【夫婦】財産分与とは何か?遺産分割との違いも含めて詳しく解説

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【夫婦】財産分与とは何か?遺産分割との違いも含めて詳しく解説
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財産分与とは何でしょうか。単語は知っているけど、「遺産分割」と「財産分与」の違いを知らない方は多くいるのではないでしょうか。今回はそんな難しいけど問題なく解決したい財産分与について解説していきます。

財産分与と遺産分割の違いとは

これまで「遺産」や「財産」などに関わる機会が少なかった方たちからすると、「財産分与」と「遺産分割」の違いは何か、わかりにくいのではないでしょうか。

「財産分与」と「遺産分割」は、いずれも財産・遺産を分ける手続きの際に用いられる言葉ですが、場面が全く異なっています。

財産分与とは

離婚をした者の一方が他方に対して財産の分与を請求できる制度を言います。

財産分与はこれらに基づいて定められています。

  • 夫婦が共同生活を送る中で形成した財産の公平な分配
  • 離婚後の生活保障
  • 離婚の原因を作ったことへの損害賠償の性質

特に、1つ目の意味合いが強いとされています。つまり、離婚してもなるべく今までと同じレベルの生活を続けられるように均等に分けましょうといったものです。

遺産分割とは

遺産分割とは、被相続人(亡くなった方)の財産を相続人で分配する手続きのことです。被相続人が死亡した場合、残された財産(遺産)は、何人かの相続権のある方の中で共有状態になっています。ですので、相続人間で遺産の所有を確定させなければなりません。この遺産の所有を確定するために、遺産分割が必要となります。

財産分与の対象となる資産はどこまでなのか

では、財産分与の対象となるのはどこからどこまでなのでしょうか。

一緒に生活していたのですから、家や家具家電はもちろん、貯金やペットなどはどうなるのでしょうか。

夫婦のいずれか一方の名義になっている財産であっても、実際には夫婦の協力によって形成されたものであれば、財産分与の対象となります。

離婚までに協議をしておき離婚と同時に分与するのが最もよいでしょう。離婚をしてから分与を請求することもできますが、離婚から2年以上経過してしまうと、家庭裁判所に申立てができなくなりますので、お気をつけください。

財産分与で注意すべき点

実際、財産分与をするとなった場合に注意すべき点はいくつかあります。お金や財産のお話ですので、しっかり注意しましょう。

相続した遺産を配偶者が「財産分与の対象だ」と言って話し合いがまとまらない

相手が相続した遺産を配偶者が財産分与の対象ではないかと申し出てくる場合がよく見られます。しかし、相続した遺産は共有財産ではないため、財産分与の対象財産にはなりません。

単独名義の不動産について

例えば、婚姻中に夫の収入で土地や建物を購入して夫の単独名義になっているとしましょう。その場合、家事の分担などによって異なります。名義人がほぼ100%で働き、かつ家事もこなしていたのであれば、名義人の物になります。

妻が家事等を分担して夫を支えていたときは、その建物は、実質的には夫婦2人の財産といえると考えられます。

相続したペットは財産分与の対象になるのか

家族・子として育ててきたペットも、法律上は「物」として扱われることになります。

そのため、離婚するにあたって、夫婦間でペットの引き取りについて揉めた場合には、離婚における財産分与の問題として考えていく必要があります。

夫婦が結婚後に飼育することになったペットに限られ、結婚前に夫婦の一方が飼育していたペットは、従前から飼育していた者の所有物として扱われるため(民法762条1項)、夫婦の共有財産の清算である財産分与の問題は生じません。つまり、相続したペットも上記同様、共有財産ではないため、財産分与の対象とはなりません。

遺産・財産分与はできれば弁護士に依頼しよう

夫婦間で相談した結果、分からないことがあった場合は弁護士に相談するのがよいでしょう。財産は大切なものですので、些細なことでもわからなければ相談してください。

弁護士に依頼することで財産を探すことができる

弁護士に依頼することで、自分たちでは気が付かなかった共有財産が出てくる場合があります。貰い損ねることのないよう、気になる場合はすぐにでも相談してみましょう。

自分で交渉するよりも、多くの財産を得られる可能性がある

また、しっかりとした国家資格を持っている方である弁護士に相談することによって、どちらのものか分からず曖昧な物をはっきりと区別が出来るでしょう。

調停に同席し、主張をサポート

離婚調停になった場合、弁護士が同席してくれるので分からないことも説明してくれる心強い存在になることでしょう。これまで、弁護士に相談したことない方は金銭面とかで躊躇してしまうかもしれませんが、初めは無料で相談できる場所も多くありますので1度行ってみるのも手です。

相続した遺産は財産分与の対象となるのか

先程も少し出てきましたが、相続した遺産は財産分与の対象とならないのが原則です。

法定財産制における夫婦の財産には共有財産と特有財産があります。共有財産とは、婚姻期間中に夫婦の協力によって取得し維持した財産をいいます。特有財産とは、婚姻前から夫婦の一方が有していた財産あるいは、婚姻中でも夫婦の協力とは無関係に取得した財産をいいます。

離婚にともなう財産分与の対象となるのは共有財産のみです。財産分与は、夫婦の共有財産を婚姻関係の解消にともない公平に分配する清算的要素をその中核とするからです。

まとめ:遺産分割と財産分与は別物

遺産分割と財産分与は全くの別物です。名前は少し似ていますが、遺産分割はその財産を持った方が亡くなった場合に相続人で財産を分けること、財産分与は離婚する際に、夫婦間で共有していた財産を分けることです。

共有財産は均等に分け、名義人が片方であってもどのように使用していたかによって分け方が異なってきます。 もし、分からない場合はきちんと法律を理解している専門家である弁護士に相談してはいかがでしょうか。

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大嶋 晃

司法書士 プロフィール 福島県白河市生まれ。 旅行会社勤務の後、2012年司法書士試験合格、2014年に独立開業。 東京司法書士会千代田支部所属。 身近な街の法律家として親切丁寧な対応を心掛け、幅広い相続案件に取り組む。 不動産名義変更相談窓口「https://www.meigihenkou-soudan.jp/

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