遺族年金の受け取り方法を一から解説!必要書類や振込までの期間も紹介

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遺族年金の受け取り方法を一から解説!必要書類や振込までの期間も紹介
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一家の大黒柱に万が一のことがあった際に、残された家族の生活を支える柱になってくれるのが、遺族年金です。とはいえ、いざそのときを迎えた際に、迷いなくスムーズに手続きできる方は稀ではないでしょうか?

今回は、遺族年金を受け取るための手続き方法について、一からわかりやすく解説します。必要書類や振り込みまでに要する期間も紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。

遺族年金を受け取るためにするべきことは?

遺族年金を受け取るための手続きは、やや複雑です。できるだけスムーズに手続きできるよう、流れを頭に入れておきましょう。大まかな流れは以下のとおりです。

1.死亡届の提出

2.年金請求書の取得・記入

3.年金請求書の提出

4.遺族年金の受け取り

遺族年金を受け取るためには、まず死亡届を提出する必要があります。亡くなった方の状況によって提出先や方法が異なりますから、以下を参考にしてみてください。

・厚生年金加入者 → 会社に「資格喪失届」を提出する

・国民年金加入者 → 市町村役場に「国民年金被保険者死亡届」を提出する

・年金受給者 → 年金事務所に「年金受給権者死亡届」を提出する

死亡届の提出は、仮に遺族年金を受け取らない場合でも必要な手続きです。忘れないようにしましょう。請求書を提出する場合、死亡届と同時でも大丈夫です。

死亡届を提出したあとに、年金を請求するための手続きをスタートします。次項目で詳しくチェックしていきましょう。

遺族年金を請求する場合の手続きと必要書類

遺族年金を請求する場合の手続きと必要書類
遺族年金を請求する場合の手続きと必要書類

生前に国民年金に加入していて、遺族基礎年金の支給要件に当てはまっている場合、「年金請求書(国民年金遺族基礎年金)様式第108号」を準備して記入していきます。一方で、遺族厚生年金を請求する場合、必要な請求書類は「年金請求書(国民年金・厚生年金保険遺族給付)様式第105号」です。どちらの書類も、年金事務所や年金相談センターにて入手できます。

請求時の必要書類は以下のとおりです。

・基礎年金番号通知書(もしくは年金手帳等)

・戸籍謄本(記載事項証明書)

・住民票の写し(世帯全員分)

・収入確認書類(請求者と子ども)

・死亡診断書のコピー

・受取先金融機関の通帳やキャッシュカードのコピー

住民票の写しについては、請求書にマイナンバーを記載すれば、添付なしで提出可能です。また子どもが義務教育終了前もしくは高等学校等在学中の場合は、収入確認書類は必要ありません。義務教育以外の杯、在学証明書や学生証のコピーを提出しましょう。

死亡の原因に第三者が関わっている場合は、上にプラスして以下のような書類の提出を求められます。

・第三者行為事故状況届

・事故証明等

・確認書

・家族を扶養していた場合、その事実がわかる書類

・損害賠償金の算定書

こちらの場合、用意する書類の種類はさらに多く複雑になります。また過去に国民年金に任意加入しなかった期間がある場合も、それぞれで用意するべき書類があります。間違いなく用意するためにも、年金事務所窓口等で、一度しっかりと説明してもらうとわかりやすいでしょう。

書類がそろったら、申請する年金の種類に応じた窓口に提出しましょう。遺族基礎年金を請求する場合は、住所地の市区町村役場が窓口です。遺族厚生年金の場合、年金事務所窓口へと提出するようにしてください。

提出後2カ月以内に、「年金証書・年金決定通知書」等の書類が自宅へ届くでしょう。実際に振り込みがスタートするのは、さらにその1~2ヶ月程度あと。請求時に指定した口座に、2ヶ月に1度振り込まれます。

遺族年金の受け取り手続きは早めがおすすめ

遺族年金は、受け取りのための手続きを終えて、初めて振り込まれるお金です。家族が亡くなったあとは、何かと忙しいもの。バタバタしているうちに、ついうっかり、遺族年金の請求手続きを忘れてしまうようなこともあるかもしれません。

しかし、遺族年金には時効があり、「5年」と定められています。何も手続きしないままこの期間が過ぎると、「資格を満たしていても遺族年金を受け取れない」といった事態になりかねないのです。すぐに手続きができない場合でも、過去にさかのぼって請求すること自体は可能。しかしこのケースにおいても、「過去5年分」までしか受け取れません。

遺族年金の場合、たとえ死亡届を提出しても、年金事務所側から請求書が届いたり、遺族年

金対象者のお知らせが届いたりすることはありません。自分自身で受給要件を満たしているかを調べ、適切な手続きをとる必要があるでしょう。

・本当に自分が対象なのかわからない

・3年前に夫が亡くなったものの、遺族年金の手続きをしていない

このような場合には、一度現状をチェックするのがおすすめです。専門家や年金窓口で相談してみるのも良いでしょう。

遺族年金の請求手続きを代行してくれるのは?

遺族年金は、「誰でも簡単に請求できる」というわけではありません。また、請求手続きも非常に複雑です。日々の忙しさの中で、手続きしないままなんとなく放置してしまう方も、決して少なくありません。

こんなときには、ぜひ遺族年金の請求手続き代行業者を頼ってみてください。社会保険労務士や行政書士といった遺族年金の専門家に、面倒な手続きを任せられます。本当に自分が支給対象かどうかについても相談に乗ってもらえますから、まずは一度、アドバイスをもらうのもおすすめです。

代行業者の利用がおすすめなのは、以下のような条件に当てはまる方です。

・内縁関係にあったパートナーの遺族年金を請求したい

・平日の昼間に年金事務所を訪れる時間がない

・申請に必要な書類を集めるのが難しい

・手続きに関する説明を聞いても、よくわからない

手続きを代行してもらうためには、専門家に支払う報酬が発生します。とはいえ、遺族年金の請求漏れを防ぐためには、非常に有効な方法と言えるでしょう。「手続きしなければ…」と思いつつ、つい放置してしまっている方も、ぜひ一度相談してみてはいかがでしょうか。

遺族年金の請求手続きはやや複雑

遺族年金の請求手続きはやや複雑
遺族年金の請求手続きはやや複雑

遺族年金の請求手続きは、「所定の請求書に事実を記し、必要書類を添付して提出するだけ」と、いたってシンプルなもの。しかし、

・そもそも受給要件が複雑である

・請求手続きに必要な書類が多い

・年金事務所側からの案内が全くない

といった事情が絡み、やや複雑で難しいものになってしまっています。自分の場合はどの遺族年金を請求できるのか、しっかりとチェックした上で、適切な手続きをとる必要があるでしょう。

遺族年金には時効が設定されていて、5年以上が経過すると、せっかくのお金も受け取れなくなってしまいます。ときには専門家の手も借りつつ、できるだけ素早く手続きしておきましょう。残された家族の生活も、楽になるのではないでしょうか。

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大嶋 晃

司法書士 プロフィール 福島県白河市生まれ。 旅行会社勤務の後、2012年司法書士試験合格、2014年に独立開業。 東京司法書士会千代田支部所属。 身近な街の法律家として親切丁寧な対応を心掛け、幅広い相続案件に取り組む。 不動産名義変更相談窓口「https://www.meigihenkou-soudan.jp/

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