後見制度で相続税の節税対策ができる?制度詳細と注意点

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後見制度で相続税の節税対策ができる?制度詳細と注意点
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両親が高齢になってくると、家族で相続税の節税対策について話す機会もあるかと思います。特に2016年の相続税法の改正以降、特別お金持ちの家庭でなくても高額な相続税が発生するケースが多発。相続が発生する前から、しっかりと準備を整えておくことが重要になってきています。

そうした状況の中、「成年後見制度で相続税対策が可能なのでは?」と注目する人が増えてきています。成年後見制度とはどういった制度で、本当に相続税対策が可能なのでしょうか?気になる注意点まで、わかりやすくまとめます。

成年後見制度とは?

成年後見制度は、何らかの事情により「判断能力が十分ではない」判断される人の財産管理等を支援するための制度です。この制度を使えば、年老いた両親が認知症になり正常な判断が難しくなってしまった場合でも、成年後見人がその活動をサポートできるようになります。

成年後見制度には、

・法定後見制度
・任意後見制度

の2種類があり、法定後見制度では家庭裁判所によって成年後見人が指定されます。任意後見制度の場合、「本人が元気なうちに成年後見人を指定しておくこと」が可能です。

成年後見人になると、本人に代わってその財産を管理したり、結んでしまった契約を解除することができます。さらに有価証券の管理や遺産相続の代行もできるようになります。

成年後見制度で相続税対策は可能なのか?


相続の際に多額の相続税が発生すると予測されている場合、不動産購入や生前贈与が効果的です。実際に相続が発生する前に、何らかの手を打ちたいと思う方は多いことでしょう。

とはいえ親が認知症を発症している場合、「意思能力がない」と判断され、各種契約や行為が「無効」になってしまいます。たとえば相続税対策にマンションを購入しようと思っても、認知症を発症している両親が契約するのは不可能というわけです。

だからこそ注目されているのが成年後見制度で、子どもが親の成年後見人になれば、その財産を自由に動かせるように思えます。このため「認知症発症以降でも相続税対策が可能」と言われるケースも多いようです。

ただし実際には、成年後見制度を使って相続税対策をするのは極めて難しいでしょう。なぜなら、成年後見制度の目的は「本人の財産を守ること」だからです。相続税対策は、被相続人ではなく相続人のために行われるもので、本人の財産を守ることにはなりません。

むしろこれは「相続税を発生させないため、本人の財産の評価額を下げる行為」に当たりますから、成年後見人になったところで、自由に決断・契約できるわけではないのです。かりに、成年後見人の立場を悪用して勝手に本人の財産を処分したとしても、その契約は無効と判断されてしまうでしょう。

ちなみに、法定後見制度ではなく「任意後見制度」を活用する場合、本人が健康なうちに、

・成年後見人を務めて欲しい人
・希望に沿った財産管理の方法

などを指定しておくことが可能です。この制度を上手に活用し、具体的な指示を記載した正式な書類を残しておけば、より自由度の高い財産管理が可能になるでしょう。

とはいえ、任意後見制度の場合も、「後見制度は本人の利益を守るためのもの」という前提に変わりはありません。

任意後見人には「任意後見監督人」と呼ばれるチェック者がつき、お金の出入りを確認します。この任意後見監督人には、弁護士などの第三者の専門家が選ばれるケースも多く、やはり「相続税対策のために本人の財産を減らす」という行動は、難しいでしょう。

成年後見制度が駄目なら相続税対策はどうする?

成年後見制度が駄目なら相続税対策はどうする?
成年後見制度が駄目なら相続税対策はどうする?

相続税対策を目的に、家族の財産を自由に動かせるようにしたいのであれば、「家族信託」に注目してみるのがおすすめです。家族信託とは、一般的な信託システムを家族間に応用したもので「民事信託」呼ばれるケースもあります。

家族信託では、委託者(財産を預ける人)、受託者(財産の管理を任される人)、そして受益者(財産管理の利益を享受する人)の3者が存在し、これは家族間でそれぞれ自由に設定できます。たとえば、年老いた親が委託者・受益者となり、子どもが受託者になれば、親が信託した財産を子ども自身が運用可能です。さらに得られた利益で、親の生活費を賄うこともできます。

家族信託契約を結んでおけば、親が認知症になり、正常な判断能力を失ってしまった場合にも、子どもの判断で財産を動かせるようになります。つまり資産運用の形で、相続税対策のために財産の評価額を下げることも可能なのです。

もともと委託者兼受益者であった親が亡くなれば、当然その受益権は相続の対象になります。一定の金額以上になると予想される場合には、相続税が発生するでしょう。そうした意味では、「家族信託契約を結んだからといって、相続税の節税対策にはならない」と考えられます。

ただし、親が認知症になったあともしっかりと相続税対策を進めておけば、「相続財産の評価額を減らすことにより間接的な相続税対策になる可能性」があります。もし相続税対策のために導入するなら、あらかじめその内容や具体的な対策方法についてリサーチしておく必要があるでしょう。

家族信託を利用する場合の注意点は?

家族信託を利用する場合の注意点は?
家族信託を利用する場合の注意点は?

親が認知症になったあとでも、相続税対策ができる「家族信託」。相続税対策のための方法として注目されていますが、実際に利用する際には、いくつか注意しなければならないポイントもあります。

家族信託で本当に節税対策ができるかどうかは、「受益者の設定方法」にかかっています。たとえば、親に信託された財産を子どもが運用する場合、受益者を子どもに設定すれば、それは「贈与」に当たります。すると贈与税の対象になってしまうので注意してください。

家族信託を利用した節税プランについては、専門の税理士に相談の上で、決定するのがおすすめです。自己判断をすると、「節税対策するつもりが、負担が増えてしまった!」という事態にもなりかねません。信託する財産や、今後の運用プランについて、信頼できるパートナーを見つけて相談してみてください。手続きについて、悩むリスクもなくなります。

相続税の節税対策に見切り発車は危険

相続税の節税のため、「成年後見制度」に注目する方が増加しています。成年後見制度を活用すれば、本人が認知症になったあとでも資産運用が可能になり、相続税対策もできるのでは…と思いがちです。しかし残念ながら、実際には難しいと言わざるを得ないでしょう。

認知症発症後の資産運用で節税を目指すなら、「家族信託」にも注目してみてください。事前にきちんと運用プランを立て、計画的に物事を進めていくことで、相続税対策につながる可能性があります。

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大嶋 晃

司法書士 プロフィール 福島県白河市生まれ。 旅行会社勤務の後、2012年司法書士試験合格、2014年に独立開業。 東京司法書士会千代田支部所属。 身近な街の法律家として親切丁寧な対応を心掛け、幅広い相続案件に取り組む。 不動産名義変更相談窓口「https://www.meigihenkou-soudan.jp/

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