遺言の相談は誰に?知っておくべき4つの相談先と相談にかかる費用

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遺言の相談は誰に?知っておくべき4つの相談先と相談にかかる費用
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そろそろ子育てもひと段落して、いよいよ自分たちの老後のことが気になり始めた。子どものために遺言を残したいけど、どうやって遺言を残せばよいか分からない。

しかし、遺言は相続人とって重要なものとなります。実は、遺言の相談にのってくれる場所があるのです。

では、その相談先はどこでしょうか?料金はかかるのでしょうか?遺言についての相談先は大きく分けて4つあります。4つの相談先のそれぞれメリット・デメリットと気になる相談料金について解説します。

遺言を残しておくことで、残された方々は助かります。ぜひ、遺言の相談先を決める参考にしてください。

遺言について相談できる場所は4つ!

遺言について相談したくても、どこに相談すればよいか分からなくないですか?ここでは、遺言について相談できる4つの相談場所をそれぞれご紹介します。

  • 行政書士
  • 司法書士
  • 弁護士
  • 税理士

順番に見ていきましょう。

遺言の相談ができる場所➀行政書士

遺言の作成の相談や支援をお願いできるのが行政書士です。行政書士は権利義務に関する書類の作成・代行・相談業務を行える専門家です。

自筆証書遺言・公正証書遺言・秘密証書遺言の作成の支援ができます。自筆証書遺言か公正証書遺言か迷っている場合にも相談できますね。

行政書士は公正証書遺言を作成する際の公証役場の手続きにも慣れているので公証人との連絡や調整もスムーズに行ってくれるでしょう。

遺言の相談ができる場所➁司法書士

不動産に関する遺言は司法書士に相談できます。司法書士は、不動産登記の申請手続きの代行ができる専門家です。不動産の相続や遺贈する場合には、司法書士に相談できます。

司法書士に遺言執行者になってもらうことで、相続や遺贈する場合の不動産の所有権移転登記がスムーズに行えます。

遺言の相談ができる場所➂弁護士

相続問題全般を相談できるのが弁護士です。弁護士は、依頼を受けて法律事務を処理する専門家で、裁判以外の仕事も行うのです。

法律問題全般に関わることができる弁護士には、遺言の相談や作成依頼ができます。ほかの専門家に比べて業務の範囲が広い弁護士は、争いごとが起こった際にも間に入って解決してもらえるでしょう。

遺言が原因で相続トラブルになるケースも多くあります。相続人同士で、トラブルになった場合でも弁護士ならばスムーズに解決できる可能性が高いです。

遺言執行者になってもらうと、将来起こるかもしれない争いごとの備えになりますね。

遺言の相談ができる場所➃税理士

税理士は、税金の専門家です。遺言書作成から相続税の生前対策や事業承継なども相談できます。

相続における税務は複雑です。特に、税務面を重要視したい場合にもよいでしょう。

また、個人事業主などで普段からお世話になっている税理士がいる場合、相続について相談してみるのも方法の一つです。

4つ以外に遺言について相談できるところは?

上記4つの専門家以外に、次のような相談場所があります。

  • 信託銀行
  • ファイナンシャルプランナー
  • 公証役場
  • 市町村の無料法律相談
  • 法テラス

信託銀行やファイナンシャルプランナーといった先でも遺言の相談にのってくれる場合があります。信託銀行では作成や保管・執行などを一括で引き受けてくれる「遺言信託」という商品がありますが、報酬が高めなのがデメリットです。

ファイナンシャルプランナーは直接遺言書を作成してくれるわけではなく、どの専門家に相談すればよいかアドバイスしてくれます。どこに相談するか迷っている場合は、まずはファイナンシャルプランナーに相談してみるのもよいでしょう。

公証役場では、公正証書遺言の作成を前提に遺言に関する相談に無料でのってくれます。ただし、遺言の具体的な内容には関与しません。基本的に遺言書の作成方法を教えてくれる場所だと思ってください。また、必要書類などもすべて自身で揃える必要があります。

市区町村役場では定期的に無料の法律相談などの市民相談があります。市民相談を利用して遺言の相談にのってもらうことは可能ですが、時間制限もあるため詳細まで相談するのは難しいでしょう。

法テラスで遺言に関して相談することも出来ます。そこで、適切な相談窓口を案内してくれます。

一定額の収入以下の場合には、無料で法律相談を受けられる可能性もあります。弁護士や司法書士に依頼をする際にも、費用の建て替え制度を利用することも出来るかもしれません。

それぞれの遺言の相談先のメリットとデメリット

相談できる専門家が分かったところで、どの専門家がよいのか迷いますよね。では、それぞれの専門家に相談するメリットとデメリットを見ていきましょう。

メリットとデメリットを比較することで、遺言の相談先が見えてきます。

行政書士に遺言を相談する場合

メリット

4つの専門家の中では比較的費用が安く抑えられます。比較的安い報酬で遺言作成の相談にのってくれるので、費用をあまりかけたくない方には向いているでしょう。

デメリット

係争の場合、代理人になれないのがデメリットなので、係争の心配がない場合に利用するとよいでしょう。

司法書士に遺言を相談する場合

メリット

報酬と出来る内容のバランスを考えると司法書士がよいでしょう。民法などの法律に関する知識も豊富です。

報酬は弁護士より安い場合が多いのがメリットです。

デメリット

係争の場合、代理人になれないのがデメリットなので、係争の心配がない場合に利用するとよいでしょう。

弁護士に遺言を相談する場合

メリット

遺言作成において最も信頼できます。また、相続に関する問題にも幅広く対応することができます。

係争が起きても当事者の代理人として交渉が可能です。将来の争いごとに対して備えたい場合は、弁護士に遺言の相談をするのがよいでしょう。

デメリット

報酬が高いのがデメリットです。少なくとも、20~30万円程度はかかります。

係争が予測される場合には、あらかじめ弁護士に依頼するのがよいでしょう。

税理士に遺言を相談する場合

メリット

報酬も比較的安く、相続税の申告までサポートしてもらえます。知り合いの税理士がいる場合には気軽に遺言の相談もできますね。

デメリット

係争の際に代理人にはなれません。係争の可能性が低く、税務面を重視したい場合には税理士がよいでしょう。

気になる!遺言の相談にかかる費用はどのくらい?

弁護士に遺言の相談をした場合、相談料がかかります。相場は30分5,000円程度です。

4つの専門家では弁護士の費用が一番高いことが予想されます。相続について争いごとが起こりそうな場合は、高くても弁護士に依頼する方がよいでしょう。

また、4つの専門家それぞれで無料相談を受け付けてくれる場合もあります。

無料相談であれば、費用はかかりません。まずは、遺言の相談に行って、遺言書作成や執行人の費用がどのくらいかかるのか聞いてみると全体の費用がわかるのでよいでしょう。

遺言の相談を行ったあとに、実際に遺言書を作成してもらうとなると別途費用がかかります。

弁護士に依頼した場合の相場で20~30万円程度になるでしょう。行政書士に作成依頼した場合の相場は、約6万円からになります。

司法書士や税理士に作成を依頼した場合10万円程度の料金になることが多いようです。そのほかに、公正証書遺言書を作成すると公証人の手数料がかかります。

まとめ:遺言について相談できるところはたくさんある

相続人にとっては、遺言があるほうが助かりますよね。遺言について相談できる場所は主に、行政書士・司法書士・弁護士・税理士の4つです。

相談したい遺言の内容によって、選んでもらえればと思います。それぞれの専門家によってメリット・デメリットがありますので、ご自身の希望する内容にあった専門家を選んでください。

争いごとが起きそうな場合かどうかで相談先を選ぶのもよいでしょう。最初の遺言の相談は無料で行ってくれる場合もありますので、まずは問い合わせてみてください。

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大嶋 晃

司法書士 プロフィール 福島県白河市生まれ。 旅行会社勤務の後、2012年司法書士試験合格、2014年に独立開業。 東京司法書士会千代田支部所属。 身近な街の法律家として親切丁寧な対応を心掛け、幅広い相続案件に取り組む。 不動産名義変更相談窓口「https://www.meigihenkou-soudan.jp/

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