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親が亡くなり遺言が見つかった!相続の進め方を解説

親が亡くなり遺言が見つかった!相続の進め方を解説

親が亡くなり遺言が見つかった!相続の進め方を解説

終活ブームの今、遺言書を残して亡くなる方も多くなっています。とはいえ、いざ自分の親が亡くなり、遺言書が発見された場合にどう行動すれば良いのか悩む方も多いのではないでしょうか。

今回は遺言書が残されている場合の相続の進め方について解説します。何からすれば良いのかわからない…というときには、ぜひ参考にしてみてください。

まずは「開封」に注意!

遺言書とは、被相続人の最期の思いが詰まった書類です。法的拘束力を持ち、相続人は遺言書の内容に沿って、相続手続きを進めていくことになります。そんな遺言書には、以下のような種類があります。それぞれで取り扱い方法が異なりますから、注意しましょう。

・自筆証書遺言
・公正証書遺言
・秘密証書遺言

自筆証書遺言の場合、自宅で発見されるケースも少なくありません。身近な人が亡くなりバタバタしている中で、「少しでも早く内容を確認したい!」と思う方も多いのではないでしょうか。しかし封がしてある自筆証書遺言を勝手に開封すると、5万円以下の過料が科される恐れがあります。また「内容を改ざんしたのでは…」と疑われるきっかけにもなりかねないでしょう。

中身を確認するために、必要になるのが家庭裁判所による「検認」の手続きです。検認とは、遺言書の偽造や改ざんを防ぐためのシステムです。未開封の状態で、いったん家庭裁判所に提出しなければいけません。裁判所に指定された日時に、あらためて行われる検認に立ち会いましょう。

検認後に発行される「検認済証明書」は、この先の相続手続きを進めていくために必須です。手続きには少し時間がかかるため、遺言書を発見したら、できるだけ早く家庭裁判所への申し立てを行ってください。

ちなみに、同じ遺言でも公正証書遺言であれば、家庭裁判所による検認の必要はありません。また自筆証書遺言の場合でも、「自筆証書遺言書保管制度」を使い法務局内で保管されていたものであれば、やはり検認は必要ありません。

遺言執行者を確認しよう

遺言執行者を確認しよう

遺言書の内容を確認できたら、まずチェックしたいのが遺言執行者についてです。遺言執行者とは、遺言書の内容を実現するための手続きを進めていく人のこと。遺言書で指定されていたら、まずはその人が役割を担ってくれるか確かめなければいけません。特に指定されていない場合は、家庭裁判所に選任してもらえます。

家庭裁判所に選任してもらう場合でも、相続人が信頼できる遺言執行者を指定できます。「家庭裁判所に勝手に指定されたくない」という場合には、事前に許可をもらった上で、信頼できる相手を遺言執行者として指定できるよう準備しておきましょう。法律上の知識が必要で、相応の責任を求められるため、士業を営む専門家に依頼するのがおすすめです。

遺言執行者が決定したら、その事実を相続人に通知します。いよいよここから、相続の具体的な手続きがスタートします。

遺言執行者による遺言の執行


遺言執行者が決まったら、遺言書の内容に沿って手続きが進められていきます。具体的には、

・相続財産の引き渡しや管理
・相続財産に関係する書類の引き渡しや管理
・妨害している者がいれば、その排除
・遺言執行に必要な訴訟行為
・遺言に基づく財産の処分や売買など

といった作業が含まれます。遺言執行者を士業の専門家に依頼した場合、その指示にしたがって手続きを進めていけば大丈夫です。スムーズに遺言を執行できるでしょう。

自分たちで遺言を執行する場合の手続きとは?


遺書の内容が遺贈や遺産分割方法の指定のみで、非常にシンプルな形式の場合、必ずしも遺言執行者は必要ありません。この場合、遺言で指定された内容に沿って、相続人全員が協力して手続きを進めていくことになります。遺言をもとに相続人それぞれの相続割合を明らかにして、遺産の分配を実行しましょう。

必要であれば、登記申請や金銭の取り立ても行います。相続財産を不法に占有している人がいれば明け渡しを求め、移転するよう請求してください。遺言書のとおりに遺産を分配できれば、相続手続きは完了です。

遺言書が見つかった場合の注意点3つ

遺言書が見つかった場合の注意点3つ


遺言書を残す目的のひとつは、相続に関する親族間トラブルの予防です。とはいえ、遺言書が残されていればそれですべて安心というわけではないので、注意してください。具体的な注意点を3つ紹介します。

★遺言書は本当に有効か?


親が亡くなり遺言書が発見されたとしても、常にその内容が有効とは限りません。遺言書の内容に沿って相続手続きを進めていく前に、その中身が法律的に見て本当に有効なのかどうかを判断しましょう。

専門家のサポートのもとで作られている公正証書遺言の場合、法的効力を持たない恐れはほぼないでしょう。一方で自筆証書遺言や秘密証書遺言の場合、書式や内容の不具合が原因で「法的効力を持たない」と判断される事例も少なくありません。

不意に遺言が見つかったら、その内容が気になるのは当然のこと。しかし実際には、内容だけではなく「本当に遺言書としての効力を持っている書類なのか?」を確かめる必要があります。

万が一、残された遺言書に法的効力がないと判断された場合、その内容も無効に。相続人全員で遺産分割協議を行い、相続手続きを進めていくことになります。

★遺言書に記載されていない財産はないか?


遺言書が法的に有効だと判断される場合でも、すべての相続財産がもれなく記載されているとは限りません。この場合、遺言書に記載されていない相続財産について、遺産分割協議が必要になります。

★遺言の内容に納得できない場合はどうなる?


遺言書が法的に有効な形で残されていれば、被相続人はその相続に自身の遺志を最大限反映できます。法定相続分を無視して、特定の人にのみ財産を相続させることもできるでしょう。また本来であれば相続権を持たない人が、財産を相続することもできます。

とはいえ、法定相続とは異なる内容の遺言であればあるほど、「その内容に納得できない…」と感じる人が出てくる可能性もあるでしょう。残念ながら、正しい形で残された遺言の内容は、相続人には覆せません。

ただし兄弟姉妹を除く法定相続人には、遺留分が認められています。これは、法律で最低限保障されている相続分のこと。遺言書のとおりに遺産が分配された場合でも、遺留分が侵害されていれば請求の上で取り戻せるでしょう。弁護士に相談の上で、適切に対処してください。

遺言書が見つかったらまずは落ち着いて行動を


親が亡くなり遺言書が発見されたら、驚く方も多いのではないでしょうか。勝手に開封するのではなく、まずは落ち着いて行動しましょう。

遺言書を家庭裁判所で検認してもらうためには、1ヶ月以上の時間が必要です。だからといって相続手続きに定められている各種期限が延長されるわけでないので、注意してください。できるだけ早めに、必要な手続きを進めていきましょう。

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