初めての遺言作成ならぜひ検討を!遺言にまつわる便利なサービス

投稿 更新
Category:
遺言

contents section

初めての遺言作成ならぜひ検討を!遺言にまつわる便利なサービス
シェアボタン
この記事は約10分で読めます。

子育てがひと段落すると、自分たち夫婦の未来が気になるものです。「そろそろ老後の準備を始めようかな…」と思っている方におすすめなのが、遺言の作成です。自身の最期のメッセージを大切な人たちに届け、また自身の思いを相続に反映させられるでしょう。

終活ブームを迎えている今、遺言作成をサポートしてくれる便利なサービスが多数登場しています。初めての遺言作成で利用したいサービスを紹介するので、ぜひチェックしてみてください。

デジタル遺言サービス

デジタル遺言サービス
デジタル遺言サービス


デジタル遺言サービスとは、近年特に注目されているサービスのひとつです。自身の遺言をオンライン上に残しておき、タイミングと相手を事前に指定。自身が設定した条件を満たした段階で、相手のもとにメッセージを届けられます。法的拘束力は持たないものの、自身の思いをより手軽に伝えるための方法として、高く注目されています。

デジタル遺言サービスを利用するメリットは、以下のとおりです。

・自宅のパソコンやスマートフォンから、いつでも手軽に遺言を残せる
・内容を変更する際の手間がかからない
・動画でメッセージを伝えられる
・オンライン上のログイン情報の管理がしやすい

終活を検討し始めたばかりの方にとって、「遺言は具体的に」と言われても、何をどうすれば良いか戸惑うケースも多いのではないでしょうか。デジタル遺言サービスなら、いつでもどこでも、好きなときに手軽に遺言を残せます。「やっぱり内容を変更したい」と思ったときでも、自分で手間なく作業できるでしょう。自身の思いをまとめるのにも役立つはずです。

また各種SNSやオンラインバンキングなど、自分に万が一のことがあったときのため、「ログイン情報をまとめておきたい」と思う方にも役立ちます。デジタル遺言サービスは、こうした情報の管理・伝達とも相性が良いでしょう。

一方で、デジタル遺言サービスにもデメリットはあります。先ほどもお伝えしたとおり、法的な効力を持たないため、オンライン上に保管されたメッセージが正式な「遺言書」として認められるわけではないのです。デジタル遺言サービスを通じて、正式な遺言書を残したいと思ったときには、また別のサービスの利用が必要になるでしょう。

デジタル遺言サービスには、無料で利用できるものも少なくありません。将来的に正式な遺言書を残したくなった場合に、作成をサポートする機能を備えているところもありますから、自身のニーズに合わせて利用先を検討してみてください。

遺言書案文イメージの無料作成サービス

遺言書案文イメージの無料作成サービス
遺言書案文イメージの無料作成サービス


「どうせなら法的拘束力を持った遺言書を作成したいが、わざわざ専門家に相談するのはちょっと…」と思う方におすすめなのが、遺言書案文イメージの無料作成サービスです。オンライン上で遺言内容に関する質問に回答していくと、その内容を反映した案文イメージを作成。イメージをもとに自身の手で清書すれば、自筆証書遺言が作成できます。

自筆証書遺言とは、遺言作成者が自筆で残す遺言書のこと。自分一人で、自宅でも作成できる遺言書として、近年注目を集めています。費用がかからない点も、自筆証書遺言のメリットと言えるでしょう。

一方で、専門家の手を経ずに作成できるため、内容の不備によるトラブルがあとを絶たないのも事実です。自筆証書遺言の有効性が認められなければ、メッセージとして残せはしても、法的な効力は持たせられません。相続に自身の遺志を反映させるのも難しくなってしまうでしょう。

遺言書案文イメージの無料作成サービスを使えば、自身の希望に沿った内容の案文イメージを手軽に入手できます。あとは自分自身の手で書き写すだけですから、ミスが発生するリスクも少なくなるでしょう。難しいことを考えなくても自筆証書遺言を作れるというメリットもあります。法定相続人の遺留分チェックを受けられるサービスを利用すれば、「親族間に憤りや悲しみを残さない遺言書内容」を作成しやすくなるでしょう。

ただしあくまでも無料サービスのため、対応できる範囲には限界があります。比較的シンプルな内容の遺言には対応できても、そうではない場合、自身の思いを反映させるのが難しくなってしまう恐れも。遺言書作成の初期段階で、自身の思いをはっきりさせるためのステップとして活用するのもおすすめです。

専門家事務所による遺言作成支援サービス


複雑な内容の遺言書を、より確実な形で残したいと思う場合には、専門家の手を借りるのが一番です。遺言書の作成支援サービスは、司法書士事務所や行政書士事務所、弁護士事務所や信託銀行などでも提供されています。

専門家事務所の遺言作成支援サービスを利用した場合、以下のようなサポートを受けられるでしょう。

・相続財産の調査
・法定相続人に関する調査
・個別の状況を把握した相談
・遺言内容のチェック
・遺言書の保管
・遺言の執行

実際にどういったサポートを受けられるのかは、依頼先の専門家事務所によって異なります。サービス内容によって専門家報酬の金額は変わってきますから、正式依頼前にしっかりとチェックしておきましょう。

コストはかかりますが、「できるだけ素早く、確実な遺言を残しておきたい」と思う方にはぴったりのサービスです。遺言書作成に強い専門家を探してみてください。

国が提供するサービスにも注目してみよう!


初めて遺言を作成するなら、ぜひ国が提供しているサービスにも注目してみてください。法務局では2020年7月より、自筆証書遺言書保管制度をスタートしています。自分で作成した自筆証書遺言を、法務局にて保管してもらえるサービスです。

自宅で手軽に残せる自筆証書遺言ですが、

・長い保管期間中に内容を改ざんされてしまう
・相続が発生しても発見されない

といったリスクがあります。作成した自筆証書遺言を法務局で保管してもらえば、改ざんや紛失の恐れはなく、また相続開始と共により確実に相続人のもとへ届けられるでしょう。また相続が発生した際に、家庭裁判所の検認が不要であるというメリットもあります。

こちらのサービスを利用するためには保管申請手数料として3,900円支払う必要がありますが、原本は遺言者死亡後50 年間、またその画像データは遺言者死亡後150年間と、長期にわたって確実に保管され続けます。自筆証書遺言を検討するなら、安心安全のためにも、ぜひこちらのサービスもセットで検討してみてください。

便利なサービスも活用して初めての遺言作成を!


初めての遺言作成では、何をどうすれば良いかわからない方も多いはず。最初の一歩を踏み出すためには、今回紹介した便利サービスを利用するのもおすすめです。情報を整理し、自身の思いを見つめ直すきっかけにもなるのではないでしょうか。無料で利用できるサービスも多いので、ぜひ検討してみてくださいね。

Category:
遺言
シェアボタン

この記事を書いた人

writer

profile img

大嶋 晃

司法書士 プロフィール 福島県白河市生まれ。 旅行会社勤務の後、2012年司法書士試験合格、2014年に独立開業。 東京司法書士会千代田支部所属。 身近な街の法律家として親切丁寧な対応を心掛け、幅広い相続案件に取り組む。 不動産名義変更相談窓口「https://www.meigihenkou-soudan.jp/

related post

関連記事

  • 後見制度で相続税の節税対策ができる?制度詳細と注意点

    後見制度で相続税の節税対策ができる?制度

    両親が高齢になってくると、家族で相続税の節税対策について話す機会もあるかと思います。特に2016年の相続税法の改正以降、特別お金持ちの家庭でなくても高額な相続税が発生するケースが多発。相続が発生する前から、しっかりと準備を整えておくことが重要になってきています。 そうした状況の中、「成年後見制度で相続税対策が可能なのでは?」と注目する人が増えてきています。成年後見制度とはどういった制度で、

  • 「親の会社を相続する」とは?手続きの基本と注意点を学ぼう

    「親の会社を相続する」とは?手続きの基本

    経営者である親が亡くなった際に、発生するのが「会社の相続」です。個人の相続よりも複雑になる可能性もあるため、慎重に準備を進めていく必要があるでしょう。「会社を相続する」という言葉の意味や手続きの基本、覚えておくべき注意点まで詳しく解説するので、ぜひ参考にしてみてください。 「会社を相続する」とは? 「会社を相続する」とは? まずは、「会社を相続する」という言葉の意味を知ることか

  • 相続人死亡・行方不明の場合の相続はどうなる?税制上の注意点を解説

    相続人死亡・行方不明の場合の相続はどうな

    いざ相続の手続きをする際に、「あれ?この場合はどうなるのだろう…」と、疑問を抱くケースは少なくありません。相続人の状況は、各家庭によって異なるもの。インターネットや本の中に「自分のケースにピッタリと当てはまる事例」を見つけるのは難しいこともあるでしょう。 ここでは自身の状況に合った情報を探している方のために、「相続人が死亡している場合」と「行方不明の場合」それぞれについて、相続に必要な情報

  • 相続放棄を選択肢の1つに 子どもに負の遺産を相続させない

    相続放棄を選択肢の1つに 子どもに負の遺

    相続放棄を選択肢の1つに 子どもに負の遺産を相続させない 終活で遺産整理などを行っていると、返しきれない借金がある、ローンの返済が終わらないといった事態に気づく場合があるかもしれません。 もし借金やローンの返済が完済せずあなたが亡くなってしまった場合、返済義務は相続権のある子どもに渡ってしまいます。 子どもにそんな物を相続したくないと思う方に向けて、今回は相続放棄といった選

  • 不動産相続の基礎知識|相続財産の評価方法を学ぼう

    不動産相続の基礎知識|相続財産の評価方法

    不動産を相続する際に、気になるのが相続税についてです。実際に相続税が発生するかどうかは、相続対象の不動産の評価額によって決定されます。とはいえ、不動産の評価額をどのように決めれば良いのか、悩む方も多いのではないでしょうか。このコラムでは、不動産相続の基本として、評価方法の種類や特徴を解説します。ぜひ参考にしてみてください。 不動産を評価するための方法とは? 不動産を評価するための方法

  • 遺産として残された預貯金は引き出せない?対処法と手続きの流れ

    遺産として残された預貯金は引き出せない?

    身近な人が亡くなった際に、トラブルになりやすいのが「被相続人名義の預貯金の引き出し」についてです。預貯金や遺産として扱われるため、取り扱いには注意しましょう。「遺産として残された預貯金は引き出せない」と言われていますが、実際のところはどうなのでしょうか。対処法や必要な手続きについて詳しく解説します。 預貯金が引き出せなくなるのは口座が凍結されるから 亡くなった人の口座からお金が引き出

コトダマのバナー