「死亡保険金は相続財産ではない」は本当?理由や相続税について詳しく解説

投稿 更新
Category:
相続

contents section

「死亡保険金は相続財産ではない」は本当?理由や相続税について詳しく解説
シェアボタン
この記事は約10分で読めます。

被保険者が亡くなったときに支払われる死亡保険金。「万が一のときでも、家族の生活を守れるように」との思いで、加入を検討している方も多いのではないでしょうか。死亡保険に加入する際に知っておきたい、「相続財産」との関係性や税金についてもわかりやすく解説します。

死亡保険と相続財産の関係性は?

子どもが生まれたタイミングで、死亡保険への加入を検討する方も多いのではないでしょうか。自分たち親に何かあれば、子どもの生活は金銭面で苦しくなる可能性も高いです。死亡保険金という形でまとまった金額を残しておけば、その後の生活も安定させやすくなるでしょう。死亡保険への加入は、非常に大きな意味を持ちます。

とはいえ死亡保険がきっかけで、将来的に相続トラブルが発生してしまう可能性も。加入の段階からそのリスクを知っておくことで、余計なトラブルを回避しやすくなるでしょう。

まず頭に入れておきたいのは、「死亡保険金は原則として相続財産とはみなされない」という事実です。死亡保険金は受取人固有の財産として扱われるため、その他の相続財産のように、相続人同士で分割する必要はありません。

夫と妻、2人の子どもがいる家族で夫が亡くなった場合、相続人となるのは残された妻と2人の子どもです。仮に夫が、妻を受取人に2,000万円の死亡保険に加入していた場合、夫の死亡とともに保険金が支払われます。死亡保険金以外に相続財産が4,000万円あった場合、法定相続分に従って妻が2,000万円、2人の子どもが1,000万円ずつ受け取ることになるでしょう。死亡保険金と合わせると、妻が4,000万円、子どもたちそれぞれが1,000万円ずつという割合になります。

このように死亡保険金は相続財産として扱われないため、死亡保険金の受取人であるかどうかで、被相続人の死後に受け取る金額が大きく変わってくる可能性があります。死亡保険金の受取人以外の相続人にとっては、不公平感を抱きやすいポイントだと言えるでしょう。

子どもが生まれたタイミングで死亡保険に加入する方は、決して少なくありません。配偶者を受取人に指定しておけば、すぐに相続トラブルが発生する可能性は低いでしょう。子どもがまだ幼いうちに被保険者が亡くなった場合、配偶者が受け取った保険金は、「子どもを含めた家族のため」に使われるからです。

一方で死亡保険とは、途中で解約しない限り、被保険者が死亡するまで続いていく保険です。子どもが幼い頃に加入した死亡保険に加入し続け、数十年後に保険金を受け取るようなケースも多いでしょう。

このような場合、被保険者や受取人を取り巻く環境は大きく変化しているはずです。配偶者や子どもたちの間で相続トラブルが発生する可能性もあるという点も、頭に入れておいてください。

死亡保険金と相続税の関係性は?

死亡保険金と相続税の関係性は?
死亡保険金と相続税の関係性は?

死亡保険金について、もう一点知っておきたいのが「相続税」との関係性についてです。先ほどもお伝えしたとおり、死亡保険金は原則として相続財産に含まれません。一方で、相続税の計算には含まれるのです。このような特徴を持つ財産を「みなし相続財産」と言います。

死亡保険金には「残された家族の生活を支えるためのもの」という目的があるため、一般的な相続財産と比較して、より手厚い非課税枠や控除が用意されています。「500万円×法定相続人の数」までは相続税が課せられませんし、この枠に収まらなかった場合でも、相続税の基礎控除や債務控除の対象にできます。その他の相続財産と合わせて「3,000万円+600万円×法定相続人の数」までであれば、やはり相続税は課せられないでしょう。また被相続人が残した借金がある場合や、葬儀費用が発生した場合、これらの金額も控除できます。

死亡保険金の受取人が配偶者であれば、さらに優遇されており、死亡保険金が1億6,000万円以下であれば相続税は発生しません。

家族のために死亡保険金を残しても、相続税が発生すれば、手元に残るお金は少なくなってしまうでしょう。いくらの死亡保険に加入するのか、受取人を誰にするのかといった項目は、その他の相続財産や家族構成なども考慮して検討してみてください。

死亡保険金が相続財産に含まれない理由とトラブル回避方法は?

最初にお伝えしたとおり、死亡保険金は相続財産には含まれません。とはいえ、受取人以外の相続人の立場としては、「いったいなぜ相続財産として扱われないのか?」「その他の財産と合わせて分配すれば良いのでは?」と、不満を感じる可能性もあるでしょう。

なぜ死亡保険金が相続財産に含まれないのかというと、被保険者の死亡によって支払われた死亡保険金は、亡くなった人のものではないからです。保険契約に基づいて受取人が指定されている以上、「最初から受取人のものである」と判断されます。亡くなった人の財産ではないため、相続財産としても扱われないという仕組みです。

だからこそ、被相続人が遺言書を残す場合でも、自身が被保険者として加入している死亡保険について記載する必要はありません。受取人に指定されていた人がすでに死亡していた場合、死亡保険金は「被保険者の相続人」ではなく「受取人の相続人」のもとへと支払われます。

例として、夫が妻を受取人にして死亡保険に加入していた場合を考えてみましょう。妻が生きていれば妻が保険金を受け取りますし、妻が亡くなっていても、夫婦間に子どもがいれば、子どものもとに保険金が支払われるはずです。一方で、夫婦間に子どもがいなかった場合、話は少し複雑になります。夫が亡くなった場合に支払われる死亡保険金を受け取るのは、夫ではなく妻の相続人です。妻の直系尊属(両親や祖父母)、妻の兄弟姉妹が対象になる可能性があります。亡くなった夫の親族としては、複雑な感情を抱いてしまうかもしれません。

死亡保険と相続に関するトラブルを避けるためには、両者の関係性や受取人について、契約時からしっかりと認識しておくことが重要です。その上で、誰を受取人に指定するべきか、よく検討してみてください。状況によっては、遺言書を活用するのもおすすめです。死亡保険金の受取を踏まえて、相続人同士が不平等な状況になり過ぎないよう、事前に相続割合を指定しておきましょう。

死亡保険と相続財産について知った上で検討を

死亡保険と相続財産について知った上で検討を
死亡保険と相続財産について知った上で検討を

「死亡保険金は相続財産ではない」というのは本当です。ただし相続税の計算には含まれるので、申告時には注意しましょう。

いざ相続がスタートした際に、死亡保険がきっかけでトラブルになるケースは少なくありません。「家族を思って残すお金」だからこそ、適切な知識を身に付けた上で、賢く活用してみてください。

Category:
相続
シェアボタン

この記事を書いた人

writer

profile img

大嶋 晃

司法書士 プロフィール 福島県白河市生まれ。 旅行会社勤務の後、2012年司法書士試験合格、2014年に独立開業。 東京司法書士会千代田支部所属。 身近な街の法律家として親切丁寧な対応を心掛け、幅広い相続案件に取り組む。 不動産名義変更相談窓口「https://www.meigihenkou-soudan.jp/

related post

関連記事

  • 終活は弁護士依頼で決まり!その理由や弁護士のできること5選を紹介

    終活は弁護士依頼で決まり!その理由や弁護

    終活は弁護士依頼で決まり!その理由や弁護士のできること5選を紹介 終活を行うにあたって、必要な書類や遺言書の作成など、難しく感じていませんか?いざ取り組んだとしても、法的な効果がなく、意味を持たない書類が出来上がることもあります。 終活を不安なく行うには、弁護士に依頼することが一番です。今回は、弁護士に終活を依頼してできることを紹介します。最後まで読み進めてもらうと、遺言書や弁護士の探

  • 本家と分家の遺産相続―家族の絆を守るためのポイント

    本家と分家の遺産相続―家族の絆を守るため

    本家と分家での遺産相続は家族の絆を試す重要な時期です。遺産相続におけるトラブルを未然に防ぎ、家族間のコミュニケーションを大切にすることが大切です。本記事では、本家と分家の遺産相続におけるポイントについて解説します。家族の絆を守りながら遺産相続を進めるためのアドバイスをご紹介します。 1: 本家と分家の遺産相続におけるポイント 本家と分家の遺産相続におけるポイントについて見ていきましょ

  • 死亡保険は相続税の課税対象?遺産分割は?覚えておきたい基礎知識

    死亡保険は相続税の課税対象?遺産分割は?

    結婚して子どもが生まれ、家族が増えると気になるのが「死亡保険」についてです。自分に万が一のことがあったときでも、残された家族の生活を守れるように…と、死亡保険の加入を検討する方も少なくありません。 とはいえ、死亡保険に加入する際には、将来の「相続税」や「遺産分割」についても意識したいところです。事前に基礎知識を身につけておけば、余計なトラブルも防げるでしょう。 今回は、死亡保険と相続

  • 会社を相続人以外に相続させたい!従業員への事業継承とは?

    会社を相続人以外に相続させたい!従業員へ

    経営者が終活を考える上で、忘れてはいけないのが会社の相続です。誰に会社を相続させ、どう事業継承を進めていくのか、事前に考えておくと良いでしょう。会社の今後を考える上で、「身内ではなく従業員に相続させた方が良いのでは…」と思っている方もいるのではないでしょうか。今回は、相続人以外の従業員に会社を相続させ、事業継承する場合に知っておきたい情報や注意点をまとめます。 従業員への事業継承は珍しくな

  • 死亡共済金の受取人は誰になる?トラブル予防のために準備しておきたいこと

    死亡共済金の受取人は誰になる?トラブル予

    万が一のときのために加入する共済。死亡時には、死亡共済金が受け取れる商品も少なくありません。 「実際に共済への加入を検討している」「共済に加入している家族が亡くなった」場合に、知っておきたいのが「死亡共済金の受取人」についてです。いったい誰が受け取ることになるのかを事前に把握しておくと共に、トラブル予防のための対策を実施しましょう。 死亡共済金の受取人とは? 死亡共済金の受取人

  • 相続発生後に覚えておきたい厚生年金手続きとは?相続放棄や未支給年金も解説

    相続発生後に覚えておきたい厚生年金手続き

    身近な人が亡くなった際には、さまざまな手続きが必要になります。相続について考えるとともに、厚生年金手続きも忘れないようにしましょう。具体的にどのような手続きが必要になるのか、わかりやすく解説します。慌てず確実に、一つ一つの手続きを終えてください。 年金受給者が亡くなった場合の手続きとは? 厚生年金を始めとする年金受給者が亡くなった場合、年金を受給する権利はなくなります。年金を受け取る

コトダマのバナー