つたえるコトダマ

妻に残す資産を守りたい!相続対策としてやっておくべきこととは?

妻に残す資産を守りたい!相続対策としてやっておくべきこととは?

妻に残す資産を守りたい!相続対策としてやっておくべきこととは?

自身の老後について考えたとき、「自分が亡くなったあと、人生を共に過ごしたパートナーの行く末が不安」と語る方は少なくありません。特に男性の場合、自宅や土地の名義が自分自身になっているケースも多いもの。「自分が亡くなったあと、妻は同じ家に住み続けられるのだろうか…」と不安を感じることもあるでしょう。

妻に残す資産を守るため、生前からできることはあるのでしょうか。配偶者の今後の生活のため、相続対策としてやっておくべき行動を紹介します。

まずは相続の基本について学ぼう!

まずは相続の基本について学ぼう!

自分の死後、妻に財産を残すためには、まず相続の基本について学んでおく必要があります。被相続人の財産を受け継ぐのは、相続人です。無条件に相続人になれるのが配偶者であり、その他の相続人については、以下の順位に沿って決定されます。

第1順位 被相続人の子ども
第2順位 被相続人の親
第3順位 被相続人の兄弟姉妹

妻と子どもがいる人が被相続人になれば、相続人は配偶者である妻と、第1順位である子どもがなります。子どもがすでに亡くなっている場合、その子どもの子ども、つまり孫に相続権が発生します。これを代襲相続と言いますが、第1順位と第2順位について、代数制限はありません。第3順位の兄弟姉妹においても、1世代限りとはいえ代襲相続が認められています。

つまり、法律に則って自身の財産を相続させる場合、自身の甥や姪までが相続人になる可能性があるのです。「妻のもとにできるだけ多くの財産を残したい」と思う方にとっては、想定外の事態と言えるのではないでしょうか。

特に妻との間に子どもを設けていない場合や、子どもがいても相続させたくない場合には、注意が必要です。法律の基本知識を身につけた上で、適切な準備を整えておきましょう。

「妻に全財産を譲る」旨の遺言書だけでは不十分

自身の死後、相続に遺志を反映させるための方法として、有効なのが遺言書です。法的に有効な遺言書を残し、そこに「妻に全財産を譲る」とさえ記載すれば大丈夫!と思っている方も多いのかもしれません。しかし実際には、この対策だけでは不十分です。

なぜなら相続人のうち、直系卑属である子どもと直系尊属である親には遺留分が認められているから。遺留分とは、相続人が受け取れる最低限の遺産の取り分を示したものです。遺留分を侵害する内容であっても、遺言そのものが無効になるわけではありません。一方で、兄弟姉妹以外の法定相続人から遺留分を請求されれば、支払わないわけにはいかないのです。

たとえば、相続する財産のほとんどが「自宅+土地」であった場合、遺留分請求によって、妻が自宅を手放さなければならない可能性も出てきます。妻の生活は、大きく変わってしまうでしょう。

妻に多くの財産を相続させたい旨の遺言書を残す場合、その他の相続人への丁寧な説明が鍵となるでしょう。突然遺言書で「妻のみが財産を相続する」と告げられるよりは、「なぜそうしたいのか?」を含めて、自身の思いをしっかりと説明しておいた方が、受け入れる側の気持ちも変わります。

また相続人が妻と子どもの場合、いったん妻がすべてを相続したとしても、妻が亡くなった段階で、それらの財産は子どものもとへと受け継がれます。こうした事情を丁寧に説明すれば、理解を得られるケースも多いのではないでしょうか。

「終活=遺言」と考える方は多いですが、実際にはそれだけではありません。遺言を残すことも大切ですが、自身が遺産相続についてどのように考えているのか、周囲との意思疎通も重要視してみてください。

ちなみに、夫婦の間に子どもがおらず、自身の両親もすでに亡くなっている場合、兄弟姉妹に遺留分は認められていません。この場合は、「妻に全財産を残す」と記せば、自身の思いをそのまま反映できるでしょう。

この場合、「法的に有効な遺言書を残せるかどうか?」が非常に重要なポイントになります。専門家のサポートのもとで、公正証書遺言を残しておくのがおすすめです。

贈与税の配偶者控除の活用も検討してみて

妻に残したい資産のうち、特に不動産について不安を抱えているなら、贈与税の配偶者控除を利用するのも良いでしょう。この制度を使えば、夫名義の住まいを、妻に非課税で贈与できます。以下の条件を満たしているかどうか、ぜひチェックしてみてください。

・妻との婚姻期間が20年以上であること
・自宅の価値が2,110万円以下であること

2,110万円という数字は、贈与税の基礎控除110万円に、特別控除2,000万円をプラスしたもの。贈与が完了したら、翌年の3月15日までに贈与税の申告書を提出しましょう。

この制度を使って生前贈与が完了していれば、自分が亡くなっても、自宅は妻の名義です。当然、相続財産には含まれません。その他の相続人との間で争いが起きる恐れもありませんし、妻が住まいを失うリスクもなくなるでしょう。婚姻期間が20年以上であれば、ぜひ検討してみてください。

法律上の妻ではない場合の対処法は?

ひと言で「妻に残す資産を守りたい」と言っても、その実態はさまざまです。中でも、「別れた妻に財産を譲りたい」「法律上は夫婦と認められていない、内縁の妻に残す資産を守りたい」という場合、相続はよりいっそう複雑になるでしょう。

この場合、法律上の夫婦ではない妻は、法定相続人とはみなされないので注意が必要です。妻を相続人に指定するためには、その旨を記した遺言書を確実に残しておいてください。

ただし、全財産を妻に残せるかどうかは、その他の相続人によって異なるでしょう。たとえ「全財産を妻(元妻)に譲る」と記載した遺言書を残しても、その他の相続人には遺留分が認められます。請求される可能性は高く、支払わなければ訴訟に発展してしまいます。最初から遺留分に配慮した遺言を残しつつ、なぜ内縁の妻や元妻に財産を残したいのか丁寧に説明し、理解を求めるのがおすすめです。

すべての資産を残すのは難しくても、できる限りの相続対策を実践してみてください。自身の死後の、トラブル予防にも役立つはずです。

妻に残す資産を守りたいなら…しっかりと生前対策を!

妻に残す資産を守りたいなら…しっかりと生前対策を!

老後の生活が見えてきたとき、配偶者の今後の生活についても、きちんと考えておきたいところです。特に不動産の名義がどちらか一方になっている場合、遺産相続トラブルから、住む場所を失ってしまう恐れもあります。生前にしっかりと対策をしておくことで、こうしたリスクを低減できるでしょう。

具体的に何から始めれば良いのか悩んだときには、まず相続の専門家に相談してみるのもおすすめです。妻に残す資産を守るため、今の自分に何ができるのか、より具体的な情報も得られるでしょう。

モバイルバージョンを終了