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遺言書で家族へのメッセージを届けよう!「付言事項」の特徴や書き方のコツ

遺言書で家族へのメッセージを届けよう!「付言事項」の特徴や書き方のコツ

遺言書で家族へのメッセージを届けよう!「付言事項」の特徴や書き方のコツ

自身が亡くなったあとの相続トラブルを防ぎたいという思いから、遺言書を作成する人が増えてきています。法的に見ても極めて重要な意味を持つ遺言書ですが、「付言事項」を活用すれば、より心のこもったメッセージを残すことも可能です。付言事項の特徴や書き方のコツについて紹介します。

遺言書の付言事項とは?

遺言書の付言事項とは?

遺言書の付言事項とは、「法的行為以外に大切な人へのメッセージとして記しておきたい内容」を指します。

遺言書と言えば、「誰に何を相続させるのかを指定するためのもの」「法定相続人以外に財産を受け取ってもらいたいときに活用するもの」といったイメージを抱く方も多いのではないでしょうか。遺言書にこうした内容を記しておけば、法的拘束力を持って、自身の希望を叶えられます。一方で、遺言書に記載できるのは法的事項だけではありません。法律と直接関係していなくても、自分の好きなメッセージを綴ることができます。

付言事項は、遺言書に記しても記さなくても良い情報です。厳格なルールもありませんので、自分の自由に記入できます。家族や大切な人への「最期のメッセージ」としてぜひ活用してみてください。

付言事項に記入したい内容とメリット

では具体的に、遺言書の付言事項にはどのような内容がふさわしいのでしょうか。5つのパターンを紹介します。

★1.身近な人への感謝の気持ちを伝える

遺言書の付言事項は、身近な人への感謝の気持ちを伝えたいときにおすすめです。身近な人に対して、直接「ありがとう」と伝えるのは気恥ずかしいかもしれません。自身が亡くなったあとに内容を確認される遺言書であれば、照れずに素直な気持ちを伝えられるのではないでしょうか。

難しく考える必要はありませんから、相手の名前と感謝の気持ちを記してみてください。「ありがとう」のひと言だけでも、より心のこもった遺言書に仕上がるはずです。

★2.残された家族の幸せな未来を祈る

自分自身にとって最期のメッセージだからこそ、残される家族の幸せを祈るメッセージを入れておくのもおすすめです。「自分がいなくなったあとも、家族で協力して仲良く過ごしてほしい」という思いも、ストレートに伝えられるでしょう。

過去の思い出や印象深かった出来事とともに綴れば、より心に残るメッセージになります。家族にとっても、これから先の未来を照らしてくれるような、特別な贈り物になるはずです。

★3.遺産分割の理由を伝える

遺言書で遺産の分割割合を指定する場合、不平等になる可能性も。特定の相続人だけが多くの財産を受け取る場合、付言事項でその理由を伝えておくのもおすすめです。「○○について感謝しているからこそ、△△に多くの財産を受け継いでほしいと思っている」と理由があるだけで、そのほかの相続人の不満を抑える効果が期待できます。

法的に有効な遺言書で指定された分割方法は、相続人に不満があっても実行されます。不平等な扱いを受けた相続人にとっては、状況に納得できないまま手続きが進んでしまう可能性も。遺産相続で法的な問題が発生しなかった場合でも、相続人同士の間で「壁」が生じてしまう恐れはあるでしょう。

相続の理由を、生前に詳しく伝えるのは難しいかもしれません。こんなときには、ぜひ遺言書の付言事項に素直な思いを記入しておきましょう。相続人同士が気まずくなってしまうリスクを低減できます。

★4.葬儀やお墓に関する希望を伝える

自身が亡くなったあと、葬儀やお墓について叶えてほしい希望がある方もいるのではないでしょうか。このような場合にも、遺言書の付言事項が活用できます。葬儀やお墓をどうしてほしいのか、自身の希望を伝えておきましょう。

葬儀の形を指定するのはもちろん、「葬式をあげてほしくない」といった希望を残すことも可能です。ただし記された内容に法的拘束力はないため、実現するかどうかは相続人次第に。より確実に実現したい場合は、事前に口頭で伝えておくのがおすすめです。付言事項で最終確認してもらうことで、残された家族も準備しやすくなるでしょう。

★5.遺留分請求しないでほしいという希望を伝える

遺産相続でトラブルになりやすいポイントの一つは、遺留分請求です。遺言書で相続人の相続割合を指定したとしても、相続人の一部に認められている遺留分を無視することはできません。遺言書のとおりに遺産分割しても、その後に遺留分を請求されれば、さらに手間は増えてしまうでしょう。

遺留分を請求するかどうかは、それぞれの相続人によって判断されます。だからこそ、付言事項によって「遺留分を請求しないでほしい」と伝えるのもおすすめです。

この場合、「なぜ遺留分請求しないでほしいのか」を明確にしておくことがポイントです。不平等な分配になった理由も記しておけば、理解を得やすくなるでしょう。

付言事項を記載する場合のコツや注意点3つ

ここからは、実際に付言事項を記載する場合の注意点を紹介します。4つのポイントを紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。

★1.記載場所は署名・捺印の前がおすすめ

遺言書に付言事項を記載する場合、わかりやすくすることが重要です。遺言書に必要な法的事項を記したあと、署名・捺印の前に付言事項を入れるのがおすすめ。長くなりすぎないように注意してください。

付言事項の書き方は自由ですが、あまり長くなると、重要な情報が伝えにくくなってしまう可能性も。付言事項を書いてみて、想定以上に長くなりそうな場合は、遺言書と切り離してメッセージを残すのがおすすめです。エンディングノート等も活用してみてください。

★2.ネガティブな内容はできるだけ残さない

遺言書に残す付言事項は、文字通り「相続人の残す最期のメッセージ」です。いろいろと思うところがあったとしても、ネガティブな内容を書き残すのはおすすめできません。メッセージを受け取った人に、不満を植え付けてしまう恐れがあります。

最期まで愚痴や不満を伝えられたら、「被相続人の気持ちに添いたくない」と思われるかもしれません。相続トラブルの原因になる可能性もあるため、記す内容には十分に注意してください。

★3.法的遺言書の内容と矛盾しないようにする

付言事項に記された内容が、遺言書に記された法的事項と矛盾している場合、遺言書に記された内容が「無効」と判断されてしまう恐れがあります。付言事項に記す内容は「自由」とはいえ、法的事項と相反する内容を記さないようにだけは注意してください。

たとえば、法的遺言書で「○○に全財産を譲る」と記載していても、付言事項で「△△にも財産を譲りたい」と記入してあれば、矛盾と判断されてしまいます。遺言書を作成したら、その内容を入念にチェックしておきましょう。

遺言書の付言事項で大切な人にメッセージを伝えよう

遺言書の付言事項で大切な人にメッセージを伝えよう

堅苦しい印象のある遺言書ですが、付言事項でメッセージを伝えることで、より心のこもったスタイルにできます。大切な人に残す本当に最期のメッセージと思えば、伝えたい言葉も多く見つかるのではないでしょうか。ぜひ素直な気持ちを記してみてください。

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