相続財産に株式が含まれる場合の対処法は?現金化の手順や注意点も

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相続財産に株式が含まれる場合の対処法は?現金化の手順や注意点も
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投資する人が増えている今、相続財産に株式が含まれるケースは決して珍しくありません。現金や銀行預金とは性質が異なる財産に、どう遺産分配すれば良いのか悩む方も多いのではないでしょうか。相続財産に株式が含まれる場合の対処法や注意点について解説します。親の遺産を受け継ぐ際はもちろん、自身の財産を残す際にも参考にしてみてください。

株式は遺産分割の対象になる

被相続人が所有していた株式は、遺産分割の対象になります。遺言が残されていればその内容のもと、残されていない場合は遺産分割協議にて、誰がどれだけ受け継ぐのかを決定することになるでしょう。

預金や不動産など、その他の財産とあわせて、具体的な相続手続きを進めていきます。相続人や相続財産を調査し、遺産分割協議を行ってください。その内容をもとに各種変更手続きを行い、必要に応じて相続税を申告・納税します。

株式が含まれる場合の注意点3つ

遺産に株式が含まれている場合も、基本的な相続手続きの流れに違いはありません。株式ならではの注意点を3つ紹介するので、参考にしてみてください。

★株式の種類によって対処法が異なる

株式には、上場株式と非上場株式の2種類があります。相続財産である株がどちらなのかによって、対処法が違ってきます。証券会社に口座を開き、株式投資を行っている場合、証券会社を通じて相続手続きを進めていきます。どこの証券会社に口座を持っていたのか、情報収集からスタートしましょう。

一方で被相続人が保有していたのが非上場株式であった場合、上場株式のような「市場価格」は存在しません。株式の価値が見えにくいため、しっかりとした知識をもとにその価値を評価する必要があるでしょう。

またたとえ相続したとしても、上場株式のように容易に売却できるとは限りません。相続税の負担を考えると、「最初から相続しない方が良い」と思われるケースもあります。相続税との兼ね合いも考えつつ、相続するかどうか慎重に検討してみてください。

★証券会社がわからない場合は証券保管振替機構へ

上場株式が遺産に含まれている場合、取引の合った証券会社を特定する必要があります。遺言やエンディングノートに口座情報がまとめられていれば良いのですが、そうではない場合、まずは被相続人の身の回りをチェックしてみてください。

被相続人の荷物から証券会社の資料が出てきたら、問い合わせてみましょう。口座名義人が死亡した事実と、名義変更の希望について伝えれば大丈夫です。必要書類や具体的な手続き方法は、証券会社側から案内されます。

証券会社の情報を見つけられなかった場合は、証券保管振替機構を利用しましょう。こちらに問い合わせれば、どの証券会社と取引があるのか、具体的な情報を開示してもらえます。必要事項を記載した開示請求書のほか、相続人の本人確認書類や被相続人の戸籍謄本など、必要書類をそろえて手続きしてください。開示された情報をもとに、各証券会社に問い合わせればOKです。

★上場株式の価値は相続税評価額で計算

遺産に株式が含まれている場合、その評価額をどう計算するべきか、悩む方も多いでしょう。相続財産の価値がわからなければ、相続税の計算はもちろん、遺産分割協議を進めることもできません。できるだけ早く、その価値を確認してください。上場株式の価値を計算するための基本的な方法が、相続税評価額です。

上場株式の評価額は、以下の4つのうち、もっとも低い金額を採用できます。

・相続が開始した日の終値
・相続開始月の終値の平均額
・相続開始前月の終値の平均額
・相続開始前々月の終値の平均額

相続開始日に証券取引所で取引が行われていなかった場合、「相続開始日にもっとも近い日」を対象に計算してください。保有株式が一つではない場合、それぞれの株式について、もっとも低い金額を採用できます。面倒な作業ではありますが、相続税関連でトラブルを起こさないためにも、丁寧に計算する必要があるでしょう。

遺産として受け継いだ株式を現金化する手順

被相続人の名義である上場株式を、直接現金化することはできません。いったん、相続人名義の専用口座を開設し、そこに相続財産である株式を移管させましょう。その上で、これから先どのように株式を現金化するのか、相続人同士で話し合ってください。

具体的には、

・相続した株式を一括で現金化し、売却した現金を分割する
・相続した株式を相続人同士が分け合い、個人で所有した株式を売却する

という2つの方法があります。

上の方法を選択する場合、株式を相続するのは代表一人です。その代表相続人が売却までの手続きを終えて、現金化された遺産を対象に遺産分割協議を行いましょう。この場合、遺産分割協議の前に株式の現金化を進めていくため、各種手続きにはその他の相続人の委任状が必須です。

下の方法を選択する場合、専用口座に株式を移管させてすぐに遺産分割協議を行います。証券会社にはその結果である遺産分割協議書を提出し、その内容をもとに株式そのものを分配する仕組みです。売却して現金化するかどうかは、相続人それぞれの判断に任せられます。

相続した株式を放置した場合はどうなる?

相続した株式を放置した場合はどうなる?
相続した株式を放置した場合はどうなる?

相続人に株式に関する知識がない場合、株式が遺産相続の対象から漏れてしまうケースも少なくありません。

・どうすれば良いのかわからないため、株式を除いたその他の財産について相続手続きを行った
・被相続人が株式投資をしていた事実を知らないまま、放置してしまう

これらの場合、相続手続きが完了しない株は、準共有状態であると判断されます。配当金が入るたびに、相続人間で分ける手続きをしなければいけません。また株主としての権利を行使するためには、権利行使者を定め、会社に対して通知する必要があります。面倒な事態を避けるためにも、できるだけ早く手続きを完了させましょう。

また自分自身が株式投資を行っている場合、その事実を家族に伝えておく必要があります。余計なトラブルを避けるため、エンディングノートなども活用してみてください。

遺産に株式が含まれている場合は専門家のサポートもおすすめ

遺産に株式が含まれている場合は専門家のサポートもおすすめ
遺産に株式が含まれている場合は専門家のサポートもおすすめ

遺産に株式が含まれている場合、評価額の計算や相続税の手続きは複雑になります。スムーズに相続するためには、専門家の助けを求めるのもおすすめです。弁護士や司法書士、行政書士に税理士など、ぜひ頼りにしてみてください。
また自身が残す財産に株式が含まれる場合、誰に何を相続させるのか、遺言で指定するのもおすすめです。終活の一環として、検討してみてはいかがでしょうか。

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大嶋 晃

司法書士 プロフィール 福島県白河市生まれ。 旅行会社勤務の後、2012年司法書士試験合格、2014年に独立開業。 東京司法書士会千代田支部所属。 身近な街の法律家として親切丁寧な対応を心掛け、幅広い相続案件に取り組む。 不動産名義変更相談窓口「https://www.meigihenkou-soudan.jp/

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