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遺産相続のトラブルを回避しよう!受取人同士で揉めるポイントを解説

遺産相続のトラブルを回避しよう!受取人同士で揉めるポイントを解説

遺産相続には、トラブルも付き物です。ほとんどの人は「できれば円満に手続きを終えたい…」と思っているでしょうが、遺産の受取人同士ですれ違いが生じてしまうケースも決して少なくありません。

遺産相続のトラブルを回避するためには、受取人同士が揉めるポイントを知り、あらかじめ準備を進めておくのがおすすめです。特に揉めやすいポイントと、「争族」を避けるためのコツを3つ紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。

生命保険金

生命保険金

被保険者が亡くなった際に、まとまったお金を受け取れる生命保険。保険金は、契約時に指定した受取人に支払われます。一般的には、配偶者や子どもを指定するケースが多いでしょう。残された家族の生活を支えてくれるお金ですが、保険金をきっかけにトラブルに発展してしまう事例も少なくありません。

生命保険金は、相続財産とは別で扱われます。指定された受取人以外に支払われることはありませんし、またその権利の主張もできません。「生命保険金以外に残された財産がほとんどない」という場合でも、生命保険金の分配は行われないのです。生命保険の受取人は多額の保険金を受け取れても、そのほかの相続人の手元にほとんど財産は渡らないでしょう。

また仮に、相続財産がある程度残っていた場合でも、「生命保険金の受取」と「相続財産の分配」は別物として考えられます。生命保険金を受け取っている人は、それにプラスして相続財産も受け継げるのです。生命保険金の額によっては、相続人の間に不公平感が生まれやすく、トラブルの原因になってしまいます。

生命保険をきっかけに相続トラブルを引き起こさないためには、相続人同士が納得できる環境を作ることが大切です。生命保険金の受取人がなぜその人に指定されているのか、理由がわかるだけでも納得できる人は多いのではないでしょうか。また遺産分割で受取人以外が多めに財産を受け取れるように調整するのも効果的です。「トラブルになってほしくない」という被相続人の思いを伝えやすくなります。

生命保険金の受取人に対する思いや、遺産分割割合の詳細については、遺言書を残すことで相続人へと伝えられます。具体的にどういった内容にすればトラブルの可能性を減らせるのか、専門家に相談してみるのもおすすめです。

不動産

相続財産の中で、トラブルの原因になりやすいのが「自宅」や「土地」といった不動産です。財産の価値が高額になりやすく、また相続人同士で平等に分配しづらいという特徴を持つ不動産。誰がどのような形で相続するのかで揉めれば、なかなか決着がつかない恐れもあるでしょう。

相続人のうちの1人が相続対象である不動産で生活している場合、これまでどおりの生活を続けるためにも「自分が相続したい」と考えるのは自然な流れです。しかし、その他の財産がほとんどなければ、遺産の大半を、その相続人1人だけが受け取ることになってしまいます。

不動産を受け取る相続人がそのほかの相続人に対して、相応の金銭を支払う方法もありますが、不動産の価値によってはあまり現実的ではない可能性も。「お金が支払えないために、結局不動産を売らざるを得ない」というケースも、実は珍しくないのです。

また反対に、誰も住まない「空き家」が相続トラブルのきっかけになるケースもあります。ほとんど価値のない不動産を相続しても、その後の対処困ってしまうでしょう。「売りたくても売れない」「管理の手間ばかりがかかってしまう」となると、相続人同士で該当物件の押し付け合いになってしまう恐れもあります。

こうしたトラブルを回避するためには、生前にきちんと話し合っておくと効果的です。不動産を誰に相続させたいと考えているのか、被相続人の立場で明らかにし、生前から理解を求めておきましょう。「なぜそうしたいのか?」という自身の気持ちも、伝えておくと安心です。

不動産を受け継ぐ相続人も、時間があれば代償として支払う金銭を用意できる可能性があります。寝耳に水の相続にならないよう、あらかじめ準備を整えておきましょう。

相続人同士の関係性

相続人同士の関係性

遺産相続でトラブルには、相続人同士の関係性も関わってきます。

・もともとあまり仲が良くない
・ほとんどやりとりしたことがない
・他の相続人に内緒にしている相続人が存在している

このような場合、相続人同士のやりとりがうまくいかず、トラブルに発展してしまう恐れがあります。

遺言書が残されていない場合、誰が相続人になるのかは、被相続人との関係性によって違ってくるでしょう。「配偶者と子ども」というケースが一般的ですが、子どもがいなければ孫が相続権を受け継ぎます。直系卑属にあたる人がいない場合、相続権は親もしくは直系尊属、そして被相続人の兄弟姉妹やその子どもへと移っていくのです。子どもや孫がいない場合、被相続人の甥や姪が相続人になる可能性も。普段あまりやりとりしていない場合、遺産分割協議を進めるのも一苦労です。

相続人同士の仲が悪ければ、それぞれの立場を考慮して結論を出すのは難しいかもしれません。どこまで話し合っても平行線で、時間ばかりがかかってしまう恐れもあるでしょう。

相続人同士の関係性に不安がある場合には、遺産分割協議は避けた方が良いでしょう。法的に有効な遺言書にて相続の内容を指定しておけば、相続手続きは基本的に、そのとおりに進められます。相続人同士が集まって話し合う必要もありません。

遺言書による相続対策が必要なのかどうか確かめるためには、まずは「自分の場合は誰が相続人になる可能性があるのか?」という点を、明らかにするのがおすすめです。その結果を踏まえて、どうすればトラブルを回避できるのか検討してみてください。遺言書に何をどう記すべきか悩んだときには、司法書士や弁護士など、遺言書作成についてアドバイスしてくれる専門家にサポートしてもらいましょう。

相続トラブル回避のポイントは主に「遺言書」にあり

相続トラブルの原因になりやすい理由の一つは、「不公平感」にあります。相続人同士が納得できるのが一番ですが、残念ながら難しいケースもあるでしょう。特に生命保険金や不動産は不公平感の原因になりやすいですし、相続人同士の関係性によっては、「見た目だけの公平では納得できない」という可能性も考えられます。

こうしたトラブルの種を把握した上で、相続人を納得させられる遺言を残せれば、相続トラブルを回避できる可能性も高まります。また、自身の思いを正直に伝えておくことも重要です。普段から遺産相続について情報共有しておくだけではなく、ぜひエンディングノートや遺言書についても活用してみてください。

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