40代からの終活準備…遺言書に記したい内容や初める際の注意点

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40代からの終活準備…遺言書に記したい内容や初める際の注意点
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働き盛りの40代。ある程度子どもに手がかからなくなったとはいえ、「終活」を意識するにはまだまだ早い…と感じる方も多いのかもしれません。

とはいえ「遺言書」については、40代でも早すぎることはありません。終活準備の一つとして、遺言書に関する準備を初めるのはいかがでしょうか。具体的に何をするべきか、またどういった点に注意するべきか、40代向けの情報をお届けします。

40代から遺言書の準備を始めるメリットとは?

人生100年時代と言われる今、「40代の忙しい時期から終活準備を進める必要があるのか?」という疑問を抱きがちです。とはいえ、まだ若い現役世代から遺言書を作成しておくことで、万が一の場合に備えられるというメリットがあります。

ある程度子どもが大きくなってきたとはいえ、「まだまだ未成年」というご家庭も多いはずです。もしも子どもが未成年の間に親が亡くなってしまうと、子ども自身が遺産分割協議に参加することはできません。裁判所を経て代理人を用意し、その上で各種手続きを進めていく必要があるのです。

「たとえ子どもが未成年でも、両親のうちどちらか一方が残されていれば良いのでは?」と思いがちですが、これは間違いです。たとえば夫が亡くなり、妻と子どもが残された場合、妻自身も法定相続人になります。同じく法定相続人となる子どもにとっては、利益を分け合うライバルのような関係性になるため、親であっても代理人を務めることはできないのです。

遺言書が残されていれば、その内容に基づいて遺産が分配されるため、遺産分割協議は必要ありません。未成年の子どもがいても、遺産相続をスムーズに進めていけるでしょう。

また子どもの将来を見据えて、自身が残す財産をどう活用してもらうのか指定できる点も、遺言書ならではの魅力です。子育て中の今だからこその遺言内容を検討してみてはいかがでしょうか。

40代の遺言書に記すべき内容とは?

40代の遺言書に記すべき内容とは?
40代の遺言書に記すべき内容とは?

遺言書に記すべき内容は、目的によって違ってきます。主に以下の4つを意識してみてください。

・財産の相続について
・財産の処分について
・相続人の立場について
・遺言執行者について

財産の相続については、誰に何をどのような割合で分配したいのかを記しておきます。法的に有効な遺言書を残しておけば、法定相続に沿った内容ではなくても有効と判断されるでしょう。先ほどもお伝えしたとおり、遺産分割協議の必要もないため、トラブル予防にもつながります。また法定相続人以外を指定して、財産を相続させることも可能です。「相続」ではなく「処分」を希望する財産についても、あらかじめ指定できるでしょう。

遺言書にて子どもを認知することもできますし、未成年の子どもの後見人をあらかじめ指定しておくことも可能です。子どもの立場を明らかにするという意味でも、遺言書を残しておく意味は大きいと言えます。

40代からの遺言書作成においては、「自分の死がイメージできず、記すべき内容が思い浮かばない…」と悩む方も少なくありません。「万が一のときに残された家族の手間を軽減したい」という目的で遺言書を残すのであれば、難しく考える必要はないでしょう。配偶者と子どもが相続人になる場合、遺産分割協議を避けられる内容さえ残しておけば、余計な負担は取り除けます。

子どもがいない夫婦の場合、子どもの代わりに相続人になるのは、亡くなった人の両親です。両親も亡くなっている場合は、亡くなった人の兄弟姉妹に相続権が発生します。この場合、遺言書はさらに重要な意味を持つものに。年代に限らず、できるだけ早く「配偶者に全財産を相続させる」旨の遺言書を作成しておけば、残された家族の暮らしを守る効果が期待できるでしょう。

40代の終活準備…注意点3つ


40代から始める終活準備は、遺言書の作成だけでは不十分です。今後のことも見据えて、以下の注意点についても意識してみてください。3つのポイントを紹介します。

★1.財産の内容や所在を明らかにする

40代は子育て真っ最中という方も多いのではないでしょうか。教育費や住宅購入費など、大きな金額が動きやすい時期でもあります。働き盛りだからこそ入ってくるお金も多く、財産が流動しやすいという特徴があるでしょう。

こうした時期だからこそ、終活準備として忘れてはいけないのが「財産の内容や所在を示しておく」ことです。順調に資産を形成していても、自身が亡くなったあと、家族に発見されなければ意味がありません。一般的な「預金」のほかにも、「ネット証券」や「暗号資産」など、財産の形が多様化しているからこそ、どこにどれだけの財産があるのか、きちんと情報を残しておきましょう。定期的に情報更新しておくと、より安心です。

★2.デジタル情報をまとめておく

各種インターネットサービスも、40代にとっては身近なもの。自身が亡くなったあとに家族が困らないよう、こちらも情報を整理しておきましょう。

・パソコンやスマホのIDやパスワード
・利用しているサブスクリプションサービス
・ネットバンクの口座情報

これらの情報は、必要になるときまで厳重に管理するのがおすすめです。ログイン情報などは、簡単に見られないように注意してください。

★3.遺言書の効果が及ぶ範囲を理解する

40代からスタートする終活にも、遺言書は効果的です。とはいえ残念ながら、遺言書も万能ではありません。遺言書の特性や注意点を理解した上で、必要な手続きを進めてみてください。

たとえば、遺言書で特定の一人のみを指定して財産をすべて譲る旨を記載したとしても、その他の相続人から遺留分の請求を受ける可能性があります。遺留分侵害額請求の裁判を起こされた場合、遺産分割に関する手間が増えてしまうでしょう。

また自筆証書遺言を選び、必要な条件を満たせていない場合、遺言書の法的拘束力は認められません。遺言書が残されていたとしても、遺産分割協議にて相続の詳細について決定する必要があるのです。

自宅で紙とペンさえ用意すれば作成できる自筆証書遺言は、非常に手軽。「とりあえずできることから始めたい」という40代のニーズにも、ぴったりの遺言スタイルと言えるでしょう。一方で、記載ミスによってトラブルが発生するケースも決して少なくありません。遺言書としての要件を満たせるように注意してください。

親の介護が始まる前に自身の終活について考えてみよう

親の介護が始まる前に自身の終活について考えてみよう
親の介護が始まる前に自身の終活について考えてみよう

子育てが一段落する40代。親の介護がスタートするまでに、まだ少し余裕がある時期とも言えるでしょう。仕事で忙しい時期ではありますが、今後についても考えつつ、終活準備をスタートするのもおすすめです。今回紹介した情報も参考にしながら、遺言書についても検討してみてはいかがでしょうか。

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大嶋 晃

司法書士 プロフィール 福島県白河市生まれ。 旅行会社勤務の後、2012年司法書士試験合格、2014年に独立開業。 東京司法書士会千代田支部所属。 身近な街の法律家として親切丁寧な対応を心掛け、幅広い相続案件に取り組む。 不動産名義変更相談窓口「https://www.meigihenkou-soudan.jp/

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