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  • 相続財産に株式が含まれる場合の対処法は?現金化の手順や注意点も

    相続財産に株式が含まれる場合の対処法は?現金化の手順や注意点も

    投資する人が増えている今、相続財産に株式が含まれるケースは決して珍しくありません。現金や銀行預金とは性質が異なる財産に、どう遺産分配すれば良いのか悩む方も多いのではないでしょうか。相続財産に株式が含まれる場合の対処法や注意点について解説します。親の遺産を受け継ぐ際はもちろん、自身の財産を残す際にも参考にしてみてください。 株式は遺産分割の対象になる 被相続人が所有していた株式は、遺産分割の対象になります。遺言が残されていればその内容のもと、残されていない場合は遺産分割協議にて、誰がどれだけ受け継ぐのかを決定することになるでしょう。 預金や不動産など、その他の財産とあわせて、具体的な相続手続きを進めていきます。相続人や相続財産を調査し、遺産分割協議を行ってください。その内容をもとに各種変更手続きを行い、必要に応じて相続税を申告・納税します。 株式が含まれる場合の注意点3つ 遺産に株式が含まれている場合も、基本的な相続手続きの流れに違いはありません。株式ならではの注意点を3つ紹介するので、参考にしてみてください。 ★株式の種類によって対処法が異なる 株式には、上場株式と非上場株式の2種類があります。相続財産である株がどちらなのかによって、対処法が違ってきます。証券会社に口座を開き、株式投資を行っている場合、証券会社を通じて相続手続きを進めていきます。どこの証券会社に口座を持っていたのか、情報収集からスタートしましょう。 一方で被相続人が保有していたのが非上場株式であった場合、上場株式のような「市場価格」は存在しません。株式の価値が見えにくいため、しっかりとした知識をもとにその価値を評価する必要があるでしょう。 またたとえ相続したとしても、上場株式のように容易に売却できるとは限りません。相続税の負担を考えると、「最初から相続しない方が良い」と思われるケースもあります。相続税との兼ね合いも考えつつ、相続するかどうか慎重に検討してみてください。 ★証券会社がわからない場合は証券保管振替機構へ 上場株式が遺産に含まれている場合、取引の合った証券会社を特定する必要があります。遺言やエンディングノートに口座情報がまとめられていれば良いのですが、そうではない場合、まずは被相続人の身の回りをチェックしてみてください。 被相続人の荷物から証券会社の資料が出てきたら、問い合わせてみましょう。口座名義人が死亡した事実と、名義変更の希望について伝えれば大丈夫です。必要書類や具体的な手続き方法は、証券会社側から案内されます。 証券会社の情報を見つけられなかった場合は、証券保管振替機構を利用しましょう。こちらに問い合わせれば、どの証券会社と取引があるのか、具体的な情報を開示してもらえます。必要事項を記載した開示請求書のほか、相続人の本人確認書類や被相続人の戸籍謄本など、必要書類をそろえて手続きしてください。開示された情報をもとに、各証券会社に問い合わせればOKです。 ★上場株式の価値は相続税評価額で計算 遺産に株式が含まれている場合、その評価額をどう計算するべきか、悩む方も多いでしょう。相続財産の価値がわからなければ、相続税の計算はもちろん、遺産分割協議を進めることもできません。できるだけ早く、その価値を確認してください。上場株式の価値を計算するための基本的な方法が、相続税評価額です。 上場株式の評価額は、以下の4つのうち、もっとも低い金額を採用できます。 ・相続が開始した日の終値・相続開始月の終値の平均額・相続開始前月の終値の平均額・相続開始前々月の終値の平均額 相続開始日に証券取引所で取引が行われていなかった場合、「相続開始日にもっとも近い日」を対象に計算してください。保有株式が一つではない場合、それぞれの株式について、もっとも低い金額を採用できます。面倒な作業ではありますが、相続税関連でトラブルを起こさないためにも、丁寧に計算する必要があるでしょう。 遺産として受け継いだ株式を現金化する手順 被相続人の名義である上場株式を、直接現金化することはできません。いったん、相続人名義の専用口座を開設し、そこに相続財産である株式を移管させましょう。その上で、これから先どのように株式を現金化するのか、相続人同士で話し合ってください。 具体的には、 ・相続した株式を一括で現金化し、売却した現金を分割する・相続した株式を相続人同士が分け合い、個人で所有した株式を売却する という2つの方法があります。 上の方法を選択する場合、株式を相続するのは代表一人です。その代表相続人が売却までの手続きを終えて、現金化された遺産を対象に遺産分割協議を行いましょう。この場合、遺産分割協議の前に株式の現金化を進めていくため、各種手続きにはその他の相続人の委任状が必須です。 下の方法を選択する場合、専用口座に株式を移管させてすぐに遺産分割協議を行います。証券会社にはその結果である遺産分割協議書を提出し、その内容をもとに株式そのものを分配する仕組みです。売却して現金化するかどうかは、相続人それぞれの判断に任せられます。 相続した株式を放置した場合はどうなる? 相続した株式を放置した場合はどうなる? 相続人に株式に関する知識がない場合、株式が遺産相続の対象から漏れてしまうケースも少なくありません。 ・どうすれば良いのかわからないため、株式を除いたその他の財産について相続手続きを行った・被相続人が株式投資をしていた事実を知らないまま、放置してしまう これらの場合、相続手続きが完了しない株は、準共有状態であると判断されます。配当金が入るたびに、相続人間で分ける手続きをしなければいけません。また株主としての権利を行使するためには、権利行使者を定め、会社に対して通知する必要があります。面倒な事態を避けるためにも、できるだけ早く手続きを完了させましょう。 また自分自身が株式投資を行っている場合、その事実を家族に伝えておく必要があります。余計なトラブルを避けるため、エンディングノートなども活用してみてください。 遺産に株式が含まれている場合は専門家のサポートもおすすめ 遺産に株式が含まれている場合は専門家のサポートもおすすめ 遺産に株式が含まれている場合、評価額の計算や相続税の手続きは複雑になります。スムーズに相続するためには、専門家の助けを求めるのもおすすめです。弁護士や司法書士、行政書士に税理士など、ぜひ頼りにしてみてください。また自身が残す財産に株式が含まれる場合、誰に何を相続させるのか、遺言で指定するのもおすすめです。終活の一環として、検討してみてはいかがでしょうか。

  • 小規模企業共済で受け取った財産はどう扱われる?メリット・デメリット

    小規模企業共済で受け取った財産はどう扱われる?メリット・デメリット

    小規模企業の個人事業主、会社役員の方にとって、メリットも大きい小規模企業共済。共済契約者死亡によって家族が共済金を受け取る場合、その財産が相続上、どのように扱われるのかについて、詳しく解説します。相続対策としても有効と言われる小規模企業共済の基本とともに、メリット・デメリットについても確認してみてください。 小規模企業共済とは? 小規模企業共済とは? 小規模企業共済は、「経営者の退職金」とも呼ばれる制度です。月々の給料からの積立によってまとまった金額を確保。事業を廃止した場合や退職後の生活を安定させるために使用できます。将来の備えとして役立つでしょう。 また共済契約者が死亡した場合、遺族に対して共済金が支払われます。契約者によって生計を維持されていた家族の、その先の生活を守ってくれるでしょう。小規模企業の個人事業主や会社役員にとって、安心できる制度と言えます。 小規模企業共済で受け取った財産の扱われ方は? 契約者が死亡した場合に遺族が受け取る共済金には、「相続財産に含まれない」という特徴があります。受取人固有の財産に当てはまるため、遺産分割の対象にはなりません。遺産分割協議は、小規模企業共済で受け取ったお金以外の財産について行われます。また小規模企業共済以外にも、生命保険金なども相続財産に含まれないため、何が遺産分割協議の対象になるのか、事前に把握しておくことが大切です。 たとえば小規模企業共済で300万円を受け取り、その他の財産が2,000万円あるケースを考えてみましょう。配偶者と子ども2人が相続人になり、配偶者が小規模企業共済の受取人になった場合、まずは配偶者が共済金である300万円を受け取ります。その後あらためて、相続財産である2,000万円分を子ども2人と分け合うことに。法定相続分に沿って分割するなら、相続財産の割り振りは配偶者が1,000万円、子どもが500万円ずつ受け取ります。小規模企業共済と合わせると、「配偶者が1,300万円、子どもたちはそれぞれ500万円ずつ」という割合に落ち着くでしょう。 相続財産に含まれない共済金は、仮に「○○に全財産を譲る」という名前の遺言書が残されていたとしても対象外です。法的に有効な遺言書が残されていた場合、遺留分をのぞき、相続財産については指定された人がすべてを受け継ぐことになるでしょう。しかしこの「相続財産」に、小規模企業共済金は入りません。遺言書の内容にかかわらず、共済金は、受給権を持つものの中でもっとも順位が高い人に支払われます。 また相続財産について相続放棄を選択した場合でも、共済金は受け取れます。事業を営む人が多額の借金を抱えて亡くなってしまった場合、相続放棄がやむを得ないケースもあるでしょう。このような場合でも、共済金は受取可能です。家族の今後の生活に役立ててください。 一方で、覚えておかなければならないのが、相続税上の扱いについてです。契約者死亡によって支給される共済金は、「みなし相続財産」として扱われます。先ほどもお伝えしたとおり、遺産分割の対象にはなりませんが、相続税の計算には含まれるのです。相続税が発生するのかどうか、また発生する場合いくらになるのかといった計算は、共済金を含めた金額で対応してください。計算が複雑でよくわからない場合には、無理をせず、専門家である税理士に相談するのがおすすめです。 契約者死亡による小規模企業共済金を受け取る人は? 契約者が死亡した場合に小規模企業共済金を受け取る人は、小規模企業共済法にて規定されています。民法上の相続の一般原則とは異なるため、注意してください。具体的な順位は以下のとおりです。 第1順位者 配偶者(※内縁関係者含む)第2順位者 子第3順位者 父母第4順位者 祖父母第5順位者 兄弟姉妹第6順位者 そのほかの親族 これらの順位の中で、もっとも順位の高い人が共済金を受け取ります。 小規模企業共済金の特徴の一つは、第1順位者である「配偶者」に、内縁関係者が明確に含まれる点です。戸籍上の届け出はなくても、死亡当時に事実婚の状態にあった配偶者であれば、共済金を受け取れます。 第2順位から第6順位までの受取人には「共済契約者が亡くなった当時、共済契約者の収入によって生計を維持されていた人」という条件があります。生計を維持されていたと認められない場合、第7順位以下に落とされるため注意しましょう。具体的にどのような条件で「生計を維持されていた」と認められるのかは、問い合わせて確認するのがおすすめです。不安な点があれば、事前に専門家に相談しておくのも良いでしょう。 小規模企業共済のメリット・デメリット 契約者の死亡時にも共済金が支払われる小規模企業共済。そのメリット・デメリットは以下のとおりです。 【メリット】・掛け金が所得控除できる・掛け金は自分で調整できる・掛け金が無駄にならない 小規模企業共済の掛け金は、所得控除の対象です。加入時から節税効果を実感できるでしょう。支払う金額は自分で調整できるため、生活の負担になりにくいという特徴もあります。将来の備えとして活用できるはずです。 もともと「小規模企業の退職金」という目的で使われている制度ですから、たとえ死亡しなかったとしても、支払ったお金が無駄になる恐れはありません。退職時に共済金を一括で受け取る場合は退職所得として、分割で受け取る場合は公的年金等の雑所得として扱われます。税制上の扱いが違ってくるため、受け取り方法は慎重に検討してみてください。 一方で小規模企業共済にもデメリットはあります。加入期間が短ければ、共済金の受け取りで損をするリスクがあるでしょう。具体的には、契約期間が12カ月未満の場合、準共済金や解約手当金が支払われず、掛け捨て扱いになってしまう恐れがあります。加入期間が20年未満の場合、受け取る共済金が過去に支払った掛け金の総額を下回る、いわゆる「元本割れ」になってしまうでしょう。 さらに契約者が死亡した場合も注意が必要です。受取人の順位が定められている小規模企業共済制度ですが、順位に当てはまる人がいなければ、受給権者不在と判断されます。共済金は受け取れません。また受取人を事前に指定できない点も、デメリットと言えます。 小規模企業共済の特徴を知った上で検討を 小規模企業共済の特徴を知った上で検討を 小規模企業共済には、「契約者が亡くなった場合でも、家族のために財産を残せる」というメリットがあります。たとえ相続放棄の手続きをとっても、共済金は受け取れますから、家族の生活の安定にも役立つでしょう。一方で共済金制度にはデメリットもあります。両者を知った上で賢く活用してみてください。

  • 相続に強い税理士の選び方を解説!ポイントを知って失敗を防ごう

    相続に強い税理士の選び方を解説!ポイントを知って失敗を防ごう

    相続税が発生する場合、申告から納税までの手続きをより確実に進めていくため、税理士に依頼するのがおすすめです。とはいえ、依頼先の税理士事務所をどう選ぶべきか、悩む方も多いのではないでしょうか?今回は相続に強い税理士の選び方について解説します。4つのポイントを紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。 1.相続に強い税理士である 1.相続に強い税理士である 相続税の申告や納税のサポートを目的に税理士を探す場合、まず「相続に強い税理士」を探すことが大切です。「税理士」と言っても、得意とする業務内容はさまざまです。相続分野以外を専門とする税理士に依頼しても、十分なサポートを受けられない可能性があるでしょう。相続に特化した税理士事務所であれば、安心してお任せできます。こちらが慣れていなくても、いつまでに何が必要なのかを理解した上で、正しく導いてもらえるはずです。 では、相続に強い税理士は具体的にどう探せばよいのでしょうか?まずはホームページで情報を収集してみてください。税理士事務所の中には、「相続専門」を打ち出しているところも少なくありません。さまざまな相続問題を、安心して相談できるでしょう。 また相続税の申告件数に注目してみるのもおすすめです。申告件数とは、要するに過去の実績を表すもの。その税理士事務所が、どれだけ積極的に相続問題を扱っているか、判断するポイントになるはずです。 ホームページ上で情報を得られない場合は、電話や面談にて、直接聞いてみるのもおすすめです。 ・相続問題にどの程度力を入れているのか?・年間の相続税申告件数はどのくらいなのか?・相続案件とその他の案件で、担当割合はどのくらいなのか? これらの回答からも、それぞれの事務所がどの程度力を入れているのか、明らかにできるでしょう。ぜひさまざまな方面から、情報収集してみてください。 2.報酬額が適正である 相続税の申告を税理士にサポートしてもらう場合、税理士に支払う報酬額も重要なポイントになります。契約前には、提供されるサービスに対して報酬額が妥当であるかどうかも、しっかりと確認してみてください。 相続税関連で税理士に依頼した場合の報酬額の目安は、遺産総額の0.5%~1%程度だと言われています。仮に1億円の財産を相続し、相続税を申告する場合、税理士に支払う報酬額は50万円~100万円を目安として考えれば良いでしょう。提示された金額がこれよりも大幅に高い場合、別の事務所を検討してみるのもおすすめです。 ただし、以下のような条件に当てはまる場合、税理士報酬が相場よりも高くなる可能性があります。 ・相続人の数が多く、関係性が複雑である・相続財産に不動産が多く含まれている・相続税の延納や物納制度の利用を検討している 問題が複雑になれば、担当税理士の負担も重くなります。それに伴って、報酬額も上乗せされる可能性があるでしょう。報酬額のみに注目するのではなく、何にどれだけの費用がかかるのかに注目し、総合的に判断するのがおすすめです。また相続に関連する事情はそれぞれで異なるもの。大まかな内容を伝えたのちに、「自分のケースでは報酬がいくらくらいになるのか?」を確認してみてください。 「税理士報酬は安ければ安い方が良い」と考えがちですが、実際にはそういうわけでもありません。税理士に依頼する以上、きちんとしたサービスを提供されなければ意味がないからです。依頼先を検討する際には、報酬額についてもしっかり確認し、提供されるサービスとのバランスについてもチェックしましょう。 3.二次相続までを含めた提案をしてくれる 3.二次相続までを含めた提案をしてくれる 相続税について検討する際に、忘れてはいけないのが二次相続についてです。二次相続とは、「配偶者が亡くなったあとに財産を受け継いだ人が被相続人となり、遺産相続されること」を指します。相続人に配偶者が含まれる場合、配偶者控除によって相続税の負担が少なくなるでしょう。しかし二次相続では、こうした制度は利用できません。相続税の負担が重くなってしまいがちです。 配偶者との年齢差が小さい場合、一次相続から数年の間に二次相続が発生する可能性も。二次相続での負担を少なくするためには、一次相続の段階から将来を見据え、適切な対策を講じておく必要があるのです。 一次相続の段階で、何をどのように相続すれば二次相続対策になるのかは、個々の状況によって異なります。だからこそ、専門家である税理士がしっかりと導いてくれるかどうかを確認しましょう。最初から二次相続を踏まえて提案してくれる税理士であれば、安心してお任せできます。二次相続に関する話題が出ない場合、相談者の側から聞いてみるのもおすすめです。その対応方法を見極めた上で、信頼できるかどうか判断してみてください。 4.相続人の不安に寄り添ってくれる 相続税の申告は、一生の間にそう何度も経験するものではありません。だからこそ、何をどう進めていくべきか不安を感じる方もいるでしょう。そうした感情に寄り添い、親身に対応してくれる税理士を探すことが大切です。 相続税には「相続発生の翌日から10カ月以内」という申告・納税の期限があります。期限内に手続きを進めるため、依頼人への対応がぞんざいになってしまう税理士もいます。不安を抱えたまま相続手続きだけを進めていっても、その結果に納得するのは難しいでしょう。あとになって「もっと○○しておけば…」と後悔する可能性もあります。 まずは自分たちの話をしっかりと聞いてくれるか、そして要望に添った提案をしてくれるかどうかを確認してみてください。何でも安心して話せる税理士であれば、不安を抱えてもその場で解決できるでしょう。その後の手続きもスムーズに進めていけるはずです。 税理士選びで間違えないことが重要 相続税申告を税理士にサポートしてもらえば、相続人の負担は軽減できるでしょう。相続税や申告手続きに関する知識が十分ではない場合でも、専門家の手でしっかりと導いてもらえます。相続手続きでのうっかりミスは、その後のトラブルにつながってしまいがちです。税理士のもとで手続きを進めていけば、リスクを回避できるでしょう。 また信頼できる税理士がいれば、相続税を節税できる可能性もあります。一次相続だけではなく、二次相続を視野に入れて万全の準備をしておくためにも、ぜひ税理士事務所選びにはこだわってみてください。 依頼先の税理士選びを間違えると、「こんなはずじゃなかったのに…」といった事態になってしまう可能性も。今回紹介した4つのポイントも参考にしつつ、依頼先を検討してみてください。初めての相続税申告でも、安心してお任せできます。

  • 「親の会社を相続する」とは?手続きの基本と注意点を学ぼう

    「親の会社を相続する」とは?手続きの基本と注意点を学ぼう

    経営者である親が亡くなった際に、発生するのが「会社の相続」です。個人の相続よりも複雑になる可能性もあるため、慎重に準備を進めていく必要があるでしょう。「会社を相続する」という言葉の意味や手続きの基本、覚えておくべき注意点まで詳しく解説するので、ぜひ参考にしてみてください。 「会社を相続する」とは? 「会社を相続する」とは? まずは、「会社を相続する」という言葉の意味を知ることからスタートしましょう。経営者が亡くなれば、その財産は遺産として、基本的に被相続人に引き継がれます。その中で「会社」がどう扱われるのかは、事業形態が「法人」であったのか、それとも「個人」であったのかで違ってくるでしょう。 被相続人が個人事業の形態で事業活動を行っていた場合、事業用の財産はすべて「被相続人個人のもの」として扱われます。遺言書で誰にどのような財産を残すのか指定されていない場合、事業用財産とその他の財産をすべて含めて、相続人同士で遺産分割することになるでしょう。 一方で被相続人が法人として事業活動を行っていた場合、事業用の財産は個人からは切り離されます。会社法人が所有するものとして扱われるため、「相続人だから」という理由で、その地位や財産を受け継ぐことはできません。個人事業の場合の相続とは、その性質が大きく異なるという点を、しっかりと理解しておきましょう。 ただし被相続人が保有していた自社株については、個人資産として扱われます。一定割合以上の自社株を相続し、経営権を握ることは可能です。被相続人の死亡によって会社の経営を揺るがせないためにも、自社株の相続や相続手続きについて、事前に知識を身につけておいてください。 法人の場合の相続手続きとは? 親が経営する法人を、相続する場合の手続きは以下のとおりです。 1.被相続人から自社株を相続する2.相続した株式の名義変更を行う3.株主総会を開き、役員としての地位を認めさせる 先ほどもお伝えしたとおり、法人として事業活動を行っていた会社の場合、親が亡くなったからといって、相続人が自動的に会社を受け継げるわけではありません。まずは親が残した自社株を相続し、それをもとに経営者としての地位を確立します。相続によって取得する自社株の割合が、株式の過半数を占めれば経営権を握れます。株式の3分の2を超えれば、定款や事業目的の変更、合併などの重要な決定も下せるようになるでしょう。 株式の名義を相続人に変更すれば、株主としての権利を行使できるように。株主総会の開催も、役員としての地位の確立も可能になります。経営者死亡により、経営の基盤を揺るがせないためには、ここまでの手続きを円滑に進めていくことが大切です。手続きにかかる時間が長くなればなるほど、会社としては不安定に。取引先企業や投資家たちから寄せられる目線も、厳しくなってしまいます。 無事に経営者の変更を終えたあとは、各種変更手続きを行っていきましょう。金融機関や社会保険関連のほか、取引先への通知も忘れないでください。 会社を相続させる際の注意点3つ 会社を相続させる際の注意点3つ 経営者である親が亡くなったあと、相続問題を発端として、トラブルが発生するケースは少なくありません。経営面でダメージを受け、事業活動そのものが滞ってしまう恐れもあるでしょう。3つの注意点とそれぞれの対処法を解説するので、ぜひ参考にしてみてください。 ★自社株の分散による経営権の引き継ぎ失敗 法人の相続において、もっとも注意しなければならないのが自社株の分散です。先ほどもお伝えしたとおり、会社の経営権を握るためには、一定割合以上の自社株を保有する必要があります。被相続人が過半数の自社株を保有していても、相続によってそれらが分散されれば意味がありません。 被相続人が保有する自社株は、個人資産として遺産分割の対象になります。法定相続分に則って分割される場合、複数の相続人が一定割合ずつ、自社株を含めた遺産を相続するでしょう。この場合、「株式の分散によって、相続人のうち誰も経営権を握れない」といった事態に陥りかねません。その他の株主との関係性が良くない場合、誰が経営を握るのかで揉めて、会社経営に支障をきたす恐れがあります。 このような事態を避けるために有効なのが、以下のような対策です。 ・遺言書で株式の相続割合を明確に示し、後継者を指名しておく・生前から少しずつ事業承継を進めていく・家族信託によって、生前から株式を管理させる 次代を誰に任せられるのか、経営者として思うところもあるでしょう。遺言書や生前贈与、家族信託といった仕組みをうまく使えば、そうした思いを形にできます。専門家に相談しつつ、自分に合った方法を選択するのがおすすめです。 ★相続の偏りから発生する親族間トラブル 経営権掌握のため、相続人の1人に集中的に財産を相続させた場合、不公平な遺産分割による親族間トラブルが発生する可能性があります。こちらについても、あらかじめ対策を練っておきましょう。 相続人の一部には、遺留分が認められています。自社株を1人に集中的に相続させる形にしても、遺留分に配慮できていれば、揉め事に発展するリスクは回避可能に。自社株以外の財産をどう割り振るのかについても、あらかじめ遺言書で指定しておくのがおすすめです。 ★負債の相続による負担の増加 中小規模の会社では、経営者個人が連帯保証人となり、事業のための融資を受けているケースもあります。この場合、相続によって負債も引き継がれてしまう点も、頭に入れておきましょう。後継者を守るための仕組みとして、「経営者保証ガイドライン」も整備されています。必要な知識を身につけた上で、手続きを進めていく必要があります。 会社の相続は生前からの準備が重要 経営者が亡くなった際に、会社の相続が問題になるケースは少なくありません。とはいえ、生前からしっかりと準備を進めていけば、問題なく乗り越えられるはずです。 相続する会社が個人事業として営まれていたのであれば、相続に関して問題が発生する可能性は低くなります。親族間での話し合いによって、誰が経営を続けるのか、その財産をどうするのかを決定しましょう。一方で、法人の場合は注意が必要です。遺言書の作成はもちろん、さまざまな方面から準備を進めておかなければ、最悪の場合、「会社の経営権を失い暗礁に乗り上げる」といった未来も予測されます。 会社の相続について検討する場合、まずは基本的な知識を身につけるところからスタートしましょう。今できることは何か、専門家の意見を聞いてみるのもおすすめです。できることからスタートしましょう。

  • 遺産相続を弁護士に依頼!報酬は誰が払う?お金に困った場合の対処法も

    遺産相続を弁護士に依頼!報酬は誰が払う?お金に困った場合の対処法も

    遺産相続をスムーズに進めていくため、弁護士への依頼を検討する方も多いのではないでしょうか。弁護士に依頼すれば、法律に関する専門知識をもとに、さまざまな手続きをしっかりとサポートしてもらえるでしょう。しかしその一方で「弁護士費用が不安…」と感じがちです。遺産相続を弁護士に依頼した場合、報酬は誰が支払うものなのでしょうか?お金がない場合の対処法も解説します。 遺産相続を弁護士に依頼!具体的に対応してもらえる業務とは? 遺産相続を弁護士に依頼!具体的に対応してもらえる業務とは? 「遺産相続を弁護士に依頼」と聞いても、具体的に何をどうお願いできるのかよくわからない…と感じる方は多いものです。まずは遺産相続において、弁護士に何を依頼できるのか確認しておきましょう。 ・遺言書の作成サポート・遺言執行・遺産相続に関するトラブルの解決サポート(代理交渉など)・相続放棄・遺留分侵害額請求 たとえば、自分自身が遺言書を残したいと思う場合、弁護士に依頼することで、遺言書の内容決定から具体的な遺言書作成まで、すべてをサポートしてもらえます。遺言書が法的に無効と判断されるリスクもありませんし、遺言書に記した内容に誤解が生じる恐れもないでしょう。相続財産や相続人に関する調査もお任せできるため、自身の手間は最小限に、より確実な遺言書を残せるはずです。 自身が相続人の立場であれば、親族間トラブルの解決や、各種手続きを依頼できます。遺産相続において、誰が何をどう受け継ぐのかなかなか決まらず、揉めごとに発展してしまうケースも少なくありません。弁護士に依頼すれば、法的知識をもとに、遺産分割をスムーズに行えるようサポートしてくれるでしょう。自分自身の代理人として、親族と交渉してもらうことももちろん可能です。 相続放棄や遺留分侵害額請求についても、弁護士に依頼すれば不安なく進めていけます。「初めてで何もわからない…」という場合でも、弁護士に相続を依頼すれば、確実に手続きを済ませられるでしょう。 弁護士報酬の目安と支払う人は? 相続問題を弁護士に依頼する場合に、気になるのが「弁護士報酬はいくらになるのか?」という点です。具体的な報酬金額は、依頼先事務所や依頼内容によっても違ってきます。まずは、弁護士費用の内訳についてチェックしてみましょう。弁護士に支払うお金は、以下のとおりです。 ・相談料(弁護士への相談時に発生する費用)・着手金(弁護士に正式に依頼した段階で支払う費用)・報奨金(依頼内容が完了し、成功した際に支払う費用)・手数料(事務手続きを行う場合に支払う費用)・日当(弁護士が遠方まで出張した際に支払う費用)・実費(役場に支払う手数料や収入印紙代、切手代など。交通費や宿泊費が含まれるケースも) 相談料・着手金・報奨金、それぞれの費用目安は以下のとおりです。 ・相談料 → 30分5,000円程度・着手金 → 20万円~30万円・報奨金 → 依頼人が受けた経済的利益の4~16% 相談料については、「初回無料相談」をうたう弁護士事務所も少なくありません。また報奨金については、「弁護士に依頼することで発生した経済的利益」から支払えば良いので、あらかじめ用意しておく必要はないでしょう。 また、ひと言で「相続」と言っても、依頼内容はさまざまです。弁護士に何を依頼するのかによっても、発生する費用は大きく違ってくるはずです。たとえば遺言書作成を依頼した場合の費用相場は10~20万円、遺言執行の場合は30~100万円程度です。相続放棄を依頼する場合、1人あたり5万~11万円が相場となるでしょう。 「実際に誰がその費用を支払うのか?」という点についてですが、基本的には依頼人本人が支払います。というのも、弁護士とは依頼人のために働くものだから。たとえば、遺産分割をめぐって親族間でトラブルが発生した場合でも、弁護士がいれば依頼人の利益のために動いてくれます。多少コストはかかっても、それ以上のメリットを期待できるケースも多いはずです。 一方で、遺言執行を弁護士に依頼する場合、誰か特定の相続人の味方となって働くわけではありません。この場合は遺産から弁護士報酬を支払い、残った分を分配対象にするのが一般的です。 弁護士費用が払えない場合の対処法3つ 相続を弁護士に依頼するメリットは多いものの、報酬金額は決して低額ではありません。「自分の力だけではどうにもならず、弁護士のサポートが必要だがお金がない…」といった場合には、どうすれば良いのでしょうか。対処法を3つ紹介します。 ★1.無料相談で相談してみる 弁護士費用の支払いに不安を感じている場合、まずは弁護士事務所の無料相談に出かけてみましょう。初回に限り、無料で相談に応じてくれる事務所は決して少なくありません。そこで、なぜ弁護士が必要なのかを説明するとともに、報酬支払いについて不安を抱えている旨を相談してみましょう。 自身が抱えている問題について、専門知識を有する弁護士に相談すれば、弁護士に依頼しなくても解決できる方法をアドバイスしてもらえるかもしれません。この場合、弁護士費用を支払う必要はなくなります。相談の結果、「やはり弁護士の介入が必要」と判断される場合には、ぜひ後払いや分割払いについても相談してみてください。 今はお金がなくても、弁護士の介入によって経済的利益が発生する可能性が高いのであれば、最終的な支払いに問題は生じないでしょう。柔軟に対応してくれる弁護士事務所を探してみるのがおすすめです。 ★2.法テラスを利用する もう一つおすすめなのが、法テラスの民事法律扶助制度を利用する方法です。収入や資産に関する基準をクリアしていて、また「勝訴の見込みがないとは言えない」という条件を満たす必要はあるものの、無料法律相談や弁護士費用の立て替えといった制度を利用できます。 法テラスの無料法律相談を使えば、1つの問題につき3回まで無料で相談可能です。また弁護士費用についても、「いったん法テラスが支払いを行い、その後法テラスに対して分割で支払いをする」という形式を選択できます。 民事法律扶助を利用できるかどうかの条件は、非常に複雑です。法テラスのサイトに掲載された情報や電話相談も活用し、自身が対象に入るかどうか確認してみてください。 遺産相続を弁護士に依頼してスムーズに進めよう 遺産相続を弁護士に依頼してスムーズに進めよう 遺産相続を弁護士に依頼するメリットは多々あります。スムーズに手続きを進めていけますし、早い段階から専門家に入ってもらうことで、親族間トラブルを予防する効果も期待できるでしょう。報酬面で不安がある場合には、弁護士事務所に相談してみたり、法テラスの民事法律扶助を使ったりするのがおすすめです。金銭面での不安を解消し、より良い相続を目指してみてください。

  • 【公正証書遺言による相続】メリット・デメリットや流れを解説

    【公正証書遺言による相続】メリット・デメリットや流れを解説

    相続問題を回避するため、「より確かな形で遺言書を残したい」と思う方に人気なのが「公正証書遺言」です。遺言には作成方法によってさまざまなタイプがあり、それぞれで異なるメリット・デメリットを有しています。今回は公正証書遺言のメリットやデメリット、相続時の流れについて解説します。 公正証書遺言とは? 公正証書遺言とは、公正証書によって行う遺言を指します。終活の一環として人気の高い自筆証書遺言の場合、自らが考える遺言の内容は、自分自身の手で書類に残します。一方で公正証書遺言の場合、遺言を残したい人が公証役場へと出向き、公証人に遺言内容を伝えた上で作成されます。つまり、「遺言書の作成そのものは公証人が行う」という点が、非常に大きな特徴と言えるでしょう。 ちなみに、公証人に嘘を伝えて遺言書を作成させると、罪に問われてしまいます。強い法的拘束力を持つ正式な書類だからこそ、安易な気持ちで作成するのはやめてください。 公正証書遺言のメリット5つ 公正証書遺言のメリット5つ では公正証書遺言には、どういったメリットが期待できるのでしょうか?5つのポイントを紹介します。 ★1.遺言書が「法的に無効」と判断される恐れがない 公正証書遺言を残す最大のメリットは、「確実に法的に有効な遺言書を残せる」という点です。「何を当たり前のことを…」と思うかもしれませんが、遺言書の有効性は極めて重要なポイントです。自分一人で手軽に残せる自筆証書遺言の場合、遺言内容に問題はなくても、遺言書の書き方に問題があり、相続手続き開始後に「無効」と判断されてしまうケースは少なくありません。 公正証書遺言であれば、こうしたリスクはないでしょう。公証人は公正証書作成のプロ。安心してお任せできます。より確実な形で、自身の最期の思いを相続人たちに伝えられるはずです。 ★2.遺言書を紛失する可能性がない 公証役場で公正証書遺言を作成した場合、その原本は、原則として20年間、公証役場に保管されます。自分自身で原本を保管する必要がないため、紛失の恐れがありません。 「大切な遺言書を紛失するなんてあり得ない」と思うかもしれませんが、油断は禁物です。自分で記載した遺言書を自宅でそのまま保管する自筆証書遺言の場合、紛失トラブルは比較的多く発生しています。 ・自分でしまっておいた場所を忘れてしまった・遺言書とは気づかれないまま、家族に処分されてしまった・大切に保管していたため、いざ相続手続きがスタートしても発見されなかった・遺言書で不利な内容を残された相続人が、勝手に処分してしまった 公正証書遺言であれば、こうしたリスクをゼロにできます。自分で何か特別な対策を講じなくても、来るべき日がやってくるまで、遺言書は大切に保管されるでしょう。 ★3.遺言内容を偽造されるリスクがない 紛失とともに、注意しなければならないのが偽造についてです。自筆証書遺言を自宅で保管している場合、相続人に勝手に処分されてしまうリスクだけではなく、相続人の手で内容を勝手に書き換えられてしまう可能性も考えておかなくてはいけません。 もちろん遺言書の偽造や変造は、発覚すれば罪に問われる行為です。刑罰が科せられる可能性があるほか、相続人から外されてしまうでしょう。とはいえ、遺言内容によっては「たとえペナルティのリスクがあっても…」と考える方がいるのも事実。元本を公的機関でしっかり保管される公正証書遺言なら安心です。 ★4.遺言書を自筆する必要がない 先ほどもお伝えしたとおり、公正証書遺言の場合、遺言として残したい内容を自分の手で記す必要はありません。こちらも非常に大きなメリットと言えるでしょう。 ・自分の書く文字に自信がない・手が震えてしまってうまく書けない・自分で紙と筆を持って作業するだけの体力や余裕がない このような場合でも、公正証書遺言であれば問題はありません。そうした意味では、「自筆証書遺言よりも作成までのハードルが低い遺言方式」とも言えるでしょう。 ちなみに、病気が原因で公証役場まで出向けない場合には、自宅や病院まで、公証人の方に出向いてもらうこともできます。自身の体に制限があっても公正証書遺言は残せますから、安心してください。 ★5.遺言書の検認が必要ない いざ相続手続きがスタートした際に、発見されたのが自筆証書遺言であった場合、必要になるのが「検認」と呼ばれる手続きです。その内容に問題がないかどうか確かめるためのもので、家庭裁判所にて必要な手続きをとらなければいけません。 公正証書遺言の場合、すでにその有効性が証明されていますから、すぐに相続手続きをスタートできます。 公正証書遺言のデメリット 一方で、公正証書遺言のデメリットは以下のとおりです。 ・遺言作成までに時間がかかる・遺言作成に費用がかかる・遺言書の内容を公証人や証人に知られてしまう 公正証書遺言でデメリットが発生するのは、主に「遺言作成時」です。自宅で気軽に作成できる自筆証書遺言と比較して、時間も手間もかかってしまうでしょう。特に、遺言を残すために必要な「証人2人」をどう確保するのかで悩む方は少なくありません。 とはいえ、遺言を残す側がこうした手間暇を惜しまなかったからこそ、いざ相続がスタートした際に、相続人たちの手間を最小限にできるというわけです。公正証書遺言にはデメリットもありますが、「自分の大切な人のため」と思えば、受け入れられる点も多いのではないでしょうか。 公正証書遺言が残されていた場合の相続の流れ 公正証書遺言が残されていた場合の相続の流れ ではここからは、公正証書遺言が残されていて、いざ相続が発生した場合について解説していきましょう。どのような流れで、相続手続きが進んでいくのでしょうか。 1.遺言書を探す2.謄本を請求する3.遺言書の内容に沿って遺言を執行する 公正証書遺言を残した人が亡くなった場合でも、遺言書が保管されている公証役場から、遺言に関する通知が来るわけではありません。あくまでも遺言は、相続人が自らの手で探し出さなくてはいけません。 自身の死後、遺言書をより確実に発見してもらうためには、 ・事前に家族に遺言書の存在を知らせておく・家族が見てわかる場所に控えを保管しておく といった工夫をすると安心です。 公正証書遺言を残すと、原本は公証役場に保管されますが、正本と謄本は遺言者に交付されます。これらを控えとして使用すると良いでしょう。 相続人は、公証役場に対して遺言書を請求します。公証役場に直接赴いて手続きしても良いですし、郵送も可能です。遺言書が手に入ったら、あとはその内容のとおりに遺言を執行すればOKです。 公正証書遺言のメリットは大きい 公正証書遺言にもデメリットはあるものの、相続手続きがスタートしたあとのことまで考えるなら、メリットは非常に大きいと言えるでしょう。ぜひ検討してみてください。専門家に依頼すれば、公正証書遺言の作成についてもしっかりとサポートしてもらえます。ぜひ相談してみてはいかがでしょうか。

  • 遺産相続でよくあるトラブル…連絡が取れない相続人がいる場合はどうする?

    遺産相続でよくあるトラブル…連絡が取れない相続人がいる場合はどうする?

    遺産相続では、相続人が遺産分割協議を行い、誰が何をどの程度相続するのか決定する必要があります。できるだけスムーズに手続きを進めていきたいところですが、中には「相続人のうちの1人とどうしても連絡が取れない!」といったトラブルに巻き込まれてしまう事例も。このような場合には、いったいどう対処すれば良いのでしょうか?具体的な対処法や、知っておきたい基礎知識をまとめます。 遺産相続の基本…特定の相続人を除外した協議は無効 遺産相続の基本…特定の相続人を除外した協議は無効 まずは遺産相続手続きの、基本についておさらいしましょう。遺言書が残されていない場合の遺産相続は、相続人同士の協議によって、相続の内容が決定されます。相続人が全員納得した上で、話を進めていくのが前提です。 相続人になるのは、亡くなった人の配偶者および血族です。配偶者は常に相続人になりますが、血族には優先順位が定められています。優先順位がもっとも高い人のみが、相続人になる仕組みです。第1順位に当てはまるのは、亡くなった人の子どもおよびその代襲相続人です。第1順位に当てはまる人がいない場合は、第2順位である両親等の直系尊属に相続権が移ります。第2順位もいなければ、亡くなった人の兄弟姉妹およびその代襲相続人が第3順位と判断されるでしょう。 たとえば、亡くなった人に子どもや両親がいなかった場合、第3順位にあたる兄弟姉妹に相続権が発生します。しかしその兄弟姉妹もすでに亡くなっている場合、その子どもたち、つまり亡くなった人から見て甥や姪にあたる人物が相続人になる仕組みです。親族間の交流がほとんどなければ、「相続人であっても連絡先がわからない」「どれだけ電話しても出てもらえない」といった事態も、決して珍しくはないでしょう。 さて、相続人のほとんどに連絡がついていて、「あと1人だけ連絡できない」という場合、「その人のみを除いて遺産分割協議を進めてしまおう」と思うケースもあるかもしれません。しかし残念ながら、「連絡が取れない」という理由のみで、遺産分割協議から特定の相続人を除外することは認められていません。協議そのものはできても、残念ながらその結果は「無効」と判断されてしまうでしょう。 ・口座を解約して現金を引き出す・不動産の名義変更をする このような相続手続きは、一切進められなくなってしまいます。 連絡が取れない理由と対処法は? 「遺産相続において、相続人と連絡が取れない」という事実の裏には、さまざまな理由が隠されているでしょう。具体的にどう対処すれば良いのかは、この理由によって違ってきます。3つのパターンと対処法をそれぞれ具体的に解説するので、ぜひ参考にしてみてください。 ★パターン1「相続の発生や、自身が相続人であるという事実を知らない」 被相続人と相続人の関係性によっては、 ・相続人自身が相続発生の事実を知らない・相続人自身に、その自覚がない といったケースも考えられます。相続権を持っているものの、被相続人の存在すら知らず、まったく別の世界で生きる人も少なくありません。この場合、その他の相続人が連絡を取ろうとしたところで、「知らない人が、何かよくわからない話をしている」程度にしか感じられないでしょう。特段に自分の方から行動を起こす必要を感じられず、結果として「無視」になってしまう恐れがあります。 この場合は、まず相手の状況について、丁寧に説明し理解を求める必要があるでしょう。被相続人と相続人との関係性はもちろん、相続手続きを無視した場合のリスクやデメリットについてもしっかりと説明してみてください。 相続人の連絡先がわからない場合、戸籍の附票から住所をたどれます。手紙を出しても反応がない場合は、直接出向いてみるのもおすすめの方法です。 ★パターン2「相続人である事実を知っていてあえて無視している」 2つ目のパターンは、自身が相続人である事実を知っていても、あえて連絡を無視しているケースです。被相続人や、その他の相続人との関係が悪化している場合に、陥りやすいケースと言えるでしょう。 この場合も、まずはなんとか、自分自身で連絡を取ろうと努力するのが第一歩です。電話・郵便・訪問と、あらゆる手段を講じてみてください。もしそれでも駄目なら、家庭裁判所に遺産分割調停を申し立てましょう。 遺産分割調停とは、相続人だけでは遺産分割協議が進まない場合に、家庭裁判所が「調停」という形で介入することを言います。調停を申し立てれば、あえて無視している相続人のもとにも、家庭裁判所から連絡がいきます。もちろん、家裁からの連絡も無視されてしまう恐れもありますが、そうした事実を踏まえた上で遺産分割審判へと移行。裁判官が遺産分割方法を指定することで、遺産相続手続きを進められるようになります。 ★パターン3「行方不明になっている」 相続が発生した事実を知らせようにも、相続人が行方不明になってしまっているケースもあります。先ほどもお伝えしたとおり、戸籍の附票から調査すれば相続人の住所特定は可能。しかし、相続人がその住所にいなかった場合、居場所をたどる方法はありません。 行方不明になっている相続人がいる場合、家庭裁判所にて「不在者財産管理人」を選任してもらいましょう。不在者財産管理人は、行方不明になっている相続人の代理人として、遺産分割協議に参加します。また行方不明になってからすでに7年以上が経過している場合、家庭裁判所から失踪宣告を出してもらう方法もあります。こちらは、すでに亡くなっている可能性が高いと思われる場合に、行方不明者を死亡したものとみなす制度です。失踪宣告が出れば、連絡がつかない相続人を「亡くなったもの」とみなして、相続手続きを進めていけるようになります。 専門家に相談するのもおすすめ 専門家に相談するのもおすすめ 遺産相続において、「相続人の中に連絡が取れない人がいる」というのは、よくあるトラブルのひとつです。住所をたどったり、なんとか連絡を取ろうと努力したり…時間も手間もかかってしまうでしょう。だからこそ、弁護士や司法書士といった専門家に相談し、サポートを依頼するのもおすすめです。 親族間の関係性が悪化している場合や、相続人がそもそも何も知らない場合、第三者である専門家の介入は、決して悪いことではありません。むしろ冷静に、相続手続きを無視するメリット・デメリットについて考えられるのではないでしょうか。ぜひ積極的に検討してみてください。 連絡が取れない場合の流れを知って素早い対処を 相続人の中に連絡が取れない人がいると、手続き全体がストップしてしまいます。さまざまな不利益を被る可能性もあるため、速やかに対処しましょう。なぜ連絡が取れないのか、状況を把握した上で、今回紹介した対処法も実践してみてください。

  • 遺産相続で実際にお金を受け取れるまでの期間は?注意点も解説

    遺産相続で実際にお金を受け取れるまでの期間は?注意点も解説

    身近な人が亡くなった際に発生するのが「相続」です。何かと不安も多い時期。いつ遺産相続が終了するのか、また実際にお金を受け取れるまでにどの程度の時間がかかるのか、気になっている方も多いのではないでしょうか。今回は、遺産相続で実際にお金を受け取れるまでの期間の目安について解説します。見落としがちな注意点についてもまとめて紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。 実際にお金が手に入るのは遺産相続手続き後 実際にお金が手に入るのは遺産相続手続き後 身近な人が亡くなり、相続が発生したとき、各種遺産を受け取るための手続きを遺産相続手続きと言います。遺産であるお金が相続人の手元に入ってくるのは、基本的に遺産相続手続きをすべて終えたあととなるでしょう。では遺産相続手続きは、どのように進められていくのでしょうか。基本的な流れは以下のとおりです。 1.相続人の調査と確定2.相続財産の調査と確定3.遺産分割協議と遺産分割協議書の作成4.協議書をもとにした、遺産分割にかかわる各種手続き 遺産を相続するためには、誰が何をどの程度受け継ぐのかを決定しなければいけません。法定相続人が一人とは限りませんし、被相続人のみだけが知る相続人が存在している可能性も。誰に遺産を相続する権利があるのか、被相続人の戸籍をたどって調査する必要があります。また相続する遺産についても、調査が必要です。被相続人がどういった財産を保有していて、何が相続対象に含まれるのか、こちらも幅広い調査が求められるでしょう。 こうして得られた情報をもとに、相続人同士が「誰が何をどの程度相続するのか?」を決定するのが遺産分割協議です。協議が難航すれば、その分手続きにかかる期間は長くなってしまうでしょう。全員が合意に至ったら、その内容を協議書にまとめます。 ここまで来たら、相続手続きはあと一歩です。協議書をもとに、具体的な手続きを進めていきましょう。被相続人の口座の解約やお金の分配、不動産の相続登記といった手続きが挙げられます。お金が入るのは、このあとのタイミングです。具体的な時期が気になるのも当然ですが、相続人や相続財産の調査、そして遺産分割協議がどの程度スムーズに運ぶのかによって、お金が入る時期も大きく変わってくるでしょう。 相続人や相続財産がシンプルな場合、相続発生後1~2ヶ月で実際にお金を手にできる可能性もあります。一方で遺産分割協議が難航し調停や裁判にまで発展してしまった場合、実際にお金が手に入るまで1年以上の時間がかかってしまう恐れもあるのです。 お金が手に入るまでの期間が比較的短いケースとは? 遺産相続がスタートしてから実際にお金が手に入るまでの時間は、それぞれのケースで異なるもの。比較的短期間で済むのは、「法的に有効な遺言書が残されているケース」です。 遺言書とは、故人が生前に「誰に何をどれだけ受け継いでもらいたいか」という意思を記した書類のこと。相続が発生した際に、法的に有効と認められる遺言書が残されていれば、そこに記された内容に沿って、相続手続きを進めていく流れになります。 遺言書を作成する段階で、相続人や遺産に関する調査はすでに終了しています。また遺言書があれば、わざわざ遺産分割協議を行う必要もありません。遺言書が公開されれば、その後の手続きを一気に進められるため、時間短縮にもつながるでしょう。 ただし残されていた遺言書が「自筆証書遺言」である場合、内容を確認する前に検認の手続きをする必要があります。自筆証書遺言とは、自宅にて一人で作成できる遺言形式のこと。検認は、遺言書の存在を相続人に知らせ、書類の偽造や変造を予防するための手続きです。自宅から自筆証書遺言が発見されたら、まずは家庭裁判所に申し立てを行いましょう。検認手続きを経て、ようやく遺言の中身を確認できるようになります。 検認手続きにかかる期間は、申し立てから約1ヶ月です。残念ながらこの期間は、相続手続きを進められません。 ちなみに、残されていた遺言書が自筆証書遺言であっても、自宅ではなく法務局で保管されていた場合、検認手続きは不要となります。きちんとした場所で保管されていて、偽造や変造の恐れがないとわかっているためです。この場合は、自筆証書遺言であっても、スムーズに相続手続きを進めていけるでしょう。 手続きを終えたあと、実際に振り込まれるまでの期間と注意点 遺産分割協議を終え、遺産相続の具体的な手続きがスタートした際に、具体的にお金が振り込まれる時期は、金融機関によって異なります。早いところでは、手続きのあと、最短即日で振り込んでもらえるでしょう。手続きに時間がかかる場合でも、1ヶ月程度見ておけば大丈夫です。 「葬儀費用を賄うため」など、遺産相続手続きが終了するまで待っていられない場合には、「口座凍結前にATMにて預貯金を事前に引き出しておく」という方法があります。ただしこの場合、「遺産に勝手に手をつけた」と思われないよう、万全の準備を整えておく必要があるでしょう。具体的にいくら引き出し、葬儀にいくらかかったのか、あとから見てすぐにわかるようにしておいてください。 「葬儀費用のため」といった理由もなく「ただ単純に自分のために使ってしまった」という場合、そのお金に手をつけたことを理由に、「相続を単純承認した」とみなされてしまいます。遺産調査の結果マイナスの資産が発覚した場合でも、いったん単純承認した遺産の受け取りを拒否することはできません。負債もすべて受け入れなければならなくなるため、十分に注意しましょう。 「遺産相続手続きが長引いているため、先に現金を引き出したい」という場合には、金融機関に仮払いを請求するのがおすすめです。払い戻し可能額に一定の制限はあるものの、金融機関の窓口で直接手続きすれば、遺産のお金を引き出せるでしょう。何らかの事情で「実際に振り込まれるまでの期間が待てない…」という場合には、ぜひこちらの制度もチェックしてみてください。 遺産相続で実際にお金を受け取れるまでの時間で不安を感じたら 遺産相続で実際にお金を受け取れるまでの時間で不安を感じたら 遺産相続で実際にお金を受け取れるまでの期間について、不安を感じてしまうケースは決して少なくありません。実際にお金を手にできるのは、相続手続きが完了したあと。つまり、少しでも早くお金を手にするためには、相続手続きそのものをスムーズに進めていく必要があるのです。 遺言書が残されていない場合、相続人や相続財産の調査からスタートする必要があり、手間も時間もかかってしまうでしょう。相続問題に強い専門家を頼ることで、手続きをスムーズに進めやすくなるはずです。まずは一度、相談してみてはいかがでしょうか。

  • 遺産相続をサポートしてくれる専門家を探そう!行政書士に依頼するメリット・注意点

    遺産相続をサポートしてくれる専門家を探そう!行政書士に依頼するメリット・注意点

    遺産相続の手続きを滞りなく進めるため、また余計なトラブルを回避するためには、専門家にサポートを依頼するのがおすすめです。とはいえ、具体的に誰に何をお願いすれば良いのか、悩んでしまう方も多いのではないでしょうか。今回は、遺産相続をサポートしてくれる専門家として「行政書士」を紹介します。行政書士とはどのような専門家で、具体的に何をどうサポートしてくれるのでしょうか。行政書士に遺産相続の合サポートを依頼する場合のメリットや注意点を解説します。 行政書士とは? 行政書士とは、各種書類の作成をサポートしてくれる専門家です。官公庁に提出するために必要な書類や、権利や義務に関する書類、事実を公的に証明するための書類など…私たちの身の回りには、作成方法に困る書類が少なくありません。作成方法を間違えれば、手続きそのものが滞ってしまう恐れもあるでしょう。こうした場面で、専門知識をもとに作成サポートしてくれるのが行政書士なのです。 遺産相続に関連する書類としては、遺言書や相続関係説明図、遺産分割協議書などが挙げられます。これらの書類の作成については、ぜひ行政書士に相談してみてください。 遺産相続に関する相談を行政書士にするメリットとは? 遺産相続に関する相談を行政書士にするメリットとは? 遺産や相続に関連する内容を行政書士に相談するメリットは、以下のとおりです。 ★各種手続きの事前準備からお願いできる 遺言作成においても、遺産相続手続きにおいても、物事を適切な形で進めていくためには、さまざまな事前準備が必要となります。たとえば法的に有効な形で遺言を残そうとした場合、相続人の特定や相続財産の調査といった作業が必須に。作業結果を遺言内容に反映させる必要があるでしょう。行政書士にサポートを依頼すれば、この特定・調査の段階から、面倒な作業を代行してもらえます。 またいざ相続が発生した際にも、相続人や遺産に関する調査は必須です。それ以外にも、役所での戸籍謄本の収集や各金融機関での残高証明の取得など、さまざまな手続きが必要になります。これらの手続きを行政書士に代行してもらえれば、「平日昼間は仕事で忙しい」という方でも、安心して相続を進めていけるでしょう。手間を省き、相続や遺言に関する手続きが楽になります。 ★正確で間違いのない遺言を残せる 終活ブームの今、将来のために遺言を残す方は決して少なくありません。しかし実際には、「遺言書に法的な有効性が認められず、相続手続きには反映されなかった」という事例も多く見られます。 行政書士に遺言書作成サポートを依頼した場合、正しい形式で遺言を残せているかどうか、形式についてアドバイスをもらえます。せっかく書いた遺言書が「法的に無効」と判断されてしまうリスクを、少なくできるでしょう。 ただし遺言に含まれる「法律」の部分は、行政書士では専門外の業務となります。遺言の内容について法的なアドバイスを求めたり、内容について相談したりするのは難しいでしょう。「遺言に書きたい内容はすでに決まっていて、あとはそれを正しい形で書類として残したいだけ」という場合におすすめの相談先です。 ★弁護士と比較すると相談しやすい 遺産相続や遺言に関する相談を受け付けてくれる専門家は、行政書士だけではありません。「弁護士の方が先に頭に浮かんでくる」という方も多いのではないでしょうか。遺産相続や遺言について行政書士に依頼した場合、弁護士よりも報酬金額が安くなります。金銭面でのメリットを感じやすいでしょう。 また行政書士の数は弁護士よりもずっと多いため、身近な場所で相談しやすいという特徴があります。わざわざ遠くまで出向かなくても、地域内で相談先を見つけられるでしょう。遺言や相続に関する各種サポートには、きめ細やかな対応が必要です。身近な場所で相談できる行政書士であれば、何でも気軽に話しやすいのではないでしょうか。 行政書士に依頼する場合の注意点は? 行政書士に依頼する場合の注意点は? 行政書士は、遺産相続や遺言について、相談に乗ってくれる相手です。しかし残念ながら、どのような相談内容にも対応できるというわけではありません。行政書士に依頼するなら、「何に対応できて何ができないのか?」を正しく把握しておくことが大切です。 先ほどもお伝えしたとおり、行政書士は「書類」の専門家ではありますが、「法律相談」に関しては専門外です。遺言や相続、遺産の「法律面」で何か困った事態が発生したときには、弁護士事務所を頼るようにしましょう。 また行政書士は、すでに相続問題で争いが生じている案件を扱うことはできません。親族間でなんらかのトラブルが発生している場合に、代理人として各種交渉に応じたり、裁判を担当したりできるのは弁護士だけです。行政書士にサポートを依頼していて、手続きの過程で何らかのトラブルが生じてしまった場合、あらためて弁護士に相談する必要があるでしょう。トラブルが発生する可能性があると思われる場合には、最初から弁護士に相談しておくのもおすすめです。 もう一点頭に入れておきたいのが、不動産相続に関する注意点です。遺産の中に、土地や建物といった不動産が含まれるケースは少なくありません。この場合、不動産の名義変更(相続登記)の手続きが必要になります。行政書士は、この相続登記の申請を代理で行う権利を有していません。相続登記の代理申請を行えるのは、司法書士もしくは弁護士のみです。 相続放棄について検討している場合も、司法書士もしくは弁護士に相談した方が良いでしょう。相続放棄に関する手続きを依頼できるのも、司法書士もしくは弁護士のみです。相談についても同様なので、依頼先を間違えないようにしてください。相続放棄の手続きができる期間は限られています。時間を無駄にしないよう、注意しましょう。 行政書士はトラブルがない遺産相続の強い味方 遺産相続手続きにおいて、行政書士が対応できる分野は限られています。とはいえその分、身近な場所で相談でき、また手ごろな価格で問題を解決しやすいというメリットも期待できるでしょう。たとえば、 ・相続人が限られている・遺産相続の形がシンプルである・相続問題で揉め事が起きる可能性が低い といった場合には、行政書士のサポートで十分と考えられます。 遺産や相続について行政書士に依頼する場合には、話しやすくフットワークの軽い事務所を選択するのがおすすめです。面倒な書類作成やそのための調査にすぐに着手してもらえれば、遺産相続手続きそのものを、スムーズに進めやすくなるでしょう。メリット・デメリット・注意点等をしっかりと把握した上で、相談先選びの参考にしてみてくださいね。

  • 死亡共済金は相続対象に含まれる?相続対策を考える上での注意点も解説

    死亡共済金は相続対象に含まれる?相続対策を考える上での注意点も解説

    自分に万が一のことがあったときのため、共済に入っている方も多いのではないでしょうか。遺族の手元に入るお金は、今後の生活の支えになってくれるでしょう。とはいえ、より多くのお金を家族のために残したいなら、「相続」についての注意点も知っておくことが大切です。死亡共済金の扱いや、相続対策を考える上で知っておきたい注意点について解説します。ぜひ参考にしてみてください。 死亡共済金は相続対象に含まれない 死亡共済金は相続対象に含まれない まず頭に入れておきたいのが、「死亡共済金は相続対象に含まれない」という事実です。死亡共済金受取人の順位は、共済の規約によって定められています。また契約者が、事前に受取人を指定しているケースもあるでしょう。死亡共済金を受け取る権利は、受取人に固有の権利として判断されます。 身近な人が亡くなった際に、財産は相続人に受け継がれます。預貯金や不動産など、ありとあらゆる財産が相続対象に含まれるでしょう。しかし死亡とともに発生した死亡共済金は、これらの相続財産に含まれません。相続手続きは、死亡共済金を除いて進められていきます。 一般的な相続の考え方として、父親が亡くなり、その配偶者と子ども3人が相続人になる場合を例にあげましょう。この場合、父親が残した3,000万円の財産を法定相続分に沿って分配する場合、配偶者が1,500万円、3人の子どもがそれぞれ500万円ずつ受け取る計算になります。 では、この父親が生命共済に加入していて、1,000万円の死亡共済金を配偶者が受け取る場合について考えてみましょう。配偶者は1,500万円の遺産に加えて、死亡共済金1,000万もそのまま受け取る計算になります。子ども3人が、「自分たちにも受け取る権利がある」と主張することはできません。 「みなし相続財産」として相続税が課税される場合がある 上で解説したとおり、死亡共済金は相続財産には含まれませんが、税制上の公正を期すため、「みなし相続財産」として判断されます。 つまり、「一般の相続財産のように分配する必要はないが、相続税の対象にはなる」ということ。死亡共済金や相続財産には、その性質を考慮して、十分な非課税枠が用意されています。しかし相続する財産が一定ラインを越えると、相続税が発生する可能性もあるのです。 死亡共済金の非課税枠は、「500万円×法定相続人の数」という計算式で求められます。先ほどの家族を例にあげると、相続人の数は「配偶者+子ども3人」の合計4人。2,000万円までの死亡共済金であれば、相続税を課税されずに受け取れるでしょう。 仮に死亡共済金が2,500万円の場合、500万円分は非課税枠に入りきりません。この場合、入りきらない分をその他の相続財産と合わせて、相続税の金額が決定される仕組みです。 ただし死亡共済金以外の相続財産についても、「基礎控除額」が定められており、この範囲内であればやはり相続税は課税されません。相続税の基礎控除額は、「基礎控除額=3,000万円+600万円×法定相続人の数」という数式で求められます。再度先ほどの例で考えるなら、相続税の基礎控除額は5,400万円です。仮に死亡共済金の非課税枠に入りきらない分が出たとしても、その他の相続財産と合わせて5,400万円までであれば、相続税は発生しません。 一方で、その他の財産と合わせて5,400万円を超えてしまうのであれば、死亡共済金であっても相続税が発生します。非課税枠に入りきらなかった500万円分については、きちんと税金を納める必要があるので注意しましょう。 共済保険で相続対策する場合の3つの注意点 平成27年より、相続税に関する制度が改正され、基礎控除枠が減額されました。これにより、「ごく一般的な家庭」であっても相続税が課税されるケースも増えてきています。以前は「相続対策=お金持ちがするもの」というイメージもありましたが、現在はそういうわけでもありません。より多くの人にとって、持続対策が重要な意味を持つようになってきています。 こうした状況の中で、共済保険も具体的な相続対策の一つとして注目されるように。この場合、以下の3つのポイントに注意してみてください。 ★共済の自由度は低い 相続対策で共済保険の活用を考える場合、その自由度の低さについて、あらかじめ頭に入れておきましょう。 一般的な生命保険の場合、死亡時の保障をいくら用意するのかは、比較的自由に設定できます。10万円単位で指定できるような保険商品も、決して少なくありません。一方で共済の場合は、200万円・500万円・1,000万円などあらかじめ金額が決められたコースの中から、選んで加入するスタイルが一般的です。自身のニーズに合わせて変更するのは難しいでしょう。 ★受取金額も低め 先ほどもお伝えしたとおり、死亡共済金や死亡保険金には、手厚い非課税枠が用意されています。まず、死亡共済金独自の非課税枠を計算し、さらにそこに含まれない分についても、相続税の基礎控除枠を活用できる仕組みです。相続対策を考えるなら、この非課税枠や控除額を、できるだけ無駄なく使い切ることが重要だと言えるでしょう。 共済の場合、死亡時に受け取れる金額は比較的低めに設定されています。相続対策として検討するなら、より高額な保険金を受け取れる、生命保険を検討するのがおすすめです。 死亡共済金や死亡保険金の非課税枠は、法定相続人の数によって違ってきます。法定相続人の数が少ない場合は共済でも十分ですが、法定相続人の数が多く、非課税枠も多い場合には、より充実した生命保険を検討すると良いでしょう。 ★契約者と受取人の関係によって税金は変わる! 先ほど、「死亡共済金にも相続税が発生するケースがある」とお伝えしましたが、契約時の各種条件によっては、相続税ではなく所得税や贈与税の対象になる可能性もあります。 契約者自身が死亡共済金を受け取る場合、発生する税金は所得税です。夫が妻を被共済者として契約を結び、夫を死亡共済金の受取人に設定した場合がこちらにあたります。契約者と被共済者、そして受取人がそれぞれ別の人の場合(夫が妻を被共済者として契約を結び、死亡共済金を子どもが受け取る場合など)には、贈与税が発生します。 契約時には、これらの注意点についてもしっかりと頭に入れておきましょう。 共済に加入するなら相続も見据えて検討を 共済に加入するなら相続も見据えて検討を 将来のために、共済への加入を検討する方も多いのではないでしょうか。将来の相続についても見据えて決断することで、余計なトラブルを避けられるでしょう。誰が受取人になるのか、また相続時にどういったトラブルが発生する可能性があるのか、事前に検討した上で検討するのがおすすめですよ。

  • 相続財産に株式が含まれる場合の対処法は?現金化の手順や注意点も

    投資する人が増えている今、相続財産に株式が含まれるケースは決して珍しくありません。現金や銀行預金とは性質が異なる財産に、どう遺産分配すれば良いのか悩む方も多いのではないでしょうか。相続財産に株式が含まれる場合の対処法や注意点について解説します。親の遺産を受け継ぐ際はもちろん、自身の財産を残す際にも参考にしてみてください。 株式は遺産分割の対象になる 被相続人が所有していた株式は、遺産分割の対象になります。遺言が残されていればその内容のもと、残されていない場合は遺産分割協議にて、誰がどれだけ受け継ぐのかを決定することになるでしょう。 預金や不動産など、その他の財産とあわせて、具体的な相続手続きを進めていきます。相続人や相続財産を調査し、遺産分割協議を行ってください。その内容をもとに各種変更手続きを行い、必要に応じて相続税を申告・納税します。 株式が含まれる場合の注意点3つ 遺産に株式が含まれている場合も、基本的な相続手続きの流れに違いはありません。株式ならではの注意点を3つ紹介するので、参考にしてみてください。 ★株式の種類によって対処法が異なる 株式には、上場株式と非上場株式の2種類があります。相続財産である株がどちらなのかによって、対処法が違ってきます。証券会社に口座を開き、株式投資を行っている場合、証券会社を通じて相続手続きを進めていきます。どこの証券会社に口座を持っていたのか、情報収集からスタートしましょう。 一方で被相続人が保有していたのが非上場株式であった場合、上場株式のような「市場価格」は存在しません。株式の価値が見えにくいため、しっかりとした知識をもとにその価値を評価する必要があるでしょう。 またたとえ相続したとしても、上場株式のように容易に売却できるとは限りません。相続税の負担を考えると、「最初から相続しない方が良い」と思われるケースもあります。相続税との兼ね合いも考えつつ、相続するかどうか慎重に検討してみてください。 ★証券会社がわからない場合は証券保管振替機構へ 上場株式が遺産に含まれている場合、取引の合った証券会社を特定する必要があります。遺言やエンディングノートに口座情報がまとめられていれば良いのですが、そうではない場合、まずは被相続人の身の回りをチェックしてみてください。 被相続人の荷物から証券会社の資料が出てきたら、問い合わせてみましょう。口座名義人が死亡した事実と、名義変更の希望について伝えれば大丈夫です。必要書類や具体的な手続き方法は、証券会社側から案内されます。 証券会社の情報を見つけられなかった場合は、証券保管振替機構を利用しましょう。こちらに問い合わせれば、どの証券会社と取引があるのか、具体的な情報を開示してもらえます。必要事項を記載した開示請求書のほか、相続人の本人確認書類や被相続人の戸籍謄本など、必要書類をそろえて手続きしてください。開示された情報をもとに、各証券会社に問い合わせればOKです。 ★上場株式の価値は相続税評価額で計算 遺産に株式が含まれている場合、その評価額をどう計算するべきか、悩む方も多いでしょう。相続財産の価値がわからなければ、相続税の計算はもちろん、遺産分割協議を進めることもできません。できるだけ早く、その価値を確認してください。上場株式の価値を計算するための基本的な方法が、相続税評価額です。 上場株式の評価額は、以下の4つのうち、もっとも低い金額を採用できます。 ・相続が開始した日の終値・相続開始月の終値の平均額・相続開始前月の終値の平均額・相続開始前々月の終値の平均額 相続開始日に証券取引所で取引が行われていなかった場合、「相続開始日にもっとも近い日」を対象に計算してください。保有株式が一つではない場合、それぞれの株式について、もっとも低い金額を採用できます。面倒な作業ではありますが、相続税関連でトラブルを起こさないためにも、丁寧に計算する必要があるでしょう。 遺産として受け継いだ株式を現金化する手順 被相続人の名義である上場株式を、直接現金化することはできません。いったん、相続人名義の専用口座を開設し、そこに相続財産である株式を移管させましょう。その上で、これから先どのように株式を現金化するのか、相続人同士で話し合ってください。 具体的には、 ・相続した株式を一括で現金化し、売却した現金を分割する・相続した株式を相続人同士が分け合い、個人で所有した株式を売却する という2つの方法があります。 上の方法を選択する場合、株式を相続するのは代表一人です。その代表相続人が売却までの手続きを終えて、現金化された遺産を対象に遺産分割協議を行いましょう。この場合、遺産分割協議の前に株式の現金化を進めていくため、各種手続きにはその他の相続人の委任状が必須です。 下の方法を選択する場合、専用口座に株式を移管させてすぐに遺産分割協議を行います。証券会社にはその結果である遺産分割協議書を提出し、その内容をもとに株式そのものを分配する仕組みです。売却して現金化するかどうかは、相続人それぞれの判断に任せられます。 相続した株式を放置した場合はどうなる? 相続した株式を放置した場合はどうなる? 相続人に株式に関する知識がない場合、株式が遺産相続の対象から漏れてしまうケースも少なくありません。 ・どうすれば良いのかわからないため、株式を除いたその他の財産について相続手続きを行った・被相続人が株式投資をしていた事実を知らないまま、放置してしまう これらの場合、相続手続きが完了しない株は、準共有状態であると判断されます。配当金が入るたびに、相続人間で分ける手続きをしなければいけません。また株主としての権利を行使するためには、権利行使者を定め、会社に対して通知する必要があります。面倒な事態を避けるためにも、できるだけ早く手続きを完了させましょう。 また自分自身が株式投資を行っている場合、その事実を家族に伝えておく必要があります。余計なトラブルを避けるため、エンディングノートなども活用してみてください。 遺産に株式が含まれている場合は専門家のサポートもおすすめ 遺産に株式が含まれている場合は専門家のサポートもおすすめ 遺産に株式が含まれている場合、評価額の計算や相続税の手続きは複雑になります。スムーズに相続するためには、専門家の助けを求めるのもおすすめです。弁護士や司法書士、行政書士に税理士など、ぜひ頼りにしてみてください。また自身が残す財産に株式が含まれる場合、誰に何を相続させるのか、遺言で指定するのもおすすめです。終活の一環として、検討してみてはいかがでしょうか。

  • 小規模企業共済で受け取った財産はどう扱われる?メリット・デメリット

    小規模企業の個人事業主、会社役員の方にとって、メリットも大きい小規模企業共済。共済契約者死亡によって家族が共済金を受け取る場合、その財産が相続上、どのように扱われるのかについて、詳しく解説します。相続対策としても有効と言われる小規模企業共済の基本とともに、メリット・デメリットについても確認してみてください。 小規模企業共済とは? 小規模企業共済とは? 小規模企業共済は、「経営者の退職金」とも呼ばれる制度です。月々の給料からの積立によってまとまった金額を確保。事業を廃止した場合や退職後の生活を安定させるために使用できます。将来の備えとして役立つでしょう。 また共済契約者が死亡した場合、遺族に対して共済金が支払われます。契約者によって生計を維持されていた家族の、その先の生活を守ってくれるでしょう。小規模企業の個人事業主や会社役員にとって、安心できる制度と言えます。 小規模企業共済で受け取った財産の扱われ方は? 契約者が死亡した場合に遺族が受け取る共済金には、「相続財産に含まれない」という特徴があります。受取人固有の財産に当てはまるため、遺産分割の対象にはなりません。遺産分割協議は、小規模企業共済で受け取ったお金以外の財産について行われます。また小規模企業共済以外にも、生命保険金なども相続財産に含まれないため、何が遺産分割協議の対象になるのか、事前に把握しておくことが大切です。 たとえば小規模企業共済で300万円を受け取り、その他の財産が2,000万円あるケースを考えてみましょう。配偶者と子ども2人が相続人になり、配偶者が小規模企業共済の受取人になった場合、まずは配偶者が共済金である300万円を受け取ります。その後あらためて、相続財産である2,000万円分を子ども2人と分け合うことに。法定相続分に沿って分割するなら、相続財産の割り振りは配偶者が1,000万円、子どもが500万円ずつ受け取ります。小規模企業共済と合わせると、「配偶者が1,300万円、子どもたちはそれぞれ500万円ずつ」という割合に落ち着くでしょう。 相続財産に含まれない共済金は、仮に「○○に全財産を譲る」という名前の遺言書が残されていたとしても対象外です。法的に有効な遺言書が残されていた場合、遺留分をのぞき、相続財産については指定された人がすべてを受け継ぐことになるでしょう。しかしこの「相続財産」に、小規模企業共済金は入りません。遺言書の内容にかかわらず、共済金は、受給権を持つものの中でもっとも順位が高い人に支払われます。 また相続財産について相続放棄を選択した場合でも、共済金は受け取れます。事業を営む人が多額の借金を抱えて亡くなってしまった場合、相続放棄がやむを得ないケースもあるでしょう。このような場合でも、共済金は受取可能です。家族の今後の生活に役立ててください。 一方で、覚えておかなければならないのが、相続税上の扱いについてです。契約者死亡によって支給される共済金は、「みなし相続財産」として扱われます。先ほどもお伝えしたとおり、遺産分割の対象にはなりませんが、相続税の計算には含まれるのです。相続税が発生するのかどうか、また発生する場合いくらになるのかといった計算は、共済金を含めた金額で対応してください。計算が複雑でよくわからない場合には、無理をせず、専門家である税理士に相談するのがおすすめです。 契約者死亡による小規模企業共済金を受け取る人は? 契約者が死亡した場合に小規模企業共済金を受け取る人は、小規模企業共済法にて規定されています。民法上の相続の一般原則とは異なるため、注意してください。具体的な順位は以下のとおりです。 第1順位者 配偶者(※内縁関係者含む)第2順位者 子第3順位者 父母第4順位者 祖父母第5順位者 兄弟姉妹第6順位者 そのほかの親族 これらの順位の中で、もっとも順位の高い人が共済金を受け取ります。 小規模企業共済金の特徴の一つは、第1順位者である「配偶者」に、内縁関係者が明確に含まれる点です。戸籍上の届け出はなくても、死亡当時に事実婚の状態にあった配偶者であれば、共済金を受け取れます。 第2順位から第6順位までの受取人には「共済契約者が亡くなった当時、共済契約者の収入によって生計を維持されていた人」という条件があります。生計を維持されていたと認められない場合、第7順位以下に落とされるため注意しましょう。具体的にどのような条件で「生計を維持されていた」と認められるのかは、問い合わせて確認するのがおすすめです。不安な点があれば、事前に専門家に相談しておくのも良いでしょう。 小規模企業共済のメリット・デメリット 契約者の死亡時にも共済金が支払われる小規模企業共済。そのメリット・デメリットは以下のとおりです。 【メリット】・掛け金が所得控除できる・掛け金は自分で調整できる・掛け金が無駄にならない 小規模企業共済の掛け金は、所得控除の対象です。加入時から節税効果を実感できるでしょう。支払う金額は自分で調整できるため、生活の負担になりにくいという特徴もあります。将来の備えとして活用できるはずです。 もともと「小規模企業の退職金」という目的で使われている制度ですから、たとえ死亡しなかったとしても、支払ったお金が無駄になる恐れはありません。退職時に共済金を一括で受け取る場合は退職所得として、分割で受け取る場合は公的年金等の雑所得として扱われます。税制上の扱いが違ってくるため、受け取り方法は慎重に検討してみてください。 一方で小規模企業共済にもデメリットはあります。加入期間が短ければ、共済金の受け取りで損をするリスクがあるでしょう。具体的には、契約期間が12カ月未満の場合、準共済金や解約手当金が支払われず、掛け捨て扱いになってしまう恐れがあります。加入期間が20年未満の場合、受け取る共済金が過去に支払った掛け金の総額を下回る、いわゆる「元本割れ」になってしまうでしょう。 さらに契約者が死亡した場合も注意が必要です。受取人の順位が定められている小規模企業共済制度ですが、順位に当てはまる人がいなければ、受給権者不在と判断されます。共済金は受け取れません。また受取人を事前に指定できない点も、デメリットと言えます。 小規模企業共済の特徴を知った上で検討を 小規模企業共済の特徴を知った上で検討を 小規模企業共済には、「契約者が亡くなった場合でも、家族のために財産を残せる」というメリットがあります。たとえ相続放棄の手続きをとっても、共済金は受け取れますから、家族の生活の安定にも役立つでしょう。一方で共済金制度にはデメリットもあります。両者を知った上で賢く活用してみてください。

  • 相続に強い税理士の選び方を解説!ポイントを知って失敗を防ごう

    相続税が発生する場合、申告から納税までの手続きをより確実に進めていくため、税理士に依頼するのがおすすめです。とはいえ、依頼先の税理士事務所をどう選ぶべきか、悩む方も多いのではないでしょうか?今回は相続に強い税理士の選び方について解説します。4つのポイントを紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。 1.相続に強い税理士である 1.相続に強い税理士である 相続税の申告や納税のサポートを目的に税理士を探す場合、まず「相続に強い税理士」を探すことが大切です。「税理士」と言っても、得意とする業務内容はさまざまです。相続分野以外を専門とする税理士に依頼しても、十分なサポートを受けられない可能性があるでしょう。相続に特化した税理士事務所であれば、安心してお任せできます。こちらが慣れていなくても、いつまでに何が必要なのかを理解した上で、正しく導いてもらえるはずです。 では、相続に強い税理士は具体的にどう探せばよいのでしょうか?まずはホームページで情報を収集してみてください。税理士事務所の中には、「相続専門」を打ち出しているところも少なくありません。さまざまな相続問題を、安心して相談できるでしょう。 また相続税の申告件数に注目してみるのもおすすめです。申告件数とは、要するに過去の実績を表すもの。その税理士事務所が、どれだけ積極的に相続問題を扱っているか、判断するポイントになるはずです。 ホームページ上で情報を得られない場合は、電話や面談にて、直接聞いてみるのもおすすめです。 ・相続問題にどの程度力を入れているのか?・年間の相続税申告件数はどのくらいなのか?・相続案件とその他の案件で、担当割合はどのくらいなのか? これらの回答からも、それぞれの事務所がどの程度力を入れているのか、明らかにできるでしょう。ぜひさまざまな方面から、情報収集してみてください。 2.報酬額が適正である 相続税の申告を税理士にサポートしてもらう場合、税理士に支払う報酬額も重要なポイントになります。契約前には、提供されるサービスに対して報酬額が妥当であるかどうかも、しっかりと確認してみてください。 相続税関連で税理士に依頼した場合の報酬額の目安は、遺産総額の0.5%~1%程度だと言われています。仮に1億円の財産を相続し、相続税を申告する場合、税理士に支払う報酬額は50万円~100万円を目安として考えれば良いでしょう。提示された金額がこれよりも大幅に高い場合、別の事務所を検討してみるのもおすすめです。 ただし、以下のような条件に当てはまる場合、税理士報酬が相場よりも高くなる可能性があります。 ・相続人の数が多く、関係性が複雑である・相続財産に不動産が多く含まれている・相続税の延納や物納制度の利用を検討している 問題が複雑になれば、担当税理士の負担も重くなります。それに伴って、報酬額も上乗せされる可能性があるでしょう。報酬額のみに注目するのではなく、何にどれだけの費用がかかるのかに注目し、総合的に判断するのがおすすめです。また相続に関連する事情はそれぞれで異なるもの。大まかな内容を伝えたのちに、「自分のケースでは報酬がいくらくらいになるのか?」を確認してみてください。 「税理士報酬は安ければ安い方が良い」と考えがちですが、実際にはそういうわけでもありません。税理士に依頼する以上、きちんとしたサービスを提供されなければ意味がないからです。依頼先を検討する際には、報酬額についてもしっかり確認し、提供されるサービスとのバランスについてもチェックしましょう。 3.二次相続までを含めた提案をしてくれる 3.二次相続までを含めた提案をしてくれる 相続税について検討する際に、忘れてはいけないのが二次相続についてです。二次相続とは、「配偶者が亡くなったあとに財産を受け継いだ人が被相続人となり、遺産相続されること」を指します。相続人に配偶者が含まれる場合、配偶者控除によって相続税の負担が少なくなるでしょう。しかし二次相続では、こうした制度は利用できません。相続税の負担が重くなってしまいがちです。 配偶者との年齢差が小さい場合、一次相続から数年の間に二次相続が発生する可能性も。二次相続での負担を少なくするためには、一次相続の段階から将来を見据え、適切な対策を講じておく必要があるのです。 一次相続の段階で、何をどのように相続すれば二次相続対策になるのかは、個々の状況によって異なります。だからこそ、専門家である税理士がしっかりと導いてくれるかどうかを確認しましょう。最初から二次相続を踏まえて提案してくれる税理士であれば、安心してお任せできます。二次相続に関する話題が出ない場合、相談者の側から聞いてみるのもおすすめです。その対応方法を見極めた上で、信頼できるかどうか判断してみてください。 4.相続人の不安に寄り添ってくれる 相続税の申告は、一生の間にそう何度も経験するものではありません。だからこそ、何をどう進めていくべきか不安を感じる方もいるでしょう。そうした感情に寄り添い、親身に対応してくれる税理士を探すことが大切です。 相続税には「相続発生の翌日から10カ月以内」という申告・納税の期限があります。期限内に手続きを進めるため、依頼人への対応がぞんざいになってしまう税理士もいます。不安を抱えたまま相続手続きだけを進めていっても、その結果に納得するのは難しいでしょう。あとになって「もっと○○しておけば…」と後悔する可能性もあります。 まずは自分たちの話をしっかりと聞いてくれるか、そして要望に添った提案をしてくれるかどうかを確認してみてください。何でも安心して話せる税理士であれば、不安を抱えてもその場で解決できるでしょう。その後の手続きもスムーズに進めていけるはずです。 税理士選びで間違えないことが重要 相続税申告を税理士にサポートしてもらえば、相続人の負担は軽減できるでしょう。相続税や申告手続きに関する知識が十分ではない場合でも、専門家の手でしっかりと導いてもらえます。相続手続きでのうっかりミスは、その後のトラブルにつながってしまいがちです。税理士のもとで手続きを進めていけば、リスクを回避できるでしょう。 また信頼できる税理士がいれば、相続税を節税できる可能性もあります。一次相続だけではなく、二次相続を視野に入れて万全の準備をしておくためにも、ぜひ税理士事務所選びにはこだわってみてください。 依頼先の税理士選びを間違えると、「こんなはずじゃなかったのに…」といった事態になってしまう可能性も。今回紹介した4つのポイントも参考にしつつ、依頼先を検討してみてください。初めての相続税申告でも、安心してお任せできます。

  • 「親の会社を相続する」とは?手続きの基本と注意点を学ぼう

    経営者である親が亡くなった際に、発生するのが「会社の相続」です。個人の相続よりも複雑になる可能性もあるため、慎重に準備を進めていく必要があるでしょう。「会社を相続する」という言葉の意味や手続きの基本、覚えておくべき注意点まで詳しく解説するので、ぜひ参考にしてみてください。 「会社を相続する」とは? 「会社を相続する」とは? まずは、「会社を相続する」という言葉の意味を知ることからスタートしましょう。経営者が亡くなれば、その財産は遺産として、基本的に被相続人に引き継がれます。その中で「会社」がどう扱われるのかは、事業形態が「法人」であったのか、それとも「個人」であったのかで違ってくるでしょう。 被相続人が個人事業の形態で事業活動を行っていた場合、事業用の財産はすべて「被相続人個人のもの」として扱われます。遺言書で誰にどのような財産を残すのか指定されていない場合、事業用財産とその他の財産をすべて含めて、相続人同士で遺産分割することになるでしょう。 一方で被相続人が法人として事業活動を行っていた場合、事業用の財産は個人からは切り離されます。会社法人が所有するものとして扱われるため、「相続人だから」という理由で、その地位や財産を受け継ぐことはできません。個人事業の場合の相続とは、その性質が大きく異なるという点を、しっかりと理解しておきましょう。 ただし被相続人が保有していた自社株については、個人資産として扱われます。一定割合以上の自社株を相続し、経営権を握ることは可能です。被相続人の死亡によって会社の経営を揺るがせないためにも、自社株の相続や相続手続きについて、事前に知識を身につけておいてください。 法人の場合の相続手続きとは? 親が経営する法人を、相続する場合の手続きは以下のとおりです。 1.被相続人から自社株を相続する2.相続した株式の名義変更を行う3.株主総会を開き、役員としての地位を認めさせる 先ほどもお伝えしたとおり、法人として事業活動を行っていた会社の場合、親が亡くなったからといって、相続人が自動的に会社を受け継げるわけではありません。まずは親が残した自社株を相続し、それをもとに経営者としての地位を確立します。相続によって取得する自社株の割合が、株式の過半数を占めれば経営権を握れます。株式の3分の2を超えれば、定款や事業目的の変更、合併などの重要な決定も下せるようになるでしょう。 株式の名義を相続人に変更すれば、株主としての権利を行使できるように。株主総会の開催も、役員としての地位の確立も可能になります。経営者死亡により、経営の基盤を揺るがせないためには、ここまでの手続きを円滑に進めていくことが大切です。手続きにかかる時間が長くなればなるほど、会社としては不安定に。取引先企業や投資家たちから寄せられる目線も、厳しくなってしまいます。 無事に経営者の変更を終えたあとは、各種変更手続きを行っていきましょう。金融機関や社会保険関連のほか、取引先への通知も忘れないでください。 会社を相続させる際の注意点3つ 会社を相続させる際の注意点3つ 経営者である親が亡くなったあと、相続問題を発端として、トラブルが発生するケースは少なくありません。経営面でダメージを受け、事業活動そのものが滞ってしまう恐れもあるでしょう。3つの注意点とそれぞれの対処法を解説するので、ぜひ参考にしてみてください。 ★自社株の分散による経営権の引き継ぎ失敗 法人の相続において、もっとも注意しなければならないのが自社株の分散です。先ほどもお伝えしたとおり、会社の経営権を握るためには、一定割合以上の自社株を保有する必要があります。被相続人が過半数の自社株を保有していても、相続によってそれらが分散されれば意味がありません。 被相続人が保有する自社株は、個人資産として遺産分割の対象になります。法定相続分に則って分割される場合、複数の相続人が一定割合ずつ、自社株を含めた遺産を相続するでしょう。この場合、「株式の分散によって、相続人のうち誰も経営権を握れない」といった事態に陥りかねません。その他の株主との関係性が良くない場合、誰が経営を握るのかで揉めて、会社経営に支障をきたす恐れがあります。 このような事態を避けるために有効なのが、以下のような対策です。 ・遺言書で株式の相続割合を明確に示し、後継者を指名しておく・生前から少しずつ事業承継を進めていく・家族信託によって、生前から株式を管理させる 次代を誰に任せられるのか、経営者として思うところもあるでしょう。遺言書や生前贈与、家族信託といった仕組みをうまく使えば、そうした思いを形にできます。専門家に相談しつつ、自分に合った方法を選択するのがおすすめです。 ★相続の偏りから発生する親族間トラブル 経営権掌握のため、相続人の1人に集中的に財産を相続させた場合、不公平な遺産分割による親族間トラブルが発生する可能性があります。こちらについても、あらかじめ対策を練っておきましょう。 相続人の一部には、遺留分が認められています。自社株を1人に集中的に相続させる形にしても、遺留分に配慮できていれば、揉め事に発展するリスクは回避可能に。自社株以外の財産をどう割り振るのかについても、あらかじめ遺言書で指定しておくのがおすすめです。 ★負債の相続による負担の増加 中小規模の会社では、経営者個人が連帯保証人となり、事業のための融資を受けているケースもあります。この場合、相続によって負債も引き継がれてしまう点も、頭に入れておきましょう。後継者を守るための仕組みとして、「経営者保証ガイドライン」も整備されています。必要な知識を身につけた上で、手続きを進めていく必要があります。 会社の相続は生前からの準備が重要 経営者が亡くなった際に、会社の相続が問題になるケースは少なくありません。とはいえ、生前からしっかりと準備を進めていけば、問題なく乗り越えられるはずです。 相続する会社が個人事業として営まれていたのであれば、相続に関して問題が発生する可能性は低くなります。親族間での話し合いによって、誰が経営を続けるのか、その財産をどうするのかを決定しましょう。一方で、法人の場合は注意が必要です。遺言書の作成はもちろん、さまざまな方面から準備を進めておかなければ、最悪の場合、「会社の経営権を失い暗礁に乗り上げる」といった未来も予測されます。 会社の相続について検討する場合、まずは基本的な知識を身につけるところからスタートしましょう。今できることは何か、専門家の意見を聞いてみるのもおすすめです。できることからスタートしましょう。

  • 遺産相続を弁護士に依頼!報酬は誰が払う?お金に困った場合の対処法も

    遺産相続をスムーズに進めていくため、弁護士への依頼を検討する方も多いのではないでしょうか。弁護士に依頼すれば、法律に関する専門知識をもとに、さまざまな手続きをしっかりとサポートしてもらえるでしょう。しかしその一方で「弁護士費用が不安…」と感じがちです。遺産相続を弁護士に依頼した場合、報酬は誰が支払うものなのでしょうか?お金がない場合の対処法も解説します。 遺産相続を弁護士に依頼!具体的に対応してもらえる業務とは? 遺産相続を弁護士に依頼!具体的に対応してもらえる業務とは? 「遺産相続を弁護士に依頼」と聞いても、具体的に何をどうお願いできるのかよくわからない…と感じる方は多いものです。まずは遺産相続において、弁護士に何を依頼できるのか確認しておきましょう。 ・遺言書の作成サポート・遺言執行・遺産相続に関するトラブルの解決サポート(代理交渉など)・相続放棄・遺留分侵害額請求 たとえば、自分自身が遺言書を残したいと思う場合、弁護士に依頼することで、遺言書の内容決定から具体的な遺言書作成まで、すべてをサポートしてもらえます。遺言書が法的に無効と判断されるリスクもありませんし、遺言書に記した内容に誤解が生じる恐れもないでしょう。相続財産や相続人に関する調査もお任せできるため、自身の手間は最小限に、より確実な遺言書を残せるはずです。 自身が相続人の立場であれば、親族間トラブルの解決や、各種手続きを依頼できます。遺産相続において、誰が何をどう受け継ぐのかなかなか決まらず、揉めごとに発展してしまうケースも少なくありません。弁護士に依頼すれば、法的知識をもとに、遺産分割をスムーズに行えるようサポートしてくれるでしょう。自分自身の代理人として、親族と交渉してもらうことももちろん可能です。 相続放棄や遺留分侵害額請求についても、弁護士に依頼すれば不安なく進めていけます。「初めてで何もわからない…」という場合でも、弁護士に相続を依頼すれば、確実に手続きを済ませられるでしょう。 弁護士報酬の目安と支払う人は? 相続問題を弁護士に依頼する場合に、気になるのが「弁護士報酬はいくらになるのか?」という点です。具体的な報酬金額は、依頼先事務所や依頼内容によっても違ってきます。まずは、弁護士費用の内訳についてチェックしてみましょう。弁護士に支払うお金は、以下のとおりです。 ・相談料(弁護士への相談時に発生する費用)・着手金(弁護士に正式に依頼した段階で支払う費用)・報奨金(依頼内容が完了し、成功した際に支払う費用)・手数料(事務手続きを行う場合に支払う費用)・日当(弁護士が遠方まで出張した際に支払う費用)・実費(役場に支払う手数料や収入印紙代、切手代など。交通費や宿泊費が含まれるケースも) 相談料・着手金・報奨金、それぞれの費用目安は以下のとおりです。 ・相談料 → 30分5,000円程度・着手金 → 20万円~30万円・報奨金 → 依頼人が受けた経済的利益の4~16% 相談料については、「初回無料相談」をうたう弁護士事務所も少なくありません。また報奨金については、「弁護士に依頼することで発生した経済的利益」から支払えば良いので、あらかじめ用意しておく必要はないでしょう。 また、ひと言で「相続」と言っても、依頼内容はさまざまです。弁護士に何を依頼するのかによっても、発生する費用は大きく違ってくるはずです。たとえば遺言書作成を依頼した場合の費用相場は10~20万円、遺言執行の場合は30~100万円程度です。相続放棄を依頼する場合、1人あたり5万~11万円が相場となるでしょう。 「実際に誰がその費用を支払うのか?」という点についてですが、基本的には依頼人本人が支払います。というのも、弁護士とは依頼人のために働くものだから。たとえば、遺産分割をめぐって親族間でトラブルが発生した場合でも、弁護士がいれば依頼人の利益のために動いてくれます。多少コストはかかっても、それ以上のメリットを期待できるケースも多いはずです。 一方で、遺言執行を弁護士に依頼する場合、誰か特定の相続人の味方となって働くわけではありません。この場合は遺産から弁護士報酬を支払い、残った分を分配対象にするのが一般的です。 弁護士費用が払えない場合の対処法3つ 相続を弁護士に依頼するメリットは多いものの、報酬金額は決して低額ではありません。「自分の力だけではどうにもならず、弁護士のサポートが必要だがお金がない…」といった場合には、どうすれば良いのでしょうか。対処法を3つ紹介します。 ★1.無料相談で相談してみる 弁護士費用の支払いに不安を感じている場合、まずは弁護士事務所の無料相談に出かけてみましょう。初回に限り、無料で相談に応じてくれる事務所は決して少なくありません。そこで、なぜ弁護士が必要なのかを説明するとともに、報酬支払いについて不安を抱えている旨を相談してみましょう。 自身が抱えている問題について、専門知識を有する弁護士に相談すれば、弁護士に依頼しなくても解決できる方法をアドバイスしてもらえるかもしれません。この場合、弁護士費用を支払う必要はなくなります。相談の結果、「やはり弁護士の介入が必要」と判断される場合には、ぜひ後払いや分割払いについても相談してみてください。 今はお金がなくても、弁護士の介入によって経済的利益が発生する可能性が高いのであれば、最終的な支払いに問題は生じないでしょう。柔軟に対応してくれる弁護士事務所を探してみるのがおすすめです。 ★2.法テラスを利用する もう一つおすすめなのが、法テラスの民事法律扶助制度を利用する方法です。収入や資産に関する基準をクリアしていて、また「勝訴の見込みがないとは言えない」という条件を満たす必要はあるものの、無料法律相談や弁護士費用の立て替えといった制度を利用できます。 法テラスの無料法律相談を使えば、1つの問題につき3回まで無料で相談可能です。また弁護士費用についても、「いったん法テラスが支払いを行い、その後法テラスに対して分割で支払いをする」という形式を選択できます。 民事法律扶助を利用できるかどうかの条件は、非常に複雑です。法テラスのサイトに掲載された情報や電話相談も活用し、自身が対象に入るかどうか確認してみてください。 遺産相続を弁護士に依頼してスムーズに進めよう 遺産相続を弁護士に依頼してスムーズに進めよう 遺産相続を弁護士に依頼するメリットは多々あります。スムーズに手続きを進めていけますし、早い段階から専門家に入ってもらうことで、親族間トラブルを予防する効果も期待できるでしょう。報酬面で不安がある場合には、弁護士事務所に相談してみたり、法テラスの民事法律扶助を使ったりするのがおすすめです。金銭面での不安を解消し、より良い相続を目指してみてください。

  • 【公正証書遺言による相続】メリット・デメリットや流れを解説

    相続問題を回避するため、「より確かな形で遺言書を残したい」と思う方に人気なのが「公正証書遺言」です。遺言には作成方法によってさまざまなタイプがあり、それぞれで異なるメリット・デメリットを有しています。今回は公正証書遺言のメリットやデメリット、相続時の流れについて解説します。 公正証書遺言とは? 公正証書遺言とは、公正証書によって行う遺言を指します。終活の一環として人気の高い自筆証書遺言の場合、自らが考える遺言の内容は、自分自身の手で書類に残します。一方で公正証書遺言の場合、遺言を残したい人が公証役場へと出向き、公証人に遺言内容を伝えた上で作成されます。つまり、「遺言書の作成そのものは公証人が行う」という点が、非常に大きな特徴と言えるでしょう。 ちなみに、公証人に嘘を伝えて遺言書を作成させると、罪に問われてしまいます。強い法的拘束力を持つ正式な書類だからこそ、安易な気持ちで作成するのはやめてください。 公正証書遺言のメリット5つ 公正証書遺言のメリット5つ では公正証書遺言には、どういったメリットが期待できるのでしょうか?5つのポイントを紹介します。 ★1.遺言書が「法的に無効」と判断される恐れがない 公正証書遺言を残す最大のメリットは、「確実に法的に有効な遺言書を残せる」という点です。「何を当たり前のことを…」と思うかもしれませんが、遺言書の有効性は極めて重要なポイントです。自分一人で手軽に残せる自筆証書遺言の場合、遺言内容に問題はなくても、遺言書の書き方に問題があり、相続手続き開始後に「無効」と判断されてしまうケースは少なくありません。 公正証書遺言であれば、こうしたリスクはないでしょう。公証人は公正証書作成のプロ。安心してお任せできます。より確実な形で、自身の最期の思いを相続人たちに伝えられるはずです。 ★2.遺言書を紛失する可能性がない 公証役場で公正証書遺言を作成した場合、その原本は、原則として20年間、公証役場に保管されます。自分自身で原本を保管する必要がないため、紛失の恐れがありません。 「大切な遺言書を紛失するなんてあり得ない」と思うかもしれませんが、油断は禁物です。自分で記載した遺言書を自宅でそのまま保管する自筆証書遺言の場合、紛失トラブルは比較的多く発生しています。 ・自分でしまっておいた場所を忘れてしまった・遺言書とは気づかれないまま、家族に処分されてしまった・大切に保管していたため、いざ相続手続きがスタートしても発見されなかった・遺言書で不利な内容を残された相続人が、勝手に処分してしまった 公正証書遺言であれば、こうしたリスクをゼロにできます。自分で何か特別な対策を講じなくても、来るべき日がやってくるまで、遺言書は大切に保管されるでしょう。 ★3.遺言内容を偽造されるリスクがない 紛失とともに、注意しなければならないのが偽造についてです。自筆証書遺言を自宅で保管している場合、相続人に勝手に処分されてしまうリスクだけではなく、相続人の手で内容を勝手に書き換えられてしまう可能性も考えておかなくてはいけません。 もちろん遺言書の偽造や変造は、発覚すれば罪に問われる行為です。刑罰が科せられる可能性があるほか、相続人から外されてしまうでしょう。とはいえ、遺言内容によっては「たとえペナルティのリスクがあっても…」と考える方がいるのも事実。元本を公的機関でしっかり保管される公正証書遺言なら安心です。 ★4.遺言書を自筆する必要がない 先ほどもお伝えしたとおり、公正証書遺言の場合、遺言として残したい内容を自分の手で記す必要はありません。こちらも非常に大きなメリットと言えるでしょう。 ・自分の書く文字に自信がない・手が震えてしまってうまく書けない・自分で紙と筆を持って作業するだけの体力や余裕がない このような場合でも、公正証書遺言であれば問題はありません。そうした意味では、「自筆証書遺言よりも作成までのハードルが低い遺言方式」とも言えるでしょう。 ちなみに、病気が原因で公証役場まで出向けない場合には、自宅や病院まで、公証人の方に出向いてもらうこともできます。自身の体に制限があっても公正証書遺言は残せますから、安心してください。 ★5.遺言書の検認が必要ない いざ相続手続きがスタートした際に、発見されたのが自筆証書遺言であった場合、必要になるのが「検認」と呼ばれる手続きです。その内容に問題がないかどうか確かめるためのもので、家庭裁判所にて必要な手続きをとらなければいけません。 公正証書遺言の場合、すでにその有効性が証明されていますから、すぐに相続手続きをスタートできます。 公正証書遺言のデメリット 一方で、公正証書遺言のデメリットは以下のとおりです。 ・遺言作成までに時間がかかる・遺言作成に費用がかかる・遺言書の内容を公証人や証人に知られてしまう 公正証書遺言でデメリットが発生するのは、主に「遺言作成時」です。自宅で気軽に作成できる自筆証書遺言と比較して、時間も手間もかかってしまうでしょう。特に、遺言を残すために必要な「証人2人」をどう確保するのかで悩む方は少なくありません。 とはいえ、遺言を残す側がこうした手間暇を惜しまなかったからこそ、いざ相続がスタートした際に、相続人たちの手間を最小限にできるというわけです。公正証書遺言にはデメリットもありますが、「自分の大切な人のため」と思えば、受け入れられる点も多いのではないでしょうか。 公正証書遺言が残されていた場合の相続の流れ 公正証書遺言が残されていた場合の相続の流れ ではここからは、公正証書遺言が残されていて、いざ相続が発生した場合について解説していきましょう。どのような流れで、相続手続きが進んでいくのでしょうか。 1.遺言書を探す2.謄本を請求する3.遺言書の内容に沿って遺言を執行する 公正証書遺言を残した人が亡くなった場合でも、遺言書が保管されている公証役場から、遺言に関する通知が来るわけではありません。あくまでも遺言は、相続人が自らの手で探し出さなくてはいけません。 自身の死後、遺言書をより確実に発見してもらうためには、 ・事前に家族に遺言書の存在を知らせておく・家族が見てわかる場所に控えを保管しておく といった工夫をすると安心です。 公正証書遺言を残すと、原本は公証役場に保管されますが、正本と謄本は遺言者に交付されます。これらを控えとして使用すると良いでしょう。 相続人は、公証役場に対して遺言書を請求します。公証役場に直接赴いて手続きしても良いですし、郵送も可能です。遺言書が手に入ったら、あとはその内容のとおりに遺言を執行すればOKです。 公正証書遺言のメリットは大きい 公正証書遺言にもデメリットはあるものの、相続手続きがスタートしたあとのことまで考えるなら、メリットは非常に大きいと言えるでしょう。ぜひ検討してみてください。専門家に依頼すれば、公正証書遺言の作成についてもしっかりとサポートしてもらえます。ぜひ相談してみてはいかがでしょうか。

  • 遺産相続でよくあるトラブル…連絡が取れない相続人がいる場合はどうする?

    遺産相続では、相続人が遺産分割協議を行い、誰が何をどの程度相続するのか決定する必要があります。できるだけスムーズに手続きを進めていきたいところですが、中には「相続人のうちの1人とどうしても連絡が取れない!」といったトラブルに巻き込まれてしまう事例も。このような場合には、いったいどう対処すれば良いのでしょうか?具体的な対処法や、知っておきたい基礎知識をまとめます。 遺産相続の基本…特定の相続人を除外した協議は無効 遺産相続の基本…特定の相続人を除外した協議は無効 まずは遺産相続手続きの、基本についておさらいしましょう。遺言書が残されていない場合の遺産相続は、相続人同士の協議によって、相続の内容が決定されます。相続人が全員納得した上で、話を進めていくのが前提です。 相続人になるのは、亡くなった人の配偶者および血族です。配偶者は常に相続人になりますが、血族には優先順位が定められています。優先順位がもっとも高い人のみが、相続人になる仕組みです。第1順位に当てはまるのは、亡くなった人の子どもおよびその代襲相続人です。第1順位に当てはまる人がいない場合は、第2順位である両親等の直系尊属に相続権が移ります。第2順位もいなければ、亡くなった人の兄弟姉妹およびその代襲相続人が第3順位と判断されるでしょう。 たとえば、亡くなった人に子どもや両親がいなかった場合、第3順位にあたる兄弟姉妹に相続権が発生します。しかしその兄弟姉妹もすでに亡くなっている場合、その子どもたち、つまり亡くなった人から見て甥や姪にあたる人物が相続人になる仕組みです。親族間の交流がほとんどなければ、「相続人であっても連絡先がわからない」「どれだけ電話しても出てもらえない」といった事態も、決して珍しくはないでしょう。 さて、相続人のほとんどに連絡がついていて、「あと1人だけ連絡できない」という場合、「その人のみを除いて遺産分割協議を進めてしまおう」と思うケースもあるかもしれません。しかし残念ながら、「連絡が取れない」という理由のみで、遺産分割協議から特定の相続人を除外することは認められていません。協議そのものはできても、残念ながらその結果は「無効」と判断されてしまうでしょう。 ・口座を解約して現金を引き出す・不動産の名義変更をする このような相続手続きは、一切進められなくなってしまいます。 連絡が取れない理由と対処法は? 「遺産相続において、相続人と連絡が取れない」という事実の裏には、さまざまな理由が隠されているでしょう。具体的にどう対処すれば良いのかは、この理由によって違ってきます。3つのパターンと対処法をそれぞれ具体的に解説するので、ぜひ参考にしてみてください。 ★パターン1「相続の発生や、自身が相続人であるという事実を知らない」 被相続人と相続人の関係性によっては、 ・相続人自身が相続発生の事実を知らない・相続人自身に、その自覚がない といったケースも考えられます。相続権を持っているものの、被相続人の存在すら知らず、まったく別の世界で生きる人も少なくありません。この場合、その他の相続人が連絡を取ろうとしたところで、「知らない人が、何かよくわからない話をしている」程度にしか感じられないでしょう。特段に自分の方から行動を起こす必要を感じられず、結果として「無視」になってしまう恐れがあります。 この場合は、まず相手の状況について、丁寧に説明し理解を求める必要があるでしょう。被相続人と相続人との関係性はもちろん、相続手続きを無視した場合のリスクやデメリットについてもしっかりと説明してみてください。 相続人の連絡先がわからない場合、戸籍の附票から住所をたどれます。手紙を出しても反応がない場合は、直接出向いてみるのもおすすめの方法です。 ★パターン2「相続人である事実を知っていてあえて無視している」 2つ目のパターンは、自身が相続人である事実を知っていても、あえて連絡を無視しているケースです。被相続人や、その他の相続人との関係が悪化している場合に、陥りやすいケースと言えるでしょう。 この場合も、まずはなんとか、自分自身で連絡を取ろうと努力するのが第一歩です。電話・郵便・訪問と、あらゆる手段を講じてみてください。もしそれでも駄目なら、家庭裁判所に遺産分割調停を申し立てましょう。 遺産分割調停とは、相続人だけでは遺産分割協議が進まない場合に、家庭裁判所が「調停」という形で介入することを言います。調停を申し立てれば、あえて無視している相続人のもとにも、家庭裁判所から連絡がいきます。もちろん、家裁からの連絡も無視されてしまう恐れもありますが、そうした事実を踏まえた上で遺産分割審判へと移行。裁判官が遺産分割方法を指定することで、遺産相続手続きを進められるようになります。 ★パターン3「行方不明になっている」 相続が発生した事実を知らせようにも、相続人が行方不明になってしまっているケースもあります。先ほどもお伝えしたとおり、戸籍の附票から調査すれば相続人の住所特定は可能。しかし、相続人がその住所にいなかった場合、居場所をたどる方法はありません。 行方不明になっている相続人がいる場合、家庭裁判所にて「不在者財産管理人」を選任してもらいましょう。不在者財産管理人は、行方不明になっている相続人の代理人として、遺産分割協議に参加します。また行方不明になってからすでに7年以上が経過している場合、家庭裁判所から失踪宣告を出してもらう方法もあります。こちらは、すでに亡くなっている可能性が高いと思われる場合に、行方不明者を死亡したものとみなす制度です。失踪宣告が出れば、連絡がつかない相続人を「亡くなったもの」とみなして、相続手続きを進めていけるようになります。 専門家に相談するのもおすすめ 専門家に相談するのもおすすめ 遺産相続において、「相続人の中に連絡が取れない人がいる」というのは、よくあるトラブルのひとつです。住所をたどったり、なんとか連絡を取ろうと努力したり…時間も手間もかかってしまうでしょう。だからこそ、弁護士や司法書士といった専門家に相談し、サポートを依頼するのもおすすめです。 親族間の関係性が悪化している場合や、相続人がそもそも何も知らない場合、第三者である専門家の介入は、決して悪いことではありません。むしろ冷静に、相続手続きを無視するメリット・デメリットについて考えられるのではないでしょうか。ぜひ積極的に検討してみてください。 連絡が取れない場合の流れを知って素早い対処を 相続人の中に連絡が取れない人がいると、手続き全体がストップしてしまいます。さまざまな不利益を被る可能性もあるため、速やかに対処しましょう。なぜ連絡が取れないのか、状況を把握した上で、今回紹介した対処法も実践してみてください。

  • 遺産相続で実際にお金を受け取れるまでの期間は?注意点も解説

    身近な人が亡くなった際に発生するのが「相続」です。何かと不安も多い時期。いつ遺産相続が終了するのか、また実際にお金を受け取れるまでにどの程度の時間がかかるのか、気になっている方も多いのではないでしょうか。今回は、遺産相続で実際にお金を受け取れるまでの期間の目安について解説します。見落としがちな注意点についてもまとめて紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。 実際にお金が手に入るのは遺産相続手続き後 実際にお金が手に入るのは遺産相続手続き後 身近な人が亡くなり、相続が発生したとき、各種遺産を受け取るための手続きを遺産相続手続きと言います。遺産であるお金が相続人の手元に入ってくるのは、基本的に遺産相続手続きをすべて終えたあととなるでしょう。では遺産相続手続きは、どのように進められていくのでしょうか。基本的な流れは以下のとおりです。 1.相続人の調査と確定2.相続財産の調査と確定3.遺産分割協議と遺産分割協議書の作成4.協議書をもとにした、遺産分割にかかわる各種手続き 遺産を相続するためには、誰が何をどの程度受け継ぐのかを決定しなければいけません。法定相続人が一人とは限りませんし、被相続人のみだけが知る相続人が存在している可能性も。誰に遺産を相続する権利があるのか、被相続人の戸籍をたどって調査する必要があります。また相続する遺産についても、調査が必要です。被相続人がどういった財産を保有していて、何が相続対象に含まれるのか、こちらも幅広い調査が求められるでしょう。 こうして得られた情報をもとに、相続人同士が「誰が何をどの程度相続するのか?」を決定するのが遺産分割協議です。協議が難航すれば、その分手続きにかかる期間は長くなってしまうでしょう。全員が合意に至ったら、その内容を協議書にまとめます。 ここまで来たら、相続手続きはあと一歩です。協議書をもとに、具体的な手続きを進めていきましょう。被相続人の口座の解約やお金の分配、不動産の相続登記といった手続きが挙げられます。お金が入るのは、このあとのタイミングです。具体的な時期が気になるのも当然ですが、相続人や相続財産の調査、そして遺産分割協議がどの程度スムーズに運ぶのかによって、お金が入る時期も大きく変わってくるでしょう。 相続人や相続財産がシンプルな場合、相続発生後1~2ヶ月で実際にお金を手にできる可能性もあります。一方で遺産分割協議が難航し調停や裁判にまで発展してしまった場合、実際にお金が手に入るまで1年以上の時間がかかってしまう恐れもあるのです。 お金が手に入るまでの期間が比較的短いケースとは? 遺産相続がスタートしてから実際にお金が手に入るまでの時間は、それぞれのケースで異なるもの。比較的短期間で済むのは、「法的に有効な遺言書が残されているケース」です。 遺言書とは、故人が生前に「誰に何をどれだけ受け継いでもらいたいか」という意思を記した書類のこと。相続が発生した際に、法的に有効と認められる遺言書が残されていれば、そこに記された内容に沿って、相続手続きを進めていく流れになります。 遺言書を作成する段階で、相続人や遺産に関する調査はすでに終了しています。また遺言書があれば、わざわざ遺産分割協議を行う必要もありません。遺言書が公開されれば、その後の手続きを一気に進められるため、時間短縮にもつながるでしょう。 ただし残されていた遺言書が「自筆証書遺言」である場合、内容を確認する前に検認の手続きをする必要があります。自筆証書遺言とは、自宅にて一人で作成できる遺言形式のこと。検認は、遺言書の存在を相続人に知らせ、書類の偽造や変造を予防するための手続きです。自宅から自筆証書遺言が発見されたら、まずは家庭裁判所に申し立てを行いましょう。検認手続きを経て、ようやく遺言の中身を確認できるようになります。 検認手続きにかかる期間は、申し立てから約1ヶ月です。残念ながらこの期間は、相続手続きを進められません。 ちなみに、残されていた遺言書が自筆証書遺言であっても、自宅ではなく法務局で保管されていた場合、検認手続きは不要となります。きちんとした場所で保管されていて、偽造や変造の恐れがないとわかっているためです。この場合は、自筆証書遺言であっても、スムーズに相続手続きを進めていけるでしょう。 手続きを終えたあと、実際に振り込まれるまでの期間と注意点 遺産分割協議を終え、遺産相続の具体的な手続きがスタートした際に、具体的にお金が振り込まれる時期は、金融機関によって異なります。早いところでは、手続きのあと、最短即日で振り込んでもらえるでしょう。手続きに時間がかかる場合でも、1ヶ月程度見ておけば大丈夫です。 「葬儀費用を賄うため」など、遺産相続手続きが終了するまで待っていられない場合には、「口座凍結前にATMにて預貯金を事前に引き出しておく」という方法があります。ただしこの場合、「遺産に勝手に手をつけた」と思われないよう、万全の準備を整えておく必要があるでしょう。具体的にいくら引き出し、葬儀にいくらかかったのか、あとから見てすぐにわかるようにしておいてください。 「葬儀費用のため」といった理由もなく「ただ単純に自分のために使ってしまった」という場合、そのお金に手をつけたことを理由に、「相続を単純承認した」とみなされてしまいます。遺産調査の結果マイナスの資産が発覚した場合でも、いったん単純承認した遺産の受け取りを拒否することはできません。負債もすべて受け入れなければならなくなるため、十分に注意しましょう。 「遺産相続手続きが長引いているため、先に現金を引き出したい」という場合には、金融機関に仮払いを請求するのがおすすめです。払い戻し可能額に一定の制限はあるものの、金融機関の窓口で直接手続きすれば、遺産のお金を引き出せるでしょう。何らかの事情で「実際に振り込まれるまでの期間が待てない…」という場合には、ぜひこちらの制度もチェックしてみてください。 遺産相続で実際にお金を受け取れるまでの時間で不安を感じたら 遺産相続で実際にお金を受け取れるまでの時間で不安を感じたら 遺産相続で実際にお金を受け取れるまでの期間について、不安を感じてしまうケースは決して少なくありません。実際にお金を手にできるのは、相続手続きが完了したあと。つまり、少しでも早くお金を手にするためには、相続手続きそのものをスムーズに進めていく必要があるのです。 遺言書が残されていない場合、相続人や相続財産の調査からスタートする必要があり、手間も時間もかかってしまうでしょう。相続問題に強い専門家を頼ることで、手続きをスムーズに進めやすくなるはずです。まずは一度、相談してみてはいかがでしょうか。

  • 遺産相続をサポートしてくれる専門家を探そう!行政書士に依頼するメリット・注意点

    遺産相続の手続きを滞りなく進めるため、また余計なトラブルを回避するためには、専門家にサポートを依頼するのがおすすめです。とはいえ、具体的に誰に何をお願いすれば良いのか、悩んでしまう方も多いのではないでしょうか。今回は、遺産相続をサポートしてくれる専門家として「行政書士」を紹介します。行政書士とはどのような専門家で、具体的に何をどうサポートしてくれるのでしょうか。行政書士に遺産相続の合サポートを依頼する場合のメリットや注意点を解説します。 行政書士とは? 行政書士とは、各種書類の作成をサポートしてくれる専門家です。官公庁に提出するために必要な書類や、権利や義務に関する書類、事実を公的に証明するための書類など…私たちの身の回りには、作成方法に困る書類が少なくありません。作成方法を間違えれば、手続きそのものが滞ってしまう恐れもあるでしょう。こうした場面で、専門知識をもとに作成サポートしてくれるのが行政書士なのです。 遺産相続に関連する書類としては、遺言書や相続関係説明図、遺産分割協議書などが挙げられます。これらの書類の作成については、ぜひ行政書士に相談してみてください。 遺産相続に関する相談を行政書士にするメリットとは? 遺産相続に関する相談を行政書士にするメリットとは? 遺産や相続に関連する内容を行政書士に相談するメリットは、以下のとおりです。 ★各種手続きの事前準備からお願いできる 遺言作成においても、遺産相続手続きにおいても、物事を適切な形で進めていくためには、さまざまな事前準備が必要となります。たとえば法的に有効な形で遺言を残そうとした場合、相続人の特定や相続財産の調査といった作業が必須に。作業結果を遺言内容に反映させる必要があるでしょう。行政書士にサポートを依頼すれば、この特定・調査の段階から、面倒な作業を代行してもらえます。 またいざ相続が発生した際にも、相続人や遺産に関する調査は必須です。それ以外にも、役所での戸籍謄本の収集や各金融機関での残高証明の取得など、さまざまな手続きが必要になります。これらの手続きを行政書士に代行してもらえれば、「平日昼間は仕事で忙しい」という方でも、安心して相続を進めていけるでしょう。手間を省き、相続や遺言に関する手続きが楽になります。 ★正確で間違いのない遺言を残せる 終活ブームの今、将来のために遺言を残す方は決して少なくありません。しかし実際には、「遺言書に法的な有効性が認められず、相続手続きには反映されなかった」という事例も多く見られます。 行政書士に遺言書作成サポートを依頼した場合、正しい形式で遺言を残せているかどうか、形式についてアドバイスをもらえます。せっかく書いた遺言書が「法的に無効」と判断されてしまうリスクを、少なくできるでしょう。 ただし遺言に含まれる「法律」の部分は、行政書士では専門外の業務となります。遺言の内容について法的なアドバイスを求めたり、内容について相談したりするのは難しいでしょう。「遺言に書きたい内容はすでに決まっていて、あとはそれを正しい形で書類として残したいだけ」という場合におすすめの相談先です。 ★弁護士と比較すると相談しやすい 遺産相続や遺言に関する相談を受け付けてくれる専門家は、行政書士だけではありません。「弁護士の方が先に頭に浮かんでくる」という方も多いのではないでしょうか。遺産相続や遺言について行政書士に依頼した場合、弁護士よりも報酬金額が安くなります。金銭面でのメリットを感じやすいでしょう。 また行政書士の数は弁護士よりもずっと多いため、身近な場所で相談しやすいという特徴があります。わざわざ遠くまで出向かなくても、地域内で相談先を見つけられるでしょう。遺言や相続に関する各種サポートには、きめ細やかな対応が必要です。身近な場所で相談できる行政書士であれば、何でも気軽に話しやすいのではないでしょうか。 行政書士に依頼する場合の注意点は? 行政書士に依頼する場合の注意点は? 行政書士は、遺産相続や遺言について、相談に乗ってくれる相手です。しかし残念ながら、どのような相談内容にも対応できるというわけではありません。行政書士に依頼するなら、「何に対応できて何ができないのか?」を正しく把握しておくことが大切です。 先ほどもお伝えしたとおり、行政書士は「書類」の専門家ではありますが、「法律相談」に関しては専門外です。遺言や相続、遺産の「法律面」で何か困った事態が発生したときには、弁護士事務所を頼るようにしましょう。 また行政書士は、すでに相続問題で争いが生じている案件を扱うことはできません。親族間でなんらかのトラブルが発生している場合に、代理人として各種交渉に応じたり、裁判を担当したりできるのは弁護士だけです。行政書士にサポートを依頼していて、手続きの過程で何らかのトラブルが生じてしまった場合、あらためて弁護士に相談する必要があるでしょう。トラブルが発生する可能性があると思われる場合には、最初から弁護士に相談しておくのもおすすめです。 もう一点頭に入れておきたいのが、不動産相続に関する注意点です。遺産の中に、土地や建物といった不動産が含まれるケースは少なくありません。この場合、不動産の名義変更(相続登記)の手続きが必要になります。行政書士は、この相続登記の申請を代理で行う権利を有していません。相続登記の代理申請を行えるのは、司法書士もしくは弁護士のみです。 相続放棄について検討している場合も、司法書士もしくは弁護士に相談した方が良いでしょう。相続放棄に関する手続きを依頼できるのも、司法書士もしくは弁護士のみです。相談についても同様なので、依頼先を間違えないようにしてください。相続放棄の手続きができる期間は限られています。時間を無駄にしないよう、注意しましょう。 行政書士はトラブルがない遺産相続の強い味方 遺産相続手続きにおいて、行政書士が対応できる分野は限られています。とはいえその分、身近な場所で相談でき、また手ごろな価格で問題を解決しやすいというメリットも期待できるでしょう。たとえば、 ・相続人が限られている・遺産相続の形がシンプルである・相続問題で揉め事が起きる可能性が低い といった場合には、行政書士のサポートで十分と考えられます。 遺産や相続について行政書士に依頼する場合には、話しやすくフットワークの軽い事務所を選択するのがおすすめです。面倒な書類作成やそのための調査にすぐに着手してもらえれば、遺産相続手続きそのものを、スムーズに進めやすくなるでしょう。メリット・デメリット・注意点等をしっかりと把握した上で、相談先選びの参考にしてみてくださいね。

  • 死亡共済金は相続対象に含まれる?相続対策を考える上での注意点も解説

    自分に万が一のことがあったときのため、共済に入っている方も多いのではないでしょうか。遺族の手元に入るお金は、今後の生活の支えになってくれるでしょう。とはいえ、より多くのお金を家族のために残したいなら、「相続」についての注意点も知っておくことが大切です。死亡共済金の扱いや、相続対策を考える上で知っておきたい注意点について解説します。ぜひ参考にしてみてください。 死亡共済金は相続対象に含まれない 死亡共済金は相続対象に含まれない まず頭に入れておきたいのが、「死亡共済金は相続対象に含まれない」という事実です。死亡共済金受取人の順位は、共済の規約によって定められています。また契約者が、事前に受取人を指定しているケースもあるでしょう。死亡共済金を受け取る権利は、受取人に固有の権利として判断されます。 身近な人が亡くなった際に、財産は相続人に受け継がれます。預貯金や不動産など、ありとあらゆる財産が相続対象に含まれるでしょう。しかし死亡とともに発生した死亡共済金は、これらの相続財産に含まれません。相続手続きは、死亡共済金を除いて進められていきます。 一般的な相続の考え方として、父親が亡くなり、その配偶者と子ども3人が相続人になる場合を例にあげましょう。この場合、父親が残した3,000万円の財産を法定相続分に沿って分配する場合、配偶者が1,500万円、3人の子どもがそれぞれ500万円ずつ受け取る計算になります。 では、この父親が生命共済に加入していて、1,000万円の死亡共済金を配偶者が受け取る場合について考えてみましょう。配偶者は1,500万円の遺産に加えて、死亡共済金1,000万もそのまま受け取る計算になります。子ども3人が、「自分たちにも受け取る権利がある」と主張することはできません。 「みなし相続財産」として相続税が課税される場合がある 上で解説したとおり、死亡共済金は相続財産には含まれませんが、税制上の公正を期すため、「みなし相続財産」として判断されます。 つまり、「一般の相続財産のように分配する必要はないが、相続税の対象にはなる」ということ。死亡共済金や相続財産には、その性質を考慮して、十分な非課税枠が用意されています。しかし相続する財産が一定ラインを越えると、相続税が発生する可能性もあるのです。 死亡共済金の非課税枠は、「500万円×法定相続人の数」という計算式で求められます。先ほどの家族を例にあげると、相続人の数は「配偶者+子ども3人」の合計4人。2,000万円までの死亡共済金であれば、相続税を課税されずに受け取れるでしょう。 仮に死亡共済金が2,500万円の場合、500万円分は非課税枠に入りきりません。この場合、入りきらない分をその他の相続財産と合わせて、相続税の金額が決定される仕組みです。 ただし死亡共済金以外の相続財産についても、「基礎控除額」が定められており、この範囲内であればやはり相続税は課税されません。相続税の基礎控除額は、「基礎控除額=3,000万円+600万円×法定相続人の数」という数式で求められます。再度先ほどの例で考えるなら、相続税の基礎控除額は5,400万円です。仮に死亡共済金の非課税枠に入りきらない分が出たとしても、その他の相続財産と合わせて5,400万円までであれば、相続税は発生しません。 一方で、その他の財産と合わせて5,400万円を超えてしまうのであれば、死亡共済金であっても相続税が発生します。非課税枠に入りきらなかった500万円分については、きちんと税金を納める必要があるので注意しましょう。 共済保険で相続対策する場合の3つの注意点 平成27年より、相続税に関する制度が改正され、基礎控除枠が減額されました。これにより、「ごく一般的な家庭」であっても相続税が課税されるケースも増えてきています。以前は「相続対策=お金持ちがするもの」というイメージもありましたが、現在はそういうわけでもありません。より多くの人にとって、持続対策が重要な意味を持つようになってきています。 こうした状況の中で、共済保険も具体的な相続対策の一つとして注目されるように。この場合、以下の3つのポイントに注意してみてください。 ★共済の自由度は低い 相続対策で共済保険の活用を考える場合、その自由度の低さについて、あらかじめ頭に入れておきましょう。 一般的な生命保険の場合、死亡時の保障をいくら用意するのかは、比較的自由に設定できます。10万円単位で指定できるような保険商品も、決して少なくありません。一方で共済の場合は、200万円・500万円・1,000万円などあらかじめ金額が決められたコースの中から、選んで加入するスタイルが一般的です。自身のニーズに合わせて変更するのは難しいでしょう。 ★受取金額も低め 先ほどもお伝えしたとおり、死亡共済金や死亡保険金には、手厚い非課税枠が用意されています。まず、死亡共済金独自の非課税枠を計算し、さらにそこに含まれない分についても、相続税の基礎控除枠を活用できる仕組みです。相続対策を考えるなら、この非課税枠や控除額を、できるだけ無駄なく使い切ることが重要だと言えるでしょう。 共済の場合、死亡時に受け取れる金額は比較的低めに設定されています。相続対策として検討するなら、より高額な保険金を受け取れる、生命保険を検討するのがおすすめです。 死亡共済金や死亡保険金の非課税枠は、法定相続人の数によって違ってきます。法定相続人の数が少ない場合は共済でも十分ですが、法定相続人の数が多く、非課税枠も多い場合には、より充実した生命保険を検討すると良いでしょう。 ★契約者と受取人の関係によって税金は変わる! 先ほど、「死亡共済金にも相続税が発生するケースがある」とお伝えしましたが、契約時の各種条件によっては、相続税ではなく所得税や贈与税の対象になる可能性もあります。 契約者自身が死亡共済金を受け取る場合、発生する税金は所得税です。夫が妻を被共済者として契約を結び、夫を死亡共済金の受取人に設定した場合がこちらにあたります。契約者と被共済者、そして受取人がそれぞれ別の人の場合(夫が妻を被共済者として契約を結び、死亡共済金を子どもが受け取る場合など)には、贈与税が発生します。 契約時には、これらの注意点についてもしっかりと頭に入れておきましょう。 共済に加入するなら相続も見据えて検討を 共済に加入するなら相続も見据えて検討を 将来のために、共済への加入を検討する方も多いのではないでしょうか。将来の相続についても見据えて決断することで、余計なトラブルを避けられるでしょう。誰が受取人になるのか、また相続時にどういったトラブルが発生する可能性があるのか、事前に検討した上で検討するのがおすすめですよ。

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