のような効力がない事実を知った上で、「遺言書の内容を補完する目的」でビデオメッセージを残す方もいます。この場合、法的に有効な遺言書が見つかれば、その内容のとおりに遺産を分割できるでしょう。自宅はもちろん、公証役場にも確認してみてください。エンディングノートが残されていれば、遺言書についても記載されている可能性があります。 遺言書が残されていない場合、遺産分割協議を行いましょう。法定相続人全員で、遺産をどう分割するか協議するための機会です。ビデオメッセージに法的拘束力はないとはいえ、相続人全員が納得しているのであれば、被相続人の遺志を相続に反映できます。一方で、1人でも納得できない人がいれば、ビデオメッセージどおりの遺産分割は不可能です。話がまとまらなければ、法定相続割合に従って遺産を分けることになるでしょう。 親からのビデオメッセージ、活用方法は? 親からのビデオメッセージ、活用方法は? 遺言書のような法的拘束力がないとはいえ、親からのビデオメッセージは生前の想いを届けてくれる特別なツールです。ぜひ以下のような場面で活用してみてください。 ★お葬式にて 亡くなった親が残してくれたビデオメッセージは、生前の姿を楽しませてくれるもの。身近な人が故人に関するエピソードを披露するのも良いですが、その人が実際に動き、話している姿を収録したビデオは、特別な意味を持つでしょう。 お葬式で流されるビデオメッセージは、近年「エンディングムービー」として人気を集めています。故人の人となりを知ってもらうため、またありし日の姿を思い描いてもらうために、ひと役買ってくれるはずです。葬儀の際の演出として、ぜひ活用してみてください。映像をきっかけに、思い出話も広がるでしょう。 ★遺産分割協議にて ビデオメッセージに法的拘束力はありませんが、遺産分割協議の際に、参加者全員で確認するのもおすすめです。たとえ法的な意味はなくても、故人がどのように考えていたのか、知るためのヒントとして活用できるでしょう。 たとえば「相続人のうち、1人だけに全財産を譲る」という内容の遺言を聞いたとき、財産を相続できない相続人がすぐに納得するのは難しいでしょう。しかし故人には、故人がそう決めただけの理由があったはず。ビデオメッセージを通じてその理由に触れられれば、遺言の内容を納得して受け入れやすくなるのではないでしょうか。 遺産分割協議は、親族間のトラブルに発展してしまうケースも少なくありません。ビデオメッセージで親の言葉を直接耳にすることで、トラブル予防効果も期待できます。 ★故人を思い出すきっかけとして ビデオメッセージの良いところは、何度でも繰り返し楽しめる点です。親が亡くなってすぐの時期は、葬儀や埋葬でバタバタしがち。「悲しみに浸る間もない」というのが正直なところです。 さまざまな手続きが終わり、ほっと一息つく頃になると、急に寂しさが襲ってくることも。こんなときには、ぜひビデオメッセージを見返してみてください。ビデオの中では、生前と変わりない元気な姿や表情を見せ、懐かしい声を聞かせてくれるはずです。あれこれと思い出すきっかけになるでしょう。 ビデオメッセージは、兄弟姉妹が集まったときに流すのもおすすめです。家族写真で過去を振り返るのも良いですが、動いている姿はよりいっそう記憶を刺激してくれるでしょう。大切な家族と、懐かしい思い出話に花を咲かせてみてください。 親からのビデオメッセージの注意点は? 親からのビデオメッセージを見つけた際の注意点は、「親の本音」を冷静に受け止めるということです。特に相続に関する内容が含まれている場合、「自分にとっては到底納得できない」と思う可能性もあるでしょう。ビデオメッセージをきっかけに、モヤモヤした感情を抱くこともあるかもしれません。 とはいえ、親の本音に対して感情的にぶつかっても、話は前に進みません。親の考えは親の考えとして受け止めた上で、自分自身がどう考え行動するのかを決定してみてください。ビデオメッセージの特徴を頭に入れた上で、納得できる道を探るのがおすすめです。 ビデオメッセージを見つけたら冷静な対応を ビデオメッセージを見つけたら冷静な対応を 亡くなった親が残したビデオメッセージを見つけたら、ぜひ冷静に対処してみてください。相続に関する内容については、正式な遺言書が残されているかどうかで、対応が変わってきます。ビデオメッセージに込められた親の想いを理解しつつ、これから先についてもしっかりと検討しましょう。故人を思い出すためのツールとしても、ぜひ役立ててみてください。

  • 万が一のときのために…子供に想いを届ける方法を紹介

    万が一のときのために…子供に想いを届ける方法を紹介

    生まれた子供の将来に備え、「できる限りのことをしておきたい」と思う方も多いのではないでしょうか。何事もなく、一緒に日々を過ごしていけるのが理想ですが、万が一のときのことも、考えておくと安心です。自身の想いを届けるための方法を紹介します。ぜひ参考にしてみてください。 生命保険に加入する 自分に万が一のことがあったときに、心配なのが子供の教育費や生活費です。こうした不安を解消するため生命保険に加入すれば、「どんなことがあっても強く生きていってほしい」というメッセージを伝えてくれるでしょう。子供が幼いうちは、その意味に気付かないかもしれませんが、成長したのち、自分が何を残してもらっているのか理解してくれるはずです。 生命保険には、「受取人を指定して加入できる」というメリットがあります。子供自身を受取人にして保険に加入しておけば、自分亡き後も、より確実に子供に財産を残せるでしょう。生命保険は遺産相続における分割対象に含まれませんから、子供が相続する財産が目減りする恐れもありません。 また生命保険金には、相続税についても非課税枠が用意されています。「500万円×法定相続人の数」までは相続税が課せられません。相続税対策としても有効ですから、ぜひ参考にしてみてください。 学資保険に加入する 学資保険も、子供の将来を想って加入する保険です。早めに加入しておけば、自分に万が一のことがあった場合も、それ以降の保険料の支払いは免除されます。生命保険と同様に、子供の将来の金銭面をサポートしてくれるでしょう。 令和の時代になっても、家庭の金銭面を理由に進学をあきらめざるを得ないケースは少なくありません。もちろん「奨学金を利用して自分自身で進学する」という道もありますが、社会人となった子供自身に、返済負担は重くのしかかってしまうでしょう。学資保険であらかじめ備えておけば、負担軽減につながるはずです。また金銭的な問題を理由に、「やりたい勉強をあきらめる」といったリスクも少なくできます。 学資保険に加入する場合、「何を目的に加入するのか?」をはっきりさせた上で、保険商品を検討しましょう。というのも、近年学資保険の種類も多様化しているから。「子供の将来の進学に備えて」という基本理念には変わりがないものの、保険金を受け取る年齢や条件には、さまざまなバリエーションが用意されています。 もっとも人気なのは「子供の大学進学に備えて、18歳で満期保険金を受け取れる」というタイプです。子供が早生まれの場合、実際の支払いまでに間に合わない可能性がありますが、17歳で保険金を受け取れるように、調整しておくのも良いでしょう。 大学進学だけではなく、中学や高校への進学時にもお祝い金が支払われる保険もあります。ただしこの場合、大学進学時に一括で受け取る場合と比較して、保険金の返戻率が低下してしまう可能性も。メリットとデメリットを比較した上で、必要な保険を選択してみてください。 学資保険に加入できる期間は、各保険会社によって定められています。6~7歳前後を限度とするケースが多いため、加入忘れに注意しましょう。子供がまだ幼い時期には、「受取時期をいつにすれば良いのか、具体的にイメージできない…」と思う方も多いかもしれません。受取時期は、後から変更も可能なので心配は要りません。 ただし「保険会社を変更する」「今加入している保険を解約し、別の保険へと乗り換える」といった場合には、これまで支払った保険金で損をしてしまう可能性も。保険会社や保険タイプについては、後悔しないよう事前にしっかりと検討するのがおすすめです。 手紙を残す 手紙を残す 上記2つは、自分に万が一のことがあったときのため、経済的な備えをするための手段です。とはいえ、子供が健やかに成長するためには、「お金さえあれば良い」というわけではないでしょう。精神的なフォローについても、準備を整えておくのがおすすめです。 もっとも手軽にできるのは、将来の子供に向けて、手紙を残すという方法です。自身の想いを文字にしたため、子供のために残しておきましょう。手紙であれば、伝えたい内容ができた時点で、どんどん増やしていくことが可能。何事もなく子供が大きくなれば、親元を離れての進学、就職・結婚といった人生の節目に、渡してあげると喜ばれます。 「手紙を自分の手元に残しておいても、万が一のときに子供の手に渡らなかったら…」と不安を感じる場合は、以下のようなサービスの利用を検討してみてください。 【タイムカプセル郵便/公益財団法人日本郵趣協会】 大切な人への手紙を、最大10年後まで、指定した日に届けてくれるサービスです。手紙の場合の料金は「基本料金500円+(年間保管料150円×年数)」のみ。最大年数である10年後を指定した場合でも、わずか2,000円で利用できます。手紙は定型サイズであれば、写真の同封も可能。現金や貴金属、壊れやすいものには対応していません。 【タイムカプセル郵便みらいぽすと/特定非営利活動法人みらいぽすと】 大切な人への手紙を、原則として最大で10年後まで、指定した日に届けてくれるサービスです。手紙の場合、A4サイズで10枚まで、100グラムまでの依頼が可能。データ保証はないものの、USBメモリも同封できます。タイプカプセルコースを選べば、手紙以外に小物やCD、DVDも同封可能。手紙コースの料金は、5年までなら1,500円、10年までなら2,000円です。 ビデオメッセージを残す 文字ではなく、映像で自分の言葉を残せば、より想いの伝わるメッセージとなるでしょう。言葉の内容だけではなく、話し手の表情や雰囲気など、さまざまな情報を伝えられます。どれだけ子供を愛しているか、よりわかりやすく残しておけるでしょう。 ビデオメッセージには、何度も見返すことができ、そのたびに愛する人の姿を見られるというメリットがあります。自分で手軽に動画を残せる時代ではありますが、一つの作品として完成度にこだわるのであれば、プロに依頼するのもおすすめです。 ビデオメッセージを作成する際には、まずテーマを決めて、伝えたい内容についてあらかじめまとめておくと良いでしょう。より自然な雰囲気で撮影したいなら、シチュエーションにもこだわってみてください。 子供に想いを届ける方法はさまざま 子供に想いを届ける方法はさまざま 万が一のときのため、子供に想いを届ける方法はさまざまです。目的に応じて、より良い方法を選んでみてください。もちろん、気持ちを伝える方法は複数あっても大丈夫です。組み合わせて利用すれば、より強いメッセージを発信できるのではないでしょうか。今回紹介した情報も、ぜひ参考にしてみてください。

  • 万が一のときのために…子供に想いを届ける方法を紹介

    万が一のときのために…子供に想いを届ける方法を紹介

    生まれた子供の将来に備え、「できる限りのことをしておきたい」と思う方も多いのではないでしょうか。何事もなく、一緒に日々を過ごしていけるのが理想ですが、万が一のときのことも、考えておくと安心です。自身の想いを届けるための方法を紹介します。ぜひ参考にしてみてください。 生命保険に加入する 生命保険に加入する 自分に万が一のことがあったときに、心配なのが子供の教育費や生活費です。こうした不安を解消するため生命保険に加入すれば、「どんなことがあっても強く生きていってほしい」というメッセージを伝えてくれるでしょう。子供が幼いうちは、その意味に気付かないかもしれませんが、成長したのち、自分が何を残してもらっているのか理解してくれるはずです。 生命保険には、「受取人を指定して加入できる」というメリットがあります。子供自身を受取人にして保険に加入しておけば、自分亡き後も、より確実に子供に財産を残せるでしょう。生命保険は遺産相続における分割対象に含まれませんから、子供が相続する財産が目減りする恐れもありません。 また生命保険金には、相続税についても非課税枠が用意されています。「500万円×法定相続人の数」までは相続税が課せられません。相続税対策としても有効ですから、ぜひ参考にしてみてください。 学資保険に加入する 学資保険も、子供の将来を想って加入する保険です。早めに加入しておけば、自分に万が一のことがあった場合も、それ以降の保険料の支払いは免除されます。生命保険と同様に、子供の将来の金銭面をサポートしてくれるでしょう。 令和の時代になっても、家庭の金銭面を理由に進学をあきらめざるを得ないケースは少なくありません。もちろん「奨学金を利用して自分自身で進学する」という道もありますが、社会人となった子供自身に、返済負担は重くのしかかってしまうでしょう。学資保険であらかじめ備えておけば、負担軽減につながるはずです。また金銭的な問題を理由に、「やりたい勉強をあきらめる」といったリスクも少なくできます。 学資保険に加入する場合、「何を目的に加入するのか?」をはっきりさせた上で、保険商品を検討しましょう。というのも、近年学資保険の種類も多様化しているから。「子供の将来の進学に備えて」という基本理念には変わりがないものの、保険金を受け取る年齢や条件には、さまざまなバリエーションが用意されています。 もっとも人気なのは「子供の大学進学に備えて、18歳で満期保険金を受け取れる」というタイプです。子供が早生まれの場合、実際の支払いまでに間に合わない可能性がありますが、17歳で保険金を受け取れるように、調整しておくのも良いでしょう。 大学進学だけではなく、中学や高校への進学時にもお祝い金が支払われる保険もあります。ただしこの場合、大学進学時に一括で受け取る場合と比較して、保険金の返戻率が低下してしまう可能性も。メリットとデメリットを比較した上で、必要な保険を選択してみてください。 学資保険に加入できる期間は、各保険会社によって定められています。6~7歳前後を限度とするケースが多いため、加入忘れに注意しましょう。子供がまだ幼い時期には、「受取時期をいつにすれば良いのか、具体的にイメージできない…」と思う方も多いかもしれません。受取時期は、後から変更も可能なので心配は要りません。 ただし「保険会社を変更する」「今加入している保険を解約し、別の保険へと乗り換える」といった場合には、これまで支払った保険金で損をしてしまう可能性も。保険会社や保険タイプについては、後悔しないよう事前にしっかりと検討するのがおすすめです。 手紙を残す 上記2つは、自分に万が一のことがあったときのため、経済的な備えをするための手段です。とはいえ、子供が健やかに成長するためには、「お金さえあれば良い」というわけではないでしょう。精神的なフォローについても、準備を整えておくのがおすすめです。 もっとも手軽にできるのは、将来の子供に向けて、手紙を残すという方法です。自身の想いを文字にしたため、子供のために残しておきましょう。手紙であれば、伝えたい内容ができた時点で、どんどん増やしていくことが可能。何事もなく子供が大きくなれば、親元を離れての進学、就職・結婚といった人生の節目に、渡してあげると喜ばれます。 「手紙を自分の手元に残しておいても、万が一のときに子供の手に渡らなかったら…」と不安を感じる場合は、以下のようなサービスの利用を検討してみてください。 【タイムカプセル郵便/公益財団法人日本郵趣協会】 大切な人への手紙を、最大10年後まで、指定した日に届けてくれるサービスです。手紙の場合の料金は「基本料金500円+(年間保管料150円×年数)」のみ。最大年数である10年後を指定した場合でも、わずか2,000円で利用できます。手紙は定型サイズであれば、写真の同封も可能。現金や貴金属、壊れやすいものには対応していません。 【タイムカプセル郵便みらいぽすと/特定非営利活動法人みらいぽすと】 大切な人への手紙を、原則として最大で10年後まで、指定した日に届けてくれるサービスです。手紙の場合、A4サイズで10枚まで、100グラムまでの依頼が可能。データ保証はないものの、USBメモリも同封できます。タイプカプセルコースを選べば、手紙以外に小物やCD、DVDも同封可能。手紙コースの料金は、5年までなら1,500円、10年までなら2,000円です。 ビデオメッセージを残す 文字ではなく、映像で自分の言葉を残せば、より想いの伝わるメッセージとなるでしょう。言葉の内容だけではなく、話し手の表情や雰囲気など、さまざまな情報を伝えられます。どれだけ子供を愛しているか、よりわかりやすく残しておけるでしょう。 ビデオメッセージには、何度も見返すことができ、そのたびに愛する人の姿を見られるというメリットがあります。自分で手軽に動画を残せる時代ではありますが、一つの作品として完成度にこだわるのであれば、プロに依頼するのもおすすめです。 ビデオメッセージを作成する際には、まずテーマを決めて、伝えたい内容についてあらかじめまとめておくと良いでしょう。より自然な雰囲気で撮影したいなら、シチュエーションにもこだわってみてください。 子供に想いを届ける方法はさまざま 子供に想いを届ける方法はさまざま 万が一のときのため、子供に想いを届ける方法はさまざまです。目的に応じて、より良い方法を選んでみてください。もちろん、気持ちを伝える方法は複数あっても大丈夫です。組み合わせて利用すれば、より強いメッセージを発信できるのではないでしょうか。今回紹介した情報も、ぜひ参考にしてみてください。

  • 不動産の遺産分割はどうすれば良い?4つの方法と注意点

    不動産の遺産分割はどうすれば良い?4つの方法と注意点

    遺産分割の中でも、どうすれば良いのか悩みがちなのが「不動産」です。親族間トラブルを避けるためには、どう分ければ良いのでしょうか。4つの方法とそれぞれの注意点を紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。相続人同士、納得して手続きできる方法を見つけましょう。 1.不動産をそのままの形で「現物分割」 1.不動産をそのままの形で「現物分割」 現物分割とは、不動産をそのままの形で相続する方法を指します。どう分けるのかによって、さまざまなパターンが考えられるでしょう。 ・相続人のうち1人だけが、家や土地をそのまま受け継ぐ・相続人の人数で土地を分筆し、それぞれの名義とする このほかにも、複数の相続人の中から2~3人のみが、分筆した土地を受け継ぐというケースも考えられます。相続対象となる不動産が複数ある場合には、誰がどの不動産を受け継ぐのか検討することになるでしょう。 ちなみに土地の分筆とは、もともとは1つの土地を法的に分ける作業を指します。分筆すればそれぞれで登記が可能ですから、理論上は「不動産を現金のようにしてきっちり分ける」ことも可能となるでしょう。ただし、分筆には各地で特別なルールが課せられている可能性も。中には「分筆不可」というケースもありますから、相続手続きの前にはしっかりとリサーチしておきましょう。 「相続人のうち、1人だけがそのままの形で家や土地を受け継ぐ」場合、相続手続きはいたってシンプルです。ただし相続財産の中でも、不動産は高額になりがち。現金や預金といったその他の遺産が豊富にあればバランスを取りやすいですが、そうではない場合、不公平感が生じてしまう恐れもあります。不動産を相続する人に対して「ずるい」という感情が生まれれば、遺産分割協議がなかなかまとまらない可能性もあるでしょう。 2.そのほかの相続人に代償を支払う「代償分割」 先ほどお伝えした「相続人のうち、1人だけがそのままの形で家や土地を受け継ぐ」という場合の、不公平感を軽減できるのが「代償分割」です。家や土地を受け継ぐ相続人は1人ですが、その1人がその他の相続人に対して代償金を支払い、相続の公平性を保ちます。 たとえば親名義の不動産で長男夫婦が同居していた場合、親の亡き後、長男夫婦が自宅に住み続けるためには、家や土地を相続する必要があるでしょう。仮に長男以外に次男・三男がいたとしたら、それぞれに相応のお金を支払います。不動産の価値が3,000万円なら、次男と三男それぞれの取り分は1,000万円ずつ。これを長男が、自分の財布から出すことになります。 代償分割のデメリットは、不動産を受け継ぐ人の金銭的負担が大きくなってしまう点です。経済的に余裕があれば良いですが、そうではない場合、「そもそも代償分割を選択できない」という可能性もあります。 一方で、マイホームでそのまま暮らしつつ、その他の相続人との間で公平に財産を分け合える点はメリットと言えるでしょう。相続対象の土地が分筆不可能であっても、代償分割なら相続人同士の争いごとが起きる可能性は低くなります。 3.不動産を売却してお金に換える「換価分割」 換価分割は、不動産を売却してお金に換えた上で、そのお金を相続人同士で分け合うスタイルを指します。マイホームは手元に残らないものの、相続人同士で平等に分配できるというメリットが期待できるでしょう。 不動産を換価分割する場合、相続手続きがスタートした後に、できるだけ早く手続きを進めていくことが大切です。対象の不動産がすぐに売れるとは限りませんし、時間に余裕がなくなれば、安い金額で手放さなくてはならなくなる可能性も高いでしょう。換価分割の場合、「不動産をできるだけ高く売ること」が重要なポイントに。そのための工夫は、ぜひ取り入れてみてください。 不動産を売却するためにはさまざまな手数料が発生します。相続時には、売却益から手数料を差し引いた上で、各相続人が自身の取り分を受け取ります。仮に不動産が3,000万円で売れたとしても、そのすべてが相続の対象になるわけではありません。手数料が300万円なら、残りの2,700万円を法定相続割合に応じて分配しましょう。 この方法であれば、代償分割とは違い、金銭的な余裕はなくても不動産を公平に分配できます。全員が「現金で受け取る」ため、差が生じにくく揉めごとに発展しにくいと言えるでしょう。ただし不動産を手元に残せないため、「被相続人が暮らしていた思い出の家や土地」を手放すことになります。同居していた親族がいれば、引越しを余儀なくされてしまうでしょう。 換価分割する場合には、遺産分割協議書にその旨と分配割合を記載するようにしてください。記載がないと、税金が二重に課せられてしまう恐れがあります。また誰がどういった形で登記し、売却手続きを進めていくのかについても考えなくてはいけません。そのあたりさえクリアできれば、全員が納得して進めやすい分割方法と言えるでしょう。 4.複数名義で引き継ぐ「共有分割」 不動産そのものを残したい一方で、不平等な分配は望まず、また代償分割も難しい場合に、選択肢として考えられるのが「共有」です。こちらの分割方法では、不動産を分割したり売却したりすることはありません。あくまでもそのままの形で引き継ぎ、相続人同士が複数人で不動産を所有します。 この場合、それぞれの持ち分は法定相続割合によって決められます。不動産の形はそのままに、「とりあえず今のままの形を維持できる」という点で、優れた分割方法と言えるでしょう。 ただし、一つの不動産を複数人で所有すれば、後々のトラブルにつながりやすくなります。たとえば物件のリフォームや売却を希望する場合でも、全員の許可が必要になるでしょう。また今回は相続人であった人が、いずれ被相続人になることも考えなくてはいけません。当然、共有分割した不動産の持ち分も相続財産に数えられますから、物件を取り巻く状況はさらに複雑になってしまいます。 一時的にはメリットがあっても、将来的に見ればトラブルの種。できる限り、その他3つの方法での分割を検討してみてください。 不動産の遺産分割で悩んだら専門家に相談を 不動産の遺産分割で悩んだら専門家に相談を 不動産相続で、どう分ければ良いのか悩む方は多いものです。一概にどれが正解とは言えませんから、自分たちにとってより良い方法を検討してみてください。 どれを選ぶべきか悩んだときには、専門家に相談したり、実際に不動産査定を受けてみたりするのもおすすめです。不動産相続の注意点や、相続対象となる物件の価値がわかれば、これから先どうしたいのか、相続人としての選択肢も見えてくるのではないでしょうか。

  • 「養子縁組」は遺産の相続税対策になる?仕組みや方法・注意点を解説

    「養子縁組」は遺産の相続税対策になる?仕組みや方法・注意点を解説

    平成27年1月実施の法改正により、相続税の基礎控除額が大幅に減額されました。これにより、相続税を支払わなくてはならない人の数も増加。だからこそ、相続税対策の重要性も増してきています。相続税対策の具体的な方法をリサーチしている方にとって、選択肢の一つになり得るのが「養子縁組」です。養子縁組が相続税対策になる理由や、実践する際の注意点を解説します。 養子縁組が相続税対策になる理由は? 養子縁組が相続税対策になる理由は? 養子縁組や相続税対策になる理由は、相続税の基礎控除額が決定される仕組みにあります。相続税は、受け継ぐ遺産の金額が基礎控除内におさまっていれば課税されません。基礎控除額を求める式は以下のとおりです。 【3,000万円+(600万円×法定相続人の数)】 このように、相続税の基礎控除額は法定相続人の数によって左右されます。仮に法定相続人が配偶者と子どもの合計2人であった場合、基礎控除額は4,200万円です。一方で法定相続人が10人いれば、9,000万円まで相続税が課税されない計算になります。 養子縁組は、法定相続人を増やす行為です。養子にも実子と同じように相続権が認められています。仮に養子縁組で法定相続人が2人増えれば、それだけで「相続税の基礎控除額も1,200万円アップする」というわけです。 また生命保険金や死亡退職金にも、相続人の数で金額が変わる非課税枠が用意されています。 生命保険金の非課税枠 → 【500万円×法定相続人の数】死亡退職金の非課税枠 → 【500万円×法定相続人の数】 すべてを活用した場合、養子による節税効果は非常に高いと言えるでしょう。 また仮に、養子縁組をしても相続税が発生してしまうとしても、相続人が増えれば1人当たりの相続財産の金額は減ります。すると相続税が課税される税率が低く抑えられるため、節税につながるというわけです。 相続税対策で養子縁組をする場合の注意点4つ 養子縁組で相続税対策をする仕組みは、いたってシンプルです。とはいえ、実際にこの方法で相続税対策を行った結果、トラブルに巻き込まれたり落とし穴にはまってしまったりするケースも少なくありません。4つの注意点を紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。 ★1.養子縁組で相続税対策できる人数には制限がある 上で説明したとおり、養子縁組による節税効果は十分にあります。とはいえ、「だったらどんどん養子を増やせばいい!」というわけにはいきません。法定相続人に含められる養子の数には制限があるからです。被相続人に実子がいる場合、法定相続人に含められる養子の数は「1人」です。実子がいない場合は「2人」まで認められています。 ただし養子を「特別養子縁組」で迎え入れていた場合、こちらのルールは適用されません。 特別養子縁組の場合、 ・子どもが15歳までであること・子どもの福祉のために必要であると認められること・裁判所の許可が得られること など、厳格な条件を満たす必要があります。 特別養子縁組で迎え入れた子どもは、実親との法律上の親子関係を解消し、新たに養親との間に親子関係を結ぶことに。血縁上は養親であっても、法律上は親子関係が認められているため、たとえ養子が3人以上いたとしても全員が法定相続人になれるというわけです。 ★2.養子は実子と同じように遺留分を請求できる 相続税対策を目的に養子縁組を行う場合、注意しなければならないのが、養子の相続分についてです。税金対策だけを目的にするなら、「養子を迎え入れて基礎控除額や非課税枠をアップさせたうえで、すべての財産を実子に残せるよう遺言を残せばよい」と思うかもしれません。 しかし法定相続人となった養子には、その他の相続人と同様に「遺産を相続する権利」が認められています。たとえ「実子にすべての財産を譲る」という遺言を残したとしても、養子には遺留分を請求する権利が認められているのです。遺留分をめぐってトラブルに発展する可能性があります。 ★3.相続税が2割加算される可能性がある 相続税の節税のために養子縁組をした結果、相続税が加算されてしまうケースもあります。それが、「孫を養子にして、祖父母から孫へと直接遺産を受け継ぐ場合」です。祖父母から父母、そして孫へと受け継がれる場合、相続税が2回発生する可能性があります。孫を祖父母の養子にして直接相続させれば、相続税を1回分節約できるでしょう。 とはいえこの方法は不公平なもの。相続税を2割加算することで、公平性を維持しています。知らないまま手続きすると「想像以上に相続税が高かった!」という事態に陥りかねませんから、注意してください。 ★4.その他の相続人の理解を得られない可能性がある 養子縁組で相続人を増やせば、相続税の負担は減らせるかもしれません。しかしそのほかの相続人たちにとっては、自分自身の取り分が減るということ。特に「遺産相続のために形式だけ養子になった」という場合、理解を得られない可能性があります。 このケースで特に多いのは、「同居する子どもの配偶者」を養子にして法定相続人にするケースです。同居する子どもの配偶者に生前非常にお世話になったとしても、法律上は法定相続人に含まれません。「より確実に遺産を受け取ってもらえるように」との思いで養子縁組するケースがあります。 とはいえ、同居していない子どもにとっては、「自身の取り分が減る」ということ。納得できない可能性も十分にあるでしょう。同居中の子ども夫婦と、兄弟姉妹夫婦の間で、相続をきっかけとした親族間トラブルに発展してしまう恐れがあります。 相続税対策の養子縁組でトラブルを起こさないために 相続税対策の養子縁組でトラブルを起こさないために 相続税対策に養子縁組をすれば、一定の効果が期待できるでしょう。とはいえ、しっかり検討しないまま決めてしまうと、思わぬトラブルを招いてしまう可能性も。まずは一度、相続に関する専門知識を有する専門家に相談するのがおすすめです。税理士を探し、アドバイスをもらいましょう。 相続税対策の方法は、養子縁組だけではありません。養子縁組以外の方法を選んだ方が、より効率的に相続税対策ができる可能性もあるでしょう。またそれ以前に、相続税の特例や控除を使えば、「わざわざ特別な対策を採らなくても、相続税の負担なく財産を引き継げる」というケースも存在しています。 その他の方法も検討したうえで「やはり養子縁組を」と思う場合には、その他の相続人に対する、丁寧な説明が必須です。なぜ養子縁組をするのか、なぜ養子にも財産を残したいのかが明らかになれば、遺産分割について納得したうえで受け入れられる相続人も多いはずです。相続税対策で養子縁組を選ぶのであれば、特に慎重に話を進めていってください。

  • 遺産相続を弁護士に依頼!報酬は誰が払う?お金に困った場合の対処法も

    遺産相続を弁護士に依頼!報酬は誰が払う?お金に困った場合の対処法も

    遺産相続をスムーズに進めていくため、弁護士への依頼を検討する方も多いのではないでしょうか。弁護士に依頼すれば、法律に関する専門知識をもとに、さまざまな手続きをしっかりとサポートしてもらえるでしょう。しかしその一方で「弁護士費用が不安…」と感じがちです。遺産相続を弁護士に依頼した場合、報酬は誰が支払うものなのでしょうか?お金がない場合の対処法も解説します。 遺産相続を弁護士に依頼!具体的に対応してもらえる業務とは? 遺産相続を弁護士に依頼!具体的に対応してもらえる業務とは? 「遺産相続を弁護士に依頼」と聞いても、具体的に何をどうお願いできるのかよくわからない…と感じる方は多いものです。まずは遺産相続において、弁護士に何を依頼できるのか確認しておきましょう。 ・遺言書の作成サポート・遺言執行・遺産相続に関するトラブルの解決サポート(代理交渉など)・相続放棄・遺留分侵害額請求 たとえば、自分自身が遺言書を残したいと思う場合、弁護士に依頼することで、遺言書の内容決定から具体的な遺言書作成まで、すべてをサポートしてもらえます。遺言書が法的に無効と判断されるリスクもありませんし、遺言書に記した内容に誤解が生じる恐れもないでしょう。相続財産や相続人に関する調査もお任せできるため、自身の手間は最小限に、より確実な遺言書を残せるはずです。 自身が相続人の立場であれば、親族間トラブルの解決や、各種手続きを依頼できます。遺産相続において、誰が何をどう受け継ぐのかなかなか決まらず、揉めごとに発展してしまうケースも少なくありません。弁護士に依頼すれば、法的知識をもとに、遺産分割をスムーズに行えるようサポートしてくれるでしょう。自分自身の代理人として、親族と交渉してもらうことももちろん可能です。 相続放棄や遺留分侵害額請求についても、弁護士に依頼すれば不安なく進めていけます。「初めてで何もわからない…」という場合でも、弁護士に相続を依頼すれば、確実に手続きを済ませられるでしょう。 弁護士報酬の目安と支払う人は? 相続問題を弁護士に依頼する場合に、気になるのが「弁護士報酬はいくらになるのか?」という点です。具体的な報酬金額は、依頼先事務所や依頼内容によっても違ってきます。まずは、弁護士費用の内訳についてチェックしてみましょう。弁護士に支払うお金は、以下のとおりです。 ・相談料(弁護士への相談時に発生する費用)・着手金(弁護士に正式に依頼した段階で支払う費用)・報奨金(依頼内容が完了し、成功した際に支払う費用)・手数料(事務手続きを行う場合に支払う費用)・日当(弁護士が遠方まで出張した際に支払う費用)・実費(役場に支払う手数料や収入印紙代、切手代など。交通費や宿泊費が含まれるケースも) 相談料・着手金・報奨金、それぞれの費用目安は以下のとおりです。 ・相談料 → 30分5,000円程度・着手金 → 20万円~30万円・報奨金 → 依頼人が受けた経済的利益の4~16% 相談料については、「初回無料相談」をうたう弁護士事務所も少なくありません。また報奨金については、「弁護士に依頼することで発生した経済的利益」から支払えば良いので、あらかじめ用意しておく必要はないでしょう。 また、ひと言で「相続」と言っても、依頼内容はさまざまです。弁護士に何を依頼するのかによっても、発生する費用は大きく違ってくるはずです。たとえば遺言書作成を依頼した場合の費用相場は10~20万円、遺言執行の場合は30~100万円程度です。相続放棄を依頼する場合、1人あたり5万~11万円が相場となるでしょう。 「実際に誰がその費用を支払うのか?」という点についてですが、基本的には依頼人本人が支払います。というのも、弁護士とは依頼人のために働くものだから。たとえば、遺産分割をめぐって親族間でトラブルが発生した場合でも、弁護士がいれば依頼人の利益のために動いてくれます。多少コストはかかっても、それ以上のメリットを期待できるケースも多いはずです。 一方で、遺言執行を弁護士に依頼する場合、誰か特定の相続人の味方となって働くわけではありません。この場合は遺産から弁護士報酬を支払い、残った分を分配対象にするのが一般的です。 弁護士費用が払えない場合の対処法3つ 相続を弁護士に依頼するメリットは多いものの、報酬金額は決して低額ではありません。「自分の力だけではどうにもならず、弁護士のサポートが必要だがお金がない…」といった場合には、どうすれば良いのでしょうか。対処法を3つ紹介します。 ★1.無料相談で相談してみる 弁護士費用の支払いに不安を感じている場合、まずは弁護士事務所の無料相談に出かけてみましょう。初回に限り、無料で相談に応じてくれる事務所は決して少なくありません。そこで、なぜ弁護士が必要なのかを説明するとともに、報酬支払いについて不安を抱えている旨を相談してみましょう。 自身が抱えている問題について、専門知識を有する弁護士に相談すれば、弁護士に依頼しなくても解決できる方法をアドバイスしてもらえるかもしれません。この場合、弁護士費用を支払う必要はなくなります。相談の結果、「やはり弁護士の介入が必要」と判断される場合には、ぜひ後払いや分割払いについても相談してみてください。 今はお金がなくても、弁護士の介入によって経済的利益が発生する可能性が高いのであれば、最終的な支払いに問題は生じないでしょう。柔軟に対応してくれる弁護士事務所を探してみるのがおすすめです。 ★2.法テラスを利用する もう一つおすすめなのが、法テラスの民事法律扶助制度を利用する方法です。収入や資産に関する基準をクリアしていて、また「勝訴の見込みがないとは言えない」という条件を満たす必要はあるものの、無料法律相談や弁護士費用の立て替えといった制度を利用できます。 法テラスの無料法律相談を使えば、1つの問題につき3回まで無料で相談可能です。また弁護士費用についても、「いったん法テラスが支払いを行い、その後法テラスに対して分割で支払いをする」という形式を選択できます。 民事法律扶助を利用できるかどうかの条件は、非常に複雑です。法テラスのサイトに掲載された情報や電話相談も活用し、自身が対象に入るかどうか確認してみてください。 遺産相続を弁護士に依頼してスムーズに進めよう 遺産相続を弁護士に依頼してスムーズに進めよう 遺産相続を弁護士に依頼するメリットは多々あります。スムーズに手続きを進めていけますし、早い段階から専門家に入ってもらうことで、親族間トラブルを予防する効果も期待できるでしょう。報酬面で不安がある場合には、弁護士事務所に相談してみたり、法テラスの民事法律扶助を使ったりするのがおすすめです。金銭面での不安を解消し、より良い相続を目指してみてください。

  • 公正証書遺言を自力で作成したい!流れと注意点を解説

    公正証書遺言を自力で作成したい!流れと注意点を解説

    自筆証書遺言よりも、より確実に最期の意思を届けられる公正証書遺言。弁護士や司法書士に作成をサポートしてもらうケースも多いですが、費用節約のため「自分でやりたい!」という方もいるのではないでしょうか。公正証書遺言を自力で作成するためのポイントを、わかりやすく解説します。 そもそも公正証書遺言とは? そもそも公正証書遺言とは? 公正証書遺言とは、遺言を残したい人が公証人の前で内容を伝え、それをもとに公証人が遺言書を作成するという、遺言書普通遺言方式の一つです。自筆証書遺言とは違って、遺言内容を自分で記す必要はありません。自分の口で伝えるだけで、専門家が正式な書類に仕上げてくれるというメリットがあります。 公正証書遺言の場合、「遺言書の形式が一定のルールを満たしていないため、法的に無効になる」といった事態はまず起こりえないでしょう。終活ブームの今、自筆証書遺言を残す方も増えてきていますが、「より確実な遺言書を」と願う方々には公正証書遺言の方が人気です。 公正証書遺言を残すために欠かせない公証人は、長年、裁判官や検察官として実務を行ってきたような、いわゆる「法律のプロ」が担当しています。また公正証書遺言の場合、自身が亡くなったあと、相続人となった家族が「検認」の手続きをする必要はありません。 「自筆証書遺言よりも面倒…」といった理由で敬遠されてしまうケースもありますが、メリットも多い遺言形式です。ぜひ自分で作成する方法をチェックして、挑戦してみてください。 公正証書遺言作成の流れ ではさっそく、公正証書遺言を作成するための流れについて確認していきましょう。 1.公証役場に連絡し、相談のための予約を取る2.予約の日時に公証役場を訪れ、公証人と遺言内容について確認する3.必要書類をそろえて、公証役場に提出する4.遺言を作成する日程を決める5.遺言作成日に、証人2人とともに公証役場を訪れる6.公証人に遺言内容を伝える7.遺言者と証人が内容を確認し、署名押印する8.公証人が署名押印して、遺言書の完成 公正証書遺言を作成する場合、公証人との間での事前打ち合わせが必要です。スケジュールに余裕を持って、話を進めていきましょう。また公正証書遺言を残す際に必要な書類は以下のとおりです。 ・本人の印鑑証明書・戸籍謄本・本人確認資料(※顔写真入り)・受遺者の住民票(※法定相続人以外に財産を残したい場合)・固定資産税納税通知書または固定資産評価証明書(※遺産に不動産が含まれている場合)・登記簿謄本(※遺産財産に不動産が含まれている場合)・証人に関する資料(氏名・住所・生年月日・職業を記載)・証人の認印 公正証書遺言を残すために必要な書類は、どういった内容の遺言書を残すのかによっても違ってきます。自分の場合はどの書類を用意すれば良いのか、遺言内容の打ち合わせをする際に、公証人に確認しておきましょう。 また公正証書遺言を残すためには、公証役場に手数料を支払わなくてはいけません。金額は遺言を残したい財産の総額によって違ってきます。具体的な金額については、以下を参考にしてみてください。 100万円以下 → 5,000円100万円~200万円以下 → 7,000円200万円~500万円以下 → 11,000円500万円~1,000万円以下 → 17,000円1,000万円~3,000万円以下 → 23,000円3,000万円~5,000万円以下 → 29,000円5,000万円~1億円以下 → 43,000円※財産が1億円以下の場合、手数料(遺言加算)11,000円が追加。※財産が1億円を超えた場合は5,000万円ごとに13,000円を追加。※3億円を超えた場合は5,000万円ごとに11,000円が追加。※10億円を超えた場合は5,000万円ごとに8,000円が追加。 仮に4,000万円の財産に関する遺言書を作成した場合、公証役場に支払う手数料は29,000円+11,000円(遺言加算)=40,000円です。また遺言で複数の相続人を指定する場合、相続人別に手数料が発生するので注意しましょう。同じ4,000万円の財産を相続人2人にそれぞれ3,000万円と1,000万円渡したい場合、手数料は23,000円+17,000円+11,000円(遺言加算)=51,000円です。 自分で公正証書遺言を作成する際の注意点3つ 自分で公正証書遺言を作成する場合、以下の3つのポイントに注意してください。 ★証人2人は誰でも良いわけではない 公正証書遺言を残すためには、証人を2人用意しなければいけません。未成年者や推定相続人、遺言で財産を受け取る予定の人や公証人の身近な人は証人になれないため、注意しましょう。遺言の内容を耳にする立場ですから、信頼できる相手を見つけることが重要です。 自分で証人を用意できない場合、公証役場にお願いして紹介してもらうことも可能です。この場合、証人1人につき10,000円~20,000円の御礼を支払う必要があります。 ★公証人は遺言の内容にアドバイスしてくれるわけではない 公正証書遺言を残すためには、事前に公証人との間で、相談する必要があります。とはいえこちらは、あくまでも遺言の「形式」や「法律」に関する確認です。遺言の具体的な内容について、相談に乗ってもらえるわけではありません。 たとえば、 ・親族間トラブルを回避するためにはどうすれば良いのか?・誰にどの財産を譲れば良いのか?・相続税は発生するのか? このような内容についての相談は不可能です。 公証人の仕事は、あくまでも法的に有効な遺言書を残すこと。たとえ遺言内容に誤りや不都合があったとしても、法的に問題なければ、そのまま遺言書として残されるでしょう。法的に有効な遺言書が持つ効力は非常に大きいですから、自身の死後、結果として本来の意図とは異なる形で遺産分配が行われてしまう恐れもあります。 自力で公正証書遺言を作成する場合、相続や法律に関する基礎知識は、事前にしっかりと身につけておきましょう。 ★遺留分への配慮が重要 「公正証書遺言を残したい」と思う方の中には、「自身の死後、親族間で争いが起きるのを回避したい」という方も多いはずです。余計なトラブルを回避するためには、ぜひ遺留分にも配慮した内容を心掛けてみてください。 たとえ公正証書遺言に、「相続人の1人のみに全財産を譲る」と記したとしても、その他の法定相続人には遺留分を請求できる権利があります。最初から遺留分を踏まえた内容を記しておけば、トラブルが発生するリスクを少なくできるでしょう。 公正証書遺言は必要に応じて専門家に相談を 公正証書遺言は必要に応じて専門家に相談を 公正証書遺言は、自力作成も可能です。とはいえ、その内容については自分自身で決定し、必要な手続きを進めていかなくてはいけません。専門家に依頼すれば、コストはかかりますが自身の意思を遺言内容に反映させやすくなるでしょう。メリット・デメリットを踏まえて、自分にとってベストな作成方法を検討してみてください。

  • 「遺言書情報証明書」とは?記載内容や使い方・請求方法まで

    「遺言書情報証明書」とは?記載内容や使い方・請求方法まで

    令和2年より、自筆証書遺言を法務局に保管できる「自筆証書遺言書保管制度」がスタートしています。この制度を利用するなら、ぜひ「遺言書情報証明書」についても、基礎知識を学んでおきましょう。遺言書情報証明書とはどのような書類で、相続手続きにおいてどう使えば良いのでしょうか。必要になった場合の請求方法まで、詳しく紹介します。 遺言書情報証明書とは? 遺言書情報証明書とは? 遺言書情報証明書とは、遺言書の内容を証明できる重要書類の一つです。証明書には、以下のような情報が含まれています。 ・遺言者の氏名・出生年月日・住所および本籍(または国籍等)・遺言書が作成された年月日・遺言書の保管された年月日・遺言書が保管されている遺言書保管所・保管番号・受遺者の氏名と住所(※受遺者がいる場合のみ)・遺言執行者の氏名と住所(※遺言執行者がいる場合のみ)・遺言書の画像情報(※目録を含む) つまり、遺言書情報証明書を取得すれば、遺言書に記された情報を把握できるというわけです。 令和2年の自筆証書遺言書保管制度のスタートにより、遺言書情報証明書にも注目が集まっています。というのも、遺言者が自筆証書遺言書保管制度を利用していた場合、相続人は遺言書の原本を目にする機会がないため。画像データとして保管されていた遺言書の内容を遺言書情報証明書として取得し、各種相続手続きを進めていくことになります。 「遺言書が原本ではなくても相続手続きが可能なのか?」と不安を感じる方もいるでしょうが、遺言書情報証明書であれば大丈夫です。銀行に持ち込んで被相続人の預金を解約することも、不動産の相続登記を行うことも可能になります。 遺言書情報証明書のメリット まだまだ新しい制度のため、「遺言書情報証明書がなぜ必要なのかよくわからない…」と感じる方も多いのではないでしょうか。遺言書情報証明書を利用するメリットについてお伝えします。 遺言書開封時の検認が必要ない 自筆証書遺言で遺言書が残されている場合、相続が発生しても、すぐにその内容を確認できません。偽造や変造を防ぐため、家庭裁判所にて「検認」と呼ばれる手続きが必要になります。検認とは、遺言書の内容を裁判所で最初に確認し、問題がないことを証明するためのもの。遺言書の公平性や正確性を保つために欠かせない手続きではありますが、「申し立てから検認の完了まで、時間がかかってしまう」というデメリットがあります。 被相続人が同じ自筆証書遺言を残していた場合でも、法務局に預け、相続人が遺言書情報証明書を取得する形式であれば、検認は必要ありません。法務局から入手した証明書をその場ですぐに確認し、その内容のもと、具体的な相続手続きをスタートできるでしょう。 自筆証書遺言書保管制度で法務局に預けられた遺言書は、実際に相続が発生するまで、遺言者以外はその内容を確認できない仕組みになっています。保存された画像データを提示する遺言書情報証明書であれば、偽造や変造の恐れはありません。よって検認手続きが不要となるわけです。被相続人にとっては、より正確な遺言書を残せるというメリットがありますし、相続人にとっては相続手続きの手間を省けるというメリットが発生します。 全国どこからでも交付請求ができる ここまでお伝えしてきたとおり、遺言書情報証明書は、遺言書の原本から作られた画像データです。その情報は、日本全国どの遺言書保管所からでも手続きが可能で、楽に取得できるでしょう。わざわざ遠方まで出向く必要もありませんし、相続人にとって利便性の高い保管所を選択することも可能です。こちらも、相続手続きの手間削減につながるでしょう。 3.自筆証書遺言書保管制度のメリットも多い遺言書情報証明書は、自筆証書遺言書保管制度に付随する証明書です。自筆証書遺言書保管制度を利用するメリットも、決して少なくありません。 たとえば自筆証書遺言書保管制度を使えば、遺言者が亡くなった際に、遺言書の存在をあらかじめ指定しておいた相続人等に通知できます。自筆証書遺言の場合、せっかく遺言書を残しても、発見されないまま終わってしまうというケースも存在しています。通知があれば、このようなリスクはなくなるでしょう。 また実際に遺言書を作成して法務局に保管する際には、窓口にて遺言書の形式ルールチェックを受けられます。遺言書のルールが守られておらず、法的に無効と判断される恐れがある場合、アドバイスをもとに訂正できるでしょう。遺言の内容そのものへのアドバイスではありませんが、遺言書無効リスクを低減できるはずです。 これらのメリットを頭に入れて、ぜひ遺言書情報証明書および自筆証書遺言書保管制度の活用について検討してみてください。 遺言書情報証明書を取得するための流れ 遺言書情報証明書を相続人が取得できるようになるのは、遺言者が亡くなったあとです。生存中は、遺言書の存在を知っていても証明書の取得はできませんので注意してください。取得手続きは、以下の流れで進めていきます。 1.交付請求を行う遺言書保管所を決定する2.必要事項を記載し、交付請求書を作成する3.希望する遺言書保管所を予約する4.予約日時に遺言書保管書へ行き、交付請求書と必要書類を提出する5.証明書を受け取る 交付請求を行う遺言書保管所は、日本全国どこでも選べます。ただし実際に保管所に出向いて請求手続きを行う場合、事前予約が必須。「わざわざ時間を合わせるのが難しい」という場合には、郵送での手続きを選んでみてください。この場合、予約も訪問も必要ありません。 遺言書情報証明書を交付してもらうために必要な書類は、以下のとおりです。 ・遺言者の死亡を確認できる書類(戸籍謄本等)・請求者の住民票の写し・法定相続情報一覧図の写し・相続人である事実が確認できる戸籍謄本や法人の代表者事項証明書など・身分証明書(顔写真付き)・手数料(1通につき800円) 法定相続情報一覧図の写しがない場合は、遺言者の出生から死亡までのすべての戸籍謄本と相続人全員の戸籍謄本、相続人全員の住民票の写しを用意しましょう。二度手間にならないよう、必要な書類についてあらかじめしっかりと確認した上で、手続きを進めてください。 遺言書情報証明書を取得して相続手続きをスムーズに 遺言書情報証明書を取得して相続手続きをスムーズに 遺言者が自筆証書遺言書保管制度を利用して遺言を残していた場合、相続手続きを進めるためには遺言書情報証明書を取得する必要があります。取得時には手間と時間、そして手数料が発生しますが、検認手続きは不要に。そのまま相続手続きを進めていけます。基本的な知識を身につけた上で、制度を活用してみてください。

  • 厚生年金の種類を解説…必要十分な保障のための基礎知識

    厚生年金の種類を解説…必要十分な保障のための基礎知識

    会社勤めをしている人にとって、厚生年金とは、「よくわからないまま加入している年金制度」といったイメージも強いのかもしれません。保険料は給与から天引きされるため、「支払っている」という意識が乏しい点も特徴的だと言えるでしょう。とはいえ将来の保障を考える上で、厚生年金にまつわる基本的な知識はマスト。身につけておいて損はありません。厚生年金の種類や、将来の保障を考える際のポイントなどについて、わかりやすく解説します。 厚生年金制度とは? 厚生年金制度とは? まずは厚生年金制度の概要についておさらいしておきましょう。 日本の公的年金は、基礎年金と厚生年金の2つで構成されています。基礎年金とは、原則として20歳以上のすべての国民に加入が義務付けられているもの。加入期間は60歳まで続きます。 一方で厚生年金に加入できるのは、会社員や公務員として仕事をしている人のみです。厚生年金加入は、法人もしくは5人以上の従業員を雇用している個人事業主に課せられた義務の一つ。保険料は事業主と従業員が半分ずつ支払う仕組みになっています。 基礎年金だけではなく厚生年金にも加入している人は、将来的に受け取る年金額がアップします。基礎年金とは違い、厚生年金の保険料は、毎月の給料やボーナスの金額によって違ってくるもの。受け取る給料の額が大きければその分保険料も高くはなりますが、将来受け取る年金額も増えるでしょう。厚生年金で自分が支払う保険料が多くなるということは、その分会社負担分も増えるということです。長い目で見れば、非常にお得な制度です。 厚生年金の種類 厚生年金と言えば、「老後の生活を支えるための資金」というイメージを抱いている方も多いのではないでしょうか。しかし実際には、厚生年金の種類はそれだけではありません。3つの種類を紹介するので、ぜひチェックしてみてください。 ★老齢厚生年金 「年金」と言われて、最初に思いつくのはやはり老齢年金でしょう。厚生年金で受給できる老齢年金は、「老齢厚生年金」と呼ばれています。基本的には、65歳から受給可能です。仕事から引退したあと、老後の生活を支えるお金と言えるでしょう。 老齢厚生年金は、老齢基礎年金にプラスして支給されますが、受給額は以下のようなポイントに左右されます。 ・現役時代にどれだけ厚生年金に加入していたか?・どれだけの厚生年金保険料を納めてきたか? 基本的に国民全員が加入する国民年金とは違い、厚生年金の加入実績は人それぞれで異なります。自分がどれだけの年金を受け取れるのか気になったら、年金定期便にてチェックするのがおすすめです。 ★障害厚生年金 障害年金は、病気やけがが原因で障害が残ってしまった場合など、一定の条件を満たすことで支給される年金を指します。国民年金から支給される年金を「障害基礎年金」、そして厚生年金から支給されるのが「障害厚生年金」です。 障害厚生年金を受給するための主な条件としては、 ・初診日が厚生年金加入中である・障害等級が1級・2級・3級のいずれかにあたる などが挙げられるでしょう。障害等級が1級もしくは2級の場合、障害基礎年金と障害厚生年金をセットで受給できます。障害等級が3級の場合は、障害厚生年金のみが受給対象となります。 ★遺族厚生年金 遺族年金は、生計を一にする家族の中で主にお金を稼いでいた人が亡くなった場合に、生計を維持されていた家族を対象に支給される年金のこと。こちらも、国民年金から支給される遺族基礎年金と厚生年金から支給される遺族厚生年金の2種類があります。 遺族厚生年金を受給できるのは、亡くなった人の配偶者と子、父母、孫、祖父母のいずれかです。誰が受け取るのか自分たちで決定できるわけではなく、受給者としての順位がもっとも高い人が受給し、それ以外の人に受給権は発生しない仕組みになっています。 このように、厚生年金とは「年をとったときだけに活躍する制度」というわけではありません。障害や死亡など、予期せぬ理由で働けなくなった場合でも、その後の自分や家族の生活を支える柱になってくれるでしょう。いざというときに素早く手続きするためにも、ぜひ年金制度の基礎知識を頭に入れておいてください。 将来の保障を考える上でのポイントとは? 将来の保障を考える上でのポイントとは? 結婚し子どもが生まれると、「自分に万が一のことがあっても、家族の生活を守れるように」という理由で、将来の保障について真剣に考え始める方も多いのではないでしょうか。子どものための学資保険や、万が一のときのための生命保険は、積極的に検討したいところです。 保障が手厚い保険に加入すれば、万が一のときでも安心して生活できるでしょう。しかし一方で、保障が手厚い保険は、「保険料が高い」という特徴があります。特にまだ子どもが小さい時期に、「保険料に多額のお金を費やすのはちょっと…」と思ってしまうのも無理はありません。 こんなとき、ぜひ頭に入れておきたいのが厚生年金の種類についてです。先ほどもお伝えしたとおり、厚生年金は「老後のため」だけのものではありません。一から保険に加入するのではなく、「万が一のときには障害厚生年金や遺族厚生年金を受け取れる」という認識の上で、足りない保障をプラスしていくのがおすすめです。 遺族厚生年金で受け取れる金額は「老齢厚生年金の報酬比例部分の4分の3」と定められています。報酬比例部分は平均標準報酬額から計算できますから、具体的な金額も導き出せるでしょう。「一家の大黒柱である自分が亡くなったあとも、家族が生活に困らないように」との目的で生命保険に加入するのであれば、遺族厚生年金分は保障を減らせます。保険料負担も、その分軽くなるでしょう。 将来のための保障で、今の生活が苦しくなっては意味がありません。公的年金制度もしっかりと活用し、金銭面での準備を十分に整えたら、ぜひ今の家族の生活を充実させる工夫も取り入れてみてください。 厚生年金制度をしっかり理解し無駄のない保障を組み立てよう 「もしも将来、万が一の事態になってしまったら…」という不安は、誰もが抱くものです。特に子どもが生まれると、今後の家計の見通しが難しくなります。将来の安心のため、手厚い保障に惹かれる方も多いのではないでしょうか。 とはいえ公的年金制度にも、「万が一の事態が発生した場合に、家族の生活を守るための保障」は組み込まれています。すべてを私的な年金や保険でカバーしようとするのではなく、ぜひ両者を上手に組み合わせて、無駄のない保障設計を意識してみてください。経済的な負担を減らしつつ、将来への安心感も得られるのではないでしょうか。

  • 遺族厚生年金の受取人が知っておくべき「失権・支給停止」に関する基礎知識

    遺族厚生年金の受取人が知っておくべき「失権・支給停止」に関する基礎知識

    一家の大黒柱として働いていた人が亡くなった際に、残された遺族の生活の支えとなるのが遺族厚生年金です。受給するためには一定の条件を満たす必要はあるものの、継続的に支給される年金に対して、「あって良かった」と感じる方は多いでしょう。しかし遺族厚生年金には、「失権」や「支給停止」もあります。いったいどのような条件で失権や支給停止になってしまうのか、受取人として知っておきたい基礎知識を紹介します。 遺族厚生年金とは? 遺族厚生年金とは、亡くなった人によって生計を維持されていた家族が受け取れる遺族年金です。一般的な年金システムと同様に、遺族年金においても遺族基礎年金と遺族厚生年金の「2階建て」構造が採用されています。 遺族基礎年金の受給要件は非常に厳しく、「一定条件を満たした子ども」がいなければ、たとえ配偶者であっても受給できません。一方で遺族厚生年金の支給対象は、遺族基礎年金よりも広く、より多くの遺族の生活を支えてくれるでしょう。 なお遺族厚生年金は、生前に厚生年金制度に加入し、一定の条件を満たしている人が亡くなった場合にのみ対象になります。たとえば個人事業主やパートタイマーなど、生前に厚生年金制度に加入していなかった人が亡くなっても、遺族厚生年金は支給されません。 遺族厚生年金の「失権」「支給停止」とは? 遺族厚生年金の「失権」「支給停止」とは? 遺族厚生年金には、「失権」や「支給停止」という制度があります。一定の条件に当てはまると、遺族厚生年金を受け取れなくなってしまうので注意してください。 「失権」とは、遺族厚生年金の受給資格を失うことを意味しています。残念ながら受給資格の復権はありませんから、遺族厚生年金の受給は二度とできなくなります。一方で「支給停止」とは、遺族厚生年金の支給が、一時的にストップされること。失権とは違い、状況が変われば支給停止が解かれ、再受給も可能となるでしょう。 どちらも「遺族厚生年金を受け取れない」という状況には変わりありませんが、今後について考えるなら、両者の意味合いは大きく異なります。もしも失権や支給停止の要件に当てはまってしまう場合、今後の対応について慎重に検討してみてください。 遺族厚生年金が失権する理由 では具体的に、どのような事態になると、遺族厚生年金の受給権を失権してしまうのでしょうか。主な事由は以下のとおりです。 ・受給者が死亡したとき・受給者が婚姻したとき・受給者が養子になったとき(※直系血族及び直系姻族以外と)・受給者が離縁し、親族関係が終了したとき・子または孫が18歳の誕生日を迎え、最初の年度末に達したとき(障害等級が1級または2級の場合は20歳)・子どものいない30歳未満の妻が、遺族厚生年金の受給権を取得した日から5年が経過したとき・子どものいる30歳未満の妻が、30歳に達する前に遺族基礎年金の受給権を失い、それからさらに5年が経過したとき 失権に関するルールは非常に複雑で難しいもの。受給者本人が亡くなったときはわかりやすいですが、別の人と婚姻した際にも、受給権が失権してしまう事実を頭に入れておきましょう。これは法律上の婚姻関係だけではなく、事実婚や内縁関係においても当てはまります。 また、先ほどもお伝えしたとおり、一度失権した受給権が復活することはありません。婚姻によって受給権を失った人が、その後「離婚したから」という理由で再度遺族厚生年金を受給するのは難しいでしょう。 失権に関する条件は、受給者の立場がどういったものかによっても違ってきます。不安な点があれば、年金事務所に直接問い合わせ、相談してみるのがおすすめです。 遺族厚生年金が支給停止になる理由 遺族厚生年金は、一定の条件を満たすと支給停止になってしまいます。こちらについても、具体的な理由についてチェックしておきましょう。 ・労働基準法で定められた遺族補償が行われるとき(死亡日から6年間の支給停止)・受給権を持つ夫、父母または祖父母が60歳未満のとき(60歳に達するまでの間は支給停止)・受給権者の所在が1年以上明らかでないとき など このほかにも、遺族厚生年金の受給者となれるのは、基本的に「1名のみ」です。たとえば、夫が亡くなり、妻が受給権を有している間、子ども自身に対する遺族厚生年金の支給はストップされます。妻が婚姻や死亡により受給権を失権した場合、子どもの支給停止は解除され、年金の支払いがスタートする仕組みです。 また遺族年金には、「大黒柱を失った妻や子どもが路頭に迷わないように」という考えが、まだまだ根強く残っています。このため、夫や父母が受給権者になる場合のルールは、妻がなる場合よりも厳格です。60歳未満で遺族年金を受け取ることはできず、60歳に到達して初めて支給停止が解かれる仕組みになっています。 各種手続きに必要な書類は? 遺族厚生年金の受給権を失権する場合、10日以内に「遺族年金失権届」を提出する必要があります。遺族年金失権届は年金事務所で手に入るほか、インターネット上でも公開されていますから、印刷して記入しましょう。書類に記載するのは、失権の理由や失権日、住所・氏名・生年月日等です。 一方で、支給停止になっていた人が受給権を得て、支給をスタートさせたい場合も手続きが必要です。年金事務所に対して「遺族年金受給権者支給停止事由消滅届」を提出しましょう。これは、「これまで支給停止になっていた事由が消滅したこと」を伝えるための書類です。記載内容は、支給停止事由が消滅した理由や日付など。遺族厚生年金を受けられる人が複数人いる場合は、全員の名前を記載して提出してください。 また「消滅の事由」によっては、各種添付書類を求められます。自分がどの事由に該当し、具体的にどういった書類を添付すれば良いのか悩んだら、年金事務所に問い合わせてみてください。何をいつまでに用意すれば良いのか、丁寧に教えてもらえるでしょう。 失権や支給停止に関わる決断はぜひ慎重に 失権や支給停止に関わる決断はぜひ慎重に 遺族厚生年金は、残された家族の生活を守る柱となってくれるでしょう。とはいえ残念ながら、半永久的に自動で支給されるわけではありません。自身の選択によっては、失権や支給停止になってしまう可能性もあるという事実を、頭に入れておきましょう。 特に婚姻や養子縁組は、失権や支給停止に関連しやすい決断です。現在遺族厚生年金を受け取っている場合、今後の収入の変化にも気を配りつつ、自身にとってより良い選択をしていく必要があるでしょう。具体的な行動を起こす前に専門家に相談すれば、「本来受け取れるはずのお金が受け取れなくなった!」といったリスクも防げるのではないでしょうか。

  • 親の死後に発見されたビデオメッセージ…扱い方と注意点は?

    自身の最期の想いをしっかりと伝えるため、終活に取り組む方も増えてきています。遺書やビデオメッセージを残して亡くなる方も多いのではないでしょうか。今回は、親がビデオメッセージを残して亡くなった場合の、扱い方や注意点について解説します。「どうすれば良いのだろう」と悩んだときには、ぜひ参考にしてみてください。 まずはビデオメッセージを確認してみよう 親の死後、ビデオメッセージが残されていることがわかったら、まずはその内容を確認してみましょう。「自分の死後に、その想いを確認してもらうために」という理由で、ビデオメッセージを残す方は増えてきています。自筆証書遺言のように「内容を確認する前に検認手続きが必要になる」ということはありませんから、自分たちの好きなタイミングで確認して大丈夫です。 とはいえ、故人が残したビデオメッセージを、長期間放置するのはおすすめできません。終活の一環としてビデオメッセージを残している場合、葬儀への希望や連絡を取って欲しい人、自身が残す財産についてなど、重要な情報が含まれているケースも多いからです。できるだけ早く確認し、ビデオメッセージを残した人の希望を叶えられるよう準備しましょう。 ビデオメッセージに「遺言書」としての法的拘束力はない ビデオメッセージの内容を確認したところ、財産相続に関わる遺言書のような内容が見つかるケースもあるでしょう。この場合に重要なのは、「ビデオメッセージに遺言書としての効力はない」という事実です。 紙に書いただけの遺言書と、本人は直接語りかけているビデオメッセージを比較すると、「ビデオメッセージの方が自身の想いを伝えやすいのでは?」と思う方もいるかもしれません。しかし遺言書とは、非常に強い法的拘束力を持つもの。間違いなく運用されるよう、厳しいルールが定められているのです。残念ながらビデオメッセージは、遺言書のルールをクリアしていません。 もしビデオメッセージに財産相続にまつわる内容が収録されていたら、遺言書が残されていないかどうか探してみましょう。ビデオメッセージには遺言書のような効力がない事実を知った上で、「遺言書の内容を補完する目的」でビデオメッセージを残す方もいます。この場合、法的に有効な遺言書が見つかれば、その内容のとおりに遺産を分割できるでしょう。自宅はもちろん、公証役場にも確認してみてください。エンディングノートが残されていれば、遺言書についても記載されている可能性があります。 遺言書が残されていない場合、遺産分割協議を行いましょう。法定相続人全員で、遺産をどう分割するか協議するための機会です。ビデオメッセージに法的拘束力はないとはいえ、相続人全員が納得しているのであれば、被相続人の遺志を相続に反映できます。一方で、1人でも納得できない人がいれば、ビデオメッセージどおりの遺産分割は不可能です。話がまとまらなければ、法定相続割合に従って遺産を分けることになるでしょう。 親からのビデオメッセージ、活用方法は? 親からのビデオメッセージ、活用方法は? 遺言書のような法的拘束力がないとはいえ、親からのビデオメッセージは生前の想いを届けてくれる特別なツールです。ぜひ以下のような場面で活用してみてください。 ★お葬式にて 亡くなった親が残してくれたビデオメッセージは、生前の姿を楽しませてくれるもの。身近な人が故人に関するエピソードを披露するのも良いですが、その人が実際に動き、話している姿を収録したビデオは、特別な意味を持つでしょう。 お葬式で流されるビデオメッセージは、近年「エンディングムービー」として人気を集めています。故人の人となりを知ってもらうため、またありし日の姿を思い描いてもらうために、ひと役買ってくれるはずです。葬儀の際の演出として、ぜひ活用してみてください。映像をきっかけに、思い出話も広がるでしょう。 ★遺産分割協議にて ビデオメッセージに法的拘束力はありませんが、遺産分割協議の際に、参加者全員で確認するのもおすすめです。たとえ法的な意味はなくても、故人がどのように考えていたのか、知るためのヒントとして活用できるでしょう。 たとえば「相続人のうち、1人だけに全財産を譲る」という内容の遺言を聞いたとき、財産を相続できない相続人がすぐに納得するのは難しいでしょう。しかし故人には、故人がそう決めただけの理由があったはず。ビデオメッセージを通じてその理由に触れられれば、遺言の内容を納得して受け入れやすくなるのではないでしょうか。 遺産分割協議は、親族間のトラブルに発展してしまうケースも少なくありません。ビデオメッセージで親の言葉を直接耳にすることで、トラブル予防効果も期待できます。 ★故人を思い出すきっかけとして ビデオメッセージの良いところは、何度でも繰り返し楽しめる点です。親が亡くなってすぐの時期は、葬儀や埋葬でバタバタしがち。「悲しみに浸る間もない」というのが正直なところです。 さまざまな手続きが終わり、ほっと一息つく頃になると、急に寂しさが襲ってくることも。こんなときには、ぜひビデオメッセージを見返してみてください。ビデオの中では、生前と変わりない元気な姿や表情を見せ、懐かしい声を聞かせてくれるはずです。あれこれと思い出すきっかけになるでしょう。 ビデオメッセージは、兄弟姉妹が集まったときに流すのもおすすめです。家族写真で過去を振り返るのも良いですが、動いている姿はよりいっそう記憶を刺激してくれるでしょう。大切な家族と、懐かしい思い出話に花を咲かせてみてください。 親からのビデオメッセージの注意点は? 親からのビデオメッセージを見つけた際の注意点は、「親の本音」を冷静に受け止めるということです。特に相続に関する内容が含まれている場合、「自分にとっては到底納得できない」と思う可能性もあるでしょう。ビデオメッセージをきっかけに、モヤモヤした感情を抱くこともあるかもしれません。 とはいえ、親の本音に対して感情的にぶつかっても、話は前に進みません。親の考えは親の考えとして受け止めた上で、自分自身がどう考え行動するのかを決定してみてください。ビデオメッセージの特徴を頭に入れた上で、納得できる道を探るのがおすすめです。 ビデオメッセージを見つけたら冷静な対応を ビデオメッセージを見つけたら冷静な対応を 亡くなった親が残したビデオメッセージを見つけたら、ぜひ冷静に対処してみてください。相続に関する内容については、正式な遺言書が残されているかどうかで、対応が変わってきます。ビデオメッセージに込められた親の想いを理解しつつ、これから先についてもしっかりと検討しましょう。故人を思い出すためのツールとしても、ぜひ役立ててみてください。

  • 万が一のときのために…子供に想いを届ける方法を紹介

    生まれた子供の将来に備え、「できる限りのことをしておきたい」と思う方も多いのではないでしょうか。何事もなく、一緒に日々を過ごしていけるのが理想ですが、万が一のときのことも、考えておくと安心です。自身の想いを届けるための方法を紹介します。ぜひ参考にしてみてください。 生命保険に加入する 自分に万が一のことがあったときに、心配なのが子供の教育費や生活費です。こうした不安を解消するため生命保険に加入すれば、「どんなことがあっても強く生きていってほしい」というメッセージを伝えてくれるでしょう。子供が幼いうちは、その意味に気付かないかもしれませんが、成長したのち、自分が何を残してもらっているのか理解してくれるはずです。 生命保険には、「受取人を指定して加入できる」というメリットがあります。子供自身を受取人にして保険に加入しておけば、自分亡き後も、より確実に子供に財産を残せるでしょう。生命保険は遺産相続における分割対象に含まれませんから、子供が相続する財産が目減りする恐れもありません。 また生命保険金には、相続税についても非課税枠が用意されています。「500万円×法定相続人の数」までは相続税が課せられません。相続税対策としても有効ですから、ぜひ参考にしてみてください。 学資保険に加入する 学資保険も、子供の将来を想って加入する保険です。早めに加入しておけば、自分に万が一のことがあった場合も、それ以降の保険料の支払いは免除されます。生命保険と同様に、子供の将来の金銭面をサポートしてくれるでしょう。 令和の時代になっても、家庭の金銭面を理由に進学をあきらめざるを得ないケースは少なくありません。もちろん「奨学金を利用して自分自身で進学する」という道もありますが、社会人となった子供自身に、返済負担は重くのしかかってしまうでしょう。学資保険であらかじめ備えておけば、負担軽減につながるはずです。また金銭的な問題を理由に、「やりたい勉強をあきらめる」といったリスクも少なくできます。 学資保険に加入する場合、「何を目的に加入するのか?」をはっきりさせた上で、保険商品を検討しましょう。というのも、近年学資保険の種類も多様化しているから。「子供の将来の進学に備えて」という基本理念には変わりがないものの、保険金を受け取る年齢や条件には、さまざまなバリエーションが用意されています。 もっとも人気なのは「子供の大学進学に備えて、18歳で満期保険金を受け取れる」というタイプです。子供が早生まれの場合、実際の支払いまでに間に合わない可能性がありますが、17歳で保険金を受け取れるように、調整しておくのも良いでしょう。 大学進学だけではなく、中学や高校への進学時にもお祝い金が支払われる保険もあります。ただしこの場合、大学進学時に一括で受け取る場合と比較して、保険金の返戻率が低下してしまう可能性も。メリットとデメリットを比較した上で、必要な保険を選択してみてください。 学資保険に加入できる期間は、各保険会社によって定められています。6~7歳前後を限度とするケースが多いため、加入忘れに注意しましょう。子供がまだ幼い時期には、「受取時期をいつにすれば良いのか、具体的にイメージできない…」と思う方も多いかもしれません。受取時期は、後から変更も可能なので心配は要りません。 ただし「保険会社を変更する」「今加入している保険を解約し、別の保険へと乗り換える」といった場合には、これまで支払った保険金で損をしてしまう可能性も。保険会社や保険タイプについては、後悔しないよう事前にしっかりと検討するのがおすすめです。 手紙を残す 手紙を残す 上記2つは、自分に万が一のことがあったときのため、経済的な備えをするための手段です。とはいえ、子供が健やかに成長するためには、「お金さえあれば良い」というわけではないでしょう。精神的なフォローについても、準備を整えておくのがおすすめです。 もっとも手軽にできるのは、将来の子供に向けて、手紙を残すという方法です。自身の想いを文字にしたため、子供のために残しておきましょう。手紙であれば、伝えたい内容ができた時点で、どんどん増やしていくことが可能。何事もなく子供が大きくなれば、親元を離れての進学、就職・結婚といった人生の節目に、渡してあげると喜ばれます。 「手紙を自分の手元に残しておいても、万が一のときに子供の手に渡らなかったら…」と不安を感じる場合は、以下のようなサービスの利用を検討してみてください。 【タイムカプセル郵便/公益財団法人日本郵趣協会】 大切な人への手紙を、最大10年後まで、指定した日に届けてくれるサービスです。手紙の場合の料金は「基本料金500円+(年間保管料150円×年数)」のみ。最大年数である10年後を指定した場合でも、わずか2,000円で利用できます。手紙は定型サイズであれば、写真の同封も可能。現金や貴金属、壊れやすいものには対応していません。 【タイムカプセル郵便みらいぽすと/特定非営利活動法人みらいぽすと】 大切な人への手紙を、原則として最大で10年後まで、指定した日に届けてくれるサービスです。手紙の場合、A4サイズで10枚まで、100グラムまでの依頼が可能。データ保証はないものの、USBメモリも同封できます。タイプカプセルコースを選べば、手紙以外に小物やCD、DVDも同封可能。手紙コースの料金は、5年までなら1,500円、10年までなら2,000円です。 ビデオメッセージを残す 文字ではなく、映像で自分の言葉を残せば、より想いの伝わるメッセージとなるでしょう。言葉の内容だけではなく、話し手の表情や雰囲気など、さまざまな情報を伝えられます。どれだけ子供を愛しているか、よりわかりやすく残しておけるでしょう。 ビデオメッセージには、何度も見返すことができ、そのたびに愛する人の姿を見られるというメリットがあります。自分で手軽に動画を残せる時代ではありますが、一つの作品として完成度にこだわるのであれば、プロに依頼するのもおすすめです。 ビデオメッセージを作成する際には、まずテーマを決めて、伝えたい内容についてあらかじめまとめておくと良いでしょう。より自然な雰囲気で撮影したいなら、シチュエーションにもこだわってみてください。 子供に想いを届ける方法はさまざま 子供に想いを届ける方法はさまざま 万が一のときのため、子供に想いを届ける方法はさまざまです。目的に応じて、より良い方法を選んでみてください。もちろん、気持ちを伝える方法は複数あっても大丈夫です。組み合わせて利用すれば、より強いメッセージを発信できるのではないでしょうか。今回紹介した情報も、ぜひ参考にしてみてください。

  • 万が一のときのために…子供に想いを届ける方法を紹介

    生まれた子供の将来に備え、「できる限りのことをしておきたい」と思う方も多いのではないでしょうか。何事もなく、一緒に日々を過ごしていけるのが理想ですが、万が一のときのことも、考えておくと安心です。自身の想いを届けるための方法を紹介します。ぜひ参考にしてみてください。 生命保険に加入する 生命保険に加入する 自分に万が一のことがあったときに、心配なのが子供の教育費や生活費です。こうした不安を解消するため生命保険に加入すれば、「どんなことがあっても強く生きていってほしい」というメッセージを伝えてくれるでしょう。子供が幼いうちは、その意味に気付かないかもしれませんが、成長したのち、自分が何を残してもらっているのか理解してくれるはずです。 生命保険には、「受取人を指定して加入できる」というメリットがあります。子供自身を受取人にして保険に加入しておけば、自分亡き後も、より確実に子供に財産を残せるでしょう。生命保険は遺産相続における分割対象に含まれませんから、子供が相続する財産が目減りする恐れもありません。 また生命保険金には、相続税についても非課税枠が用意されています。「500万円×法定相続人の数」までは相続税が課せられません。相続税対策としても有効ですから、ぜひ参考にしてみてください。 学資保険に加入する 学資保険も、子供の将来を想って加入する保険です。早めに加入しておけば、自分に万が一のことがあった場合も、それ以降の保険料の支払いは免除されます。生命保険と同様に、子供の将来の金銭面をサポートしてくれるでしょう。 令和の時代になっても、家庭の金銭面を理由に進学をあきらめざるを得ないケースは少なくありません。もちろん「奨学金を利用して自分自身で進学する」という道もありますが、社会人となった子供自身に、返済負担は重くのしかかってしまうでしょう。学資保険であらかじめ備えておけば、負担軽減につながるはずです。また金銭的な問題を理由に、「やりたい勉強をあきらめる」といったリスクも少なくできます。 学資保険に加入する場合、「何を目的に加入するのか?」をはっきりさせた上で、保険商品を検討しましょう。というのも、近年学資保険の種類も多様化しているから。「子供の将来の進学に備えて」という基本理念には変わりがないものの、保険金を受け取る年齢や条件には、さまざまなバリエーションが用意されています。 もっとも人気なのは「子供の大学進学に備えて、18歳で満期保険金を受け取れる」というタイプです。子供が早生まれの場合、実際の支払いまでに間に合わない可能性がありますが、17歳で保険金を受け取れるように、調整しておくのも良いでしょう。 大学進学だけではなく、中学や高校への進学時にもお祝い金が支払われる保険もあります。ただしこの場合、大学進学時に一括で受け取る場合と比較して、保険金の返戻率が低下してしまう可能性も。メリットとデメリットを比較した上で、必要な保険を選択してみてください。 学資保険に加入できる期間は、各保険会社によって定められています。6~7歳前後を限度とするケースが多いため、加入忘れに注意しましょう。子供がまだ幼い時期には、「受取時期をいつにすれば良いのか、具体的にイメージできない…」と思う方も多いかもしれません。受取時期は、後から変更も可能なので心配は要りません。 ただし「保険会社を変更する」「今加入している保険を解約し、別の保険へと乗り換える」といった場合には、これまで支払った保険金で損をしてしまう可能性も。保険会社や保険タイプについては、後悔しないよう事前にしっかりと検討するのがおすすめです。 手紙を残す 上記2つは、自分に万が一のことがあったときのため、経済的な備えをするための手段です。とはいえ、子供が健やかに成長するためには、「お金さえあれば良い」というわけではないでしょう。精神的なフォローについても、準備を整えておくのがおすすめです。 もっとも手軽にできるのは、将来の子供に向けて、手紙を残すという方法です。自身の想いを文字にしたため、子供のために残しておきましょう。手紙であれば、伝えたい内容ができた時点で、どんどん増やしていくことが可能。何事もなく子供が大きくなれば、親元を離れての進学、就職・結婚といった人生の節目に、渡してあげると喜ばれます。 「手紙を自分の手元に残しておいても、万が一のときに子供の手に渡らなかったら…」と不安を感じる場合は、以下のようなサービスの利用を検討してみてください。 【タイムカプセル郵便/公益財団法人日本郵趣協会】 大切な人への手紙を、最大10年後まで、指定した日に届けてくれるサービスです。手紙の場合の料金は「基本料金500円+(年間保管料150円×年数)」のみ。最大年数である10年後を指定した場合でも、わずか2,000円で利用できます。手紙は定型サイズであれば、写真の同封も可能。現金や貴金属、壊れやすいものには対応していません。 【タイムカプセル郵便みらいぽすと/特定非営利活動法人みらいぽすと】 大切な人への手紙を、原則として最大で10年後まで、指定した日に届けてくれるサービスです。手紙の場合、A4サイズで10枚まで、100グラムまでの依頼が可能。データ保証はないものの、USBメモリも同封できます。タイプカプセルコースを選べば、手紙以外に小物やCD、DVDも同封可能。手紙コースの料金は、5年までなら1,500円、10年までなら2,000円です。 ビデオメッセージを残す 文字ではなく、映像で自分の言葉を残せば、より想いの伝わるメッセージとなるでしょう。言葉の内容だけではなく、話し手の表情や雰囲気など、さまざまな情報を伝えられます。どれだけ子供を愛しているか、よりわかりやすく残しておけるでしょう。 ビデオメッセージには、何度も見返すことができ、そのたびに愛する人の姿を見られるというメリットがあります。自分で手軽に動画を残せる時代ではありますが、一つの作品として完成度にこだわるのであれば、プロに依頼するのもおすすめです。 ビデオメッセージを作成する際には、まずテーマを決めて、伝えたい内容についてあらかじめまとめておくと良いでしょう。より自然な雰囲気で撮影したいなら、シチュエーションにもこだわってみてください。 子供に想いを届ける方法はさまざま 子供に想いを届ける方法はさまざま 万が一のときのため、子供に想いを届ける方法はさまざまです。目的に応じて、より良い方法を選んでみてください。もちろん、気持ちを伝える方法は複数あっても大丈夫です。組み合わせて利用すれば、より強いメッセージを発信できるのではないでしょうか。今回紹介した情報も、ぜひ参考にしてみてください。

  • 不動産の遺産分割はどうすれば良い?4つの方法と注意点

    遺産分割の中でも、どうすれば良いのか悩みがちなのが「不動産」です。親族間トラブルを避けるためには、どう分ければ良いのでしょうか。4つの方法とそれぞれの注意点を紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。相続人同士、納得して手続きできる方法を見つけましょう。 1.不動産をそのままの形で「現物分割」 1.不動産をそのままの形で「現物分割」 現物分割とは、不動産をそのままの形で相続する方法を指します。どう分けるのかによって、さまざまなパターンが考えられるでしょう。 ・相続人のうち1人だけが、家や土地をそのまま受け継ぐ・相続人の人数で土地を分筆し、それぞれの名義とする このほかにも、複数の相続人の中から2~3人のみが、分筆した土地を受け継ぐというケースも考えられます。相続対象となる不動産が複数ある場合には、誰がどの不動産を受け継ぐのか検討することになるでしょう。 ちなみに土地の分筆とは、もともとは1つの土地を法的に分ける作業を指します。分筆すればそれぞれで登記が可能ですから、理論上は「不動産を現金のようにしてきっちり分ける」ことも可能となるでしょう。ただし、分筆には各地で特別なルールが課せられている可能性も。中には「分筆不可」というケースもありますから、相続手続きの前にはしっかりとリサーチしておきましょう。 「相続人のうち、1人だけがそのままの形で家や土地を受け継ぐ」場合、相続手続きはいたってシンプルです。ただし相続財産の中でも、不動産は高額になりがち。現金や預金といったその他の遺産が豊富にあればバランスを取りやすいですが、そうではない場合、不公平感が生じてしまう恐れもあります。不動産を相続する人に対して「ずるい」という感情が生まれれば、遺産分割協議がなかなかまとまらない可能性もあるでしょう。 2.そのほかの相続人に代償を支払う「代償分割」 先ほどお伝えした「相続人のうち、1人だけがそのままの形で家や土地を受け継ぐ」という場合の、不公平感を軽減できるのが「代償分割」です。家や土地を受け継ぐ相続人は1人ですが、その1人がその他の相続人に対して代償金を支払い、相続の公平性を保ちます。 たとえば親名義の不動産で長男夫婦が同居していた場合、親の亡き後、長男夫婦が自宅に住み続けるためには、家や土地を相続する必要があるでしょう。仮に長男以外に次男・三男がいたとしたら、それぞれに相応のお金を支払います。不動産の価値が3,000万円なら、次男と三男それぞれの取り分は1,000万円ずつ。これを長男が、自分の財布から出すことになります。 代償分割のデメリットは、不動産を受け継ぐ人の金銭的負担が大きくなってしまう点です。経済的に余裕があれば良いですが、そうではない場合、「そもそも代償分割を選択できない」という可能性もあります。 一方で、マイホームでそのまま暮らしつつ、その他の相続人との間で公平に財産を分け合える点はメリットと言えるでしょう。相続対象の土地が分筆不可能であっても、代償分割なら相続人同士の争いごとが起きる可能性は低くなります。 3.不動産を売却してお金に換える「換価分割」 換価分割は、不動産を売却してお金に換えた上で、そのお金を相続人同士で分け合うスタイルを指します。マイホームは手元に残らないものの、相続人同士で平等に分配できるというメリットが期待できるでしょう。 不動産を換価分割する場合、相続手続きがスタートした後に、できるだけ早く手続きを進めていくことが大切です。対象の不動産がすぐに売れるとは限りませんし、時間に余裕がなくなれば、安い金額で手放さなくてはならなくなる可能性も高いでしょう。換価分割の場合、「不動産をできるだけ高く売ること」が重要なポイントに。そのための工夫は、ぜひ取り入れてみてください。 不動産を売却するためにはさまざまな手数料が発生します。相続時には、売却益から手数料を差し引いた上で、各相続人が自身の取り分を受け取ります。仮に不動産が3,000万円で売れたとしても、そのすべてが相続の対象になるわけではありません。手数料が300万円なら、残りの2,700万円を法定相続割合に応じて分配しましょう。 この方法であれば、代償分割とは違い、金銭的な余裕はなくても不動産を公平に分配できます。全員が「現金で受け取る」ため、差が生じにくく揉めごとに発展しにくいと言えるでしょう。ただし不動産を手元に残せないため、「被相続人が暮らしていた思い出の家や土地」を手放すことになります。同居していた親族がいれば、引越しを余儀なくされてしまうでしょう。 換価分割する場合には、遺産分割協議書にその旨と分配割合を記載するようにしてください。記載がないと、税金が二重に課せられてしまう恐れがあります。また誰がどういった形で登記し、売却手続きを進めていくのかについても考えなくてはいけません。そのあたりさえクリアできれば、全員が納得して進めやすい分割方法と言えるでしょう。 4.複数名義で引き継ぐ「共有分割」 不動産そのものを残したい一方で、不平等な分配は望まず、また代償分割も難しい場合に、選択肢として考えられるのが「共有」です。こちらの分割方法では、不動産を分割したり売却したりすることはありません。あくまでもそのままの形で引き継ぎ、相続人同士が複数人で不動産を所有します。 この場合、それぞれの持ち分は法定相続割合によって決められます。不動産の形はそのままに、「とりあえず今のままの形を維持できる」という点で、優れた分割方法と言えるでしょう。 ただし、一つの不動産を複数人で所有すれば、後々のトラブルにつながりやすくなります。たとえば物件のリフォームや売却を希望する場合でも、全員の許可が必要になるでしょう。また今回は相続人であった人が、いずれ被相続人になることも考えなくてはいけません。当然、共有分割した不動産の持ち分も相続財産に数えられますから、物件を取り巻く状況はさらに複雑になってしまいます。 一時的にはメリットがあっても、将来的に見ればトラブルの種。できる限り、その他3つの方法での分割を検討してみてください。 不動産の遺産分割で悩んだら専門家に相談を 不動産の遺産分割で悩んだら専門家に相談を 不動産相続で、どう分ければ良いのか悩む方は多いものです。一概にどれが正解とは言えませんから、自分たちにとってより良い方法を検討してみてください。 どれを選ぶべきか悩んだときには、専門家に相談したり、実際に不動産査定を受けてみたりするのもおすすめです。不動産相続の注意点や、相続対象となる物件の価値がわかれば、これから先どうしたいのか、相続人としての選択肢も見えてくるのではないでしょうか。

  • 「養子縁組」は遺産の相続税対策になる?仕組みや方法・注意点を解説

    平成27年1月実施の法改正により、相続税の基礎控除額が大幅に減額されました。これにより、相続税を支払わなくてはならない人の数も増加。だからこそ、相続税対策の重要性も増してきています。相続税対策の具体的な方法をリサーチしている方にとって、選択肢の一つになり得るのが「養子縁組」です。養子縁組が相続税対策になる理由や、実践する際の注意点を解説します。 養子縁組が相続税対策になる理由は? 養子縁組が相続税対策になる理由は? 養子縁組や相続税対策になる理由は、相続税の基礎控除額が決定される仕組みにあります。相続税は、受け継ぐ遺産の金額が基礎控除内におさまっていれば課税されません。基礎控除額を求める式は以下のとおりです。 【3,000万円+(600万円×法定相続人の数)】 このように、相続税の基礎控除額は法定相続人の数によって左右されます。仮に法定相続人が配偶者と子どもの合計2人であった場合、基礎控除額は4,200万円です。一方で法定相続人が10人いれば、9,000万円まで相続税が課税されない計算になります。 養子縁組は、法定相続人を増やす行為です。養子にも実子と同じように相続権が認められています。仮に養子縁組で法定相続人が2人増えれば、それだけで「相続税の基礎控除額も1,200万円アップする」というわけです。 また生命保険金や死亡退職金にも、相続人の数で金額が変わる非課税枠が用意されています。 生命保険金の非課税枠 → 【500万円×法定相続人の数】死亡退職金の非課税枠 → 【500万円×法定相続人の数】 すべてを活用した場合、養子による節税効果は非常に高いと言えるでしょう。 また仮に、養子縁組をしても相続税が発生してしまうとしても、相続人が増えれば1人当たりの相続財産の金額は減ります。すると相続税が課税される税率が低く抑えられるため、節税につながるというわけです。 相続税対策で養子縁組をする場合の注意点4つ 養子縁組で相続税対策をする仕組みは、いたってシンプルです。とはいえ、実際にこの方法で相続税対策を行った結果、トラブルに巻き込まれたり落とし穴にはまってしまったりするケースも少なくありません。4つの注意点を紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。 ★1.養子縁組で相続税対策できる人数には制限がある 上で説明したとおり、養子縁組による節税効果は十分にあります。とはいえ、「だったらどんどん養子を増やせばいい!」というわけにはいきません。法定相続人に含められる養子の数には制限があるからです。被相続人に実子がいる場合、法定相続人に含められる養子の数は「1人」です。実子がいない場合は「2人」まで認められています。 ただし養子を「特別養子縁組」で迎え入れていた場合、こちらのルールは適用されません。 特別養子縁組の場合、 ・子どもが15歳までであること・子どもの福祉のために必要であると認められること・裁判所の許可が得られること など、厳格な条件を満たす必要があります。 特別養子縁組で迎え入れた子どもは、実親との法律上の親子関係を解消し、新たに養親との間に親子関係を結ぶことに。血縁上は養親であっても、法律上は親子関係が認められているため、たとえ養子が3人以上いたとしても全員が法定相続人になれるというわけです。 ★2.養子は実子と同じように遺留分を請求できる 相続税対策を目的に養子縁組を行う場合、注意しなければならないのが、養子の相続分についてです。税金対策だけを目的にするなら、「養子を迎え入れて基礎控除額や非課税枠をアップさせたうえで、すべての財産を実子に残せるよう遺言を残せばよい」と思うかもしれません。 しかし法定相続人となった養子には、その他の相続人と同様に「遺産を相続する権利」が認められています。たとえ「実子にすべての財産を譲る」という遺言を残したとしても、養子には遺留分を請求する権利が認められているのです。遺留分をめぐってトラブルに発展する可能性があります。 ★3.相続税が2割加算される可能性がある 相続税の節税のために養子縁組をした結果、相続税が加算されてしまうケースもあります。それが、「孫を養子にして、祖父母から孫へと直接遺産を受け継ぐ場合」です。祖父母から父母、そして孫へと受け継がれる場合、相続税が2回発生する可能性があります。孫を祖父母の養子にして直接相続させれば、相続税を1回分節約できるでしょう。 とはいえこの方法は不公平なもの。相続税を2割加算することで、公平性を維持しています。知らないまま手続きすると「想像以上に相続税が高かった!」という事態に陥りかねませんから、注意してください。 ★4.その他の相続人の理解を得られない可能性がある 養子縁組で相続人を増やせば、相続税の負担は減らせるかもしれません。しかしそのほかの相続人たちにとっては、自分自身の取り分が減るということ。特に「遺産相続のために形式だけ養子になった」という場合、理解を得られない可能性があります。 このケースで特に多いのは、「同居する子どもの配偶者」を養子にして法定相続人にするケースです。同居する子どもの配偶者に生前非常にお世話になったとしても、法律上は法定相続人に含まれません。「より確実に遺産を受け取ってもらえるように」との思いで養子縁組するケースがあります。 とはいえ、同居していない子どもにとっては、「自身の取り分が減る」ということ。納得できない可能性も十分にあるでしょう。同居中の子ども夫婦と、兄弟姉妹夫婦の間で、相続をきっかけとした親族間トラブルに発展してしまう恐れがあります。 相続税対策の養子縁組でトラブルを起こさないために 相続税対策の養子縁組でトラブルを起こさないために 相続税対策に養子縁組をすれば、一定の効果が期待できるでしょう。とはいえ、しっかり検討しないまま決めてしまうと、思わぬトラブルを招いてしまう可能性も。まずは一度、相続に関する専門知識を有する専門家に相談するのがおすすめです。税理士を探し、アドバイスをもらいましょう。 相続税対策の方法は、養子縁組だけではありません。養子縁組以外の方法を選んだ方が、より効率的に相続税対策ができる可能性もあるでしょう。またそれ以前に、相続税の特例や控除を使えば、「わざわざ特別な対策を採らなくても、相続税の負担なく財産を引き継げる」というケースも存在しています。 その他の方法も検討したうえで「やはり養子縁組を」と思う場合には、その他の相続人に対する、丁寧な説明が必須です。なぜ養子縁組をするのか、なぜ養子にも財産を残したいのかが明らかになれば、遺産分割について納得したうえで受け入れられる相続人も多いはずです。相続税対策で養子縁組を選ぶのであれば、特に慎重に話を進めていってください。

  • 遺産相続を弁護士に依頼!報酬は誰が払う?お金に困った場合の対処法も

    遺産相続をスムーズに進めていくため、弁護士への依頼を検討する方も多いのではないでしょうか。弁護士に依頼すれば、法律に関する専門知識をもとに、さまざまな手続きをしっかりとサポートしてもらえるでしょう。しかしその一方で「弁護士費用が不安…」と感じがちです。遺産相続を弁護士に依頼した場合、報酬は誰が支払うものなのでしょうか?お金がない場合の対処法も解説します。 遺産相続を弁護士に依頼!具体的に対応してもらえる業務とは? 遺産相続を弁護士に依頼!具体的に対応してもらえる業務とは? 「遺産相続を弁護士に依頼」と聞いても、具体的に何をどうお願いできるのかよくわからない…と感じる方は多いものです。まずは遺産相続において、弁護士に何を依頼できるのか確認しておきましょう。 ・遺言書の作成サポート・遺言執行・遺産相続に関するトラブルの解決サポート(代理交渉など)・相続放棄・遺留分侵害額請求 たとえば、自分自身が遺言書を残したいと思う場合、弁護士に依頼することで、遺言書の内容決定から具体的な遺言書作成まで、すべてをサポートしてもらえます。遺言書が法的に無効と判断されるリスクもありませんし、遺言書に記した内容に誤解が生じる恐れもないでしょう。相続財産や相続人に関する調査もお任せできるため、自身の手間は最小限に、より確実な遺言書を残せるはずです。 自身が相続人の立場であれば、親族間トラブルの解決や、各種手続きを依頼できます。遺産相続において、誰が何をどう受け継ぐのかなかなか決まらず、揉めごとに発展してしまうケースも少なくありません。弁護士に依頼すれば、法的知識をもとに、遺産分割をスムーズに行えるようサポートしてくれるでしょう。自分自身の代理人として、親族と交渉してもらうことももちろん可能です。 相続放棄や遺留分侵害額請求についても、弁護士に依頼すれば不安なく進めていけます。「初めてで何もわからない…」という場合でも、弁護士に相続を依頼すれば、確実に手続きを済ませられるでしょう。 弁護士報酬の目安と支払う人は? 相続問題を弁護士に依頼する場合に、気になるのが「弁護士報酬はいくらになるのか?」という点です。具体的な報酬金額は、依頼先事務所や依頼内容によっても違ってきます。まずは、弁護士費用の内訳についてチェックしてみましょう。弁護士に支払うお金は、以下のとおりです。 ・相談料(弁護士への相談時に発生する費用)・着手金(弁護士に正式に依頼した段階で支払う費用)・報奨金(依頼内容が完了し、成功した際に支払う費用)・手数料(事務手続きを行う場合に支払う費用)・日当(弁護士が遠方まで出張した際に支払う費用)・実費(役場に支払う手数料や収入印紙代、切手代など。交通費や宿泊費が含まれるケースも) 相談料・着手金・報奨金、それぞれの費用目安は以下のとおりです。 ・相談料 → 30分5,000円程度・着手金 → 20万円~30万円・報奨金 → 依頼人が受けた経済的利益の4~16% 相談料については、「初回無料相談」をうたう弁護士事務所も少なくありません。また報奨金については、「弁護士に依頼することで発生した経済的利益」から支払えば良いので、あらかじめ用意しておく必要はないでしょう。 また、ひと言で「相続」と言っても、依頼内容はさまざまです。弁護士に何を依頼するのかによっても、発生する費用は大きく違ってくるはずです。たとえば遺言書作成を依頼した場合の費用相場は10~20万円、遺言執行の場合は30~100万円程度です。相続放棄を依頼する場合、1人あたり5万~11万円が相場となるでしょう。 「実際に誰がその費用を支払うのか?」という点についてですが、基本的には依頼人本人が支払います。というのも、弁護士とは依頼人のために働くものだから。たとえば、遺産分割をめぐって親族間でトラブルが発生した場合でも、弁護士がいれば依頼人の利益のために動いてくれます。多少コストはかかっても、それ以上のメリットを期待できるケースも多いはずです。 一方で、遺言執行を弁護士に依頼する場合、誰か特定の相続人の味方となって働くわけではありません。この場合は遺産から弁護士報酬を支払い、残った分を分配対象にするのが一般的です。 弁護士費用が払えない場合の対処法3つ 相続を弁護士に依頼するメリットは多いものの、報酬金額は決して低額ではありません。「自分の力だけではどうにもならず、弁護士のサポートが必要だがお金がない…」といった場合には、どうすれば良いのでしょうか。対処法を3つ紹介します。 ★1.無料相談で相談してみる 弁護士費用の支払いに不安を感じている場合、まずは弁護士事務所の無料相談に出かけてみましょう。初回に限り、無料で相談に応じてくれる事務所は決して少なくありません。そこで、なぜ弁護士が必要なのかを説明するとともに、報酬支払いについて不安を抱えている旨を相談してみましょう。 自身が抱えている問題について、専門知識を有する弁護士に相談すれば、弁護士に依頼しなくても解決できる方法をアドバイスしてもらえるかもしれません。この場合、弁護士費用を支払う必要はなくなります。相談の結果、「やはり弁護士の介入が必要」と判断される場合には、ぜひ後払いや分割払いについても相談してみてください。 今はお金がなくても、弁護士の介入によって経済的利益が発生する可能性が高いのであれば、最終的な支払いに問題は生じないでしょう。柔軟に対応してくれる弁護士事務所を探してみるのがおすすめです。 ★2.法テラスを利用する もう一つおすすめなのが、法テラスの民事法律扶助制度を利用する方法です。収入や資産に関する基準をクリアしていて、また「勝訴の見込みがないとは言えない」という条件を満たす必要はあるものの、無料法律相談や弁護士費用の立て替えといった制度を利用できます。 法テラスの無料法律相談を使えば、1つの問題につき3回まで無料で相談可能です。また弁護士費用についても、「いったん法テラスが支払いを行い、その後法テラスに対して分割で支払いをする」という形式を選択できます。 民事法律扶助を利用できるかどうかの条件は、非常に複雑です。法テラスのサイトに掲載された情報や電話相談も活用し、自身が対象に入るかどうか確認してみてください。 遺産相続を弁護士に依頼してスムーズに進めよう 遺産相続を弁護士に依頼してスムーズに進めよう 遺産相続を弁護士に依頼するメリットは多々あります。スムーズに手続きを進めていけますし、早い段階から専門家に入ってもらうことで、親族間トラブルを予防する効果も期待できるでしょう。報酬面で不安がある場合には、弁護士事務所に相談してみたり、法テラスの民事法律扶助を使ったりするのがおすすめです。金銭面での不安を解消し、より良い相続を目指してみてください。

  • 公正証書遺言を自力で作成したい!流れと注意点を解説

    自筆証書遺言よりも、より確実に最期の意思を届けられる公正証書遺言。弁護士や司法書士に作成をサポートしてもらうケースも多いですが、費用節約のため「自分でやりたい!」という方もいるのではないでしょうか。公正証書遺言を自力で作成するためのポイントを、わかりやすく解説します。 そもそも公正証書遺言とは? そもそも公正証書遺言とは? 公正証書遺言とは、遺言を残したい人が公証人の前で内容を伝え、それをもとに公証人が遺言書を作成するという、遺言書普通遺言方式の一つです。自筆証書遺言とは違って、遺言内容を自分で記す必要はありません。自分の口で伝えるだけで、専門家が正式な書類に仕上げてくれるというメリットがあります。 公正証書遺言の場合、「遺言書の形式が一定のルールを満たしていないため、法的に無効になる」といった事態はまず起こりえないでしょう。終活ブームの今、自筆証書遺言を残す方も増えてきていますが、「より確実な遺言書を」と願う方々には公正証書遺言の方が人気です。 公正証書遺言を残すために欠かせない公証人は、長年、裁判官や検察官として実務を行ってきたような、いわゆる「法律のプロ」が担当しています。また公正証書遺言の場合、自身が亡くなったあと、相続人となった家族が「検認」の手続きをする必要はありません。 「自筆証書遺言よりも面倒…」といった理由で敬遠されてしまうケースもありますが、メリットも多い遺言形式です。ぜひ自分で作成する方法をチェックして、挑戦してみてください。 公正証書遺言作成の流れ ではさっそく、公正証書遺言を作成するための流れについて確認していきましょう。 1.公証役場に連絡し、相談のための予約を取る2.予約の日時に公証役場を訪れ、公証人と遺言内容について確認する3.必要書類をそろえて、公証役場に提出する4.遺言を作成する日程を決める5.遺言作成日に、証人2人とともに公証役場を訪れる6.公証人に遺言内容を伝える7.遺言者と証人が内容を確認し、署名押印する8.公証人が署名押印して、遺言書の完成 公正証書遺言を作成する場合、公証人との間での事前打ち合わせが必要です。スケジュールに余裕を持って、話を進めていきましょう。また公正証書遺言を残す際に必要な書類は以下のとおりです。 ・本人の印鑑証明書・戸籍謄本・本人確認資料(※顔写真入り)・受遺者の住民票(※法定相続人以外に財産を残したい場合)・固定資産税納税通知書または固定資産評価証明書(※遺産に不動産が含まれている場合)・登記簿謄本(※遺産財産に不動産が含まれている場合)・証人に関する資料(氏名・住所・生年月日・職業を記載)・証人の認印 公正証書遺言を残すために必要な書類は、どういった内容の遺言書を残すのかによっても違ってきます。自分の場合はどの書類を用意すれば良いのか、遺言内容の打ち合わせをする際に、公証人に確認しておきましょう。 また公正証書遺言を残すためには、公証役場に手数料を支払わなくてはいけません。金額は遺言を残したい財産の総額によって違ってきます。具体的な金額については、以下を参考にしてみてください。 100万円以下 → 5,000円100万円~200万円以下 → 7,000円200万円~500万円以下 → 11,000円500万円~1,000万円以下 → 17,000円1,000万円~3,000万円以下 → 23,000円3,000万円~5,000万円以下 → 29,000円5,000万円~1億円以下 → 43,000円※財産が1億円以下の場合、手数料(遺言加算)11,000円が追加。※財産が1億円を超えた場合は5,000万円ごとに13,000円を追加。※3億円を超えた場合は5,000万円ごとに11,000円が追加。※10億円を超えた場合は5,000万円ごとに8,000円が追加。 仮に4,000万円の財産に関する遺言書を作成した場合、公証役場に支払う手数料は29,000円+11,000円(遺言加算)=40,000円です。また遺言で複数の相続人を指定する場合、相続人別に手数料が発生するので注意しましょう。同じ4,000万円の財産を相続人2人にそれぞれ3,000万円と1,000万円渡したい場合、手数料は23,000円+17,000円+11,000円(遺言加算)=51,000円です。 自分で公正証書遺言を作成する際の注意点3つ 自分で公正証書遺言を作成する場合、以下の3つのポイントに注意してください。 ★証人2人は誰でも良いわけではない 公正証書遺言を残すためには、証人を2人用意しなければいけません。未成年者や推定相続人、遺言で財産を受け取る予定の人や公証人の身近な人は証人になれないため、注意しましょう。遺言の内容を耳にする立場ですから、信頼できる相手を見つけることが重要です。 自分で証人を用意できない場合、公証役場にお願いして紹介してもらうことも可能です。この場合、証人1人につき10,000円~20,000円の御礼を支払う必要があります。 ★公証人は遺言の内容にアドバイスしてくれるわけではない 公正証書遺言を残すためには、事前に公証人との間で、相談する必要があります。とはいえこちらは、あくまでも遺言の「形式」や「法律」に関する確認です。遺言の具体的な内容について、相談に乗ってもらえるわけではありません。 たとえば、 ・親族間トラブルを回避するためにはどうすれば良いのか?・誰にどの財産を譲れば良いのか?・相続税は発生するのか? このような内容についての相談は不可能です。 公証人の仕事は、あくまでも法的に有効な遺言書を残すこと。たとえ遺言内容に誤りや不都合があったとしても、法的に問題なければ、そのまま遺言書として残されるでしょう。法的に有効な遺言書が持つ効力は非常に大きいですから、自身の死後、結果として本来の意図とは異なる形で遺産分配が行われてしまう恐れもあります。 自力で公正証書遺言を作成する場合、相続や法律に関する基礎知識は、事前にしっかりと身につけておきましょう。 ★遺留分への配慮が重要 「公正証書遺言を残したい」と思う方の中には、「自身の死後、親族間で争いが起きるのを回避したい」という方も多いはずです。余計なトラブルを回避するためには、ぜひ遺留分にも配慮した内容を心掛けてみてください。 たとえ公正証書遺言に、「相続人の1人のみに全財産を譲る」と記したとしても、その他の法定相続人には遺留分を請求できる権利があります。最初から遺留分を踏まえた内容を記しておけば、トラブルが発生するリスクを少なくできるでしょう。 公正証書遺言は必要に応じて専門家に相談を 公正証書遺言は必要に応じて専門家に相談を 公正証書遺言は、自力作成も可能です。とはいえ、その内容については自分自身で決定し、必要な手続きを進めていかなくてはいけません。専門家に依頼すれば、コストはかかりますが自身の意思を遺言内容に反映させやすくなるでしょう。メリット・デメリットを踏まえて、自分にとってベストな作成方法を検討してみてください。

  • 「遺言書情報証明書」とは?記載内容や使い方・請求方法まで

    令和2年より、自筆証書遺言を法務局に保管できる「自筆証書遺言書保管制度」がスタートしています。この制度を利用するなら、ぜひ「遺言書情報証明書」についても、基礎知識を学んでおきましょう。遺言書情報証明書とはどのような書類で、相続手続きにおいてどう使えば良いのでしょうか。必要になった場合の請求方法まで、詳しく紹介します。 遺言書情報証明書とは? 遺言書情報証明書とは? 遺言書情報証明書とは、遺言書の内容を証明できる重要書類の一つです。証明書には、以下のような情報が含まれています。 ・遺言者の氏名・出生年月日・住所および本籍(または国籍等)・遺言書が作成された年月日・遺言書の保管された年月日・遺言書が保管されている遺言書保管所・保管番号・受遺者の氏名と住所(※受遺者がいる場合のみ)・遺言執行者の氏名と住所(※遺言執行者がいる場合のみ)・遺言書の画像情報(※目録を含む) つまり、遺言書情報証明書を取得すれば、遺言書に記された情報を把握できるというわけです。 令和2年の自筆証書遺言書保管制度のスタートにより、遺言書情報証明書にも注目が集まっています。というのも、遺言者が自筆証書遺言書保管制度を利用していた場合、相続人は遺言書の原本を目にする機会がないため。画像データとして保管されていた遺言書の内容を遺言書情報証明書として取得し、各種相続手続きを進めていくことになります。 「遺言書が原本ではなくても相続手続きが可能なのか?」と不安を感じる方もいるでしょうが、遺言書情報証明書であれば大丈夫です。銀行に持ち込んで被相続人の預金を解約することも、不動産の相続登記を行うことも可能になります。 遺言書情報証明書のメリット まだまだ新しい制度のため、「遺言書情報証明書がなぜ必要なのかよくわからない…」と感じる方も多いのではないでしょうか。遺言書情報証明書を利用するメリットについてお伝えします。 遺言書開封時の検認が必要ない 自筆証書遺言で遺言書が残されている場合、相続が発生しても、すぐにその内容を確認できません。偽造や変造を防ぐため、家庭裁判所にて「検認」と呼ばれる手続きが必要になります。検認とは、遺言書の内容を裁判所で最初に確認し、問題がないことを証明するためのもの。遺言書の公平性や正確性を保つために欠かせない手続きではありますが、「申し立てから検認の完了まで、時間がかかってしまう」というデメリットがあります。 被相続人が同じ自筆証書遺言を残していた場合でも、法務局に預け、相続人が遺言書情報証明書を取得する形式であれば、検認は必要ありません。法務局から入手した証明書をその場ですぐに確認し、その内容のもと、具体的な相続手続きをスタートできるでしょう。 自筆証書遺言書保管制度で法務局に預けられた遺言書は、実際に相続が発生するまで、遺言者以外はその内容を確認できない仕組みになっています。保存された画像データを提示する遺言書情報証明書であれば、偽造や変造の恐れはありません。よって検認手続きが不要となるわけです。被相続人にとっては、より正確な遺言書を残せるというメリットがありますし、相続人にとっては相続手続きの手間を省けるというメリットが発生します。 全国どこからでも交付請求ができる ここまでお伝えしてきたとおり、遺言書情報証明書は、遺言書の原本から作られた画像データです。その情報は、日本全国どの遺言書保管所からでも手続きが可能で、楽に取得できるでしょう。わざわざ遠方まで出向く必要もありませんし、相続人にとって利便性の高い保管所を選択することも可能です。こちらも、相続手続きの手間削減につながるでしょう。 3.自筆証書遺言書保管制度のメリットも多い遺言書情報証明書は、自筆証書遺言書保管制度に付随する証明書です。自筆証書遺言書保管制度を利用するメリットも、決して少なくありません。 たとえば自筆証書遺言書保管制度を使えば、遺言者が亡くなった際に、遺言書の存在をあらかじめ指定しておいた相続人等に通知できます。自筆証書遺言の場合、せっかく遺言書を残しても、発見されないまま終わってしまうというケースも存在しています。通知があれば、このようなリスクはなくなるでしょう。 また実際に遺言書を作成して法務局に保管する際には、窓口にて遺言書の形式ルールチェックを受けられます。遺言書のルールが守られておらず、法的に無効と判断される恐れがある場合、アドバイスをもとに訂正できるでしょう。遺言の内容そのものへのアドバイスではありませんが、遺言書無効リスクを低減できるはずです。 これらのメリットを頭に入れて、ぜひ遺言書情報証明書および自筆証書遺言書保管制度の活用について検討してみてください。 遺言書情報証明書を取得するための流れ 遺言書情報証明書を相続人が取得できるようになるのは、遺言者が亡くなったあとです。生存中は、遺言書の存在を知っていても証明書の取得はできませんので注意してください。取得手続きは、以下の流れで進めていきます。 1.交付請求を行う遺言書保管所を決定する2.必要事項を記載し、交付請求書を作成する3.希望する遺言書保管所を予約する4.予約日時に遺言書保管書へ行き、交付請求書と必要書類を提出する5.証明書を受け取る 交付請求を行う遺言書保管所は、日本全国どこでも選べます。ただし実際に保管所に出向いて請求手続きを行う場合、事前予約が必須。「わざわざ時間を合わせるのが難しい」という場合には、郵送での手続きを選んでみてください。この場合、予約も訪問も必要ありません。 遺言書情報証明書を交付してもらうために必要な書類は、以下のとおりです。 ・遺言者の死亡を確認できる書類(戸籍謄本等)・請求者の住民票の写し・法定相続情報一覧図の写し・相続人である事実が確認できる戸籍謄本や法人の代表者事項証明書など・身分証明書(顔写真付き)・手数料(1通につき800円) 法定相続情報一覧図の写しがない場合は、遺言者の出生から死亡までのすべての戸籍謄本と相続人全員の戸籍謄本、相続人全員の住民票の写しを用意しましょう。二度手間にならないよう、必要な書類についてあらかじめしっかりと確認した上で、手続きを進めてください。 遺言書情報証明書を取得して相続手続きをスムーズに 遺言書情報証明書を取得して相続手続きをスムーズに 遺言者が自筆証書遺言書保管制度を利用して遺言を残していた場合、相続手続きを進めるためには遺言書情報証明書を取得する必要があります。取得時には手間と時間、そして手数料が発生しますが、検認手続きは不要に。そのまま相続手続きを進めていけます。基本的な知識を身につけた上で、制度を活用してみてください。

  • 厚生年金の種類を解説…必要十分な保障のための基礎知識

    会社勤めをしている人にとって、厚生年金とは、「よくわからないまま加入している年金制度」といったイメージも強いのかもしれません。保険料は給与から天引きされるため、「支払っている」という意識が乏しい点も特徴的だと言えるでしょう。とはいえ将来の保障を考える上で、厚生年金にまつわる基本的な知識はマスト。身につけておいて損はありません。厚生年金の種類や、将来の保障を考える際のポイントなどについて、わかりやすく解説します。 厚生年金制度とは? 厚生年金制度とは? まずは厚生年金制度の概要についておさらいしておきましょう。 日本の公的年金は、基礎年金と厚生年金の2つで構成されています。基礎年金とは、原則として20歳以上のすべての国民に加入が義務付けられているもの。加入期間は60歳まで続きます。 一方で厚生年金に加入できるのは、会社員や公務員として仕事をしている人のみです。厚生年金加入は、法人もしくは5人以上の従業員を雇用している個人事業主に課せられた義務の一つ。保険料は事業主と従業員が半分ずつ支払う仕組みになっています。 基礎年金だけではなく厚生年金にも加入している人は、将来的に受け取る年金額がアップします。基礎年金とは違い、厚生年金の保険料は、毎月の給料やボーナスの金額によって違ってくるもの。受け取る給料の額が大きければその分保険料も高くはなりますが、将来受け取る年金額も増えるでしょう。厚生年金で自分が支払う保険料が多くなるということは、その分会社負担分も増えるということです。長い目で見れば、非常にお得な制度です。 厚生年金の種類 厚生年金と言えば、「老後の生活を支えるための資金」というイメージを抱いている方も多いのではないでしょうか。しかし実際には、厚生年金の種類はそれだけではありません。3つの種類を紹介するので、ぜひチェックしてみてください。 ★老齢厚生年金 「年金」と言われて、最初に思いつくのはやはり老齢年金でしょう。厚生年金で受給できる老齢年金は、「老齢厚生年金」と呼ばれています。基本的には、65歳から受給可能です。仕事から引退したあと、老後の生活を支えるお金と言えるでしょう。 老齢厚生年金は、老齢基礎年金にプラスして支給されますが、受給額は以下のようなポイントに左右されます。 ・現役時代にどれだけ厚生年金に加入していたか?・どれだけの厚生年金保険料を納めてきたか? 基本的に国民全員が加入する国民年金とは違い、厚生年金の加入実績は人それぞれで異なります。自分がどれだけの年金を受け取れるのか気になったら、年金定期便にてチェックするのがおすすめです。 ★障害厚生年金 障害年金は、病気やけがが原因で障害が残ってしまった場合など、一定の条件を満たすことで支給される年金を指します。国民年金から支給される年金を「障害基礎年金」、そして厚生年金から支給されるのが「障害厚生年金」です。 障害厚生年金を受給するための主な条件としては、 ・初診日が厚生年金加入中である・障害等級が1級・2級・3級のいずれかにあたる などが挙げられるでしょう。障害等級が1級もしくは2級の場合、障害基礎年金と障害厚生年金をセットで受給できます。障害等級が3級の場合は、障害厚生年金のみが受給対象となります。 ★遺族厚生年金 遺族年金は、生計を一にする家族の中で主にお金を稼いでいた人が亡くなった場合に、生計を維持されていた家族を対象に支給される年金のこと。こちらも、国民年金から支給される遺族基礎年金と厚生年金から支給される遺族厚生年金の2種類があります。 遺族厚生年金を受給できるのは、亡くなった人の配偶者と子、父母、孫、祖父母のいずれかです。誰が受け取るのか自分たちで決定できるわけではなく、受給者としての順位がもっとも高い人が受給し、それ以外の人に受給権は発生しない仕組みになっています。 このように、厚生年金とは「年をとったときだけに活躍する制度」というわけではありません。障害や死亡など、予期せぬ理由で働けなくなった場合でも、その後の自分や家族の生活を支える柱になってくれるでしょう。いざというときに素早く手続きするためにも、ぜひ年金制度の基礎知識を頭に入れておいてください。 将来の保障を考える上でのポイントとは? 将来の保障を考える上でのポイントとは? 結婚し子どもが生まれると、「自分に万が一のことがあっても、家族の生活を守れるように」という理由で、将来の保障について真剣に考え始める方も多いのではないでしょうか。子どものための学資保険や、万が一のときのための生命保険は、積極的に検討したいところです。 保障が手厚い保険に加入すれば、万が一のときでも安心して生活できるでしょう。しかし一方で、保障が手厚い保険は、「保険料が高い」という特徴があります。特にまだ子どもが小さい時期に、「保険料に多額のお金を費やすのはちょっと…」と思ってしまうのも無理はありません。 こんなとき、ぜひ頭に入れておきたいのが厚生年金の種類についてです。先ほどもお伝えしたとおり、厚生年金は「老後のため」だけのものではありません。一から保険に加入するのではなく、「万が一のときには障害厚生年金や遺族厚生年金を受け取れる」という認識の上で、足りない保障をプラスしていくのがおすすめです。 遺族厚生年金で受け取れる金額は「老齢厚生年金の報酬比例部分の4分の3」と定められています。報酬比例部分は平均標準報酬額から計算できますから、具体的な金額も導き出せるでしょう。「一家の大黒柱である自分が亡くなったあとも、家族が生活に困らないように」との目的で生命保険に加入するのであれば、遺族厚生年金分は保障を減らせます。保険料負担も、その分軽くなるでしょう。 将来のための保障で、今の生活が苦しくなっては意味がありません。公的年金制度もしっかりと活用し、金銭面での準備を十分に整えたら、ぜひ今の家族の生活を充実させる工夫も取り入れてみてください。 厚生年金制度をしっかり理解し無駄のない保障を組み立てよう 「もしも将来、万が一の事態になってしまったら…」という不安は、誰もが抱くものです。特に子どもが生まれると、今後の家計の見通しが難しくなります。将来の安心のため、手厚い保障に惹かれる方も多いのではないでしょうか。 とはいえ公的年金制度にも、「万が一の事態が発生した場合に、家族の生活を守るための保障」は組み込まれています。すべてを私的な年金や保険でカバーしようとするのではなく、ぜひ両者を上手に組み合わせて、無駄のない保障設計を意識してみてください。経済的な負担を減らしつつ、将来への安心感も得られるのではないでしょうか。

  • 遺族厚生年金の受取人が知っておくべき「失権・支給停止」に関する基礎知識

    一家の大黒柱として働いていた人が亡くなった際に、残された遺族の生活の支えとなるのが遺族厚生年金です。受給するためには一定の条件を満たす必要はあるものの、継続的に支給される年金に対して、「あって良かった」と感じる方は多いでしょう。しかし遺族厚生年金には、「失権」や「支給停止」もあります。いったいどのような条件で失権や支給停止になってしまうのか、受取人として知っておきたい基礎知識を紹介します。 遺族厚生年金とは? 遺族厚生年金とは、亡くなった人によって生計を維持されていた家族が受け取れる遺族年金です。一般的な年金システムと同様に、遺族年金においても遺族基礎年金と遺族厚生年金の「2階建て」構造が採用されています。 遺族基礎年金の受給要件は非常に厳しく、「一定条件を満たした子ども」がいなければ、たとえ配偶者であっても受給できません。一方で遺族厚生年金の支給対象は、遺族基礎年金よりも広く、より多くの遺族の生活を支えてくれるでしょう。 なお遺族厚生年金は、生前に厚生年金制度に加入し、一定の条件を満たしている人が亡くなった場合にのみ対象になります。たとえば個人事業主やパートタイマーなど、生前に厚生年金制度に加入していなかった人が亡くなっても、遺族厚生年金は支給されません。 遺族厚生年金の「失権」「支給停止」とは? 遺族厚生年金の「失権」「支給停止」とは? 遺族厚生年金には、「失権」や「支給停止」という制度があります。一定の条件に当てはまると、遺族厚生年金を受け取れなくなってしまうので注意してください。 「失権」とは、遺族厚生年金の受給資格を失うことを意味しています。残念ながら受給資格の復権はありませんから、遺族厚生年金の受給は二度とできなくなります。一方で「支給停止」とは、遺族厚生年金の支給が、一時的にストップされること。失権とは違い、状況が変われば支給停止が解かれ、再受給も可能となるでしょう。 どちらも「遺族厚生年金を受け取れない」という状況には変わりありませんが、今後について考えるなら、両者の意味合いは大きく異なります。もしも失権や支給停止の要件に当てはまってしまう場合、今後の対応について慎重に検討してみてください。 遺族厚生年金が失権する理由 では具体的に、どのような事態になると、遺族厚生年金の受給権を失権してしまうのでしょうか。主な事由は以下のとおりです。 ・受給者が死亡したとき・受給者が婚姻したとき・受給者が養子になったとき(※直系血族及び直系姻族以外と)・受給者が離縁し、親族関係が終了したとき・子または孫が18歳の誕生日を迎え、最初の年度末に達したとき(障害等級が1級または2級の場合は20歳)・子どものいない30歳未満の妻が、遺族厚生年金の受給権を取得した日から5年が経過したとき・子どものいる30歳未満の妻が、30歳に達する前に遺族基礎年金の受給権を失い、それからさらに5年が経過したとき 失権に関するルールは非常に複雑で難しいもの。受給者本人が亡くなったときはわかりやすいですが、別の人と婚姻した際にも、受給権が失権してしまう事実を頭に入れておきましょう。これは法律上の婚姻関係だけではなく、事実婚や内縁関係においても当てはまります。 また、先ほどもお伝えしたとおり、一度失権した受給権が復活することはありません。婚姻によって受給権を失った人が、その後「離婚したから」という理由で再度遺族厚生年金を受給するのは難しいでしょう。 失権に関する条件は、受給者の立場がどういったものかによっても違ってきます。不安な点があれば、年金事務所に直接問い合わせ、相談してみるのがおすすめです。 遺族厚生年金が支給停止になる理由 遺族厚生年金は、一定の条件を満たすと支給停止になってしまいます。こちらについても、具体的な理由についてチェックしておきましょう。 ・労働基準法で定められた遺族補償が行われるとき(死亡日から6年間の支給停止)・受給権を持つ夫、父母または祖父母が60歳未満のとき(60歳に達するまでの間は支給停止)・受給権者の所在が1年以上明らかでないとき など このほかにも、遺族厚生年金の受給者となれるのは、基本的に「1名のみ」です。たとえば、夫が亡くなり、妻が受給権を有している間、子ども自身に対する遺族厚生年金の支給はストップされます。妻が婚姻や死亡により受給権を失権した場合、子どもの支給停止は解除され、年金の支払いがスタートする仕組みです。 また遺族年金には、「大黒柱を失った妻や子どもが路頭に迷わないように」という考えが、まだまだ根強く残っています。このため、夫や父母が受給権者になる場合のルールは、妻がなる場合よりも厳格です。60歳未満で遺族年金を受け取ることはできず、60歳に到達して初めて支給停止が解かれる仕組みになっています。 各種手続きに必要な書類は? 遺族厚生年金の受給権を失権する場合、10日以内に「遺族年金失権届」を提出する必要があります。遺族年金失権届は年金事務所で手に入るほか、インターネット上でも公開されていますから、印刷して記入しましょう。書類に記載するのは、失権の理由や失権日、住所・氏名・生年月日等です。 一方で、支給停止になっていた人が受給権を得て、支給をスタートさせたい場合も手続きが必要です。年金事務所に対して「遺族年金受給権者支給停止事由消滅届」を提出しましょう。これは、「これまで支給停止になっていた事由が消滅したこと」を伝えるための書類です。記載内容は、支給停止事由が消滅した理由や日付など。遺族厚生年金を受けられる人が複数人いる場合は、全員の名前を記載して提出してください。 また「消滅の事由」によっては、各種添付書類を求められます。自分がどの事由に該当し、具体的にどういった書類を添付すれば良いのか悩んだら、年金事務所に問い合わせてみてください。何をいつまでに用意すれば良いのか、丁寧に教えてもらえるでしょう。 失権や支給停止に関わる決断はぜひ慎重に 失権や支給停止に関わる決断はぜひ慎重に 遺族厚生年金は、残された家族の生活を守る柱となってくれるでしょう。とはいえ残念ながら、半永久的に自動で支給されるわけではありません。自身の選択によっては、失権や支給停止になってしまう可能性もあるという事実を、頭に入れておきましょう。 特に婚姻や養子縁組は、失権や支給停止に関連しやすい決断です。現在遺族厚生年金を受け取っている場合、今後の収入の変化にも気を配りつつ、自身にとってより良い選択をしていく必要があるでしょう。具体的な行動を起こす前に専門家に相談すれば、「本来受け取れるはずのお金が受け取れなくなった!」といったリスクも防げるのではないでしょうか。

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