親が残す資産は事前に把握しておこう!知らない場合のリスクを解説

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親が残す資産は事前に把握しておこう!知らない場合のリスクを解説
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子どもが生まれ、自身の生活基盤が整った際に、考えておきたいのが「親が残す資産」についてです。今すぐというわけではなくても、相続はいずれやってくる問題。そのときになって慌てないためには、事前の情報把握が重要です。親が残す資産を把握する方法や、知らない場合に考えられるリスクについて解説します。

親の資産がわからない人は意外と多い

親の資産がわからない人は意外と多い
親の資産がわからない人は意外と多い

自身の終活について積極的に考える方は増えていますが、「親がどのような資産を持っているのか詳しく知らない」という方は、まだまだ珍しくありません。親が残す資産の内容は、多岐にわたります。投資ブームの今、株式投資や不動産投資に取り組む方も増えているでしょう。子どもが把握していない不動産を所有している可能性もあります。

親がどのような資産を残すか把握していなければ、何の準備も整えられないまま相続のときを迎えることになってしまうでしょう。「まだまだ先だから…」と思いがちですが、相続のタイミングがいつになるのかは誰にもわかりません。知らない場合のリスクとしては、主に以下の3つが挙げられます。

★1.相続税の準備ができない

親が残す資産額によっては、相続税が発生する可能性も。相続する資産の中から相続税を賄えれば良いのですが、実際にはそれが不可能なケースもあります。

たとえば親が残す資産のほとんどが不動産である場合、相続税は相続財産以外から調達しなければいけません。相続税が支払えない場合、不動産を売却しなければならない可能性もあります。仮にそれが「現在家族で暮らしている自宅」であれば、相続をきっかけに住む場所を失うことにもなりかねないのです。

親が残す資産額やその内訳を知っていれば、

・相続税が発生しそうな状況なのか?
・相続税の負担がどの程度になるのか?

これらの情報を把握できるでしょう。相続税の支払いに向けて、計画的に準備を進められるはずです。

★2.病院代や葬儀費用の清算で困る可能性がある

親の資産がわからないまま相続のときを迎えたとしても、各種手続きは待ってはくれません。病院代の清算から葬儀費用の支払いまで、多額の現金が必要になる場面は、決して少なくないのです。親が残す資産がわからなければ、子どもが立て替えることにもなりかねません。

親がどこにどの程度の資産を持っているか知っていれば、落ち着いて対応できます。自宅にタンス預金があれば、相続人同士の話し合いの末、支払いに充てることもできるでしょう。

どの銀行口座にどの程度の資産を残しているのか知っていれば、被相続人が亡くなる前に現金を引き出せる可能性もあります。口座名義人の死亡により凍結されたとしても、仮払い制度の利用により、素早く現金を用意できるはずです。

「すぐにでも現金が必要になる!」といった場面で、親の資産について一から冷静に調査するのは難しいでしょう。事前に知っていれば、いざというときでも落ち着いて対処できます。

★3.遺産分割協議で揉めるリスクがある

相続が発生し、遺言が残されていない場合に必要なのが遺産分割協議です。相続人が複数人いる場合、誰が何を相続するのかで揉めるリスクがあります。

たとえば「遺産のほとんどが不動産で相続人のうち1人が居住している」という場合、どのように遺産を分割するべきか悩むケースも多いでしょう。親族間トラブルを防ぐためにも、親の資産をできるだけ早く把握し、相続人全員が納得できる形で相続の大枠を決めておくのがおすすめです。

被相続人が生きている間であれば、どのような想いで遺産分割を考えているのか、直接聞けます。遺産分割協議で突然知らされるよりも、心の準備ができるでしょう。

親が残す資産を把握する方法とは?


相続にまつわる親族間トラブルは、決して少なくありません。誰にとっても他人事ではないからこそ、親の資産を早めに把握し、必要な対策を講じておくことが大切です。とはいえ、「親が残す資産について話すのは抵抗がある…」と感じる方も多いのではないでしょうか?具体的にどうやって把握すれば良いのか、3つの方法を紹介します。

★1.相続税をきっかけに聞いてみる

平成27年に、相続税の基礎控除に関するルールが変更されました。それまでよりも基礎控除額が減り、相続税を課税されるケースが増加しています。こうした状況を解説するとともに、親が残す資産について自然に聞いてみてください。

相続税の基礎控除額は、「3000万円+(600万円×法定相続人の数)」で求められます。親が残す資産がこの範囲に収まるのかどうかがわかるだけでも、子どもの負担は軽減できるでしょう。相続税をきっかけに、具体的にどのような資産が残される予定なのかどうか、ざっくりとした話だけでも聞いておくと安心です。

★2.遺言書やエンディングノートをすすめてみる

親の資産について直接聞くのが難しい場合、終活の一環として、遺言書やエンディングノートの作成をおすすめするのもおすすめです。遺言書やエンディングノートを作成する場合、親自身が残す予定の資産を把握しなければいけません。その過程で、「子どもに伝えておくべき内容」をはっきりと理解する方も少なくありません。

実際に親が遺言書やエンディングノートを作成し始めたら、子どもに対してアドバイスを求める場面もあるかもしれません。無理をせず、少しずつ内容を聞いてみてください。

★3.家族が集まる機会に話し合いの場を持つ

親が残す資産について聞きたいと思ったら、その他の相続人と協力するのもおすすめです。子どもの立場で相続人になる場合、兄弟姉妹と一緒に、親の話を聞いてみましょう。1人だけではなく、相続人全員で話をすることで、心理的な負担を軽減できる可能性があります。

お盆やお正月は、親族が集まる良い機会と言えるでしょう。親が残す予定の資産についても、話をしてみてはいかがでしょうか。

親が残す資産を知って相続対策を

親が残す資産を知って相続対策を
親が残す資産を知って相続対策を

相続にまつわるトラブルは、決して少なくありません。「自分だけは大丈夫」と考えるのは危険です。あらゆる事態を想定して、生前から準備を進めておくことで、回避できるものも多いでしょう。親がどんな資産を残すのか知ることは、その一歩だと考えられます。

「あてにしていると思われたくない」という気持ちから、親の資産について、聞きづらい…と感じる方は少なくありません。だからこそ、なぜ知りたいのか、知らなかった場合に将来どのようなリスクが発生するのか、親に対してていねいに説明してみるのもおすすめです。親子間のコミュニケーションが深まれば、相続対策の幅はより一層広がります。親自身の生活を守るためにも、意思疎通を心掛けてみてください。

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大嶋 晃

司法書士 プロフィール 福島県白河市生まれ。 旅行会社勤務の後、2012年司法書士試験合格、2014年に独立開業。 東京司法書士会千代田支部所属。 身近な街の法律家として親切丁寧な対応を心掛け、幅広い相続案件に取り組む。 不動産名義変更相談窓口「https://www.meigihenkou-soudan.jp/

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