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2023年3月の記事一覧

  • 親に終活してほしい!子どもとして想いを届けるための方法は?

    親に終活してほしい!子どもとして想いを届けるための方法は?

    30代後半から40代にかけて、そろそろ気になり始めるのが、親世代の終活についてです。まだまだ元気に動ける時期だからこそ、「この先」についても考えておいてもらいたいところ。とはいえ、非常に繊細な問題だからこそ、その想いを届けることをためらう方も多いのではないでしょうか?「終活してほしい!」という子どもの想いを届けるため、おすすめの方法を紹介します。 親の終活は子どもにとっても大切な問題 親の終活は子どもにとっても大切な問題 人生100年時代と言われる今、「自分の親はまだまだ元気で活動的」と安心している方も多いのではないでしょうか。確かにそれは、素晴らしいこと。しかし、人生の終わりの時期は確実に近付いています。元気な時期から親に終活をスタートしてもらうことは、子どもにとっても非常に重要な問題です。その理由は、以下を参考にしてみてください。 ・親の気持ちは、親にしかわからないから・実際に親が亡くなったあとに、バタバタする可能性が高いから・相続に関して親族間トラブルが発生する恐れがあるから 大切に想う親の最期に、その望みを叶えてあげたいと思う方も多いでしょう。しかし実際には、「こんなに近くにいたのに、親が何を望んでいたのかわからない…」と悩む方は少なくありません。 終活で自身の希望を明らかにし、子どもにもわかる形で残しておいてもらえれば、残された家族はそれに沿って手続きを進められます。葬儀に呼びたい人や自身の最期に会いたい人、残したいものや処分したいものなど、できる限りの望みに対応できるでしょう。ある程度の指針を示しておいてもらえれば、子ども側が手続きで戸惑う恐れもありません。 また、相続についても非常に大きな問題です。誰が何を相続するのかを巡って、親族間トラブルに発展するケースは多く見られます。終活の一環として遺言書を残してもらったり、自身の想いを伝えてもらったりすれば、それをもとに手続きを進められるでしょう。「親の意向なら」と、納得できる可能性も高いです。 親に終活をすすめる具体的な方法 ではここからは、親に終活をすすめる際の具体的な方法について解説します。4つの方法を紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。 ★1.できることから一緒にスタートしてみる ひと言で「終活」と言っても、その内容はさまざまです。最初からいきなり、難易度の高い活動をスタートする必要はありません。まずは「これならできるかも…」と思える内容を見定めて、一緒に取り組んでみてください。 実家の片付けや不用品の処分は、終活の一環としてもおすすめです。「実家が広く快適になる」という目に見えるメリットが期待できるため、親自身も乗り気になりやすいでしょう。「物を処分されることに抵抗がある」というタイプの親なら、自身が子ども時代に使っていた子ども部屋の整理整頓からスタートするのもおすすめです。 ★2.具体的な例を出してみる 終活ブームの今、具体的な取り組みを始めている方は少なくありません。「○○さんも最近終活を始めたそうだよ」と具体的な情報を伝えることで、「自分もやった方が良いのでは?」という気持ちを刺激できるでしょう。 親にとって身近な人の名前を挙げるのが一番ですが、芸能人や著名人の名前を挙げてみるのもおすすめです。親と同じ世代の人であれば、共感を覚えるのではないでしょうか。また子どもが生まれたあとであれば、自分自身を例に出すのもおすすめです。「将来子どもが困らないように、自分にできることからスタートしている」と近況報告をすれば、親側の気持ちにも変化が生まれるのではないでしょうか。 ★3.将来について親の希望を聞いてみる 終活のきっかけは、日常生活のさまざまな場面に潜んでいます。「終活」という漠然とした行動ではなく、より詳細な疑問を、親自身に問いかけてみるのもおすすめです。 ・もしも入院したら誰に面倒を見てほしいのか?・入院時に使える保険はどのように対応すれば良いか?・病院や介護施設に対して、何か希望はあるか?・将来的に実家をどうしたいか? 家族同士の雑談の中でも、将来に向けた親の希望は聞き出せるでしょう。一度にすべてを明らかにする必要はありませんが、親の気持ちの一端だけでも知っておけば、いざという場面で役立つはずです。こうした会話をきっかけに、親自身の考えを促し、より積極的な終活につながる可能性もあるでしょう。 ★4.自分以外からおすすめしてもらう 親にとっても子どもにとっても、終活は重要なもの。とはいえ、子どもからそれを伝えられても、素直に応じられない人がいるのも事実です。普段から年寄り扱いされるのを嫌う方や、子どもの意見になかなか耳を傾けてくれない方には、別方向からアプローチすると良いでしょう。 最近は、「終活」をテーマにした参加型イベントやセミナーも多く開催されています。「一緒に遊びに行く」といった雰囲気で、出かけてみてはいかがでしょうか。終活がなぜ重要なのか、また具体的に何をしておけば良いのか、主催者側が説明してくれます。 子どもの意見を受け入れられなくても、第三者のプロの意見を聞き入れられる方は多いものです。自分一人の力でがんばろうとするのではなく、ぜひ親にとって受け入れやすい方法を検討してみてください。 確実に困る情報だけでも把握しておこう 親に終活をすすめるのは難しい…と思う方もいるでしょうが、実際に、「把握しておかなければ困る情報」は多いものです。終活そのものをおすすめできなくても、最低限、以下の情報だけはまとめておいてもらえると安心です。 ・口座を持っている金融機関情報・隠し金庫や隠し財産の有無・各種料金の引き落とし口座・デジタル上のデータ(利用サービスや暗証番号など) 親側にも、「将来」に対する想いはあるはずです。なぜこれらの情報が必要なのか、子どもが知らなかった場合にどういったリスクがあるのか真摯に伝えることで、きっと対応してもらえるでしょう。 親に終活してほしい想いを届けるために 親に終活してほしい想いを届けるために 親がある程度の年齢になってくると、「終活してほしい…」と思う方も多いでしょう。終活は、ただ死を待つだけの活動ではありません。自分自身の老後をより充実させるための活動でもあります。終活の意味を伝え、できれば一緒にスタートしてみてください。最初の一歩さえ乗り越えられれば、そのあとは自分で、必要なことを探し情報をまとめていける方も多いものです。 なかなか伝わらない場合は、周囲の手を借りることも積極的に検討してみてください。距離が近いからこそ、子どもの言葉になかなか耳を傾けられない方は多いものです。今回紹介したコツも参考にして、「自分自身のためにも、そろそろ終活してほしい」という子どもの想いを届けてみてください。

  • 親が残す資産は事前に把握しておこう!知らない場合のリスクを解説

    親が残す資産は事前に把握しておこう!知らない場合のリスクを解説

    子どもが生まれ、自身の生活基盤が整った際に、考えておきたいのが「親が残す資産」についてです。今すぐというわけではなくても、相続はいずれやってくる問題。そのときになって慌てないためには、事前の情報把握が重要です。親が残す資産を把握する方法や、知らない場合に考えられるリスクについて解説します。 親の資産がわからない人は意外と多い 親の資産がわからない人は意外と多い 自身の終活について積極的に考える方は増えていますが、「親がどのような資産を持っているのか詳しく知らない」という方は、まだまだ珍しくありません。親が残す資産の内容は、多岐にわたります。投資ブームの今、株式投資や不動産投資に取り組む方も増えているでしょう。子どもが把握していない不動産を所有している可能性もあります。 親がどのような資産を残すか把握していなければ、何の準備も整えられないまま相続のときを迎えることになってしまうでしょう。「まだまだ先だから…」と思いがちですが、相続のタイミングがいつになるのかは誰にもわかりません。知らない場合のリスクとしては、主に以下の3つが挙げられます。 ★1.相続税の準備ができない 親が残す資産額によっては、相続税が発生する可能性も。相続する資産の中から相続税を賄えれば良いのですが、実際にはそれが不可能なケースもあります。 たとえば親が残す資産のほとんどが不動産である場合、相続税は相続財産以外から調達しなければいけません。相続税が支払えない場合、不動産を売却しなければならない可能性もあります。仮にそれが「現在家族で暮らしている自宅」であれば、相続をきっかけに住む場所を失うことにもなりかねないのです。 親が残す資産額やその内訳を知っていれば、 ・相続税が発生しそうな状況なのか?・相続税の負担がどの程度になるのか? これらの情報を把握できるでしょう。相続税の支払いに向けて、計画的に準備を進められるはずです。 ★2.病院代や葬儀費用の清算で困る可能性がある 親の資産がわからないまま相続のときを迎えたとしても、各種手続きは待ってはくれません。病院代の清算から葬儀費用の支払いまで、多額の現金が必要になる場面は、決して少なくないのです。親が残す資産がわからなければ、子どもが立て替えることにもなりかねません。 親がどこにどの程度の資産を持っているか知っていれば、落ち着いて対応できます。自宅にタンス預金があれば、相続人同士の話し合いの末、支払いに充てることもできるでしょう。 どの銀行口座にどの程度の資産を残しているのか知っていれば、被相続人が亡くなる前に現金を引き出せる可能性もあります。口座名義人の死亡により凍結されたとしても、仮払い制度の利用により、素早く現金を用意できるはずです。 「すぐにでも現金が必要になる!」といった場面で、親の資産について一から冷静に調査するのは難しいでしょう。事前に知っていれば、いざというときでも落ち着いて対処できます。 ★3.遺産分割協議で揉めるリスクがある 相続が発生し、遺言が残されていない場合に必要なのが遺産分割協議です。相続人が複数人いる場合、誰が何を相続するのかで揉めるリスクがあります。 たとえば「遺産のほとんどが不動産で相続人のうち1人が居住している」という場合、どのように遺産を分割するべきか悩むケースも多いでしょう。親族間トラブルを防ぐためにも、親の資産をできるだけ早く把握し、相続人全員が納得できる形で相続の大枠を決めておくのがおすすめです。 被相続人が生きている間であれば、どのような想いで遺産分割を考えているのか、直接聞けます。遺産分割協議で突然知らされるよりも、心の準備ができるでしょう。 親が残す資産を把握する方法とは? 相続にまつわる親族間トラブルは、決して少なくありません。誰にとっても他人事ではないからこそ、親の資産を早めに把握し、必要な対策を講じておくことが大切です。とはいえ、「親が残す資産について話すのは抵抗がある…」と感じる方も多いのではないでしょうか?具体的にどうやって把握すれば良いのか、3つの方法を紹介します。 ★1.相続税をきっかけに聞いてみる 平成27年に、相続税の基礎控除に関するルールが変更されました。それまでよりも基礎控除額が減り、相続税を課税されるケースが増加しています。こうした状況を解説するとともに、親が残す資産について自然に聞いてみてください。 相続税の基礎控除額は、「3000万円+(600万円×法定相続人の数)」で求められます。親が残す資産がこの範囲に収まるのかどうかがわかるだけでも、子どもの負担は軽減できるでしょう。相続税をきっかけに、具体的にどのような資産が残される予定なのかどうか、ざっくりとした話だけでも聞いておくと安心です。 ★2.遺言書やエンディングノートをすすめてみる 親の資産について直接聞くのが難しい場合、終活の一環として、遺言書やエンディングノートの作成をおすすめするのもおすすめです。遺言書やエンディングノートを作成する場合、親自身が残す予定の資産を把握しなければいけません。その過程で、「子どもに伝えておくべき内容」をはっきりと理解する方も少なくありません。 実際に親が遺言書やエンディングノートを作成し始めたら、子どもに対してアドバイスを求める場面もあるかもしれません。無理をせず、少しずつ内容を聞いてみてください。 ★3.家族が集まる機会に話し合いの場を持つ 親が残す資産について聞きたいと思ったら、その他の相続人と協力するのもおすすめです。子どもの立場で相続人になる場合、兄弟姉妹と一緒に、親の話を聞いてみましょう。1人だけではなく、相続人全員で話をすることで、心理的な負担を軽減できる可能性があります。 お盆やお正月は、親族が集まる良い機会と言えるでしょう。親が残す予定の資産についても、話をしてみてはいかがでしょうか。 親が残す資産を知って相続対策を 親が残す資産を知って相続対策を 相続にまつわるトラブルは、決して少なくありません。「自分だけは大丈夫」と考えるのは危険です。あらゆる事態を想定して、生前から準備を進めておくことで、回避できるものも多いでしょう。親がどんな資産を残すのか知ることは、その一歩だと考えられます。 「あてにしていると思われたくない」という気持ちから、親の資産について、聞きづらい…と感じる方は少なくありません。だからこそ、なぜ知りたいのか、知らなかった場合に将来どのようなリスクが発生するのか、親に対してていねいに説明してみるのもおすすめです。親子間のコミュニケーションが深まれば、相続対策の幅はより一層広がります。親自身の生活を守るためにも、意思疎通を心掛けてみてください。

  • 遺産相続で成年後見人が必要な場合とは?成年後見制度の基本とともに解説

    遺産相続で成年後見人が必要な場合とは?成年後見制度の基本とともに解説

    遺産相続をスムーズに進めていくため、身につけておきたい知識の一つが「成年後見制度」についてです。遺産を相続する際に、成年後見人が必要になるケースとはどのようなものなのでしょうか?制度の基礎知識とともに、手続き方法についても解説するので、ぜひチェックしてみてください。 成年後見制度とは?基礎知識を身につけよう 成年後見制度とは?基礎知識を身につけよう まずは成年後見制度の基本について学びましょう。成年後見制度とは、判断能力が著しく低下している人の代わりに後見人が立ち、本人に代わって財産管理や契約の支援を行える制度のこと。判断能力が低下した人の保護を目的にしています。 認知症や知的障害、精神疾患を抱えている人は、財産管理や各種契約において、不利益を被りがち。利益と不利益をより正確に判断するため、成年後見人がサポートする仕組みです。制度を利用して後見人が決まったら、本人や家族であっても、後見人の同意なしでは財産の移動や各種契約が不可能になります。たとえ本人が勝手に契約を結んでしまったとしても、成年後見人であればそれを覆すことが可能です。 とはいえ、成年後見制度も万能ではありません。医療行為における同意や、結婚・養子縁組、離婚といった判断は認められていないのです。また、「介護が必要な場合にヘルパーを契約する」のは可能でも、成年後見人が自ら介護を行うことはありません。できる行為、できない行為をしっかりと把握した上で、制度を利用するべきかどうか判断しましょう。 相続で成年後見人が必要なケースとは? 遺産相続で成年後見人が必要なのは、「相続人の中に判断能力が著しく人」がいるケースです。相続手続きを進めていくためには、遺産分割協議を行う必要があるでしょう。協議では、相続人全員の同意が必要に。判断能力が低下した人が1人でも含まれている場合、分割協議そのものが進まなくなってしまいます。 仮に「判断能力が低下した状態のまま、遺産分割協議書を取り決めた」としても、協議そのものが無効と判断されてしまいます。たとえ家族であっても、遺産分割協議書への勝手なサインや押印は、犯罪になる恐れがあるので注意しましょう。本人が相続放棄すれば、その他の相続人で協議を進めることはできますが、判断能力や認知能力が低下した状態ではそれさえ難しいのが現実です。成年後見人がいれば、成年後見人のサポートのもとで、相続手続きを進めていけます。負債の方が多い場合、相続放棄の手続きも取れるでしょう。 一方で、相続人の中に判断能力が低下した人がいても、成年後見人が必要ないケースもあります。被相続人が生前に遺言を残していて、遺産相続の詳細や遺言執行者を指定していた場合が、こちらにあたるでしょう。 相続が発生した時点で誰に何を相続させるのか明らかになっていれば、遺産分割協議をする必要はありません。相続手続きもスムーズに進めていけます。判断能力が低下した人に財産を相続させたい場合でも、遺言執行者がいれば問題はありません。本人に代わって、相続に必要な手続きを済ませられるはずです。 判断能力が低下している人が相続人になると予想される場合、早めに準備を進めておくのもおすすめです。相続手続きがスタートする前であれば、「本当に成年後見制度が必要なのか?」「制度を利用しなかった場合にどのような不利益が予想されるのか?」といった点について、じっくりと考えられるでしょう。親族間で相談しながら、判断するのもおすすめです。 成年後見人を選任するための手続きは? 相続が発生したあとに、判断能力が低下した人のために成年後見人を選任する場合、親族や相続人が、家庭裁判所に成年後見人の選任を申し立てましょう。すでに判断能力が低下している人の後見人を定める場合、誰が後見人になるのか、判断するのは家庭裁判所です。家族だからといって、自由に後見人になれるわけではないという点を、頭に入れておきましょう。 申し立て時に後見人候補者を立てることはできても、確実に選ばれるとは限りません。本人にどの程度のサポートが必要になるのか、家庭裁判所の判断のもとで決定されます。家族以外の、第三者の専門家が選ばれるケースもあります。専門職に就く人が成年後見人を務めることに決まった場合、報酬を支払わなくてはいけません。司法書士や弁護士に依頼した場合の報酬相場は、月に3~5万円と言われています。 成年後見人になるためには、特別な資格は必要ありません。ただし相続手続きのために成年後見人を選任する場合、「同じ相続人の立場にあたる人は、成年後見人にはなれない」という点に注意しましょう。相続人同士で後見人・被後見人という関係性になると、後見人が自分の利益を追求し、被後見人の利益を阻害する可能性があるためです。 この場合、特別代理人の選任を家庭裁判所に申し立てる必要があるでしょう。特別代理人が必要かどうかは、状況によって異なります。具体的な条件については、相続手続きの専門家に相談するのがおすすめです。 成年後見人を選定する場合の手続き方法 成年後見人を選定する場合の手続き方法 相続手続きを進めるために成年後見人を選定する場合、以下の方法で手続きを進めていきましょう。 1.後見人を必要とする人の所在地にて、家庭裁判所に申し立てをする2.家庭裁判所にて審理が行われる3.成年後見人が選定される4.成年後見がスタートする 後見人を選定するための手続きでは、本人の判断能力の診断が必要です。かかりつけ医などに依頼し、状態を説明できるよう準備しておきましょう。また申し立てに必要な、その他の書類も収拾します。 家庭裁判所の審理では、申立人や後見人候補者はもちろん、本人との面接も行われます。親族の意向も確かめられるでしょう。これらの情報を総合的に判断し、「後見人が必要である」と判断されれば、後見人を選任します。審判の結果が送付されたあと2週間が経過したら、その内容が法務局に登記され、成年後見制度の利用がスタートします。 遺産分割協議を始められるのは、そのあとのこと。相続税の申告・納税期限を考えると、時間的な余裕はあまりありません。必要かどうかを素早く見極め、家庭裁判所に申し立ててください。 遺産相続で成年後見人が必要な場合を知って素早く対応しよう 遺産相続において、認知症などが原因で判断能力が低下した人が相続人に含まれる場合、成年後見制度の利用を検討してみてください。「遺産分割協議が進まない…」と悩む恐れもなくなるはずです。 実際に成年後見人が決まり、相続手続きを進められるようになるまでには時間がかかります。できるだけ早く動き出すことで、相続手続きをスムーズに進めやすくなるでしょう。

  • 遺産として残された預貯金は引き出せない?対処法と手続きの流れ

    遺産として残された預貯金は引き出せない?対処法と手続きの流れ

    身近な人が亡くなった際に、トラブルになりやすいのが「被相続人名義の預貯金の引き出し」についてです。預貯金や遺産として扱われるため、取り扱いには注意しましょう。「遺産として残された預貯金は引き出せない」と言われていますが、実際のところはどうなのでしょうか。対処法や必要な手続きについて詳しく解説します。 預貯金が引き出せなくなるのは口座が凍結されるから 亡くなった人の口座からお金が引き出せなくなるのは、該当の口座が凍結されるからです。これは、銀行側が相続トラブルを避けるために行っている措置。特定の相続人だけが遺産を独り占めしないよう、「銀行側が死亡を確認した時点で口座を凍結する」と定められています。 銀行側が口座名義人の死亡を知るきっかけはさまざまです。 ・家族からの連絡・新聞に掲載されるお悔やみ欄・担当する行員からの連絡 「死亡届を提出すると自動的に銀行に連絡がいく」というのは誤解です。また、名義人死亡に伴う口座の凍結について、銀行側が相続人に対して通知することはありません。「気づいたときにはすでに凍結されていた…」という事態も、決して少なくないでしょう。いつ口座が凍結されてしまうかわからないからこそ、亡くなる瞬間が近づいてきたら、ある程度の準備を整えておく必要があります。 凍結されない場合も預金の取り扱いには注意が必要 相続人が口座名義人の死亡を知らせず、銀行側もその情報を得ていない場合、口座は凍結されません。ATMとキャッシュカード、暗証番号さえあれば、生前と同じように預金を引き出せるでしょう。 葬儀代やその他の出費に対応するため、亡くなった人の口座からお金を引き出すケースは決して少なくありません。それ自体が、何らかの罪に問われるわけではないでしょう。 ただし、安易な出金が、後々の相続トラブルに発展しやすいのも事実です。亡くなった人の預貯金は遺産の一部。特定の相続人が、よくわからない目的で多額の現金を引き出していたら、「預金を独り占めしようとしている」と思われても仕方がないでしょう。トラブルを避けるためには、細心の注意を払って行動する必要があります。 病院代の清算や葬儀で必要なお金を捻出する目的であれば、何にいくら必要だったのか、わかるようにして管理してください。請求書や領収書、必要なメモ書きとともに保管すれば、その他の相続人も納得しやすくなるでしょう。その他の目的で預貯金を引き出したい場合、相続分に留まる範囲で行動しましょう。「自身の取り分から先払いで受け取った」と説明し、相続手続きを進めていけば、問題が起きる可能性は低くなります。 自分一人で隠しておくのではなく、その他の相続人に対して、「どのような目的でいくら出金するのか」を明らかにしておくのもおすすめです。お金の流れをできるだけ明らかにしておくことで、生前の口座管理やその他の出金について、余計な誤解を防ぐ効果が期待できます。 口座が凍結された場合の対処法は? 銀行側が名義人死亡の事実を把握し、口座が凍結された場合、各金融機関にて相続手続きを進めていく必要があります。必要な手順さえ踏めば、凍結は解除され、口座解約とともに預貯金が引き出されます。金融機関から必要な書類の説明を受け、準備したのちに郵送しましょう。 被相続人が遺言書を残していれば、その内容をもとに相続手続きを進めていきます。遺言書の原本や謄本が必要になるので準備してください。残された遺言が自筆証書遺言であった場合、家庭裁判所の検認済証明書も必要に。手続き完了までには少し時間がかかるため、できるだけ早く動き出すのがおすすめです。 遺言書がなかった場合、相続人同士の話し合いで遺産分割協議書を作成するケースもあるでしょう。この場合は、遺産分割協議書を金融機関に提出します。 このほかにも、被相続人や相続人の戸籍謄本、相続人全員の印鑑証明書、所定の届出書など、必要書類は決して少なくありません。相続人それぞれの思いを確認した上で、速やかに準備を進めていきましょう。 凍結された口座からお金を引き出す方法はある? 凍結された口座からお金を引き出す方法はある? 預金口座の凍結から、必要な手続きを経て解除されるまでには、一定の時間が必要になるでしょう。「このままでは葬儀代の支払いができない」「遺産分割協議が進まず、お金が足りない」といったトラブルに発展する可能性もあります。このような場合には、「相続預金の仮払い制度」を活用しましょう。 仮払い制度は、凍結された口座からでも、預金の一部を引き出せる制度です。出金できる金額は「1金融機関あたり150万円を上限とし、預金額の3分の1×仮払いを受ける相続人の法定相続割合まで」と定められていますが、必要書類さえ揃えれば、現金の引き出しが可能です。 仮払い制度を利用するためには、 ・被相続人の戸籍謄本・除籍謄本(出生から死亡まで)・相続人の戸籍謄本(全員分)・印鑑証明書(手続きする人) これらの書類が必要です。金融機関によっては、その他の書類の提出を求められるケースもあるため、事前に確認しておきましょう。 また家庭裁判所を通じて手続きを行った場合、引き出せる金額に上限はありません。少し手間はかかりますが、必要なお金が多いときには活用してみてください。必要性が認められれば、全額引き出しも可能です。 銀行口座はできるだけシンプルにしておくのがおすすめ 被相続人の死後、凍結された銀行口座からお金を引き出すのは、決して簡単ではありません。相続発生後の手間をできるだけ少なくするためには、生前から保有する銀行口座の数を絞っておくのがおすすめです。引き落とし用の口座や普段のお金を出し入れする口座をまとめておけば、相続手続きも楽になるでしょう。 使わない銀行口座を解約しておくことも、立派な終活の一つです。親が終活をスタートしたら、ぜひアドバイスしてみてください。またもちろん、自分自身の終活に活かすのもおすすめ。残された人に負担をかけないよう、しっかりと準備を整えておきましょう。 被相続人名義の預貯金は遺産の一部!慎重な取り扱いを 被相続人名義の預貯金は遺産の一部!慎重な取り扱いを 身近な人が亡くなった時点で、その人名義の預貯金は「遺産」として取り扱われます。たとえ家族であっても、その財産は家族だけのものではありません。相続人全員に受け取る権利があるお金なのです。慎重な取り扱いを心掛けてください。 口座が凍結されれば引き出せなくなりますし、たとえ凍結されなくても、勝手に引き出せばトラブルの原因になってしまうでしょう。どうしてもお金が必要なときには、相続人同士の意思疎通が重要です。しっかりと話し合った上で、仮払い制度の利用を検討しましょう。

  • 相続財産に株式が含まれる場合の対処法は?現金化の手順や注意点も

    相続財産に株式が含まれる場合の対処法は?現金化の手順や注意点も

    投資する人が増えている今、相続財産に株式が含まれるケースは決して珍しくありません。現金や銀行預金とは性質が異なる財産に、どう遺産分配すれば良いのか悩む方も多いのではないでしょうか。相続財産に株式が含まれる場合の対処法や注意点について解説します。親の遺産を受け継ぐ際はもちろん、自身の財産を残す際にも参考にしてみてください。 株式は遺産分割の対象になる 被相続人が所有していた株式は、遺産分割の対象になります。遺言が残されていればその内容のもと、残されていない場合は遺産分割協議にて、誰がどれだけ受け継ぐのかを決定することになるでしょう。 預金や不動産など、その他の財産とあわせて、具体的な相続手続きを進めていきます。相続人や相続財産を調査し、遺産分割協議を行ってください。その内容をもとに各種変更手続きを行い、必要に応じて相続税を申告・納税します。 株式が含まれる場合の注意点3つ 遺産に株式が含まれている場合も、基本的な相続手続きの流れに違いはありません。株式ならではの注意点を3つ紹介するので、参考にしてみてください。 ★株式の種類によって対処法が異なる 株式には、上場株式と非上場株式の2種類があります。相続財産である株がどちらなのかによって、対処法が違ってきます。証券会社に口座を開き、株式投資を行っている場合、証券会社を通じて相続手続きを進めていきます。どこの証券会社に口座を持っていたのか、情報収集からスタートしましょう。 一方で被相続人が保有していたのが非上場株式であった場合、上場株式のような「市場価格」は存在しません。株式の価値が見えにくいため、しっかりとした知識をもとにその価値を評価する必要があるでしょう。 またたとえ相続したとしても、上場株式のように容易に売却できるとは限りません。相続税の負担を考えると、「最初から相続しない方が良い」と思われるケースもあります。相続税との兼ね合いも考えつつ、相続するかどうか慎重に検討してみてください。 ★証券会社がわからない場合は証券保管振替機構へ 上場株式が遺産に含まれている場合、取引の合った証券会社を特定する必要があります。遺言やエンディングノートに口座情報がまとめられていれば良いのですが、そうではない場合、まずは被相続人の身の回りをチェックしてみてください。 被相続人の荷物から証券会社の資料が出てきたら、問い合わせてみましょう。口座名義人が死亡した事実と、名義変更の希望について伝えれば大丈夫です。必要書類や具体的な手続き方法は、証券会社側から案内されます。 証券会社の情報を見つけられなかった場合は、証券保管振替機構を利用しましょう。こちらに問い合わせれば、どの証券会社と取引があるのか、具体的な情報を開示してもらえます。必要事項を記載した開示請求書のほか、相続人の本人確認書類や被相続人の戸籍謄本など、必要書類をそろえて手続きしてください。開示された情報をもとに、各証券会社に問い合わせればOKです。 ★上場株式の価値は相続税評価額で計算 遺産に株式が含まれている場合、その評価額をどう計算するべきか、悩む方も多いでしょう。相続財産の価値がわからなければ、相続税の計算はもちろん、遺産分割協議を進めることもできません。できるだけ早く、その価値を確認してください。上場株式の価値を計算するための基本的な方法が、相続税評価額です。 上場株式の評価額は、以下の4つのうち、もっとも低い金額を採用できます。 ・相続が開始した日の終値・相続開始月の終値の平均額・相続開始前月の終値の平均額・相続開始前々月の終値の平均額 相続開始日に証券取引所で取引が行われていなかった場合、「相続開始日にもっとも近い日」を対象に計算してください。保有株式が一つではない場合、それぞれの株式について、もっとも低い金額を採用できます。面倒な作業ではありますが、相続税関連でトラブルを起こさないためにも、丁寧に計算する必要があるでしょう。 遺産として受け継いだ株式を現金化する手順 被相続人の名義である上場株式を、直接現金化することはできません。いったん、相続人名義の専用口座を開設し、そこに相続財産である株式を移管させましょう。その上で、これから先どのように株式を現金化するのか、相続人同士で話し合ってください。 具体的には、 ・相続した株式を一括で現金化し、売却した現金を分割する・相続した株式を相続人同士が分け合い、個人で所有した株式を売却する という2つの方法があります。 上の方法を選択する場合、株式を相続するのは代表一人です。その代表相続人が売却までの手続きを終えて、現金化された遺産を対象に遺産分割協議を行いましょう。この場合、遺産分割協議の前に株式の現金化を進めていくため、各種手続きにはその他の相続人の委任状が必須です。 下の方法を選択する場合、専用口座に株式を移管させてすぐに遺産分割協議を行います。証券会社にはその結果である遺産分割協議書を提出し、その内容をもとに株式そのものを分配する仕組みです。売却して現金化するかどうかは、相続人それぞれの判断に任せられます。 相続した株式を放置した場合はどうなる? 相続した株式を放置した場合はどうなる? 相続人に株式に関する知識がない場合、株式が遺産相続の対象から漏れてしまうケースも少なくありません。 ・どうすれば良いのかわからないため、株式を除いたその他の財産について相続手続きを行った・被相続人が株式投資をしていた事実を知らないまま、放置してしまう これらの場合、相続手続きが完了しない株は、準共有状態であると判断されます。配当金が入るたびに、相続人間で分ける手続きをしなければいけません。また株主としての権利を行使するためには、権利行使者を定め、会社に対して通知する必要があります。面倒な事態を避けるためにも、できるだけ早く手続きを完了させましょう。 また自分自身が株式投資を行っている場合、その事実を家族に伝えておく必要があります。余計なトラブルを避けるため、エンディングノートなども活用してみてください。 遺産に株式が含まれている場合は専門家のサポートもおすすめ 遺産に株式が含まれている場合は専門家のサポートもおすすめ 遺産に株式が含まれている場合、評価額の計算や相続税の手続きは複雑になります。スムーズに相続するためには、専門家の助けを求めるのもおすすめです。弁護士や司法書士、行政書士に税理士など、ぜひ頼りにしてみてください。また自身が残す財産に株式が含まれる場合、誰に何を相続させるのか、遺言で指定するのもおすすめです。終活の一環として、検討してみてはいかがでしょうか。

  • 公正証書遺言作成に必要な書類・資料とは?取得方法もあわせて紹介!

    公正証書遺言作成に必要な書類・資料とは?取得方法もあわせて紹介!

    自筆証書遺言よりも、確実性が高い公正証書遺言。最近では、「遺言書が原因でトラブルにならないように」との思いから、公正証書遺言を選択する方も増えてきています。とはいえ、公正証書遺言を作成するためには、さまざまな書類・資料を用意しなければいけません。具体的にどういった資料が必要になるのか、収拾方法とともに紹介します。 公正証書遺言とは? まずは公正証書遺言の基本についておさらいしておきましょう。 公正証書遺言とは、公証役場で公証人が作成する遺言形式のこと。遺言を残したい人は、2名の証人を前に、公証人に対して遺言内容を言葉で伝えます。その内容を確認した公証人が、「遺言書」という体裁に整えて保管。自筆証書遺言とは違い、遺言書の作成を専門家にお任せできるため、法的ミスが発生しないというメリットがあります。 自筆証書遺言を自宅で保管する場合、「家族である相続人が手続き開始前に発見し、改ざん・破棄する」といったトラブルも考えられるでしょう。公正証書遺言であれば、このようなリスクはないのです。自身の遺言をより確実に管理できるでしょう。いざ相続手続きをスタートする際にも、家庭裁判所による検認は必要ありません。メリットも多い遺言方式と言えます。 公正証書遺言を残すのに必要な資料とは? 公正証書遺言を残すのに必要な資料とは? 一方で、公正証書遺言にもデメリットはあります。その一つが、「遺言を残すためにさまざまな資料をそろえ、公証役場に提出しなければならない」という点です。求められる資料は、以下のとおりです。 ★1.本人に関する書類や資料 公正証書遺言を残すためには、本人であることを示すための資料が必要です。具体的には、以下のようなものを準備してください。 ・遺言を残す人の印鑑登録証明書もしくは所定の本人確認書類・遺言を残す人の実印・遺言を残す人の戸籍謄本 印鑑登録証明書を使用する場合、発効後3カ月以内のものを準備しましょう。その他の身分証明書を本人確認書類として使う場合、官公庁発行の顔写真付きのものを選択してください。運転免許証やマイナンバーカード、パスポートなどが当てはまります。戸籍謄本は、本籍地のある市区町村役場で発行できます。役場に出向けばその場で発行してもらえますし、遠方の場合は郵送での請求も可能。こちらも発行後3カ月以内の書類が必要です。 ★2.財産を受け継ぐ人に関する資料 次に準備したいのは、財産を受け継ぐ人の情報を示すための資料です。法定相続人に財産を相続させたい場合と、法定相続人以外に譲りたい場合で用意する書類が異なるので、注意しましょう。 法定相続人に相続させたい場合に必要になるのは、「遺言者本人と相続人の関係がわかる戸籍謄本」です。発行から3カ月以内という条件があります。法定相続人の場合、遺言を残す人の戸籍謄本に、その人との関係が記されているケースも多いでしょう。この場合、法定相続人分の戸籍謄本をわざわざ準備する必要はありません。 一方で法定相続人以外を指名して財産を渡したい場合、財産を受け継ぐ人(受贈者)の住所・氏名・生年月日がわかる書類を用意しましょう。発行から3カ月以内の住民票を用意するのが一番ですが、保険証のコピー等でも対応可能。これらの書類が準備できない場合でも、必要な情報をまとめたメモ書き等で対応してもらえる可能性があります。公証役場にて相談するのがおすすめです。 ★3.相続財産に含まれる不動産に関する資料 相続財産に不動産が含まれる場合、その情報が記された資料が必要です。 ・登記事項証明書・固定資産税評価証明書 登記事項証明書には、不動産に関する詳細情報が記載されています。不動産がある場所の法務局にて請求しましょう。窓口で直接請求するほか、オンラインでの請求も可能。発行された書類は、自宅に郵送してもらえます。 固定資産税評価証明書は、遺言公正証書の作成手数料を計算するために使われます。不動産のある市税事務所や市区町村役場にて取得できますが、毎年発行される納税通知書の課税明細書でも代用可能です。 ★4.相続財産に含まれる有価証券や預貯金に関する資料 相続財産に有価証券や預貯金が含まれる場合は、以下の資料を準備しましょう。 ・通帳のコピー・取引状況報告書のコピー これらの情報は、種別や金額をまとめた資料でも代用できます。また財産を明示せずに遺言を残す場合も、公正証書遺言の作成手数料を計算するために必要です。概算で構いませんので準備しておきましょう。 ★5.証人に関する資料 公正証書遺言を残すためには、証人を2人用意する必要があります。証人が決まったら、以下の資料を準備してください。 ・証人予定者の氏名・住所・生年月日・職業を記したメモ・印鑑(認印可) 遺言作成当日には、証人2人の身分証明書を持参してもらいましょう。自動車運転免許証や保険証などが認められています。証人を2人用意できない場合は、公証役場で手数料を払い、準備してもらえます。この場合、自分で資料を用意する必要はありません。 すべての書類をそろえるのに必要な手数料は、数百円から数千円程度です。それほど大きな負担にはならないため、安心してください。 公正証書遺言作成には手数料が必要 公正証書遺言を作成するためには、各種書類だけではなく、手数料も用意しなければいけません。手数料の金額は相続財産の総額によって違ってきますが、2万円~5万円程度になるケースが多いようです。公証役場で証人を用意してもらう場合は、この費用にプラスして、証人用の手数料を支払う必要があります。 ちなみに、自筆証書遺言の作成には手数料は発生しません。作成した遺言を法務局で保管してもらう場合のみ、相応の手数料が発生するものの、自宅で保管するなら「紙代とインク代」程度で遺言を作成できるでしょう。 とはいえ、遺言書としての効果をより確実に持たせたいのであれば、手数料を支払ってでも公正証書遺言を選択するのがおすすめです。各種書類とともに、事前に用意しておきましょう。 公正証書遺言作成に必要な資料を知って準備しよう 公正証書遺言作成に必要な資料を知って準備しよう 公正証書遺言を作成するためには、さまざまな資料を用意する必要があります。自筆証書遺言と比較すると手間がかかるものの、より確実に遺言を残したいなら、積極的に検討してみてください。法的な知識が少ない方、初めて遺言を残す方にもおすすめです。 自分の場合どのような資料が必要になるのかは、公証役場でも説明してもらえます。自分が考えている遺言内容に基づいて、まずは相談してみましょう。その上で、できるだけ早く必要な書類・資料を集めてみてください。スムーズに手続きを進めていけるのではないでしょうか。

  • 兄弟姉妹は相続にどう関連する?遺言書を残すメリットを知ろう

    兄弟姉妹は相続にどう関連する?遺言書を残すメリットを知ろう

    終活の一環として、考えておきたいのが「相続」についてです。「どうせ大した財産はないから…」と油断していると、思わぬ親族間トラブルに発展する可能性も。特に「被相続人の兄弟姉妹」について、相続とどう関連するのか知っておきましょう。相続に関する兄弟姉妹の基礎知識と、遺言書の内容や作成するメリットについてまとめます。 相続に兄弟姉妹が関わるケースとは? 相続に兄弟姉妹が関わるケースとは? 相続トラブルを回避するため、まず頭に入れておきたいのが法定相続人の範囲についてです。法定相続人とは、民法で定められた「被相続人の財産を受け継ぐ権利を持っている人」のこと。一定範囲内の血族のうち、優先順位の高い人から法定相続人になれる仕組みです。 「自分が亡くなったあと財産を受け継ぐ人」と言えば、自身の配偶者や子どもをイメージする方も多いのではないでしょうか?しかし法定相続人になる可能性がある人は、それだけではありません。状況によっては、自身の兄弟姉妹、そしてその子どもたちが法定相続人になる可能性もあるのです。 相続が発生した際に、必ず相続人になるのが「被相続人の配偶者」です。一方で、それ以外の血族は、以下の順位に基づいて相続人になるかどうかが判断されます。 第1順位 被相続人の子ども(もしくは代襲相続人)第2順位 被相続人の親など(直系尊属)第3順位 被相続人の兄弟姉妹(もしくは代襲相続人) 第1順位から第3順位までは、「もっとも順位が高い人のみ」が相続人になれます。つまり、兄弟姉妹が相続人になるのは以下のようなケースです。 ・両親や祖父母がすでに亡くなっていて、被相続人に子どもがいない・被相続人の両親・祖父母・子どもがすでに亡くなっていて、孫もいない・第1順位と第2順位に当てはまる人がいても、その全員が相続放棄をした 被相続人の両親・祖父母・子どもがすでに亡くなっている場合でも、孫がいれば、子どもの代襲相続人として相続権を持ちます。このため、兄弟姉妹が相続人になることはありません。同順位の相続人のすべてが相続放棄を選択した場合、相続権は次の順位へと回されます。この場合、子どもや親が生存していても、兄弟姉妹が相続人になる可能性があるでしょう。 このように、兄弟姉妹と相続は、決して無関係ではありません。特に昨今は、子どもを持たない選択をする夫婦も増えてきています。相続順位が兄弟姉妹にまで回る可能性がある点を踏まえて、さまざまな準備を整えていくことが大切です。 兄弟姉妹が相続人になる場合の注意点とは? 終活の一環として相続について考える場合、「すでに両親や祖父母が亡くなっている」というケースも多いでしょう。この場合、自身に子どもや孫がいなければ、兄弟姉妹が相続人になる可能性は高いと考えられます。兄弟姉妹が相続人になると想定される場合、以下の点に注意しましょう。 ★1.配偶者に全財産を残せない 子どもがいない夫婦の場合、「自分が亡くなったあとは配偶者に全財産を譲りたい」と考える方も多いはずです。しかし先ほどもお伝えしたとおり、子どもや親がいなければ、兄弟姉妹が法定相続人に。自分の兄弟姉妹が遺産の分割を希望した場合、配偶者はそれを受け入れざるを得ないのです。 ちなみに、配偶者と兄弟姉妹が相続人になる場合、配偶者が遺産の4分の3、兄弟姉妹が遺産の4分の1を受け取る権利を持ちます。「遺産のほとんどが不動産」という場合、兄弟姉妹に遺産を分割するため、売却せざるを得ない可能性も。たとえそれが、夫婦にとっての終の棲家であっても状況は変わりません。配偶者が、住む場所を失うリスクもあるでしょう。 ★2.戸籍収集が大変になる 兄弟姉妹への遺産分割に問題がない場合でも、手続きのために必要な戸籍収集は、決して簡単ではありません。子どもや親が相続人になるケースと比較して、難易度はアップします。 兄弟姉妹が相続人になる場合、第1順位や第2順位に当てはまる人が存在しないことを証明するための書類が必要です。具体的には、被相続人の戸籍のすべてや、両親の戸籍謄本の一式を準備する必要があるでしょう。兄弟姉妹の中にすでに亡くなっている人がいる場合、その人の分の戸籍謄本一式も必要になります。 ★3.相続税が高い 兄弟姉妹が相続人となって財産を受け継ぐ場合、相続税は20%割り増しになります。遺産分割に納得していても、相続税が原因でトラブルになる可能性もあるので注意しましょう。 遺言書を残すメリットとは? 兄弟姉妹が相続人になる場合、遺言書を残すメリットは以下のとおりです。 ・配偶者に全財産を相続させるよう指定できる・兄弟姉妹の相続税負担に配慮した遺産分割を指定できる 兄弟姉妹が相続人になる場合の大きな特徴は、「遺留分を請求する権利を持たない」という点です。遺留分とは、遺産のうち最低限相続できると定められている取り分のこと。たとえ遺留分が侵害されても、それを請求する権利は、兄弟姉妹に認められていないのです。つまり、法的に有効な遺言書にて「自身の配偶者に全財産を譲る」という文言を残しておけば、兄弟姉妹に財産を受け継ぐ権利は発生しません。自身が亡くなったあとの配偶者の生活を守れるでしょう。 ある程度年齢を重ねていると、兄弟姉妹としての関係性が希薄になっているケースは多いものです。配偶者と兄弟姉妹の間の話し合いが、スムーズに進むとは限らないでしょう。遺言書があれば、遺産分割協議を行う必要はなく、親族間トラブルが発生する恐れもありません。 また遺言書であれば、相続税負担に配慮する形で、誰に何を残すのか指定できます。兄弟姉妹への配慮とともに、大切に思う気持ちも伝えやすくなります。自分自身が気持ちよく旅立つためにも、できる準備は整えておくのがおすすめです。 兄弟姉妹と相続への関わりを知り具体的な準備を整えよう 兄弟姉妹と相続への関わりを知り具体的な準備を整えよう 自身が亡くなったあと、誰が財産を相続するのか、事前に考えておきましょう。兄弟姉妹が相続人になる場合、「関係が薄い兄弟姉妹よりも、生活をともにしてきた配偶者に全財産を残したい」と思うのは当然のこと。この場合、遺言書を残しておくのがおすすめです。シンプルな内容でも、十分に効果を発揮してくれます。自身が亡くなったあとの配偶者の生活を守りやすくなりますし、余計なトラブルでストレスを抱えるような恐れもありません。 実際の遺言書の内容については、弁護士や司法書士といった専門家に相談しつつ、決定するのがおすすめです。実際に誰が相続人になる可能性が高いのか、またどういった点に配慮して遺言書を残すべきなのか、的確にアドバイスしてもらえるでしょう。専門家の協力のもとで、自身の希望を叶える遺言書を用意してみてください。

  • 小規模企業共済で受け取った財産はどう扱われる?メリット・デメリット

    小規模企業共済で受け取った財産はどう扱われる?メリット・デメリット

    小規模企業の個人事業主、会社役員の方にとって、メリットも大きい小規模企業共済。共済契約者死亡によって家族が共済金を受け取る場合、その財産が相続上、どのように扱われるのかについて、詳しく解説します。相続対策としても有効と言われる小規模企業共済の基本とともに、メリット・デメリットについても確認してみてください。 小規模企業共済とは? 小規模企業共済とは? 小規模企業共済は、「経営者の退職金」とも呼ばれる制度です。月々の給料からの積立によってまとまった金額を確保。事業を廃止した場合や退職後の生活を安定させるために使用できます。将来の備えとして役立つでしょう。 また共済契約者が死亡した場合、遺族に対して共済金が支払われます。契約者によって生計を維持されていた家族の、その先の生活を守ってくれるでしょう。小規模企業の個人事業主や会社役員にとって、安心できる制度と言えます。 小規模企業共済で受け取った財産の扱われ方は? 契約者が死亡した場合に遺族が受け取る共済金には、「相続財産に含まれない」という特徴があります。受取人固有の財産に当てはまるため、遺産分割の対象にはなりません。遺産分割協議は、小規模企業共済で受け取ったお金以外の財産について行われます。また小規模企業共済以外にも、生命保険金なども相続財産に含まれないため、何が遺産分割協議の対象になるのか、事前に把握しておくことが大切です。 たとえば小規模企業共済で300万円を受け取り、その他の財産が2,000万円あるケースを考えてみましょう。配偶者と子ども2人が相続人になり、配偶者が小規模企業共済の受取人になった場合、まずは配偶者が共済金である300万円を受け取ります。その後あらためて、相続財産である2,000万円分を子ども2人と分け合うことに。法定相続分に沿って分割するなら、相続財産の割り振りは配偶者が1,000万円、子どもが500万円ずつ受け取ります。小規模企業共済と合わせると、「配偶者が1,300万円、子どもたちはそれぞれ500万円ずつ」という割合に落ち着くでしょう。 相続財産に含まれない共済金は、仮に「○○に全財産を譲る」という名前の遺言書が残されていたとしても対象外です。法的に有効な遺言書が残されていた場合、遺留分をのぞき、相続財産については指定された人がすべてを受け継ぐことになるでしょう。しかしこの「相続財産」に、小規模企業共済金は入りません。遺言書の内容にかかわらず、共済金は、受給権を持つものの中でもっとも順位が高い人に支払われます。 また相続財産について相続放棄を選択した場合でも、共済金は受け取れます。事業を営む人が多額の借金を抱えて亡くなってしまった場合、相続放棄がやむを得ないケースもあるでしょう。このような場合でも、共済金は受取可能です。家族の今後の生活に役立ててください。 一方で、覚えておかなければならないのが、相続税上の扱いについてです。契約者死亡によって支給される共済金は、「みなし相続財産」として扱われます。先ほどもお伝えしたとおり、遺産分割の対象にはなりませんが、相続税の計算には含まれるのです。相続税が発生するのかどうか、また発生する場合いくらになるのかといった計算は、共済金を含めた金額で対応してください。計算が複雑でよくわからない場合には、無理をせず、専門家である税理士に相談するのがおすすめです。 契約者死亡による小規模企業共済金を受け取る人は? 契約者が死亡した場合に小規模企業共済金を受け取る人は、小規模企業共済法にて規定されています。民法上の相続の一般原則とは異なるため、注意してください。具体的な順位は以下のとおりです。 第1順位者 配偶者(※内縁関係者含む)第2順位者 子第3順位者 父母第4順位者 祖父母第5順位者 兄弟姉妹第6順位者 そのほかの親族 これらの順位の中で、もっとも順位の高い人が共済金を受け取ります。 小規模企業共済金の特徴の一つは、第1順位者である「配偶者」に、内縁関係者が明確に含まれる点です。戸籍上の届け出はなくても、死亡当時に事実婚の状態にあった配偶者であれば、共済金を受け取れます。 第2順位から第6順位までの受取人には「共済契約者が亡くなった当時、共済契約者の収入によって生計を維持されていた人」という条件があります。生計を維持されていたと認められない場合、第7順位以下に落とされるため注意しましょう。具体的にどのような条件で「生計を維持されていた」と認められるのかは、問い合わせて確認するのがおすすめです。不安な点があれば、事前に専門家に相談しておくのも良いでしょう。 小規模企業共済のメリット・デメリット 契約者の死亡時にも共済金が支払われる小規模企業共済。そのメリット・デメリットは以下のとおりです。 【メリット】・掛け金が所得控除できる・掛け金は自分で調整できる・掛け金が無駄にならない 小規模企業共済の掛け金は、所得控除の対象です。加入時から節税効果を実感できるでしょう。支払う金額は自分で調整できるため、生活の負担になりにくいという特徴もあります。将来の備えとして活用できるはずです。 もともと「小規模企業の退職金」という目的で使われている制度ですから、たとえ死亡しなかったとしても、支払ったお金が無駄になる恐れはありません。退職時に共済金を一括で受け取る場合は退職所得として、分割で受け取る場合は公的年金等の雑所得として扱われます。税制上の扱いが違ってくるため、受け取り方法は慎重に検討してみてください。 一方で小規模企業共済にもデメリットはあります。加入期間が短ければ、共済金の受け取りで損をするリスクがあるでしょう。具体的には、契約期間が12カ月未満の場合、準共済金や解約手当金が支払われず、掛け捨て扱いになってしまう恐れがあります。加入期間が20年未満の場合、受け取る共済金が過去に支払った掛け金の総額を下回る、いわゆる「元本割れ」になってしまうでしょう。 さらに契約者が死亡した場合も注意が必要です。受取人の順位が定められている小規模企業共済制度ですが、順位に当てはまる人がいなければ、受給権者不在と判断されます。共済金は受け取れません。また受取人を事前に指定できない点も、デメリットと言えます。 小規模企業共済の特徴を知った上で検討を 小規模企業共済の特徴を知った上で検討を 小規模企業共済には、「契約者が亡くなった場合でも、家族のために財産を残せる」というメリットがあります。たとえ相続放棄の手続きをとっても、共済金は受け取れますから、家族の生活の安定にも役立つでしょう。一方で共済金制度にはデメリットもあります。両者を知った上で賢く活用してみてください。

  • 親に終活してほしい!子どもとして想いを届けるための方法は?

    30代後半から40代にかけて、そろそろ気になり始めるのが、親世代の終活についてです。まだまだ元気に動ける時期だからこそ、「この先」についても考えておいてもらいたいところ。とはいえ、非常に繊細な問題だからこそ、その想いを届けることをためらう方も多いのではないでしょうか?「終活してほしい!」という子どもの想いを届けるため、おすすめの方法を紹介します。 親の終活は子どもにとっても大切な問題 親の終活は子どもにとっても大切な問題 人生100年時代と言われる今、「自分の親はまだまだ元気で活動的」と安心している方も多いのではないでしょうか。確かにそれは、素晴らしいこと。しかし、人生の終わりの時期は確実に近付いています。元気な時期から親に終活をスタートしてもらうことは、子どもにとっても非常に重要な問題です。その理由は、以下を参考にしてみてください。 ・親の気持ちは、親にしかわからないから・実際に親が亡くなったあとに、バタバタする可能性が高いから・相続に関して親族間トラブルが発生する恐れがあるから 大切に想う親の最期に、その望みを叶えてあげたいと思う方も多いでしょう。しかし実際には、「こんなに近くにいたのに、親が何を望んでいたのかわからない…」と悩む方は少なくありません。 終活で自身の希望を明らかにし、子どもにもわかる形で残しておいてもらえれば、残された家族はそれに沿って手続きを進められます。葬儀に呼びたい人や自身の最期に会いたい人、残したいものや処分したいものなど、できる限りの望みに対応できるでしょう。ある程度の指針を示しておいてもらえれば、子ども側が手続きで戸惑う恐れもありません。 また、相続についても非常に大きな問題です。誰が何を相続するのかを巡って、親族間トラブルに発展するケースは多く見られます。終活の一環として遺言書を残してもらったり、自身の想いを伝えてもらったりすれば、それをもとに手続きを進められるでしょう。「親の意向なら」と、納得できる可能性も高いです。 親に終活をすすめる具体的な方法 ではここからは、親に終活をすすめる際の具体的な方法について解説します。4つの方法を紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。 ★1.できることから一緒にスタートしてみる ひと言で「終活」と言っても、その内容はさまざまです。最初からいきなり、難易度の高い活動をスタートする必要はありません。まずは「これならできるかも…」と思える内容を見定めて、一緒に取り組んでみてください。 実家の片付けや不用品の処分は、終活の一環としてもおすすめです。「実家が広く快適になる」という目に見えるメリットが期待できるため、親自身も乗り気になりやすいでしょう。「物を処分されることに抵抗がある」というタイプの親なら、自身が子ども時代に使っていた子ども部屋の整理整頓からスタートするのもおすすめです。 ★2.具体的な例を出してみる 終活ブームの今、具体的な取り組みを始めている方は少なくありません。「○○さんも最近終活を始めたそうだよ」と具体的な情報を伝えることで、「自分もやった方が良いのでは?」という気持ちを刺激できるでしょう。 親にとって身近な人の名前を挙げるのが一番ですが、芸能人や著名人の名前を挙げてみるのもおすすめです。親と同じ世代の人であれば、共感を覚えるのではないでしょうか。また子どもが生まれたあとであれば、自分自身を例に出すのもおすすめです。「将来子どもが困らないように、自分にできることからスタートしている」と近況報告をすれば、親側の気持ちにも変化が生まれるのではないでしょうか。 ★3.将来について親の希望を聞いてみる 終活のきっかけは、日常生活のさまざまな場面に潜んでいます。「終活」という漠然とした行動ではなく、より詳細な疑問を、親自身に問いかけてみるのもおすすめです。 ・もしも入院したら誰に面倒を見てほしいのか?・入院時に使える保険はどのように対応すれば良いか?・病院や介護施設に対して、何か希望はあるか?・将来的に実家をどうしたいか? 家族同士の雑談の中でも、将来に向けた親の希望は聞き出せるでしょう。一度にすべてを明らかにする必要はありませんが、親の気持ちの一端だけでも知っておけば、いざという場面で役立つはずです。こうした会話をきっかけに、親自身の考えを促し、より積極的な終活につながる可能性もあるでしょう。 ★4.自分以外からおすすめしてもらう 親にとっても子どもにとっても、終活は重要なもの。とはいえ、子どもからそれを伝えられても、素直に応じられない人がいるのも事実です。普段から年寄り扱いされるのを嫌う方や、子どもの意見になかなか耳を傾けてくれない方には、別方向からアプローチすると良いでしょう。 最近は、「終活」をテーマにした参加型イベントやセミナーも多く開催されています。「一緒に遊びに行く」といった雰囲気で、出かけてみてはいかがでしょうか。終活がなぜ重要なのか、また具体的に何をしておけば良いのか、主催者側が説明してくれます。 子どもの意見を受け入れられなくても、第三者のプロの意見を聞き入れられる方は多いものです。自分一人の力でがんばろうとするのではなく、ぜひ親にとって受け入れやすい方法を検討してみてください。 確実に困る情報だけでも把握しておこう 親に終活をすすめるのは難しい…と思う方もいるでしょうが、実際に、「把握しておかなければ困る情報」は多いものです。終活そのものをおすすめできなくても、最低限、以下の情報だけはまとめておいてもらえると安心です。 ・口座を持っている金融機関情報・隠し金庫や隠し財産の有無・各種料金の引き落とし口座・デジタル上のデータ(利用サービスや暗証番号など) 親側にも、「将来」に対する想いはあるはずです。なぜこれらの情報が必要なのか、子どもが知らなかった場合にどういったリスクがあるのか真摯に伝えることで、きっと対応してもらえるでしょう。 親に終活してほしい想いを届けるために 親に終活してほしい想いを届けるために 親がある程度の年齢になってくると、「終活してほしい…」と思う方も多いでしょう。終活は、ただ死を待つだけの活動ではありません。自分自身の老後をより充実させるための活動でもあります。終活の意味を伝え、できれば一緒にスタートしてみてください。最初の一歩さえ乗り越えられれば、そのあとは自分で、必要なことを探し情報をまとめていける方も多いものです。 なかなか伝わらない場合は、周囲の手を借りることも積極的に検討してみてください。距離が近いからこそ、子どもの言葉になかなか耳を傾けられない方は多いものです。今回紹介したコツも参考にして、「自分自身のためにも、そろそろ終活してほしい」という子どもの想いを届けてみてください。

  • 親が残す資産は事前に把握しておこう!知らない場合のリスクを解説

    子どもが生まれ、自身の生活基盤が整った際に、考えておきたいのが「親が残す資産」についてです。今すぐというわけではなくても、相続はいずれやってくる問題。そのときになって慌てないためには、事前の情報把握が重要です。親が残す資産を把握する方法や、知らない場合に考えられるリスクについて解説します。 親の資産がわからない人は意外と多い 親の資産がわからない人は意外と多い 自身の終活について積極的に考える方は増えていますが、「親がどのような資産を持っているのか詳しく知らない」という方は、まだまだ珍しくありません。親が残す資産の内容は、多岐にわたります。投資ブームの今、株式投資や不動産投資に取り組む方も増えているでしょう。子どもが把握していない不動産を所有している可能性もあります。 親がどのような資産を残すか把握していなければ、何の準備も整えられないまま相続のときを迎えることになってしまうでしょう。「まだまだ先だから…」と思いがちですが、相続のタイミングがいつになるのかは誰にもわかりません。知らない場合のリスクとしては、主に以下の3つが挙げられます。 ★1.相続税の準備ができない 親が残す資産額によっては、相続税が発生する可能性も。相続する資産の中から相続税を賄えれば良いのですが、実際にはそれが不可能なケースもあります。 たとえば親が残す資産のほとんどが不動産である場合、相続税は相続財産以外から調達しなければいけません。相続税が支払えない場合、不動産を売却しなければならない可能性もあります。仮にそれが「現在家族で暮らしている自宅」であれば、相続をきっかけに住む場所を失うことにもなりかねないのです。 親が残す資産額やその内訳を知っていれば、 ・相続税が発生しそうな状況なのか?・相続税の負担がどの程度になるのか? これらの情報を把握できるでしょう。相続税の支払いに向けて、計画的に準備を進められるはずです。 ★2.病院代や葬儀費用の清算で困る可能性がある 親の資産がわからないまま相続のときを迎えたとしても、各種手続きは待ってはくれません。病院代の清算から葬儀費用の支払いまで、多額の現金が必要になる場面は、決して少なくないのです。親が残す資産がわからなければ、子どもが立て替えることにもなりかねません。 親がどこにどの程度の資産を持っているか知っていれば、落ち着いて対応できます。自宅にタンス預金があれば、相続人同士の話し合いの末、支払いに充てることもできるでしょう。 どの銀行口座にどの程度の資産を残しているのか知っていれば、被相続人が亡くなる前に現金を引き出せる可能性もあります。口座名義人の死亡により凍結されたとしても、仮払い制度の利用により、素早く現金を用意できるはずです。 「すぐにでも現金が必要になる!」といった場面で、親の資産について一から冷静に調査するのは難しいでしょう。事前に知っていれば、いざというときでも落ち着いて対処できます。 ★3.遺産分割協議で揉めるリスクがある 相続が発生し、遺言が残されていない場合に必要なのが遺産分割協議です。相続人が複数人いる場合、誰が何を相続するのかで揉めるリスクがあります。 たとえば「遺産のほとんどが不動産で相続人のうち1人が居住している」という場合、どのように遺産を分割するべきか悩むケースも多いでしょう。親族間トラブルを防ぐためにも、親の資産をできるだけ早く把握し、相続人全員が納得できる形で相続の大枠を決めておくのがおすすめです。 被相続人が生きている間であれば、どのような想いで遺産分割を考えているのか、直接聞けます。遺産分割協議で突然知らされるよりも、心の準備ができるでしょう。 親が残す資産を把握する方法とは? 相続にまつわる親族間トラブルは、決して少なくありません。誰にとっても他人事ではないからこそ、親の資産を早めに把握し、必要な対策を講じておくことが大切です。とはいえ、「親が残す資産について話すのは抵抗がある…」と感じる方も多いのではないでしょうか?具体的にどうやって把握すれば良いのか、3つの方法を紹介します。 ★1.相続税をきっかけに聞いてみる 平成27年に、相続税の基礎控除に関するルールが変更されました。それまでよりも基礎控除額が減り、相続税を課税されるケースが増加しています。こうした状況を解説するとともに、親が残す資産について自然に聞いてみてください。 相続税の基礎控除額は、「3000万円+(600万円×法定相続人の数)」で求められます。親が残す資産がこの範囲に収まるのかどうかがわかるだけでも、子どもの負担は軽減できるでしょう。相続税をきっかけに、具体的にどのような資産が残される予定なのかどうか、ざっくりとした話だけでも聞いておくと安心です。 ★2.遺言書やエンディングノートをすすめてみる 親の資産について直接聞くのが難しい場合、終活の一環として、遺言書やエンディングノートの作成をおすすめするのもおすすめです。遺言書やエンディングノートを作成する場合、親自身が残す予定の資産を把握しなければいけません。その過程で、「子どもに伝えておくべき内容」をはっきりと理解する方も少なくありません。 実際に親が遺言書やエンディングノートを作成し始めたら、子どもに対してアドバイスを求める場面もあるかもしれません。無理をせず、少しずつ内容を聞いてみてください。 ★3.家族が集まる機会に話し合いの場を持つ 親が残す資産について聞きたいと思ったら、その他の相続人と協力するのもおすすめです。子どもの立場で相続人になる場合、兄弟姉妹と一緒に、親の話を聞いてみましょう。1人だけではなく、相続人全員で話をすることで、心理的な負担を軽減できる可能性があります。 お盆やお正月は、親族が集まる良い機会と言えるでしょう。親が残す予定の資産についても、話をしてみてはいかがでしょうか。 親が残す資産を知って相続対策を 親が残す資産を知って相続対策を 相続にまつわるトラブルは、決して少なくありません。「自分だけは大丈夫」と考えるのは危険です。あらゆる事態を想定して、生前から準備を進めておくことで、回避できるものも多いでしょう。親がどんな資産を残すのか知ることは、その一歩だと考えられます。 「あてにしていると思われたくない」という気持ちから、親の資産について、聞きづらい…と感じる方は少なくありません。だからこそ、なぜ知りたいのか、知らなかった場合に将来どのようなリスクが発生するのか、親に対してていねいに説明してみるのもおすすめです。親子間のコミュニケーションが深まれば、相続対策の幅はより一層広がります。親自身の生活を守るためにも、意思疎通を心掛けてみてください。

  • 遺産相続で成年後見人が必要な場合とは?成年後見制度の基本とともに解説

    遺産相続をスムーズに進めていくため、身につけておきたい知識の一つが「成年後見制度」についてです。遺産を相続する際に、成年後見人が必要になるケースとはどのようなものなのでしょうか?制度の基礎知識とともに、手続き方法についても解説するので、ぜひチェックしてみてください。 成年後見制度とは?基礎知識を身につけよう 成年後見制度とは?基礎知識を身につけよう まずは成年後見制度の基本について学びましょう。成年後見制度とは、判断能力が著しく低下している人の代わりに後見人が立ち、本人に代わって財産管理や契約の支援を行える制度のこと。判断能力が低下した人の保護を目的にしています。 認知症や知的障害、精神疾患を抱えている人は、財産管理や各種契約において、不利益を被りがち。利益と不利益をより正確に判断するため、成年後見人がサポートする仕組みです。制度を利用して後見人が決まったら、本人や家族であっても、後見人の同意なしでは財産の移動や各種契約が不可能になります。たとえ本人が勝手に契約を結んでしまったとしても、成年後見人であればそれを覆すことが可能です。 とはいえ、成年後見制度も万能ではありません。医療行為における同意や、結婚・養子縁組、離婚といった判断は認められていないのです。また、「介護が必要な場合にヘルパーを契約する」のは可能でも、成年後見人が自ら介護を行うことはありません。できる行為、できない行為をしっかりと把握した上で、制度を利用するべきかどうか判断しましょう。 相続で成年後見人が必要なケースとは? 遺産相続で成年後見人が必要なのは、「相続人の中に判断能力が著しく人」がいるケースです。相続手続きを進めていくためには、遺産分割協議を行う必要があるでしょう。協議では、相続人全員の同意が必要に。判断能力が低下した人が1人でも含まれている場合、分割協議そのものが進まなくなってしまいます。 仮に「判断能力が低下した状態のまま、遺産分割協議書を取り決めた」としても、協議そのものが無効と判断されてしまいます。たとえ家族であっても、遺産分割協議書への勝手なサインや押印は、犯罪になる恐れがあるので注意しましょう。本人が相続放棄すれば、その他の相続人で協議を進めることはできますが、判断能力や認知能力が低下した状態ではそれさえ難しいのが現実です。成年後見人がいれば、成年後見人のサポートのもとで、相続手続きを進めていけます。負債の方が多い場合、相続放棄の手続きも取れるでしょう。 一方で、相続人の中に判断能力が低下した人がいても、成年後見人が必要ないケースもあります。被相続人が生前に遺言を残していて、遺産相続の詳細や遺言執行者を指定していた場合が、こちらにあたるでしょう。 相続が発生した時点で誰に何を相続させるのか明らかになっていれば、遺産分割協議をする必要はありません。相続手続きもスムーズに進めていけます。判断能力が低下した人に財産を相続させたい場合でも、遺言執行者がいれば問題はありません。本人に代わって、相続に必要な手続きを済ませられるはずです。 判断能力が低下している人が相続人になると予想される場合、早めに準備を進めておくのもおすすめです。相続手続きがスタートする前であれば、「本当に成年後見制度が必要なのか?」「制度を利用しなかった場合にどのような不利益が予想されるのか?」といった点について、じっくりと考えられるでしょう。親族間で相談しながら、判断するのもおすすめです。 成年後見人を選任するための手続きは? 相続が発生したあとに、判断能力が低下した人のために成年後見人を選任する場合、親族や相続人が、家庭裁判所に成年後見人の選任を申し立てましょう。すでに判断能力が低下している人の後見人を定める場合、誰が後見人になるのか、判断するのは家庭裁判所です。家族だからといって、自由に後見人になれるわけではないという点を、頭に入れておきましょう。 申し立て時に後見人候補者を立てることはできても、確実に選ばれるとは限りません。本人にどの程度のサポートが必要になるのか、家庭裁判所の判断のもとで決定されます。家族以外の、第三者の専門家が選ばれるケースもあります。専門職に就く人が成年後見人を務めることに決まった場合、報酬を支払わなくてはいけません。司法書士や弁護士に依頼した場合の報酬相場は、月に3~5万円と言われています。 成年後見人になるためには、特別な資格は必要ありません。ただし相続手続きのために成年後見人を選任する場合、「同じ相続人の立場にあたる人は、成年後見人にはなれない」という点に注意しましょう。相続人同士で後見人・被後見人という関係性になると、後見人が自分の利益を追求し、被後見人の利益を阻害する可能性があるためです。 この場合、特別代理人の選任を家庭裁判所に申し立てる必要があるでしょう。特別代理人が必要かどうかは、状況によって異なります。具体的な条件については、相続手続きの専門家に相談するのがおすすめです。 成年後見人を選定する場合の手続き方法 成年後見人を選定する場合の手続き方法 相続手続きを進めるために成年後見人を選定する場合、以下の方法で手続きを進めていきましょう。 1.後見人を必要とする人の所在地にて、家庭裁判所に申し立てをする2.家庭裁判所にて審理が行われる3.成年後見人が選定される4.成年後見がスタートする 後見人を選定するための手続きでは、本人の判断能力の診断が必要です。かかりつけ医などに依頼し、状態を説明できるよう準備しておきましょう。また申し立てに必要な、その他の書類も収拾します。 家庭裁判所の審理では、申立人や後見人候補者はもちろん、本人との面接も行われます。親族の意向も確かめられるでしょう。これらの情報を総合的に判断し、「後見人が必要である」と判断されれば、後見人を選任します。審判の結果が送付されたあと2週間が経過したら、その内容が法務局に登記され、成年後見制度の利用がスタートします。 遺産分割協議を始められるのは、そのあとのこと。相続税の申告・納税期限を考えると、時間的な余裕はあまりありません。必要かどうかを素早く見極め、家庭裁判所に申し立ててください。 遺産相続で成年後見人が必要な場合を知って素早く対応しよう 遺産相続において、認知症などが原因で判断能力が低下した人が相続人に含まれる場合、成年後見制度の利用を検討してみてください。「遺産分割協議が進まない…」と悩む恐れもなくなるはずです。 実際に成年後見人が決まり、相続手続きを進められるようになるまでには時間がかかります。できるだけ早く動き出すことで、相続手続きをスムーズに進めやすくなるでしょう。

  • 遺産として残された預貯金は引き出せない?対処法と手続きの流れ

    身近な人が亡くなった際に、トラブルになりやすいのが「被相続人名義の預貯金の引き出し」についてです。預貯金や遺産として扱われるため、取り扱いには注意しましょう。「遺産として残された預貯金は引き出せない」と言われていますが、実際のところはどうなのでしょうか。対処法や必要な手続きについて詳しく解説します。 預貯金が引き出せなくなるのは口座が凍結されるから 亡くなった人の口座からお金が引き出せなくなるのは、該当の口座が凍結されるからです。これは、銀行側が相続トラブルを避けるために行っている措置。特定の相続人だけが遺産を独り占めしないよう、「銀行側が死亡を確認した時点で口座を凍結する」と定められています。 銀行側が口座名義人の死亡を知るきっかけはさまざまです。 ・家族からの連絡・新聞に掲載されるお悔やみ欄・担当する行員からの連絡 「死亡届を提出すると自動的に銀行に連絡がいく」というのは誤解です。また、名義人死亡に伴う口座の凍結について、銀行側が相続人に対して通知することはありません。「気づいたときにはすでに凍結されていた…」という事態も、決して少なくないでしょう。いつ口座が凍結されてしまうかわからないからこそ、亡くなる瞬間が近づいてきたら、ある程度の準備を整えておく必要があります。 凍結されない場合も預金の取り扱いには注意が必要 相続人が口座名義人の死亡を知らせず、銀行側もその情報を得ていない場合、口座は凍結されません。ATMとキャッシュカード、暗証番号さえあれば、生前と同じように預金を引き出せるでしょう。 葬儀代やその他の出費に対応するため、亡くなった人の口座からお金を引き出すケースは決して少なくありません。それ自体が、何らかの罪に問われるわけではないでしょう。 ただし、安易な出金が、後々の相続トラブルに発展しやすいのも事実です。亡くなった人の預貯金は遺産の一部。特定の相続人が、よくわからない目的で多額の現金を引き出していたら、「預金を独り占めしようとしている」と思われても仕方がないでしょう。トラブルを避けるためには、細心の注意を払って行動する必要があります。 病院代の清算や葬儀で必要なお金を捻出する目的であれば、何にいくら必要だったのか、わかるようにして管理してください。請求書や領収書、必要なメモ書きとともに保管すれば、その他の相続人も納得しやすくなるでしょう。その他の目的で預貯金を引き出したい場合、相続分に留まる範囲で行動しましょう。「自身の取り分から先払いで受け取った」と説明し、相続手続きを進めていけば、問題が起きる可能性は低くなります。 自分一人で隠しておくのではなく、その他の相続人に対して、「どのような目的でいくら出金するのか」を明らかにしておくのもおすすめです。お金の流れをできるだけ明らかにしておくことで、生前の口座管理やその他の出金について、余計な誤解を防ぐ効果が期待できます。 口座が凍結された場合の対処法は? 銀行側が名義人死亡の事実を把握し、口座が凍結された場合、各金融機関にて相続手続きを進めていく必要があります。必要な手順さえ踏めば、凍結は解除され、口座解約とともに預貯金が引き出されます。金融機関から必要な書類の説明を受け、準備したのちに郵送しましょう。 被相続人が遺言書を残していれば、その内容をもとに相続手続きを進めていきます。遺言書の原本や謄本が必要になるので準備してください。残された遺言が自筆証書遺言であった場合、家庭裁判所の検認済証明書も必要に。手続き完了までには少し時間がかかるため、できるだけ早く動き出すのがおすすめです。 遺言書がなかった場合、相続人同士の話し合いで遺産分割協議書を作成するケースもあるでしょう。この場合は、遺産分割協議書を金融機関に提出します。 このほかにも、被相続人や相続人の戸籍謄本、相続人全員の印鑑証明書、所定の届出書など、必要書類は決して少なくありません。相続人それぞれの思いを確認した上で、速やかに準備を進めていきましょう。 凍結された口座からお金を引き出す方法はある? 凍結された口座からお金を引き出す方法はある? 預金口座の凍結から、必要な手続きを経て解除されるまでには、一定の時間が必要になるでしょう。「このままでは葬儀代の支払いができない」「遺産分割協議が進まず、お金が足りない」といったトラブルに発展する可能性もあります。このような場合には、「相続預金の仮払い制度」を活用しましょう。 仮払い制度は、凍結された口座からでも、預金の一部を引き出せる制度です。出金できる金額は「1金融機関あたり150万円を上限とし、預金額の3分の1×仮払いを受ける相続人の法定相続割合まで」と定められていますが、必要書類さえ揃えれば、現金の引き出しが可能です。 仮払い制度を利用するためには、 ・被相続人の戸籍謄本・除籍謄本(出生から死亡まで)・相続人の戸籍謄本(全員分)・印鑑証明書(手続きする人) これらの書類が必要です。金融機関によっては、その他の書類の提出を求められるケースもあるため、事前に確認しておきましょう。 また家庭裁判所を通じて手続きを行った場合、引き出せる金額に上限はありません。少し手間はかかりますが、必要なお金が多いときには活用してみてください。必要性が認められれば、全額引き出しも可能です。 銀行口座はできるだけシンプルにしておくのがおすすめ 被相続人の死後、凍結された銀行口座からお金を引き出すのは、決して簡単ではありません。相続発生後の手間をできるだけ少なくするためには、生前から保有する銀行口座の数を絞っておくのがおすすめです。引き落とし用の口座や普段のお金を出し入れする口座をまとめておけば、相続手続きも楽になるでしょう。 使わない銀行口座を解約しておくことも、立派な終活の一つです。親が終活をスタートしたら、ぜひアドバイスしてみてください。またもちろん、自分自身の終活に活かすのもおすすめ。残された人に負担をかけないよう、しっかりと準備を整えておきましょう。 被相続人名義の預貯金は遺産の一部!慎重な取り扱いを 被相続人名義の預貯金は遺産の一部!慎重な取り扱いを 身近な人が亡くなった時点で、その人名義の預貯金は「遺産」として取り扱われます。たとえ家族であっても、その財産は家族だけのものではありません。相続人全員に受け取る権利があるお金なのです。慎重な取り扱いを心掛けてください。 口座が凍結されれば引き出せなくなりますし、たとえ凍結されなくても、勝手に引き出せばトラブルの原因になってしまうでしょう。どうしてもお金が必要なときには、相続人同士の意思疎通が重要です。しっかりと話し合った上で、仮払い制度の利用を検討しましょう。

  • 相続財産に株式が含まれる場合の対処法は?現金化の手順や注意点も

    投資する人が増えている今、相続財産に株式が含まれるケースは決して珍しくありません。現金や銀行預金とは性質が異なる財産に、どう遺産分配すれば良いのか悩む方も多いのではないでしょうか。相続財産に株式が含まれる場合の対処法や注意点について解説します。親の遺産を受け継ぐ際はもちろん、自身の財産を残す際にも参考にしてみてください。 株式は遺産分割の対象になる 被相続人が所有していた株式は、遺産分割の対象になります。遺言が残されていればその内容のもと、残されていない場合は遺産分割協議にて、誰がどれだけ受け継ぐのかを決定することになるでしょう。 預金や不動産など、その他の財産とあわせて、具体的な相続手続きを進めていきます。相続人や相続財産を調査し、遺産分割協議を行ってください。その内容をもとに各種変更手続きを行い、必要に応じて相続税を申告・納税します。 株式が含まれる場合の注意点3つ 遺産に株式が含まれている場合も、基本的な相続手続きの流れに違いはありません。株式ならではの注意点を3つ紹介するので、参考にしてみてください。 ★株式の種類によって対処法が異なる 株式には、上場株式と非上場株式の2種類があります。相続財産である株がどちらなのかによって、対処法が違ってきます。証券会社に口座を開き、株式投資を行っている場合、証券会社を通じて相続手続きを進めていきます。どこの証券会社に口座を持っていたのか、情報収集からスタートしましょう。 一方で被相続人が保有していたのが非上場株式であった場合、上場株式のような「市場価格」は存在しません。株式の価値が見えにくいため、しっかりとした知識をもとにその価値を評価する必要があるでしょう。 またたとえ相続したとしても、上場株式のように容易に売却できるとは限りません。相続税の負担を考えると、「最初から相続しない方が良い」と思われるケースもあります。相続税との兼ね合いも考えつつ、相続するかどうか慎重に検討してみてください。 ★証券会社がわからない場合は証券保管振替機構へ 上場株式が遺産に含まれている場合、取引の合った証券会社を特定する必要があります。遺言やエンディングノートに口座情報がまとめられていれば良いのですが、そうではない場合、まずは被相続人の身の回りをチェックしてみてください。 被相続人の荷物から証券会社の資料が出てきたら、問い合わせてみましょう。口座名義人が死亡した事実と、名義変更の希望について伝えれば大丈夫です。必要書類や具体的な手続き方法は、証券会社側から案内されます。 証券会社の情報を見つけられなかった場合は、証券保管振替機構を利用しましょう。こちらに問い合わせれば、どの証券会社と取引があるのか、具体的な情報を開示してもらえます。必要事項を記載した開示請求書のほか、相続人の本人確認書類や被相続人の戸籍謄本など、必要書類をそろえて手続きしてください。開示された情報をもとに、各証券会社に問い合わせればOKです。 ★上場株式の価値は相続税評価額で計算 遺産に株式が含まれている場合、その評価額をどう計算するべきか、悩む方も多いでしょう。相続財産の価値がわからなければ、相続税の計算はもちろん、遺産分割協議を進めることもできません。できるだけ早く、その価値を確認してください。上場株式の価値を計算するための基本的な方法が、相続税評価額です。 上場株式の評価額は、以下の4つのうち、もっとも低い金額を採用できます。 ・相続が開始した日の終値・相続開始月の終値の平均額・相続開始前月の終値の平均額・相続開始前々月の終値の平均額 相続開始日に証券取引所で取引が行われていなかった場合、「相続開始日にもっとも近い日」を対象に計算してください。保有株式が一つではない場合、それぞれの株式について、もっとも低い金額を採用できます。面倒な作業ではありますが、相続税関連でトラブルを起こさないためにも、丁寧に計算する必要があるでしょう。 遺産として受け継いだ株式を現金化する手順 被相続人の名義である上場株式を、直接現金化することはできません。いったん、相続人名義の専用口座を開設し、そこに相続財産である株式を移管させましょう。その上で、これから先どのように株式を現金化するのか、相続人同士で話し合ってください。 具体的には、 ・相続した株式を一括で現金化し、売却した現金を分割する・相続した株式を相続人同士が分け合い、個人で所有した株式を売却する という2つの方法があります。 上の方法を選択する場合、株式を相続するのは代表一人です。その代表相続人が売却までの手続きを終えて、現金化された遺産を対象に遺産分割協議を行いましょう。この場合、遺産分割協議の前に株式の現金化を進めていくため、各種手続きにはその他の相続人の委任状が必須です。 下の方法を選択する場合、専用口座に株式を移管させてすぐに遺産分割協議を行います。証券会社にはその結果である遺産分割協議書を提出し、その内容をもとに株式そのものを分配する仕組みです。売却して現金化するかどうかは、相続人それぞれの判断に任せられます。 相続した株式を放置した場合はどうなる? 相続した株式を放置した場合はどうなる? 相続人に株式に関する知識がない場合、株式が遺産相続の対象から漏れてしまうケースも少なくありません。 ・どうすれば良いのかわからないため、株式を除いたその他の財産について相続手続きを行った・被相続人が株式投資をしていた事実を知らないまま、放置してしまう これらの場合、相続手続きが完了しない株は、準共有状態であると判断されます。配当金が入るたびに、相続人間で分ける手続きをしなければいけません。また株主としての権利を行使するためには、権利行使者を定め、会社に対して通知する必要があります。面倒な事態を避けるためにも、できるだけ早く手続きを完了させましょう。 また自分自身が株式投資を行っている場合、その事実を家族に伝えておく必要があります。余計なトラブルを避けるため、エンディングノートなども活用してみてください。 遺産に株式が含まれている場合は専門家のサポートもおすすめ 遺産に株式が含まれている場合は専門家のサポートもおすすめ 遺産に株式が含まれている場合、評価額の計算や相続税の手続きは複雑になります。スムーズに相続するためには、専門家の助けを求めるのもおすすめです。弁護士や司法書士、行政書士に税理士など、ぜひ頼りにしてみてください。また自身が残す財産に株式が含まれる場合、誰に何を相続させるのか、遺言で指定するのもおすすめです。終活の一環として、検討してみてはいかがでしょうか。

  • 公正証書遺言作成に必要な書類・資料とは?取得方法もあわせて紹介!

    自筆証書遺言よりも、確実性が高い公正証書遺言。最近では、「遺言書が原因でトラブルにならないように」との思いから、公正証書遺言を選択する方も増えてきています。とはいえ、公正証書遺言を作成するためには、さまざまな書類・資料を用意しなければいけません。具体的にどういった資料が必要になるのか、収拾方法とともに紹介します。 公正証書遺言とは? まずは公正証書遺言の基本についておさらいしておきましょう。 公正証書遺言とは、公証役場で公証人が作成する遺言形式のこと。遺言を残したい人は、2名の証人を前に、公証人に対して遺言内容を言葉で伝えます。その内容を確認した公証人が、「遺言書」という体裁に整えて保管。自筆証書遺言とは違い、遺言書の作成を専門家にお任せできるため、法的ミスが発生しないというメリットがあります。 自筆証書遺言を自宅で保管する場合、「家族である相続人が手続き開始前に発見し、改ざん・破棄する」といったトラブルも考えられるでしょう。公正証書遺言であれば、このようなリスクはないのです。自身の遺言をより確実に管理できるでしょう。いざ相続手続きをスタートする際にも、家庭裁判所による検認は必要ありません。メリットも多い遺言方式と言えます。 公正証書遺言を残すのに必要な資料とは? 公正証書遺言を残すのに必要な資料とは? 一方で、公正証書遺言にもデメリットはあります。その一つが、「遺言を残すためにさまざまな資料をそろえ、公証役場に提出しなければならない」という点です。求められる資料は、以下のとおりです。 ★1.本人に関する書類や資料 公正証書遺言を残すためには、本人であることを示すための資料が必要です。具体的には、以下のようなものを準備してください。 ・遺言を残す人の印鑑登録証明書もしくは所定の本人確認書類・遺言を残す人の実印・遺言を残す人の戸籍謄本 印鑑登録証明書を使用する場合、発効後3カ月以内のものを準備しましょう。その他の身分証明書を本人確認書類として使う場合、官公庁発行の顔写真付きのものを選択してください。運転免許証やマイナンバーカード、パスポートなどが当てはまります。戸籍謄本は、本籍地のある市区町村役場で発行できます。役場に出向けばその場で発行してもらえますし、遠方の場合は郵送での請求も可能。こちらも発行後3カ月以内の書類が必要です。 ★2.財産を受け継ぐ人に関する資料 次に準備したいのは、財産を受け継ぐ人の情報を示すための資料です。法定相続人に財産を相続させたい場合と、法定相続人以外に譲りたい場合で用意する書類が異なるので、注意しましょう。 法定相続人に相続させたい場合に必要になるのは、「遺言者本人と相続人の関係がわかる戸籍謄本」です。発行から3カ月以内という条件があります。法定相続人の場合、遺言を残す人の戸籍謄本に、その人との関係が記されているケースも多いでしょう。この場合、法定相続人分の戸籍謄本をわざわざ準備する必要はありません。 一方で法定相続人以外を指名して財産を渡したい場合、財産を受け継ぐ人(受贈者)の住所・氏名・生年月日がわかる書類を用意しましょう。発行から3カ月以内の住民票を用意するのが一番ですが、保険証のコピー等でも対応可能。これらの書類が準備できない場合でも、必要な情報をまとめたメモ書き等で対応してもらえる可能性があります。公証役場にて相談するのがおすすめです。 ★3.相続財産に含まれる不動産に関する資料 相続財産に不動産が含まれる場合、その情報が記された資料が必要です。 ・登記事項証明書・固定資産税評価証明書 登記事項証明書には、不動産に関する詳細情報が記載されています。不動産がある場所の法務局にて請求しましょう。窓口で直接請求するほか、オンラインでの請求も可能。発行された書類は、自宅に郵送してもらえます。 固定資産税評価証明書は、遺言公正証書の作成手数料を計算するために使われます。不動産のある市税事務所や市区町村役場にて取得できますが、毎年発行される納税通知書の課税明細書でも代用可能です。 ★4.相続財産に含まれる有価証券や預貯金に関する資料 相続財産に有価証券や預貯金が含まれる場合は、以下の資料を準備しましょう。 ・通帳のコピー・取引状況報告書のコピー これらの情報は、種別や金額をまとめた資料でも代用できます。また財産を明示せずに遺言を残す場合も、公正証書遺言の作成手数料を計算するために必要です。概算で構いませんので準備しておきましょう。 ★5.証人に関する資料 公正証書遺言を残すためには、証人を2人用意する必要があります。証人が決まったら、以下の資料を準備してください。 ・証人予定者の氏名・住所・生年月日・職業を記したメモ・印鑑(認印可) 遺言作成当日には、証人2人の身分証明書を持参してもらいましょう。自動車運転免許証や保険証などが認められています。証人を2人用意できない場合は、公証役場で手数料を払い、準備してもらえます。この場合、自分で資料を用意する必要はありません。 すべての書類をそろえるのに必要な手数料は、数百円から数千円程度です。それほど大きな負担にはならないため、安心してください。 公正証書遺言作成には手数料が必要 公正証書遺言を作成するためには、各種書類だけではなく、手数料も用意しなければいけません。手数料の金額は相続財産の総額によって違ってきますが、2万円~5万円程度になるケースが多いようです。公証役場で証人を用意してもらう場合は、この費用にプラスして、証人用の手数料を支払う必要があります。 ちなみに、自筆証書遺言の作成には手数料は発生しません。作成した遺言を法務局で保管してもらう場合のみ、相応の手数料が発生するものの、自宅で保管するなら「紙代とインク代」程度で遺言を作成できるでしょう。 とはいえ、遺言書としての効果をより確実に持たせたいのであれば、手数料を支払ってでも公正証書遺言を選択するのがおすすめです。各種書類とともに、事前に用意しておきましょう。 公正証書遺言作成に必要な資料を知って準備しよう 公正証書遺言作成に必要な資料を知って準備しよう 公正証書遺言を作成するためには、さまざまな資料を用意する必要があります。自筆証書遺言と比較すると手間がかかるものの、より確実に遺言を残したいなら、積極的に検討してみてください。法的な知識が少ない方、初めて遺言を残す方にもおすすめです。 自分の場合どのような資料が必要になるのかは、公証役場でも説明してもらえます。自分が考えている遺言内容に基づいて、まずは相談してみましょう。その上で、できるだけ早く必要な書類・資料を集めてみてください。スムーズに手続きを進めていけるのではないでしょうか。

  • 兄弟姉妹は相続にどう関連する?遺言書を残すメリットを知ろう

    終活の一環として、考えておきたいのが「相続」についてです。「どうせ大した財産はないから…」と油断していると、思わぬ親族間トラブルに発展する可能性も。特に「被相続人の兄弟姉妹」について、相続とどう関連するのか知っておきましょう。相続に関する兄弟姉妹の基礎知識と、遺言書の内容や作成するメリットについてまとめます。 相続に兄弟姉妹が関わるケースとは? 相続に兄弟姉妹が関わるケースとは? 相続トラブルを回避するため、まず頭に入れておきたいのが法定相続人の範囲についてです。法定相続人とは、民法で定められた「被相続人の財産を受け継ぐ権利を持っている人」のこと。一定範囲内の血族のうち、優先順位の高い人から法定相続人になれる仕組みです。 「自分が亡くなったあと財産を受け継ぐ人」と言えば、自身の配偶者や子どもをイメージする方も多いのではないでしょうか?しかし法定相続人になる可能性がある人は、それだけではありません。状況によっては、自身の兄弟姉妹、そしてその子どもたちが法定相続人になる可能性もあるのです。 相続が発生した際に、必ず相続人になるのが「被相続人の配偶者」です。一方で、それ以外の血族は、以下の順位に基づいて相続人になるかどうかが判断されます。 第1順位 被相続人の子ども(もしくは代襲相続人)第2順位 被相続人の親など(直系尊属)第3順位 被相続人の兄弟姉妹(もしくは代襲相続人) 第1順位から第3順位までは、「もっとも順位が高い人のみ」が相続人になれます。つまり、兄弟姉妹が相続人になるのは以下のようなケースです。 ・両親や祖父母がすでに亡くなっていて、被相続人に子どもがいない・被相続人の両親・祖父母・子どもがすでに亡くなっていて、孫もいない・第1順位と第2順位に当てはまる人がいても、その全員が相続放棄をした 被相続人の両親・祖父母・子どもがすでに亡くなっている場合でも、孫がいれば、子どもの代襲相続人として相続権を持ちます。このため、兄弟姉妹が相続人になることはありません。同順位の相続人のすべてが相続放棄を選択した場合、相続権は次の順位へと回されます。この場合、子どもや親が生存していても、兄弟姉妹が相続人になる可能性があるでしょう。 このように、兄弟姉妹と相続は、決して無関係ではありません。特に昨今は、子どもを持たない選択をする夫婦も増えてきています。相続順位が兄弟姉妹にまで回る可能性がある点を踏まえて、さまざまな準備を整えていくことが大切です。 兄弟姉妹が相続人になる場合の注意点とは? 終活の一環として相続について考える場合、「すでに両親や祖父母が亡くなっている」というケースも多いでしょう。この場合、自身に子どもや孫がいなければ、兄弟姉妹が相続人になる可能性は高いと考えられます。兄弟姉妹が相続人になると想定される場合、以下の点に注意しましょう。 ★1.配偶者に全財産を残せない 子どもがいない夫婦の場合、「自分が亡くなったあとは配偶者に全財産を譲りたい」と考える方も多いはずです。しかし先ほどもお伝えしたとおり、子どもや親がいなければ、兄弟姉妹が法定相続人に。自分の兄弟姉妹が遺産の分割を希望した場合、配偶者はそれを受け入れざるを得ないのです。 ちなみに、配偶者と兄弟姉妹が相続人になる場合、配偶者が遺産の4分の3、兄弟姉妹が遺産の4分の1を受け取る権利を持ちます。「遺産のほとんどが不動産」という場合、兄弟姉妹に遺産を分割するため、売却せざるを得ない可能性も。たとえそれが、夫婦にとっての終の棲家であっても状況は変わりません。配偶者が、住む場所を失うリスクもあるでしょう。 ★2.戸籍収集が大変になる 兄弟姉妹への遺産分割に問題がない場合でも、手続きのために必要な戸籍収集は、決して簡単ではありません。子どもや親が相続人になるケースと比較して、難易度はアップします。 兄弟姉妹が相続人になる場合、第1順位や第2順位に当てはまる人が存在しないことを証明するための書類が必要です。具体的には、被相続人の戸籍のすべてや、両親の戸籍謄本の一式を準備する必要があるでしょう。兄弟姉妹の中にすでに亡くなっている人がいる場合、その人の分の戸籍謄本一式も必要になります。 ★3.相続税が高い 兄弟姉妹が相続人となって財産を受け継ぐ場合、相続税は20%割り増しになります。遺産分割に納得していても、相続税が原因でトラブルになる可能性もあるので注意しましょう。 遺言書を残すメリットとは? 兄弟姉妹が相続人になる場合、遺言書を残すメリットは以下のとおりです。 ・配偶者に全財産を相続させるよう指定できる・兄弟姉妹の相続税負担に配慮した遺産分割を指定できる 兄弟姉妹が相続人になる場合の大きな特徴は、「遺留分を請求する権利を持たない」という点です。遺留分とは、遺産のうち最低限相続できると定められている取り分のこと。たとえ遺留分が侵害されても、それを請求する権利は、兄弟姉妹に認められていないのです。つまり、法的に有効な遺言書にて「自身の配偶者に全財産を譲る」という文言を残しておけば、兄弟姉妹に財産を受け継ぐ権利は発生しません。自身が亡くなったあとの配偶者の生活を守れるでしょう。 ある程度年齢を重ねていると、兄弟姉妹としての関係性が希薄になっているケースは多いものです。配偶者と兄弟姉妹の間の話し合いが、スムーズに進むとは限らないでしょう。遺言書があれば、遺産分割協議を行う必要はなく、親族間トラブルが発生する恐れもありません。 また遺言書であれば、相続税負担に配慮する形で、誰に何を残すのか指定できます。兄弟姉妹への配慮とともに、大切に思う気持ちも伝えやすくなります。自分自身が気持ちよく旅立つためにも、できる準備は整えておくのがおすすめです。 兄弟姉妹と相続への関わりを知り具体的な準備を整えよう 兄弟姉妹と相続への関わりを知り具体的な準備を整えよう 自身が亡くなったあと、誰が財産を相続するのか、事前に考えておきましょう。兄弟姉妹が相続人になる場合、「関係が薄い兄弟姉妹よりも、生活をともにしてきた配偶者に全財産を残したい」と思うのは当然のこと。この場合、遺言書を残しておくのがおすすめです。シンプルな内容でも、十分に効果を発揮してくれます。自身が亡くなったあとの配偶者の生活を守りやすくなりますし、余計なトラブルでストレスを抱えるような恐れもありません。 実際の遺言書の内容については、弁護士や司法書士といった専門家に相談しつつ、決定するのがおすすめです。実際に誰が相続人になる可能性が高いのか、またどういった点に配慮して遺言書を残すべきなのか、的確にアドバイスしてもらえるでしょう。専門家の協力のもとで、自身の希望を叶える遺言書を用意してみてください。

  • 小規模企業共済で受け取った財産はどう扱われる?メリット・デメリット

    小規模企業の個人事業主、会社役員の方にとって、メリットも大きい小規模企業共済。共済契約者死亡によって家族が共済金を受け取る場合、その財産が相続上、どのように扱われるのかについて、詳しく解説します。相続対策としても有効と言われる小規模企業共済の基本とともに、メリット・デメリットについても確認してみてください。 小規模企業共済とは? 小規模企業共済とは? 小規模企業共済は、「経営者の退職金」とも呼ばれる制度です。月々の給料からの積立によってまとまった金額を確保。事業を廃止した場合や退職後の生活を安定させるために使用できます。将来の備えとして役立つでしょう。 また共済契約者が死亡した場合、遺族に対して共済金が支払われます。契約者によって生計を維持されていた家族の、その先の生活を守ってくれるでしょう。小規模企業の個人事業主や会社役員にとって、安心できる制度と言えます。 小規模企業共済で受け取った財産の扱われ方は? 契約者が死亡した場合に遺族が受け取る共済金には、「相続財産に含まれない」という特徴があります。受取人固有の財産に当てはまるため、遺産分割の対象にはなりません。遺産分割協議は、小規模企業共済で受け取ったお金以外の財産について行われます。また小規模企業共済以外にも、生命保険金なども相続財産に含まれないため、何が遺産分割協議の対象になるのか、事前に把握しておくことが大切です。 たとえば小規模企業共済で300万円を受け取り、その他の財産が2,000万円あるケースを考えてみましょう。配偶者と子ども2人が相続人になり、配偶者が小規模企業共済の受取人になった場合、まずは配偶者が共済金である300万円を受け取ります。その後あらためて、相続財産である2,000万円分を子ども2人と分け合うことに。法定相続分に沿って分割するなら、相続財産の割り振りは配偶者が1,000万円、子どもが500万円ずつ受け取ります。小規模企業共済と合わせると、「配偶者が1,300万円、子どもたちはそれぞれ500万円ずつ」という割合に落ち着くでしょう。 相続財産に含まれない共済金は、仮に「○○に全財産を譲る」という名前の遺言書が残されていたとしても対象外です。法的に有効な遺言書が残されていた場合、遺留分をのぞき、相続財産については指定された人がすべてを受け継ぐことになるでしょう。しかしこの「相続財産」に、小規模企業共済金は入りません。遺言書の内容にかかわらず、共済金は、受給権を持つものの中でもっとも順位が高い人に支払われます。 また相続財産について相続放棄を選択した場合でも、共済金は受け取れます。事業を営む人が多額の借金を抱えて亡くなってしまった場合、相続放棄がやむを得ないケースもあるでしょう。このような場合でも、共済金は受取可能です。家族の今後の生活に役立ててください。 一方で、覚えておかなければならないのが、相続税上の扱いについてです。契約者死亡によって支給される共済金は、「みなし相続財産」として扱われます。先ほどもお伝えしたとおり、遺産分割の対象にはなりませんが、相続税の計算には含まれるのです。相続税が発生するのかどうか、また発生する場合いくらになるのかといった計算は、共済金を含めた金額で対応してください。計算が複雑でよくわからない場合には、無理をせず、専門家である税理士に相談するのがおすすめです。 契約者死亡による小規模企業共済金を受け取る人は? 契約者が死亡した場合に小規模企業共済金を受け取る人は、小規模企業共済法にて規定されています。民法上の相続の一般原則とは異なるため、注意してください。具体的な順位は以下のとおりです。 第1順位者 配偶者(※内縁関係者含む)第2順位者 子第3順位者 父母第4順位者 祖父母第5順位者 兄弟姉妹第6順位者 そのほかの親族 これらの順位の中で、もっとも順位の高い人が共済金を受け取ります。 小規模企業共済金の特徴の一つは、第1順位者である「配偶者」に、内縁関係者が明確に含まれる点です。戸籍上の届け出はなくても、死亡当時に事実婚の状態にあった配偶者であれば、共済金を受け取れます。 第2順位から第6順位までの受取人には「共済契約者が亡くなった当時、共済契約者の収入によって生計を維持されていた人」という条件があります。生計を維持されていたと認められない場合、第7順位以下に落とされるため注意しましょう。具体的にどのような条件で「生計を維持されていた」と認められるのかは、問い合わせて確認するのがおすすめです。不安な点があれば、事前に専門家に相談しておくのも良いでしょう。 小規模企業共済のメリット・デメリット 契約者の死亡時にも共済金が支払われる小規模企業共済。そのメリット・デメリットは以下のとおりです。 【メリット】・掛け金が所得控除できる・掛け金は自分で調整できる・掛け金が無駄にならない 小規模企業共済の掛け金は、所得控除の対象です。加入時から節税効果を実感できるでしょう。支払う金額は自分で調整できるため、生活の負担になりにくいという特徴もあります。将来の備えとして活用できるはずです。 もともと「小規模企業の退職金」という目的で使われている制度ですから、たとえ死亡しなかったとしても、支払ったお金が無駄になる恐れはありません。退職時に共済金を一括で受け取る場合は退職所得として、分割で受け取る場合は公的年金等の雑所得として扱われます。税制上の扱いが違ってくるため、受け取り方法は慎重に検討してみてください。 一方で小規模企業共済にもデメリットはあります。加入期間が短ければ、共済金の受け取りで損をするリスクがあるでしょう。具体的には、契約期間が12カ月未満の場合、準共済金や解約手当金が支払われず、掛け捨て扱いになってしまう恐れがあります。加入期間が20年未満の場合、受け取る共済金が過去に支払った掛け金の総額を下回る、いわゆる「元本割れ」になってしまうでしょう。 さらに契約者が死亡した場合も注意が必要です。受取人の順位が定められている小規模企業共済制度ですが、順位に当てはまる人がいなければ、受給権者不在と判断されます。共済金は受け取れません。また受取人を事前に指定できない点も、デメリットと言えます。 小規模企業共済の特徴を知った上で検討を 小規模企業共済の特徴を知った上で検討を 小規模企業共済には、「契約者が亡くなった場合でも、家族のために財産を残せる」というメリットがあります。たとえ相続放棄の手続きをとっても、共済金は受け取れますから、家族の生活の安定にも役立つでしょう。一方で共済金制度にはデメリットもあります。両者を知った上で賢く活用してみてください。

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