兄弟姉妹の立場で遺産は受け取れる?知っておくべき注意点も

投稿 更新
Category:
遺産

contents section

兄弟姉妹の立場で遺産は受け取れる?知っておくべき注意点も
シェアボタン
この記事は約10分で読めます。

自身の老後について考え始めたら、遺産や相続について正しい知識を身につけるところからスタートしましょう。相続とは、いつやってくるかわからないもの。きちんとした知識を持っていれば、いざそのときに慌てなくて済むでしょう。

遺産と言えば「親から受け継ぐもの」というイメージを抱いている人も多いかもしれませんが、状況によっては兄弟姉妹の遺産を受け取るケースもあります。兄弟姉妹の立場で、どうなった場合に遺産が受け取れるのか、わかりやすく解説します。

相続の基本!相続順位について学ぼう

相続の基本!相続順位について学ぼう
相続の基本!相続順位について学ぼう


被相続人が亡くなったとき、その財産は相続人へと受け継がれていきます。故人と血縁関係にある人が相続人なるイメージですが、現実には「血縁関係にある人すべて」が相続人になれるわけではありません。相続には「相続順位」が定められており、この順位がもっとも高い人が相続人になれるのです。

被相続人が亡くなった際に、無条件で相続人になれるのは「配偶者」です。故人に夫や妻、法律上の配偶者がいれば、どのような状況であっても相続人として認められます。相続順位が定められているのは、この配偶者以外の相続人についてです。

相続順位がもっとも高いのは、故人の子どもです。子どもが複数人いれば、全員が相続人になります。相続順位2位は、故人の両親。そして第3順位に当てはまるのが、故人の兄弟姉妹です。
相続順位1位から3位の人々は、常に相続人になれるわけではありません。相続順位が高い方から順番が回り、当てはまる人が見つかった段階で、それ以降の順位の人には相続権が発生しない仕組みになっています。

兄弟姉妹が亡くなった際に、故人が結婚していて子どもを設けている場合、配偶者とその子どもが財産を受け継ぐでしょう。故人の兄弟姉妹が相続人になるケースとして考えられるのは、「故人に子どもがおらず、両親もすでに亡くなっている場合」です。

ちなみに、故人には子どもがいたものの、すでにその子どもが亡くなっている場合、相続権は子どもの子ども、つまり孫へと受け継がれます。この場合も、故人の両親や兄弟姉妹が財産を相続することはできません。第2順位の父母が亡くなっている場合、祖父母に相続権が発生します。兄弟姉妹に相続権が発生するものの、すでに亡くなっている場合はその子どもたち、つまり故人にとっての甥や姪が相続権を持ちます。

兄弟姉妹が法定相続人になった場合の相続割合は?


兄弟姉妹の立場で相続人になると決定した場合、どのくらいの財産を受け継ぐのか気になる方もいるでしょう。兄弟姉妹が相続人となるケースは、以下の2パターンしかありません。

・故人の配偶者と共に、兄弟姉妹が相続人になる
・兄弟姉妹のみが相続人になる

下のケースは非常にシンプルで、相続人となる兄弟姉妹ですべての財産を受け継ぎます。兄弟姉妹が複数人いる場合には、財産をそれぞれで等分することになるでしょう。

一方で、故人に配偶者がいる場合、相続財産の4分の3を配偶者が受け継ぎます。兄弟姉妹の法定相続分は全体の4分の1で、相続人が複数人いる場合には、その4分の1をさらに等分に分けてください。

兄弟姉妹が法定相続人になる場合に覚えておきたい3つのポイント

兄弟姉妹が法定相続人になる場合に覚えておきたい3つのポイント
兄弟姉妹が法定相続人になる場合に覚えておきたい3つのポイント

兄弟姉妹が法定相続人になるケースは、決して少なくありません。兄弟姉妹が亡くなった際には、法定相続人になる可能性があるという点を、頭に入れておきましょう。兄弟姉妹の立場で、頭に入れておきたいポイントを3つ紹介します。

★1.子どもや親が相続放棄する可能性がある

上で解説したとおり、亡くなった兄弟姉妹に配偶者や子どもがいれば、兄弟姉妹の立場で法定相続人になるケースは少ないでしょう。その時点で、「自分には関係ないこと」と捉えてしまう方も多いのではないでしょうか。ここに注意が必要です。

遺産相続とは、プラスの財産のみを受け継ぐ行為ではありません。もし故人が負債を抱えていたとしたら、そのマイナスの財産も相続財産としてみなされるでしょう。この場合、相続順位第1位である故人の子どもたちや、第2位の父母が、そろって相続放棄の手続きを取る可能性も。相続放棄の手続きを取った相続人は「最初からいないもの」として扱われ、相続順位は次に回されます。つまり、第3順位である兄弟姉妹が、相続人になる可能性もあるのです。

相続放棄の手続きには、期限が設定されています。「自分には関係ないだろう」と思い込み、手続きのチャンスを逃さないよう注意してください。

★2.故人の兄弟姉妹の代襲相続は一代のみ

代襲相続とは、相続権を持つ人がすでに亡くなっていた場合に、その相続権が下の世代(もしくは上の世代)にどんどん受け継がれていくことを言います。

故人の子どもが亡くなっていれば、その子どもが、その子どもも亡くなっていればまたその子どもに相続権が発生します。第2順位の両親についても同様で、両親が亡くなっていればそのまた両親、さらにその先の両親と、どんどん遡っていくのです。その範囲は定められておらず、該当する人が存在するなら、どこまででも辿っていけるという特徴があります。

ただし兄弟姉妹が相続人となる場合、代襲相続は一代のみと決められています。兄弟姉妹が亡くなっていれば甥や姪が相続権を持ちますが、すでに甥や姪が亡くなっている場合、その子どもに相続権が渡ることはありません。

★3.兄弟姉妹に遺留分は認められない

もう一点忘れてはいけないのが、遺留分に関する注意点です。遺留分とは、法定相続人が相続できる最低限度の相続分のこと。たとえば故人が遺言書で「○○に全財産を譲る」と言った内容を残していても、法定相続人であれば、遺留分だけは確保できるという特徴があります。

兄弟姉妹の立場で法定相続人になる場合、遺留分は認められていません。故人の遺言は法定相続よりも優先されますから、「配偶者に全財産を譲る」といった内容が残されていれば、兄弟姉妹が遺産を受け取ることはできないのです。

トラブルになりやすいポイントですから、事前に頭に入れておきましょう。

兄弟姉妹が財産を相続する場合の特徴を知ってトラブルを防ごう


兄弟姉妹の立場で、被相続人の遺産を受け取れる可能性はあります。故人に子どもがおらず、すでに両親も亡くなっている場合、相続権が回ってくる可能性が高いと言えるでしょう。

しかし実際に兄弟姉妹の立場で法定相続人になる場合、相続人の範囲が広がり、トラブルに悩まされるケースも少なくありません。相続に関する基礎知識をきちんと身につけ、トラブルを避けられるように準備しておきましょう。相続順位を知っておくだけでも、事前の心構えができるはずです。

Category:
遺産
シェアボタン

この記事を書いた人

writer

profile img

大嶋 晃

司法書士 プロフィール 福島県白河市生まれ。 旅行会社勤務の後、2012年司法書士試験合格、2014年に独立開業。 東京司法書士会千代田支部所属。 身近な街の法律家として親切丁寧な対応を心掛け、幅広い相続案件に取り組む。 不動産名義変更相談窓口「https://www.meigihenkou-soudan.jp/

related post

関連記事

  • 遺族年金とは?受取人になるための条件を確認しよう

    遺族年金とは?受取人になるための条件を確

    家族が亡くなった際に受け取れる可能性がある「遺族年金」。残された家族にとっては、その後の生活の支えとなる、非常に重要な年金と言えるでしょう。 遺族年金は公的年金の一種ですが、「種類や受取人になるための条件がわかりにくい…」と感じる方も多いようです。遺族年金の種類別に、どのような条件に当てはまる人が受取人になれるのか、わかりやすく解説します。ぜひ参考にしてみてください。 そもそも遺族年

  • 相続財産に株式が含まれる場合の対処法は?現金化の手順や注意点も

    相続財産に株式が含まれる場合の対処法は?

    投資する人が増えている今、相続財産に株式が含まれるケースは決して珍しくありません。現金や銀行預金とは性質が異なる財産に、どう遺産分配すれば良いのか悩む方も多いのではないでしょうか。相続財産に株式が含まれる場合の対処法や注意点について解説します。親の遺産を受け継ぐ際はもちろん、自身の財産を残す際にも参考にしてみてください。 株式は遺産分割の対象になる 被相続人が所有していた株式は、遺産

  • ビデオメッセージで大切な人へ想いを永遠に

    ビデオメッセージで大切な人へ想いを永遠に

    大切な人に愛や感謝の気持ちを伝える方法はたくさんありますが、ビデオメッセージはその中でも特別な手段の一つです。この記事では、ビデオメッセージの魅力と、大切な人に感動と幸福を届ける方法について詳しくご紹介します。 ビデオメッセージの魅力 1.1 時間と距離を超えたコミュニケーション ビデオメッセージは、遠く離れた大切な人とのコミュニケーションを実現します。時間や場所にとらわれず、

  • 生命保険はどう選ぶ?4つの種類と30・40代からの選び方

    生命保険はどう選ぶ?4つの種類と30・4

    いざというときのための生命保険ですが、「本当に必要なのかわからない」「必要な備えを用意できているのかわからない」など、不安を抱えている方も多いのではないでしょうか? 自分に合った生命保険で家族の将来を守るためには、まず保険について正しい知識を身につけることが大切です。生命保険の種類と、30代・40代で覚えておきたい選び方のコツを紹介します。 生命保険の種類とは? 生命保険の種類

  • 遺産対策―60歳以上の方への生前の準備ガイド

    遺産対策―60歳以上の方への生前の準備ガ

    60歳以上の方々にとって、遺産対策は大切な一歩です。この記事では、生前の準備に焦点を当て、円滑な遺産の管理と相続のためのポイントをご紹介します。遺族への負担軽減や遺産の有効活用など、遺産対策のメリットを理解しましょう。 遺産対策の意義 1.1 遺産対策の重要性 遺産対策がなぜ重要なのか、その意義について詳しく解説します。遺産の有効な管理と相続の円滑な進行に向けて、遺産対策の価値

  • 遺産相続をもっと楽に!「法定相続情報証明制度」を紹介

    遺産相続をもっと楽に!「法定相続情報証明

    遺産相続の手続きを進めていくうえで、「書類の提出が大変」と悩む方は少なくありません。相続手続きの負担を軽減するためには、ぜひ「法定相続情報証明制度」を活用してみてください。 具体的にどういった制度でどのような場面で使えるのか、わかりやすく解説します。制度を利用する場合のデメリットも紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。 法定相続情報証明制度とは? 法定相続情報証明制度とは?

コトダマのバナー