遺言がきっかけでトラブル発生!具体例から予防策を学ぼう

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遺言がきっかけでトラブル発生!具体例から予防策を学ぼう
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自身が亡くなったあとの相続トラブルを予防する目的で、遺言を残す方も多いことでしょう。しかし現実には、そうして残した遺言がきっかけで、親族間のトラブルが勃発してしまうケースもあります。

遺言がきっかけで発生するトラブルは、ポイントさえ押さえておけば回避可能です。トラブルの具体例から、遺言を残す段階で意識したい対処法を学びましょう。

トラブル事例1「遺言書の偽造」

トラブル事例1「遺言書の偽造」
トラブル事例1「遺言書の偽造」

遺言書は、故人の最期の意思を残された人々に伝えるものです。遺産相続に関連した内容が記されるケースも多いのですが、「偽造」によるトラブルもゼロではありません。具体的には、以下のような事例が挙げられるでしょう。

・同居中の家族が一足先に遺言書を見つけ、自分にとって都合の良い内容へと書き換えてしまった

・認知症になった親に、半ば強制的に遺言書を書かせる

これらの遺言書には、故人の思いが正しく反映されていません。また実際に偽造があったかどうかにかかわらず、「もしかして偽造されたものなのでは…」という疑念が、家族の中に生まれてしまうでしょう。また偽造とは少し内容が異なりますが、「自分にとって不利な内容が記された遺言書を、勝手に処分する」というケースも少なくありません。

遺言書を偽造した場合、有印私文書偽造罪に問われる可能性がありますし、破棄した場合には私用文書毀棄罪が適用される恐れがあります。また民法では、遺言書を偽造・破棄・隠匿した場合、その人は相続人になれないと定められています。非常にリスクの高い行為だと言えるでしょう。

遺言を残す側としては、できるだけトラブルを避けたいところです。自筆証書遺言ではなく、公正証書遺言を作成すれば、遺言書の内容を公証役場の公証人がチェックしてくれます。また自筆証書遺言を選択する場合でも、法務局に預けることで、偽造や廃棄といったトラブルを防ぐ効果が期待できるでしょう。遺言をただ書くのではなく、どう残しておくのかにまで配慮して、具体的な方法を決定しましょう。

トラブル事例2「記載内容のあいまいさ」

正しい形式・方法で遺言を残した場合でも、記載内容のあいまいさからトラブルに発展するケースも少なくありません。具体的な事例としては、以下のようなケースが挙げられます。

・相続財産の〇%を長男、△%を次男、□%を長女に相続させる

・遺言書に不動産に関する記載があったものの、内容が漠然としている

・不動産の記載内容が微妙に間違っている

財産の割合を指定して、相続人それぞれに分割する遺言方法は、古くから知られたもの。ドラマや映画で見かけた経験があるという方も多いかもしれません。しかし、実際の遺産相続でこの方法をとってしまうと、その内容は非常にあいまいなものになってしまうでしょう。

相続財産が現金だけという可能性は低く、遺言書の割合に沿ってきっちり分けるのは困難です。遺言どおりに分けようとした結果、親族間のトラブルに発展するケースも少なくありません。またせっかく遺言書が残っていても、結局のところ遺産分割協議をするしかないというデメリットも発生するでしょう。

こうしたトラブルを避けるためには、どの財産を誰に相続させるのか具体的に特定する「特定財産承継遺言」を選択するのがおすすめです。遺言を残す側に適切な知識があれば、あいまいな内容に遺族が頭を抱えるようなこともなくなるでしょう。

また不動産に関して、特定財産承継遺言で相続人を指定する場合、どの不動産を指しているのか正確に伝える必要があります。不動産名が間違っていると遺言は無効になり、不動産登記も難しくなってしまいます。「家族だから多少あいまいでもわかってくれるだろう」と考えるのは危険です。スムーズかつ確実な遺産相続のため、専門家のアドバイスのもとで作成すると良いでしょう。

トラブル事例3「遺留分を無視した内容」

遺言がきっかけでトラブルが発生するケースとして、もっとも多いのが相続財産の取り分に関するものです。わざわざ遺言を残そうと考える裏には、相続に対して強い思い入れがある可能性も。具体的には、「子どもの1人にすべての財産を受け継いでもらいたい」といった事例が挙げられるでしょう。

もちろん、「長男Aにすべての財産を譲る」という遺言を残すことは、法律的に見ても可能です。しかし他の相続人が納得できるかどうかは、また別の話。「自分は財産を受け継げない」と知ったその他の家族が、モヤモヤした感情を抱くのは想像に難くありません。

そもそも、兄弟姉妹や甥姪以外の法定相続人には、「遺留分」が認められています。遺留分とは、最低限の遺産取得割合のこと。たとえ「長男Aにすべての財産を譲る」という遺言が残されていたとしても、その他の子どもや配偶者は、自身の遺留分を金銭で受け取ることができるのです。とはいえ、その過程で親族間トラブルを経験する方は、決して少なくありません。

遺言を残す側が遺留分について正しい知識を身につけ、最初から配慮した内容にできていれば、不要なトラブルは防げるはずです。自分の想いを残すための遺言書ではありますが、周囲の気持ちにも一定の配慮を示すことで、よりスムーズな遺産相続に近づけられるでしょう。

トラブル事例4「遺言の内容に納得できない」

「遺留分を無視した内容」にも関連しますが、偏りのある遺言を残す場合、遺族間に軋轢を生む恐れがあります。特に多いのが、「偏りのある遺言の内容に納得できない」という気持ちが、遺族間の紛争につながるケースです。

たとえば、遺言書に「長男Aにすべての財産を譲る」とだけ記載されていた場合、長男A以外は「いったいなぜ1人だけ?」と、不審に思うことでしょう。もちろん、遺言を残す側にとっては、何か明確な理由があるのでしょうが、自身の死後、その理由が正確に伝わるとは限らないのです。

こうしたトラブルは、相続の内容に偏りが生じる「理由」を丁寧に説明することで、避けられる可能性があります。

・長男Aとその嫁から献身的に介護をしてもらったため、感謝の気持ちを伝えたい

・現在同居中の家族の住まいを確保するため、○○に相続させたい

またこの場合も、最低限遺留分に配慮した内容を意識することで、余計なトラブルを防げるでしょう。残された家族同士が気持ちの良い関係を維持し続けるためにも、「納得できない」という気持ちをできるだけ和らげられるよう、意識してみてください。

遺言のコツを踏まえて余計なトラブルを予防しよう

遺言のコツを踏まえて余計なトラブルを予防しよう
遺言のコツを踏まえて余計なトラブルを予防しよう

終活が一般的になった今、一般の方でも「余計なトラブルを防ぐために遺言を残そう」と考える方が増えてきています。とはいえ、中途半端な知識で遺言を残すと、かえってそれがトラブルの火種になってしまう恐れもあるでしょう。

今回紹介したトラブル事例も参考に、残された遺族の気持ちや状況に配慮した遺言を意識してみてください。遺言に関する各種サービスや、専門家のサポートを受けるのもおすすめですよ。

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大嶋 晃

司法書士 プロフィール 福島県白河市生まれ。 旅行会社勤務の後、2012年司法書士試験合格、2014年に独立開業。 東京司法書士会千代田支部所属。 身近な街の法律家として親切丁寧な対応を心掛け、幅広い相続案件に取り組む。 不動産名義変更相談窓口「https://www.meigihenkou-soudan.jp/

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