つたえるコトダマ

遺産相続の手続きは自分で!具体的な進め方と注意点を解説

遺産相続の手続きは自分で!具体的な進め方と注意点を解説

遺産相続の手続きは自分で!具体的な進め方と注意点を解説

40代~50代になると、いつか発生するであろう「相続」について、気になる方も多いのではないでしょうか。実家の親が亡くなれば、子どもはほぼ確実に法定相続人に数えられます。いざ相続が発生しても、「具体的に何をどう手続きすれば良いかわからない…」と悩む方は少なくありません。

遺産相続の手続きは、具体的にどう進めていけば良いのでしょうか。自分で手続きする場合の流れや注意点について解説します。

遺産相続とは?大まかな流れ

遺産相続とは、亡くなった人が所有していた財産を、相続人で分け合う手続きを言います。具体的にどういった流れになるのか、把握しておきましょう。遺産相続の流れは、「故人が遺言書を残しているかどうか?」によって、大きく違ってきます。

遺言書が残っている場合と、残っていない場合、それぞれについて大まかな流れをチェックしてみましょう。

★遺言書が残されている場合

故人の遺言書が見つかった場合の流れは、以下のとおりです。

1.必要に応じて家庭裁判所にて検認の手続きをする
2.遺言書の中身を確認する
3.遺言書の内容に沿って、遺産を分割する
4.口座の解約や不動産の名義変更といった手続きを完了させる

遺言書とは、故人の最期の思いを記した正式な書類です。法的効力を持つ正式な遺言書であれば、そこに記された内容に沿って相続手続きを進めていくのが基本。たとえ遺言書に記されていた内容が法定相続分とは異なっていても、遺言書の方が優先されます。

親族間で協議する必要がないため、争いごとを避けられる可能性も高いでしょう。また相続が発生してから、慌てて相続財産の調査をする必要もありません。

ただし遺言書が自宅で発見された「自筆証書遺言」の場合、家庭裁判所による「検認」と呼ばれる手続きが必要です。封がしてあるものを勝手に開けて中身を確認してしまうと、偽造や変造を疑われる原因に。5万円以下の罰金が科せられる恐れもあるため、注意してください。

遺言書の検認には、家庭裁判所への申し立てが必要です。以下の必要書類を揃えて手続きしてください。

・申立書
・遺言者の戸籍謄本、除籍謄本、原戸籍謄本(出生時から死亡時までのすべてを揃えて提出)
・相続人の戸籍謄本(全員分)

検認には、少なくても1ヶ月以上の時間が必要になります。検認が必要な遺言書が発見されたら、できるだけ素早く申し立てを行いましょう。

ちなみに、残されていた遺言が公正証書遺言であったり、自筆証書遺言であっても法務局にて保管されていたりした場合には、検認は不要です。偽造や変造の疑いがないため、すぐに内容を確認し、その後の手続きを進めていけます。

★遺言書が残されていない場合

遺言書が残されていない場合は、遺産相続について、相続人が協力して決定する必要があります。こちらの場合の大まかな流れは以下のとおりです。

1.相続人に関する調査を行い、確定する
2.相続財産に関する調査を行い、確定する
3.遺産分割協議を行う
4.協議の内容に基づき、遺産分割協議書を作成する
5.遺産分割協議書に基づいて、遺産を分割する
6.口座の解約や不動産の名義変更といった手続きを完了させる

遺言書が残されていない場合、「誰が相続人になるのか?」「何が相続対象に含まれるのか?」を明らかにするところからスタートします。必要に応じて、専門家の手を借りることも検討してみてください。
こうして調査された内容をもとに、遺産分割協議を行います。誰が何を相続するのか、この協議にて確定しましょう。あとはその内容に基づいて相続を完了させます。

言葉にすると非常にシンプルですが、実際には遺産分割協議がまとまらない事例や、話がこじれて訴訟にまで発展してしまう事例も少なくありません。ひとつひとつの問題を、丁寧に解決していく必要があるでしょう。

遺産の状況によっては相続放棄の検討も!

遺産の状況によっては相続放棄の検討も!

遺産相続の手続きを自分で進めていく場合、注意したいポイントのひとつが、相続放棄についてです。相続する財産の状況によっては、放棄した方が良いのかどうか、ぜひ冷静に検討してみてください。

遺産相続では、プラスの財産だけではなく、マイナスの財産も対象になります。相続する遺産を調査した結果、プラスの財産よりもマイナスの財産の方が多いようであれば、相続放棄を検討した方が良いでしょう。相続放棄には、「相続が発生したことを知ってから3ヶ月以内」という期限が存在しています。

遺言書の検認手続きや遺言書が残されていない場合の財産の調査は、相続放棄する可能性についても考慮した上で、時間に余裕を持って進めていくのがおすすめです。

相続放棄の手続きも、家庭裁判所にて進めていきます。申し立てが認められれば、「最初から相続人ではなかった」と法律的にも認められるでしょう。

ただし相続放棄すれば、これから先も含めて、すべての財産を相続する権利を一切失うことになります。また、もし自分よりも低順位の相続人がいれば、相続人は次の順位へと移っていくでしょう。こちらも考慮する必要があります。

遺産分割協議書の作成方法は?

遺産分割協議の結果は、遺産分割協議書に記します。自分で手続きする場合、以下の点に注意してください。

・相続人や財産を、正確に記載
・相続人全員分の、実印での捺印が必要

遺産分割協議書は、預貯金の解約や相続登記などで使用する正式な書類です。内容が不十分であれば、後々トラブルに発展する可能性も。協議で決まった内容を、正確に記載してください。また相続人全員分の実印が必要になる点も、早めに確認しておきましょう。

忘れてはいけない相続税の申告

相続手続きが完了したあとに、忘れてはいけないのが相続税の申告についてです。相続税の申告には、「被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10ヶ月以内」という期限があります。申告が必要な場合には、忘れないように注意しましょう。

相続する財産の総額が、相続税の基礎控除額に収まる場合は、相続税を申告する必要はありません。相続税の基礎控除額は、以下の数式で求められます。

【相続税の基礎控除額 =3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数】

亡くなった配偶者の遺産を受け継ぐ場合など、基礎控除額に収まらない場合でも、相続税が発生しないケースは多々あります。ただしこの場合、「相続税を申告した結果、ゼロ円になった」と判断されるため、申告手続きそのものは必要になるため、注意してください。

相続財産の調査の段階で、「相続税の基礎控除額を超えそうだ」と判断した場合、相続税の申告についても余裕を持って進めていきましょう。

遺産相続の手続きは自分で可能!ただし専門家の手を借りた方が良い場合も

遺産相続の手続きは自分で可能!ただし専門家の手を借りた方が良い場合も

比較的シンプルな遺産相続であれば、自分自身で手続きを進めていくことは十分に可能です。それぞれの手続きの期限を意識しつつ、ひとつずつ確実にこなしていきましょう。一方で、以下のような場合は、専門家の手を借りることをおすすめします。

・仕事が忙しく、平日昼間に動けない
・面倒な手続きが苦手
・遺産分割協議で揉める可能性が高い

自分で進めていく場合には、ぜひ今回紹介した情報を参考にしてみてくださいね。

モバイルバージョンを終了