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  • 公正証書遺言で遺産トラブルを回避しよう!残し方・費用・注意点など基礎知識を解説

    公正証書遺言で遺産トラブルを回避しよう!残し方・費用・注意点など基礎知識を解説

    近年、「遺言書を残して遺産トラブルを回避しよう」と考える方が増えてきています。自身が残した遺産を巡って、大切な人たちが争うとしたら…これほど悲しいことはありません。なんとかして回避したいと思うのは、当然だと言えるでしょう。 しかし実際には、故人が失くした遺言書をきっかけに、さらなるトラブルが発生してしまう事例も存在しています。遺産トラブルを防ぐのに有効なスタイル、「公正証書遺言」について、わかりやすく解説します。 なぜ遺言書を残しても遺産トラブルが発生するの? 終活を意識し始め、各種情報サイトをチェックしてみると、「遺産トラブルを予防するためには遺言書が有効」という情報を目にする機会も多いのではないでしょうか。確かに遺言書が残されていれば、故人の思いに沿った相続が可能に。親族間のトラブルを予防するため、一定の効果が期待できるでしょう。 しかし実際には、遺言書が残されていても、遺産トラブルに発展してしまう事例は決して少なくありません。その理由は以下のとおりです。 ★1.遺言書が法的に有効と認められないから 遺言書にはいくつかのタイプがあり、いつでも好きなときに、自分の手で書き残せるものもあります。しかしこの場合、遺言書に必要な要件を満たしておらず、「法的に無効」と判断されてしまうケースも少なくありません。 遺言書が残されていても、法的に有効だと認められなければ意味がありません。相続人はあらためて遺産分割協議を行い、遺産相続の詳細を決定しなければならないのです。遺言書で遺産を多くもらえるように指定されていた人は、当然「故人の遺志」を尊重するよう求めるでしょう。一方で、その他の人は法定相続分に沿った手続きを求める可能性が高いです。法的に無効な遺言書によって、故人の遺志を確認できてしまうが故のトラブルだと言えるでしょう。 ★2.遺言書に記された内容が遺留分を侵害しているから 法的に認められる形で遺言書が残されていた場合でも、油断は禁物です。その内容によっては、やはり親族間のトラブルが発生してしまう恐れがあります。中でも注意しなければならないのが、遺留分についてでしょう。 遺留分とは、相続人が相続財産の中から最低限相続できる財産のこと。たとえ「全財産を○○に譲る」という内容が残されていたとしても、その他の相続人は遺留分を請求できます。最低限の財産を相続できるとはいえ、「いったいなぜこのような遺言が残されたのか?」という点で、トラブルが発生する恐れもあります。 ★3.遺言書に本人の意思が反映されているとは限らないから 被相続人が自分一人で作成し、自宅で保管されていた遺言書の場合、その内容の信ぴょう性がもとで、トラブルに発展するケースもあります。 ・認知能力が低下した状況で、誰かに書かされたのではないか?・すでに内容が改ざんされているのではないか? もしも本当に、遺言の強制や誘導、改ざんといった事実があれば、そこに故人の遺志は反映されていないことに。その信ぴょう性を巡って、騒動に発展する事例も決して少なくありません。 公正証書遺言とは?トラブル回避に有効な理由 上で説明したようなトラブルは、遺言の残し方に工夫することで予防できます。ぜひ公正証書遺言に注目してみてください。 公正証書遺言とは、公証人関与のもとで遺言書を作成する方法を言います。作成段階から専門家に手を貸してもらえば、 ・遺言書が法的に無効と判断されるリスクを防ぐ・遺言の内容についても事前に専門家に相談に乗ってもらえる・あとで内容が改ざんされる恐れがない といったメリットが発生します。遺言書にはさまざまな種類がありますが、公正証書遺言は「もっとも確実性の高い遺言」と言われているのです。 公正証書遺言は、第三者である「公証人」が作成します。出来上がった遺言書は、公文書として扱われ、いざ遺言が執行される瞬間まで厳重に管理されるでしょう。遺言を残した時点での故人の「意思」が、争点になる可能性も低くなります。 ただし公正証書遺言を作成するためには、相応の手数料を支払う必要があります。また作成までには、それなりの時間がかかってしまうでしょう。遺言書を残したいと思ったら、できるだけ早く行動に移すよう注意してくださいね。 公正証書遺言の残し方や費用を解説 公正証書遺言の残し方や費用を解説 ではここからは、実際に公正証書遺言を残すための流れや費用をチェックしていきましょう。公正証書遺言を作成するための手順は、以下のとおりです。 1.公証人との間で事前打ち合わせを行う2.証人になってくれる人を2人探す3.証人2人と共に公証役場に行き、遺言書を作成する4.同じ内容の公正証書遺言を3通作成し、1通を公証役場に保管する 公正証書遺言を作成する場合に、最初にやらなければならないのが公証人との打ち合わせです。公証役場に出向いたからといって、その場ですぐに遺言を作成できるわけではありません。遺言に残す内容など、事前の打ち合わせを済ませておきましょう。 また証人には、未成年や将来相続人になると推定される人は指定できません。また公証人の配偶者や、四親等以内の血族も指定できないというルールがあります。 信用できる人物2人に依頼するのが一番ですが、手間を省きたいなら専門家に依頼するのもおすすめです。事前打ち合わせや公証役場での手続きについても、専門家がしっかりとサポートしてくれるでしょう。遺留分についても、トラブルになりにくい遺言の残し方をアドバイスしてもらえるはずです。 公証役場では、公証人の本人確認や遺言内容の確認、公証人の筆記・読み聞かせといった手続きが行われます。遺言者と証人2名、さらに公証人が署名捺印することで、正式な遺言として認められるでしょう。 公証役場での手続きに必要な時間は、およそ30分前後です。また公正証書遺言を作成するためには、公証役場に手数料を支払わなければいけません。遺言の価格に応じて手数料の金額が変わってくるため、注意してください。 財産が100万円以下であれば手数料は5,000円です。一方で財産の価額が5,000万より上で1億円以下の場合の手数料は4万3,000円です。自身の財産の金額に合わせて、どれだけ必要になるのかあらかじめチェックしておきましょう。 遺産トラブルは少なくない!公正証書遺言で回避しよう 遺産トラブルは少なくない!公正証書遺言で回避しよう 遺産相続について、「まさか我が家でトラブルなんて…」と考える方は少なくありません。しかし実際には、相続に関して割り切れない思いを抱く人は多いもの。非常に根の深い、親族間トラブルの原因になる可能性もあるのです。将来のトラブルを予防するために、ぜひ公正証書遺言についても検討してみてください。 作成時に手間はかかっても、「法律的にほぼ確実な遺言書が残せる」というメリットは非常に大きいと言えるでしょう。トラブル回避を目的に遺言書を残すのであれば、ぜひ積極的に検討してみてはいかがでしょうか。

  • 遺産相続の手続きは自分で!具体的な進め方と注意点を解説

    遺産相続の手続きは自分で!具体的な進め方と注意点を解説

    40代~50代になると、いつか発生するであろう「相続」について、気になる方も多いのではないでしょうか。実家の親が亡くなれば、子どもはほぼ確実に法定相続人に数えられます。いざ相続が発生しても、「具体的に何をどう手続きすれば良いかわからない…」と悩む方は少なくありません。 遺産相続の手続きは、具体的にどう進めていけば良いのでしょうか。自分で手続きする場合の流れや注意点について解説します。 遺産相続とは?大まかな流れ 遺産相続とは、亡くなった人が所有していた財産を、相続人で分け合う手続きを言います。具体的にどういった流れになるのか、把握しておきましょう。遺産相続の流れは、「故人が遺言書を残しているかどうか?」によって、大きく違ってきます。 遺言書が残っている場合と、残っていない場合、それぞれについて大まかな流れをチェックしてみましょう。 ★遺言書が残されている場合 故人の遺言書が見つかった場合の流れは、以下のとおりです。 1.必要に応じて家庭裁判所にて検認の手続きをする2.遺言書の中身を確認する3.遺言書の内容に沿って、遺産を分割する4.口座の解約や不動産の名義変更といった手続きを完了させる 遺言書とは、故人の最期の思いを記した正式な書類です。法的効力を持つ正式な遺言書であれば、そこに記された内容に沿って相続手続きを進めていくのが基本。たとえ遺言書に記されていた内容が法定相続分とは異なっていても、遺言書の方が優先されます。 親族間で協議する必要がないため、争いごとを避けられる可能性も高いでしょう。また相続が発生してから、慌てて相続財産の調査をする必要もありません。 ただし遺言書が自宅で発見された「自筆証書遺言」の場合、家庭裁判所による「検認」と呼ばれる手続きが必要です。封がしてあるものを勝手に開けて中身を確認してしまうと、偽造や変造を疑われる原因に。5万円以下の罰金が科せられる恐れもあるため、注意してください。 遺言書の検認には、家庭裁判所への申し立てが必要です。以下の必要書類を揃えて手続きしてください。 ・申立書・遺言者の戸籍謄本、除籍謄本、原戸籍謄本(出生時から死亡時までのすべてを揃えて提出)・相続人の戸籍謄本(全員分) 検認には、少なくても1ヶ月以上の時間が必要になります。検認が必要な遺言書が発見されたら、できるだけ素早く申し立てを行いましょう。 ちなみに、残されていた遺言が公正証書遺言であったり、自筆証書遺言であっても法務局にて保管されていたりした場合には、検認は不要です。偽造や変造の疑いがないため、すぐに内容を確認し、その後の手続きを進めていけます。 ★遺言書が残されていない場合 遺言書が残されていない場合は、遺産相続について、相続人が協力して決定する必要があります。こちらの場合の大まかな流れは以下のとおりです。 1.相続人に関する調査を行い、確定する2.相続財産に関する調査を行い、確定する3.遺産分割協議を行う4.協議の内容に基づき、遺産分割協議書を作成する5.遺産分割協議書に基づいて、遺産を分割する6.口座の解約や不動産の名義変更といった手続きを完了させる 遺言書が残されていない場合、「誰が相続人になるのか?」「何が相続対象に含まれるのか?」を明らかにするところからスタートします。必要に応じて、専門家の手を借りることも検討してみてください。こうして調査された内容をもとに、遺産分割協議を行います。誰が何を相続するのか、この協議にて確定しましょう。あとはその内容に基づいて相続を完了させます。 言葉にすると非常にシンプルですが、実際には遺産分割協議がまとまらない事例や、話がこじれて訴訟にまで発展してしまう事例も少なくありません。ひとつひとつの問題を、丁寧に解決していく必要があるでしょう。 遺産の状況によっては相続放棄の検討も! 遺産の状況によっては相続放棄の検討も! 遺産相続の手続きを自分で進めていく場合、注意したいポイントのひとつが、相続放棄についてです。相続する財産の状況によっては、放棄した方が良いのかどうか、ぜひ冷静に検討してみてください。 遺産相続では、プラスの財産だけではなく、マイナスの財産も対象になります。相続する遺産を調査した結果、プラスの財産よりもマイナスの財産の方が多いようであれば、相続放棄を検討した方が良いでしょう。相続放棄には、「相続が発生したことを知ってから3ヶ月以内」という期限が存在しています。 遺言書の検認手続きや遺言書が残されていない場合の財産の調査は、相続放棄する可能性についても考慮した上で、時間に余裕を持って進めていくのがおすすめです。 相続放棄の手続きも、家庭裁判所にて進めていきます。申し立てが認められれば、「最初から相続人ではなかった」と法律的にも認められるでしょう。 ただし相続放棄すれば、これから先も含めて、すべての財産を相続する権利を一切失うことになります。また、もし自分よりも低順位の相続人がいれば、相続人は次の順位へと移っていくでしょう。こちらも考慮する必要があります。 遺産分割協議書の作成方法は? 遺産分割協議の結果は、遺産分割協議書に記します。自分で手続きする場合、以下の点に注意してください。 ・相続人や財産を、正確に記載・相続人全員分の、実印での捺印が必要 遺産分割協議書は、預貯金の解約や相続登記などで使用する正式な書類です。内容が不十分であれば、後々トラブルに発展する可能性も。協議で決まった内容を、正確に記載してください。また相続人全員分の実印が必要になる点も、早めに確認しておきましょう。 忘れてはいけない相続税の申告 相続手続きが完了したあとに、忘れてはいけないのが相続税の申告についてです。相続税の申告には、「被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10ヶ月以内」という期限があります。申告が必要な場合には、忘れないように注意しましょう。 相続する財産の総額が、相続税の基礎控除額に収まる場合は、相続税を申告する必要はありません。相続税の基礎控除額は、以下の数式で求められます。 【相続税の基礎控除額 =3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数】 亡くなった配偶者の遺産を受け継ぐ場合など、基礎控除額に収まらない場合でも、相続税が発生しないケースは多々あります。ただしこの場合、「相続税を申告した結果、ゼロ円になった」と判断されるため、申告手続きそのものは必要になるため、注意してください。 相続財産の調査の段階で、「相続税の基礎控除額を超えそうだ」と判断した場合、相続税の申告についても余裕を持って進めていきましょう。 遺産相続の手続きは自分で可能!ただし専門家の手を借りた方が良い場合も 遺産相続の手続きは自分で可能!ただし専門家の手を借りた方が良い場合も 比較的シンプルな遺産相続であれば、自分自身で手続きを進めていくことは十分に可能です。それぞれの手続きの期限を意識しつつ、ひとつずつ確実にこなしていきましょう。一方で、以下のような場合は、専門家の手を借りることをおすすめします。 ・仕事が忙しく、平日昼間に動けない・面倒な手続きが苦手・遺産分割協議で揉める可能性が高い 自分で進めていく場合には、ぜひ今回紹介した情報を参考にしてみてくださいね。

  • 「遺産放棄」とは?相続放棄との違いを知ってしかるべき手続きを

    「遺産放棄」とは?相続放棄との違いを知ってしかるべき手続きを

    ひと言で「遺産」と言ってもその実態はさまざまで、状況によっては「できれば受け取りたくない…」と考える方もいるでしょう。こんなとき、あらかじめ知っておきたいのが遺産を放棄するための手続きについてです。 このコラムでは、遺産を放棄するための手続き、「遺産放棄」について詳しく解説します。混同されやすい「相続放棄」との違いについても紹介するので、ぜひ今後の参考にしてみてください。 遺産放棄(財産放棄)とは具体的にどういうこと? 遺産放棄(財産放棄)とは、相続権を持っているにもかかわらず、「遺産を相続しない」という立場を表明することを言います。被相続人が亡くなり相続がスタートすると、まずは遺言書の有無が確認されるでしょう。遺言がなければ、その遺産は遺産分割協議によって、どう分けられるのか決定されます。この遺産分割協議にて、「財産を相続しない」と表明すれば、それが遺産放棄(財産放棄)に当たります。 遺産放棄は、法律で明確に定められた手続きではありません。よって事前に特別な準備をする必要もなく、その他の相続人に自身の決意を伝えればOKです。遺産分割協議でその希望が受け入れられれば、無事に遺産を放棄できるでしょう。 また遺産放棄を宣言したからといって、相続人としての立場を失うわけではありません。他の相続人との話し合いにはなるものの、「この遺産は放棄したいが、こちらだけは相続したい」など、柔軟な対応も可能です。後になって新たな遺産が見つかったときにも、またあらためて、相続人としての立場で話し合いに参加できるでしょう。 相続放棄との違いは? 遺産を受け取らない道を考えたとき、もう一つ検討したい道が「相続放棄」です。遺産放棄とよく似た言葉ではありますが、両者の意味合いは大きく異なります。それぞれの意味を正しく把握して、自身の思いに沿った方を選択しましょう。 相続放棄とは、相続人としての権利、つまり相続権そのものを放棄するための法的手続きです。法的にも自身の立場を明確にするため、一定期間内に家庭裁判所にて、必要な手続きを済ませる必要があります。家庭裁判所にて相続放棄が認められれば、その人は「最初から相続人ではなかった」とみなされるでしょう。相続順位は次の人に回され、今後何があっても、相続人としての権利を主張することはできなくなります。 相続放棄の手続きができる期間は、「相続を知った日から3ヶ月間」です。この期間を過ぎると、相続放棄の手続きは選択できなくなりますから、十分に注意してください。 「相続放棄は面倒だから遺産放棄で十分!」は間違い 「相続放棄は面倒だから遺産放棄で十分!」は間違い 遺産放棄が他の相続人に自身の意思を伝えるだけでOKであるのに対して、相続放棄するためには、家庭裁判所への申し立てが必須です。「どちらにしても財産を受け取らないのだから、より簡単な遺産放棄で十分なのでは?」と考える方もいるかもしれません。しかし、この考えは非常に危険です。 なぜなら、被相続人が残す「遺産」とは、常にプラスであるとは限らないからです。万が一、マイナスの財産が相続財産に含まれれば、遺産放棄の意思表明だけでは不十分です。債権者は、相続人に対しても借金を返済するよう求める権利が認められています。法律的にも「自分は相続人ではない」と明らかにしなければ、被相続人の代わりに、自身が借金を背負ってしまうでしょう。 いくら「自分は遺産を受け取っていないので」と説明しても、債権者には通用しません。法律をもとに動いている債権者の取り立ては、そのまま継続してしまいます。 プラスの財産とマイナスの財産の両方が残されている場合には、遺産放棄で十分なのか、それとも相続放棄の手続きを取らなければならないのか、特に慎重に判断する必要があります。遺産分割協議においても、「どうせ財産を相続しないから」と安易に考えるのは辞めましょう。どの遺産を誰がどのように引き継ぐのかを明らかにした上で、自身の立場を明確にするのがおすすめです。 遺産放棄を選んだ方が良いケースとは? 遺産放棄にも相続放棄にも、メリットとデメリットの両方があります。相続放棄のメリットは、相続人としての権利を放棄したという事実を、法的にも認められる点です。一方で、柔軟な対応が難しいというデメリットがあります。以下のようなケースでは、相続放棄よりも遺産放棄を選んだ方が、メリットが大きくなると予想されます。ぜひじっくり検討してみてください。 ★1.基本的には遺産を放棄しつつ、一部のみ受け取りたい場合 遺言書が残されていない場合の遺産相続では、法定相続分に沿って遺産を分配します。しかし、常に遺産を等分に分けられるとは限りません。特に、遺産に土地や建物といった不動産が含まれている場合、相続割合は非常に複雑になるでしょう。 たとえば、「不動産は要らないが、現金だけは受け取りたい」という場合、遺産放棄が有効です。不動産についてのみ遺産放棄をして、その他の財産については受け取りましょう。遺産放棄の手続きを上手に活用すれば、親族間の余計なトラブルを防止できる可能性があります。 ★2.将来的にさらに遺産が発見される可能性がある場合 被相続人が亡くなったあと、一定期間経ってから新たな遺産が発見されるケースもあります。この場合、最初の相続で相続放棄の手続きをすると、後で見つかった遺産についても相続する権利を失ってしまうでしょう。 「今現在明らかになっている遺産は受け取らない」と決めていても、将来的に状況が変化する可能性はゼロではありません。わざわざ相続放棄をするメリットがないのであれば、遺産放棄に留めておくのがおすすめです。将来遺産が発見された場合に、あらためて相続するのか、遺産放棄をするのか、それとも相続放棄をするのか、その時点の状況を考慮して決断できるでしょう。 ★3.相続権を次の順位に回したくない場合 相続放棄をしても遺産放棄をしても、「自分が遺産を受け取らない」という結果に変わりはありません。しかし「誰が相続人になるのか?」という視点で考えると、2つの手続きには非常に大きな差があるのです。 遺産放棄を選択する場合、自分自身が相続人として、「遺産を受け取らない」と決断することに。相続権は、当然自分のもとに残ります。一方で相続放棄をすれば、相続権は次の順位へと移っていきます。相続順位が移り、相続人の範囲が広がれば、さらなるトラブルを引き起こしてしまうケースもあるでしょう。 こうしたトラブルを防ぎたい場合も、「相続人の立場のまま遺産だけを受け取らない」遺産放棄には、意味があります。 今回紹介した3つのケースは、どれも「相続財産に負債が含まれていない場合」を想定しています。まずは負債がないかどうかを確認し、その上で、遺産放棄するべきかどうか、検討してみてくださいね。 遺産放棄と相続放棄を知って適切な手続きを 遺産放棄と相続放棄を知って適切な手続きを 自身の終活について考え始める時期は、身近な人からの相続について考え始めるべき時期でもあります。「遺産を受け取らない」という選択肢についても、ぜひ慎重に検討してみてください。 遺産放棄と相続放棄は、言葉は似ていますが、もたらす結果は大きく違ってきます。それぞれの基礎知識を身につけた上で、自分にとって必要な手続きを選択するのがおすすめです。

  • 兄弟姉妹の立場で遺産は受け取れる?知っておくべき注意点も

    兄弟姉妹の立場で遺産は受け取れる?知っておくべき注意点も

    自身の老後について考え始めたら、遺産や相続について正しい知識を身につけるところからスタートしましょう。相続とは、いつやってくるかわからないもの。きちんとした知識を持っていれば、いざそのときに慌てなくて済むでしょう。 遺産と言えば「親から受け継ぐもの」というイメージを抱いている人も多いかもしれませんが、状況によっては兄弟姉妹の遺産を受け取るケースもあります。兄弟姉妹の立場で、どうなった場合に遺産が受け取れるのか、わかりやすく解説します。 相続の基本!相続順位について学ぼう 相続の基本!相続順位について学ぼう 被相続人が亡くなったとき、その財産は相続人へと受け継がれていきます。故人と血縁関係にある人が相続人なるイメージですが、現実には「血縁関係にある人すべて」が相続人になれるわけではありません。相続には「相続順位」が定められており、この順位がもっとも高い人が相続人になれるのです。 被相続人が亡くなった際に、無条件で相続人になれるのは「配偶者」です。故人に夫や妻、法律上の配偶者がいれば、どのような状況であっても相続人として認められます。相続順位が定められているのは、この配偶者以外の相続人についてです。 相続順位がもっとも高いのは、故人の子どもです。子どもが複数人いれば、全員が相続人になります。相続順位2位は、故人の両親。そして第3順位に当てはまるのが、故人の兄弟姉妹です。相続順位1位から3位の人々は、常に相続人になれるわけではありません。相続順位が高い方から順番が回り、当てはまる人が見つかった段階で、それ以降の順位の人には相続権が発生しない仕組みになっています。 兄弟姉妹が亡くなった際に、故人が結婚していて子どもを設けている場合、配偶者とその子どもが財産を受け継ぐでしょう。故人の兄弟姉妹が相続人になるケースとして考えられるのは、「故人に子どもがおらず、両親もすでに亡くなっている場合」です。 ちなみに、故人には子どもがいたものの、すでにその子どもが亡くなっている場合、相続権は子どもの子ども、つまり孫へと受け継がれます。この場合も、故人の両親や兄弟姉妹が財産を相続することはできません。第2順位の父母が亡くなっている場合、祖父母に相続権が発生します。兄弟姉妹に相続権が発生するものの、すでに亡くなっている場合はその子どもたち、つまり故人にとっての甥や姪が相続権を持ちます。 兄弟姉妹が法定相続人になった場合の相続割合は? 兄弟姉妹の立場で相続人になると決定した場合、どのくらいの財産を受け継ぐのか気になる方もいるでしょう。兄弟姉妹が相続人となるケースは、以下の2パターンしかありません。 ・故人の配偶者と共に、兄弟姉妹が相続人になる・兄弟姉妹のみが相続人になる 下のケースは非常にシンプルで、相続人となる兄弟姉妹ですべての財産を受け継ぎます。兄弟姉妹が複数人いる場合には、財産をそれぞれで等分することになるでしょう。 一方で、故人に配偶者がいる場合、相続財産の4分の3を配偶者が受け継ぎます。兄弟姉妹の法定相続分は全体の4分の1で、相続人が複数人いる場合には、その4分の1をさらに等分に分けてください。 兄弟姉妹が法定相続人になる場合に覚えておきたい3つのポイント 兄弟姉妹が法定相続人になる場合に覚えておきたい3つのポイント 兄弟姉妹が法定相続人になるケースは、決して少なくありません。兄弟姉妹が亡くなった際には、法定相続人になる可能性があるという点を、頭に入れておきましょう。兄弟姉妹の立場で、頭に入れておきたいポイントを3つ紹介します。 ★1.子どもや親が相続放棄する可能性がある 上で解説したとおり、亡くなった兄弟姉妹に配偶者や子どもがいれば、兄弟姉妹の立場で法定相続人になるケースは少ないでしょう。その時点で、「自分には関係ないこと」と捉えてしまう方も多いのではないでしょうか。ここに注意が必要です。 遺産相続とは、プラスの財産のみを受け継ぐ行為ではありません。もし故人が負債を抱えていたとしたら、そのマイナスの財産も相続財産としてみなされるでしょう。この場合、相続順位第1位である故人の子どもたちや、第2位の父母が、そろって相続放棄の手続きを取る可能性も。相続放棄の手続きを取った相続人は「最初からいないもの」として扱われ、相続順位は次に回されます。つまり、第3順位である兄弟姉妹が、相続人になる可能性もあるのです。 相続放棄の手続きには、期限が設定されています。「自分には関係ないだろう」と思い込み、手続きのチャンスを逃さないよう注意してください。 ★2.故人の兄弟姉妹の代襲相続は一代のみ 代襲相続とは、相続権を持つ人がすでに亡くなっていた場合に、その相続権が下の世代(もしくは上の世代)にどんどん受け継がれていくことを言います。 故人の子どもが亡くなっていれば、その子どもが、その子どもも亡くなっていればまたその子どもに相続権が発生します。第2順位の両親についても同様で、両親が亡くなっていればそのまた両親、さらにその先の両親と、どんどん遡っていくのです。その範囲は定められておらず、該当する人が存在するなら、どこまででも辿っていけるという特徴があります。 ただし兄弟姉妹が相続人となる場合、代襲相続は一代のみと決められています。兄弟姉妹が亡くなっていれば甥や姪が相続権を持ちますが、すでに甥や姪が亡くなっている場合、その子どもに相続権が渡ることはありません。 ★3.兄弟姉妹に遺留分は認められない もう一点忘れてはいけないのが、遺留分に関する注意点です。遺留分とは、法定相続人が相続できる最低限度の相続分のこと。たとえば故人が遺言書で「○○に全財産を譲る」と言った内容を残していても、法定相続人であれば、遺留分だけは確保できるという特徴があります。 兄弟姉妹の立場で法定相続人になる場合、遺留分は認められていません。故人の遺言は法定相続よりも優先されますから、「配偶者に全財産を譲る」といった内容が残されていれば、兄弟姉妹が遺産を受け取ることはできないのです。 トラブルになりやすいポイントですから、事前に頭に入れておきましょう。 兄弟姉妹が財産を相続する場合の特徴を知ってトラブルを防ごう 兄弟姉妹の立場で、被相続人の遺産を受け取れる可能性はあります。故人に子どもがおらず、すでに両親も亡くなっている場合、相続権が回ってくる可能性が高いと言えるでしょう。 しかし実際に兄弟姉妹の立場で法定相続人になる場合、相続人の範囲が広がり、トラブルに悩まされるケースも少なくありません。相続に関する基礎知識をきちんと身につけ、トラブルを避けられるように準備しておきましょう。相続順位を知っておくだけでも、事前の心構えができるはずです。

  • 生前贈与の「相続時精算課税」とは?遺産を受け取る際の注意点やデメリットも解説

    生前贈与の「相続時精算課税」とは?遺産を受け取る際の注意点やデメリットも解説

    将来の相続税負担を和らげるため、生前贈与を検討する方も多いでしょう。生きている間に財産を子どもや孫に渡してしまえば、相続財産を減少させ、相続税が発生するリスクも少なくできます。 とはいえ、生前贈与を行う場合に、考慮しなければならないのが「贈与税」についてです。生前贈与をしても贈与税が課せられないと言われる「相続時精算課税」をわかりやすく解説します。遺産を受け取る際の注意点やデメリットについても、注目してみましょう。 相続時精算課税とは? 相続時精算課税とは? 生前贈与で相続時精算課税を検討する場合、まず「相続時精算課税とは具体的にどのような制度なのか?」という点について、正しい知識を身につけておく必要があります。相続時精算課税とは、贈与税の課税方式の一つです。 生きている人から別の人に財産を贈与した際に、課せられるのが贈与税です。「相続税を減少させるために生前贈与を」と考える方も多いですが、この場合、相続税ではなく贈与税が課せられてしまいます。こうした仕組みにある意味で「逃げ道」を提案してくれているのが、相続時精算課税というシステムなのです。 相続時精算課税制度を使った場合、特別控除額2,500万円までの範囲であれば、生前贈与を受けた時点で贈与税は発生しません。ただし生前贈与を行った人が亡くなれば、過去に生前贈与された財産も相続財産にプラスして、相続税を計算する必要があります。 たとえば合計で1億円の財産を持つ父親Aさんが、相続時精算課税制度を使い、息子Bさんに2,500万円を生前贈与したとします。息子Bさんは2,500万円を受け取った時点で贈与税を支払う必要はありませんが、将来Aさんが亡くなったときには、受け継ぐ財産に生前贈与分をプラスして、相続税を求めなくてはいけません。生前贈与後の財産に変動がなければ、相続発生時点で7,500万円の遺産を受け取り、生前贈与分を含めた1億円で計算された相続税を納めることになります。 相続時精算課税制度を使えるのは、生前贈与をする年の1月1日時点で60歳以上の方のみ。また生前贈与を受ける人は、贈与者の直系卑属である推定相続人もしくは孫のうち、贈与を受ける年の1月1日時点で20歳以上の方のみです。 相続時精算課税制度の注意点とは? 相続時精算課税制度は、一度の多くのお金を贈与できる、非常に便利なシステムと言えるでしょう。たとえば、「子どもや孫が事業を始めるため、援助したい」「住宅取得等資金の特例の範囲を超えて、住宅購入資金を援助したい」といった場合に、強みを発揮してくれます。とはいえ、相続時精算課税制度を利用した場合、税金が免除されるわけではありません。あくまでも「本来支払うべき税金を、先送りにしているだけ」と捉えてください。 また贈与税の課税方式の選択は、1度だけしかできません。1度でも相続時精算課税制度を選択して生前贈与を行えば、その後の贈与も、すべて相続時精算課税制度を利用したものと判断されます。2,500万円というのは生涯を通じた累計非課税枠であり、贈与額がこの数字を超えてしまえば、超えた分に対して20%の贈与税が課せられます。 たとえば60歳のときに相続時精算課税制度を利用して生前贈与を行ったとしたら、その後20年以上にわたって、贈与額を少しずつ積み重ねていく可能性も。その先の資金援助プランも見据えて、利用を検討するべき制度と言えるでしょう。 相続時精算課税では「年110万円まで」の非課税枠が使えない! 相続時精算課税では「年110万円まで」の非課税枠が使えない! 相続時精算課税制度のデメリットとして、必ず頭に入れておきたいのが、「年110万円まで非課税で贈与できる制度は2度と使えない」という点です。そもそも「年110万円まで非課税で贈与できる」というのは、贈与税の暦年課税制度に設定された基礎控除によるもの。相続時精算課税制度を利用するということは、2度と暦年課税制度を利用しないのと同意ですから、110万円までの非課税枠も失われてしまいます。 実際に、相続時精算課税制度を使って贈与をしたのちに、その事実を忘れて110万円までの贈与を行ってしまう事例は少なくありません。相続時精算課税制度を使って2,000万円を贈与した後に、その事実を忘れて年間110万円ずつ贈与を行った場合、わずか5年後には贈与税の支払いを求められるでしょう。 また暦年課税制度を利用していた場合、年間110万円までは相続税も贈与税もかからない計算になります。一方で相続時精算課税制度を選択した場合、年間の贈与額が110万円以内であっても、その分は将来的に相続税の対象になってしまうのです。「相続税の負担を和らげる」という目的で利用する場合、かえって逆効果になってしまう可能性もあるという点が、非常に大きなデメリットと言えます。 土地の生前贈与にも注意が必要 相続時精算課税制度のデメリットで、もう1点頭に入れておきたいのが「土地の生前贈与」についてです。相続時精算課税制度を使えば、不動産の生前贈与も可能。ただしこの場合、相続税で認められている「小規模宅地等の特例」の利用はできません。 小規模宅地の特例とは、亡くなった人が使用していた宅地等のうち、一定部分までであれば相続税評価額を80%まで減額できる制度のこと。この特例を使えば、土地や自宅に関しては、非常に少ない負担で相続できる可能性が高いでしょう。しかし相続時精算課税制度を利用した場合、減額されない価格で相続税が計算されます。余計な負担が発生する可能性があるのです。 こちらのデメリットも頭に入れた上で、相続時精算課税制度を利用した不動産の贈与については、慎重に検討する必要があるでしょう。税負担の軽減という目的だけを考えるなら、相続時精算課税による贈与財産からは除外するのがおすすめです。 相続税が0円なら利用のメリットは大! 相続税には「3,000万円+(600万円×法定相続人数)」という基礎控除額が定められています。この範囲内であれば、相続税が課せられることはありません。もちろんこの基礎控除は、相続時精算課税制度を利用した場合でも適用されます。 「単なる税金の先送り」とも言われる相続時精算課税制度ですが、法定相続人が1人で合計3,500万円の遺産を受け継ぐケースでは、「非課税で早く大金を受け取れる」というメリットが発生する可能性も。相続時精算課税制度を利用して先に2,500万円を受け取っても、残りの財産が1,000万円なら、相続税は課せられません。 相続時精算課税制度を利用しない場合、 ・被相続人が亡くなった段階で3,500万円を受け取る・2,500万円の生前贈与を受ける時点で、相応の贈与税を支払う のいずれかを選択せざるを得ないでしょう。相続時精算課税制度によって、「税金の負担なく早い段階で親の遺産を引き継ぎ、活用する」という第3の選択肢が生まれるのです。 自分にとってのメリット・デメリットを検討し慎重な決断を 生前贈与を行う際の相続時精算課税制度を利用する際には、メリットもあればデメリットもあります。自分にとってはどちらの方が大きいのか、冷静に判断する必要があるでしょう。 ・本当に今大金を受け取る必要があるのか?・その他の非課税制度(住宅資金や教育資金)は利用できないか? これらの点も踏まえて、ぜひ慎重に検討してみてくださいね。

  • 遺産の独り占めはよくあるトラブル!3つの対処法と予防のポイントは?

    遺産の独り占めはよくあるトラブル!3つの対処法と予防のポイントは?

    遺産相続に関するトラブルで、耳にする機会も多いのが「独り占め」です。相続人のうちの1人が財産を独占してしまったら、その他の相続人にとっては、到底納得できる状況とは言えないでしょう。 では実際に独り占めトラブルが発生してしまった際に、私たちはどう対処するべきなのでしょうか。3つの方法と、そもそも独り占めトラブルを起こさないための予防法をお伝えします。 遺産の独り占めが起きる理由 遺産の独り占めが起きる理由 相続が発生する前は、「相続人の誰かが財産を独り占めするなんて、想像もできない…」と思う方も多いのかもしれません。しかし実際には、遺産の独り占めは「よくあるトラブル」の一つ。決して珍しくないのです。では、そもそもなぜ遺産の独り占めという状況が生まれてしまうのでしょうか?理由として考えられるのは、以下の2つの状況です。 ★遺言書に「○○にすべての財産を譲る」という記載がある場合 被相続人が遺言書に、「特定の相続人のみにすべての財産を譲る」と記載していた場合、遺産の独り占めは可能になります。法的に有効な遺言書に記載された内容は、何よりも優先されるべき事項だからです。相続人の意志というよりは、被相続人の意志によるものと捉え、受け入れる必要があるでしょう。 ★同居中の家族が遺産分割協議に応じない場合 遺言書がない場合でも、被相続人と同居していた相続人によって、財産を独り占めされてしまうケースもあります。同居家族であれば、預金口座に残されたお金やその他の財産についても、別の相続人よりも詳しく把握しているでしょう。また自宅が被相続人名義であれば、遺産分割協議によって住む場所を失う事態にもなりかねません。 ・不動産分割に関する協議に一切応じない ・遺産を勝手に使い込む このような状況で、独り占めが発生するケースもあります。 もしも遺産を独り占めされてしまったら…対処法3つ もしも本当に遺産を独り占めされてしまったら、できるだけ早く具体的な行動をとる必要があります。3つの対処法を紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。 ★遺言書が有効なのか確かめる 遺言書によって独り占めが発生している場合、何よりも先に確認しておきたいのが「遺言書の有効性」についてです。近年の終活ブームに伴って、増えている自筆証書遺言では、遺言書に必要な要件を満たせていないことが原因で、無効と判断される事例も少なくありません。遺言書そのものが無効であれば、「○○にすべての財産を譲る」といった内容も無効に。一から遺産分割協議を行う必要があり、独り占めを阻止できるでしょう。 また、たとえ遺言書の必要要件を満たしていても、自宅で保管されていた遺言書の場合、偽造されている可能性や内容を変えられている可能性も捨てきれません。あらゆる可能性を考慮しながら、遺言書そのものについてチェックしてみてください。チェックポイントがよくわからない場合には、弁護士などの専門家に相談するのもおすすめです。 ★遺留分を請求する 「○○にすべての財産を譲る」という内容の遺言書が有効であると認められた場合、相続人1人の独り占めが可能になります。とはいえ、その他の相続人には「遺留分を請求する権利」が認められていますから、必要な手続きを進めていきましょう。 遺留分とは、法定相続人に認められている遺産の最低限の取り分のこと。たとえば法定相続人が配偶者のみの場合は1/2が、配偶者と子どもの場合はそれぞれ1/4ずつが遺留分として認められます。たとえ遺言書で独り占めを認めていても、遺留分を請求すれば、実質的に独り占めを阻止できるでしょう。 ただし遺留分の請求権が認められているのは、 ・配偶者や子供などの直系卑属 ・両親などの直系尊属 のみです。兄弟姉妹の立場で法定相続人になった場合、残念ながら請求できません。 ★家庭裁判所に申し立てる 有効な遺言書がないにもかかわらず、遺産の独り占めトラブルが発生している場合、最初は説得にあたるケースがほとんどでしょう。説得に耳を貸し、遺産分割協議に応じてくれるようであれば、問題はありません。より深刻なのは、そうした説得でも効果が見られない場合です。 この場合、家庭裁判所に遺産分割調停を申し立てる方法があります。調停委員による説得や遺産分割審判による分割方法の決定など、法律的な側面からより公正な遺産分割をサポートしてくれるでしょう。 またすでに遺産が使い込まれている場合、まずは銀行に連絡して口座をストップしてもらいましょう。被相続人が亡くなったあとの出入金記録を確認し、使い込みの有無をチェックしてください。その記録をもとに遺産分割調停に臨むことで、使い込まれた財産分も取り返せる可能性があります。本当に使い込まれているのか、またどの程度取り返せるのかは、個々の状況によって異なります。経験豊富な弁護士に相談すると良いでしょう。 そもそも遺産の独り占めを防ぐためには? 遺産の独り占めは、さまざまなトラブルを招きかねません。その他の相続人との間に深い亀裂が生じる恐れもありますし、最終的に裁判になれば、トラブルが年単位で続いていく可能性もあるでしょう。こうしたトラブルを避けるためには、ぜひ以下のような対策を心掛けてみてください。 ★遺言書は正しく、相続人感情に配慮した形で残す 遺言書は被相続人の遺志を伝えるためのものです。余計なトラブルを防ぐためには、まず「法律的に有効な形で遺言書を残す」ことを意識してください。またその内容についても注意が必要です。 先ほどもお伝えしたとおり、相続人の1人に独り占めさせるような形の遺言を残したとしても、その他の法定相続人には遺留分の請求が認められています。最初から遺留分に配慮した内容にしておけば、独り占めにはならず、余計なトラブルを回避できる可能性も高まるでしょう。また遺産分配が公平ではない理由についても、丁寧な説明を心掛けると、より自分の気持ちを届けやすくなります。 ★同居中の相続人とその他の相続人とが円満な関係性を築く 遺言書の有無にかかわらず、遺産の独り占めは同居中の相続人によって行われるケースが目立ちます。これには、「被相続人の面倒は全部自分が見て来た」という自負や犠牲の気持ちが関係していると思われます。 同居中の家族だけが介護を担当するのではなく、周囲の相続人が積極的に関わりサポートすれば、独り占めトラブルが発生する可能性は低くなります。 遺産の独り占めトラブルは早めの相談が鍵 遺産の独り占めトラブルは早めの相談が鍵 万が一遺産の独り占めトラブルが発生してしまったら、できるだけ早い段階で弁護士に相談しましょう。遺言書の有効性や独り占めの正当性について、法律の専門家として状況を判断してくれるでしょう。また独り占めしている相続人との交渉役も担ってもらえます。 相続トラブルで弁護士なんて…と思う方もいるかもしれませんが、話がこじれれば、問題はより大きく深くなっていきます。法律の力も借りつつ、少しでもスッキリと解決できる道を探ってみてください。

  • 親の遺産を放棄したい!手続き方法や期間・注意点を解説

    親の遺産を放棄したい!手続き方法や期間・注意点を解説

    「遺産相続」というキーワードを耳にしたとき、ごく自然に「プラスの財産」を思い浮かべる方も多いかと思います。しかし実際には、「マイナスの財産」が相続されてしまうケースも少なくありません。また何らかの事情で、「親の財産を受け継ぎたくない」と思うこともあるでしょう。 このような場合に検討したいのが、「相続放棄」についてです。具体的な手続き方法や注意点を解説します。 相続放棄とは? 相続放棄とは? 相続放棄とは、相続人が、被相続人の財産を相続する権利を一切放棄する手続きを指します。亡くなった方の財産が、相続人にとって好ましいものとは限らないでしょう。このような場合に、一定の手続きを経て相続放棄をすれば、「相続しない自由」を選択できます。 相続放棄の特徴は、「相続する財産のすべてを放棄する」という点です。非常にシンプルですが、誤解しやすいポイントでもありますから、十分に注意してください。相続する財産には、さまざまなものが含まれています。「その一部のみを相続し、その他を放棄する」ということはできません。あくまでも、「相続放棄するのであれば、財産のすべてをあきらめる」選択になるでしょう。 相続放棄は、以下のようなシーンで有効です。 ・プラスの財産よりも、明らかに負債の方が多い・相続問題に巻き込まれたくない・自分ではない相続人に、すべての財産を譲りたい たとえば、預貯金や不動産といったプラスの財産よりも、借金額の方が多ければ、財産を受け継ぐ金銭的なメリットはありません。それどころか、相続によって自身の生活が困窮する可能性すらあるでしょう。プラスの財産をあきらめる代わりに借金も受け継がなくて済むのであれば、そちらのメリットの方が大きくなります。 また遺産相続には、相続問題も付き物です。「わずかな遺産を取り合っていざこざを起こすくらいなら…」と思うときにも、相続放棄の手続きをとりましょう。別の相続人に遺産を相続させたい場合にも、相続放棄の手続きは有効です。たとえば、夫の財産を妻と子どもで受け継ぐ場合、子どもが相続放棄すれば、夫の財産を妻が一人で相続できます。残された家族の生活が不安な場合にも、有効な方法と言えるでしょう。 相続放棄の手続きができる期間は3ヶ月 さまざまな事情がある場合に、有効な手続きである相続放棄。しかし、いつでも自由に手続きできるわけではありません。相続放棄の手続きは、民法によって、相続の事実を知った日から3ヶ月以内に行う必要があると定められています。 相続放棄の手続きは、家庭裁判所にて行います。必要書類をそろえた上で、期間内に申述しましょう。家庭裁判所に直接出向いても良いですし、郵送で必要書類を届けても構いません。ただし、これらの手続きを3ヶ月以内に完了できなければ、自動的に「プラスの財産もマイナスの財産もすべて相続する(単純承認)」と判断されてしまうので注意してください。 「相続の事実を知ってから3ヶ月以内」というのは、非常に厳しいスケジュールです。実際には、「被相続人の財産状況が複雑で調査が終えられなかった…」というケースもあるでしょう。このような場合には、その旨を家庭裁判所へと申し立てましょう。その正当性を裁判所が認めてくれれば、手続き期間が伸長されます。柔軟な対応をしてくれるケースも少なくありませんから、まずは一度、弁護士などの専門家に相談してみてください。 相続放棄に必要な書類とは? 子どもが親の財産を相続放棄する場合、家庭裁判所に対して、以下の書類の提出を求められます。 ・相続放棄申述書・亡くなった人(親)の住民票除票(もしくは戸籍附票)・自分の戸籍謄本・亡くなった人(親)の死亡の記載がある戸籍謄本 住民票除票や戸籍謄本は、市町村役場で手に入ります。相続放棄申述書は、裁判所のホームページからダウンロードしましょう。申述人(相続放棄したい本人)や被相続人(亡くなった人)の情報のほか、相続放棄したい理由を記入して提出します。理由については、できる範囲で詳しく記載するのがおすすめです。 連絡先欄には、平日の日中に連絡がつく番号を記入しましょう。相続財産について記入する欄がありますが、ざっくりとした内容で問題ありません。またよくわかっていない部分については、そのまま「不明」と記載しましょう。押印は実印以外でも大丈夫ですが、自分がどの印鑑を使ったのか、忘れないようにしてください。 相続放棄する場合に知っておきたい注意点3つ 相続放棄の手続きには、いくつか注意したいポイントもあります。こちらもあわせてチェックしてみてください。 ★1.相続放棄が認められないケースもある 相続放棄の手続きは、よほどの事情がなければ、家庭裁判所によって認められます。しかし、以下のような事情がある場合、認められない可能性が高いでしょう。 ・相続人が相続財産を処分した・相続人が相続財産を隠したり、消費したりした つまり、相続人の立場で、勝手に財産を処分したり使ったり、隠したりすれば相続放棄が認められなくなるというわけです。もし相続放棄を検討しているなら、財産の取り扱いには十分に注意しましょう。 特に注意が必要なのは、死亡保険の解約返戻金についてです。死亡に伴い保険契約が解約されれば、一部商品では解約返戻金が支払われます。しかしこちらは、被相続人の財産にあたるため、相続人が勝手に消費することは認められていません。どういったお金なのかしっかりと確認した上で、適切な対処を求められます。 ★2.相続放棄しても死亡保険金を受け取れるケースもある 相続放棄する場合には、被相続人が加入していた死亡保険にも注目してみてください。もし死亡保険金の受取人が指定されていれば、相続放棄した場合でも死亡保険金を受け取れます。 なぜなら、受取人が指定されている死亡保険金は、受取人に固有の財産と判断されるから。「被相続人の財産」ではないため、相続放棄に影響はないというわけです。こちらも頭に入れた上で、相続放棄について検討する必要があるでしょう。 ★3.必要に応じて「限定承認」の検討も 遺産相続には、すべての財産を受け継ぐ「単純承認」と、すべての財産を放棄する「相続放棄」のほか、一部の財産のみを受け継ぐ「限定承認」という方法もあります。 限定承認とは、「相続したプラスの財産以上に、マイナスの財産は負わない」という相続手法のこと。プラス財産とマイナス財産のどちらが多くなるのか、わからないときにも有効な相続手法です。リスクはなく、現時点で把握できていないメリットを逃さないという強みがあります。 限定承認の道を探る場合は、専門家に相談の上で話を進めていくのがおすすめです。自身にとって、ベストな相続の形を探ってみてください。 相続放棄を検討するなら素早い行動を 相続放棄を検討するなら素早い行動を 相続放棄は、マイナスの財産が明らかに多いときや、相続トラブルを避けたいときに有効です。とはいえ、手続きには期限が定められており、あまりゆっくりはしていられません。相続の事実を知ったら、ぜひ早めに専門家に相談してみてください。素早い行動が、自身の利益につながるでしょう。 参考サイトhttps://shine-souzoku.com/genteisyounin/?utm_source=google&utm_medium=cpc&utm_campaign=gentei&gclid=Cj0KCQjw1bqZBhDXARIsANTjCPKBS7d1uOymSBeLtzQBOfIP5Z2aIjRHLblRoxd5DvH7z452uwPmI70aAmN1EALw_wcBhttps://souzoku-pro.info/columns/souzokuhouki/105/#toc_anchor-1-3-4https://www.courts.go.jp/saiban/syurui/syurui_kazi/kazi_06_13/index.htmlhttps://legacy.ne.jp/knowledge/now/souzoku-houki/008-kimekata-tetsuduki-nagare/

  • 遺族年金の種類は2つ!受給要件や受取人はどうなる?

    遺族年金の種類は2つ!受給要件や受取人はどうなる?

    家計を支えていた家族が亡くなってしまったら…。今後の生活がどうなるのか、経済的な不安を抱える方も多いでしょう。こんなとき、ぜひ知っておきたいのが「遺族年金」に関する知識です。 亡くなった家族の年金加入状況によっては、亡くなったあとに年金を受け取れる可能性があります。遺族年金の種類とそれぞれの特徴、受給要件や受取人について詳しく解説します。 遺族年金とは?2つの種類を知っておこう 遺族年金とは、年金保険の加入者が亡くなった場合に、亡くなった人によって生計を維持されていた家族を支えるための年金制度です。たとえば、働き盛りの会社員が亡くなった場合、その配偶者や子どもは、これから先どう生活すれば良いか不安を抱えてしまうでしょう。遺族年金を受給できれば、その後の生活費も確保できます。 さて、そんな遺族年金には、以下の2つの種類があります。 ・遺族基礎年金・遺族厚生年金 日本の年金制度は、いわゆる二階建ての仕組みになっています。原則として20歳以上の国民全員が加入するのが国民年金制度で、会社員や公務員として働いている人は、国民年金にプラスして厚生年金にも加入しています。遺族基礎年金の場合、20歳以上の国民すべてが対象になる可能性があるのに対して、遺族厚生年金は対象者が限定されます。自営業を営んでいる方や無職の方は、対象になりません。 ただし現在は自営業者であっても、過去に会社員として仕事をした経験があり、厚生年金にも加入していた場合は、受給要件を満たしている可能性も。過去の加入記録をもとに、専門家にアドバイスをもらいましょう。 遺族基礎年金と遺族厚生年金は、それぞれ別の制度です。遺族基礎年金だけが対象になる方もいれば、両方を同時に受け取れる方もいるでしょう。残念ながら受給要件を満たせず、どちらの遺族年金も受け取れないケースも存在しています。次項目からは、それぞれの受給要件について、より詳しくチェックしていきましょう。 遺族基礎年金を受給できる人はごくわずか 遺族基礎年金を受給できる人はごくわずか 20歳以上の国民全員に加入が義務付けられている国民年金。そこから支給される遺族基礎年金ですが、実際に受給できる人はごくわずかです。遺族基礎年金を受給するためには、以下の条件をクリアする必要があります。 ・死亡した人によって生計を維持されていた子どももしくは配偶者である・保険料の納付期間や滞納に関する基準を満たしている 遺族基礎年金は、子育て中の方々を支える目的の制度です。このため、子どもが「18歳到達年度の3月31日を経過していない」もしくは「20歳未満で障害年金の障害等級1級または2級である」の、いずれかの条件を満たしている必要があります。 たとえば、子どもがいない夫婦の夫が亡くなっても、妻は遺族基礎年金を受給できません。子どもがいる夫婦でも、すでに成長し19歳以上になっていれば、やはり受給要件は満たせないのです。 ちなみに、遺族基礎年金の制度は近年大幅に改定されています。過去のルールでは、遺族基礎年金を受給できるのは「子ども」もしくは「子どもを養育中の妻」だけに限られていました。つまり、父子家庭では受け取ることができなかったのです。現在このルールは撤廃され、上記の条件を満たしていれば、「妻を亡くした夫」の立場でも受給が可能に。こちらも頭に入れておきましょう。 遺族厚生年金を受給できるのは厚生年金加入者家族 一方で、遺族厚生年金を受給できるのは厚生年金に加入している(していた)会社員や公務員の遺族です。具体的には、以下のような場合に遺族年金を受給できる可能性があります。 ・厚生年金保険の被保険者である間に死亡したとき・厚生年金の被保険者期間に初診日がある病気やけがが原因で初診日から5年以内に死亡したとき・1級・2級の障害厚生(共済)年金を受け取っている方が死亡したとき・老齢厚生年金の受給権者であった方が死亡したとき・老齢厚生年金の受給資格を満たした方が死亡したとき (※1) 遺族厚生年金の場合も、受給資格を持つのは、亡くなった方に生計を維持されていた家族です。具体的には、以下のような方々が当てはまります。 ・妻・子・夫・父母・孫・祖父母 上で言う子や孫は、遺族基礎年金の場合と同じく、「18歳到達年度の3月31日を経過していない」もしくは「20歳未満で障害年金の障害等級1級または2級である」の、いずれかの条件を満たしている人を指します。また夫や父母、祖父母については、「死亡当時に55歳以上」という条件を満たしている場合にのみ、受給できる可能性があります。 遺族の中で受給要件を満たす人が複数いる場合、遺族厚生年金を受け取れるのは、もっとも優先順位の高い方のみ。妻がいなければ子、それもいなければ55歳以上の夫…といった仕組みです。遺族基礎年金とは違い、対象年齢の子どもがいない場合でも、妻は遺族年金を受け取れる可能性があるでしょう。ただし妻の年齢が30歳未満であり、なおかつ夫婦の間に子どもがいなかった場合は、5年間のみ支給されます。 遺族基礎年金を受給できる人がごく限られているのに対して、遺族厚生年金では、「亡くなった人に生計を維持されていた人がいれば、誰かは受給できる」というケースが多く見られます。遺族基礎年金よりも、受給できる人の幅が広い制度だと言えるでしょう。ただし遺族厚生年金の場合も、受給するためには、保険料の支払い期間に関する要件を満たしている必要があります。過去の加入履歴をチェックしてみてください。 遺族年金がよくわからない…相談先は? 遺族年金の受給要件は非常に複雑で、「説明を読んでもよくわからない…」という方も多いのではないでしょうか?こんなときには、自分だけで判断するのではなく、ぜひその道のプロに相談してみてください。 遺族年金についてもっとも手軽に相談できるのが、各自治体が開設している年金相談窓口です。年金事務所や街角の年金相談センターを頼ってみるのも良いでしょう。年金番号など、必要な情報をまとめて相談にいけば、自身の状況に合ったアドバイスがもらえるはずです。 また「内縁の妻」や「死亡当時に別居していた」など、複雑な要因を抱えている場合は、社会保険労務士に相談してみましょう。遺族年金に強い専門家に相談すれば、解決に向けた糸口がつかめるかもしれません。 身近な家族が亡くなったら遺族年金も確認を 身近な家族が亡くなったら遺族年金も確認を 大黒柱として生活を支えてくれていた家族が亡くなったとき、今後の生活に不安を抱き、途方に暮れてしまう方も多いのではないでしょうか。遺族基礎年金もしくは遺族厚生年金を受給できれば、生活の支えになってくれるでしょう。まずは一度、亡くなった家族の過去の年金加入履歴と、現在の家族の状況についてチェックしてみてくださいね。

  • 遺産【争族】を防ぐために…やっておくべき事前準備とは?

    遺産【争族】を防ぐために…やっておくべき事前準備とは?

    身近な人が亡くなった際に、発生するのが相続です。できるだけ円満に解決したいと思いつつ、実際には遺産「争族」になってしまうケースも少なくありません。余計なトラブルを防ぐためには、事前にしっかりと相続準備を進めておくことが大切です。争いを避けるための3つのポイントを紹介します。 相続人の負担を減らすための対策をする 相続人の負担を減らすための対策をする 遺産相続でトラブルが発生する理由は、各家庭によってさまざまです。比較的多くみられるのが、相続にかかる負担が大きく、「できるだけ負担を少なくしたい」と願う親族同士で、トラブルに発展してしまうケースです。できるだけ負担を少なくするための対策をとっておきましょう。具体的な対策は、以下のとおりです。 ★相続財産を減らす 相続財産が多い場合に、問題になりやすいのが相続税です。遺産相続には「3,000万円+600万円×法定相続人の数」という基礎控除が用意されていますが、この金額を超えてしまえば、その分に対して相続税が課税されます。相続時の負担を軽減し、できるだけ多くの財産を手元に残すためには、「相続が発生する前に、できるだけ相続財産を減らしておく」必要があるでしょう。 贈与税の負担が大きくならない範囲で生前贈与をしたり、不動産を購入したりする方法が一般的。現金を不動産に変えておけば、相続税評価額は80%程度に減額されるため、相続税の負担軽減に役立つはずです。 またもう一点重要なのが、「もらって困る財産はできる限り事前に処分しておく」ということです。たとえば、田舎の空き家を財産として残されても、困る方がほとんどでしょう。プラスになるどころか、修繕費や管理費などで、マイナスの資産になってしまう可能性も高いです。いざ売却しようとしても、状態の悪い物件を購入したいと思う人は決して多くはありません。不必要な財産は、相続人間の間で押し付け合いのような状況に陥りがちです。できるだけ自分の代で整理しておくと良いでしょう。 どういった相続対策が有効なのかは、個々の状況によって異なります。対策方法を間違えると、相続人の負担がかえって増加してしまう恐れもあるため、注意してください。相続問題に強い専門家に、相談に乗ってもらうのもおすすめです。 ★相続税を納付するための現金をあらかじめ用意しておく 相続税の申告と納付には、期限が定められています。相続が発生した日の翌日から10か月以内と短いため、話をスムーズに進めていく必要があるでしょう。またもう一点注意しなければならないのが、「相続税が発生した場合、税金は現金で納める必要がある」という点です。 不動産相続などで相続税が高額になる場合、現金の準備で苦労する相続人は少なくありません。最悪の場合、せっかく相続した不動産を短期間で売却し、相続税の支払いにあてなければならないような事態も考えられます。 だからこそ、相続税の支払いにあてる分の現金は、相続準備として事前に用意しておくのがおすすめです。不動産の一部を売却して現金を用意したり、不動産投資で賃貸経営をし、そのリターンを確保したりする方法も良いでしょう。こちらも、相続税の負担がだいたいいくらくらいになりそうなのか、専門家と試算した上で必要額を準備しておくのがおすすめです。 家族としっかりコミュニケーションをとる 遺産相続で、あえて揉めようとするご家族は少ないはず。しかし実際には、争いごとが発生してしまうケースは珍しくありません。その多くは、コミュニケーション不足が原因で発生しています。 たとえば、被相続人が「自分の面倒を献身的にみてくれた長男に、全財産を残したい」と考えたとします。とはいえ、こうした考えに、その他の相続人が納得できるとは限らないでしょう。その他の兄弟の中にも「自分は○○で貢献した」「長男は確かに同居していたが、その分生前に受けた恩恵も誰より多かったはず」など、モヤモヤした気持ちが残ってしまう可能性があります。 こうしたトラブルを予防するため、生前から家族間でしっかりとコミュニケーションをとっておくことも、非常に重要な相続準備の一つです。被相続人の立場としても、相続人それぞれの思いを知るきっかけになるでしょう。 たとえば、先ほどの「長男に全財産を残したい」という希望がある場合でも、生前に自らの口から伝えておけば、印象は変わります。どれだけ感謝していて、なぜ財産を残したいと思っているのか。その代わり、その他の相続人に対して何をしようと思っているのか、しっかりと伝えてみてください。その他の相続人からは、もしかしたら文句の言葉が出てくるかもしれません。しかし、生前であれば、それぞれの相続人の思いを知った上で、それを実際の相続に反映させることもできるはずです。 亡くなる前に相続の話をするなんて…と思う方もいるかもしれませんが、これも立派な終活の一つです。自らがコミュニケーションをとれる段階でしっかりと話し合いを進めておくことで、余計なトラブルを防げるはずです。 自身の思いを遺言書に残す 自身の思いを遺言書に残す 相続人たちとの間でしっかりとコミュニケーションがとれたら、自身の思いも反映させた内容を、遺言書に残しておきましょう。どれだけ蜜にコミュニケーションをとっていても、きちんとした書類が残っていなければ、やはりトラブルになってしまう可能性も。終活ブームの今、一般の方でも遺言を残すことは決して難しくありません。ぜひ、自身の言葉を記しておきましょう。 遺言を残す際に、争族にさせないための注意点は以下のとおりです。 ・遺言書を無効にさせない ・相続人の感情を逆なでしない 近年人気の自筆証書遺言は、誰でも自宅で手軽に遺言を残せる方法です。しかしその有効性が認められるためには、ルールに則った形式で書かれていなくてはいけません。実際に、「遺言は残っていたが、ほんの少しのミスが原因で無効と判断されてしまった…」というケースも少なくないのです。 また、遺言を残していた場合でも、法定相続人にはそれぞれ遺留分が認められています。遺留分を無視して「○○に全財産を相続させる」といった内容を残しても、結局のところ、トラブルに発展してしまう可能性が高いでしょう。あらかじめ遺留分に配慮した内容を記載し、またそのように決断した理由についても丁寧に残しておくことで、各相続人の感情にも配慮できるのではないでしょうか。 ちょっとした工夫で遺産「争族」を防ぐことはできる! トラブルのイメージも強い遺産相続ですが、準備段階からしっかりと配慮しておけば、余計な問題を避けられるでしょう。重要なのは、トラブルの芽を事前に察知し、できる限りつぶしておくということ。決して難しい内容ではありませんから、ぜひ終活の一環として取り入れてみてください。 自身が亡くなったあとも、残された家族はみんな仲良くやってほしいと願う方は多いでしょう。円満な遺産相続で、その後押しができると良いですね。

  • 遺産を相続する際に支払う税金は?計算方法から困ったときの相談先まで

    遺産を相続する際に支払う税金は?計算方法から困ったときの相談先まで

    遺産を相続する際に、考えておかなければならないのが「税金」についてです。場合によっては、事前の準備が負担を減らす鍵となる可能性も。まずは「どういった税金がかかるのか?」「どの程度の負担になるのか?」など、基本的な知識を身につけておきましょう。 遺産相続と税金について、気になる点をまとめます。将来の自分たちのため、子どものために、まず何からすればチェックしてみてください。 遺産相続にかかる税金は「相続税」 遺産相続で発生する税金は、相続税です。相続税は、身近な人が亡くなってその財産を受け継いだときのみに発生する税金。普段あまり馴染みがない…と感じる方がほとんどでしょう。 相続税は、相続する財産の金額によって、以下のように税額が定められています。 課税価格 1,000万円以下 → 税率10% 3,000万円以下 → 税率15%(控除額50万円) 5,000万円以下 → 税率20%(控除額200万円) 1億円以下 → 税率30%(控除額700万円) 2億円以下 → 税率40%(控除額1,700万円) 3億円以下 → 税率45%(控除額2,700万円) 6億円以下 → 税率50%(控除額4,200万円) 6億円超 → 税率55%(控除額7,200万円) 相続する財産の課税価格が多ければ多いほど、納める税金額は多くなる仕組みです。仮に課税価格3億円超の財産を受け継ごうとした場合、税率は5割を超えてしまうため、その負担は非常に重いと言えるでしょう。 とはいえ、相続税は相続で財産を受け継いだすべての人が支払うわけではありません。これは、相続税にはさまざまな控除制度が用意されているため。受け継ぐ財産の金額が控除額を下回れば、相続税を支払う必要はないのです。この場合、相続税を負担することなく、すべての財産を受け継げます。 財務省ホームページによると、令和元年度に亡くなった方の中で、実際に相続税がかかったケースの割合は、全体の8%程度です。ほとんどのケースで相続税について心配する必要はないものの、最近は以前よりも、相続税を支払わなければならない事例が増えているのも事実。相続税について正しい知識を身につけ、必要に応じて適切な準備を整えておくのがおすすめです。(※1) 相続税の控除制度と税額シミュレーション 相続税の控除制度と税額シミュレーション 相続税の基礎控除額は、法定相続人の数によって異なります。だからこそ、「受け継ぐ財産の金額はほぼ同じ」というケースでも、法定相続人の数によって、相続税が発生する事例もあれば、発生しない事例もあるというわけです。 相続税の基礎控除額は「3000万円+600万円×法定相続人の数」という数式で求められます。法定相続人が「配偶者1人+子ども1人」の合計2人の場合、相続する遺産の4,200万円を超えた部分に対して、相続税が発生します。一方で、法定相続人の数が多く「8人」いる場合の基礎控除額は、7,800万円にまでアップするのです。 では、より具体的に、相続税のシミュレーションをチェックしていきましょう。 配偶者1人と子ども2人の法定相続人が、合計2億4,800万円の相続財産を受け継ぐ場合、基礎控除額(4,800万円)を引いた2億円が課税価格になります。ここから相続人それぞれの割合を計算して、それぞれに対して相続税を決定する仕組みです。 法定相続分に沿って計算した場合、課税価格2億円のうち、妻が1億円、2人の子どもそれぞれが5,000万円ずつという計算に。ここから、それぞれの相続税を求めていきましょう。 まず妻については、相続税の配偶者控除を活用できます。「配偶者の相続遺産が1億6,000万円以下」「配偶者の相続遺産が法定相続分より少ない」のいずれかの条件に当てはまっていれば、相続税は発生しません。つまり、今回のシミュレーションでも妻の相続税負担は0円です。 一方で2人の子どもたちについては、5,000万円×20%-200万円=800万円ずつを、相続税として納めなければいけません。配偶者については、手厚い控除制度が用意されていますが、その他の相続人については注意が必要です。「できるだけ多くの財産を残したい」と思う場合、事前準備が鍵になるでしょう。 遺産相続と税金の注意点は? 何かと複雑な、遺産相続と相続税。いくつか注意点があるので、ぜひこちらも頭に入れておいてください。3つのポイントを紹介します。 ★1.相続税の申告には期限が設定されている 相続税の申告には、「相続開始の翌日から10カ月以内」という期限が設定されています。申告期限を過ぎてしまうと、ペナルティとして延滞税が加算されます。また、配偶者の税額控除や小規模宅地の特例等、税金を少なくできる各種特例を利用できるのも、期限内に申告してこそ。自分の力だけで難しい場合は、専門家の手も借りて期限内に申告するのがおすすめです。 ★2.相続税が0円でも申告が必要なケースもある 相続した遺産の総額が基礎控除額以内に収まっているなど、相続税が0円の場合、基本的に申告は必要ありません。しかし、以下のケースでは例外的に申告が必要になりますから、忘れないようにしてください。 ・配偶者の税額軽減で税額が0円になった ・小規模宅地等の特例を受けて税額が0円になった これらの特例は、申告して初めて適用されるものです。自己判断で申告をスルーしてしまわないよう、十分に注意しましょう。 ★3.申告内容によっては税務調査が入る可能性も 相続税を申告した場合でも、それですべての手続きが完了するわけではありません。申告内容に不明な点や疑わしい点、誤りがある場合には、税務調査が入ります。 中でも注意が必要なのは、預貯金についてです。「相続税対策のため、贈与税がかからない範囲で少しずつ現金を渡していく」という手法をとる方は多いものの、相続開始の日から過去3年以内の贈与は、持ち戻しする必要があるでしょう。遺産の総額に含めて、相続税額を計算しなければいけません。 最初から税理士に入ってもらい、サポートを受けていればまず心配はないでしょう。自分たちですべての調査を完了し、計算した場合、税務署からのチェックも厳しくなりがちです。「申告したらそれで終わり」というわけではない点も、頭に入れておいてください。 遺産相続と税金で悩んだら税理士に相談を 遺産相続と税金で悩んだら税理士に相談を 遺産相続には、税金の問題も複雑に絡み合ってきます。「相続する財産が明らかに基礎控除内で収まる」というケースを除いて、事前の準備が非常に重要な意味を持つでしょう。 とはいえ、間違った対策をすれば、「相続対策として何の意味もなかった。結局たくさんの相続税を支払うことになった…」という事態にも陥りかねません。具体的な相続税対策については、税理士に相談しながら進めていくのがおすすめです。 実際に相続が発生した場合も、税理士にサポートしてもらえば、ややこしい手続きはお任せできます。税金面での不安も和らげられるでしょう。 ※1https://www.mof.go.jp/tax_information/qanda005.html

  • 公正証書遺言で遺産トラブルを回避しよう!残し方・費用・注意点など基礎知識を解説

    近年、「遺言書を残して遺産トラブルを回避しよう」と考える方が増えてきています。自身が残した遺産を巡って、大切な人たちが争うとしたら…これほど悲しいことはありません。なんとかして回避したいと思うのは、当然だと言えるでしょう。 しかし実際には、故人が失くした遺言書をきっかけに、さらなるトラブルが発生してしまう事例も存在しています。遺産トラブルを防ぐのに有効なスタイル、「公正証書遺言」について、わかりやすく解説します。 なぜ遺言書を残しても遺産トラブルが発生するの? 終活を意識し始め、各種情報サイトをチェックしてみると、「遺産トラブルを予防するためには遺言書が有効」という情報を目にする機会も多いのではないでしょうか。確かに遺言書が残されていれば、故人の思いに沿った相続が可能に。親族間のトラブルを予防するため、一定の効果が期待できるでしょう。 しかし実際には、遺言書が残されていても、遺産トラブルに発展してしまう事例は決して少なくありません。その理由は以下のとおりです。 ★1.遺言書が法的に有効と認められないから 遺言書にはいくつかのタイプがあり、いつでも好きなときに、自分の手で書き残せるものもあります。しかしこの場合、遺言書に必要な要件を満たしておらず、「法的に無効」と判断されてしまうケースも少なくありません。 遺言書が残されていても、法的に有効だと認められなければ意味がありません。相続人はあらためて遺産分割協議を行い、遺産相続の詳細を決定しなければならないのです。遺言書で遺産を多くもらえるように指定されていた人は、当然「故人の遺志」を尊重するよう求めるでしょう。一方で、その他の人は法定相続分に沿った手続きを求める可能性が高いです。法的に無効な遺言書によって、故人の遺志を確認できてしまうが故のトラブルだと言えるでしょう。 ★2.遺言書に記された内容が遺留分を侵害しているから 法的に認められる形で遺言書が残されていた場合でも、油断は禁物です。その内容によっては、やはり親族間のトラブルが発生してしまう恐れがあります。中でも注意しなければならないのが、遺留分についてでしょう。 遺留分とは、相続人が相続財産の中から最低限相続できる財産のこと。たとえ「全財産を○○に譲る」という内容が残されていたとしても、その他の相続人は遺留分を請求できます。最低限の財産を相続できるとはいえ、「いったいなぜこのような遺言が残されたのか?」という点で、トラブルが発生する恐れもあります。 ★3.遺言書に本人の意思が反映されているとは限らないから 被相続人が自分一人で作成し、自宅で保管されていた遺言書の場合、その内容の信ぴょう性がもとで、トラブルに発展するケースもあります。 ・認知能力が低下した状況で、誰かに書かされたのではないか?・すでに内容が改ざんされているのではないか? もしも本当に、遺言の強制や誘導、改ざんといった事実があれば、そこに故人の遺志は反映されていないことに。その信ぴょう性を巡って、騒動に発展する事例も決して少なくありません。 公正証書遺言とは?トラブル回避に有効な理由 上で説明したようなトラブルは、遺言の残し方に工夫することで予防できます。ぜひ公正証書遺言に注目してみてください。 公正証書遺言とは、公証人関与のもとで遺言書を作成する方法を言います。作成段階から専門家に手を貸してもらえば、 ・遺言書が法的に無効と判断されるリスクを防ぐ・遺言の内容についても事前に専門家に相談に乗ってもらえる・あとで内容が改ざんされる恐れがない といったメリットが発生します。遺言書にはさまざまな種類がありますが、公正証書遺言は「もっとも確実性の高い遺言」と言われているのです。 公正証書遺言は、第三者である「公証人」が作成します。出来上がった遺言書は、公文書として扱われ、いざ遺言が執行される瞬間まで厳重に管理されるでしょう。遺言を残した時点での故人の「意思」が、争点になる可能性も低くなります。 ただし公正証書遺言を作成するためには、相応の手数料を支払う必要があります。また作成までには、それなりの時間がかかってしまうでしょう。遺言書を残したいと思ったら、できるだけ早く行動に移すよう注意してくださいね。 公正証書遺言の残し方や費用を解説 公正証書遺言の残し方や費用を解説 ではここからは、実際に公正証書遺言を残すための流れや費用をチェックしていきましょう。公正証書遺言を作成するための手順は、以下のとおりです。 1.公証人との間で事前打ち合わせを行う2.証人になってくれる人を2人探す3.証人2人と共に公証役場に行き、遺言書を作成する4.同じ内容の公正証書遺言を3通作成し、1通を公証役場に保管する 公正証書遺言を作成する場合に、最初にやらなければならないのが公証人との打ち合わせです。公証役場に出向いたからといって、その場ですぐに遺言を作成できるわけではありません。遺言に残す内容など、事前の打ち合わせを済ませておきましょう。 また証人には、未成年や将来相続人になると推定される人は指定できません。また公証人の配偶者や、四親等以内の血族も指定できないというルールがあります。 信用できる人物2人に依頼するのが一番ですが、手間を省きたいなら専門家に依頼するのもおすすめです。事前打ち合わせや公証役場での手続きについても、専門家がしっかりとサポートしてくれるでしょう。遺留分についても、トラブルになりにくい遺言の残し方をアドバイスしてもらえるはずです。 公証役場では、公証人の本人確認や遺言内容の確認、公証人の筆記・読み聞かせといった手続きが行われます。遺言者と証人2名、さらに公証人が署名捺印することで、正式な遺言として認められるでしょう。 公証役場での手続きに必要な時間は、およそ30分前後です。また公正証書遺言を作成するためには、公証役場に手数料を支払わなければいけません。遺言の価格に応じて手数料の金額が変わってくるため、注意してください。 財産が100万円以下であれば手数料は5,000円です。一方で財産の価額が5,000万より上で1億円以下の場合の手数料は4万3,000円です。自身の財産の金額に合わせて、どれだけ必要になるのかあらかじめチェックしておきましょう。 遺産トラブルは少なくない!公正証書遺言で回避しよう 遺産トラブルは少なくない!公正証書遺言で回避しよう 遺産相続について、「まさか我が家でトラブルなんて…」と考える方は少なくありません。しかし実際には、相続に関して割り切れない思いを抱く人は多いもの。非常に根の深い、親族間トラブルの原因になる可能性もあるのです。将来のトラブルを予防するために、ぜひ公正証書遺言についても検討してみてください。 作成時に手間はかかっても、「法律的にほぼ確実な遺言書が残せる」というメリットは非常に大きいと言えるでしょう。トラブル回避を目的に遺言書を残すのであれば、ぜひ積極的に検討してみてはいかがでしょうか。

  • 遺産相続の手続きは自分で!具体的な進め方と注意点を解説

    40代~50代になると、いつか発生するであろう「相続」について、気になる方も多いのではないでしょうか。実家の親が亡くなれば、子どもはほぼ確実に法定相続人に数えられます。いざ相続が発生しても、「具体的に何をどう手続きすれば良いかわからない…」と悩む方は少なくありません。 遺産相続の手続きは、具体的にどう進めていけば良いのでしょうか。自分で手続きする場合の流れや注意点について解説します。 遺産相続とは?大まかな流れ 遺産相続とは、亡くなった人が所有していた財産を、相続人で分け合う手続きを言います。具体的にどういった流れになるのか、把握しておきましょう。遺産相続の流れは、「故人が遺言書を残しているかどうか?」によって、大きく違ってきます。 遺言書が残っている場合と、残っていない場合、それぞれについて大まかな流れをチェックしてみましょう。 ★遺言書が残されている場合 故人の遺言書が見つかった場合の流れは、以下のとおりです。 1.必要に応じて家庭裁判所にて検認の手続きをする2.遺言書の中身を確認する3.遺言書の内容に沿って、遺産を分割する4.口座の解約や不動産の名義変更といった手続きを完了させる 遺言書とは、故人の最期の思いを記した正式な書類です。法的効力を持つ正式な遺言書であれば、そこに記された内容に沿って相続手続きを進めていくのが基本。たとえ遺言書に記されていた内容が法定相続分とは異なっていても、遺言書の方が優先されます。 親族間で協議する必要がないため、争いごとを避けられる可能性も高いでしょう。また相続が発生してから、慌てて相続財産の調査をする必要もありません。 ただし遺言書が自宅で発見された「自筆証書遺言」の場合、家庭裁判所による「検認」と呼ばれる手続きが必要です。封がしてあるものを勝手に開けて中身を確認してしまうと、偽造や変造を疑われる原因に。5万円以下の罰金が科せられる恐れもあるため、注意してください。 遺言書の検認には、家庭裁判所への申し立てが必要です。以下の必要書類を揃えて手続きしてください。 ・申立書・遺言者の戸籍謄本、除籍謄本、原戸籍謄本(出生時から死亡時までのすべてを揃えて提出)・相続人の戸籍謄本(全員分) 検認には、少なくても1ヶ月以上の時間が必要になります。検認が必要な遺言書が発見されたら、できるだけ素早く申し立てを行いましょう。 ちなみに、残されていた遺言が公正証書遺言であったり、自筆証書遺言であっても法務局にて保管されていたりした場合には、検認は不要です。偽造や変造の疑いがないため、すぐに内容を確認し、その後の手続きを進めていけます。 ★遺言書が残されていない場合 遺言書が残されていない場合は、遺産相続について、相続人が協力して決定する必要があります。こちらの場合の大まかな流れは以下のとおりです。 1.相続人に関する調査を行い、確定する2.相続財産に関する調査を行い、確定する3.遺産分割協議を行う4.協議の内容に基づき、遺産分割協議書を作成する5.遺産分割協議書に基づいて、遺産を分割する6.口座の解約や不動産の名義変更といった手続きを完了させる 遺言書が残されていない場合、「誰が相続人になるのか?」「何が相続対象に含まれるのか?」を明らかにするところからスタートします。必要に応じて、専門家の手を借りることも検討してみてください。こうして調査された内容をもとに、遺産分割協議を行います。誰が何を相続するのか、この協議にて確定しましょう。あとはその内容に基づいて相続を完了させます。 言葉にすると非常にシンプルですが、実際には遺産分割協議がまとまらない事例や、話がこじれて訴訟にまで発展してしまう事例も少なくありません。ひとつひとつの問題を、丁寧に解決していく必要があるでしょう。 遺産の状況によっては相続放棄の検討も! 遺産の状況によっては相続放棄の検討も! 遺産相続の手続きを自分で進めていく場合、注意したいポイントのひとつが、相続放棄についてです。相続する財産の状況によっては、放棄した方が良いのかどうか、ぜひ冷静に検討してみてください。 遺産相続では、プラスの財産だけではなく、マイナスの財産も対象になります。相続する遺産を調査した結果、プラスの財産よりもマイナスの財産の方が多いようであれば、相続放棄を検討した方が良いでしょう。相続放棄には、「相続が発生したことを知ってから3ヶ月以内」という期限が存在しています。 遺言書の検認手続きや遺言書が残されていない場合の財産の調査は、相続放棄する可能性についても考慮した上で、時間に余裕を持って進めていくのがおすすめです。 相続放棄の手続きも、家庭裁判所にて進めていきます。申し立てが認められれば、「最初から相続人ではなかった」と法律的にも認められるでしょう。 ただし相続放棄すれば、これから先も含めて、すべての財産を相続する権利を一切失うことになります。また、もし自分よりも低順位の相続人がいれば、相続人は次の順位へと移っていくでしょう。こちらも考慮する必要があります。 遺産分割協議書の作成方法は? 遺産分割協議の結果は、遺産分割協議書に記します。自分で手続きする場合、以下の点に注意してください。 ・相続人や財産を、正確に記載・相続人全員分の、実印での捺印が必要 遺産分割協議書は、預貯金の解約や相続登記などで使用する正式な書類です。内容が不十分であれば、後々トラブルに発展する可能性も。協議で決まった内容を、正確に記載してください。また相続人全員分の実印が必要になる点も、早めに確認しておきましょう。 忘れてはいけない相続税の申告 相続手続きが完了したあとに、忘れてはいけないのが相続税の申告についてです。相続税の申告には、「被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10ヶ月以内」という期限があります。申告が必要な場合には、忘れないように注意しましょう。 相続する財産の総額が、相続税の基礎控除額に収まる場合は、相続税を申告する必要はありません。相続税の基礎控除額は、以下の数式で求められます。 【相続税の基礎控除額 =3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数】 亡くなった配偶者の遺産を受け継ぐ場合など、基礎控除額に収まらない場合でも、相続税が発生しないケースは多々あります。ただしこの場合、「相続税を申告した結果、ゼロ円になった」と判断されるため、申告手続きそのものは必要になるため、注意してください。 相続財産の調査の段階で、「相続税の基礎控除額を超えそうだ」と判断した場合、相続税の申告についても余裕を持って進めていきましょう。 遺産相続の手続きは自分で可能!ただし専門家の手を借りた方が良い場合も 遺産相続の手続きは自分で可能!ただし専門家の手を借りた方が良い場合も 比較的シンプルな遺産相続であれば、自分自身で手続きを進めていくことは十分に可能です。それぞれの手続きの期限を意識しつつ、ひとつずつ確実にこなしていきましょう。一方で、以下のような場合は、専門家の手を借りることをおすすめします。 ・仕事が忙しく、平日昼間に動けない・面倒な手続きが苦手・遺産分割協議で揉める可能性が高い 自分で進めていく場合には、ぜひ今回紹介した情報を参考にしてみてくださいね。

  • 「遺産放棄」とは?相続放棄との違いを知ってしかるべき手続きを

    ひと言で「遺産」と言ってもその実態はさまざまで、状況によっては「できれば受け取りたくない…」と考える方もいるでしょう。こんなとき、あらかじめ知っておきたいのが遺産を放棄するための手続きについてです。 このコラムでは、遺産を放棄するための手続き、「遺産放棄」について詳しく解説します。混同されやすい「相続放棄」との違いについても紹介するので、ぜひ今後の参考にしてみてください。 遺産放棄(財産放棄)とは具体的にどういうこと? 遺産放棄(財産放棄)とは、相続権を持っているにもかかわらず、「遺産を相続しない」という立場を表明することを言います。被相続人が亡くなり相続がスタートすると、まずは遺言書の有無が確認されるでしょう。遺言がなければ、その遺産は遺産分割協議によって、どう分けられるのか決定されます。この遺産分割協議にて、「財産を相続しない」と表明すれば、それが遺産放棄(財産放棄)に当たります。 遺産放棄は、法律で明確に定められた手続きではありません。よって事前に特別な準備をする必要もなく、その他の相続人に自身の決意を伝えればOKです。遺産分割協議でその希望が受け入れられれば、無事に遺産を放棄できるでしょう。 また遺産放棄を宣言したからといって、相続人としての立場を失うわけではありません。他の相続人との話し合いにはなるものの、「この遺産は放棄したいが、こちらだけは相続したい」など、柔軟な対応も可能です。後になって新たな遺産が見つかったときにも、またあらためて、相続人としての立場で話し合いに参加できるでしょう。 相続放棄との違いは? 遺産を受け取らない道を考えたとき、もう一つ検討したい道が「相続放棄」です。遺産放棄とよく似た言葉ではありますが、両者の意味合いは大きく異なります。それぞれの意味を正しく把握して、自身の思いに沿った方を選択しましょう。 相続放棄とは、相続人としての権利、つまり相続権そのものを放棄するための法的手続きです。法的にも自身の立場を明確にするため、一定期間内に家庭裁判所にて、必要な手続きを済ませる必要があります。家庭裁判所にて相続放棄が認められれば、その人は「最初から相続人ではなかった」とみなされるでしょう。相続順位は次の人に回され、今後何があっても、相続人としての権利を主張することはできなくなります。 相続放棄の手続きができる期間は、「相続を知った日から3ヶ月間」です。この期間を過ぎると、相続放棄の手続きは選択できなくなりますから、十分に注意してください。 「相続放棄は面倒だから遺産放棄で十分!」は間違い 「相続放棄は面倒だから遺産放棄で十分!」は間違い 遺産放棄が他の相続人に自身の意思を伝えるだけでOKであるのに対して、相続放棄するためには、家庭裁判所への申し立てが必須です。「どちらにしても財産を受け取らないのだから、より簡単な遺産放棄で十分なのでは?」と考える方もいるかもしれません。しかし、この考えは非常に危険です。 なぜなら、被相続人が残す「遺産」とは、常にプラスであるとは限らないからです。万が一、マイナスの財産が相続財産に含まれれば、遺産放棄の意思表明だけでは不十分です。債権者は、相続人に対しても借金を返済するよう求める権利が認められています。法律的にも「自分は相続人ではない」と明らかにしなければ、被相続人の代わりに、自身が借金を背負ってしまうでしょう。 いくら「自分は遺産を受け取っていないので」と説明しても、債権者には通用しません。法律をもとに動いている債権者の取り立ては、そのまま継続してしまいます。 プラスの財産とマイナスの財産の両方が残されている場合には、遺産放棄で十分なのか、それとも相続放棄の手続きを取らなければならないのか、特に慎重に判断する必要があります。遺産分割協議においても、「どうせ財産を相続しないから」と安易に考えるのは辞めましょう。どの遺産を誰がどのように引き継ぐのかを明らかにした上で、自身の立場を明確にするのがおすすめです。 遺産放棄を選んだ方が良いケースとは? 遺産放棄にも相続放棄にも、メリットとデメリットの両方があります。相続放棄のメリットは、相続人としての権利を放棄したという事実を、法的にも認められる点です。一方で、柔軟な対応が難しいというデメリットがあります。以下のようなケースでは、相続放棄よりも遺産放棄を選んだ方が、メリットが大きくなると予想されます。ぜひじっくり検討してみてください。 ★1.基本的には遺産を放棄しつつ、一部のみ受け取りたい場合 遺言書が残されていない場合の遺産相続では、法定相続分に沿って遺産を分配します。しかし、常に遺産を等分に分けられるとは限りません。特に、遺産に土地や建物といった不動産が含まれている場合、相続割合は非常に複雑になるでしょう。 たとえば、「不動産は要らないが、現金だけは受け取りたい」という場合、遺産放棄が有効です。不動産についてのみ遺産放棄をして、その他の財産については受け取りましょう。遺産放棄の手続きを上手に活用すれば、親族間の余計なトラブルを防止できる可能性があります。 ★2.将来的にさらに遺産が発見される可能性がある場合 被相続人が亡くなったあと、一定期間経ってから新たな遺産が発見されるケースもあります。この場合、最初の相続で相続放棄の手続きをすると、後で見つかった遺産についても相続する権利を失ってしまうでしょう。 「今現在明らかになっている遺産は受け取らない」と決めていても、将来的に状況が変化する可能性はゼロではありません。わざわざ相続放棄をするメリットがないのであれば、遺産放棄に留めておくのがおすすめです。将来遺産が発見された場合に、あらためて相続するのか、遺産放棄をするのか、それとも相続放棄をするのか、その時点の状況を考慮して決断できるでしょう。 ★3.相続権を次の順位に回したくない場合 相続放棄をしても遺産放棄をしても、「自分が遺産を受け取らない」という結果に変わりはありません。しかし「誰が相続人になるのか?」という視点で考えると、2つの手続きには非常に大きな差があるのです。 遺産放棄を選択する場合、自分自身が相続人として、「遺産を受け取らない」と決断することに。相続権は、当然自分のもとに残ります。一方で相続放棄をすれば、相続権は次の順位へと移っていきます。相続順位が移り、相続人の範囲が広がれば、さらなるトラブルを引き起こしてしまうケースもあるでしょう。 こうしたトラブルを防ぎたい場合も、「相続人の立場のまま遺産だけを受け取らない」遺産放棄には、意味があります。 今回紹介した3つのケースは、どれも「相続財産に負債が含まれていない場合」を想定しています。まずは負債がないかどうかを確認し、その上で、遺産放棄するべきかどうか、検討してみてくださいね。 遺産放棄と相続放棄を知って適切な手続きを 遺産放棄と相続放棄を知って適切な手続きを 自身の終活について考え始める時期は、身近な人からの相続について考え始めるべき時期でもあります。「遺産を受け取らない」という選択肢についても、ぜひ慎重に検討してみてください。 遺産放棄と相続放棄は、言葉は似ていますが、もたらす結果は大きく違ってきます。それぞれの基礎知識を身につけた上で、自分にとって必要な手続きを選択するのがおすすめです。

  • 兄弟姉妹の立場で遺産は受け取れる?知っておくべき注意点も

    自身の老後について考え始めたら、遺産や相続について正しい知識を身につけるところからスタートしましょう。相続とは、いつやってくるかわからないもの。きちんとした知識を持っていれば、いざそのときに慌てなくて済むでしょう。 遺産と言えば「親から受け継ぐもの」というイメージを抱いている人も多いかもしれませんが、状況によっては兄弟姉妹の遺産を受け取るケースもあります。兄弟姉妹の立場で、どうなった場合に遺産が受け取れるのか、わかりやすく解説します。 相続の基本!相続順位について学ぼう 相続の基本!相続順位について学ぼう 被相続人が亡くなったとき、その財産は相続人へと受け継がれていきます。故人と血縁関係にある人が相続人なるイメージですが、現実には「血縁関係にある人すべて」が相続人になれるわけではありません。相続には「相続順位」が定められており、この順位がもっとも高い人が相続人になれるのです。 被相続人が亡くなった際に、無条件で相続人になれるのは「配偶者」です。故人に夫や妻、法律上の配偶者がいれば、どのような状況であっても相続人として認められます。相続順位が定められているのは、この配偶者以外の相続人についてです。 相続順位がもっとも高いのは、故人の子どもです。子どもが複数人いれば、全員が相続人になります。相続順位2位は、故人の両親。そして第3順位に当てはまるのが、故人の兄弟姉妹です。相続順位1位から3位の人々は、常に相続人になれるわけではありません。相続順位が高い方から順番が回り、当てはまる人が見つかった段階で、それ以降の順位の人には相続権が発生しない仕組みになっています。 兄弟姉妹が亡くなった際に、故人が結婚していて子どもを設けている場合、配偶者とその子どもが財産を受け継ぐでしょう。故人の兄弟姉妹が相続人になるケースとして考えられるのは、「故人に子どもがおらず、両親もすでに亡くなっている場合」です。 ちなみに、故人には子どもがいたものの、すでにその子どもが亡くなっている場合、相続権は子どもの子ども、つまり孫へと受け継がれます。この場合も、故人の両親や兄弟姉妹が財産を相続することはできません。第2順位の父母が亡くなっている場合、祖父母に相続権が発生します。兄弟姉妹に相続権が発生するものの、すでに亡くなっている場合はその子どもたち、つまり故人にとっての甥や姪が相続権を持ちます。 兄弟姉妹が法定相続人になった場合の相続割合は? 兄弟姉妹の立場で相続人になると決定した場合、どのくらいの財産を受け継ぐのか気になる方もいるでしょう。兄弟姉妹が相続人となるケースは、以下の2パターンしかありません。 ・故人の配偶者と共に、兄弟姉妹が相続人になる・兄弟姉妹のみが相続人になる 下のケースは非常にシンプルで、相続人となる兄弟姉妹ですべての財産を受け継ぎます。兄弟姉妹が複数人いる場合には、財産をそれぞれで等分することになるでしょう。 一方で、故人に配偶者がいる場合、相続財産の4分の3を配偶者が受け継ぎます。兄弟姉妹の法定相続分は全体の4分の1で、相続人が複数人いる場合には、その4分の1をさらに等分に分けてください。 兄弟姉妹が法定相続人になる場合に覚えておきたい3つのポイント 兄弟姉妹が法定相続人になる場合に覚えておきたい3つのポイント 兄弟姉妹が法定相続人になるケースは、決して少なくありません。兄弟姉妹が亡くなった際には、法定相続人になる可能性があるという点を、頭に入れておきましょう。兄弟姉妹の立場で、頭に入れておきたいポイントを3つ紹介します。 ★1.子どもや親が相続放棄する可能性がある 上で解説したとおり、亡くなった兄弟姉妹に配偶者や子どもがいれば、兄弟姉妹の立場で法定相続人になるケースは少ないでしょう。その時点で、「自分には関係ないこと」と捉えてしまう方も多いのではないでしょうか。ここに注意が必要です。 遺産相続とは、プラスの財産のみを受け継ぐ行為ではありません。もし故人が負債を抱えていたとしたら、そのマイナスの財産も相続財産としてみなされるでしょう。この場合、相続順位第1位である故人の子どもたちや、第2位の父母が、そろって相続放棄の手続きを取る可能性も。相続放棄の手続きを取った相続人は「最初からいないもの」として扱われ、相続順位は次に回されます。つまり、第3順位である兄弟姉妹が、相続人になる可能性もあるのです。 相続放棄の手続きには、期限が設定されています。「自分には関係ないだろう」と思い込み、手続きのチャンスを逃さないよう注意してください。 ★2.故人の兄弟姉妹の代襲相続は一代のみ 代襲相続とは、相続権を持つ人がすでに亡くなっていた場合に、その相続権が下の世代(もしくは上の世代)にどんどん受け継がれていくことを言います。 故人の子どもが亡くなっていれば、その子どもが、その子どもも亡くなっていればまたその子どもに相続権が発生します。第2順位の両親についても同様で、両親が亡くなっていればそのまた両親、さらにその先の両親と、どんどん遡っていくのです。その範囲は定められておらず、該当する人が存在するなら、どこまででも辿っていけるという特徴があります。 ただし兄弟姉妹が相続人となる場合、代襲相続は一代のみと決められています。兄弟姉妹が亡くなっていれば甥や姪が相続権を持ちますが、すでに甥や姪が亡くなっている場合、その子どもに相続権が渡ることはありません。 ★3.兄弟姉妹に遺留分は認められない もう一点忘れてはいけないのが、遺留分に関する注意点です。遺留分とは、法定相続人が相続できる最低限度の相続分のこと。たとえば故人が遺言書で「○○に全財産を譲る」と言った内容を残していても、法定相続人であれば、遺留分だけは確保できるという特徴があります。 兄弟姉妹の立場で法定相続人になる場合、遺留分は認められていません。故人の遺言は法定相続よりも優先されますから、「配偶者に全財産を譲る」といった内容が残されていれば、兄弟姉妹が遺産を受け取ることはできないのです。 トラブルになりやすいポイントですから、事前に頭に入れておきましょう。 兄弟姉妹が財産を相続する場合の特徴を知ってトラブルを防ごう 兄弟姉妹の立場で、被相続人の遺産を受け取れる可能性はあります。故人に子どもがおらず、すでに両親も亡くなっている場合、相続権が回ってくる可能性が高いと言えるでしょう。 しかし実際に兄弟姉妹の立場で法定相続人になる場合、相続人の範囲が広がり、トラブルに悩まされるケースも少なくありません。相続に関する基礎知識をきちんと身につけ、トラブルを避けられるように準備しておきましょう。相続順位を知っておくだけでも、事前の心構えができるはずです。

  • 生前贈与の「相続時精算課税」とは?遺産を受け取る際の注意点やデメリットも解説

    将来の相続税負担を和らげるため、生前贈与を検討する方も多いでしょう。生きている間に財産を子どもや孫に渡してしまえば、相続財産を減少させ、相続税が発生するリスクも少なくできます。 とはいえ、生前贈与を行う場合に、考慮しなければならないのが「贈与税」についてです。生前贈与をしても贈与税が課せられないと言われる「相続時精算課税」をわかりやすく解説します。遺産を受け取る際の注意点やデメリットについても、注目してみましょう。 相続時精算課税とは? 相続時精算課税とは? 生前贈与で相続時精算課税を検討する場合、まず「相続時精算課税とは具体的にどのような制度なのか?」という点について、正しい知識を身につけておく必要があります。相続時精算課税とは、贈与税の課税方式の一つです。 生きている人から別の人に財産を贈与した際に、課せられるのが贈与税です。「相続税を減少させるために生前贈与を」と考える方も多いですが、この場合、相続税ではなく贈与税が課せられてしまいます。こうした仕組みにある意味で「逃げ道」を提案してくれているのが、相続時精算課税というシステムなのです。 相続時精算課税制度を使った場合、特別控除額2,500万円までの範囲であれば、生前贈与を受けた時点で贈与税は発生しません。ただし生前贈与を行った人が亡くなれば、過去に生前贈与された財産も相続財産にプラスして、相続税を計算する必要があります。 たとえば合計で1億円の財産を持つ父親Aさんが、相続時精算課税制度を使い、息子Bさんに2,500万円を生前贈与したとします。息子Bさんは2,500万円を受け取った時点で贈与税を支払う必要はありませんが、将来Aさんが亡くなったときには、受け継ぐ財産に生前贈与分をプラスして、相続税を求めなくてはいけません。生前贈与後の財産に変動がなければ、相続発生時点で7,500万円の遺産を受け取り、生前贈与分を含めた1億円で計算された相続税を納めることになります。 相続時精算課税制度を使えるのは、生前贈与をする年の1月1日時点で60歳以上の方のみ。また生前贈与を受ける人は、贈与者の直系卑属である推定相続人もしくは孫のうち、贈与を受ける年の1月1日時点で20歳以上の方のみです。 相続時精算課税制度の注意点とは? 相続時精算課税制度は、一度の多くのお金を贈与できる、非常に便利なシステムと言えるでしょう。たとえば、「子どもや孫が事業を始めるため、援助したい」「住宅取得等資金の特例の範囲を超えて、住宅購入資金を援助したい」といった場合に、強みを発揮してくれます。とはいえ、相続時精算課税制度を利用した場合、税金が免除されるわけではありません。あくまでも「本来支払うべき税金を、先送りにしているだけ」と捉えてください。 また贈与税の課税方式の選択は、1度だけしかできません。1度でも相続時精算課税制度を選択して生前贈与を行えば、その後の贈与も、すべて相続時精算課税制度を利用したものと判断されます。2,500万円というのは生涯を通じた累計非課税枠であり、贈与額がこの数字を超えてしまえば、超えた分に対して20%の贈与税が課せられます。 たとえば60歳のときに相続時精算課税制度を利用して生前贈与を行ったとしたら、その後20年以上にわたって、贈与額を少しずつ積み重ねていく可能性も。その先の資金援助プランも見据えて、利用を検討するべき制度と言えるでしょう。 相続時精算課税では「年110万円まで」の非課税枠が使えない! 相続時精算課税では「年110万円まで」の非課税枠が使えない! 相続時精算課税制度のデメリットとして、必ず頭に入れておきたいのが、「年110万円まで非課税で贈与できる制度は2度と使えない」という点です。そもそも「年110万円まで非課税で贈与できる」というのは、贈与税の暦年課税制度に設定された基礎控除によるもの。相続時精算課税制度を利用するということは、2度と暦年課税制度を利用しないのと同意ですから、110万円までの非課税枠も失われてしまいます。 実際に、相続時精算課税制度を使って贈与をしたのちに、その事実を忘れて110万円までの贈与を行ってしまう事例は少なくありません。相続時精算課税制度を使って2,000万円を贈与した後に、その事実を忘れて年間110万円ずつ贈与を行った場合、わずか5年後には贈与税の支払いを求められるでしょう。 また暦年課税制度を利用していた場合、年間110万円までは相続税も贈与税もかからない計算になります。一方で相続時精算課税制度を選択した場合、年間の贈与額が110万円以内であっても、その分は将来的に相続税の対象になってしまうのです。「相続税の負担を和らげる」という目的で利用する場合、かえって逆効果になってしまう可能性もあるという点が、非常に大きなデメリットと言えます。 土地の生前贈与にも注意が必要 相続時精算課税制度のデメリットで、もう1点頭に入れておきたいのが「土地の生前贈与」についてです。相続時精算課税制度を使えば、不動産の生前贈与も可能。ただしこの場合、相続税で認められている「小規模宅地等の特例」の利用はできません。 小規模宅地の特例とは、亡くなった人が使用していた宅地等のうち、一定部分までであれば相続税評価額を80%まで減額できる制度のこと。この特例を使えば、土地や自宅に関しては、非常に少ない負担で相続できる可能性が高いでしょう。しかし相続時精算課税制度を利用した場合、減額されない価格で相続税が計算されます。余計な負担が発生する可能性があるのです。 こちらのデメリットも頭に入れた上で、相続時精算課税制度を利用した不動産の贈与については、慎重に検討する必要があるでしょう。税負担の軽減という目的だけを考えるなら、相続時精算課税による贈与財産からは除外するのがおすすめです。 相続税が0円なら利用のメリットは大! 相続税には「3,000万円+(600万円×法定相続人数)」という基礎控除額が定められています。この範囲内であれば、相続税が課せられることはありません。もちろんこの基礎控除は、相続時精算課税制度を利用した場合でも適用されます。 「単なる税金の先送り」とも言われる相続時精算課税制度ですが、法定相続人が1人で合計3,500万円の遺産を受け継ぐケースでは、「非課税で早く大金を受け取れる」というメリットが発生する可能性も。相続時精算課税制度を利用して先に2,500万円を受け取っても、残りの財産が1,000万円なら、相続税は課せられません。 相続時精算課税制度を利用しない場合、 ・被相続人が亡くなった段階で3,500万円を受け取る・2,500万円の生前贈与を受ける時点で、相応の贈与税を支払う のいずれかを選択せざるを得ないでしょう。相続時精算課税制度によって、「税金の負担なく早い段階で親の遺産を引き継ぎ、活用する」という第3の選択肢が生まれるのです。 自分にとってのメリット・デメリットを検討し慎重な決断を 生前贈与を行う際の相続時精算課税制度を利用する際には、メリットもあればデメリットもあります。自分にとってはどちらの方が大きいのか、冷静に判断する必要があるでしょう。 ・本当に今大金を受け取る必要があるのか?・その他の非課税制度(住宅資金や教育資金)は利用できないか? これらの点も踏まえて、ぜひ慎重に検討してみてくださいね。

  • 遺産の独り占めはよくあるトラブル!3つの対処法と予防のポイントは?

    遺産相続に関するトラブルで、耳にする機会も多いのが「独り占め」です。相続人のうちの1人が財産を独占してしまったら、その他の相続人にとっては、到底納得できる状況とは言えないでしょう。 では実際に独り占めトラブルが発生してしまった際に、私たちはどう対処するべきなのでしょうか。3つの方法と、そもそも独り占めトラブルを起こさないための予防法をお伝えします。 遺産の独り占めが起きる理由 遺産の独り占めが起きる理由 相続が発生する前は、「相続人の誰かが財産を独り占めするなんて、想像もできない…」と思う方も多いのかもしれません。しかし実際には、遺産の独り占めは「よくあるトラブル」の一つ。決して珍しくないのです。では、そもそもなぜ遺産の独り占めという状況が生まれてしまうのでしょうか?理由として考えられるのは、以下の2つの状況です。 ★遺言書に「○○にすべての財産を譲る」という記載がある場合 被相続人が遺言書に、「特定の相続人のみにすべての財産を譲る」と記載していた場合、遺産の独り占めは可能になります。法的に有効な遺言書に記載された内容は、何よりも優先されるべき事項だからです。相続人の意志というよりは、被相続人の意志によるものと捉え、受け入れる必要があるでしょう。 ★同居中の家族が遺産分割協議に応じない場合 遺言書がない場合でも、被相続人と同居していた相続人によって、財産を独り占めされてしまうケースもあります。同居家族であれば、預金口座に残されたお金やその他の財産についても、別の相続人よりも詳しく把握しているでしょう。また自宅が被相続人名義であれば、遺産分割協議によって住む場所を失う事態にもなりかねません。 ・不動産分割に関する協議に一切応じない ・遺産を勝手に使い込む このような状況で、独り占めが発生するケースもあります。 もしも遺産を独り占めされてしまったら…対処法3つ もしも本当に遺産を独り占めされてしまったら、できるだけ早く具体的な行動をとる必要があります。3つの対処法を紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。 ★遺言書が有効なのか確かめる 遺言書によって独り占めが発生している場合、何よりも先に確認しておきたいのが「遺言書の有効性」についてです。近年の終活ブームに伴って、増えている自筆証書遺言では、遺言書に必要な要件を満たせていないことが原因で、無効と判断される事例も少なくありません。遺言書そのものが無効であれば、「○○にすべての財産を譲る」といった内容も無効に。一から遺産分割協議を行う必要があり、独り占めを阻止できるでしょう。 また、たとえ遺言書の必要要件を満たしていても、自宅で保管されていた遺言書の場合、偽造されている可能性や内容を変えられている可能性も捨てきれません。あらゆる可能性を考慮しながら、遺言書そのものについてチェックしてみてください。チェックポイントがよくわからない場合には、弁護士などの専門家に相談するのもおすすめです。 ★遺留分を請求する 「○○にすべての財産を譲る」という内容の遺言書が有効であると認められた場合、相続人1人の独り占めが可能になります。とはいえ、その他の相続人には「遺留分を請求する権利」が認められていますから、必要な手続きを進めていきましょう。 遺留分とは、法定相続人に認められている遺産の最低限の取り分のこと。たとえば法定相続人が配偶者のみの場合は1/2が、配偶者と子どもの場合はそれぞれ1/4ずつが遺留分として認められます。たとえ遺言書で独り占めを認めていても、遺留分を請求すれば、実質的に独り占めを阻止できるでしょう。 ただし遺留分の請求権が認められているのは、 ・配偶者や子供などの直系卑属 ・両親などの直系尊属 のみです。兄弟姉妹の立場で法定相続人になった場合、残念ながら請求できません。 ★家庭裁判所に申し立てる 有効な遺言書がないにもかかわらず、遺産の独り占めトラブルが発生している場合、最初は説得にあたるケースがほとんどでしょう。説得に耳を貸し、遺産分割協議に応じてくれるようであれば、問題はありません。より深刻なのは、そうした説得でも効果が見られない場合です。 この場合、家庭裁判所に遺産分割調停を申し立てる方法があります。調停委員による説得や遺産分割審判による分割方法の決定など、法律的な側面からより公正な遺産分割をサポートしてくれるでしょう。 またすでに遺産が使い込まれている場合、まずは銀行に連絡して口座をストップしてもらいましょう。被相続人が亡くなったあとの出入金記録を確認し、使い込みの有無をチェックしてください。その記録をもとに遺産分割調停に臨むことで、使い込まれた財産分も取り返せる可能性があります。本当に使い込まれているのか、またどの程度取り返せるのかは、個々の状況によって異なります。経験豊富な弁護士に相談すると良いでしょう。 そもそも遺産の独り占めを防ぐためには? 遺産の独り占めは、さまざまなトラブルを招きかねません。その他の相続人との間に深い亀裂が生じる恐れもありますし、最終的に裁判になれば、トラブルが年単位で続いていく可能性もあるでしょう。こうしたトラブルを避けるためには、ぜひ以下のような対策を心掛けてみてください。 ★遺言書は正しく、相続人感情に配慮した形で残す 遺言書は被相続人の遺志を伝えるためのものです。余計なトラブルを防ぐためには、まず「法律的に有効な形で遺言書を残す」ことを意識してください。またその内容についても注意が必要です。 先ほどもお伝えしたとおり、相続人の1人に独り占めさせるような形の遺言を残したとしても、その他の法定相続人には遺留分の請求が認められています。最初から遺留分に配慮した内容にしておけば、独り占めにはならず、余計なトラブルを回避できる可能性も高まるでしょう。また遺産分配が公平ではない理由についても、丁寧な説明を心掛けると、より自分の気持ちを届けやすくなります。 ★同居中の相続人とその他の相続人とが円満な関係性を築く 遺言書の有無にかかわらず、遺産の独り占めは同居中の相続人によって行われるケースが目立ちます。これには、「被相続人の面倒は全部自分が見て来た」という自負や犠牲の気持ちが関係していると思われます。 同居中の家族だけが介護を担当するのではなく、周囲の相続人が積極的に関わりサポートすれば、独り占めトラブルが発生する可能性は低くなります。 遺産の独り占めトラブルは早めの相談が鍵 遺産の独り占めトラブルは早めの相談が鍵 万が一遺産の独り占めトラブルが発生してしまったら、できるだけ早い段階で弁護士に相談しましょう。遺言書の有効性や独り占めの正当性について、法律の専門家として状況を判断してくれるでしょう。また独り占めしている相続人との交渉役も担ってもらえます。 相続トラブルで弁護士なんて…と思う方もいるかもしれませんが、話がこじれれば、問題はより大きく深くなっていきます。法律の力も借りつつ、少しでもスッキリと解決できる道を探ってみてください。

  • 親の遺産を放棄したい!手続き方法や期間・注意点を解説

    「遺産相続」というキーワードを耳にしたとき、ごく自然に「プラスの財産」を思い浮かべる方も多いかと思います。しかし実際には、「マイナスの財産」が相続されてしまうケースも少なくありません。また何らかの事情で、「親の財産を受け継ぎたくない」と思うこともあるでしょう。 このような場合に検討したいのが、「相続放棄」についてです。具体的な手続き方法や注意点を解説します。 相続放棄とは? 相続放棄とは? 相続放棄とは、相続人が、被相続人の財産を相続する権利を一切放棄する手続きを指します。亡くなった方の財産が、相続人にとって好ましいものとは限らないでしょう。このような場合に、一定の手続きを経て相続放棄をすれば、「相続しない自由」を選択できます。 相続放棄の特徴は、「相続する財産のすべてを放棄する」という点です。非常にシンプルですが、誤解しやすいポイントでもありますから、十分に注意してください。相続する財産には、さまざまなものが含まれています。「その一部のみを相続し、その他を放棄する」ということはできません。あくまでも、「相続放棄するのであれば、財産のすべてをあきらめる」選択になるでしょう。 相続放棄は、以下のようなシーンで有効です。 ・プラスの財産よりも、明らかに負債の方が多い・相続問題に巻き込まれたくない・自分ではない相続人に、すべての財産を譲りたい たとえば、預貯金や不動産といったプラスの財産よりも、借金額の方が多ければ、財産を受け継ぐ金銭的なメリットはありません。それどころか、相続によって自身の生活が困窮する可能性すらあるでしょう。プラスの財産をあきらめる代わりに借金も受け継がなくて済むのであれば、そちらのメリットの方が大きくなります。 また遺産相続には、相続問題も付き物です。「わずかな遺産を取り合っていざこざを起こすくらいなら…」と思うときにも、相続放棄の手続きをとりましょう。別の相続人に遺産を相続させたい場合にも、相続放棄の手続きは有効です。たとえば、夫の財産を妻と子どもで受け継ぐ場合、子どもが相続放棄すれば、夫の財産を妻が一人で相続できます。残された家族の生活が不安な場合にも、有効な方法と言えるでしょう。 相続放棄の手続きができる期間は3ヶ月 さまざまな事情がある場合に、有効な手続きである相続放棄。しかし、いつでも自由に手続きできるわけではありません。相続放棄の手続きは、民法によって、相続の事実を知った日から3ヶ月以内に行う必要があると定められています。 相続放棄の手続きは、家庭裁判所にて行います。必要書類をそろえた上で、期間内に申述しましょう。家庭裁判所に直接出向いても良いですし、郵送で必要書類を届けても構いません。ただし、これらの手続きを3ヶ月以内に完了できなければ、自動的に「プラスの財産もマイナスの財産もすべて相続する(単純承認)」と判断されてしまうので注意してください。 「相続の事実を知ってから3ヶ月以内」というのは、非常に厳しいスケジュールです。実際には、「被相続人の財産状況が複雑で調査が終えられなかった…」というケースもあるでしょう。このような場合には、その旨を家庭裁判所へと申し立てましょう。その正当性を裁判所が認めてくれれば、手続き期間が伸長されます。柔軟な対応をしてくれるケースも少なくありませんから、まずは一度、弁護士などの専門家に相談してみてください。 相続放棄に必要な書類とは? 子どもが親の財産を相続放棄する場合、家庭裁判所に対して、以下の書類の提出を求められます。 ・相続放棄申述書・亡くなった人(親)の住民票除票(もしくは戸籍附票)・自分の戸籍謄本・亡くなった人(親)の死亡の記載がある戸籍謄本 住民票除票や戸籍謄本は、市町村役場で手に入ります。相続放棄申述書は、裁判所のホームページからダウンロードしましょう。申述人(相続放棄したい本人)や被相続人(亡くなった人)の情報のほか、相続放棄したい理由を記入して提出します。理由については、できる範囲で詳しく記載するのがおすすめです。 連絡先欄には、平日の日中に連絡がつく番号を記入しましょう。相続財産について記入する欄がありますが、ざっくりとした内容で問題ありません。またよくわかっていない部分については、そのまま「不明」と記載しましょう。押印は実印以外でも大丈夫ですが、自分がどの印鑑を使ったのか、忘れないようにしてください。 相続放棄する場合に知っておきたい注意点3つ 相続放棄の手続きには、いくつか注意したいポイントもあります。こちらもあわせてチェックしてみてください。 ★1.相続放棄が認められないケースもある 相続放棄の手続きは、よほどの事情がなければ、家庭裁判所によって認められます。しかし、以下のような事情がある場合、認められない可能性が高いでしょう。 ・相続人が相続財産を処分した・相続人が相続財産を隠したり、消費したりした つまり、相続人の立場で、勝手に財産を処分したり使ったり、隠したりすれば相続放棄が認められなくなるというわけです。もし相続放棄を検討しているなら、財産の取り扱いには十分に注意しましょう。 特に注意が必要なのは、死亡保険の解約返戻金についてです。死亡に伴い保険契約が解約されれば、一部商品では解約返戻金が支払われます。しかしこちらは、被相続人の財産にあたるため、相続人が勝手に消費することは認められていません。どういったお金なのかしっかりと確認した上で、適切な対処を求められます。 ★2.相続放棄しても死亡保険金を受け取れるケースもある 相続放棄する場合には、被相続人が加入していた死亡保険にも注目してみてください。もし死亡保険金の受取人が指定されていれば、相続放棄した場合でも死亡保険金を受け取れます。 なぜなら、受取人が指定されている死亡保険金は、受取人に固有の財産と判断されるから。「被相続人の財産」ではないため、相続放棄に影響はないというわけです。こちらも頭に入れた上で、相続放棄について検討する必要があるでしょう。 ★3.必要に応じて「限定承認」の検討も 遺産相続には、すべての財産を受け継ぐ「単純承認」と、すべての財産を放棄する「相続放棄」のほか、一部の財産のみを受け継ぐ「限定承認」という方法もあります。 限定承認とは、「相続したプラスの財産以上に、マイナスの財産は負わない」という相続手法のこと。プラス財産とマイナス財産のどちらが多くなるのか、わからないときにも有効な相続手法です。リスクはなく、現時点で把握できていないメリットを逃さないという強みがあります。 限定承認の道を探る場合は、専門家に相談の上で話を進めていくのがおすすめです。自身にとって、ベストな相続の形を探ってみてください。 相続放棄を検討するなら素早い行動を 相続放棄を検討するなら素早い行動を 相続放棄は、マイナスの財産が明らかに多いときや、相続トラブルを避けたいときに有効です。とはいえ、手続きには期限が定められており、あまりゆっくりはしていられません。相続の事実を知ったら、ぜひ早めに専門家に相談してみてください。素早い行動が、自身の利益につながるでしょう。 参考サイトhttps://shine-souzoku.com/genteisyounin/?utm_source=google&utm_medium=cpc&utm_campaign=gentei&gclid=Cj0KCQjw1bqZBhDXARIsANTjCPKBS7d1uOymSBeLtzQBOfIP5Z2aIjRHLblRoxd5DvH7z452uwPmI70aAmN1EALw_wcBhttps://souzoku-pro.info/columns/souzokuhouki/105/#toc_anchor-1-3-4https://www.courts.go.jp/saiban/syurui/syurui_kazi/kazi_06_13/index.htmlhttps://legacy.ne.jp/knowledge/now/souzoku-houki/008-kimekata-tetsuduki-nagare/

  • 遺族年金の種類は2つ!受給要件や受取人はどうなる?

    家計を支えていた家族が亡くなってしまったら…。今後の生活がどうなるのか、経済的な不安を抱える方も多いでしょう。こんなとき、ぜひ知っておきたいのが「遺族年金」に関する知識です。 亡くなった家族の年金加入状況によっては、亡くなったあとに年金を受け取れる可能性があります。遺族年金の種類とそれぞれの特徴、受給要件や受取人について詳しく解説します。 遺族年金とは?2つの種類を知っておこう 遺族年金とは、年金保険の加入者が亡くなった場合に、亡くなった人によって生計を維持されていた家族を支えるための年金制度です。たとえば、働き盛りの会社員が亡くなった場合、その配偶者や子どもは、これから先どう生活すれば良いか不安を抱えてしまうでしょう。遺族年金を受給できれば、その後の生活費も確保できます。 さて、そんな遺族年金には、以下の2つの種類があります。 ・遺族基礎年金・遺族厚生年金 日本の年金制度は、いわゆる二階建ての仕組みになっています。原則として20歳以上の国民全員が加入するのが国民年金制度で、会社員や公務員として働いている人は、国民年金にプラスして厚生年金にも加入しています。遺族基礎年金の場合、20歳以上の国民すべてが対象になる可能性があるのに対して、遺族厚生年金は対象者が限定されます。自営業を営んでいる方や無職の方は、対象になりません。 ただし現在は自営業者であっても、過去に会社員として仕事をした経験があり、厚生年金にも加入していた場合は、受給要件を満たしている可能性も。過去の加入記録をもとに、専門家にアドバイスをもらいましょう。 遺族基礎年金と遺族厚生年金は、それぞれ別の制度です。遺族基礎年金だけが対象になる方もいれば、両方を同時に受け取れる方もいるでしょう。残念ながら受給要件を満たせず、どちらの遺族年金も受け取れないケースも存在しています。次項目からは、それぞれの受給要件について、より詳しくチェックしていきましょう。 遺族基礎年金を受給できる人はごくわずか 遺族基礎年金を受給できる人はごくわずか 20歳以上の国民全員に加入が義務付けられている国民年金。そこから支給される遺族基礎年金ですが、実際に受給できる人はごくわずかです。遺族基礎年金を受給するためには、以下の条件をクリアする必要があります。 ・死亡した人によって生計を維持されていた子どももしくは配偶者である・保険料の納付期間や滞納に関する基準を満たしている 遺族基礎年金は、子育て中の方々を支える目的の制度です。このため、子どもが「18歳到達年度の3月31日を経過していない」もしくは「20歳未満で障害年金の障害等級1級または2級である」の、いずれかの条件を満たしている必要があります。 たとえば、子どもがいない夫婦の夫が亡くなっても、妻は遺族基礎年金を受給できません。子どもがいる夫婦でも、すでに成長し19歳以上になっていれば、やはり受給要件は満たせないのです。 ちなみに、遺族基礎年金の制度は近年大幅に改定されています。過去のルールでは、遺族基礎年金を受給できるのは「子ども」もしくは「子どもを養育中の妻」だけに限られていました。つまり、父子家庭では受け取ることができなかったのです。現在このルールは撤廃され、上記の条件を満たしていれば、「妻を亡くした夫」の立場でも受給が可能に。こちらも頭に入れておきましょう。 遺族厚生年金を受給できるのは厚生年金加入者家族 一方で、遺族厚生年金を受給できるのは厚生年金に加入している(していた)会社員や公務員の遺族です。具体的には、以下のような場合に遺族年金を受給できる可能性があります。 ・厚生年金保険の被保険者である間に死亡したとき・厚生年金の被保険者期間に初診日がある病気やけがが原因で初診日から5年以内に死亡したとき・1級・2級の障害厚生(共済)年金を受け取っている方が死亡したとき・老齢厚生年金の受給権者であった方が死亡したとき・老齢厚生年金の受給資格を満たした方が死亡したとき (※1) 遺族厚生年金の場合も、受給資格を持つのは、亡くなった方に生計を維持されていた家族です。具体的には、以下のような方々が当てはまります。 ・妻・子・夫・父母・孫・祖父母 上で言う子や孫は、遺族基礎年金の場合と同じく、「18歳到達年度の3月31日を経過していない」もしくは「20歳未満で障害年金の障害等級1級または2級である」の、いずれかの条件を満たしている人を指します。また夫や父母、祖父母については、「死亡当時に55歳以上」という条件を満たしている場合にのみ、受給できる可能性があります。 遺族の中で受給要件を満たす人が複数いる場合、遺族厚生年金を受け取れるのは、もっとも優先順位の高い方のみ。妻がいなければ子、それもいなければ55歳以上の夫…といった仕組みです。遺族基礎年金とは違い、対象年齢の子どもがいない場合でも、妻は遺族年金を受け取れる可能性があるでしょう。ただし妻の年齢が30歳未満であり、なおかつ夫婦の間に子どもがいなかった場合は、5年間のみ支給されます。 遺族基礎年金を受給できる人がごく限られているのに対して、遺族厚生年金では、「亡くなった人に生計を維持されていた人がいれば、誰かは受給できる」というケースが多く見られます。遺族基礎年金よりも、受給できる人の幅が広い制度だと言えるでしょう。ただし遺族厚生年金の場合も、受給するためには、保険料の支払い期間に関する要件を満たしている必要があります。過去の加入履歴をチェックしてみてください。 遺族年金がよくわからない…相談先は? 遺族年金の受給要件は非常に複雑で、「説明を読んでもよくわからない…」という方も多いのではないでしょうか?こんなときには、自分だけで判断するのではなく、ぜひその道のプロに相談してみてください。 遺族年金についてもっとも手軽に相談できるのが、各自治体が開設している年金相談窓口です。年金事務所や街角の年金相談センターを頼ってみるのも良いでしょう。年金番号など、必要な情報をまとめて相談にいけば、自身の状況に合ったアドバイスがもらえるはずです。 また「内縁の妻」や「死亡当時に別居していた」など、複雑な要因を抱えている場合は、社会保険労務士に相談してみましょう。遺族年金に強い専門家に相談すれば、解決に向けた糸口がつかめるかもしれません。 身近な家族が亡くなったら遺族年金も確認を 身近な家族が亡くなったら遺族年金も確認を 大黒柱として生活を支えてくれていた家族が亡くなったとき、今後の生活に不安を抱き、途方に暮れてしまう方も多いのではないでしょうか。遺族基礎年金もしくは遺族厚生年金を受給できれば、生活の支えになってくれるでしょう。まずは一度、亡くなった家族の過去の年金加入履歴と、現在の家族の状況についてチェックしてみてくださいね。

  • 遺産【争族】を防ぐために…やっておくべき事前準備とは?

    身近な人が亡くなった際に、発生するのが相続です。できるだけ円満に解決したいと思いつつ、実際には遺産「争族」になってしまうケースも少なくありません。余計なトラブルを防ぐためには、事前にしっかりと相続準備を進めておくことが大切です。争いを避けるための3つのポイントを紹介します。 相続人の負担を減らすための対策をする 相続人の負担を減らすための対策をする 遺産相続でトラブルが発生する理由は、各家庭によってさまざまです。比較的多くみられるのが、相続にかかる負担が大きく、「できるだけ負担を少なくしたい」と願う親族同士で、トラブルに発展してしまうケースです。できるだけ負担を少なくするための対策をとっておきましょう。具体的な対策は、以下のとおりです。 ★相続財産を減らす 相続財産が多い場合に、問題になりやすいのが相続税です。遺産相続には「3,000万円+600万円×法定相続人の数」という基礎控除が用意されていますが、この金額を超えてしまえば、その分に対して相続税が課税されます。相続時の負担を軽減し、できるだけ多くの財産を手元に残すためには、「相続が発生する前に、できるだけ相続財産を減らしておく」必要があるでしょう。 贈与税の負担が大きくならない範囲で生前贈与をしたり、不動産を購入したりする方法が一般的。現金を不動産に変えておけば、相続税評価額は80%程度に減額されるため、相続税の負担軽減に役立つはずです。 またもう一点重要なのが、「もらって困る財産はできる限り事前に処分しておく」ということです。たとえば、田舎の空き家を財産として残されても、困る方がほとんどでしょう。プラスになるどころか、修繕費や管理費などで、マイナスの資産になってしまう可能性も高いです。いざ売却しようとしても、状態の悪い物件を購入したいと思う人は決して多くはありません。不必要な財産は、相続人間の間で押し付け合いのような状況に陥りがちです。できるだけ自分の代で整理しておくと良いでしょう。 どういった相続対策が有効なのかは、個々の状況によって異なります。対策方法を間違えると、相続人の負担がかえって増加してしまう恐れもあるため、注意してください。相続問題に強い専門家に、相談に乗ってもらうのもおすすめです。 ★相続税を納付するための現金をあらかじめ用意しておく 相続税の申告と納付には、期限が定められています。相続が発生した日の翌日から10か月以内と短いため、話をスムーズに進めていく必要があるでしょう。またもう一点注意しなければならないのが、「相続税が発生した場合、税金は現金で納める必要がある」という点です。 不動産相続などで相続税が高額になる場合、現金の準備で苦労する相続人は少なくありません。最悪の場合、せっかく相続した不動産を短期間で売却し、相続税の支払いにあてなければならないような事態も考えられます。 だからこそ、相続税の支払いにあてる分の現金は、相続準備として事前に用意しておくのがおすすめです。不動産の一部を売却して現金を用意したり、不動産投資で賃貸経営をし、そのリターンを確保したりする方法も良いでしょう。こちらも、相続税の負担がだいたいいくらくらいになりそうなのか、専門家と試算した上で必要額を準備しておくのがおすすめです。 家族としっかりコミュニケーションをとる 遺産相続で、あえて揉めようとするご家族は少ないはず。しかし実際には、争いごとが発生してしまうケースは珍しくありません。その多くは、コミュニケーション不足が原因で発生しています。 たとえば、被相続人が「自分の面倒を献身的にみてくれた長男に、全財産を残したい」と考えたとします。とはいえ、こうした考えに、その他の相続人が納得できるとは限らないでしょう。その他の兄弟の中にも「自分は○○で貢献した」「長男は確かに同居していたが、その分生前に受けた恩恵も誰より多かったはず」など、モヤモヤした気持ちが残ってしまう可能性があります。 こうしたトラブルを予防するため、生前から家族間でしっかりとコミュニケーションをとっておくことも、非常に重要な相続準備の一つです。被相続人の立場としても、相続人それぞれの思いを知るきっかけになるでしょう。 たとえば、先ほどの「長男に全財産を残したい」という希望がある場合でも、生前に自らの口から伝えておけば、印象は変わります。どれだけ感謝していて、なぜ財産を残したいと思っているのか。その代わり、その他の相続人に対して何をしようと思っているのか、しっかりと伝えてみてください。その他の相続人からは、もしかしたら文句の言葉が出てくるかもしれません。しかし、生前であれば、それぞれの相続人の思いを知った上で、それを実際の相続に反映させることもできるはずです。 亡くなる前に相続の話をするなんて…と思う方もいるかもしれませんが、これも立派な終活の一つです。自らがコミュニケーションをとれる段階でしっかりと話し合いを進めておくことで、余計なトラブルを防げるはずです。 自身の思いを遺言書に残す 自身の思いを遺言書に残す 相続人たちとの間でしっかりとコミュニケーションがとれたら、自身の思いも反映させた内容を、遺言書に残しておきましょう。どれだけ蜜にコミュニケーションをとっていても、きちんとした書類が残っていなければ、やはりトラブルになってしまう可能性も。終活ブームの今、一般の方でも遺言を残すことは決して難しくありません。ぜひ、自身の言葉を記しておきましょう。 遺言を残す際に、争族にさせないための注意点は以下のとおりです。 ・遺言書を無効にさせない ・相続人の感情を逆なでしない 近年人気の自筆証書遺言は、誰でも自宅で手軽に遺言を残せる方法です。しかしその有効性が認められるためには、ルールに則った形式で書かれていなくてはいけません。実際に、「遺言は残っていたが、ほんの少しのミスが原因で無効と判断されてしまった…」というケースも少なくないのです。 また、遺言を残していた場合でも、法定相続人にはそれぞれ遺留分が認められています。遺留分を無視して「○○に全財産を相続させる」といった内容を残しても、結局のところ、トラブルに発展してしまう可能性が高いでしょう。あらかじめ遺留分に配慮した内容を記載し、またそのように決断した理由についても丁寧に残しておくことで、各相続人の感情にも配慮できるのではないでしょうか。 ちょっとした工夫で遺産「争族」を防ぐことはできる! トラブルのイメージも強い遺産相続ですが、準備段階からしっかりと配慮しておけば、余計な問題を避けられるでしょう。重要なのは、トラブルの芽を事前に察知し、できる限りつぶしておくということ。決して難しい内容ではありませんから、ぜひ終活の一環として取り入れてみてください。 自身が亡くなったあとも、残された家族はみんな仲良くやってほしいと願う方は多いでしょう。円満な遺産相続で、その後押しができると良いですね。

  • 遺産を相続する際に支払う税金は?計算方法から困ったときの相談先まで

    遺産を相続する際に、考えておかなければならないのが「税金」についてです。場合によっては、事前の準備が負担を減らす鍵となる可能性も。まずは「どういった税金がかかるのか?」「どの程度の負担になるのか?」など、基本的な知識を身につけておきましょう。 遺産相続と税金について、気になる点をまとめます。将来の自分たちのため、子どものために、まず何からすればチェックしてみてください。 遺産相続にかかる税金は「相続税」 遺産相続で発生する税金は、相続税です。相続税は、身近な人が亡くなってその財産を受け継いだときのみに発生する税金。普段あまり馴染みがない…と感じる方がほとんどでしょう。 相続税は、相続する財産の金額によって、以下のように税額が定められています。 課税価格 1,000万円以下 → 税率10% 3,000万円以下 → 税率15%(控除額50万円) 5,000万円以下 → 税率20%(控除額200万円) 1億円以下 → 税率30%(控除額700万円) 2億円以下 → 税率40%(控除額1,700万円) 3億円以下 → 税率45%(控除額2,700万円) 6億円以下 → 税率50%(控除額4,200万円) 6億円超 → 税率55%(控除額7,200万円) 相続する財産の課税価格が多ければ多いほど、納める税金額は多くなる仕組みです。仮に課税価格3億円超の財産を受け継ごうとした場合、税率は5割を超えてしまうため、その負担は非常に重いと言えるでしょう。 とはいえ、相続税は相続で財産を受け継いだすべての人が支払うわけではありません。これは、相続税にはさまざまな控除制度が用意されているため。受け継ぐ財産の金額が控除額を下回れば、相続税を支払う必要はないのです。この場合、相続税を負担することなく、すべての財産を受け継げます。 財務省ホームページによると、令和元年度に亡くなった方の中で、実際に相続税がかかったケースの割合は、全体の8%程度です。ほとんどのケースで相続税について心配する必要はないものの、最近は以前よりも、相続税を支払わなければならない事例が増えているのも事実。相続税について正しい知識を身につけ、必要に応じて適切な準備を整えておくのがおすすめです。(※1) 相続税の控除制度と税額シミュレーション 相続税の控除制度と税額シミュレーション 相続税の基礎控除額は、法定相続人の数によって異なります。だからこそ、「受け継ぐ財産の金額はほぼ同じ」というケースでも、法定相続人の数によって、相続税が発生する事例もあれば、発生しない事例もあるというわけです。 相続税の基礎控除額は「3000万円+600万円×法定相続人の数」という数式で求められます。法定相続人が「配偶者1人+子ども1人」の合計2人の場合、相続する遺産の4,200万円を超えた部分に対して、相続税が発生します。一方で、法定相続人の数が多く「8人」いる場合の基礎控除額は、7,800万円にまでアップするのです。 では、より具体的に、相続税のシミュレーションをチェックしていきましょう。 配偶者1人と子ども2人の法定相続人が、合計2億4,800万円の相続財産を受け継ぐ場合、基礎控除額(4,800万円)を引いた2億円が課税価格になります。ここから相続人それぞれの割合を計算して、それぞれに対して相続税を決定する仕組みです。 法定相続分に沿って計算した場合、課税価格2億円のうち、妻が1億円、2人の子どもそれぞれが5,000万円ずつという計算に。ここから、それぞれの相続税を求めていきましょう。 まず妻については、相続税の配偶者控除を活用できます。「配偶者の相続遺産が1億6,000万円以下」「配偶者の相続遺産が法定相続分より少ない」のいずれかの条件に当てはまっていれば、相続税は発生しません。つまり、今回のシミュレーションでも妻の相続税負担は0円です。 一方で2人の子どもたちについては、5,000万円×20%-200万円=800万円ずつを、相続税として納めなければいけません。配偶者については、手厚い控除制度が用意されていますが、その他の相続人については注意が必要です。「できるだけ多くの財産を残したい」と思う場合、事前準備が鍵になるでしょう。 遺産相続と税金の注意点は? 何かと複雑な、遺産相続と相続税。いくつか注意点があるので、ぜひこちらも頭に入れておいてください。3つのポイントを紹介します。 ★1.相続税の申告には期限が設定されている 相続税の申告には、「相続開始の翌日から10カ月以内」という期限が設定されています。申告期限を過ぎてしまうと、ペナルティとして延滞税が加算されます。また、配偶者の税額控除や小規模宅地の特例等、税金を少なくできる各種特例を利用できるのも、期限内に申告してこそ。自分の力だけで難しい場合は、専門家の手も借りて期限内に申告するのがおすすめです。 ★2.相続税が0円でも申告が必要なケースもある 相続した遺産の総額が基礎控除額以内に収まっているなど、相続税が0円の場合、基本的に申告は必要ありません。しかし、以下のケースでは例外的に申告が必要になりますから、忘れないようにしてください。 ・配偶者の税額軽減で税額が0円になった ・小規模宅地等の特例を受けて税額が0円になった これらの特例は、申告して初めて適用されるものです。自己判断で申告をスルーしてしまわないよう、十分に注意しましょう。 ★3.申告内容によっては税務調査が入る可能性も 相続税を申告した場合でも、それですべての手続きが完了するわけではありません。申告内容に不明な点や疑わしい点、誤りがある場合には、税務調査が入ります。 中でも注意が必要なのは、預貯金についてです。「相続税対策のため、贈与税がかからない範囲で少しずつ現金を渡していく」という手法をとる方は多いものの、相続開始の日から過去3年以内の贈与は、持ち戻しする必要があるでしょう。遺産の総額に含めて、相続税額を計算しなければいけません。 最初から税理士に入ってもらい、サポートを受けていればまず心配はないでしょう。自分たちですべての調査を完了し、計算した場合、税務署からのチェックも厳しくなりがちです。「申告したらそれで終わり」というわけではない点も、頭に入れておいてください。 遺産相続と税金で悩んだら税理士に相談を 遺産相続と税金で悩んだら税理士に相談を 遺産相続には、税金の問題も複雑に絡み合ってきます。「相続する財産が明らかに基礎控除内で収まる」というケースを除いて、事前の準備が非常に重要な意味を持つでしょう。 とはいえ、間違った対策をすれば、「相続対策として何の意味もなかった。結局たくさんの相続税を支払うことになった…」という事態にも陥りかねません。具体的な相続税対策については、税理士に相談しながら進めていくのがおすすめです。 実際に相続が発生した場合も、税理士にサポートしてもらえば、ややこしい手続きはお任せできます。税金面での不安も和らげられるでしょう。 ※1https://www.mof.go.jp/tax_information/qanda005.html

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