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2023年5月の記事一覧

  • 遺産に関する資料はどう収集すれば良いの?開示してもらえない場合の対処法も

    遺産に関する資料はどう収集すれば良いの?開示してもらえない場合の対処法も

    遺産相続手続きを適切に進めていくために、欠かせないのが情報収集です。遺産にまつわるさまざまな資料を集め、遺産分割協議を行い、実際に手続きを行っていく必要があるでしょう。 とはいえ、初めて資料を収集する際には、具体的に何をどうすれば良いのか戸惑う方も多いのではないでしょうか。遺産に関する資料を開示してもらえない場合の対処法も解説します。 遺産に関する情報収集は「自分で」が基本 被相続人が亡くなった際に、相続財産に関する資料収集は、相続人が自分自身で行わなければいけません。被相続人が亡くなったからといって、自動で情報が公開されるわけではありません。相続人が情報開示を求め、初めて公開されるものと心得ておきましょう。 一般的には、被相続人の生前の記録から各種資料を収集していきます。家族であれば、「どの銀行に口座を保有していたのか?」「どこに不動産を持っていたのか?」など、ある程度の情報は把握できているでしょう。本人がエンディングノートに情報をまとめてくれていれば、その内容をもとに、遺産情報を確定させていくことになります。 とはいえ、すべての財産を漏れなく見つけ出すことは決して簡単ではありません。たとえエンディングノートに記載されていても、本人でさえ忘れている財産が存在しているかもしれないからです。考えられる相続財産は、ひとつひとつ、コツコツと確認していきましょう。 不動産に関する情報は、「権利証」または「登記識別情報」にて確認できます。固定資産税の納税通知書や法務局で取得できる登記簿謄本でもチェックできるでしょう。預貯金は、口座を開設している銀行に対して、情報開示請求することで財産情報を取得できます。故人の持ち物から通帳やキャッシュカードが見つかれば、その情報をもとに手続きを進めていってください。これらの資料が見つからない場合は、金融機関からの手紙やはがき、カレンダーや記念品といったアイテムが残されていないかどうか確認しましょう。どの銀行に口座を開設していたのか、突き止めるためのヒントになります。 また、近年増えているのが、インターネットバンキングや、オンライン証券会社に残された相続財産が見逃されてしまうケースです。被相続人が普段からパソコンやスマートフォン、インターネットを活用していた場合、該当サービスを利用している可能性も十分にあります。被相続人が使用していた端末にアクセス履歴が残っているかもしれませんから、こちらも忘れずにチェックしてみてください。ログイン情報や取引状況を別途資料として保管しているケースもありますから、家の中を探してみましょう。 故意に隠されてしまうケースもある 相続発生後に注意しなければならないのは、「相続人の中で、遺産に関する資料が故意に隠されてしまう可能性がある」という事実です。見つかった遺産は、遺産分割協議の末に、相続人同士が納得して分配されます。見つからなかった財産はそもそも協議の対象にならず、その存在を知っている人だけが独り占めしてしまうリスクがあるのです。 以下のようなケースでは、「故意に情報を開示していない」可能性も考えられます。特に慎重に行動してみてください。 ・開示された遺産が、不自然なほど少ない・被相続人から話を聞いていた財産が見当たらない・被相続人の口座から、勝手に預金が引き出されている 隠されている情報を開示してもらうためには、まずは相続人同士で話し合うのが一番です。なぜ相続財産に関する情報が隠されていると思うのか、理由を伝えて相手の出方をうかがいましょう。相手の話に納得できなかった場合は、あらためて遺産に関する資料を自分の手で収集していきます。「怪しい」と思う口座や不動産情報など、丁寧に確認していきましょう。相続問題に強い弁護士に相談するのもおすすめの方法です。 「裁判所に訴えればなんとかしてもらえる」は間違い 「裁判所に訴えればなんとかしてもらえる」は間違い 相続人のうちの一人が、故意に財産隠しを行っていた場合、その他の相続人は不利益を被ります。相続トラブルとなり、訴訟にまで発展してしまうケースも珍しくはありません。とはいえ、たとえ裁判にまで持ち込んだとしても、財産隠しに関する状況が有利になるとは限らないため注意が必要です。 遺産隠しトラブルで裁判所に訴えた場合、「裁判所が遺産に関する資料を集めてくれる」「資料を隠している相続人に開示するよう命令してくれる」と考えている方も多いかもしれません。しかし残念ながら、こうした対応は行われていないのです。裁判所が扱っているのは、あくまでも「開示されている相続財産」に関する話し合いのみ。裁判を起こしたとしても、財産調査は自分自身で行うのが基本です。 調査力に不安がある場合や、自分自身で対応できない場合には、専門家への依頼を検討してみてください。財産調査サービスを提供している士業事務所であれば、プロの視点で調査をサポートしてくれるでしょう。 資料を開示してもらうために必要なのは? 銀行や証券会社等で財産に関する資料を開示してもらうためには、手続きする人が相続人であることを証明できる書類が必要です。事前に銀行側に問い合わせた上で、戸籍謄本など必要書類を準備しましょう。 被相続人がすでに亡くなっていることや、相続人である事実が確認できれば、手続きそのものは決して難しくはありません。残高証明書の発行、取引履歴の開示や貸し金庫の契約状況の確認など、遺産相続に必要となる資料を提供してもらえます。 こうした作業を、思いつく限りの銀行で行っていきましょう。口座を保有していたかどうかわからないときには、「名寄せ」を依頼して口座の有無を確認できます。財産隠しが疑われる場合も、そうではない場合も、郵貯銀行や都市銀行、最寄りの地方銀行・信用金庫ぐらいは、確認しておくことをおすすめします。 遺産に関する資料は基本的には自力で収集しよう 遺産に関する資料は基本的には自力で収集しよう 遺産に関する資料は、基本的に相続人が自力で収集しなければいけません。被相続人が必要な情報をまとめてくれていれば良いのですが、そうとは限らないでしょう。各種口座や不動産など、生前のやりとりや故人周辺の情報から、コツコツと調査を進めていきましょう。 相続人同士で協力して調査を進められれば良いのですが、残念ながら、一部の相続人が情報の開示を拒む可能性も。この場合でも、基本的には自力で調査しなければいけません。必要に応じて弁護士等に相談し、できるだけスムーズに各種資料を収集できるように工夫してみてください。弁護士についてもらえば、財産隠しが発覚したあとの手続きもサポートしてもらえるでしょう。

  • 遺産相続をもっと楽に!「法定相続情報証明制度」を紹介

    遺産相続をもっと楽に!「法定相続情報証明制度」を紹介

    遺産相続の手続きを進めていくうえで、「書類の提出が大変」と悩む方は少なくありません。相続手続きの負担を軽減するためには、ぜひ「法定相続情報証明制度」を活用してみてください。 具体的にどういった制度でどのような場面で使えるのか、わかりやすく解説します。制度を利用する場合のデメリットも紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。 法定相続情報証明制度とは? 法定相続情報証明制度とは? 法定相続情報証明制度は、2017年からスタートした新しい制度です。これまでは、各種相続手続きを行うたびに、⼾籍謄本の束を提出する必要がありました。亡くなった人の出生から死亡までの戸籍謄本となると、大量になってしまうケースも少なくありません。相続人と手続きをする部署、双方の負担を削減するために、「法定相続情報⼀覧図の写し」が交付されるようになったのです。 戸籍謄本等と相続関係の一覧図を法務局に提出すると、それをもとに登記官が一覧図に認証文を付した写しを交付してくれます。これまで「戸籍謄本の束」を持ち歩かなくてはならなかったのが、一覧図の写しのみで事足りるように。また法定相続情報証明は必要に応じて何枚でも交付してもらえるため、複数の手続きを同時に進めていくことも可能です。 これまでは「銀行Aで手続きをしたのちに、書類の返却を待って銀行Bの手続きに進む」といった手順が必要でした。法定相続情報証明制度を利用すれば、不動産の相続登記や銀行口座の解約、相続税の申告など、さまざまな相続手続きをスムーズに進めていけるでしょう。このほかにも、保険金の請求や保険の名義変更手続き、有価証券や自動車関連の名義手続きにも利用できる可能性があります。 相続財産に複数の不動産が含まれている場合や、財産の種類が多い場合でも、相続人の手間は最小限にできます。現役世代の方が相続人として各種手続きを進めていく場合、「銀行に行くために何度も仕事を休まなくてはならない」といった事態にもなりかねません。法定相続情報証明制度を使って複数の手続きを一度に進めれば、仕事を休んで動く時間も最小限にできるのではないでしょうか。 法定相続情報証明制度の利用方法は? では法定相続情報証明制度は、どのように利用すれば良いのでしょうか。具体的な手順は、以下を参考にしてみてください。 制度を利用するためには、まず市役所などで以下の書類を収集します。 ・被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本・住民票(除票)の写し・相続人の戸籍謄本・住民票の写し・法定相続情報一覧図の保管の申出書 相続人と被相続人の情報をもとに、法定相続情報一覧図を作成。申出書には、申出人の住所・氏名・連絡先のほか、被相続人との続柄や利用目的、必要な通数といった情報を記載します。申し出の日付も忘れずに記入しておきましょう。 必要な書類を準備したら、法務局で手続きします。以下のいずれかの条件を満たしている法務局で、手続きしてください。 ・被相続人の本籍地を管轄する法務局・被相続人の最後の住所地を管轄する法務局・申出人の住所地を管轄する法務局・被相続人名義の不動産の所在地を管轄する法務局 基本的には、被相続人もしくは申出人に関連する法務局ですから、間違わないようにしましょう。法務局に提出した書類は、登記官が確認したうえで返却されます。内容に誤りがないことが確認されたら、法定相続情報証明が交付されます。 法定相続情報証明交付の申し出は、法定相続人もしくは代理人が行います。自分で手続きしたり、必要書類を作成したりする余裕がない場合は専門家に依頼することも可能。 弁護⼠や司法書⼠、税理士や行政書士のほか、⼟地家屋調査⼠や社会保険労務⼠、弁理士などに依頼できる可能性があるので、ぜひ身近な場所で探してみてください。戸籍謄本等の取得から書類提出までワンストップで対応してくれる専門家に依頼すれば、ほとんど手間もかからないでしょう。 法定相続情報証明制度のデメリットとは? 法定相続情報証明制度のデメリットとは? 遺産相続の手間を省くためにスタートした法定相続情報証明制度。積極的に活用したいところですが、実際にはデメリットもあります。利用を検討する場合は、ぜひこちらもチェックしてみてください。 ★ 法定相続情報一覧図を作成しなければならない 法定相続情報証明制度を利用するためには、申し出時に法定相続情報一覧図を作成しなければいけません。こちらは基本的に、申出人が自分で作成するもの。決まったルールに則って、正確に作成するよう求められます。それなりの手間がかかってしまうでしょう。 専門家に依頼すれば一覧図作成もお任せできますが、専門家報酬が発生します。手間やコストが増えてしまう点が、一つ目のデメリットだと言えます。 ★実際に相続手続きをスタートできるまでに時間がかかる 法定相続情報証明の写しは、申し出後にその場ですぐに発行されるわけではありません。申し出から1~2週間後に受け取ることになるでしょう。 必要書類を受け取ることさえできれば、その後の相続手続きはスムーズに進めていけます。一方で、手続きをスタートできるまでに相応の時間がかかるという点もデメリットです。 ★「手続き不可」と判断されるケースもある 遺産相続の手続きは、多岐にわたります。法定相続情報証明書の発行を受けても、手続きのすべてで利用できるとは限らないでしょう。手続き場所によっては、やはり従来通りの手続きを求められる可能性も。苦労して一覧図を作成して証明書を受け取ったとしても、二度手間になってしまうかもしれません。 法定相続情報証明制度は、相続手続きの数が多い人ほどメリットが大きい制度と言えます。利用料は無料ですし、誰でも手軽に利用できるとはいえ、「自分にとってはメリットとデメリットのどちらが大きいのか?」を冷静に判断する必要があるでしょう。行わなければならない手続きの数が限られている場合、「あえて利用しない」と考えるのも賢い選択です。手続き数が3~4つを超える場合は、十分なメリットを期待できるでしょう。 遺産相続では法定相続情報証明制度の活用も視野に 子育てがひと段落した時期は、自身の終活について考え始める時期。またそれとともに、自分自身が「相続人」の立場で動く場面も増えてくる時期でもあります。相続手続きを少しでも楽にするため、法定相続情報証明制度の活用も視野に入れてみてください。 「制度を利用するべきかどうかさえ悩む…」という場合には、その点も含めて、一度専門家に相談してみるのもおすすめです。今後行うべき手続きの内容についても、第三者の視点で明確なアドバイスをもらえるのではないでしょうか。

  • 遺産相続のトラブルを回避しよう!受取人同士で揉めるポイントを解説

    遺産相続のトラブルを回避しよう!受取人同士で揉めるポイントを解説

    遺産相続には、トラブルも付き物です。ほとんどの人は「できれば円満に手続きを終えたい…」と思っているでしょうが、遺産の受取人同士ですれ違いが生じてしまうケースも決して少なくありません。 遺産相続のトラブルを回避するためには、受取人同士が揉めるポイントを知り、あらかじめ準備を進めておくのがおすすめです。特に揉めやすいポイントと、「争族」を避けるためのコツを3つ紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。 生命保険金 生命保険金 被保険者が亡くなった際に、まとまったお金を受け取れる生命保険。保険金は、契約時に指定した受取人に支払われます。一般的には、配偶者や子どもを指定するケースが多いでしょう。残された家族の生活を支えてくれるお金ですが、保険金をきっかけにトラブルに発展してしまう事例も少なくありません。 生命保険金は、相続財産とは別で扱われます。指定された受取人以外に支払われることはありませんし、またその権利の主張もできません。「生命保険金以外に残された財産がほとんどない」という場合でも、生命保険金の分配は行われないのです。生命保険の受取人は多額の保険金を受け取れても、そのほかの相続人の手元にほとんど財産は渡らないでしょう。 また仮に、相続財産がある程度残っていた場合でも、「生命保険金の受取」と「相続財産の分配」は別物として考えられます。生命保険金を受け取っている人は、それにプラスして相続財産も受け継げるのです。生命保険金の額によっては、相続人の間に不公平感が生まれやすく、トラブルの原因になってしまいます。 生命保険をきっかけに相続トラブルを引き起こさないためには、相続人同士が納得できる環境を作ることが大切です。生命保険金の受取人がなぜその人に指定されているのか、理由がわかるだけでも納得できる人は多いのではないでしょうか。また遺産分割で受取人以外が多めに財産を受け取れるように調整するのも効果的です。「トラブルになってほしくない」という被相続人の思いを伝えやすくなります。 生命保険金の受取人に対する思いや、遺産分割割合の詳細については、遺言書を残すことで相続人へと伝えられます。具体的にどういった内容にすればトラブルの可能性を減らせるのか、専門家に相談してみるのもおすすめです。 不動産 相続財産の中で、トラブルの原因になりやすいのが「自宅」や「土地」といった不動産です。財産の価値が高額になりやすく、また相続人同士で平等に分配しづらいという特徴を持つ不動産。誰がどのような形で相続するのかで揉めれば、なかなか決着がつかない恐れもあるでしょう。 相続人のうちの1人が相続対象である不動産で生活している場合、これまでどおりの生活を続けるためにも「自分が相続したい」と考えるのは自然な流れです。しかし、その他の財産がほとんどなければ、遺産の大半を、その相続人1人だけが受け取ることになってしまいます。 不動産を受け取る相続人がそのほかの相続人に対して、相応の金銭を支払う方法もありますが、不動産の価値によってはあまり現実的ではない可能性も。「お金が支払えないために、結局不動産を売らざるを得ない」というケースも、実は珍しくないのです。 また反対に、誰も住まない「空き家」が相続トラブルのきっかけになるケースもあります。ほとんど価値のない不動産を相続しても、その後の対処困ってしまうでしょう。「売りたくても売れない」「管理の手間ばかりがかかってしまう」となると、相続人同士で該当物件の押し付け合いになってしまう恐れもあります。 こうしたトラブルを回避するためには、生前にきちんと話し合っておくと効果的です。不動産を誰に相続させたいと考えているのか、被相続人の立場で明らかにし、生前から理解を求めておきましょう。「なぜそうしたいのか?」という自身の気持ちも、伝えておくと安心です。 不動産を受け継ぐ相続人も、時間があれば代償として支払う金銭を用意できる可能性があります。寝耳に水の相続にならないよう、あらかじめ準備を整えておきましょう。 相続人同士の関係性 相続人同士の関係性 遺産相続でトラブルには、相続人同士の関係性も関わってきます。 ・もともとあまり仲が良くない・ほとんどやりとりしたことがない・他の相続人に内緒にしている相続人が存在している このような場合、相続人同士のやりとりがうまくいかず、トラブルに発展してしまう恐れがあります。 遺言書が残されていない場合、誰が相続人になるのかは、被相続人との関係性によって違ってくるでしょう。「配偶者と子ども」というケースが一般的ですが、子どもがいなければ孫が相続権を受け継ぎます。直系卑属にあたる人がいない場合、相続権は親もしくは直系尊属、そして被相続人の兄弟姉妹やその子どもへと移っていくのです。子どもや孫がいない場合、被相続人の甥や姪が相続人になる可能性も。普段あまりやりとりしていない場合、遺産分割協議を進めるのも一苦労です。 相続人同士の仲が悪ければ、それぞれの立場を考慮して結論を出すのは難しいかもしれません。どこまで話し合っても平行線で、時間ばかりがかかってしまう恐れもあるでしょう。 相続人同士の関係性に不安がある場合には、遺産分割協議は避けた方が良いでしょう。法的に有効な遺言書にて相続の内容を指定しておけば、相続手続きは基本的に、そのとおりに進められます。相続人同士が集まって話し合う必要もありません。 遺言書による相続対策が必要なのかどうか確かめるためには、まずは「自分の場合は誰が相続人になる可能性があるのか?」という点を、明らかにするのがおすすめです。その結果を踏まえて、どうすればトラブルを回避できるのか検討してみてください。遺言書に何をどう記すべきか悩んだときには、司法書士や弁護士など、遺言書作成についてアドバイスしてくれる専門家にサポートしてもらいましょう。 相続トラブル回避のポイントは主に「遺言書」にあり 相続トラブルの原因になりやすい理由の一つは、「不公平感」にあります。相続人同士が納得できるのが一番ですが、残念ながら難しいケースもあるでしょう。特に生命保険金や不動産は不公平感の原因になりやすいですし、相続人同士の関係性によっては、「見た目だけの公平では納得できない」という可能性も考えられます。 こうしたトラブルの種を把握した上で、相続人を納得させられる遺言を残せれば、相続トラブルを回避できる可能性も高まります。また、自身の思いを正直に伝えておくことも重要です。普段から遺産相続について情報共有しておくだけではなく、ぜひエンディングノートや遺言書についても活用してみてください。

  • 遺言書で家族へのメッセージを届けよう!「付言事項」の特徴や書き方のコツ

    遺言書で家族へのメッセージを届けよう!「付言事項」の特徴や書き方のコツ

    自身が亡くなったあとの相続トラブルを防ぎたいという思いから、遺言書を作成する人が増えてきています。法的に見ても極めて重要な意味を持つ遺言書ですが、「付言事項」を活用すれば、より心のこもったメッセージを残すことも可能です。付言事項の特徴や書き方のコツについて紹介します。 遺言書の付言事項とは? 遺言書の付言事項とは? 遺言書の付言事項とは、「法的行為以外に大切な人へのメッセージとして記しておきたい内容」を指します。 遺言書と言えば、「誰に何を相続させるのかを指定するためのもの」「法定相続人以外に財産を受け取ってもらいたいときに活用するもの」といったイメージを抱く方も多いのではないでしょうか。遺言書にこうした内容を記しておけば、法的拘束力を持って、自身の希望を叶えられます。一方で、遺言書に記載できるのは法的事項だけではありません。法律と直接関係していなくても、自分の好きなメッセージを綴ることができます。 付言事項は、遺言書に記しても記さなくても良い情報です。厳格なルールもありませんので、自分の自由に記入できます。家族や大切な人への「最期のメッセージ」としてぜひ活用してみてください。 付言事項に記入したい内容とメリット では具体的に、遺言書の付言事項にはどのような内容がふさわしいのでしょうか。5つのパターンを紹介します。 ★1.身近な人への感謝の気持ちを伝える 遺言書の付言事項は、身近な人への感謝の気持ちを伝えたいときにおすすめです。身近な人に対して、直接「ありがとう」と伝えるのは気恥ずかしいかもしれません。自身が亡くなったあとに内容を確認される遺言書であれば、照れずに素直な気持ちを伝えられるのではないでしょうか。 難しく考える必要はありませんから、相手の名前と感謝の気持ちを記してみてください。「ありがとう」のひと言だけでも、より心のこもった遺言書に仕上がるはずです。 ★2.残された家族の幸せな未来を祈る 自分自身にとって最期のメッセージだからこそ、残される家族の幸せを祈るメッセージを入れておくのもおすすめです。「自分がいなくなったあとも、家族で協力して仲良く過ごしてほしい」という思いも、ストレートに伝えられるでしょう。 過去の思い出や印象深かった出来事とともに綴れば、より心に残るメッセージになります。家族にとっても、これから先の未来を照らしてくれるような、特別な贈り物になるはずです。 ★3.遺産分割の理由を伝える 遺言書で遺産の分割割合を指定する場合、不平等になる可能性も。特定の相続人だけが多くの財産を受け取る場合、付言事項でその理由を伝えておくのもおすすめです。「○○について感謝しているからこそ、△△に多くの財産を受け継いでほしいと思っている」と理由があるだけで、そのほかの相続人の不満を抑える効果が期待できます。 法的に有効な遺言書で指定された分割方法は、相続人に不満があっても実行されます。不平等な扱いを受けた相続人にとっては、状況に納得できないまま手続きが進んでしまう可能性も。遺産相続で法的な問題が発生しなかった場合でも、相続人同士の間で「壁」が生じてしまう恐れはあるでしょう。 相続の理由を、生前に詳しく伝えるのは難しいかもしれません。こんなときには、ぜひ遺言書の付言事項に素直な思いを記入しておきましょう。相続人同士が気まずくなってしまうリスクを低減できます。 ★4.葬儀やお墓に関する希望を伝える 自身が亡くなったあと、葬儀やお墓について叶えてほしい希望がある方もいるのではないでしょうか。このような場合にも、遺言書の付言事項が活用できます。葬儀やお墓をどうしてほしいのか、自身の希望を伝えておきましょう。 葬儀の形を指定するのはもちろん、「葬式をあげてほしくない」といった希望を残すことも可能です。ただし記された内容に法的拘束力はないため、実現するかどうかは相続人次第に。より確実に実現したい場合は、事前に口頭で伝えておくのがおすすめです。付言事項で最終確認してもらうことで、残された家族も準備しやすくなるでしょう。 ★5.遺留分請求しないでほしいという希望を伝える 遺産相続でトラブルになりやすいポイントの一つは、遺留分請求です。遺言書で相続人の相続割合を指定したとしても、相続人の一部に認められている遺留分を無視することはできません。遺言書のとおりに遺産分割しても、その後に遺留分を請求されれば、さらに手間は増えてしまうでしょう。 遺留分を請求するかどうかは、それぞれの相続人によって判断されます。だからこそ、付言事項によって「遺留分を請求しないでほしい」と伝えるのもおすすめです。 この場合、「なぜ遺留分請求しないでほしいのか」を明確にしておくことがポイントです。不平等な分配になった理由も記しておけば、理解を得やすくなるでしょう。 付言事項を記載する場合のコツや注意点3つ ここからは、実際に付言事項を記載する場合の注意点を紹介します。4つのポイントを紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。 ★1.記載場所は署名・捺印の前がおすすめ 遺言書に付言事項を記載する場合、わかりやすくすることが重要です。遺言書に必要な法的事項を記したあと、署名・捺印の前に付言事項を入れるのがおすすめ。長くなりすぎないように注意してください。 付言事項の書き方は自由ですが、あまり長くなると、重要な情報が伝えにくくなってしまう可能性も。付言事項を書いてみて、想定以上に長くなりそうな場合は、遺言書と切り離してメッセージを残すのがおすすめです。エンディングノート等も活用してみてください。 ★2.ネガティブな内容はできるだけ残さない 遺言書に残す付言事項は、文字通り「相続人の残す最期のメッセージ」です。いろいろと思うところがあったとしても、ネガティブな内容を書き残すのはおすすめできません。メッセージを受け取った人に、不満を植え付けてしまう恐れがあります。 最期まで愚痴や不満を伝えられたら、「被相続人の気持ちに添いたくない」と思われるかもしれません。相続トラブルの原因になる可能性もあるため、記す内容には十分に注意してください。 ★3.法的遺言書の内容と矛盾しないようにする 付言事項に記された内容が、遺言書に記された法的事項と矛盾している場合、遺言書に記された内容が「無効」と判断されてしまう恐れがあります。付言事項に記す内容は「自由」とはいえ、法的事項と相反する内容を記さないようにだけは注意してください。 たとえば、法的遺言書で「○○に全財産を譲る」と記載していても、付言事項で「△△にも財産を譲りたい」と記入してあれば、矛盾と判断されてしまいます。遺言書を作成したら、その内容を入念にチェックしておきましょう。 遺言書の付言事項で大切な人にメッセージを伝えよう 遺言書の付言事項で大切な人にメッセージを伝えよう 堅苦しい印象のある遺言書ですが、付言事項でメッセージを伝えることで、より心のこもったスタイルにできます。大切な人に残す本当に最期のメッセージと思えば、伝えたい言葉も多く見つかるのではないでしょうか。ぜひ素直な気持ちを記してみてください。

  • 40代からの終活準備…遺言書に記したい内容や初める際の注意点

    40代からの終活準備…遺言書に記したい内容や初める際の注意点

    働き盛りの40代。ある程度子どもに手がかからなくなったとはいえ、「終活」を意識するにはまだまだ早い…と感じる方も多いのかもしれません。 とはいえ「遺言書」については、40代でも早すぎることはありません。終活準備の一つとして、遺言書に関する準備を初めるのはいかがでしょうか。具体的に何をするべきか、またどういった点に注意するべきか、40代向けの情報をお届けします。 40代から遺言書の準備を始めるメリットとは? 人生100年時代と言われる今、「40代の忙しい時期から終活準備を進める必要があるのか?」という疑問を抱きがちです。とはいえ、まだ若い現役世代から遺言書を作成しておくことで、万が一の場合に備えられるというメリットがあります。 ある程度子どもが大きくなってきたとはいえ、「まだまだ未成年」というご家庭も多いはずです。もしも子どもが未成年の間に親が亡くなってしまうと、子ども自身が遺産分割協議に参加することはできません。裁判所を経て代理人を用意し、その上で各種手続きを進めていく必要があるのです。 「たとえ子どもが未成年でも、両親のうちどちらか一方が残されていれば良いのでは?」と思いがちですが、これは間違いです。たとえば夫が亡くなり、妻と子どもが残された場合、妻自身も法定相続人になります。同じく法定相続人となる子どもにとっては、利益を分け合うライバルのような関係性になるため、親であっても代理人を務めることはできないのです。 遺言書が残されていれば、その内容に基づいて遺産が分配されるため、遺産分割協議は必要ありません。未成年の子どもがいても、遺産相続をスムーズに進めていけるでしょう。 また子どもの将来を見据えて、自身が残す財産をどう活用してもらうのか指定できる点も、遺言書ならではの魅力です。子育て中の今だからこその遺言内容を検討してみてはいかがでしょうか。 40代の遺言書に記すべき内容とは? 40代の遺言書に記すべき内容とは? 遺言書に記すべき内容は、目的によって違ってきます。主に以下の4つを意識してみてください。 ・財産の相続について・財産の処分について・相続人の立場について・遺言執行者について 財産の相続については、誰に何をどのような割合で分配したいのかを記しておきます。法的に有効な遺言書を残しておけば、法定相続に沿った内容ではなくても有効と判断されるでしょう。先ほどもお伝えしたとおり、遺産分割協議の必要もないため、トラブル予防にもつながります。また法定相続人以外を指定して、財産を相続させることも可能です。「相続」ではなく「処分」を希望する財産についても、あらかじめ指定できるでしょう。 遺言書にて子どもを認知することもできますし、未成年の子どもの後見人をあらかじめ指定しておくことも可能です。子どもの立場を明らかにするという意味でも、遺言書を残しておく意味は大きいと言えます。 40代からの遺言書作成においては、「自分の死がイメージできず、記すべき内容が思い浮かばない…」と悩む方も少なくありません。「万が一のときに残された家族の手間を軽減したい」という目的で遺言書を残すのであれば、難しく考える必要はないでしょう。配偶者と子どもが相続人になる場合、遺産分割協議を避けられる内容さえ残しておけば、余計な負担は取り除けます。 子どもがいない夫婦の場合、子どもの代わりに相続人になるのは、亡くなった人の両親です。両親も亡くなっている場合は、亡くなった人の兄弟姉妹に相続権が発生します。この場合、遺言書はさらに重要な意味を持つものに。年代に限らず、できるだけ早く「配偶者に全財産を相続させる」旨の遺言書を作成しておけば、残された家族の暮らしを守る効果が期待できるでしょう。 40代の終活準備…注意点3つ 40代から始める終活準備は、遺言書の作成だけでは不十分です。今後のことも見据えて、以下の注意点についても意識してみてください。3つのポイントを紹介します。 ★1.財産の内容や所在を明らかにする 40代は子育て真っ最中という方も多いのではないでしょうか。教育費や住宅購入費など、大きな金額が動きやすい時期でもあります。働き盛りだからこそ入ってくるお金も多く、財産が流動しやすいという特徴があるでしょう。 こうした時期だからこそ、終活準備として忘れてはいけないのが「財産の内容や所在を示しておく」ことです。順調に資産を形成していても、自身が亡くなったあと、家族に発見されなければ意味がありません。一般的な「預金」のほかにも、「ネット証券」や「暗号資産」など、財産の形が多様化しているからこそ、どこにどれだけの財産があるのか、きちんと情報を残しておきましょう。定期的に情報更新しておくと、より安心です。 ★2.デジタル情報をまとめておく 各種インターネットサービスも、40代にとっては身近なもの。自身が亡くなったあとに家族が困らないよう、こちらも情報を整理しておきましょう。 ・パソコンやスマホのIDやパスワード・利用しているサブスクリプションサービス・ネットバンクの口座情報 これらの情報は、必要になるときまで厳重に管理するのがおすすめです。ログイン情報などは、簡単に見られないように注意してください。 ★3.遺言書の効果が及ぶ範囲を理解する 40代からスタートする終活にも、遺言書は効果的です。とはいえ残念ながら、遺言書も万能ではありません。遺言書の特性や注意点を理解した上で、必要な手続きを進めてみてください。 たとえば、遺言書で特定の一人のみを指定して財産をすべて譲る旨を記載したとしても、その他の相続人から遺留分の請求を受ける可能性があります。遺留分侵害額請求の裁判を起こされた場合、遺産分割に関する手間が増えてしまうでしょう。 また自筆証書遺言を選び、必要な条件を満たせていない場合、遺言書の法的拘束力は認められません。遺言書が残されていたとしても、遺産分割協議にて相続の詳細について決定する必要があるのです。 自宅で紙とペンさえ用意すれば作成できる自筆証書遺言は、非常に手軽。「とりあえずできることから始めたい」という40代のニーズにも、ぴったりの遺言スタイルと言えるでしょう。一方で、記載ミスによってトラブルが発生するケースも決して少なくありません。遺言書としての要件を満たせるように注意してください。 親の介護が始まる前に自身の終活について考えてみよう 親の介護が始まる前に自身の終活について考えてみよう 子育てが一段落する40代。親の介護がスタートするまでに、まだ少し余裕がある時期とも言えるでしょう。仕事で忙しい時期ではありますが、今後についても考えつつ、終活準備をスタートするのもおすすめです。今回紹介した情報も参考にしながら、遺言書についても検討してみてはいかがでしょうか。

  • 将来のために「共済」で備えを!共済保険の種類・特徴・選び方は?

    将来のために「共済」で備えを!共済保険の種類・特徴・選び方は?

    子どもが生まれて家族が増えたら、「将来」に対する備えも万全にしておきたいところです。万が一のことがあった際に、金銭的な側面から家族の生活をサポートしてくれるのが、「共済」です。 共済保険にはどのような種類があり、どう選べば良いのでしょうか。将来に役立つ情報をお届けします。 共済とは? 共済とは、「相互扶助」を基本に、組合員がお互いに助け合う仕組みを指します。組合員は毎月共済掛け金を支払い、集まったお金は困っている人のために使われています。儲けを出すことを目的にしていないため、毎月の掛け金が少額になりやすい点も特徴の一つと言えるでしょう。共済と比較検討されやすい一般的な「保険」は営利事業として行われています。このあたりも、共済と保険の大きな違いです。 共済に加入できるのは、原則として組合員のみです。組合員となるための条件は各共済で異なるため、事前確認が必須と言えるでしょう。日本全国にさまざまな共済があるため、どれに加入するのか、各種条件を見極めた上で比較検討してみてください。 掛け金の面から「保険よりも加入しやすい」というイメージも強い共済ですが、保険と比較して、さまざまな制限を受ける可能性も。たとえば保障プランの自由度や充実度は、保険商品の方が優れているケースも多いです。万が一のときのためにと加入しても、保障が充分でなければ意味がありません。共済の特徴や保障の内容についてしっかりとリサーチした上で、加入を検討してみてください。 共済保険の種類は主に5つ 共済保険の種類は主に5つ 共済保険の種類は、主に以下の5つです。それぞれの特徴を解説するので、自身の備えを選択する際のヒントとして役立ててみてください。 ★1.生命共済 生命共済は、人間の命や身体にまつわるリスクに備えるための共済です。人が亡くなったときはもちろん、病気やけがで入院したり、後遺障害が残ってしまったりした場合に、共済金が支払われます。死亡時の保障を手厚くしたものや、入院時に共済金が支払われるタイプが人気です。子どもを対象にした生命共済もあり、「手ごろな掛け金で万が一のときの備えができる」と支持されています。 ★2.年金共済 老後の生活資金を確保する目的で使われるのが年金共済です。若い頃から毎月積み立てた共済金が、一定の年齢に達したあとに、継続的に支払われます。公的年金にプラスして共済金を受け取れるため、余裕のあるシニアライフを実現しやすくなるでしょう。共済金を受け取れる期間が「5年」や「10年」など定められているタイプもあれば、亡くなるまで受け取れる「終身」タイプも存在しています。 ★3.傷害共済 共済に加入している人が、交通事故などの不慮の事故によって死亡したりケガをしたりした場合に、共済金が支払われます。生命共済と保障がかぶる部分もありますが、こちらは「事故によるけがや死亡」に特化しています。 ★4.火災共済 火災や落雷、破裂や爆発といったトラブルが原因で家や家財道具に損害が生じた場合に、共済金が支払われます。住まいや家財がダメージを受けるトラブルとしては、地震や水害なども無視できません。火災共済単独で対応するのは難しいですが、火災共済にオプションをプラスしたり、「自然災害共済」をセットにしたりすることで、幅広い災害に対応できるようになります。 ★5.自動車共済 自動車共済は、自動車が関連する事故で発生した損害を補償するための共済です。万が一事故を起こしてしまった場合に、規定に従って共済金が支払われます。自動車保険よりも負担が少ないというメリットがある一方で、「補償内容のカスタマイズがしにくい」「自動車保険と比較して補償内容が限定的」といったデメリットも。両者を比較検討して、自分に合ったものを選択するのがおすすめです。 ★その他 上で紹介した5つ以外にも、共済によってはユニークなプランを用意しているケースもあります。 ・交通災害共済 ・慶弔共済 ・住宅再建共済 自身の将来に必要な共済を選んで加入してみてください。 子育て世代が「将来」のために加入するなら? 子育て世代が「将来」のために加入するなら? 月々の負担が少ない共済は、子どもが生まれたばかりの若い世代にもおすすめです。将来のリスクに備えるためにも、加入を検討してみてはいかがでしょうか。 子育て世代におすすめなのは、万が一のときのための「生命共済」です。自分に万が一のことがあっても、家族に共済金が入れば、生活を安定させやすくなるでしょう。けがや病気で入院した場合も、お金の不安を解消できます。 子どもを育てる中で加入するべきか悩みがちなのが、子どものリスクに備えるための、いわゆる「子ども共済」です。低掛け金で子どものケガや病気に備えられる共済ですが、子どもの医療費が無料になる自治体も多い中、「わざわざ加入する意味があるのか?」と悩む方もいるのではないでしょうか。 子どものけがや病気が原因で、長期入院が必要になるケースは稀です。共済の場合、毎月の掛け金負担が少ないとはいえ、医療費無料の間はわざわざ加入する必要はないのかもしれません。不安なときには、医療費無料の年齢を過ぎたあとに加入を検討してみるのも良いでしょう。 ただし、病気やけがが原因で子どもが入院した場合、親は子ども中心の生活を送ることになります。思うようには仕事ができず、収入が下がってしまうケースも少なくありません。子ども共済に加入していれば、契約内容に応じて共済金が支払われるため、収入面での不安は軽減できるのではないでしょうか。子どもにとって不安な時期、そして大切な時期に「できる限りそばにいてあげたい」と思う方にとっては、少ない掛け金で保障を用意できる、魅力的なプランだと言えるでしょう。 共済金の特徴「割戻金」とは? 共済金の特徴の一つが、「割戻金」です。相互扶助を目的に運営されている共済は、「儲け」を出す必要はありません。1年間に組合員から受け取った掛け金が、支払った共済金よりも多かった場合、余ったお金は組合員のもとへと返還されます。 ただし共済金の割戻金がいくらになるのか、事前に把握するのは難しいでしょう。1年間の状況で、割戻金の有無や金額は大きく変わってくるからです。共済によっては、過去の決算情報をもとに実際の割戻率がどの程度か、インターネット上で情報公開しているケースもあります。共済を選ぶ際の参考にするのもおすすめです。 共済の種類を知って将来に備えよう 共済にはさまざまな種類があり、手ごろの掛け金で将来に備えられるというメリットがあります。共済保険に加入するためには、まず「組合員」になる必要があるものの、掛け金の安さや割戻金は、子育て世代にとっても魅力あるポイントだと言えるでしょう。共済の種類についても知った上で、加入を検討してみてください。

  • 両親が死亡した場合の遺族年金受取人は誰?子どものためにできることは?

    両親が死亡した場合の遺族年金受取人は誰?子どものためにできることは?

    家族が亡くなったときには、遺族年金の受取人になれる可能性があります。両親が共に死亡した場合、子どもは遺族年金を受け取れるのでしょうか。未成年が遺族年金を受け取る場合の注意点や手続き方法、親の立場で子どものためにできることも解説します。 遺族年金とは? 遺族年金とは、国民年金や厚生年金に加入していた被保険者が亡くなった際に、その家族に支給される年金を指します。国民年金に加入していた場合は遺族基礎年金、厚生年金に加入していた場合は遺族厚生年金の受取人になれる可能性があるでしょう。どちらにも加入していて、それぞれの受給要件を満たしていれば、両方とも受給できます。 遺族基礎年金は、亡くなった方によって生計を維持されていた「子のある配偶者」または「子」が受取人です。この場合の「子」とは、18歳になってから最初に年度末を迎えるまでの人(もしくは20歳未満で障害年金の障害等級1級または2級の状態にある人)を指します。遺族厚生年金は、遺族基礎年金よりも受給要件が緩く、親を亡くした子どもは受給要件を満たす可能性が高いでしょう。 両親が共に死亡した場合の遺族年金は? 両親が共に死亡した場合、生前に親が国民年金や厚生年金に加入していれば、子どもは受取人になれる可能性が高いでしょう。子どもが受取人になる場合の、遺族基礎年金・遺族厚生年金の受給金額は、それぞれ以下のとおりです。 【遺族基礎年金】 79万5,000円(2人目の加算額:22万8,700円、3人目以降の加算額:7万6,200円) 【遺族厚生年金】被保険者が加入していた老齢厚生年金の、報酬比例部分の4分の3の金額 子どもが複数人いる場合には、受給できる金額を合計して、人数で割った金額が1人分の受給金額です。 遺族基礎年金で受給できる金額は定額ですが、遺族厚生年金は被保険者の生前の加入状況によって違ってきます。両親が共に亡くなってしまった場合、子どもは「両方の遺族年金を合算して受給できる」というわけではありません。父親と母親、受給金額が多いどちらか一方のみを選択して受給することになります。どちらを選ぶのか決定したら、最寄りの年金事務所にて手続きしてください。 未成年者の各種手続きに必要なのは? 両親が亡くなってしまった場合、子どもが遺族年金を受給するためには、各種手続きを進めていく必要があるます。とはいえ、未成年の子どもが自分で手続きすることはできません。亡くなった親に代わって親権を獲得した人や未成年後見人が、子どもの代理で手続きを進めます。 未成年後見人とは、未成年者に代わって法的契約を結んだり、その財産を管理したりすることを認められている人。親権者がいない場合に、未成年者の利益や権利、そして財産を保護する目的で各種権限を保有しています。親が亡くなったあと、未成年の「親代わり」と言っても良い重要な存在ですが、誰でもすぐになれるわけではありません。未成年後見人を選任するためには、まずは家庭裁判所への申し立てが必要に。未成年者本人もしくは親族が手続きします。 未成年後見人は、家庭裁判所が決定します。親族が選任されるケースもあれば、弁護士や司法書士といった専門家が選任されるケースも。それぞれの子どもの状況を見極めて、最善だと認められる人が未成年後見人に選任される仕組みです。 未成年後見人が選任されたら、子どもの代理人として遺族年金の受給手続きを進めていけるでしょう。支給された遺族年金も、未成年後見人の手で管理されます。幼い子ども自身が動かなければならない場面はありませんので、安心してください。 親として子どものためにできることは? 親として子どものためにできることは? 両親が共に死亡してしまった場合、遺族年金が受け取れるとはいえ、子どもの負担は非常に大きなものになってしまうでしょう。万が一のときでも、子どもの生活をできる限り守るため、未成年後見人を事前に指名しておくのがおすすめです。 先ほど「未成年後見人は家庭裁判所で選定される」とお伝えしましたが、両親が遺言書であらかじめ指定していた場合、その限りではありません。遺言書で指定されていた人が市町村役場で所定の手続きを終えるだけで、後見人として動けるようになります。両親が死亡したあとのさまざまな手続きについても、法的な立場をもって素早く対処していけるでしょう。 未成年後見人を事前にしておくメリットは、ほかにもあります。後見人に指定したい人に対して、両親からあらかじめ話を通しておけるでしょう。信用できる相手を自分で選定できますし、「万が一のときには○○してほしい」と、あらかじめ希望を伝えておくことも可能です。依頼される側としても心の準備ができますし、いざというときには、すぐに行動に移せるのではないでしょうか。子どもの精神面での安定にも役立つはずです。 遺言書で未成年後見人を指定する場合、家庭裁判所は介入しません。同時に未成年後見監督人も指定し、子どもの財産や身上監護上のチェックができる体制を整えておくのがおすすめです。 子どもが遺族年金を受け取る場合のリスクとは? 両親が共に亡くなり、子ども自身が遺族年金を受け取る場合、実際にその財産を管理するのは未成年後見人です。親族等がその役割を担う場合、子どもの財産を私利私欲のために使ってしまう恐れがあります。 本来であれば、子どもの利益を保護するために選任される未成年後見人。本来の役割を果たしていなかった場合でも、子ども自身がその事実にすぐに気付くのは難しいでしょう。特に遺言書で未成年後見人を指名する場合、チェック体制が働きにくいという点も知っておいてください。誰に依頼すれば、子どもの財産を適切に管理してくれるのか、親として厳しい目で判断することが大切です。 子どもも遺族年金の受取人になれる 子どもも遺族年金の受取人になれる 両親が死亡した場合、遺族年金の受取人は子どもです。どちらか一方の遺族年金を選択する必要はありますが、子どものその後の生活を支える助けとなってくれるでしょう。 一方で、未成年である子どもに年金受給のための手続きはできません。未成年後見人を選定し、子どもの代理人として手続きをし、大人になるまでの間は適切に財産管理をしてもらわなくてはならないでしょう。 親として、万が一のときのためにできるのは、「信頼できる相手を見つけ、未成年後見人になってもらえるようあらかじめお願いしておくこと」です。きちんと準備を整え、自身の思いも伝えておきましょう。両親に万が一のことがあった場合、子どもがどういった状況になるのかを想定した上で、何が必要なのか検討してみてはいかがでしょうか。

  • 学資保険は財産分与の対象?なる場合・ならない場合や養育費との関係を解説

    学資保険は財産分与の対象?なる場合・ならない場合や養育費との関係を解説

    夫婦が離婚する場合に、問題になりやすいのが「財産分与」です。子どもがいる場合、「学資保険はどうなるのか?」と不安を感じる方もいるのではないでしょうか。 学資保険が財産分与の対象になるのかどうか、わかりやすく解説します。養育費との関係性についても解説するので、ぜひ参考にしてみてください。 学資保険は基本的に財産分与の対象になる 財産分与とは、夫婦が婚姻中に築いた財産を、離婚に伴い公平に分割することを言います。夫婦の間に子どもが生まれ、その子どものために学資保険に加入した場合、保険料は「夫婦が協力して収めたもの」と判断されます。夫婦の共有財産だからこそ、離婚する場合は財産分与の対象になるという仕組みです。 学資保険は子どものための保険であり、「子どもに所有権がある」と思う方も多いかもしれません。しかし、そもそも保険とは契約者自身の財産として考えられます。「子どもの財産」として扱われるわけではないという点を、頭に入れておきましょう。 学資保険には、「契約者に万が一のことがあった場合、その後の保険料支払いが免除される」という特徴があります。このため、世帯主である「父親」を契約者として、学資保険に加入しているご家庭も多いのではないでしょうか。一方で、夫婦が離婚する場合、母親側が親権を獲得するケースが目立ちます。「学資保険は子どものお金だから、父親が母親に渡すのは当然」と主張される可能性もあるでしょう。 まずは、「学資保険=子どものもの」という思い込みを忘れてください。夫婦の共有財産として、どのように分割するのがベストなのか、冷静に話し合う必要があります。 学資保険が財産分与の対象にならないケースとは? 一方で、同じ学資保険であっても財産分与の対象にならない事例も存在しています。それは、学資保険の支払い状況から、「夫婦が婚姻中に築き上げた共有財産」とは認められない場合です。 たとえば、子持ちで再婚した場合が挙げられるでしょう。前妻との間に子どもがいて、その後現在の妻と再婚したとします。前妻との間の子どものために学資保険に加入していて、現在の妻と婚姻する前に保険料を払い終えていた場合、その学資保険は夫の特有財産です。現在の妻と離婚することになっても、妻側は学資保険の財産分与を主張できません。 再婚や連れ子にかかわらず、「保険料を納めている時期の夫婦の関係性」をもとに、財産分与の対象になる・ならないが判断されます。判断に悩む場合は、離婚問題に強い弁護士等に相談してみると良いでしょう。 学資保険を財産分与する2つの方法 学資保険の契約中に財産分与する場合、主に2つの方法が考えられます。 ・保険を解約して解約返戻金を平等に分割する・保険契約を維持したまま、満期返戻金の半額を相手に渡す それぞれの特徴について、詳しく解説します。 ★1.中途解約なら素早くすっきり 離婚する時点で学資保険を解約すれば、後腐れなく財産分与できるでしょう。保険を解約し手に入ったお金を平等に分けるだけなので、トラブルになりにくいというメリットがあります。 ただし学資保険の場合、満期を迎える前に解約すると元本割れする可能性も。返戻率の高さが魅力で学資保険に加入した場合も、無駄になってしまいます。学資保険に加入する期間や保険料を無駄にしたくないと考える方にとっては、デメリットの多い方法と言えるでしょう。 ★2.保険契約を維持する方法も 学資保険は、子どものための保険です。だからこそ、財産分与をしつつ、子どものための契約は維持するという方法も選択できます。 学資保険の契約者が子どもの親権を獲得する場合、満期返戻金の半分に当たる金額を、離婚するパートナーに支払います。子どもが成長し満期返戻金を受け取ったら、全額すべてが自分のものになるでしょう。一方で、学資保険の契約者ではない方が子どもの親権を獲得した場合、まずは保険契約者を変更します。その上で、離婚するパートナーに満期返戻金の半分に当たる金額を支払いましょう。 こちらの方法を選択すれば、財産分与後も学資保険の契約はそのまま維持できます。これまでに支払った保険料を無駄にせず、子どもの将来にも備えられるでしょう。一方で、保険契約者には、離婚するパートナーに支払う現金を用意するという負担が発生します。離婚時には何かと物入りですから、お金の工面をどうするのかがポイントになるでしょう。 学資保険を養育費の一部とする方法も 学資保険を養育費の一部とする方法も 子どもがいる夫婦が離婚する場合、財産分与とともに問題になりやすいのが養育費についてです。子どものための備えである学資保険は、「養育費の一部」として扱うのもおすすめ。あえて財産分与の対象にしないことで、トラブルを避ける方法もあります。 具体的には、 ・契約者の名前を親権者へと変更し、保険料の支払いを続ける・満期返戻金の半分に当たる金額の支払いを求めない といった方法が考えられます。 この場合、養育費の取り決めと学資保険の支払い・受取について、事前にしっかりと話し合っておきましょう。話し合いの結果をきちんとした形で取りまとめておけば、後々のトラブルを防ぐ効果も期待できます。 離婚するなら「学資保険の名義変更」を忘れずに 子どもの学資保険をどのように財産分与するのかは、離婚時の話し合いにて決定するもの。何かと忙しい時期でつい忘れてしまいがちですが、「学資保険の契約名義」だけは、確実に親権者へと変更しておきましょう。 特に中途解約しない形で学資保険を財産分与した場合、契約名義を変更しないまま放置してしまうケースも少なくありません。たとえ「子どもが大きくなったら渡すから大丈夫」「養育費として将来的に渡す」などの口約束があっても、実際に約束が守られるとは限らないでしょう。 学資保険は、契約してから受け取りまでに10年以上が経過するケースが一般的です。離婚時の話し合いが比較的円満に進んだとしても、保険金を受け取るタイミングまで同じ状況が続くとは限らないのです。子どものための保険だからこそ、財産分与の段階でしっかりと契約名義の変更を行い、確実に子どものために使える環境を整えておくのがおすすめです。 学資保険は財産分与の対象だからこそしっかりと話し合いを 学資保険は財産分与の対象だからこそしっかりと話し合いを 学資保険は、基本的に財産分与の対象になります。契約中の保険をどのように財産分与するのか、養育費との関係をどうするのかなど、しっかりと話し合った上で子どもにとってより良い方法を選択しましょう。 中途解約する場合もしない場合も、メリットとデメリットの両方があります。自分にとって何がベストかわからないときには、専門家に相談してみるのもおすすめです。

  • 学資保険への加入…受取人は誰にするべき?損しないために税金知識を身につけよう

    学資保険への加入…受取人は誰にするべき?損しないために税金知識を身につけよう

    子どもの将来の進学に備えて加入するのが「学資保険」です。実際に加入する際には、「受取人を誰に指定するべきか?」という点で悩む方も多いのではないでしょうか。 学資保険の受取人には、各種「税金」が関わってきます。基本的な知識を身につけた上で、誰を受取人にするのか検討してみてください。 学資保険の「契約者」「被保険者」「受取人」とは? 学資保険の「契約者」「被保険者」「受取人」とは? 学資保険を契約する際には、3つの立場が関連してきます。それが「契約者」「被保険者」「受取人」です。 契約者とは、学資保険契約を結ぶ人のこと。実際に掛け金を支払う人と言い換えても構わないでしょう。子どものために加入する学資保険ですが、未成年である子ども自身が契約を結ぶわけではありません。親や保護者の立場にあたる人が、契約者になるケースが一般的。学資保険には「契約者に万が一のことがあった場合に、以降の保険料支払いを免除する」という特約がセットになっているため、夫婦のどちらが契約者になるか、じっくりと検討してみてください。 一方で「被保険者」とは、保険の対象となる人を指します。学資保険の場合、子どもが被保険者にあたります。「まだ赤ちゃんだけど…被保険者に指定できるのか?」と不安を抱く方もいるでしょうが、問題はありません。学資保険で保険金が支払われるタイミングは、この「被保険者」の年齢によって判断されます。 最後に、「受取人」とは支払われた保険金を受け取る人のこと。加入する学資保険によっても異なりますが、一定のルールの中で、契約者が自由に選択できるケースも珍しくありません。誰を受取人に指定するのかによって、保険金受取時の税金の取り扱いが異なるため、事前に知識を身につけておきましょう。 受取人を「契約者自身」に指定した場合の税金は? 学資保険の受取人指定で多く見られるのは、 ・契約者自身を受取人に指定する・子どもを受取人に指定する という2パターンです。 まずは契約者自身を受取人に指定した場合の、税金の考え方についてチェックしてみましょう。 学資保険の満期保険金を契約者自身が受け取る場合、課せられる可能性がある税金の種類は「所得税」と「住民税」です。満期保険金を一括で受け取る場合は「一時所得」として、年金形式で毎年受け取る場合は「雑所得」として扱われます。 一時所得は、以下の計算式で求められます。 【満期保険金-これまでに支払った保険料-特別控除額(50万円)】 この計算式で0円以上の金額になった場合、その2分の1をその他の所得と合わせて所得税・住民税が課税されます。 学資保険の場合、受け取る満期保険金額が数百万円と高額になるケースも多いでしょう。一方で、実際に保険金が支払われるまでに、それに近い金額を支払っているケースがほとんどです。満期保険金から掛け金を引いた金額が特別控除額である50万円以上になるケースは、極めて稀。満期保険金を受け取った際に、税金面で過度な不安を感じることはないでしょう。 一方で、学資保険を年金形式で受け取り、雑所得として扱われる場合は特別控除額がありません。年金形式で受け取る学資保険の雑所得は、以下の計算式で求められます。 【1年間で受け取る保険金額-1年間で受け取る保険金額×(これまでに支払った保険料÷総支給見込み額)】 たとえば、400万円の学資保険(保険料支払い額380万円)を4年間で100万円ずつ受け取る場合、雑所得は1年間に「5万円」と計算されます。この5万円がそのまま課税対象金額と判断され、その他の雑所得と合わせて課税される可能性があります。 保険契約者が会社員の場合、年間で取得した雑所得が20万円までなら、所得税は発生しません。本業以外に副業を行い、雑所得として処理している場合は年間所得額に注意しましょう。一方で、保険契約者が自営業の場合、こうしたルールは存在しません。年間の雑所得が20万円以下であっても所得税が課せられますし、住民税も発生します。 自営業者の場合は特に、「学資保険の満期保険金をどう受け取るか?」が、負担軽減の鍵となるでしょう。 受取人を「子ども」に指定した場合の税金は? 受取人を「子ども」に指定した場合の税金は? 続いては、学資保険の受取人を「子ども」に指定した場合の税金についてチェックしていきましょう。学資保険とは、当然子どものためのもの。「だったら子ども自身を受取人にしておけば間違いないだろう」と考える方もいるのではないでしょうか。 学資保険の受取人を「子ども」にした場合、当然「保険料を支払う人(契約者)」と「実際に保険金を受け取る人(受取人)」は異なります。この場合、受け取った満期保険金は「契約者から受取人に対して贈与されたもの」として捉えられるのです。先ほどとは違って、「贈与税」の対象になる可能性があります。 贈与税は、毎年1月1日から12月31日までの間で受け取った財産の金額が110万円以上の場合に課税されます。贈与税率はさまざまな条件によって異なりますが、200万円以下であれば10%、400万円以下であれば15%~20%が適用されます。 学資保険の贈与税は、以下の計算式で求められます。 【(満期保険金-基礎控除額110万円)×贈与税率-控除額】 たとえば300万円の満期保険金を、子どもが18歳のときに父親から贈与された場合、贈与税は19万円です。 学資保険の受取人は基本的に「契約者自身」に設定するのがおすすめ 学資保険の「受取人」を指定する際に、「とにかく満期保険金が入れば良いのだから誰でもいい」と安易に判断するのは危険です。 受け取る満期保険金が契約者自身の「所得」として扱われるのか、第三者への「贈与」として受け取られるのかによって、課せられる税金額は大きく異なってくるでしょう。特に学資保険の場合、贈与税額によっては「返戻率によって得した分がチャラになる」という可能性も。教育費がかさむ時期だからこそ、余計な税金は支払わなくても済むよう、事前準備を整えておきましょう。 学資保険は、「孫の将来のために」と祖父母が加入するケースも多く見られます。こちらの場合も、満期保険金を受け取る際の税金についても考慮した上で、誰を受取人にどのような形式で受け取るのがベストなのか検討してみてください。 学資保険の受取人は慎重に判断しよう 子どもが生まれたあとに、学資保険への加入を検討する方は多いでしょう。自動的に決定する「契約者」や「被保険者」と比較して、「受取人」については悩みがちです。自分たちで決定できる自由があるからこそ、将来発生する可能性がある税金についても視野に入れて、慎重に検討してみてください。 悩んだときには、「契約者=受取人」に指定して満期保険金は「一括で受け取る」方式を選ぶことで、課税される可能性をもっとも低くできるでしょう。学資保険に加入する際には、ぜひ参考にしてみてください。

  • 「死亡保険金は相続財産ではない」は本当?理由や相続税について詳しく解説

    「死亡保険金は相続財産ではない」は本当?理由や相続税について詳しく解説

    被保険者が亡くなったときに支払われる死亡保険金。「万が一のときでも、家族の生活を守れるように」との思いで、加入を検討している方も多いのではないでしょうか。死亡保険に加入する際に知っておきたい、「相続財産」との関係性や税金についてもわかりやすく解説します。 死亡保険と相続財産の関係性は? 子どもが生まれたタイミングで、死亡保険への加入を検討する方も多いのではないでしょうか。自分たち親に何かあれば、子どもの生活は金銭面で苦しくなる可能性も高いです。死亡保険金という形でまとまった金額を残しておけば、その後の生活も安定させやすくなるでしょう。死亡保険への加入は、非常に大きな意味を持ちます。 とはいえ死亡保険がきっかけで、将来的に相続トラブルが発生してしまう可能性も。加入の段階からそのリスクを知っておくことで、余計なトラブルを回避しやすくなるでしょう。 まず頭に入れておきたいのは、「死亡保険金は原則として相続財産とはみなされない」という事実です。死亡保険金は受取人固有の財産として扱われるため、その他の相続財産のように、相続人同士で分割する必要はありません。 夫と妻、2人の子どもがいる家族で夫が亡くなった場合、相続人となるのは残された妻と2人の子どもです。仮に夫が、妻を受取人に2,000万円の死亡保険に加入していた場合、夫の死亡とともに保険金が支払われます。死亡保険金以外に相続財産が4,000万円あった場合、法定相続分に従って妻が2,000万円、2人の子どもが1,000万円ずつ受け取ることになるでしょう。死亡保険金と合わせると、妻が4,000万円、子どもたちそれぞれが1,000万円ずつという割合になります。 このように死亡保険金は相続財産として扱われないため、死亡保険金の受取人であるかどうかで、被相続人の死後に受け取る金額が大きく変わってくる可能性があります。死亡保険金の受取人以外の相続人にとっては、不公平感を抱きやすいポイントだと言えるでしょう。 子どもが生まれたタイミングで死亡保険に加入する方は、決して少なくありません。配偶者を受取人に指定しておけば、すぐに相続トラブルが発生する可能性は低いでしょう。子どもがまだ幼いうちに被保険者が亡くなった場合、配偶者が受け取った保険金は、「子どもを含めた家族のため」に使われるからです。 一方で死亡保険とは、途中で解約しない限り、被保険者が死亡するまで続いていく保険です。子どもが幼い頃に加入した死亡保険に加入し続け、数十年後に保険金を受け取るようなケースも多いでしょう。 このような場合、被保険者や受取人を取り巻く環境は大きく変化しているはずです。配偶者や子どもたちの間で相続トラブルが発生する可能性もあるという点も、頭に入れておいてください。 死亡保険金と相続税の関係性は? 死亡保険金と相続税の関係性は? 死亡保険金について、もう一点知っておきたいのが「相続税」との関係性についてです。先ほどもお伝えしたとおり、死亡保険金は原則として相続財産に含まれません。一方で、相続税の計算には含まれるのです。このような特徴を持つ財産を「みなし相続財産」と言います。 死亡保険金には「残された家族の生活を支えるためのもの」という目的があるため、一般的な相続財産と比較して、より手厚い非課税枠や控除が用意されています。「500万円×法定相続人の数」までは相続税が課せられませんし、この枠に収まらなかった場合でも、相続税の基礎控除や債務控除の対象にできます。その他の相続財産と合わせて「3,000万円+600万円×法定相続人の数」までであれば、やはり相続税は課せられないでしょう。また被相続人が残した借金がある場合や、葬儀費用が発生した場合、これらの金額も控除できます。 死亡保険金の受取人が配偶者であれば、さらに優遇されており、死亡保険金が1億6,000万円以下であれば相続税は発生しません。 家族のために死亡保険金を残しても、相続税が発生すれば、手元に残るお金は少なくなってしまうでしょう。いくらの死亡保険に加入するのか、受取人を誰にするのかといった項目は、その他の相続財産や家族構成なども考慮して検討してみてください。 死亡保険金が相続財産に含まれない理由とトラブル回避方法は? 最初にお伝えしたとおり、死亡保険金は相続財産には含まれません。とはいえ、受取人以外の相続人の立場としては、「いったいなぜ相続財産として扱われないのか?」「その他の財産と合わせて分配すれば良いのでは?」と、不満を感じる可能性もあるでしょう。 なぜ死亡保険金が相続財産に含まれないのかというと、被保険者の死亡によって支払われた死亡保険金は、亡くなった人のものではないからです。保険契約に基づいて受取人が指定されている以上、「最初から受取人のものである」と判断されます。亡くなった人の財産ではないため、相続財産としても扱われないという仕組みです。 だからこそ、被相続人が遺言書を残す場合でも、自身が被保険者として加入している死亡保険について記載する必要はありません。受取人に指定されていた人がすでに死亡していた場合、死亡保険金は「被保険者の相続人」ではなく「受取人の相続人」のもとへと支払われます。 例として、夫が妻を受取人にして死亡保険に加入していた場合を考えてみましょう。妻が生きていれば妻が保険金を受け取りますし、妻が亡くなっていても、夫婦間に子どもがいれば、子どものもとに保険金が支払われるはずです。一方で、夫婦間に子どもがいなかった場合、話は少し複雑になります。夫が亡くなった場合に支払われる死亡保険金を受け取るのは、夫ではなく妻の相続人です。妻の直系尊属(両親や祖父母)、妻の兄弟姉妹が対象になる可能性があります。亡くなった夫の親族としては、複雑な感情を抱いてしまうかもしれません。 死亡保険と相続に関するトラブルを避けるためには、両者の関係性や受取人について、契約時からしっかりと認識しておくことが重要です。その上で、誰を受取人に指定するべきか、よく検討してみてください。状況によっては、遺言書を活用するのもおすすめです。死亡保険金の受取を踏まえて、相続人同士が不平等な状況になり過ぎないよう、事前に相続割合を指定しておきましょう。 死亡保険と相続財産について知った上で検討を 死亡保険と相続財産について知った上で検討を 「死亡保険金は相続財産ではない」というのは本当です。ただし相続税の計算には含まれるので、申告時には注意しましょう。 いざ相続がスタートした際に、死亡保険がきっかけでトラブルになるケースは少なくありません。「家族を思って残すお金」だからこそ、適切な知識を身に付けた上で、賢く活用してみてください。

  • 遺産に関する資料はどう収集すれば良いの?開示してもらえない場合の対処法も

    遺産相続手続きを適切に進めていくために、欠かせないのが情報収集です。遺産にまつわるさまざまな資料を集め、遺産分割協議を行い、実際に手続きを行っていく必要があるでしょう。 とはいえ、初めて資料を収集する際には、具体的に何をどうすれば良いのか戸惑う方も多いのではないでしょうか。遺産に関する資料を開示してもらえない場合の対処法も解説します。 遺産に関する情報収集は「自分で」が基本 被相続人が亡くなった際に、相続財産に関する資料収集は、相続人が自分自身で行わなければいけません。被相続人が亡くなったからといって、自動で情報が公開されるわけではありません。相続人が情報開示を求め、初めて公開されるものと心得ておきましょう。 一般的には、被相続人の生前の記録から各種資料を収集していきます。家族であれば、「どの銀行に口座を保有していたのか?」「どこに不動産を持っていたのか?」など、ある程度の情報は把握できているでしょう。本人がエンディングノートに情報をまとめてくれていれば、その内容をもとに、遺産情報を確定させていくことになります。 とはいえ、すべての財産を漏れなく見つけ出すことは決して簡単ではありません。たとえエンディングノートに記載されていても、本人でさえ忘れている財産が存在しているかもしれないからです。考えられる相続財産は、ひとつひとつ、コツコツと確認していきましょう。 不動産に関する情報は、「権利証」または「登記識別情報」にて確認できます。固定資産税の納税通知書や法務局で取得できる登記簿謄本でもチェックできるでしょう。預貯金は、口座を開設している銀行に対して、情報開示請求することで財産情報を取得できます。故人の持ち物から通帳やキャッシュカードが見つかれば、その情報をもとに手続きを進めていってください。これらの資料が見つからない場合は、金融機関からの手紙やはがき、カレンダーや記念品といったアイテムが残されていないかどうか確認しましょう。どの銀行に口座を開設していたのか、突き止めるためのヒントになります。 また、近年増えているのが、インターネットバンキングや、オンライン証券会社に残された相続財産が見逃されてしまうケースです。被相続人が普段からパソコンやスマートフォン、インターネットを活用していた場合、該当サービスを利用している可能性も十分にあります。被相続人が使用していた端末にアクセス履歴が残っているかもしれませんから、こちらも忘れずにチェックしてみてください。ログイン情報や取引状況を別途資料として保管しているケースもありますから、家の中を探してみましょう。 故意に隠されてしまうケースもある 相続発生後に注意しなければならないのは、「相続人の中で、遺産に関する資料が故意に隠されてしまう可能性がある」という事実です。見つかった遺産は、遺産分割協議の末に、相続人同士が納得して分配されます。見つからなかった財産はそもそも協議の対象にならず、その存在を知っている人だけが独り占めしてしまうリスクがあるのです。 以下のようなケースでは、「故意に情報を開示していない」可能性も考えられます。特に慎重に行動してみてください。 ・開示された遺産が、不自然なほど少ない・被相続人から話を聞いていた財産が見当たらない・被相続人の口座から、勝手に預金が引き出されている 隠されている情報を開示してもらうためには、まずは相続人同士で話し合うのが一番です。なぜ相続財産に関する情報が隠されていると思うのか、理由を伝えて相手の出方をうかがいましょう。相手の話に納得できなかった場合は、あらためて遺産に関する資料を自分の手で収集していきます。「怪しい」と思う口座や不動産情報など、丁寧に確認していきましょう。相続問題に強い弁護士に相談するのもおすすめの方法です。 「裁判所に訴えればなんとかしてもらえる」は間違い 「裁判所に訴えればなんとかしてもらえる」は間違い 相続人のうちの一人が、故意に財産隠しを行っていた場合、その他の相続人は不利益を被ります。相続トラブルとなり、訴訟にまで発展してしまうケースも珍しくはありません。とはいえ、たとえ裁判にまで持ち込んだとしても、財産隠しに関する状況が有利になるとは限らないため注意が必要です。 遺産隠しトラブルで裁判所に訴えた場合、「裁判所が遺産に関する資料を集めてくれる」「資料を隠している相続人に開示するよう命令してくれる」と考えている方も多いかもしれません。しかし残念ながら、こうした対応は行われていないのです。裁判所が扱っているのは、あくまでも「開示されている相続財産」に関する話し合いのみ。裁判を起こしたとしても、財産調査は自分自身で行うのが基本です。 調査力に不安がある場合や、自分自身で対応できない場合には、専門家への依頼を検討してみてください。財産調査サービスを提供している士業事務所であれば、プロの視点で調査をサポートしてくれるでしょう。 資料を開示してもらうために必要なのは? 銀行や証券会社等で財産に関する資料を開示してもらうためには、手続きする人が相続人であることを証明できる書類が必要です。事前に銀行側に問い合わせた上で、戸籍謄本など必要書類を準備しましょう。 被相続人がすでに亡くなっていることや、相続人である事実が確認できれば、手続きそのものは決して難しくはありません。残高証明書の発行、取引履歴の開示や貸し金庫の契約状況の確認など、遺産相続に必要となる資料を提供してもらえます。 こうした作業を、思いつく限りの銀行で行っていきましょう。口座を保有していたかどうかわからないときには、「名寄せ」を依頼して口座の有無を確認できます。財産隠しが疑われる場合も、そうではない場合も、郵貯銀行や都市銀行、最寄りの地方銀行・信用金庫ぐらいは、確認しておくことをおすすめします。 遺産に関する資料は基本的には自力で収集しよう 遺産に関する資料は基本的には自力で収集しよう 遺産に関する資料は、基本的に相続人が自力で収集しなければいけません。被相続人が必要な情報をまとめてくれていれば良いのですが、そうとは限らないでしょう。各種口座や不動産など、生前のやりとりや故人周辺の情報から、コツコツと調査を進めていきましょう。 相続人同士で協力して調査を進められれば良いのですが、残念ながら、一部の相続人が情報の開示を拒む可能性も。この場合でも、基本的には自力で調査しなければいけません。必要に応じて弁護士等に相談し、できるだけスムーズに各種資料を収集できるように工夫してみてください。弁護士についてもらえば、財産隠しが発覚したあとの手続きもサポートしてもらえるでしょう。

  • 遺産相続をもっと楽に!「法定相続情報証明制度」を紹介

    遺産相続の手続きを進めていくうえで、「書類の提出が大変」と悩む方は少なくありません。相続手続きの負担を軽減するためには、ぜひ「法定相続情報証明制度」を活用してみてください。 具体的にどういった制度でどのような場面で使えるのか、わかりやすく解説します。制度を利用する場合のデメリットも紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。 法定相続情報証明制度とは? 法定相続情報証明制度とは? 法定相続情報証明制度は、2017年からスタートした新しい制度です。これまでは、各種相続手続きを行うたびに、⼾籍謄本の束を提出する必要がありました。亡くなった人の出生から死亡までの戸籍謄本となると、大量になってしまうケースも少なくありません。相続人と手続きをする部署、双方の負担を削減するために、「法定相続情報⼀覧図の写し」が交付されるようになったのです。 戸籍謄本等と相続関係の一覧図を法務局に提出すると、それをもとに登記官が一覧図に認証文を付した写しを交付してくれます。これまで「戸籍謄本の束」を持ち歩かなくてはならなかったのが、一覧図の写しのみで事足りるように。また法定相続情報証明は必要に応じて何枚でも交付してもらえるため、複数の手続きを同時に進めていくことも可能です。 これまでは「銀行Aで手続きをしたのちに、書類の返却を待って銀行Bの手続きに進む」といった手順が必要でした。法定相続情報証明制度を利用すれば、不動産の相続登記や銀行口座の解約、相続税の申告など、さまざまな相続手続きをスムーズに進めていけるでしょう。このほかにも、保険金の請求や保険の名義変更手続き、有価証券や自動車関連の名義手続きにも利用できる可能性があります。 相続財産に複数の不動産が含まれている場合や、財産の種類が多い場合でも、相続人の手間は最小限にできます。現役世代の方が相続人として各種手続きを進めていく場合、「銀行に行くために何度も仕事を休まなくてはならない」といった事態にもなりかねません。法定相続情報証明制度を使って複数の手続きを一度に進めれば、仕事を休んで動く時間も最小限にできるのではないでしょうか。 法定相続情報証明制度の利用方法は? では法定相続情報証明制度は、どのように利用すれば良いのでしょうか。具体的な手順は、以下を参考にしてみてください。 制度を利用するためには、まず市役所などで以下の書類を収集します。 ・被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本・住民票(除票)の写し・相続人の戸籍謄本・住民票の写し・法定相続情報一覧図の保管の申出書 相続人と被相続人の情報をもとに、法定相続情報一覧図を作成。申出書には、申出人の住所・氏名・連絡先のほか、被相続人との続柄や利用目的、必要な通数といった情報を記載します。申し出の日付も忘れずに記入しておきましょう。 必要な書類を準備したら、法務局で手続きします。以下のいずれかの条件を満たしている法務局で、手続きしてください。 ・被相続人の本籍地を管轄する法務局・被相続人の最後の住所地を管轄する法務局・申出人の住所地を管轄する法務局・被相続人名義の不動産の所在地を管轄する法務局 基本的には、被相続人もしくは申出人に関連する法務局ですから、間違わないようにしましょう。法務局に提出した書類は、登記官が確認したうえで返却されます。内容に誤りがないことが確認されたら、法定相続情報証明が交付されます。 法定相続情報証明交付の申し出は、法定相続人もしくは代理人が行います。自分で手続きしたり、必要書類を作成したりする余裕がない場合は専門家に依頼することも可能。 弁護⼠や司法書⼠、税理士や行政書士のほか、⼟地家屋調査⼠や社会保険労務⼠、弁理士などに依頼できる可能性があるので、ぜひ身近な場所で探してみてください。戸籍謄本等の取得から書類提出までワンストップで対応してくれる専門家に依頼すれば、ほとんど手間もかからないでしょう。 法定相続情報証明制度のデメリットとは? 法定相続情報証明制度のデメリットとは? 遺産相続の手間を省くためにスタートした法定相続情報証明制度。積極的に活用したいところですが、実際にはデメリットもあります。利用を検討する場合は、ぜひこちらもチェックしてみてください。 ★ 法定相続情報一覧図を作成しなければならない 法定相続情報証明制度を利用するためには、申し出時に法定相続情報一覧図を作成しなければいけません。こちらは基本的に、申出人が自分で作成するもの。決まったルールに則って、正確に作成するよう求められます。それなりの手間がかかってしまうでしょう。 専門家に依頼すれば一覧図作成もお任せできますが、専門家報酬が発生します。手間やコストが増えてしまう点が、一つ目のデメリットだと言えます。 ★実際に相続手続きをスタートできるまでに時間がかかる 法定相続情報証明の写しは、申し出後にその場ですぐに発行されるわけではありません。申し出から1~2週間後に受け取ることになるでしょう。 必要書類を受け取ることさえできれば、その後の相続手続きはスムーズに進めていけます。一方で、手続きをスタートできるまでに相応の時間がかかるという点もデメリットです。 ★「手続き不可」と判断されるケースもある 遺産相続の手続きは、多岐にわたります。法定相続情報証明書の発行を受けても、手続きのすべてで利用できるとは限らないでしょう。手続き場所によっては、やはり従来通りの手続きを求められる可能性も。苦労して一覧図を作成して証明書を受け取ったとしても、二度手間になってしまうかもしれません。 法定相続情報証明制度は、相続手続きの数が多い人ほどメリットが大きい制度と言えます。利用料は無料ですし、誰でも手軽に利用できるとはいえ、「自分にとってはメリットとデメリットのどちらが大きいのか?」を冷静に判断する必要があるでしょう。行わなければならない手続きの数が限られている場合、「あえて利用しない」と考えるのも賢い選択です。手続き数が3~4つを超える場合は、十分なメリットを期待できるでしょう。 遺産相続では法定相続情報証明制度の活用も視野に 子育てがひと段落した時期は、自身の終活について考え始める時期。またそれとともに、自分自身が「相続人」の立場で動く場面も増えてくる時期でもあります。相続手続きを少しでも楽にするため、法定相続情報証明制度の活用も視野に入れてみてください。 「制度を利用するべきかどうかさえ悩む…」という場合には、その点も含めて、一度専門家に相談してみるのもおすすめです。今後行うべき手続きの内容についても、第三者の視点で明確なアドバイスをもらえるのではないでしょうか。

  • 遺産相続のトラブルを回避しよう!受取人同士で揉めるポイントを解説

    遺産相続には、トラブルも付き物です。ほとんどの人は「できれば円満に手続きを終えたい…」と思っているでしょうが、遺産の受取人同士ですれ違いが生じてしまうケースも決して少なくありません。 遺産相続のトラブルを回避するためには、受取人同士が揉めるポイントを知り、あらかじめ準備を進めておくのがおすすめです。特に揉めやすいポイントと、「争族」を避けるためのコツを3つ紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。 生命保険金 生命保険金 被保険者が亡くなった際に、まとまったお金を受け取れる生命保険。保険金は、契約時に指定した受取人に支払われます。一般的には、配偶者や子どもを指定するケースが多いでしょう。残された家族の生活を支えてくれるお金ですが、保険金をきっかけにトラブルに発展してしまう事例も少なくありません。 生命保険金は、相続財産とは別で扱われます。指定された受取人以外に支払われることはありませんし、またその権利の主張もできません。「生命保険金以外に残された財産がほとんどない」という場合でも、生命保険金の分配は行われないのです。生命保険の受取人は多額の保険金を受け取れても、そのほかの相続人の手元にほとんど財産は渡らないでしょう。 また仮に、相続財産がある程度残っていた場合でも、「生命保険金の受取」と「相続財産の分配」は別物として考えられます。生命保険金を受け取っている人は、それにプラスして相続財産も受け継げるのです。生命保険金の額によっては、相続人の間に不公平感が生まれやすく、トラブルの原因になってしまいます。 生命保険をきっかけに相続トラブルを引き起こさないためには、相続人同士が納得できる環境を作ることが大切です。生命保険金の受取人がなぜその人に指定されているのか、理由がわかるだけでも納得できる人は多いのではないでしょうか。また遺産分割で受取人以外が多めに財産を受け取れるように調整するのも効果的です。「トラブルになってほしくない」という被相続人の思いを伝えやすくなります。 生命保険金の受取人に対する思いや、遺産分割割合の詳細については、遺言書を残すことで相続人へと伝えられます。具体的にどういった内容にすればトラブルの可能性を減らせるのか、専門家に相談してみるのもおすすめです。 不動産 相続財産の中で、トラブルの原因になりやすいのが「自宅」や「土地」といった不動産です。財産の価値が高額になりやすく、また相続人同士で平等に分配しづらいという特徴を持つ不動産。誰がどのような形で相続するのかで揉めれば、なかなか決着がつかない恐れもあるでしょう。 相続人のうちの1人が相続対象である不動産で生活している場合、これまでどおりの生活を続けるためにも「自分が相続したい」と考えるのは自然な流れです。しかし、その他の財産がほとんどなければ、遺産の大半を、その相続人1人だけが受け取ることになってしまいます。 不動産を受け取る相続人がそのほかの相続人に対して、相応の金銭を支払う方法もありますが、不動産の価値によってはあまり現実的ではない可能性も。「お金が支払えないために、結局不動産を売らざるを得ない」というケースも、実は珍しくないのです。 また反対に、誰も住まない「空き家」が相続トラブルのきっかけになるケースもあります。ほとんど価値のない不動産を相続しても、その後の対処困ってしまうでしょう。「売りたくても売れない」「管理の手間ばかりがかかってしまう」となると、相続人同士で該当物件の押し付け合いになってしまう恐れもあります。 こうしたトラブルを回避するためには、生前にきちんと話し合っておくと効果的です。不動産を誰に相続させたいと考えているのか、被相続人の立場で明らかにし、生前から理解を求めておきましょう。「なぜそうしたいのか?」という自身の気持ちも、伝えておくと安心です。 不動産を受け継ぐ相続人も、時間があれば代償として支払う金銭を用意できる可能性があります。寝耳に水の相続にならないよう、あらかじめ準備を整えておきましょう。 相続人同士の関係性 相続人同士の関係性 遺産相続でトラブルには、相続人同士の関係性も関わってきます。 ・もともとあまり仲が良くない・ほとんどやりとりしたことがない・他の相続人に内緒にしている相続人が存在している このような場合、相続人同士のやりとりがうまくいかず、トラブルに発展してしまう恐れがあります。 遺言書が残されていない場合、誰が相続人になるのかは、被相続人との関係性によって違ってくるでしょう。「配偶者と子ども」というケースが一般的ですが、子どもがいなければ孫が相続権を受け継ぎます。直系卑属にあたる人がいない場合、相続権は親もしくは直系尊属、そして被相続人の兄弟姉妹やその子どもへと移っていくのです。子どもや孫がいない場合、被相続人の甥や姪が相続人になる可能性も。普段あまりやりとりしていない場合、遺産分割協議を進めるのも一苦労です。 相続人同士の仲が悪ければ、それぞれの立場を考慮して結論を出すのは難しいかもしれません。どこまで話し合っても平行線で、時間ばかりがかかってしまう恐れもあるでしょう。 相続人同士の関係性に不安がある場合には、遺産分割協議は避けた方が良いでしょう。法的に有効な遺言書にて相続の内容を指定しておけば、相続手続きは基本的に、そのとおりに進められます。相続人同士が集まって話し合う必要もありません。 遺言書による相続対策が必要なのかどうか確かめるためには、まずは「自分の場合は誰が相続人になる可能性があるのか?」という点を、明らかにするのがおすすめです。その結果を踏まえて、どうすればトラブルを回避できるのか検討してみてください。遺言書に何をどう記すべきか悩んだときには、司法書士や弁護士など、遺言書作成についてアドバイスしてくれる専門家にサポートしてもらいましょう。 相続トラブル回避のポイントは主に「遺言書」にあり 相続トラブルの原因になりやすい理由の一つは、「不公平感」にあります。相続人同士が納得できるのが一番ですが、残念ながら難しいケースもあるでしょう。特に生命保険金や不動産は不公平感の原因になりやすいですし、相続人同士の関係性によっては、「見た目だけの公平では納得できない」という可能性も考えられます。 こうしたトラブルの種を把握した上で、相続人を納得させられる遺言を残せれば、相続トラブルを回避できる可能性も高まります。また、自身の思いを正直に伝えておくことも重要です。普段から遺産相続について情報共有しておくだけではなく、ぜひエンディングノートや遺言書についても活用してみてください。

  • 遺言書で家族へのメッセージを届けよう!「付言事項」の特徴や書き方のコツ

    自身が亡くなったあとの相続トラブルを防ぎたいという思いから、遺言書を作成する人が増えてきています。法的に見ても極めて重要な意味を持つ遺言書ですが、「付言事項」を活用すれば、より心のこもったメッセージを残すことも可能です。付言事項の特徴や書き方のコツについて紹介します。 遺言書の付言事項とは? 遺言書の付言事項とは? 遺言書の付言事項とは、「法的行為以外に大切な人へのメッセージとして記しておきたい内容」を指します。 遺言書と言えば、「誰に何を相続させるのかを指定するためのもの」「法定相続人以外に財産を受け取ってもらいたいときに活用するもの」といったイメージを抱く方も多いのではないでしょうか。遺言書にこうした内容を記しておけば、法的拘束力を持って、自身の希望を叶えられます。一方で、遺言書に記載できるのは法的事項だけではありません。法律と直接関係していなくても、自分の好きなメッセージを綴ることができます。 付言事項は、遺言書に記しても記さなくても良い情報です。厳格なルールもありませんので、自分の自由に記入できます。家族や大切な人への「最期のメッセージ」としてぜひ活用してみてください。 付言事項に記入したい内容とメリット では具体的に、遺言書の付言事項にはどのような内容がふさわしいのでしょうか。5つのパターンを紹介します。 ★1.身近な人への感謝の気持ちを伝える 遺言書の付言事項は、身近な人への感謝の気持ちを伝えたいときにおすすめです。身近な人に対して、直接「ありがとう」と伝えるのは気恥ずかしいかもしれません。自身が亡くなったあとに内容を確認される遺言書であれば、照れずに素直な気持ちを伝えられるのではないでしょうか。 難しく考える必要はありませんから、相手の名前と感謝の気持ちを記してみてください。「ありがとう」のひと言だけでも、より心のこもった遺言書に仕上がるはずです。 ★2.残された家族の幸せな未来を祈る 自分自身にとって最期のメッセージだからこそ、残される家族の幸せを祈るメッセージを入れておくのもおすすめです。「自分がいなくなったあとも、家族で協力して仲良く過ごしてほしい」という思いも、ストレートに伝えられるでしょう。 過去の思い出や印象深かった出来事とともに綴れば、より心に残るメッセージになります。家族にとっても、これから先の未来を照らしてくれるような、特別な贈り物になるはずです。 ★3.遺産分割の理由を伝える 遺言書で遺産の分割割合を指定する場合、不平等になる可能性も。特定の相続人だけが多くの財産を受け取る場合、付言事項でその理由を伝えておくのもおすすめです。「○○について感謝しているからこそ、△△に多くの財産を受け継いでほしいと思っている」と理由があるだけで、そのほかの相続人の不満を抑える効果が期待できます。 法的に有効な遺言書で指定された分割方法は、相続人に不満があっても実行されます。不平等な扱いを受けた相続人にとっては、状況に納得できないまま手続きが進んでしまう可能性も。遺産相続で法的な問題が発生しなかった場合でも、相続人同士の間で「壁」が生じてしまう恐れはあるでしょう。 相続の理由を、生前に詳しく伝えるのは難しいかもしれません。こんなときには、ぜひ遺言書の付言事項に素直な思いを記入しておきましょう。相続人同士が気まずくなってしまうリスクを低減できます。 ★4.葬儀やお墓に関する希望を伝える 自身が亡くなったあと、葬儀やお墓について叶えてほしい希望がある方もいるのではないでしょうか。このような場合にも、遺言書の付言事項が活用できます。葬儀やお墓をどうしてほしいのか、自身の希望を伝えておきましょう。 葬儀の形を指定するのはもちろん、「葬式をあげてほしくない」といった希望を残すことも可能です。ただし記された内容に法的拘束力はないため、実現するかどうかは相続人次第に。より確実に実現したい場合は、事前に口頭で伝えておくのがおすすめです。付言事項で最終確認してもらうことで、残された家族も準備しやすくなるでしょう。 ★5.遺留分請求しないでほしいという希望を伝える 遺産相続でトラブルになりやすいポイントの一つは、遺留分請求です。遺言書で相続人の相続割合を指定したとしても、相続人の一部に認められている遺留分を無視することはできません。遺言書のとおりに遺産分割しても、その後に遺留分を請求されれば、さらに手間は増えてしまうでしょう。 遺留分を請求するかどうかは、それぞれの相続人によって判断されます。だからこそ、付言事項によって「遺留分を請求しないでほしい」と伝えるのもおすすめです。 この場合、「なぜ遺留分請求しないでほしいのか」を明確にしておくことがポイントです。不平等な分配になった理由も記しておけば、理解を得やすくなるでしょう。 付言事項を記載する場合のコツや注意点3つ ここからは、実際に付言事項を記載する場合の注意点を紹介します。4つのポイントを紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。 ★1.記載場所は署名・捺印の前がおすすめ 遺言書に付言事項を記載する場合、わかりやすくすることが重要です。遺言書に必要な法的事項を記したあと、署名・捺印の前に付言事項を入れるのがおすすめ。長くなりすぎないように注意してください。 付言事項の書き方は自由ですが、あまり長くなると、重要な情報が伝えにくくなってしまう可能性も。付言事項を書いてみて、想定以上に長くなりそうな場合は、遺言書と切り離してメッセージを残すのがおすすめです。エンディングノート等も活用してみてください。 ★2.ネガティブな内容はできるだけ残さない 遺言書に残す付言事項は、文字通り「相続人の残す最期のメッセージ」です。いろいろと思うところがあったとしても、ネガティブな内容を書き残すのはおすすめできません。メッセージを受け取った人に、不満を植え付けてしまう恐れがあります。 最期まで愚痴や不満を伝えられたら、「被相続人の気持ちに添いたくない」と思われるかもしれません。相続トラブルの原因になる可能性もあるため、記す内容には十分に注意してください。 ★3.法的遺言書の内容と矛盾しないようにする 付言事項に記された内容が、遺言書に記された法的事項と矛盾している場合、遺言書に記された内容が「無効」と判断されてしまう恐れがあります。付言事項に記す内容は「自由」とはいえ、法的事項と相反する内容を記さないようにだけは注意してください。 たとえば、法的遺言書で「○○に全財産を譲る」と記載していても、付言事項で「△△にも財産を譲りたい」と記入してあれば、矛盾と判断されてしまいます。遺言書を作成したら、その内容を入念にチェックしておきましょう。 遺言書の付言事項で大切な人にメッセージを伝えよう 遺言書の付言事項で大切な人にメッセージを伝えよう 堅苦しい印象のある遺言書ですが、付言事項でメッセージを伝えることで、より心のこもったスタイルにできます。大切な人に残す本当に最期のメッセージと思えば、伝えたい言葉も多く見つかるのではないでしょうか。ぜひ素直な気持ちを記してみてください。

  • 40代からの終活準備…遺言書に記したい内容や初める際の注意点

    働き盛りの40代。ある程度子どもに手がかからなくなったとはいえ、「終活」を意識するにはまだまだ早い…と感じる方も多いのかもしれません。 とはいえ「遺言書」については、40代でも早すぎることはありません。終活準備の一つとして、遺言書に関する準備を初めるのはいかがでしょうか。具体的に何をするべきか、またどういった点に注意するべきか、40代向けの情報をお届けします。 40代から遺言書の準備を始めるメリットとは? 人生100年時代と言われる今、「40代の忙しい時期から終活準備を進める必要があるのか?」という疑問を抱きがちです。とはいえ、まだ若い現役世代から遺言書を作成しておくことで、万が一の場合に備えられるというメリットがあります。 ある程度子どもが大きくなってきたとはいえ、「まだまだ未成年」というご家庭も多いはずです。もしも子どもが未成年の間に親が亡くなってしまうと、子ども自身が遺産分割協議に参加することはできません。裁判所を経て代理人を用意し、その上で各種手続きを進めていく必要があるのです。 「たとえ子どもが未成年でも、両親のうちどちらか一方が残されていれば良いのでは?」と思いがちですが、これは間違いです。たとえば夫が亡くなり、妻と子どもが残された場合、妻自身も法定相続人になります。同じく法定相続人となる子どもにとっては、利益を分け合うライバルのような関係性になるため、親であっても代理人を務めることはできないのです。 遺言書が残されていれば、その内容に基づいて遺産が分配されるため、遺産分割協議は必要ありません。未成年の子どもがいても、遺産相続をスムーズに進めていけるでしょう。 また子どもの将来を見据えて、自身が残す財産をどう活用してもらうのか指定できる点も、遺言書ならではの魅力です。子育て中の今だからこその遺言内容を検討してみてはいかがでしょうか。 40代の遺言書に記すべき内容とは? 40代の遺言書に記すべき内容とは? 遺言書に記すべき内容は、目的によって違ってきます。主に以下の4つを意識してみてください。 ・財産の相続について・財産の処分について・相続人の立場について・遺言執行者について 財産の相続については、誰に何をどのような割合で分配したいのかを記しておきます。法的に有効な遺言書を残しておけば、法定相続に沿った内容ではなくても有効と判断されるでしょう。先ほどもお伝えしたとおり、遺産分割協議の必要もないため、トラブル予防にもつながります。また法定相続人以外を指定して、財産を相続させることも可能です。「相続」ではなく「処分」を希望する財産についても、あらかじめ指定できるでしょう。 遺言書にて子どもを認知することもできますし、未成年の子どもの後見人をあらかじめ指定しておくことも可能です。子どもの立場を明らかにするという意味でも、遺言書を残しておく意味は大きいと言えます。 40代からの遺言書作成においては、「自分の死がイメージできず、記すべき内容が思い浮かばない…」と悩む方も少なくありません。「万が一のときに残された家族の手間を軽減したい」という目的で遺言書を残すのであれば、難しく考える必要はないでしょう。配偶者と子どもが相続人になる場合、遺産分割協議を避けられる内容さえ残しておけば、余計な負担は取り除けます。 子どもがいない夫婦の場合、子どもの代わりに相続人になるのは、亡くなった人の両親です。両親も亡くなっている場合は、亡くなった人の兄弟姉妹に相続権が発生します。この場合、遺言書はさらに重要な意味を持つものに。年代に限らず、できるだけ早く「配偶者に全財産を相続させる」旨の遺言書を作成しておけば、残された家族の暮らしを守る効果が期待できるでしょう。 40代の終活準備…注意点3つ 40代から始める終活準備は、遺言書の作成だけでは不十分です。今後のことも見据えて、以下の注意点についても意識してみてください。3つのポイントを紹介します。 ★1.財産の内容や所在を明らかにする 40代は子育て真っ最中という方も多いのではないでしょうか。教育費や住宅購入費など、大きな金額が動きやすい時期でもあります。働き盛りだからこそ入ってくるお金も多く、財産が流動しやすいという特徴があるでしょう。 こうした時期だからこそ、終活準備として忘れてはいけないのが「財産の内容や所在を示しておく」ことです。順調に資産を形成していても、自身が亡くなったあと、家族に発見されなければ意味がありません。一般的な「預金」のほかにも、「ネット証券」や「暗号資産」など、財産の形が多様化しているからこそ、どこにどれだけの財産があるのか、きちんと情報を残しておきましょう。定期的に情報更新しておくと、より安心です。 ★2.デジタル情報をまとめておく 各種インターネットサービスも、40代にとっては身近なもの。自身が亡くなったあとに家族が困らないよう、こちらも情報を整理しておきましょう。 ・パソコンやスマホのIDやパスワード・利用しているサブスクリプションサービス・ネットバンクの口座情報 これらの情報は、必要になるときまで厳重に管理するのがおすすめです。ログイン情報などは、簡単に見られないように注意してください。 ★3.遺言書の効果が及ぶ範囲を理解する 40代からスタートする終活にも、遺言書は効果的です。とはいえ残念ながら、遺言書も万能ではありません。遺言書の特性や注意点を理解した上で、必要な手続きを進めてみてください。 たとえば、遺言書で特定の一人のみを指定して財産をすべて譲る旨を記載したとしても、その他の相続人から遺留分の請求を受ける可能性があります。遺留分侵害額請求の裁判を起こされた場合、遺産分割に関する手間が増えてしまうでしょう。 また自筆証書遺言を選び、必要な条件を満たせていない場合、遺言書の法的拘束力は認められません。遺言書が残されていたとしても、遺産分割協議にて相続の詳細について決定する必要があるのです。 自宅で紙とペンさえ用意すれば作成できる自筆証書遺言は、非常に手軽。「とりあえずできることから始めたい」という40代のニーズにも、ぴったりの遺言スタイルと言えるでしょう。一方で、記載ミスによってトラブルが発生するケースも決して少なくありません。遺言書としての要件を満たせるように注意してください。 親の介護が始まる前に自身の終活について考えてみよう 親の介護が始まる前に自身の終活について考えてみよう 子育てが一段落する40代。親の介護がスタートするまでに、まだ少し余裕がある時期とも言えるでしょう。仕事で忙しい時期ではありますが、今後についても考えつつ、終活準備をスタートするのもおすすめです。今回紹介した情報も参考にしながら、遺言書についても検討してみてはいかがでしょうか。

  • 将来のために「共済」で備えを!共済保険の種類・特徴・選び方は?

    子どもが生まれて家族が増えたら、「将来」に対する備えも万全にしておきたいところです。万が一のことがあった際に、金銭的な側面から家族の生活をサポートしてくれるのが、「共済」です。 共済保険にはどのような種類があり、どう選べば良いのでしょうか。将来に役立つ情報をお届けします。 共済とは? 共済とは、「相互扶助」を基本に、組合員がお互いに助け合う仕組みを指します。組合員は毎月共済掛け金を支払い、集まったお金は困っている人のために使われています。儲けを出すことを目的にしていないため、毎月の掛け金が少額になりやすい点も特徴の一つと言えるでしょう。共済と比較検討されやすい一般的な「保険」は営利事業として行われています。このあたりも、共済と保険の大きな違いです。 共済に加入できるのは、原則として組合員のみです。組合員となるための条件は各共済で異なるため、事前確認が必須と言えるでしょう。日本全国にさまざまな共済があるため、どれに加入するのか、各種条件を見極めた上で比較検討してみてください。 掛け金の面から「保険よりも加入しやすい」というイメージも強い共済ですが、保険と比較して、さまざまな制限を受ける可能性も。たとえば保障プランの自由度や充実度は、保険商品の方が優れているケースも多いです。万が一のときのためにと加入しても、保障が充分でなければ意味がありません。共済の特徴や保障の内容についてしっかりとリサーチした上で、加入を検討してみてください。 共済保険の種類は主に5つ 共済保険の種類は主に5つ 共済保険の種類は、主に以下の5つです。それぞれの特徴を解説するので、自身の備えを選択する際のヒントとして役立ててみてください。 ★1.生命共済 生命共済は、人間の命や身体にまつわるリスクに備えるための共済です。人が亡くなったときはもちろん、病気やけがで入院したり、後遺障害が残ってしまったりした場合に、共済金が支払われます。死亡時の保障を手厚くしたものや、入院時に共済金が支払われるタイプが人気です。子どもを対象にした生命共済もあり、「手ごろな掛け金で万が一のときの備えができる」と支持されています。 ★2.年金共済 老後の生活資金を確保する目的で使われるのが年金共済です。若い頃から毎月積み立てた共済金が、一定の年齢に達したあとに、継続的に支払われます。公的年金にプラスして共済金を受け取れるため、余裕のあるシニアライフを実現しやすくなるでしょう。共済金を受け取れる期間が「5年」や「10年」など定められているタイプもあれば、亡くなるまで受け取れる「終身」タイプも存在しています。 ★3.傷害共済 共済に加入している人が、交通事故などの不慮の事故によって死亡したりケガをしたりした場合に、共済金が支払われます。生命共済と保障がかぶる部分もありますが、こちらは「事故によるけがや死亡」に特化しています。 ★4.火災共済 火災や落雷、破裂や爆発といったトラブルが原因で家や家財道具に損害が生じた場合に、共済金が支払われます。住まいや家財がダメージを受けるトラブルとしては、地震や水害なども無視できません。火災共済単独で対応するのは難しいですが、火災共済にオプションをプラスしたり、「自然災害共済」をセットにしたりすることで、幅広い災害に対応できるようになります。 ★5.自動車共済 自動車共済は、自動車が関連する事故で発生した損害を補償するための共済です。万が一事故を起こしてしまった場合に、規定に従って共済金が支払われます。自動車保険よりも負担が少ないというメリットがある一方で、「補償内容のカスタマイズがしにくい」「自動車保険と比較して補償内容が限定的」といったデメリットも。両者を比較検討して、自分に合ったものを選択するのがおすすめです。 ★その他 上で紹介した5つ以外にも、共済によってはユニークなプランを用意しているケースもあります。 ・交通災害共済 ・慶弔共済 ・住宅再建共済 自身の将来に必要な共済を選んで加入してみてください。 子育て世代が「将来」のために加入するなら? 子育て世代が「将来」のために加入するなら? 月々の負担が少ない共済は、子どもが生まれたばかりの若い世代にもおすすめです。将来のリスクに備えるためにも、加入を検討してみてはいかがでしょうか。 子育て世代におすすめなのは、万が一のときのための「生命共済」です。自分に万が一のことがあっても、家族に共済金が入れば、生活を安定させやすくなるでしょう。けがや病気で入院した場合も、お金の不安を解消できます。 子どもを育てる中で加入するべきか悩みがちなのが、子どものリスクに備えるための、いわゆる「子ども共済」です。低掛け金で子どものケガや病気に備えられる共済ですが、子どもの医療費が無料になる自治体も多い中、「わざわざ加入する意味があるのか?」と悩む方もいるのではないでしょうか。 子どものけがや病気が原因で、長期入院が必要になるケースは稀です。共済の場合、毎月の掛け金負担が少ないとはいえ、医療費無料の間はわざわざ加入する必要はないのかもしれません。不安なときには、医療費無料の年齢を過ぎたあとに加入を検討してみるのも良いでしょう。 ただし、病気やけがが原因で子どもが入院した場合、親は子ども中心の生活を送ることになります。思うようには仕事ができず、収入が下がってしまうケースも少なくありません。子ども共済に加入していれば、契約内容に応じて共済金が支払われるため、収入面での不安は軽減できるのではないでしょうか。子どもにとって不安な時期、そして大切な時期に「できる限りそばにいてあげたい」と思う方にとっては、少ない掛け金で保障を用意できる、魅力的なプランだと言えるでしょう。 共済金の特徴「割戻金」とは? 共済金の特徴の一つが、「割戻金」です。相互扶助を目的に運営されている共済は、「儲け」を出す必要はありません。1年間に組合員から受け取った掛け金が、支払った共済金よりも多かった場合、余ったお金は組合員のもとへと返還されます。 ただし共済金の割戻金がいくらになるのか、事前に把握するのは難しいでしょう。1年間の状況で、割戻金の有無や金額は大きく変わってくるからです。共済によっては、過去の決算情報をもとに実際の割戻率がどの程度か、インターネット上で情報公開しているケースもあります。共済を選ぶ際の参考にするのもおすすめです。 共済の種類を知って将来に備えよう 共済にはさまざまな種類があり、手ごろの掛け金で将来に備えられるというメリットがあります。共済保険に加入するためには、まず「組合員」になる必要があるものの、掛け金の安さや割戻金は、子育て世代にとっても魅力あるポイントだと言えるでしょう。共済の種類についても知った上で、加入を検討してみてください。

  • 両親が死亡した場合の遺族年金受取人は誰?子どものためにできることは?

    家族が亡くなったときには、遺族年金の受取人になれる可能性があります。両親が共に死亡した場合、子どもは遺族年金を受け取れるのでしょうか。未成年が遺族年金を受け取る場合の注意点や手続き方法、親の立場で子どものためにできることも解説します。 遺族年金とは? 遺族年金とは、国民年金や厚生年金に加入していた被保険者が亡くなった際に、その家族に支給される年金を指します。国民年金に加入していた場合は遺族基礎年金、厚生年金に加入していた場合は遺族厚生年金の受取人になれる可能性があるでしょう。どちらにも加入していて、それぞれの受給要件を満たしていれば、両方とも受給できます。 遺族基礎年金は、亡くなった方によって生計を維持されていた「子のある配偶者」または「子」が受取人です。この場合の「子」とは、18歳になってから最初に年度末を迎えるまでの人(もしくは20歳未満で障害年金の障害等級1級または2級の状態にある人)を指します。遺族厚生年金は、遺族基礎年金よりも受給要件が緩く、親を亡くした子どもは受給要件を満たす可能性が高いでしょう。 両親が共に死亡した場合の遺族年金は? 両親が共に死亡した場合、生前に親が国民年金や厚生年金に加入していれば、子どもは受取人になれる可能性が高いでしょう。子どもが受取人になる場合の、遺族基礎年金・遺族厚生年金の受給金額は、それぞれ以下のとおりです。 【遺族基礎年金】 79万5,000円(2人目の加算額:22万8,700円、3人目以降の加算額:7万6,200円) 【遺族厚生年金】被保険者が加入していた老齢厚生年金の、報酬比例部分の4分の3の金額 子どもが複数人いる場合には、受給できる金額を合計して、人数で割った金額が1人分の受給金額です。 遺族基礎年金で受給できる金額は定額ですが、遺族厚生年金は被保険者の生前の加入状況によって違ってきます。両親が共に亡くなってしまった場合、子どもは「両方の遺族年金を合算して受給できる」というわけではありません。父親と母親、受給金額が多いどちらか一方のみを選択して受給することになります。どちらを選ぶのか決定したら、最寄りの年金事務所にて手続きしてください。 未成年者の各種手続きに必要なのは? 両親が亡くなってしまった場合、子どもが遺族年金を受給するためには、各種手続きを進めていく必要があるます。とはいえ、未成年の子どもが自分で手続きすることはできません。亡くなった親に代わって親権を獲得した人や未成年後見人が、子どもの代理で手続きを進めます。 未成年後見人とは、未成年者に代わって法的契約を結んだり、その財産を管理したりすることを認められている人。親権者がいない場合に、未成年者の利益や権利、そして財産を保護する目的で各種権限を保有しています。親が亡くなったあと、未成年の「親代わり」と言っても良い重要な存在ですが、誰でもすぐになれるわけではありません。未成年後見人を選任するためには、まずは家庭裁判所への申し立てが必要に。未成年者本人もしくは親族が手続きします。 未成年後見人は、家庭裁判所が決定します。親族が選任されるケースもあれば、弁護士や司法書士といった専門家が選任されるケースも。それぞれの子どもの状況を見極めて、最善だと認められる人が未成年後見人に選任される仕組みです。 未成年後見人が選任されたら、子どもの代理人として遺族年金の受給手続きを進めていけるでしょう。支給された遺族年金も、未成年後見人の手で管理されます。幼い子ども自身が動かなければならない場面はありませんので、安心してください。 親として子どものためにできることは? 親として子どものためにできることは? 両親が共に死亡してしまった場合、遺族年金が受け取れるとはいえ、子どもの負担は非常に大きなものになってしまうでしょう。万が一のときでも、子どもの生活をできる限り守るため、未成年後見人を事前に指名しておくのがおすすめです。 先ほど「未成年後見人は家庭裁判所で選定される」とお伝えしましたが、両親が遺言書であらかじめ指定していた場合、その限りではありません。遺言書で指定されていた人が市町村役場で所定の手続きを終えるだけで、後見人として動けるようになります。両親が死亡したあとのさまざまな手続きについても、法的な立場をもって素早く対処していけるでしょう。 未成年後見人を事前にしておくメリットは、ほかにもあります。後見人に指定したい人に対して、両親からあらかじめ話を通しておけるでしょう。信用できる相手を自分で選定できますし、「万が一のときには○○してほしい」と、あらかじめ希望を伝えておくことも可能です。依頼される側としても心の準備ができますし、いざというときには、すぐに行動に移せるのではないでしょうか。子どもの精神面での安定にも役立つはずです。 遺言書で未成年後見人を指定する場合、家庭裁判所は介入しません。同時に未成年後見監督人も指定し、子どもの財産や身上監護上のチェックができる体制を整えておくのがおすすめです。 子どもが遺族年金を受け取る場合のリスクとは? 両親が共に亡くなり、子ども自身が遺族年金を受け取る場合、実際にその財産を管理するのは未成年後見人です。親族等がその役割を担う場合、子どもの財産を私利私欲のために使ってしまう恐れがあります。 本来であれば、子どもの利益を保護するために選任される未成年後見人。本来の役割を果たしていなかった場合でも、子ども自身がその事実にすぐに気付くのは難しいでしょう。特に遺言書で未成年後見人を指名する場合、チェック体制が働きにくいという点も知っておいてください。誰に依頼すれば、子どもの財産を適切に管理してくれるのか、親として厳しい目で判断することが大切です。 子どもも遺族年金の受取人になれる 子どもも遺族年金の受取人になれる 両親が死亡した場合、遺族年金の受取人は子どもです。どちらか一方の遺族年金を選択する必要はありますが、子どものその後の生活を支える助けとなってくれるでしょう。 一方で、未成年である子どもに年金受給のための手続きはできません。未成年後見人を選定し、子どもの代理人として手続きをし、大人になるまでの間は適切に財産管理をしてもらわなくてはならないでしょう。 親として、万が一のときのためにできるのは、「信頼できる相手を見つけ、未成年後見人になってもらえるようあらかじめお願いしておくこと」です。きちんと準備を整え、自身の思いも伝えておきましょう。両親に万が一のことがあった場合、子どもがどういった状況になるのかを想定した上で、何が必要なのか検討してみてはいかがでしょうか。

  • 学資保険は財産分与の対象?なる場合・ならない場合や養育費との関係を解説

    夫婦が離婚する場合に、問題になりやすいのが「財産分与」です。子どもがいる場合、「学資保険はどうなるのか?」と不安を感じる方もいるのではないでしょうか。 学資保険が財産分与の対象になるのかどうか、わかりやすく解説します。養育費との関係性についても解説するので、ぜひ参考にしてみてください。 学資保険は基本的に財産分与の対象になる 財産分与とは、夫婦が婚姻中に築いた財産を、離婚に伴い公平に分割することを言います。夫婦の間に子どもが生まれ、その子どものために学資保険に加入した場合、保険料は「夫婦が協力して収めたもの」と判断されます。夫婦の共有財産だからこそ、離婚する場合は財産分与の対象になるという仕組みです。 学資保険は子どものための保険であり、「子どもに所有権がある」と思う方も多いかもしれません。しかし、そもそも保険とは契約者自身の財産として考えられます。「子どもの財産」として扱われるわけではないという点を、頭に入れておきましょう。 学資保険には、「契約者に万が一のことがあった場合、その後の保険料支払いが免除される」という特徴があります。このため、世帯主である「父親」を契約者として、学資保険に加入しているご家庭も多いのではないでしょうか。一方で、夫婦が離婚する場合、母親側が親権を獲得するケースが目立ちます。「学資保険は子どものお金だから、父親が母親に渡すのは当然」と主張される可能性もあるでしょう。 まずは、「学資保険=子どものもの」という思い込みを忘れてください。夫婦の共有財産として、どのように分割するのがベストなのか、冷静に話し合う必要があります。 学資保険が財産分与の対象にならないケースとは? 一方で、同じ学資保険であっても財産分与の対象にならない事例も存在しています。それは、学資保険の支払い状況から、「夫婦が婚姻中に築き上げた共有財産」とは認められない場合です。 たとえば、子持ちで再婚した場合が挙げられるでしょう。前妻との間に子どもがいて、その後現在の妻と再婚したとします。前妻との間の子どものために学資保険に加入していて、現在の妻と婚姻する前に保険料を払い終えていた場合、その学資保険は夫の特有財産です。現在の妻と離婚することになっても、妻側は学資保険の財産分与を主張できません。 再婚や連れ子にかかわらず、「保険料を納めている時期の夫婦の関係性」をもとに、財産分与の対象になる・ならないが判断されます。判断に悩む場合は、離婚問題に強い弁護士等に相談してみると良いでしょう。 学資保険を財産分与する2つの方法 学資保険の契約中に財産分与する場合、主に2つの方法が考えられます。 ・保険を解約して解約返戻金を平等に分割する・保険契約を維持したまま、満期返戻金の半額を相手に渡す それぞれの特徴について、詳しく解説します。 ★1.中途解約なら素早くすっきり 離婚する時点で学資保険を解約すれば、後腐れなく財産分与できるでしょう。保険を解約し手に入ったお金を平等に分けるだけなので、トラブルになりにくいというメリットがあります。 ただし学資保険の場合、満期を迎える前に解約すると元本割れする可能性も。返戻率の高さが魅力で学資保険に加入した場合も、無駄になってしまいます。学資保険に加入する期間や保険料を無駄にしたくないと考える方にとっては、デメリットの多い方法と言えるでしょう。 ★2.保険契約を維持する方法も 学資保険は、子どものための保険です。だからこそ、財産分与をしつつ、子どものための契約は維持するという方法も選択できます。 学資保険の契約者が子どもの親権を獲得する場合、満期返戻金の半分に当たる金額を、離婚するパートナーに支払います。子どもが成長し満期返戻金を受け取ったら、全額すべてが自分のものになるでしょう。一方で、学資保険の契約者ではない方が子どもの親権を獲得した場合、まずは保険契約者を変更します。その上で、離婚するパートナーに満期返戻金の半分に当たる金額を支払いましょう。 こちらの方法を選択すれば、財産分与後も学資保険の契約はそのまま維持できます。これまでに支払った保険料を無駄にせず、子どもの将来にも備えられるでしょう。一方で、保険契約者には、離婚するパートナーに支払う現金を用意するという負担が発生します。離婚時には何かと物入りですから、お金の工面をどうするのかがポイントになるでしょう。 学資保険を養育費の一部とする方法も 学資保険を養育費の一部とする方法も 子どもがいる夫婦が離婚する場合、財産分与とともに問題になりやすいのが養育費についてです。子どものための備えである学資保険は、「養育費の一部」として扱うのもおすすめ。あえて財産分与の対象にしないことで、トラブルを避ける方法もあります。 具体的には、 ・契約者の名前を親権者へと変更し、保険料の支払いを続ける・満期返戻金の半分に当たる金額の支払いを求めない といった方法が考えられます。 この場合、養育費の取り決めと学資保険の支払い・受取について、事前にしっかりと話し合っておきましょう。話し合いの結果をきちんとした形で取りまとめておけば、後々のトラブルを防ぐ効果も期待できます。 離婚するなら「学資保険の名義変更」を忘れずに 子どもの学資保険をどのように財産分与するのかは、離婚時の話し合いにて決定するもの。何かと忙しい時期でつい忘れてしまいがちですが、「学資保険の契約名義」だけは、確実に親権者へと変更しておきましょう。 特に中途解約しない形で学資保険を財産分与した場合、契約名義を変更しないまま放置してしまうケースも少なくありません。たとえ「子どもが大きくなったら渡すから大丈夫」「養育費として将来的に渡す」などの口約束があっても、実際に約束が守られるとは限らないでしょう。 学資保険は、契約してから受け取りまでに10年以上が経過するケースが一般的です。離婚時の話し合いが比較的円満に進んだとしても、保険金を受け取るタイミングまで同じ状況が続くとは限らないのです。子どものための保険だからこそ、財産分与の段階でしっかりと契約名義の変更を行い、確実に子どものために使える環境を整えておくのがおすすめです。 学資保険は財産分与の対象だからこそしっかりと話し合いを 学資保険は財産分与の対象だからこそしっかりと話し合いを 学資保険は、基本的に財産分与の対象になります。契約中の保険をどのように財産分与するのか、養育費との関係をどうするのかなど、しっかりと話し合った上で子どもにとってより良い方法を選択しましょう。 中途解約する場合もしない場合も、メリットとデメリットの両方があります。自分にとって何がベストかわからないときには、専門家に相談してみるのもおすすめです。

  • 学資保険への加入…受取人は誰にするべき?損しないために税金知識を身につけよう

    子どもの将来の進学に備えて加入するのが「学資保険」です。実際に加入する際には、「受取人を誰に指定するべきか?」という点で悩む方も多いのではないでしょうか。 学資保険の受取人には、各種「税金」が関わってきます。基本的な知識を身につけた上で、誰を受取人にするのか検討してみてください。 学資保険の「契約者」「被保険者」「受取人」とは? 学資保険の「契約者」「被保険者」「受取人」とは? 学資保険を契約する際には、3つの立場が関連してきます。それが「契約者」「被保険者」「受取人」です。 契約者とは、学資保険契約を結ぶ人のこと。実際に掛け金を支払う人と言い換えても構わないでしょう。子どものために加入する学資保険ですが、未成年である子ども自身が契約を結ぶわけではありません。親や保護者の立場にあたる人が、契約者になるケースが一般的。学資保険には「契約者に万が一のことがあった場合に、以降の保険料支払いを免除する」という特約がセットになっているため、夫婦のどちらが契約者になるか、じっくりと検討してみてください。 一方で「被保険者」とは、保険の対象となる人を指します。学資保険の場合、子どもが被保険者にあたります。「まだ赤ちゃんだけど…被保険者に指定できるのか?」と不安を抱く方もいるでしょうが、問題はありません。学資保険で保険金が支払われるタイミングは、この「被保険者」の年齢によって判断されます。 最後に、「受取人」とは支払われた保険金を受け取る人のこと。加入する学資保険によっても異なりますが、一定のルールの中で、契約者が自由に選択できるケースも珍しくありません。誰を受取人に指定するのかによって、保険金受取時の税金の取り扱いが異なるため、事前に知識を身につけておきましょう。 受取人を「契約者自身」に指定した場合の税金は? 学資保険の受取人指定で多く見られるのは、 ・契約者自身を受取人に指定する・子どもを受取人に指定する という2パターンです。 まずは契約者自身を受取人に指定した場合の、税金の考え方についてチェックしてみましょう。 学資保険の満期保険金を契約者自身が受け取る場合、課せられる可能性がある税金の種類は「所得税」と「住民税」です。満期保険金を一括で受け取る場合は「一時所得」として、年金形式で毎年受け取る場合は「雑所得」として扱われます。 一時所得は、以下の計算式で求められます。 【満期保険金-これまでに支払った保険料-特別控除額(50万円)】 この計算式で0円以上の金額になった場合、その2分の1をその他の所得と合わせて所得税・住民税が課税されます。 学資保険の場合、受け取る満期保険金額が数百万円と高額になるケースも多いでしょう。一方で、実際に保険金が支払われるまでに、それに近い金額を支払っているケースがほとんどです。満期保険金から掛け金を引いた金額が特別控除額である50万円以上になるケースは、極めて稀。満期保険金を受け取った際に、税金面で過度な不安を感じることはないでしょう。 一方で、学資保険を年金形式で受け取り、雑所得として扱われる場合は特別控除額がありません。年金形式で受け取る学資保険の雑所得は、以下の計算式で求められます。 【1年間で受け取る保険金額-1年間で受け取る保険金額×(これまでに支払った保険料÷総支給見込み額)】 たとえば、400万円の学資保険(保険料支払い額380万円)を4年間で100万円ずつ受け取る場合、雑所得は1年間に「5万円」と計算されます。この5万円がそのまま課税対象金額と判断され、その他の雑所得と合わせて課税される可能性があります。 保険契約者が会社員の場合、年間で取得した雑所得が20万円までなら、所得税は発生しません。本業以外に副業を行い、雑所得として処理している場合は年間所得額に注意しましょう。一方で、保険契約者が自営業の場合、こうしたルールは存在しません。年間の雑所得が20万円以下であっても所得税が課せられますし、住民税も発生します。 自営業者の場合は特に、「学資保険の満期保険金をどう受け取るか?」が、負担軽減の鍵となるでしょう。 受取人を「子ども」に指定した場合の税金は? 受取人を「子ども」に指定した場合の税金は? 続いては、学資保険の受取人を「子ども」に指定した場合の税金についてチェックしていきましょう。学資保険とは、当然子どものためのもの。「だったら子ども自身を受取人にしておけば間違いないだろう」と考える方もいるのではないでしょうか。 学資保険の受取人を「子ども」にした場合、当然「保険料を支払う人(契約者)」と「実際に保険金を受け取る人(受取人)」は異なります。この場合、受け取った満期保険金は「契約者から受取人に対して贈与されたもの」として捉えられるのです。先ほどとは違って、「贈与税」の対象になる可能性があります。 贈与税は、毎年1月1日から12月31日までの間で受け取った財産の金額が110万円以上の場合に課税されます。贈与税率はさまざまな条件によって異なりますが、200万円以下であれば10%、400万円以下であれば15%~20%が適用されます。 学資保険の贈与税は、以下の計算式で求められます。 【(満期保険金-基礎控除額110万円)×贈与税率-控除額】 たとえば300万円の満期保険金を、子どもが18歳のときに父親から贈与された場合、贈与税は19万円です。 学資保険の受取人は基本的に「契約者自身」に設定するのがおすすめ 学資保険の「受取人」を指定する際に、「とにかく満期保険金が入れば良いのだから誰でもいい」と安易に判断するのは危険です。 受け取る満期保険金が契約者自身の「所得」として扱われるのか、第三者への「贈与」として受け取られるのかによって、課せられる税金額は大きく異なってくるでしょう。特に学資保険の場合、贈与税額によっては「返戻率によって得した分がチャラになる」という可能性も。教育費がかさむ時期だからこそ、余計な税金は支払わなくても済むよう、事前準備を整えておきましょう。 学資保険は、「孫の将来のために」と祖父母が加入するケースも多く見られます。こちらの場合も、満期保険金を受け取る際の税金についても考慮した上で、誰を受取人にどのような形式で受け取るのがベストなのか検討してみてください。 学資保険の受取人は慎重に判断しよう 子どもが生まれたあとに、学資保険への加入を検討する方は多いでしょう。自動的に決定する「契約者」や「被保険者」と比較して、「受取人」については悩みがちです。自分たちで決定できる自由があるからこそ、将来発生する可能性がある税金についても視野に入れて、慎重に検討してみてください。 悩んだときには、「契約者=受取人」に指定して満期保険金は「一括で受け取る」方式を選ぶことで、課税される可能性をもっとも低くできるでしょう。学資保険に加入する際には、ぜひ参考にしてみてください。

  • 「死亡保険金は相続財産ではない」は本当?理由や相続税について詳しく解説

    被保険者が亡くなったときに支払われる死亡保険金。「万が一のときでも、家族の生活を守れるように」との思いで、加入を検討している方も多いのではないでしょうか。死亡保険に加入する際に知っておきたい、「相続財産」との関係性や税金についてもわかりやすく解説します。 死亡保険と相続財産の関係性は? 子どもが生まれたタイミングで、死亡保険への加入を検討する方も多いのではないでしょうか。自分たち親に何かあれば、子どもの生活は金銭面で苦しくなる可能性も高いです。死亡保険金という形でまとまった金額を残しておけば、その後の生活も安定させやすくなるでしょう。死亡保険への加入は、非常に大きな意味を持ちます。 とはいえ死亡保険がきっかけで、将来的に相続トラブルが発生してしまう可能性も。加入の段階からそのリスクを知っておくことで、余計なトラブルを回避しやすくなるでしょう。 まず頭に入れておきたいのは、「死亡保険金は原則として相続財産とはみなされない」という事実です。死亡保険金は受取人固有の財産として扱われるため、その他の相続財産のように、相続人同士で分割する必要はありません。 夫と妻、2人の子どもがいる家族で夫が亡くなった場合、相続人となるのは残された妻と2人の子どもです。仮に夫が、妻を受取人に2,000万円の死亡保険に加入していた場合、夫の死亡とともに保険金が支払われます。死亡保険金以外に相続財産が4,000万円あった場合、法定相続分に従って妻が2,000万円、2人の子どもが1,000万円ずつ受け取ることになるでしょう。死亡保険金と合わせると、妻が4,000万円、子どもたちそれぞれが1,000万円ずつという割合になります。 このように死亡保険金は相続財産として扱われないため、死亡保険金の受取人であるかどうかで、被相続人の死後に受け取る金額が大きく変わってくる可能性があります。死亡保険金の受取人以外の相続人にとっては、不公平感を抱きやすいポイントだと言えるでしょう。 子どもが生まれたタイミングで死亡保険に加入する方は、決して少なくありません。配偶者を受取人に指定しておけば、すぐに相続トラブルが発生する可能性は低いでしょう。子どもがまだ幼いうちに被保険者が亡くなった場合、配偶者が受け取った保険金は、「子どもを含めた家族のため」に使われるからです。 一方で死亡保険とは、途中で解約しない限り、被保険者が死亡するまで続いていく保険です。子どもが幼い頃に加入した死亡保険に加入し続け、数十年後に保険金を受け取るようなケースも多いでしょう。 このような場合、被保険者や受取人を取り巻く環境は大きく変化しているはずです。配偶者や子どもたちの間で相続トラブルが発生する可能性もあるという点も、頭に入れておいてください。 死亡保険金と相続税の関係性は? 死亡保険金と相続税の関係性は? 死亡保険金について、もう一点知っておきたいのが「相続税」との関係性についてです。先ほどもお伝えしたとおり、死亡保険金は原則として相続財産に含まれません。一方で、相続税の計算には含まれるのです。このような特徴を持つ財産を「みなし相続財産」と言います。 死亡保険金には「残された家族の生活を支えるためのもの」という目的があるため、一般的な相続財産と比較して、より手厚い非課税枠や控除が用意されています。「500万円×法定相続人の数」までは相続税が課せられませんし、この枠に収まらなかった場合でも、相続税の基礎控除や債務控除の対象にできます。その他の相続財産と合わせて「3,000万円+600万円×法定相続人の数」までであれば、やはり相続税は課せられないでしょう。また被相続人が残した借金がある場合や、葬儀費用が発生した場合、これらの金額も控除できます。 死亡保険金の受取人が配偶者であれば、さらに優遇されており、死亡保険金が1億6,000万円以下であれば相続税は発生しません。 家族のために死亡保険金を残しても、相続税が発生すれば、手元に残るお金は少なくなってしまうでしょう。いくらの死亡保険に加入するのか、受取人を誰にするのかといった項目は、その他の相続財産や家族構成なども考慮して検討してみてください。 死亡保険金が相続財産に含まれない理由とトラブル回避方法は? 最初にお伝えしたとおり、死亡保険金は相続財産には含まれません。とはいえ、受取人以外の相続人の立場としては、「いったいなぜ相続財産として扱われないのか?」「その他の財産と合わせて分配すれば良いのでは?」と、不満を感じる可能性もあるでしょう。 なぜ死亡保険金が相続財産に含まれないのかというと、被保険者の死亡によって支払われた死亡保険金は、亡くなった人のものではないからです。保険契約に基づいて受取人が指定されている以上、「最初から受取人のものである」と判断されます。亡くなった人の財産ではないため、相続財産としても扱われないという仕組みです。 だからこそ、被相続人が遺言書を残す場合でも、自身が被保険者として加入している死亡保険について記載する必要はありません。受取人に指定されていた人がすでに死亡していた場合、死亡保険金は「被保険者の相続人」ではなく「受取人の相続人」のもとへと支払われます。 例として、夫が妻を受取人にして死亡保険に加入していた場合を考えてみましょう。妻が生きていれば妻が保険金を受け取りますし、妻が亡くなっていても、夫婦間に子どもがいれば、子どものもとに保険金が支払われるはずです。一方で、夫婦間に子どもがいなかった場合、話は少し複雑になります。夫が亡くなった場合に支払われる死亡保険金を受け取るのは、夫ではなく妻の相続人です。妻の直系尊属(両親や祖父母)、妻の兄弟姉妹が対象になる可能性があります。亡くなった夫の親族としては、複雑な感情を抱いてしまうかもしれません。 死亡保険と相続に関するトラブルを避けるためには、両者の関係性や受取人について、契約時からしっかりと認識しておくことが重要です。その上で、誰を受取人に指定するべきか、よく検討してみてください。状況によっては、遺言書を活用するのもおすすめです。死亡保険金の受取を踏まえて、相続人同士が不平等な状況になり過ぎないよう、事前に相続割合を指定しておきましょう。 死亡保険と相続財産について知った上で検討を 死亡保険と相続財産について知った上で検討を 「死亡保険金は相続財産ではない」というのは本当です。ただし相続税の計算には含まれるので、申告時には注意しましょう。 いざ相続がスタートした際に、死亡保険がきっかけでトラブルになるケースは少なくありません。「家族を思って残すお金」だからこそ、適切な知識を身に付けた上で、賢く活用してみてください。

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