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相続人死亡・行方不明の場合の相続はどうなる?税制上の注意点を解説

相続人死亡・行方不明の場合の相続はどうなる?税制上の注意点を解説

相続人死亡・行方不明の場合の相続はどうなる?税制上の注意点を解説

いざ相続の手続きをする際に、「あれ?この場合はどうなるのだろう…」と、疑問を抱くケースは少なくありません。相続人の状況は、各家庭によって異なるもの。インターネットや本の中に「自分のケースにピッタリと当てはまる事例」を見つけるのは難しいこともあるでしょう。

ここでは自身の状況に合った情報を探している方のために、「相続人が死亡している場合」と「行方不明の場合」それぞれについて、相続に必要な情報をまとめます。おすすめの相談先やサービス窓口も紹介するので、ぜひ最後までご覧ください。

相続人が死亡している場合の相続はどうなる?

相続人が死亡している場合の相続はどうなる?

まずは、相続の基本についておさらいしておきましょう。人が亡くなったあと、その財産は「相続人」に受け継がれます。法律で財産を受け継ぐことが決まっている人を「法定相続人」と言い、亡くなった人が遺言書を残していなければ、遺産はこの法定相続人が相続します。

亡くなった人に配偶者がいれば、配偶者は必ず法定相続人になります。その他の法定相続人は、被相続人との関係性によってその順位が定められています。

第1順位に当たるのは、被相続人の子どもや孫といった直系卑属であり、第2順位は被相続人の親に当たる直系尊属、第3順位は兄弟姉妹です。第2順位か第3順位に当たる人は、自分よりも高い順位の人が一人でも存在していれば、相続人になることはできません。

ここで気になるのが、法定相続人が死亡している場合についてです。たとえば、「被相続人には配偶者と子どもがいたが、子どもはすでに亡くなっている」という場合、子どもの代わりにその子ども、つまり被相続人から見た「孫」が相続人になります。これを代襲相続(だいしゅうそうぞく)と呼びます。

つまり亡くなった子どもの子どもが複数人いれば、その全てが法定相続人になるというわけです。本来、亡くなった子どもが受け取るはずだった遺産分を、代襲相続の対象となる相続人全員で分配します。

仮に「被相続人には子どもがいない、もしくはすでに亡くなっており孫もいない」という場合には、法定相続人は第2順位に当たる「親」へと移ります。親もすでに亡くなっている場合、第3順位の「兄弟」が相続人です。

兄弟姉妹が相続人になる場合も、すでに亡くなっていれば代襲相続の対象になります。亡くなっている兄弟姉妹の子ども、つまり被相続人から見て「甥や姪」に当たる人が、相続人になるのです。ただしその甥や姪もすでに亡くなっていた場合、その先の世代に代襲相続が続くことはありません。

相続人が死亡している場合の注意点は?

相続人がすでに死亡している場合に、注意しなければならないのが「代襲相続」についてです。第1順位の子どもが亡くなっている場合、直系卑属の代襲相続は、何代先までも続いていきます。つまり、問題を放置する期間が長くなれば、相続人の数はどんどん増えてしまう可能性があるのです。

相続の手続きは、基本的に相続人全員で行う必要があります。そのため相続人の範囲が広がれば広がるほど、手続きの難易度は高まっていってしまうでしょう。

特に不動産には相続手続きの期限がなく、問題が放置されがちです。相続問題を複雑化させないためには、できるだけ早期に手続きするのがおすすめです。

相続人が行方不明の場合の対処法は?

相続人が行方不明の場合の対処法は?

先ほどもお伝えしたとおり、相続の手続きは、相続人全員で行う必要があります。

・所在不明で連絡がとれない

・生死すら不明で手も足も出ない

このような場合でも、行方不明者を放置して手続きを進めることはできません。行方不明者の所在を確かめるため、あらゆる調査を求められるでしょう。

ただし、行方不明者が生死不明になったときからすでに7年が経過している場合、「失踪宣告」の手続きによって「すでに死亡しているもの」とみなすことができます。この場合、行方不明になった人以外の相続人で、相続の手続きを進めていきましょう。

失踪宣告にとって相続人から外れた人がいる場合も、代襲相続が行われます。直系卑属の場合は子どもや孫、その孫など…世代を問わず相続人になるため注意してください。

また「相続が発生した時点で行方不明者がいるものの、まだ7年は経過していない」という場合には、家庭裁判所に「不在者財産管理人」の選任申し立てを行いましょう。行方不明者の代わりとなる管理人を立てることで、相続手続きを進めていけます。

相続手続きの途中で相続人が亡くなった場合は?

遺産分割協議や手続きが長引くと、その最中に相続人が亡くなってしまうケースもあります。この場合、亡くなった人からの新たな相続が発生するため、話がややこしくなりがちです。これを数次相続と言います。

この場合、新たに亡くなった人の相続人も交えて、相続に関する話し合いを再度行うことになります。亡くなった相続人が本来相続するはずだった財産は、その被相続人に受け継がれます。そして、新たに発生した相続についても、適切に処理する必要があるでしょう。

相続手続きの途中で相続人が亡くなった場合、遺産分割協議書は新たに作り直す必要があります。「新たな相続内容に新たな相続人全員が合意する必要」があるのです。

相続人が亡くなっている・行方不明の場合の相談先は?

相続人がすでに亡くなっている場合や、行方不明になっている場合の遺産相続手続きは、複雑になりがちです。以下のような専門家に相談するのがおすすめです。

・税理士

・弁護士

・司法書士

・銀行

「事業」が相続の対象に入っていたり、相続税が気になる場合には、まず税理士に相談するのがおすすめです。また、相続人死亡や行方不明といった事情がこじれて、裁判になる可能性がある場合には、弁護士がおすすめ。司法書士は主に「不動産の名義変更」といった手続きをサポートしてくれますが、中には相続問題に強い事務所もあります。

「どこに相談すれば良いのかわからない…」という場合には、相続に関する相談窓口を活用してみてください。自治体や各種法人が相続専用窓口を用意しているケースも多く、そこから必要な窓口へとつないでもらえます。

行方不明ではないものの連絡がとれない場合は?

相続人の所在は判明しているものの、何度連絡しても、どうしても連絡が付かないケースもあるでしょう。この場合、失踪宣告や不在者財産管理人といった制度は利用できません。家庭裁判所に遺産分割調停を申し立てましょう。裁判所を通じて、遺産分割についての話し合いを進めていきます。

調停がスタートすれば、相手方へは裁判所から連絡がいきます。裁判所からの連絡が無視され、話し合いができなかった場合でも心配は要りません。遺産分割審判により、裁判所が遺産分割方法を決定するので、それに沿って相続手続きを進めていけます。

複雑な相続も放置しないことが一番

被相続人が亡くなったとき、相続に関する手続きは悩ましい問題の一つです。複雑な事情がある場合には、できるだけ早期に専門家に相談してみてください。

相続税が発生すると思われる場合には、それがいくらになるのか、早めに把握する必要があります。そのあたりを得意とするのは税理士ですから、ぜひ相談してみてください。

相続の世界には細かなルールも多く、自分の場合に何が適用されるのか、よくわからない…と悩む方も少なくありません。問題を放置してもさらに複雑化してしまう可能性が高いですから、ぜひ早めの対処を心掛けましょう。

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