生命保険の受け取り方法とは?契約時から知っておくべき基礎知識

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生命保険の受け取り方法とは?契約時から知っておくべき基礎知識
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子どもが生まれたら、万が一のときのためにしっかりと備えておくことが重要です。夫や妻に万が一の事態が発生したときのための、生命保険についても加入を検討してみましょう。

もちろん万が一のときが来ないのが一番ですが、残された家族の生活を守るためには、先々を見据えて動くことが大切です。ここでは、生命保険の受け取り方と、契約時から知っておきたいポイントをまとめます。

生命保険の受け取り方は?

生命保険の受け取り方は?

生命保険に加入していた家族が亡くなったら、まず保険金請求のための手続きをします。自分から保険会社に連絡しなければ、請求手続きはスタートされません。何かと慌ただしい時期ではありますが、なるべく早く保険会社に連絡して、必要書類を送付してもらいましょう。

生命保険の請求ができるのは、以下のいずれかに当てはまる方です。

・保険契約者
・保険金受取人

保険契約者とは、保険金を支払っていた人のこと。死亡保険金を受け取る場合、被保険者が亡くなった家族の名前になっていることを確認しましょう。

保険金受取人は、契約時に指定しているはずです。残された家族のための保険であれば、配偶者や子どもを指定しているケースがほとんどでしょう。保険会社への連絡手段は、電話でも書面でも問題はありません。

保険会社から書類が届いたら、それを使って請求手続きを進めていきましょう。申請書類のほかにも、以下の書類が必要になります。

・保険証券
・死亡診断書
・亡くなった方(被保険者)の住民票(死亡記載があるもの)
・受取人の戸籍抄本
・受取人の印鑑証明
・受取人の本人確認書類 など

これらを併せて準備しておきましょう。

書類を返送したのちに、保険会社による審査を経て、保険金が支払われます。各保険会社では、保険金の支払い期限を設けています。こちらも確認しておいてください。

生命保険を請求しないまま放置した場合は?

生命保険の保険金は、契約者もしくは受取人が請求手続きを取らなければ、支払われることはありません。また保険金を請求できる権利には期限があるため、注意してください。

生命保険の請求権は、「相続が開始した日の翌日から3年」で時効を迎えます。つまり、家族が亡くなった日の翌日から3年経つと、たとえ生前に生命保険に加入していても、請求できなくなってしまう恐れがあるのです。

万が一のときの備えも、実際に使えなければ意味がありません。何かとバタバタしがちな時期ではありますが、書類を準備できるようになったらできるだけ早めに手続きを済ませておきましょう。

すでに3年以上が経過してしまった場合は?

生命保険金を請求しないまま、すでに3年以上が経過してしまった場合でも、そのままあきらめる必要はありません。まずは加入していた保険の情報を確認し、保険会社側に連絡してみましょう。

ここまでお伝えしてきたとおり、生命保険の請求は、法律に基づき3年で時効を迎えます。しかし実際には自動で時効になるわけではなく、「時効の援用」という手続きを取って、初めて時効になるのです。つまり3年以上が経過していても、保険会社に連絡した段階でまだ時効が成立していない可能性もあります。

実際に、3年以上経過していても、問題なく保険金を支払ってくれる保険会社も少なくないようです。まずは一度、保険会社に相談してみてください。

受け取りのことまで考えて…生命保険加入時に覚えておくべき3つのポイント

受け取りのことまで考えて…生命保険加入時に覚えておくべき3つのポイント

生命保険を確実に受け取って家族の生活の支えにするためには、契約前から意識しておきたいポイントがあります。3つのポイントを具体的に紹介するので、これから生命保険を契約しようとしている方は、ぜひチェックしてみてください。

★ポイント1「契約時の情報を夫婦で共有しておく」

生命保険は、万が一のときに、残された家族の生活を支える目的で加入するものです。しかし実際には、

・家族が亡くなったものの、生命保険に加入していたかどうかわからない
・生命保険に加入していたはずだが、詳細がわからない…

と、悩んでしまうケースも少なくありません。

死亡保険金の場合、契約してから保険金の受け取りまで、長い年月が経過するケースが多いものです。契約時には夫婦で情報共有していても、記憶が薄れてしまうこともありますし、「そのうち教えよう」と思っている間に伝え忘れてしまうケースもあります。

契約者が被保険者になる場合、受取人が保険の存在に気付かないことも十分に考えられます。この場合、残された遺族は亡くなった家族の持ち物から自分で情報を集め、それをもとに自分自身で保険会社に確認を取らなくてはならないのです。

先ほどもお伝えしたとおり、生命保険の請求権には時効があります。期限内に間違いなく手続きを完了させるためにも、「契約時の情報共有」は忘れないようにしてください。

★ポイント2「生命保険金の非課税枠の活用を」

残された家族が受け取る生命保険金は、相続税や所得税、贈与税の課税対象になります。契約時には、この事実を頭に入れた上で、少しでも税負担が少なくなるような工夫を取り入れるのがおすすめです。

生命保険金の契約者が亡くなった本人であり、なおかつ保険金の受取人が法定相続人であれば、「生命保険金の非課税枠」を活用できます。この場合、法定相続人の数×500万円分が、無条件で非課税になりますから、ぜひ契約スタイルや受取人は
よく検討してください。

一方で、生命保険の被保険者と契約者が異なっていて、契約者が受取人になる場合は所得税の対象になります。契約者と被保険者、受取人のすべてが違う人の場合、贈与税の対象になるので注意してください。生命保険金の非課税枠を活用した場合と比較すると、税金の負担額がかなり違ってきます。このあたりも考慮した上で、手続きを進めていきましょう。

★ポイント3「受け取り方法についても確認しよう」

生命保険金の受け取りには、「一括」と「分割」の2種類があります。金額も大きくなりがちな生命保険金。このすべてを一度に受け取るのが「一括」方式で、年金のように少しずつ受け取るのが「分割」方式です。

どちらも一長一短で、一概にどちらの方が優れているとは断言できません。たとえば一括で大きなお金を受け取っておけば、大学進学や不動産購入といった、大型の出費にも対応しやすくなるでしょう。

一方で分割方式を選択すれば、一定期間、安定した収入を得られます。一度に大金が手に入ると、つい使い過ぎてしまう…という方には、分割方式の方が向いていると言えます。

生命保険の契約の中には、一括と分割、どちらの支払い方法にも対応してくれるタイプもあれば、最初から「どちらか一方のみ」と決められているケースもあります。もし、受け取り方法に希望があるなら、契約時に十分チェックしておきましょう。

受け取り段階になってから、「もっと○○だったら…」と後悔するのを防げるはずです。

生命保険は受け取りのことまで考えて契約を

生命保険を契約するときには、「正直なところ、受け取るときのことまではうまく想像できていない…」という方も多いのではないでしょうか。結婚や出産を機に加入を検討するケースも多い生命保険。まだ若く、受け取りを身近に感じられないのは、これはある意味で当たり前のことだと言えるでしょう。

とはいえ、契約時でなければ選べない点があるのも事実です。自身が契約を検討している生命保険について、ぜひしっかりとリサーチした上で加入してみてください。受け取り方法を事前に確認しておけば、せっかくの生命保険を無駄にする恐れもなくなるはずです。

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大嶋 晃

司法書士 プロフィール 福島県白河市生まれ。 旅行会社勤務の後、2012年司法書士試験合格、2014年に独立開業。 東京司法書士会千代田支部所属。 身近な街の法律家として親切丁寧な対応を心掛け、幅広い相続案件に取り組む。 不動産名義変更相談窓口「https://www.meigihenkou-soudan.jp/

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