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    遺産にかかる税金とは?知っておきたい相続税の基礎知識

    遺産にかかる税金とは?知っておきたい相続税の基礎知識 子どもたちが独立してほっとしたのもつかの間、そろそろ老後のことと一緒に亡くなった後のことも考えなければならないかもしれません。特に最近は親世帯のみ、子世帯のみで生活しているご家庭が増えてきています。 本記事では、遺産にかかる税金について、計算方法と併せて解説します。自分たちが亡くなった後に困らないように財産の整理と一緒に相続にかかる税金についても考えてみませんか? 遺産にかかる税金「相続税」の手続きについて 遺産にかかる税金「相続税」の手続きについて 貯金や不動産などの財産を遺産として受け継いだ場合には税金として相続税がかかります。相続税は、借金や葬式費用などを除外したあとの残額が、基礎控除額よりも上回る場合にかかります。 財務省のホームページによると、令和元年時点での相続税がかかった方の割合は、亡くなられた方の8%程度です。  参照:『親が亡くなりました。遺産を相続する場合にどのような税金がかかるのですか?』 基礎控除額を超える部分の遺産は相続税の課税対象になります。 相続税の申告期限は被相続人がなくなった日の翌日から10ヵ月以内におこないます。相続税の納税も申告期限内におこなわなければなりません。 相続税の計算に誤りがあると、延滞税や過少申告加算税などのペナルティが課せられる場合もあります。 葬儀費用や相続する財産にまつわる確認などには、書類の取り寄せや手続きするのに時間がかかるものもあります。できるだけ生前のうちから財産を把握しておき、遺言書を準備しておくのが理想です。 遺産相続から税務署へ相続税申告までの税金支払い流れについて 遺言書があれば、原則その内容に沿って相続することになります。 遺言書がなければ、相続財産の分割方法について相続人全員で話し合い、決めなければなりません(遺産分割協議)。 話し合いによって決められた分割遺産の内容で相続税を計算したあと、税務署へ申告します。 遺産の税金対象となる金額について 相続した財産の内、課税対象になるのは、現金・預貯金、株式や債券等の有価証券、土地・建物等の不動産、貴金属、書画骨董等亡くなった人が所有していた財産です。これに加えて、亡くなったことによって入ってくる死亡保険金や死亡退職金等の「みなし相続財産」、相続開始前3年以内に贈与された財産や相続時精算課税制度を適用して贈与された財産も課税対象となります。これらの合計が課税対象となる課税相続財産総額です。 相続税の対象となる金額は、課税相続財産総額から債務・葬儀費用・非課税財産を差し引いた正味の遺産額で計算します。 非課税財産に該当する遺産については下記の通りです。 お墓や仏壇、祭具など寄付した財産生命保険金のうち500万円×法定相続人の人数死亡退職金のうち500万円×法定相続人の人数 上記のものは非課税財産として差し引かれます。 遺産にかかる相続税の基礎控除とは 遺産のうち一定の金額までは税金がかからない制度です。 基礎控除額は「3,000万円+(600万円×法定相続人の数)」で計算します。法定相続人とは民法で定められた相続人のことです。 相続人が死亡・廃除・欠格のどれかに該当すると法定相続人に含めません。 廃除:民法第892条に基づいて相続人の資格を失ったもの欠格:民法第891条の相続欠格事由に当てはまる場合に相続権を失わせる制度 遺産の法定相続人の優先順位は配偶者から 遺産の相続には優先順位があり、相続人が誰になるかで相続割合や法定相続分は違います。 遺産の法定相続人の優先順位は配偶者から順に、以下のように民法で定められています。また内縁の妻は相続人に該当しません。 第1順位:子ども(亡くなっている場合は孫)養子・認知した子ども・前の配偶者との間の子ども第2順位:両親(亡くなっている場合は祖父母)・養父母第3順位:兄弟姉妹(亡くなっている場合は甥姪) 遺産の相続割合について 法定相続分は、相続人が配偶者と子ども2人の場合には配偶者1/2、残りの1/2を子どもたち2人で均等に分けるため、子ども1人につき1/4となります。 配偶者に子どもがなく父母が存命の場合は、配偶者2/3・父母1/3です。 また配偶者に子どもがなく父母もいない場合には、兄弟姉妹と分け合う形になり、配偶者3/4・兄弟姉妹1/3となります。 遺産を相続放棄すると基礎控除はどうなるのか? 相続放棄はなかったとして計算します。仮に法定相続人が子3人のみの時、子3人のうち1人が相続放棄をしたとしても、基礎控除額は4,800万円のままです。 相続税の配偶者控除は1億6,000万円まで 配偶者にはさまざまな相続税の優遇措置があります。配偶者に対する相続税額の軽減という税を減額する規定があり、被相続人と長い間生活を共にしてきたため、一緒に財産を作り上げた貢献があるとみなされるのです。 配偶者への相続は同一世代間の財産の移転とされ、遠くない将来に相続が再び発生するため、相続税の負担を軽減する目的も含まれているのです。  また被相続人が亡くなったあとの、配偶者の生活を保障するために優遇されています。 配偶者控除では相続財産が1億6,000万円までは税金がかかりません。 「配偶者控除」または「法定相続分の基礎控除」のどちらかを選択して相続税の計算を行います。 二次相続の問題とは 相続税の問題は、両親のどちらかが亡くなるとおこります。例えば最初に父が亡くなると、一回目の相続「一次相続」が発生します。次に母がなくなると、二回目の相続「二次相続」の問題がおこるのです。 「二次相続」税金での問題点について 一次相続での通常の相続人の構成は、おおむね「配偶者と子」です。二次相続の場合では「子」となるため、遺産の分け方や相続税の計算方法に違いが生じます。 最も大きいのが相続税の特例の部分で、一次相続で受けられた配偶者控除などの優遇がなくなるため、税金の負担が大きくなるのです。 以上のように二次相続では相続税の負担が大きくなるため、一次相続から将来を見据えた税金対策をとる必要があります。 遺産にかかる税金「相続税」の計算方法について 遺産にかかる税金「相続税」の計算方法について 相続税の計算方法はまず基礎控除を算出し、各人の相続財産を一度合算したあと、法定相続分で按分して仮の相続税を計算します。 仮の相続税の合計が相続税の総額です。 相続税の総額を各人の実際の相続割合に合わせて案分します。 課税の対象となる遺産の総額を計算する 課税の対象となる遺産とは以下のような財産です。 預貯金や不動産などプラスの相続財産死亡保険金、死亡退職金などのみなし相続財産相続開始前3年以内に贈与された財産相続時精算課税制度の生前贈与財産全部 これに、「借金などのマイナスの財産・葬式費用を差し引いたもの」が正味の遺産額となります。 正味の遺産額が基礎控除額より少なければ相続税はかからない 以下のようなときは「正味の遺産総額>基礎控除額」でも納税額が0円になります。 小規模宅地等の特例の適用後、正味の遺産総額が基礎控除額以下になるとき配偶者の税額軽減や相次相続控除などの税額軽減制度で納税額が0かマイナスになるとき 「正味の遺産総額≦基礎控除額」のときだけ申告不要になります。 課税の有無や課税額を知るには「正味の遺産総額」「基礎控除額」を正確に計算しなくてはなりません。 遺産の相続税計算について注意する点 相続税は課税遺産総額に対して課税となりますが、土地の評価額に直接税率をかけて算出するわけではない点に注意が必要です。 宅地の場合の評価方法は2つあります。 路線価方式倍率方式 相続した土地の評価方法がどちらになるかは、毎年の国税庁ホームページに掲載される路線価図・倍率表でわかります。 参照:『財産評価基準書 路線価図・評価倍率表』 また賃貸している場合、評価計算が異なることに注意が必要です。被相続人が土地や建物を他人に貸していると、自由に売却できません。このため土地や建物の評価が低くなり、不動産の評価減を行う必要が出てきます。 遺産に関わる税金の相談は誰にすればいいか 遺産に関わる税金の相談は誰にすればいいか 相続に関する税金の相談方法には以下のような3つの方法があります。 ➀電話で相談する 国税局電話相談センター税務署の窓口 相続に関する税金の相談や質問には、国税局相談センターがよいでしょう。電話の対応専門の職員が常駐しているためスムーズに答えてもらえます。 税務署の窓口では電話対応以外の業務も兼任しているため、すぐに回答ができないこともあります。税務署から届いた書面や税金の支払いに関する相談が必要な場合に限定しておきましょう。 ➁税務署を訪ねて相談する 直接訪問する場合には、事前予約を行います。相談する税務署は被相続人の住所を管轄する税務署を選びましょう。相談する内容や必要な書類は、まとめて準備しておくようにします。 税理士に相談する 税理士に相談するのも一つの手です。税理士の場合、相続税に関する申告業務や遺産分割協議をはじめとする手続きに関するさまざまなアドバイスをしてくれます。 税理士の多くは無料相談を30分ほど行ってくれるので、預金通帳や確定申告書などの必要書類を用意したうえで相談を検討してください。 まとめ:遺産にかかる税金「相続税」を知って不安をなくそう 遺産にかかる税金「相続税」を知って不安をなくそう 遺産にかかる税金、相続税の基本的な情報についてご紹介しました。 相続税がかからないのは基礎控除まで、もしくは配偶者控除の1億6,000万円までとなります。相続税で注意する必要があるのは一次相続よりも二次相続の場合です。 また相続に関する相談は、国税局電話相談センターを利用します。相続税に関する知識を深めて、税金対策に備えていきましょう。

  • 遺産相続問題を弁護士に依頼する理由とは?メリットや理由を交えご紹介

    遺産相続問題を弁護士に依頼する理由とは?メリットや理由を交えご紹介

    遺産相続問題を弁護士に依頼する理由とは?メリットや理由を交えご紹介(イメージ) 遺産の相続について家族で話をするがまとまらずお困りではありませんか。遺産の相続問題は長引けば長引くほど手続きが煩雑になることが多いです。家族間で話をするだけではなく、法律の専門家である弁護士に相談をしてみませんか。 残された家族の幸せを願って遺産を残してくださった想いをしっかりと受け取るためにも、法律の専門家である弁護士に相談をしてそれぞれが納得する形で問題に向き合いませんか。 この記事では、遺産相続問題を弁護士に依頼する理由やメリットなどについて例を交えながらお話をしていきます。 専門家に相談しないことにより想定される問題点 専門家に相談しないことにより想定される問題点 専門家である弁護士に相談しないことにより、想定される問題点をいくつかご紹介します。 遺産相続の専門知識がないために損をする 法定相続分(遺産の取り分)、対象となる遺産の範囲、遺産(不動産)等の適切な評価はほとんどの遺産相続問題で重要なポイントになるのですが、遺族の方が十分な知識を持っていることはほとんどありません。 また、お亡くなりになる前に遺産を受け取られている場合、残された分を均等に割り振ってしまうと不平等が生じてしまいます。 このような不平等を正す制度として、「特別受益」というものがあるのですが、その存在を知らなければ不平等なまま遺産相続が終了してしまいます。 そのほか、遺族には遺留分と呼ばれる最低限遺産を相続できる権利があるのですが、遺言書がある場合などそれを鵜呑みにしてしまい損をしてしまうケースも多く存在します。 親族間の対立が激化する 遺産相続についての知識が不十分にもかかわらず、自身の希望・要望を伝えてしまうと揉め事の原因になってしまうことが多いです。 身内であることが遠慮や配慮を無くしてしまい、家族間に大きな溝が生じ絶縁状態になるといったような、大きなトラブルにつながってしまう可能性もあります。 必要な法的手続きを取ることが難しい 遺産相続問題では、可能な限り早く遺産分割協議をおこなうことが望ましいです。遺産分割協議が素早くおこなわれず年月が経過してしまうと、銀行預金を引き出すことが難しくなる可能性があります。 そのほか、不動産の場合は2次相続(相続人が死亡しさらに相続が発生する状態)の問題があります。2次相続により相続人が増え、後になればなるほど遺産分割協議が複雑かつ困難になります。 さらに、相続放棄や遺留分減殺請求には期限があるため、期限を過ぎてから相談をしても時すでに遅しになってしまいます。 煩雑な法的な手続きを自身でおこなう必要がある 遺産分割協議書の作成には高度に法的な知識が必要なこともあり、専門知識の不足している遺族が作成することは通常困難とされています。 また、遺産分割協議の前提として、遺産の調査、遺産の評価、相続人の範囲の調査といったことが必要になるのですが、これらに関しても専門的な知識がなければおこなうことは難しいです。 相続放棄や遺留分減殺請求をおこなう際にも専門家の助言が必要になる場合が多いです。 当事者でおこなうことが難しく、専門家の助言が必要であるならば最初から専門家に依頼をすることによって手続き等をスムーズに進めることが可能となります。 弁護士に依頼するメリットとは 弁護士に依頼するメリットとは 法律の専門家である弁護士に依頼することにはどのようなメリットがあるのか。例を示しながらお話していきます。 親族間での話し合いのストレスを軽減できる 遺産相続問題でメインの話題となるのは金銭関連の話題です。しかし、親族間でのお金についての話し合いというのは非常に複雑になりがちです。 遠慮して何も言えなくなる人、声を大にして自身の権利や取り分を主張する人など多岐に渡ります。こうした結論が出づらい話し合いというのは非常にストレスになります。 第三者であり法律の専門家である弁護士に依頼をすれば、法的な根拠に基づき第三者の視点から話し合いをスムーズにまとめ、それぞれが最大限納得のいく結論へ導くことも可能です。 交渉がまとまらない場合の調停・裁判もサポート可能 遺産相続において、遺族全員が納得いく形で解決するということは難しく、場合によっては調停や裁判といった形に発展することもあります。 こういった場合であっても、法律の専門家である弁護士に依頼をすれば手続きをスムーズにおこなうことが可能です。 相続前・相続後のトラブルの予防も可能 法律の専門家である弁護士に依頼をすれば相続前後のトラブルの予防が可能です。 相続前の依頼であれば、起こりうるトラブルに対してどのような対応策を講じておけばトラブルを回避できるかを知ることが可能です。 相続後の依頼であっても、法律の専門家の立場から相続人同士のトラブルを回避することは可能です。 遺産分割協議書を作成し、協定事項を設けるなどの方法で協議をおこない、のちのトラブル回避に努めることができます。 弁護士費用の相場や種類について 弁護士費用の相場や種類について 弁護士に遺産分割に関して相談・依頼をした際にかかる費用などについてお話をしていきます。 必要となる費用は以下のものになります。 相談料着手金報酬金実費日当 それぞれについて説明します。 相談料 弁護士に対して遺産相続トラブルについて相談した時にかかる費用です。相場は、30分で5,500円(税込)程度になりますが、弁護士事務所によっては初回無料にしている場合もあります。 着手金 弁護士に遺産分割協議や調停など、なんらかの具体的なアクションを依頼した際に発生する費用です。相場は、20〜30万円程度ですが、遺産の価額や内容の複雑さに応じて金額が上がることがあります。 報酬金 遺産相続問題が解決した際に弁護士に対して支払う費用です。報奨金の額に関しては、得られた経済的利益に応じて計算されることが多くケースバイケースになることが一般的です。 実費 郵便切手代や、遺産分割調停を申し立てるときの印紙代など、手続きの際に実際に支払う費用です。金額はケースによって異なります。 相場としては、遺産分割協議のみの場合は1〜3万円程度、調停を申し立てた場合は1〜5万円程度です。 日当 日当とは、弁護士が出張をした際に支払う費用のことです。出張をしなければ発生しませんが、出張をした場合は5万円程度が相場となります。 弁護士費用は誰が支払うのか 弁護士費用は依頼した当人が支払うことになります。遺産分割協議などで相手が理不尽な訴えをしたとしても依頼をしたのが当人である以上は、依頼した人が支払う必要があるということを認識しておくようにしましょう。 遺産相続問題に強い弁護士の選び方 遺産相続問題に強い弁護士の選び方 いざ弁護士に依頼するとなっても、弁護士をどのように選べばいいのかは難しい問題です。遺産相続問題に強い弁護士の選び方のポイントをいくつかご紹介します。 ホームページを見る 弁護士事務所や弁護士法人はホームページを開設している事が多いです。ホームページを確認すれば相続問題に力を入れているのか、得意としている分野はどういった分野なのかを知ることができます。 遺産相続問題を解決した実績があるか 解決実績の多さは、その弁護士がどれだけ遺産相続問題に積極的に取り組んでいるかの目安になります。 解決実績が多ければ多いほど、遺産相続問題に積極的に取り組んでいる証拠になるため、実績の多い弁護士に相談するようにしましょう。 まとめ:遺産問題は弁護士に頼るようにしよう! まとめ:遺産問題は弁護士に頼るようにしよう! 遺産相続時に弁護士に相談するメリットは伝わりましたか。 遺産相続問題は大きな金銭等が動く可能性があるため、トラブルの原因になりがちなので専門家の力を借りるようにしましょう。 弁護士に相談する際に気になることをまとめてありますので、相談をする際の参考にしてください。

  • 遺産にかかる税金とは?知っておきたい相続税の基礎知識

    遺産にかかる税金とは?知っておきたい相続税の基礎知識 子どもたちが独立してほっとしたのもつかの間、そろそろ老後のことと一緒に亡くなった後のことも考えなければならないかもしれません。特に最近は親世帯のみ、子世帯のみで生活しているご家庭が増えてきています。 本記事では、遺産にかかる税金について、計算方法と併せて解説します。自分たちが亡くなった後に困らないように財産の整理と一緒に相続にかかる税金についても考えてみませんか? 遺産にかかる税金「相続税」の手続きについて 遺産にかかる税金「相続税」の手続きについて 貯金や不動産などの財産を遺産として受け継いだ場合には税金として相続税がかかります。相続税は、借金や葬式費用などを除外したあとの残額が、基礎控除額よりも上回る場合にかかります。 財務省のホームページによると、令和元年時点での相続税がかかった方の割合は、亡くなられた方の8%程度です。  参照:『親が亡くなりました。遺産を相続する場合にどのような税金がかかるのですか?』 基礎控除額を超える部分の遺産は相続税の課税対象になります。 相続税の申告期限は被相続人がなくなった日の翌日から10ヵ月以内におこないます。相続税の納税も申告期限内におこなわなければなりません。 相続税の計算に誤りがあると、延滞税や過少申告加算税などのペナルティが課せられる場合もあります。 葬儀費用や相続する財産にまつわる確認などには、書類の取り寄せや手続きするのに時間がかかるものもあります。できるだけ生前のうちから財産を把握しておき、遺言書を準備しておくのが理想です。 遺産相続から税務署へ相続税申告までの税金支払い流れについて 遺言書があれば、原則その内容に沿って相続することになります。 遺言書がなければ、相続財産の分割方法について相続人全員で話し合い、決めなければなりません(遺産分割協議)。 話し合いによって決められた分割遺産の内容で相続税を計算したあと、税務署へ申告します。 遺産の税金対象となる金額について 相続した財産の内、課税対象になるのは、現金・預貯金、株式や債券等の有価証券、土地・建物等の不動産、貴金属、書画骨董等亡くなった人が所有していた財産です。これに加えて、亡くなったことによって入ってくる死亡保険金や死亡退職金等の「みなし相続財産」、相続開始前3年以内に贈与された財産や相続時精算課税制度を適用して贈与された財産も課税対象となります。これらの合計が課税対象となる課税相続財産総額です。 相続税の対象となる金額は、課税相続財産総額から債務・葬儀費用・非課税財産を差し引いた正味の遺産額で計算します。 非課税財産に該当する遺産については下記の通りです。 お墓や仏壇、祭具など寄付した財産生命保険金のうち500万円×法定相続人の人数死亡退職金のうち500万円×法定相続人の人数 上記のものは非課税財産として差し引かれます。 遺産にかかる相続税の基礎控除とは 遺産のうち一定の金額までは税金がかからない制度です。 基礎控除額は「3,000万円+(600万円×法定相続人の数)」で計算します。法定相続人とは民法で定められた相続人のことです。 相続人が死亡・廃除・欠格のどれかに該当すると法定相続人に含めません。 廃除:民法第892条に基づいて相続人の資格を失ったもの欠格:民法第891条の相続欠格事由に当てはまる場合に相続権を失わせる制度 遺産の法定相続人の優先順位は配偶者から 遺産の相続には優先順位があり、相続人が誰になるかで相続割合や法定相続分は違います。 遺産の法定相続人の優先順位は配偶者から順に、以下のように民法で定められています。また内縁の妻は相続人に該当しません。 第1順位:子ども(亡くなっている場合は孫)養子・認知した子ども・前の配偶者との間の子ども第2順位:両親(亡くなっている場合は祖父母)・養父母第3順位:兄弟姉妹(亡くなっている場合は甥姪) 遺産の相続割合について 法定相続分は、相続人が配偶者と子ども2人の場合には配偶者1/2、残りの1/2を子どもたち2人で均等に分けるため、子ども1人につき1/4となります。 配偶者に子どもがなく父母が存命の場合は、配偶者2/3・父母1/3です。 また配偶者に子どもがなく父母もいない場合には、兄弟姉妹と分け合う形になり、配偶者3/4・兄弟姉妹1/3となります。 遺産を相続放棄すると基礎控除はどうなるのか? 相続放棄はなかったとして計算します。仮に法定相続人が子3人のみの時、子3人のうち1人が相続放棄をしたとしても、基礎控除額は4,800万円のままです。 相続税の配偶者控除は1億6,000万円まで 配偶者にはさまざまな相続税の優遇措置があります。配偶者に対する相続税額の軽減という税を減額する規定があり、被相続人と長い間生活を共にしてきたため、一緒に財産を作り上げた貢献があるとみなされるのです。 配偶者への相続は同一世代間の財産の移転とされ、遠くない将来に相続が再び発生するため、相続税の負担を軽減する目的も含まれているのです。  また被相続人が亡くなったあとの、配偶者の生活を保障するために優遇されています。 配偶者控除では相続財産が1億6,000万円までは税金がかかりません。 「配偶者控除」または「法定相続分の基礎控除」のどちらかを選択して相続税の計算を行います。 二次相続の問題とは 相続税の問題は、両親のどちらかが亡くなるとおこります。例えば最初に父が亡くなると、一回目の相続「一次相続」が発生します。次に母がなくなると、二回目の相続「二次相続」の問題がおこるのです。 「二次相続」税金での問題点について 一次相続での通常の相続人の構成は、おおむね「配偶者と子」です。二次相続の場合では「子」となるため、遺産の分け方や相続税の計算方法に違いが生じます。 最も大きいのが相続税の特例の部分で、一次相続で受けられた配偶者控除などの優遇がなくなるため、税金の負担が大きくなるのです。 以上のように二次相続では相続税の負担が大きくなるため、一次相続から将来を見据えた税金対策をとる必要があります。 遺産にかかる税金「相続税」の計算方法について 遺産にかかる税金「相続税」の計算方法について 相続税の計算方法はまず基礎控除を算出し、各人の相続財産を一度合算したあと、法定相続分で按分して仮の相続税を計算します。 仮の相続税の合計が相続税の総額です。 相続税の総額を各人の実際の相続割合に合わせて案分します。 課税の対象となる遺産の総額を計算する 課税の対象となる遺産とは以下のような財産です。 預貯金や不動産などプラスの相続財産死亡保険金、死亡退職金などのみなし相続財産相続開始前3年以内に贈与された財産相続時精算課税制度の生前贈与財産全部 これに、「借金などのマイナスの財産・葬式費用を差し引いたもの」が正味の遺産額となります。 正味の遺産額が基礎控除額より少なければ相続税はかからない 以下のようなときは「正味の遺産総額>基礎控除額」でも納税額が0円になります。 小規模宅地等の特例の適用後、正味の遺産総額が基礎控除額以下になるとき配偶者の税額軽減や相次相続控除などの税額軽減制度で納税額が0かマイナスになるとき 「正味の遺産総額≦基礎控除額」のときだけ申告不要になります。 課税の有無や課税額を知るには「正味の遺産総額」「基礎控除額」を正確に計算しなくてはなりません。 遺産の相続税計算について注意する点 相続税は課税遺産総額に対して課税となりますが、土地の評価額に直接税率をかけて算出するわけではない点に注意が必要です。 宅地の場合の評価方法は2つあります。 路線価方式倍率方式 相続した土地の評価方法がどちらになるかは、毎年の国税庁ホームページに掲載される路線価図・倍率表でわかります。 参照:『財産評価基準書 路線価図・評価倍率表』 また賃貸している場合、評価計算が異なることに注意が必要です。被相続人が土地や建物を他人に貸していると、自由に売却できません。このため土地や建物の評価が低くなり、不動産の評価減を行う必要が出てきます。 遺産に関わる税金の相談は誰にすればいいか 遺産に関わる税金の相談は誰にすればいいか 相続に関する税金の相談方法には以下のような3つの方法があります。 ➀電話で相談する 国税局電話相談センター税務署の窓口 相続に関する税金の相談や質問には、国税局相談センターがよいでしょう。電話の対応専門の職員が常駐しているためスムーズに答えてもらえます。 税務署の窓口では電話対応以外の業務も兼任しているため、すぐに回答ができないこともあります。税務署から届いた書面や税金の支払いに関する相談が必要な場合に限定しておきましょう。 ➁税務署を訪ねて相談する 直接訪問する場合には、事前予約を行います。相談する税務署は被相続人の住所を管轄する税務署を選びましょう。相談する内容や必要な書類は、まとめて準備しておくようにします。 税理士に相談する 税理士に相談するのも一つの手です。税理士の場合、相続税に関する申告業務や遺産分割協議をはじめとする手続きに関するさまざまなアドバイスをしてくれます。 税理士の多くは無料相談を30分ほど行ってくれるので、預金通帳や確定申告書などの必要書類を用意したうえで相談を検討してください。 まとめ:遺産にかかる税金「相続税」を知って不安をなくそう 遺産にかかる税金「相続税」を知って不安をなくそう 遺産にかかる税金、相続税の基本的な情報についてご紹介しました。 相続税がかからないのは基礎控除まで、もしくは配偶者控除の1億6,000万円までとなります。相続税で注意する必要があるのは一次相続よりも二次相続の場合です。 また相続に関する相談は、国税局電話相談センターを利用します。相続税に関する知識を深めて、税金対策に備えていきましょう。

  • 遺産相続問題を弁護士に依頼する理由とは?メリットや理由を交えご紹介

    遺産相続問題を弁護士に依頼する理由とは?メリットや理由を交えご紹介(イメージ) 遺産の相続について家族で話をするがまとまらずお困りではありませんか。遺産の相続問題は長引けば長引くほど手続きが煩雑になることが多いです。家族間で話をするだけではなく、法律の専門家である弁護士に相談をしてみませんか。 残された家族の幸せを願って遺産を残してくださった想いをしっかりと受け取るためにも、法律の専門家である弁護士に相談をしてそれぞれが納得する形で問題に向き合いませんか。 この記事では、遺産相続問題を弁護士に依頼する理由やメリットなどについて例を交えながらお話をしていきます。 専門家に相談しないことにより想定される問題点 専門家に相談しないことにより想定される問題点 専門家である弁護士に相談しないことにより、想定される問題点をいくつかご紹介します。 遺産相続の専門知識がないために損をする 法定相続分(遺産の取り分)、対象となる遺産の範囲、遺産(不動産)等の適切な評価はほとんどの遺産相続問題で重要なポイントになるのですが、遺族の方が十分な知識を持っていることはほとんどありません。 また、お亡くなりになる前に遺産を受け取られている場合、残された分を均等に割り振ってしまうと不平等が生じてしまいます。 このような不平等を正す制度として、「特別受益」というものがあるのですが、その存在を知らなければ不平等なまま遺産相続が終了してしまいます。 そのほか、遺族には遺留分と呼ばれる最低限遺産を相続できる権利があるのですが、遺言書がある場合などそれを鵜呑みにしてしまい損をしてしまうケースも多く存在します。 親族間の対立が激化する 遺産相続についての知識が不十分にもかかわらず、自身の希望・要望を伝えてしまうと揉め事の原因になってしまうことが多いです。 身内であることが遠慮や配慮を無くしてしまい、家族間に大きな溝が生じ絶縁状態になるといったような、大きなトラブルにつながってしまう可能性もあります。 必要な法的手続きを取ることが難しい 遺産相続問題では、可能な限り早く遺産分割協議をおこなうことが望ましいです。遺産分割協議が素早くおこなわれず年月が経過してしまうと、銀行預金を引き出すことが難しくなる可能性があります。 そのほか、不動産の場合は2次相続(相続人が死亡しさらに相続が発生する状態)の問題があります。2次相続により相続人が増え、後になればなるほど遺産分割協議が複雑かつ困難になります。 さらに、相続放棄や遺留分減殺請求には期限があるため、期限を過ぎてから相談をしても時すでに遅しになってしまいます。 煩雑な法的な手続きを自身でおこなう必要がある 遺産分割協議書の作成には高度に法的な知識が必要なこともあり、専門知識の不足している遺族が作成することは通常困難とされています。 また、遺産分割協議の前提として、遺産の調査、遺産の評価、相続人の範囲の調査といったことが必要になるのですが、これらに関しても専門的な知識がなければおこなうことは難しいです。 相続放棄や遺留分減殺請求をおこなう際にも専門家の助言が必要になる場合が多いです。 当事者でおこなうことが難しく、専門家の助言が必要であるならば最初から専門家に依頼をすることによって手続き等をスムーズに進めることが可能となります。 弁護士に依頼するメリットとは 弁護士に依頼するメリットとは 法律の専門家である弁護士に依頼することにはどのようなメリットがあるのか。例を示しながらお話していきます。 親族間での話し合いのストレスを軽減できる 遺産相続問題でメインの話題となるのは金銭関連の話題です。しかし、親族間でのお金についての話し合いというのは非常に複雑になりがちです。 遠慮して何も言えなくなる人、声を大にして自身の権利や取り分を主張する人など多岐に渡ります。こうした結論が出づらい話し合いというのは非常にストレスになります。 第三者であり法律の専門家である弁護士に依頼をすれば、法的な根拠に基づき第三者の視点から話し合いをスムーズにまとめ、それぞれが最大限納得のいく結論へ導くことも可能です。 交渉がまとまらない場合の調停・裁判もサポート可能 遺産相続において、遺族全員が納得いく形で解決するということは難しく、場合によっては調停や裁判といった形に発展することもあります。 こういった場合であっても、法律の専門家である弁護士に依頼をすれば手続きをスムーズにおこなうことが可能です。 相続前・相続後のトラブルの予防も可能 法律の専門家である弁護士に依頼をすれば相続前後のトラブルの予防が可能です。 相続前の依頼であれば、起こりうるトラブルに対してどのような対応策を講じておけばトラブルを回避できるかを知ることが可能です。 相続後の依頼であっても、法律の専門家の立場から相続人同士のトラブルを回避することは可能です。 遺産分割協議書を作成し、協定事項を設けるなどの方法で協議をおこない、のちのトラブル回避に努めることができます。 弁護士費用の相場や種類について 弁護士費用の相場や種類について 弁護士に遺産分割に関して相談・依頼をした際にかかる費用などについてお話をしていきます。 必要となる費用は以下のものになります。 相談料着手金報酬金実費日当 それぞれについて説明します。 相談料 弁護士に対して遺産相続トラブルについて相談した時にかかる費用です。相場は、30分で5,500円(税込)程度になりますが、弁護士事務所によっては初回無料にしている場合もあります。 着手金 弁護士に遺産分割協議や調停など、なんらかの具体的なアクションを依頼した際に発生する費用です。相場は、20〜30万円程度ですが、遺産の価額や内容の複雑さに応じて金額が上がることがあります。 報酬金 遺産相続問題が解決した際に弁護士に対して支払う費用です。報奨金の額に関しては、得られた経済的利益に応じて計算されることが多くケースバイケースになることが一般的です。 実費 郵便切手代や、遺産分割調停を申し立てるときの印紙代など、手続きの際に実際に支払う費用です。金額はケースによって異なります。 相場としては、遺産分割協議のみの場合は1〜3万円程度、調停を申し立てた場合は1〜5万円程度です。 日当 日当とは、弁護士が出張をした際に支払う費用のことです。出張をしなければ発生しませんが、出張をした場合は5万円程度が相場となります。 弁護士費用は誰が支払うのか 弁護士費用は依頼した当人が支払うことになります。遺産分割協議などで相手が理不尽な訴えをしたとしても依頼をしたのが当人である以上は、依頼した人が支払う必要があるということを認識しておくようにしましょう。 遺産相続問題に強い弁護士の選び方 遺産相続問題に強い弁護士の選び方 いざ弁護士に依頼するとなっても、弁護士をどのように選べばいいのかは難しい問題です。遺産相続問題に強い弁護士の選び方のポイントをいくつかご紹介します。 ホームページを見る 弁護士事務所や弁護士法人はホームページを開設している事が多いです。ホームページを確認すれば相続問題に力を入れているのか、得意としている分野はどういった分野なのかを知ることができます。 遺産相続問題を解決した実績があるか 解決実績の多さは、その弁護士がどれだけ遺産相続問題に積極的に取り組んでいるかの目安になります。 解決実績が多ければ多いほど、遺産相続問題に積極的に取り組んでいる証拠になるため、実績の多い弁護士に相談するようにしましょう。 まとめ:遺産問題は弁護士に頼るようにしよう! まとめ:遺産問題は弁護士に頼るようにしよう! 遺産相続時に弁護士に相談するメリットは伝わりましたか。 遺産相続問題は大きな金銭等が動く可能性があるため、トラブルの原因になりがちなので専門家の力を借りるようにしましょう。 弁護士に相談する際に気になることをまとめてありますので、相談をする際の参考にしてください。

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