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学資保険の契約者が死亡するとどうなる?必要な手続きや相続に関する事前知識を身につけよう

学資保険の契約者が死亡するとどうなる?必要な手続きや相続に関する事前知識を身につけよう

子どもが生まれたら、加入を検討したい学資保険。「将来の学費を賄うため」というイメージも強いですが、実際には「契約者である親に万が一のことがあった場合の備えとして」という意味合いも持っています。
学資保険に加入する段階で知っておきたい、「契約者が死亡した場合の手続きや相続」について解説します。基本的な情報を把握した上で、学資保険を検討してみてください。

学資保険とは?契約者が死亡した場合に発生すること

学資保険とは?契約者が死亡した場合に発生すること

学資保険は、多くの人が「教育費を積み立てるもの」という認識で加入している保険商品です。子どもが幼い時期に加入し、保険料を支払います。子どもが一定の年齢になった際に、満期返戻金を受け取る仕組みになっています。万が一、満期を迎える前に契約者が死亡してしまった場合、死亡保険金は支払われません。「子どものために払ったお金が無駄になる」という事態を防ぐため、以下の2つの特約が用意されています。

・保険料払込免除特約
・育英年金特約

それぞれについて、詳しく解説します。

★保険料払込免除特約とは?

学資保険の保険料払込免除特約とは、「契約者が死亡したあとの保険料払込が免除される」という特約です。学資保険はさまざまな会社から発売されていますが、そのほとんどにこちらの特約がセットになっています。保険料を支払わなくても契約は維持されるため、満期を迎えれば契約時に決めたお金が戻ってきます。お祝い金がセットになっている学資保険であれば、お祝い金も払い込まれるでしょう。

★育英年金特約とは?

育英年金特約とは、契約者である親が死亡したり、高度障害を負ったりした場合に、子どもが年金を受け取れる制度です。年金が支給されるのは、該当の学資保険が満期を迎えるまで。もちろん、満期返戻金やお祝い金も、年金とは別に受け取れます。

学資保険は将来の学費を賄うための保険ですが、一家の大黒柱が亡くなれば、進学以前に日々の生活が苦しくなってしまう可能性もあるでしょう。年金特約がセットになっていれば、進学前の生活基盤も安定します。

学資保険契約者が亡くなった場合の手続き

学資保険の契約者が亡くなった場合には、まずは契約書を確認してみてください。先ほど挙げた保険料払込免除特約や育英年金特約がセットになっていれば、所定の手続きをできるだけ素早く進めていくのがおすすめです。

まずは保険会社に連絡し、状況を説明しましょう。必要な申請書を用意してもらえますし、その後の手続き方法についても案内してもらえるはずです。速やかに手続きを進めないと、契約者が亡くなったあとも保険料の支払いが続いてしまいます。また育英年金を受け取るまでにも、時間がかかってしまうでしょう。

学資保険の契約者が亡くなった場合、被保険者である子どもに対応を求められます。未成年の場合、自分で保険会社に連絡し、手続きを進めることは不可能です。だからこそ、事前に「指定代理請求人」を設定しておくのがおすすめです。

指定代理請求人とは、契約者に万が一のことがあった場合に、未成年である子どもの代わりに各種手続きを進められる人。契約者の配偶者や親、親類などを指定するケースが多いようです。指定代理請求人は、学資保険の契約時に設定できます。誰にするのか、忘れずに決めておきましょう。

また契約者が亡くなった場合には、「後継保険契約者」を指定する手続きも必要です。学資保険の契約者が亡くなり、保険料の支払いがストップした場合でも、契約そのものは継続していきます。契約が満期を迎えるまで、誰が保険契約者になるのか指定するための手続きです。後継保険契約者は、学資保険契約者としての権利と義務を受け継ぎます。

こちらも学資保険契約時に指定しておくことが可能。契約者の配偶者(子どもにとっての親)を指定するケースが一般的です。

学資保険の契約者死亡と相続に関する基礎知識

学資保険で契約者が死亡した場合、知っておきたいのが相続や税金に関する知識です。契約者死亡によって学資保険契約が別の人に受け継がれた場合、それは相続財産の一部としてみなされます。後継保険契約者には、相続税が課せられる可能性があるでしょう。

契約者死亡によって学資保険契約が相続された場合、「契約者死亡時点でいったん解約されたもの」として扱われます。実際に契約が解除されるわけではありませんが、解約という仮定のもとで財産額が計算され、相続税計算に用いられます。

学資保険から育英年金を受け取る場合、こちらは相続財産とはみなされません。年金として受け取ったお金は、「一時所得」です。受取総額から支払保険料を引いた金額が50万円を超えた場合、所得税が課せられるでしょう。一般的な学資保険で、これほど高額な育英年金を受け取るケースは少ないものの、これ以外にも一時所得がある場合には注意してください。すべての一時所得が合算され、50万円を超えるかどうかによって、課税の有無が決定されます。

ちなみに、後継保険契約者を指定していなかった場合、満期返戻金や育英年金の受取人は「子ども自身」と判断されます。この場合、子どもが受け取るお金は雑所得となり、一時所得のような控除額は設定されていません。受け取る金額が支払った保険料を上回れば、すぐに所得税が課税されます。

子どもが受け取ったお金が38万円を超えれば、「子ども自身に収入がある」と判断されてしまうでしょう。子どもが親の扶養から外されるようなことになれば、支出は増えます。

「学資保険は子どものためのお金だから」と考えるのはもっともなこと。しかし現実には、子ども自身が保険金や年金を受け取ることで、家計にとってマイナスな影響を与えてしまうリスクがあります。契約者死亡後の学資保険と相続・税金について正しい知識を身につけ、必要な手続きを済ませてください。

学資保険と相続を知って速やかな手続きを

学資保険と相続を知って速やかな手続きを

子どもの将来の備えとして活用できる学資保険。契約者に万が一のことがあった場合でも、保険料払込免除特約や育英年金特約がついていれば安心です。保険料を支払う負担はなく満期返戻金を受け取れるほか、一定期間、育英年金を受け取れる可能性もあります。保険会社に問い合わせ、必要な手続きを進めていきましょう。

学資保険契約時には、契約者が死亡した場合についても考えておくのがおすすめです。各種特約をチェックするほか、指定代理請求人や後継保険契約者も忘れずに指定しておきましょう。十分な準備を済ませておくことで、いざというときでも安心です。残された家族の手間は最小限に、子どもにとって必要なお金を確保できるのではないでしょうか。

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