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  • 独身者必見!遺産準備と終活について考えてみよう

    独身者必見!遺産準備と終活について考えてみよう

    はじめに あなたは今、この瞬間生きていてこれからの人生を自分の手で創り出すことができます。しかし、人生はいつ何が起こるかわからないもの。そのため、生きている今だからこそ、自分が残す遺産について考え、計画することは大切です。 独身者と遺産について 独身者として生きていると、遺産について考えることは少ないかもしれません。しかし、人生のどこかで「自分の財産はどうなるのだろう?」と考えたことはありませんか? もし自分がいなくなった後、財産はどうなるのでしょうか? 誰がそれを引き継ぐのでしょうか? 遺産準備の大切さ 遺産準備は自分がいなくなった後の世界を自分の手でデザインすることです。自分の持つ財産を大切な人に引き継いだり、思い入れのある団体に寄付することで、自分の人生が終わった後も価値を持ち続けることができます。 遺産準備のステップ 遺産準備のステップ では、遺産準備はどのように始めれば良いのでしょうか?以下に、具体的なステップをご紹介します。 1. 自分が持つ財産を確認しよう まずは、自分が何を持っているのか確認することから始めましょう。これには銀行口座、不動産、株式、生命保険など、全ての財産が含まれます。 2. 遺産を受け継ぐ人を決めよう 次に、自分の財産を誰に引き継ぐか決めます。これは、親族、友人、またはあなたが価値を見出す慈善団体など、あなた自身が適切だと思う人や団体を選びます。 3. 遺言書を作成しよう 遺言書を作成することで、自分の意志が明確に伝わり、遺産の分配がスムーズに行われます。また、遺言書に は、財産の分配だけでなく、あなたが飼っているペットの世話や、デジタルアセットの扱いについても記述することができます。 4. 相続税を計画しよう 相続税の計画も遺産準備の一部です。専門家と相談して、相続税を最小限に抑える計画を立てましょう。 5. 生前贈与を考えよう 生前贈与を通じて、あなたが生きている間に財産を移転することも選択肢の一つです。これにより、相続税を節約することができますし、大切な人との絆を深めることも可能です。 終活も忘れずに 終活も忘れずに 遺産の準備と同時に、終活についても考えてみましょう。終活とは、自分の人生の終わりに備える活動のことです。具体的には、葬儀の計画や医療の意志、生命維持治療の選択などが含まれます。 1. 葬儀を計画しよう 葬儀の形式や費用をあらかじめ計画することで、自分がいなくなったときの混乱や、残された人々の負担を軽減することができます。 2. 医療の意志を明確にしよう 自分が重病になった際の医療の意志を明確にすることも重要です。例えば、延命治療を希望するかどうかなど、自分の意志を明確に伝えることができます。 3. 生命維持治療について決定しよう 自分が望む生命維持治療の形を事前に決め、それを書面に残しておくことも大切です。 まとめ 遺産の準備と終活は、自分の人生の最後を自分らしく終えるための重要な作業です。独身者であっても、適切な計画により、自分の意志をしっかりと伝え、遺産をスムーズに引き継ぐことができます。遺産の準備と終活を通じて、自分の人生を最後まで自分の手でコントロールし、残された人々に感謝の気持ちを伝えることができます。 一見、遺産の準備や終活は複雑で難しいように思えますが、一歩一歩進めていくことで、心の平穏と安心感を得ることができます。自分が築き上げた財産を大切に扱い、そして自分らしい人生の終わり方を選べるのです。 最後に、遺産の準備や終活は専門家の助けを借りることも大切です。法律家、税務専門家、医療専門家など、各分野の専門家に相談することで、最善の計画を立てることができます。 自分の人生、そしてそれを継承する遺産を大切にしましょう。遺産の準備と終活を通じて、自分の意志をしっかりと形にし、未来を安心して迎えることができます。

  • 遺産に関する資料はどう収集すれば良いの?開示してもらえない場合の対処法も

    遺産に関する資料はどう収集すれば良いの?開示してもらえない場合の対処法も

    遺産相続手続きを適切に進めていくために、欠かせないのが情報収集です。遺産にまつわるさまざまな資料を集め、遺産分割協議を行い、実際に手続きを行っていく必要があるでしょう。 とはいえ、初めて資料を収集する際には、具体的に何をどうすれば良いのか戸惑う方も多いのではないでしょうか。遺産に関する資料を開示してもらえない場合の対処法も解説します。 遺産に関する情報収集は「自分で」が基本 被相続人が亡くなった際に、相続財産に関する資料収集は、相続人が自分自身で行わなければいけません。被相続人が亡くなったからといって、自動で情報が公開されるわけではありません。相続人が情報開示を求め、初めて公開されるものと心得ておきましょう。 一般的には、被相続人の生前の記録から各種資料を収集していきます。家族であれば、「どの銀行に口座を保有していたのか?」「どこに不動産を持っていたのか?」など、ある程度の情報は把握できているでしょう。本人がエンディングノートに情報をまとめてくれていれば、その内容をもとに、遺産情報を確定させていくことになります。 とはいえ、すべての財産を漏れなく見つけ出すことは決して簡単ではありません。たとえエンディングノートに記載されていても、本人でさえ忘れている財産が存在しているかもしれないからです。考えられる相続財産は、ひとつひとつ、コツコツと確認していきましょう。 不動産に関する情報は、「権利証」または「登記識別情報」にて確認できます。固定資産税の納税通知書や法務局で取得できる登記簿謄本でもチェックできるでしょう。預貯金は、口座を開設している銀行に対して、情報開示請求することで財産情報を取得できます。故人の持ち物から通帳やキャッシュカードが見つかれば、その情報をもとに手続きを進めていってください。これらの資料が見つからない場合は、金融機関からの手紙やはがき、カレンダーや記念品といったアイテムが残されていないかどうか確認しましょう。どの銀行に口座を開設していたのか、突き止めるためのヒントになります。 また、近年増えているのが、インターネットバンキングや、オンライン証券会社に残された相続財産が見逃されてしまうケースです。被相続人が普段からパソコンやスマートフォン、インターネットを活用していた場合、該当サービスを利用している可能性も十分にあります。被相続人が使用していた端末にアクセス履歴が残っているかもしれませんから、こちらも忘れずにチェックしてみてください。ログイン情報や取引状況を別途資料として保管しているケースもありますから、家の中を探してみましょう。 故意に隠されてしまうケースもある 相続発生後に注意しなければならないのは、「相続人の中で、遺産に関する資料が故意に隠されてしまう可能性がある」という事実です。見つかった遺産は、遺産分割協議の末に、相続人同士が納得して分配されます。見つからなかった財産はそもそも協議の対象にならず、その存在を知っている人だけが独り占めしてしまうリスクがあるのです。 以下のようなケースでは、「故意に情報を開示していない」可能性も考えられます。特に慎重に行動してみてください。 ・開示された遺産が、不自然なほど少ない・被相続人から話を聞いていた財産が見当たらない・被相続人の口座から、勝手に預金が引き出されている 隠されている情報を開示してもらうためには、まずは相続人同士で話し合うのが一番です。なぜ相続財産に関する情報が隠されていると思うのか、理由を伝えて相手の出方をうかがいましょう。相手の話に納得できなかった場合は、あらためて遺産に関する資料を自分の手で収集していきます。「怪しい」と思う口座や不動産情報など、丁寧に確認していきましょう。相続問題に強い弁護士に相談するのもおすすめの方法です。 「裁判所に訴えればなんとかしてもらえる」は間違い 「裁判所に訴えればなんとかしてもらえる」は間違い 相続人のうちの一人が、故意に財産隠しを行っていた場合、その他の相続人は不利益を被ります。相続トラブルとなり、訴訟にまで発展してしまうケースも珍しくはありません。とはいえ、たとえ裁判にまで持ち込んだとしても、財産隠しに関する状況が有利になるとは限らないため注意が必要です。 遺産隠しトラブルで裁判所に訴えた場合、「裁判所が遺産に関する資料を集めてくれる」「資料を隠している相続人に開示するよう命令してくれる」と考えている方も多いかもしれません。しかし残念ながら、こうした対応は行われていないのです。裁判所が扱っているのは、あくまでも「開示されている相続財産」に関する話し合いのみ。裁判を起こしたとしても、財産調査は自分自身で行うのが基本です。 調査力に不安がある場合や、自分自身で対応できない場合には、専門家への依頼を検討してみてください。財産調査サービスを提供している士業事務所であれば、プロの視点で調査をサポートしてくれるでしょう。 資料を開示してもらうために必要なのは? 銀行や証券会社等で財産に関する資料を開示してもらうためには、手続きする人が相続人であることを証明できる書類が必要です。事前に銀行側に問い合わせた上で、戸籍謄本など必要書類を準備しましょう。 被相続人がすでに亡くなっていることや、相続人である事実が確認できれば、手続きそのものは決して難しくはありません。残高証明書の発行、取引履歴の開示や貸し金庫の契約状況の確認など、遺産相続に必要となる資料を提供してもらえます。 こうした作業を、思いつく限りの銀行で行っていきましょう。口座を保有していたかどうかわからないときには、「名寄せ」を依頼して口座の有無を確認できます。財産隠しが疑われる場合も、そうではない場合も、郵貯銀行や都市銀行、最寄りの地方銀行・信用金庫ぐらいは、確認しておくことをおすすめします。 遺産に関する資料は基本的には自力で収集しよう 遺産に関する資料は基本的には自力で収集しよう 遺産に関する資料は、基本的に相続人が自力で収集しなければいけません。被相続人が必要な情報をまとめてくれていれば良いのですが、そうとは限らないでしょう。各種口座や不動産など、生前のやりとりや故人周辺の情報から、コツコツと調査を進めていきましょう。 相続人同士で協力して調査を進められれば良いのですが、残念ながら、一部の相続人が情報の開示を拒む可能性も。この場合でも、基本的には自力で調査しなければいけません。必要に応じて弁護士等に相談し、できるだけスムーズに各種資料を収集できるように工夫してみてください。弁護士についてもらえば、財産隠しが発覚したあとの手続きもサポートしてもらえるでしょう。

  • 遺産相続をもっと楽に!「法定相続情報証明制度」を紹介

    遺産相続をもっと楽に!「法定相続情報証明制度」を紹介

    遺産相続の手続きを進めていくうえで、「書類の提出が大変」と悩む方は少なくありません。相続手続きの負担を軽減するためには、ぜひ「法定相続情報証明制度」を活用してみてください。 具体的にどういった制度でどのような場面で使えるのか、わかりやすく解説します。制度を利用する場合のデメリットも紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。 法定相続情報証明制度とは? 法定相続情報証明制度とは? 法定相続情報証明制度は、2017年からスタートした新しい制度です。これまでは、各種相続手続きを行うたびに、⼾籍謄本の束を提出する必要がありました。亡くなった人の出生から死亡までの戸籍謄本となると、大量になってしまうケースも少なくありません。相続人と手続きをする部署、双方の負担を削減するために、「法定相続情報⼀覧図の写し」が交付されるようになったのです。 戸籍謄本等と相続関係の一覧図を法務局に提出すると、それをもとに登記官が一覧図に認証文を付した写しを交付してくれます。これまで「戸籍謄本の束」を持ち歩かなくてはならなかったのが、一覧図の写しのみで事足りるように。また法定相続情報証明は必要に応じて何枚でも交付してもらえるため、複数の手続きを同時に進めていくことも可能です。 これまでは「銀行Aで手続きをしたのちに、書類の返却を待って銀行Bの手続きに進む」といった手順が必要でした。法定相続情報証明制度を利用すれば、不動産の相続登記や銀行口座の解約、相続税の申告など、さまざまな相続手続きをスムーズに進めていけるでしょう。このほかにも、保険金の請求や保険の名義変更手続き、有価証券や自動車関連の名義手続きにも利用できる可能性があります。 相続財産に複数の不動産が含まれている場合や、財産の種類が多い場合でも、相続人の手間は最小限にできます。現役世代の方が相続人として各種手続きを進めていく場合、「銀行に行くために何度も仕事を休まなくてはならない」といった事態にもなりかねません。法定相続情報証明制度を使って複数の手続きを一度に進めれば、仕事を休んで動く時間も最小限にできるのではないでしょうか。 法定相続情報証明制度の利用方法は? では法定相続情報証明制度は、どのように利用すれば良いのでしょうか。具体的な手順は、以下を参考にしてみてください。 制度を利用するためには、まず市役所などで以下の書類を収集します。 ・被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本・住民票(除票)の写し・相続人の戸籍謄本・住民票の写し・法定相続情報一覧図の保管の申出書 相続人と被相続人の情報をもとに、法定相続情報一覧図を作成。申出書には、申出人の住所・氏名・連絡先のほか、被相続人との続柄や利用目的、必要な通数といった情報を記載します。申し出の日付も忘れずに記入しておきましょう。 必要な書類を準備したら、法務局で手続きします。以下のいずれかの条件を満たしている法務局で、手続きしてください。 ・被相続人の本籍地を管轄する法務局・被相続人の最後の住所地を管轄する法務局・申出人の住所地を管轄する法務局・被相続人名義の不動産の所在地を管轄する法務局 基本的には、被相続人もしくは申出人に関連する法務局ですから、間違わないようにしましょう。法務局に提出した書類は、登記官が確認したうえで返却されます。内容に誤りがないことが確認されたら、法定相続情報証明が交付されます。 法定相続情報証明交付の申し出は、法定相続人もしくは代理人が行います。自分で手続きしたり、必要書類を作成したりする余裕がない場合は専門家に依頼することも可能。 弁護⼠や司法書⼠、税理士や行政書士のほか、⼟地家屋調査⼠や社会保険労務⼠、弁理士などに依頼できる可能性があるので、ぜひ身近な場所で探してみてください。戸籍謄本等の取得から書類提出までワンストップで対応してくれる専門家に依頼すれば、ほとんど手間もかからないでしょう。 法定相続情報証明制度のデメリットとは? 法定相続情報証明制度のデメリットとは? 遺産相続の手間を省くためにスタートした法定相続情報証明制度。積極的に活用したいところですが、実際にはデメリットもあります。利用を検討する場合は、ぜひこちらもチェックしてみてください。 ★ 法定相続情報一覧図を作成しなければならない 法定相続情報証明制度を利用するためには、申し出時に法定相続情報一覧図を作成しなければいけません。こちらは基本的に、申出人が自分で作成するもの。決まったルールに則って、正確に作成するよう求められます。それなりの手間がかかってしまうでしょう。 専門家に依頼すれば一覧図作成もお任せできますが、専門家報酬が発生します。手間やコストが増えてしまう点が、一つ目のデメリットだと言えます。 ★実際に相続手続きをスタートできるまでに時間がかかる 法定相続情報証明の写しは、申し出後にその場ですぐに発行されるわけではありません。申し出から1~2週間後に受け取ることになるでしょう。 必要書類を受け取ることさえできれば、その後の相続手続きはスムーズに進めていけます。一方で、手続きをスタートできるまでに相応の時間がかかるという点もデメリットです。 ★「手続き不可」と判断されるケースもある 遺産相続の手続きは、多岐にわたります。法定相続情報証明書の発行を受けても、手続きのすべてで利用できるとは限らないでしょう。手続き場所によっては、やはり従来通りの手続きを求められる可能性も。苦労して一覧図を作成して証明書を受け取ったとしても、二度手間になってしまうかもしれません。 法定相続情報証明制度は、相続手続きの数が多い人ほどメリットが大きい制度と言えます。利用料は無料ですし、誰でも手軽に利用できるとはいえ、「自分にとってはメリットとデメリットのどちらが大きいのか?」を冷静に判断する必要があるでしょう。行わなければならない手続きの数が限られている場合、「あえて利用しない」と考えるのも賢い選択です。手続き数が3~4つを超える場合は、十分なメリットを期待できるでしょう。 遺産相続では法定相続情報証明制度の活用も視野に 子育てがひと段落した時期は、自身の終活について考え始める時期。またそれとともに、自分自身が「相続人」の立場で動く場面も増えてくる時期でもあります。相続手続きを少しでも楽にするため、法定相続情報証明制度の活用も視野に入れてみてください。 「制度を利用するべきかどうかさえ悩む…」という場合には、その点も含めて、一度専門家に相談してみるのもおすすめです。今後行うべき手続きの内容についても、第三者の視点で明確なアドバイスをもらえるのではないでしょうか。

  • 遺産相続のトラブルを回避しよう!受取人同士で揉めるポイントを解説

    遺産相続のトラブルを回避しよう!受取人同士で揉めるポイントを解説

    遺産相続には、トラブルも付き物です。ほとんどの人は「できれば円満に手続きを終えたい…」と思っているでしょうが、遺産の受取人同士ですれ違いが生じてしまうケースも決して少なくありません。 遺産相続のトラブルを回避するためには、受取人同士が揉めるポイントを知り、あらかじめ準備を進めておくのがおすすめです。特に揉めやすいポイントと、「争族」を避けるためのコツを3つ紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。 生命保険金 生命保険金 被保険者が亡くなった際に、まとまったお金を受け取れる生命保険。保険金は、契約時に指定した受取人に支払われます。一般的には、配偶者や子どもを指定するケースが多いでしょう。残された家族の生活を支えてくれるお金ですが、保険金をきっかけにトラブルに発展してしまう事例も少なくありません。 生命保険金は、相続財産とは別で扱われます。指定された受取人以外に支払われることはありませんし、またその権利の主張もできません。「生命保険金以外に残された財産がほとんどない」という場合でも、生命保険金の分配は行われないのです。生命保険の受取人は多額の保険金を受け取れても、そのほかの相続人の手元にほとんど財産は渡らないでしょう。 また仮に、相続財産がある程度残っていた場合でも、「生命保険金の受取」と「相続財産の分配」は別物として考えられます。生命保険金を受け取っている人は、それにプラスして相続財産も受け継げるのです。生命保険金の額によっては、相続人の間に不公平感が生まれやすく、トラブルの原因になってしまいます。 生命保険をきっかけに相続トラブルを引き起こさないためには、相続人同士が納得できる環境を作ることが大切です。生命保険金の受取人がなぜその人に指定されているのか、理由がわかるだけでも納得できる人は多いのではないでしょうか。また遺産分割で受取人以外が多めに財産を受け取れるように調整するのも効果的です。「トラブルになってほしくない」という被相続人の思いを伝えやすくなります。 生命保険金の受取人に対する思いや、遺産分割割合の詳細については、遺言書を残すことで相続人へと伝えられます。具体的にどういった内容にすればトラブルの可能性を減らせるのか、専門家に相談してみるのもおすすめです。 不動産 相続財産の中で、トラブルの原因になりやすいのが「自宅」や「土地」といった不動産です。財産の価値が高額になりやすく、また相続人同士で平等に分配しづらいという特徴を持つ不動産。誰がどのような形で相続するのかで揉めれば、なかなか決着がつかない恐れもあるでしょう。 相続人のうちの1人が相続対象である不動産で生活している場合、これまでどおりの生活を続けるためにも「自分が相続したい」と考えるのは自然な流れです。しかし、その他の財産がほとんどなければ、遺産の大半を、その相続人1人だけが受け取ることになってしまいます。 不動産を受け取る相続人がそのほかの相続人に対して、相応の金銭を支払う方法もありますが、不動産の価値によってはあまり現実的ではない可能性も。「お金が支払えないために、結局不動産を売らざるを得ない」というケースも、実は珍しくないのです。 また反対に、誰も住まない「空き家」が相続トラブルのきっかけになるケースもあります。ほとんど価値のない不動産を相続しても、その後の対処困ってしまうでしょう。「売りたくても売れない」「管理の手間ばかりがかかってしまう」となると、相続人同士で該当物件の押し付け合いになってしまう恐れもあります。 こうしたトラブルを回避するためには、生前にきちんと話し合っておくと効果的です。不動産を誰に相続させたいと考えているのか、被相続人の立場で明らかにし、生前から理解を求めておきましょう。「なぜそうしたいのか?」という自身の気持ちも、伝えておくと安心です。 不動産を受け継ぐ相続人も、時間があれば代償として支払う金銭を用意できる可能性があります。寝耳に水の相続にならないよう、あらかじめ準備を整えておきましょう。 相続人同士の関係性 相続人同士の関係性 遺産相続でトラブルには、相続人同士の関係性も関わってきます。 ・もともとあまり仲が良くない・ほとんどやりとりしたことがない・他の相続人に内緒にしている相続人が存在している このような場合、相続人同士のやりとりがうまくいかず、トラブルに発展してしまう恐れがあります。 遺言書が残されていない場合、誰が相続人になるのかは、被相続人との関係性によって違ってくるでしょう。「配偶者と子ども」というケースが一般的ですが、子どもがいなければ孫が相続権を受け継ぎます。直系卑属にあたる人がいない場合、相続権は親もしくは直系尊属、そして被相続人の兄弟姉妹やその子どもへと移っていくのです。子どもや孫がいない場合、被相続人の甥や姪が相続人になる可能性も。普段あまりやりとりしていない場合、遺産分割協議を進めるのも一苦労です。 相続人同士の仲が悪ければ、それぞれの立場を考慮して結論を出すのは難しいかもしれません。どこまで話し合っても平行線で、時間ばかりがかかってしまう恐れもあるでしょう。 相続人同士の関係性に不安がある場合には、遺産分割協議は避けた方が良いでしょう。法的に有効な遺言書にて相続の内容を指定しておけば、相続手続きは基本的に、そのとおりに進められます。相続人同士が集まって話し合う必要もありません。 遺言書による相続対策が必要なのかどうか確かめるためには、まずは「自分の場合は誰が相続人になる可能性があるのか?」という点を、明らかにするのがおすすめです。その結果を踏まえて、どうすればトラブルを回避できるのか検討してみてください。遺言書に何をどう記すべきか悩んだときには、司法書士や弁護士など、遺言書作成についてアドバイスしてくれる専門家にサポートしてもらいましょう。 相続トラブル回避のポイントは主に「遺言書」にあり 相続トラブルの原因になりやすい理由の一つは、「不公平感」にあります。相続人同士が納得できるのが一番ですが、残念ながら難しいケースもあるでしょう。特に生命保険金や不動産は不公平感の原因になりやすいですし、相続人同士の関係性によっては、「見た目だけの公平では納得できない」という可能性も考えられます。 こうしたトラブルの種を把握した上で、相続人を納得させられる遺言を残せれば、相続トラブルを回避できる可能性も高まります。また、自身の思いを正直に伝えておくことも重要です。普段から遺産相続について情報共有しておくだけではなく、ぜひエンディングノートや遺言書についても活用してみてください。

  • 両親が死亡した場合の遺族年金受取人は誰?子どものためにできることは?

    両親が死亡した場合の遺族年金受取人は誰?子どものためにできることは?

    家族が亡くなったときには、遺族年金の受取人になれる可能性があります。両親が共に死亡した場合、子どもは遺族年金を受け取れるのでしょうか。未成年が遺族年金を受け取る場合の注意点や手続き方法、親の立場で子どものためにできることも解説します。 遺族年金とは? 遺族年金とは、国民年金や厚生年金に加入していた被保険者が亡くなった際に、その家族に支給される年金を指します。国民年金に加入していた場合は遺族基礎年金、厚生年金に加入していた場合は遺族厚生年金の受取人になれる可能性があるでしょう。どちらにも加入していて、それぞれの受給要件を満たしていれば、両方とも受給できます。 遺族基礎年金は、亡くなった方によって生計を維持されていた「子のある配偶者」または「子」が受取人です。この場合の「子」とは、18歳になってから最初に年度末を迎えるまでの人(もしくは20歳未満で障害年金の障害等級1級または2級の状態にある人)を指します。遺族厚生年金は、遺族基礎年金よりも受給要件が緩く、親を亡くした子どもは受給要件を満たす可能性が高いでしょう。 両親が共に死亡した場合の遺族年金は? 両親が共に死亡した場合、生前に親が国民年金や厚生年金に加入していれば、子どもは受取人になれる可能性が高いでしょう。子どもが受取人になる場合の、遺族基礎年金・遺族厚生年金の受給金額は、それぞれ以下のとおりです。 【遺族基礎年金】 79万5,000円(2人目の加算額:22万8,700円、3人目以降の加算額:7万6,200円) 【遺族厚生年金】被保険者が加入していた老齢厚生年金の、報酬比例部分の4分の3の金額 子どもが複数人いる場合には、受給できる金額を合計して、人数で割った金額が1人分の受給金額です。 遺族基礎年金で受給できる金額は定額ですが、遺族厚生年金は被保険者の生前の加入状況によって違ってきます。両親が共に亡くなってしまった場合、子どもは「両方の遺族年金を合算して受給できる」というわけではありません。父親と母親、受給金額が多いどちらか一方のみを選択して受給することになります。どちらを選ぶのか決定したら、最寄りの年金事務所にて手続きしてください。 未成年者の各種手続きに必要なのは? 両親が亡くなってしまった場合、子どもが遺族年金を受給するためには、各種手続きを進めていく必要があるます。とはいえ、未成年の子どもが自分で手続きすることはできません。亡くなった親に代わって親権を獲得した人や未成年後見人が、子どもの代理で手続きを進めます。 未成年後見人とは、未成年者に代わって法的契約を結んだり、その財産を管理したりすることを認められている人。親権者がいない場合に、未成年者の利益や権利、そして財産を保護する目的で各種権限を保有しています。親が亡くなったあと、未成年の「親代わり」と言っても良い重要な存在ですが、誰でもすぐになれるわけではありません。未成年後見人を選任するためには、まずは家庭裁判所への申し立てが必要に。未成年者本人もしくは親族が手続きします。 未成年後見人は、家庭裁判所が決定します。親族が選任されるケースもあれば、弁護士や司法書士といった専門家が選任されるケースも。それぞれの子どもの状況を見極めて、最善だと認められる人が未成年後見人に選任される仕組みです。 未成年後見人が選任されたら、子どもの代理人として遺族年金の受給手続きを進めていけるでしょう。支給された遺族年金も、未成年後見人の手で管理されます。幼い子ども自身が動かなければならない場面はありませんので、安心してください。 親として子どものためにできることは? 親として子どものためにできることは? 両親が共に死亡してしまった場合、遺族年金が受け取れるとはいえ、子どもの負担は非常に大きなものになってしまうでしょう。万が一のときでも、子どもの生活をできる限り守るため、未成年後見人を事前に指名しておくのがおすすめです。 先ほど「未成年後見人は家庭裁判所で選定される」とお伝えしましたが、両親が遺言書であらかじめ指定していた場合、その限りではありません。遺言書で指定されていた人が市町村役場で所定の手続きを終えるだけで、後見人として動けるようになります。両親が死亡したあとのさまざまな手続きについても、法的な立場をもって素早く対処していけるでしょう。 未成年後見人を事前にしておくメリットは、ほかにもあります。後見人に指定したい人に対して、両親からあらかじめ話を通しておけるでしょう。信用できる相手を自分で選定できますし、「万が一のときには○○してほしい」と、あらかじめ希望を伝えておくことも可能です。依頼される側としても心の準備ができますし、いざというときには、すぐに行動に移せるのではないでしょうか。子どもの精神面での安定にも役立つはずです。 遺言書で未成年後見人を指定する場合、家庭裁判所は介入しません。同時に未成年後見監督人も指定し、子どもの財産や身上監護上のチェックができる体制を整えておくのがおすすめです。 子どもが遺族年金を受け取る場合のリスクとは? 両親が共に亡くなり、子ども自身が遺族年金を受け取る場合、実際にその財産を管理するのは未成年後見人です。親族等がその役割を担う場合、子どもの財産を私利私欲のために使ってしまう恐れがあります。 本来であれば、子どもの利益を保護するために選任される未成年後見人。本来の役割を果たしていなかった場合でも、子ども自身がその事実にすぐに気付くのは難しいでしょう。特に遺言書で未成年後見人を指名する場合、チェック体制が働きにくいという点も知っておいてください。誰に依頼すれば、子どもの財産を適切に管理してくれるのか、親として厳しい目で判断することが大切です。 子どもも遺族年金の受取人になれる 子どもも遺族年金の受取人になれる 両親が死亡した場合、遺族年金の受取人は子どもです。どちらか一方の遺族年金を選択する必要はありますが、子どものその後の生活を支える助けとなってくれるでしょう。 一方で、未成年である子どもに年金受給のための手続きはできません。未成年後見人を選定し、子どもの代理人として手続きをし、大人になるまでの間は適切に財産管理をしてもらわなくてはならないでしょう。 親として、万が一のときのためにできるのは、「信頼できる相手を見つけ、未成年後見人になってもらえるようあらかじめお願いしておくこと」です。きちんと準備を整え、自身の思いも伝えておきましょう。両親に万が一のことがあった場合、子どもがどういった状況になるのかを想定した上で、何が必要なのか検討してみてはいかがでしょうか。

  • 遺産整理に便利なサービスとは?利用の際の注意点も紹介

    遺産整理に便利なサービスとは?利用の際の注意点も紹介

    さまざまな手間と多くの時間が必要となる相続手続き。きちんとやるべきとわかってはいても、「現実的に余裕がない…」と悩んでいる方も多いのではないでしょうか。こんなときに頼りにできるのが、遺産整理に関する各種サービスです。遺産整理サービスの内容や利用時の注意点など、ぜひ参考にしてみてください。 遺産整理サービスとは? 遺産整理サービスとは? 遺産整理とは、相続の対象となる財産を明らかにし、必要な手続きを行うことを言います。ひと言で「遺産」と言っても、その内容はさまざまです。現金もあれば不動産もあるでしょう。プラスの資産だけではなく、マイナスの資産が相続財産に含まれる可能性もあります。 相続スタート時点で、どのような財産がどの程度残されているのか、正確に把握できているケースは少ないでしょう。まずは必要な情報を収集し、それぞれの財産について適切な手続きを終えることが重要です。残された遺産が多く、複雑であれば、必要な手間や時間は膨大なものになってしまうでしょう。相続人の負担を軽減する目的で提供されているのが、遺産整理サービスなのです。 遺産整理は、以下のような流れで進められます。 1.遺言書が残されているかどうか確認する2.相続人の範囲を確定する3.相続財産の詳細を調べる4.遺産分割協議で相続の内容を決定する(※遺言書がない場合)5.具体的な相続手続きを行う(各種名義変更や遺産分配など)6.必要に応じて相続税を申告・納付する 遺産整理は、相続人だけで進めることも可能です。自分たちではどうにもならないポイントだけを、それぞれの専門家にサポートしてもらうのも良いでしょう。たとえば、相続の内容を巡って相続人同士で揉めごとに発展した場合、弁護士がサポートしてくれます。不動産の名義変更なら司法書士、相続税申告なら税理士が助けになってくれるはずです。 遺産整理サービスを利用した場合、これらの手続きを一括してお任せできます。相続に必要な手続きを一から丁寧にサポートしてもらえますし、必要に応じて各種士業との連携も可能。遺産整理の専門家が各種手続きを代行してくれるため、相続手続きにかかる時間や手間も軽減できるでしょう。 遺産整理サービスを提供しているのは? 遺産整理サービスは、相続手続き代行サービスとも呼ばれています。具体的には、以下のような企業や事務所がサービス提供を行っています。 ・司法書士事務所・行政書士事務所・弁護士事務所・信託銀行 遺産整理サービスは、提供元によってサービス名が異なります。気になるサービスを見つけたら、具体的に何をどこまで依頼できるのか確認するようにしてください。費用体系についても、契約前にチェックしておくと安心です。 実際に担当者と会って話を進めていくサービスもあれば、ほとんどすべての手続きをウェブ上の手続きと郵送で終えられるサービスもあります。どちらにもメリット・デメリットがありますから、自分に合ったタイプを選んでください。 遺産整理サービスを利用した方が良い人とは? 遺産相続がスタートした段階で、「遺産整理サービスを利用した方が良いのか?」と悩む方も少なくありません。サービスの利用を積極的に検討した方が良いのは、以下の条件に当てはまる方々です。 ・そもそも何からスタートすれば良いのかわからない・できるだけ手間をかけずに手続きを終えたい・相続財産や相続人の関係性が複雑である・相続人同士の関係性が良くない・平日の昼間に動くのが難しい 遺産相続には、さまざまな手続きが関係してきます。自分にとって何がベストなのか、そのために何からスタートすれば良いのかわからないときには、自己流で動くよりもプロの意見に耳を傾けるのがおすすめです。遺産整理全般をサポートしてくれるサービスであれば、「そもそも何を相談すれば良いのかわからない」という状態からでも、適切にサポートしてくれるでしょう。 また相続手続きに必要な書類を収集したり、提出したりするためには、平日の昼間に動かなければならない場面も少なくありません。仕事や介護、子育てなどで時間に余裕がない場合も、ぜひサービスの利用を検討してみてください。面倒な作業をお任せできます。 遺産整理サービスを利用する際の注意点3つ 忙しい方や、手間なく確実に相続手続きを終えたい方に人気の遺産整理サービス。実際に利用を検討する際に、注意したいのは以下の3点です。ぜひ確認してみてください。 ★1.提供元によって得意・不得意がある 遺産整理サービスとは、遺産相続手続きをトータルで代行してくれるサービスのこと。しかし提供されるサービス内容は、どこも同じというわけではありません。提供元によって、得意な分野・不得意な分野は異なるのです。 たとえば、銀行が提供する遺産整理サービスを利用した場合、預金や信託財産に関する手続きはスムーズに対応してもらえるでしょう。一方で、司法書士や行政書士が対応する分野については、「いったん銀行で受け付けた上で、提携先の士業に連絡する」といった対応が一般的。結果が出るまでにやや時間がかかり、オプション費用が発生する可能性もあるでしょう。 遺産整理サービスを利用する際には、何を重視したいのかをぜひ意識してみてください。重視したい分野を得意とする遺産整理サービスを見つけられれば、満足度も高くなります。 ★2.料金体系の確認は必須 遺産整理サービスの料金体系は、提供元によって大きく異なります。すべての手続きをパッケージ化して料金を設定しているところもあれば、一部オプション料金で対応しているところも。自分たちに必要なサービスだけを選び、その分だけ料金が加算されるようなケースもあります。自分が希望するサービスを受けるためには、具体的にどれぐらいの費用がかかるのか、契約前に明らかにしておきましょう。 銀行の中には、一定条件を満たしていれば優遇料金で対応してくれるところもあります。こうしたサービスにもぜひ注目してみてください。 ★3.無料相談で相性を見極めよう 遺産整理サービスを利用する際には、担当者との相性も確認しておくと安心です。亡くなった人の大切な遺産の整理をお任せするわけですから、気持ちよく手続きを終えたいもの。そのためには、円滑なコミュニケーションが必須です。 サービス利用前には、無料相談を活用してみてください。具体的に何をどこまでお願いできるのか確認するとともに、担当者との相性や対応力についても、チェックしておくと安心です。 遺産整理サービスを知り利用を検討してみよう 遺産整理サービスを知り利用を検討してみよう 40代から50代を迎えると、自分自身が相続人の立場になる方も増えてくるでしょう。まだまだ忙しい現役時代。すべてを自分で行うのが難しい場合、遺産整理サービスの利用も検討してみてください。

  • 遺族年金の受取額は子供の年齢に応じて変わる!基礎知識を身につけよう

    遺族年金の受取額は子供の年齢に応じて変わる!基礎知識を身につけよう

    一家の働き手であった家族が亡くなったとき、残された人々の生活は非常に厳しくなってしまうでしょう。子供がいる世帯にとっては、その将来にまで影響を及ぼしかねません。こうした人々を支えるため、用意されているのが遺族年金の制度です。子供の年齢に応じて受取額が変わるため、事前に知識を身につけておきましょう。 遺族年金とは? まずは遺族年金の基本について学んでおきましょう。遺族年金とは、国民年金や厚生年金に加入していた人が亡くなった際に、その人によって生計を維持されていた家族が受け取れる年金のこと。年金加入者が亡くなった際に、その家族が路頭に迷う恐れがないよう、整備されている制度です。 国民年金に加入していた場合に、対象となる可能性があるのは遺族基礎年金です。厚生年金に加入していた場合は、遺族厚生年金の対象となります。どちらを受給する場合も、指定されている条件を満たしている必要があります。 遺族基礎年金を受け取れるかどうかは、「子供の年齢」によって違ってくるでしょう。子供がいない場合、残念ながら対象外です。一方、遺族厚生年金はより幅広い家族が受給できます。子供の有無や子供の年齢にかかわらず受給できる可能性があるため、ぜひチェックしてみてください。遺族基礎年金と遺族厚生年金の両方の受給資格を満たしている場合、両方の年金を受け取れます。生活を安定させるため、役立てましょう。 遺族年金と子供の年齢に関係性は? 遺族年金と子供の年齢に関係性は? 遺族年金の受給には、子供の年齢が深く関わっています。遺族基礎年金と遺族厚生年金、それぞれの関わり方は以下を参考にしてみてください。 ★遺族基礎年金の場合 遺族基礎年金の受給資格を持つのは、「子供を持つ配偶者」もしくは「子供」のいずれかです。この「子供」には、「18歳になった年度の3月31日までにあたる」という条件があります。一般的には「高校卒業のタイミングまで」と言えるでしょう。 子供が障害年金の障害等級1級または2級に認定されている場合、年齢条件は「20歳」へと変更されます。通常の場合と比較して、2年間長く遺族基礎年金を受給可能です。 遺族基礎年金は、子供が年齢条件を満たさなくなった場合に支給が打ち切られます。このため、受給開始時点で子供が何歳であったのかによって、支給総額が変わってくるでしょう。0歳のときに受給対象になれば、その分受給できる期間が長くなります。これは、遺族基礎年金の目的が「18歳未満の子供の養育を支えるため」である点に関連しています。 ちなみに、令和4年4月からの遺族基礎年金の支給額は以下のとおりです。 【子供を持つ配偶者が受取人になる場合】 777,800円+子共の加算額/年 【子供が受取人になる場合】 777,800円+2人目以降の子の加算額/年 1人目および2人目の子供には、1人あたり年223,800円が加算されます。3人目以降の子供は、1人あたり年74,600円です。子供が受取人になる場合、上の計算式で求められた金額を子供の数で割った額が、1人あたりの受給金額になります。 ★遺族厚生年金の場合 遺族厚生年金は、亡くなった方に生計を維持されていた方の中で、以下の人々に受給資格が認められています。 第1順位 妻第2順位 子供第3順位 55歳以上の夫第4順位 55歳以上の父母第5順位 孫第6順位 55歳以上の祖父母 受給資格が認められる人のうち、もっとも順位の高い人に支給される仕組みです。 妻に次いで高い順位となる子供ですが、ここにも年齢制限があります。具体的には、遺族基礎年金と同じ「18歳になった年度の3月31日までにあたる」人。障害等級1級または2級の状態にある場合、20歳未満まで認められています。この年齢条件を満たさない場合、順位は次へと移ります。ちなみに、第5順位にあたる孫にも、同じ年齢条件が適用されるため、条件を満たすかどうか慎重に判断してみてください。 もっとも高い順位にある妻ですが、年齢条件を満たす子供がおらず、自身が30歳未満の場合は受給期間が5年間と制限されます。こちらも併せてチェックしてみてください。 遺族厚生年金で受給できる金額は、被保険者が生前に支払った保険料によって異なります。平均標準報酬月額と被保険者期間から求められるため、「毎月の給与が多く、年金加入期間が長い人ほど多くの年金を受け取れる」という仕組みです。 子供が年齢条件を満たさなくなった場合の手続き方法は? 子供が年齢条件を満たさなくなった場合の手続き方法は? 遺族基礎年金も遺族厚生年金も、子供の年齢によって支給状況が違ってきます。子供が18歳を迎えたのち、年度が切り替わったタイミングで遺族年金の支給はストップされるでしょう。 通常、遺族年金の受給権を失ったときには「遺族年金失権届」を提出する必要があります。ただし子供の年齢条件によって受給権を失った場合、この手続きは必要ありません。年金事務所や年金センターで特別な手続きをしなくても、自動で支給はストップするので安心してください。 子供が複数人いる場合、年齢条件を満たさなくなった人は自動的に受給対象から外されます。年齢条件を満たす子供分のみで計算され支給される仕組みです。受給対象の子供がすべていなくなった時点で、遺族年金は受給できなくなります。 子供の年齢が18歳未満でも遺族年金を打ち切られる場合とは? 子供の年齢が18歳未満でも、以下の条件に当てはまる場合、遺族年金の受給資格を失います。年金を打ち切られてしまうので注意してください。 ・亡くなった場合・結婚した場合・直系血族または直系姻族以外の方の養子になった場合 受給権を持つ人が亡くなれば、受給資格は失います。その資格を、別の人が受け継ぐことはできません。18歳未満の子供がいることで遺族基礎年金の受給資格を満たしていた配偶者も、子供が亡くなれば年金は受給できなくなってしまいます。 子供自身が結婚した場合や、養子に出た場合も、遺族年金は打ち切られます。結婚すれば一人前と扱われますし、親の遺族年金で生活を支える必要はなくなります。直系血族または直系姻族以外と養子縁組をした場合も、新たに生活の場が整うため、受給資格を失うでしょう。 遺族年金と子供の年齢の関係性を理解して手続きを 幼い子供を残して一家の大黒柱が亡くなれば、「今後の生活をどうするべきか…」と悩む方も多いでしょう。こんなときには、遺族基礎年金や遺族厚生年金が残された家族の生活を支えてくれます。実際に遺族年金を受給できるかどうかは、子供の年齢によって違ってきます。18歳未満かどうかが鍵となりますから、ぜひチェックしてみてください。子供の年齢条件も理解した上で、手続きや事前準備を進めてみてください。

  • 親が残す資産は事前に把握しておこう!知らない場合のリスクを解説

    親が残す資産は事前に把握しておこう!知らない場合のリスクを解説

    子どもが生まれ、自身の生活基盤が整った際に、考えておきたいのが「親が残す資産」についてです。今すぐというわけではなくても、相続はいずれやってくる問題。そのときになって慌てないためには、事前の情報把握が重要です。親が残す資産を把握する方法や、知らない場合に考えられるリスクについて解説します。 親の資産がわからない人は意外と多い 親の資産がわからない人は意外と多い 自身の終活について積極的に考える方は増えていますが、「親がどのような資産を持っているのか詳しく知らない」という方は、まだまだ珍しくありません。親が残す資産の内容は、多岐にわたります。投資ブームの今、株式投資や不動産投資に取り組む方も増えているでしょう。子どもが把握していない不動産を所有している可能性もあります。 親がどのような資産を残すか把握していなければ、何の準備も整えられないまま相続のときを迎えることになってしまうでしょう。「まだまだ先だから…」と思いがちですが、相続のタイミングがいつになるのかは誰にもわかりません。知らない場合のリスクとしては、主に以下の3つが挙げられます。 ★1.相続税の準備ができない 親が残す資産額によっては、相続税が発生する可能性も。相続する資産の中から相続税を賄えれば良いのですが、実際にはそれが不可能なケースもあります。 たとえば親が残す資産のほとんどが不動産である場合、相続税は相続財産以外から調達しなければいけません。相続税が支払えない場合、不動産を売却しなければならない可能性もあります。仮にそれが「現在家族で暮らしている自宅」であれば、相続をきっかけに住む場所を失うことにもなりかねないのです。 親が残す資産額やその内訳を知っていれば、 ・相続税が発生しそうな状況なのか?・相続税の負担がどの程度になるのか? これらの情報を把握できるでしょう。相続税の支払いに向けて、計画的に準備を進められるはずです。 ★2.病院代や葬儀費用の清算で困る可能性がある 親の資産がわからないまま相続のときを迎えたとしても、各種手続きは待ってはくれません。病院代の清算から葬儀費用の支払いまで、多額の現金が必要になる場面は、決して少なくないのです。親が残す資産がわからなければ、子どもが立て替えることにもなりかねません。 親がどこにどの程度の資産を持っているか知っていれば、落ち着いて対応できます。自宅にタンス預金があれば、相続人同士の話し合いの末、支払いに充てることもできるでしょう。 どの銀行口座にどの程度の資産を残しているのか知っていれば、被相続人が亡くなる前に現金を引き出せる可能性もあります。口座名義人の死亡により凍結されたとしても、仮払い制度の利用により、素早く現金を用意できるはずです。 「すぐにでも現金が必要になる!」といった場面で、親の資産について一から冷静に調査するのは難しいでしょう。事前に知っていれば、いざというときでも落ち着いて対処できます。 ★3.遺産分割協議で揉めるリスクがある 相続が発生し、遺言が残されていない場合に必要なのが遺産分割協議です。相続人が複数人いる場合、誰が何を相続するのかで揉めるリスクがあります。 たとえば「遺産のほとんどが不動産で相続人のうち1人が居住している」という場合、どのように遺産を分割するべきか悩むケースも多いでしょう。親族間トラブルを防ぐためにも、親の資産をできるだけ早く把握し、相続人全員が納得できる形で相続の大枠を決めておくのがおすすめです。 被相続人が生きている間であれば、どのような想いで遺産分割を考えているのか、直接聞けます。遺産分割協議で突然知らされるよりも、心の準備ができるでしょう。 親が残す資産を把握する方法とは? 相続にまつわる親族間トラブルは、決して少なくありません。誰にとっても他人事ではないからこそ、親の資産を早めに把握し、必要な対策を講じておくことが大切です。とはいえ、「親が残す資産について話すのは抵抗がある…」と感じる方も多いのではないでしょうか?具体的にどうやって把握すれば良いのか、3つの方法を紹介します。 ★1.相続税をきっかけに聞いてみる 平成27年に、相続税の基礎控除に関するルールが変更されました。それまでよりも基礎控除額が減り、相続税を課税されるケースが増加しています。こうした状況を解説するとともに、親が残す資産について自然に聞いてみてください。 相続税の基礎控除額は、「3000万円+(600万円×法定相続人の数)」で求められます。親が残す資産がこの範囲に収まるのかどうかがわかるだけでも、子どもの負担は軽減できるでしょう。相続税をきっかけに、具体的にどのような資産が残される予定なのかどうか、ざっくりとした話だけでも聞いておくと安心です。 ★2.遺言書やエンディングノートをすすめてみる 親の資産について直接聞くのが難しい場合、終活の一環として、遺言書やエンディングノートの作成をおすすめするのもおすすめです。遺言書やエンディングノートを作成する場合、親自身が残す予定の資産を把握しなければいけません。その過程で、「子どもに伝えておくべき内容」をはっきりと理解する方も少なくありません。 実際に親が遺言書やエンディングノートを作成し始めたら、子どもに対してアドバイスを求める場面もあるかもしれません。無理をせず、少しずつ内容を聞いてみてください。 ★3.家族が集まる機会に話し合いの場を持つ 親が残す資産について聞きたいと思ったら、その他の相続人と協力するのもおすすめです。子どもの立場で相続人になる場合、兄弟姉妹と一緒に、親の話を聞いてみましょう。1人だけではなく、相続人全員で話をすることで、心理的な負担を軽減できる可能性があります。 お盆やお正月は、親族が集まる良い機会と言えるでしょう。親が残す予定の資産についても、話をしてみてはいかがでしょうか。 親が残す資産を知って相続対策を 親が残す資産を知って相続対策を 相続にまつわるトラブルは、決して少なくありません。「自分だけは大丈夫」と考えるのは危険です。あらゆる事態を想定して、生前から準備を進めておくことで、回避できるものも多いでしょう。親がどんな資産を残すのか知ることは、その一歩だと考えられます。 「あてにしていると思われたくない」という気持ちから、親の資産について、聞きづらい…と感じる方は少なくありません。だからこそ、なぜ知りたいのか、知らなかった場合に将来どのようなリスクが発生するのか、親に対してていねいに説明してみるのもおすすめです。親子間のコミュニケーションが深まれば、相続対策の幅はより一層広がります。親自身の生活を守るためにも、意思疎通を心掛けてみてください。

  • 遺産相続で成年後見人が必要な場合とは?成年後見制度の基本とともに解説

    遺産相続で成年後見人が必要な場合とは?成年後見制度の基本とともに解説

    遺産相続をスムーズに進めていくため、身につけておきたい知識の一つが「成年後見制度」についてです。遺産を相続する際に、成年後見人が必要になるケースとはどのようなものなのでしょうか?制度の基礎知識とともに、手続き方法についても解説するので、ぜひチェックしてみてください。 成年後見制度とは?基礎知識を身につけよう 成年後見制度とは?基礎知識を身につけよう まずは成年後見制度の基本について学びましょう。成年後見制度とは、判断能力が著しく低下している人の代わりに後見人が立ち、本人に代わって財産管理や契約の支援を行える制度のこと。判断能力が低下した人の保護を目的にしています。 認知症や知的障害、精神疾患を抱えている人は、財産管理や各種契約において、不利益を被りがち。利益と不利益をより正確に判断するため、成年後見人がサポートする仕組みです。制度を利用して後見人が決まったら、本人や家族であっても、後見人の同意なしでは財産の移動や各種契約が不可能になります。たとえ本人が勝手に契約を結んでしまったとしても、成年後見人であればそれを覆すことが可能です。 とはいえ、成年後見制度も万能ではありません。医療行為における同意や、結婚・養子縁組、離婚といった判断は認められていないのです。また、「介護が必要な場合にヘルパーを契約する」のは可能でも、成年後見人が自ら介護を行うことはありません。できる行為、できない行為をしっかりと把握した上で、制度を利用するべきかどうか判断しましょう。 相続で成年後見人が必要なケースとは? 遺産相続で成年後見人が必要なのは、「相続人の中に判断能力が著しく人」がいるケースです。相続手続きを進めていくためには、遺産分割協議を行う必要があるでしょう。協議では、相続人全員の同意が必要に。判断能力が低下した人が1人でも含まれている場合、分割協議そのものが進まなくなってしまいます。 仮に「判断能力が低下した状態のまま、遺産分割協議書を取り決めた」としても、協議そのものが無効と判断されてしまいます。たとえ家族であっても、遺産分割協議書への勝手なサインや押印は、犯罪になる恐れがあるので注意しましょう。本人が相続放棄すれば、その他の相続人で協議を進めることはできますが、判断能力や認知能力が低下した状態ではそれさえ難しいのが現実です。成年後見人がいれば、成年後見人のサポートのもとで、相続手続きを進めていけます。負債の方が多い場合、相続放棄の手続きも取れるでしょう。 一方で、相続人の中に判断能力が低下した人がいても、成年後見人が必要ないケースもあります。被相続人が生前に遺言を残していて、遺産相続の詳細や遺言執行者を指定していた場合が、こちらにあたるでしょう。 相続が発生した時点で誰に何を相続させるのか明らかになっていれば、遺産分割協議をする必要はありません。相続手続きもスムーズに進めていけます。判断能力が低下した人に財産を相続させたい場合でも、遺言執行者がいれば問題はありません。本人に代わって、相続に必要な手続きを済ませられるはずです。 判断能力が低下している人が相続人になると予想される場合、早めに準備を進めておくのもおすすめです。相続手続きがスタートする前であれば、「本当に成年後見制度が必要なのか?」「制度を利用しなかった場合にどのような不利益が予想されるのか?」といった点について、じっくりと考えられるでしょう。親族間で相談しながら、判断するのもおすすめです。 成年後見人を選任するための手続きは? 相続が発生したあとに、判断能力が低下した人のために成年後見人を選任する場合、親族や相続人が、家庭裁判所に成年後見人の選任を申し立てましょう。すでに判断能力が低下している人の後見人を定める場合、誰が後見人になるのか、判断するのは家庭裁判所です。家族だからといって、自由に後見人になれるわけではないという点を、頭に入れておきましょう。 申し立て時に後見人候補者を立てることはできても、確実に選ばれるとは限りません。本人にどの程度のサポートが必要になるのか、家庭裁判所の判断のもとで決定されます。家族以外の、第三者の専門家が選ばれるケースもあります。専門職に就く人が成年後見人を務めることに決まった場合、報酬を支払わなくてはいけません。司法書士や弁護士に依頼した場合の報酬相場は、月に3~5万円と言われています。 成年後見人になるためには、特別な資格は必要ありません。ただし相続手続きのために成年後見人を選任する場合、「同じ相続人の立場にあたる人は、成年後見人にはなれない」という点に注意しましょう。相続人同士で後見人・被後見人という関係性になると、後見人が自分の利益を追求し、被後見人の利益を阻害する可能性があるためです。 この場合、特別代理人の選任を家庭裁判所に申し立てる必要があるでしょう。特別代理人が必要かどうかは、状況によって異なります。具体的な条件については、相続手続きの専門家に相談するのがおすすめです。 成年後見人を選定する場合の手続き方法 成年後見人を選定する場合の手続き方法 相続手続きを進めるために成年後見人を選定する場合、以下の方法で手続きを進めていきましょう。 1.後見人を必要とする人の所在地にて、家庭裁判所に申し立てをする2.家庭裁判所にて審理が行われる3.成年後見人が選定される4.成年後見がスタートする 後見人を選定するための手続きでは、本人の判断能力の診断が必要です。かかりつけ医などに依頼し、状態を説明できるよう準備しておきましょう。また申し立てに必要な、その他の書類も収拾します。 家庭裁判所の審理では、申立人や後見人候補者はもちろん、本人との面接も行われます。親族の意向も確かめられるでしょう。これらの情報を総合的に判断し、「後見人が必要である」と判断されれば、後見人を選任します。審判の結果が送付されたあと2週間が経過したら、その内容が法務局に登記され、成年後見制度の利用がスタートします。 遺産分割協議を始められるのは、そのあとのこと。相続税の申告・納税期限を考えると、時間的な余裕はあまりありません。必要かどうかを素早く見極め、家庭裁判所に申し立ててください。 遺産相続で成年後見人が必要な場合を知って素早く対応しよう 遺産相続において、認知症などが原因で判断能力が低下した人が相続人に含まれる場合、成年後見制度の利用を検討してみてください。「遺産分割協議が進まない…」と悩む恐れもなくなるはずです。 実際に成年後見人が決まり、相続手続きを進められるようになるまでには時間がかかります。できるだけ早く動き出すことで、相続手続きをスムーズに進めやすくなるでしょう。

  • 遺産として残された預貯金は引き出せない?対処法と手続きの流れ

    遺産として残された預貯金は引き出せない?対処法と手続きの流れ

    身近な人が亡くなった際に、トラブルになりやすいのが「被相続人名義の預貯金の引き出し」についてです。預貯金や遺産として扱われるため、取り扱いには注意しましょう。「遺産として残された預貯金は引き出せない」と言われていますが、実際のところはどうなのでしょうか。対処法や必要な手続きについて詳しく解説します。 預貯金が引き出せなくなるのは口座が凍結されるから 亡くなった人の口座からお金が引き出せなくなるのは、該当の口座が凍結されるからです。これは、銀行側が相続トラブルを避けるために行っている措置。特定の相続人だけが遺産を独り占めしないよう、「銀行側が死亡を確認した時点で口座を凍結する」と定められています。 銀行側が口座名義人の死亡を知るきっかけはさまざまです。 ・家族からの連絡・新聞に掲載されるお悔やみ欄・担当する行員からの連絡 「死亡届を提出すると自動的に銀行に連絡がいく」というのは誤解です。また、名義人死亡に伴う口座の凍結について、銀行側が相続人に対して通知することはありません。「気づいたときにはすでに凍結されていた…」という事態も、決して少なくないでしょう。いつ口座が凍結されてしまうかわからないからこそ、亡くなる瞬間が近づいてきたら、ある程度の準備を整えておく必要があります。 凍結されない場合も預金の取り扱いには注意が必要 相続人が口座名義人の死亡を知らせず、銀行側もその情報を得ていない場合、口座は凍結されません。ATMとキャッシュカード、暗証番号さえあれば、生前と同じように預金を引き出せるでしょう。 葬儀代やその他の出費に対応するため、亡くなった人の口座からお金を引き出すケースは決して少なくありません。それ自体が、何らかの罪に問われるわけではないでしょう。 ただし、安易な出金が、後々の相続トラブルに発展しやすいのも事実です。亡くなった人の預貯金は遺産の一部。特定の相続人が、よくわからない目的で多額の現金を引き出していたら、「預金を独り占めしようとしている」と思われても仕方がないでしょう。トラブルを避けるためには、細心の注意を払って行動する必要があります。 病院代の清算や葬儀で必要なお金を捻出する目的であれば、何にいくら必要だったのか、わかるようにして管理してください。請求書や領収書、必要なメモ書きとともに保管すれば、その他の相続人も納得しやすくなるでしょう。その他の目的で預貯金を引き出したい場合、相続分に留まる範囲で行動しましょう。「自身の取り分から先払いで受け取った」と説明し、相続手続きを進めていけば、問題が起きる可能性は低くなります。 自分一人で隠しておくのではなく、その他の相続人に対して、「どのような目的でいくら出金するのか」を明らかにしておくのもおすすめです。お金の流れをできるだけ明らかにしておくことで、生前の口座管理やその他の出金について、余計な誤解を防ぐ効果が期待できます。 口座が凍結された場合の対処法は? 銀行側が名義人死亡の事実を把握し、口座が凍結された場合、各金融機関にて相続手続きを進めていく必要があります。必要な手順さえ踏めば、凍結は解除され、口座解約とともに預貯金が引き出されます。金融機関から必要な書類の説明を受け、準備したのちに郵送しましょう。 被相続人が遺言書を残していれば、その内容をもとに相続手続きを進めていきます。遺言書の原本や謄本が必要になるので準備してください。残された遺言が自筆証書遺言であった場合、家庭裁判所の検認済証明書も必要に。手続き完了までには少し時間がかかるため、できるだけ早く動き出すのがおすすめです。 遺言書がなかった場合、相続人同士の話し合いで遺産分割協議書を作成するケースもあるでしょう。この場合は、遺産分割協議書を金融機関に提出します。 このほかにも、被相続人や相続人の戸籍謄本、相続人全員の印鑑証明書、所定の届出書など、必要書類は決して少なくありません。相続人それぞれの思いを確認した上で、速やかに準備を進めていきましょう。 凍結された口座からお金を引き出す方法はある? 凍結された口座からお金を引き出す方法はある? 預金口座の凍結から、必要な手続きを経て解除されるまでには、一定の時間が必要になるでしょう。「このままでは葬儀代の支払いができない」「遺産分割協議が進まず、お金が足りない」といったトラブルに発展する可能性もあります。このような場合には、「相続預金の仮払い制度」を活用しましょう。 仮払い制度は、凍結された口座からでも、預金の一部を引き出せる制度です。出金できる金額は「1金融機関あたり150万円を上限とし、預金額の3分の1×仮払いを受ける相続人の法定相続割合まで」と定められていますが、必要書類さえ揃えれば、現金の引き出しが可能です。 仮払い制度を利用するためには、 ・被相続人の戸籍謄本・除籍謄本(出生から死亡まで)・相続人の戸籍謄本(全員分)・印鑑証明書(手続きする人) これらの書類が必要です。金融機関によっては、その他の書類の提出を求められるケースもあるため、事前に確認しておきましょう。 また家庭裁判所を通じて手続きを行った場合、引き出せる金額に上限はありません。少し手間はかかりますが、必要なお金が多いときには活用してみてください。必要性が認められれば、全額引き出しも可能です。 銀行口座はできるだけシンプルにしておくのがおすすめ 被相続人の死後、凍結された銀行口座からお金を引き出すのは、決して簡単ではありません。相続発生後の手間をできるだけ少なくするためには、生前から保有する銀行口座の数を絞っておくのがおすすめです。引き落とし用の口座や普段のお金を出し入れする口座をまとめておけば、相続手続きも楽になるでしょう。 使わない銀行口座を解約しておくことも、立派な終活の一つです。親が終活をスタートしたら、ぜひアドバイスしてみてください。またもちろん、自分自身の終活に活かすのもおすすめ。残された人に負担をかけないよう、しっかりと準備を整えておきましょう。 被相続人名義の預貯金は遺産の一部!慎重な取り扱いを 被相続人名義の預貯金は遺産の一部!慎重な取り扱いを 身近な人が亡くなった時点で、その人名義の預貯金は「遺産」として取り扱われます。たとえ家族であっても、その財産は家族だけのものではありません。相続人全員に受け取る権利があるお金なのです。慎重な取り扱いを心掛けてください。 口座が凍結されれば引き出せなくなりますし、たとえ凍結されなくても、勝手に引き出せばトラブルの原因になってしまうでしょう。どうしてもお金が必要なときには、相続人同士の意思疎通が重要です。しっかりと話し合った上で、仮払い制度の利用を検討しましょう。

  • 独身者必見!遺産準備と終活について考えてみよう

    はじめに あなたは今、この瞬間生きていてこれからの人生を自分の手で創り出すことができます。しかし、人生はいつ何が起こるかわからないもの。そのため、生きている今だからこそ、自分が残す遺産について考え、計画することは大切です。 独身者と遺産について 独身者として生きていると、遺産について考えることは少ないかもしれません。しかし、人生のどこかで「自分の財産はどうなるのだろう?」と考えたことはありませんか? もし自分がいなくなった後、財産はどうなるのでしょうか? 誰がそれを引き継ぐのでしょうか? 遺産準備の大切さ 遺産準備は自分がいなくなった後の世界を自分の手でデザインすることです。自分の持つ財産を大切な人に引き継いだり、思い入れのある団体に寄付することで、自分の人生が終わった後も価値を持ち続けることができます。 遺産準備のステップ 遺産準備のステップ では、遺産準備はどのように始めれば良いのでしょうか?以下に、具体的なステップをご紹介します。 1. 自分が持つ財産を確認しよう まずは、自分が何を持っているのか確認することから始めましょう。これには銀行口座、不動産、株式、生命保険など、全ての財産が含まれます。 2. 遺産を受け継ぐ人を決めよう 次に、自分の財産を誰に引き継ぐか決めます。これは、親族、友人、またはあなたが価値を見出す慈善団体など、あなた自身が適切だと思う人や団体を選びます。 3. 遺言書を作成しよう 遺言書を作成することで、自分の意志が明確に伝わり、遺産の分配がスムーズに行われます。また、遺言書に は、財産の分配だけでなく、あなたが飼っているペットの世話や、デジタルアセットの扱いについても記述することができます。 4. 相続税を計画しよう 相続税の計画も遺産準備の一部です。専門家と相談して、相続税を最小限に抑える計画を立てましょう。 5. 生前贈与を考えよう 生前贈与を通じて、あなたが生きている間に財産を移転することも選択肢の一つです。これにより、相続税を節約することができますし、大切な人との絆を深めることも可能です。 終活も忘れずに 終活も忘れずに 遺産の準備と同時に、終活についても考えてみましょう。終活とは、自分の人生の終わりに備える活動のことです。具体的には、葬儀の計画や医療の意志、生命維持治療の選択などが含まれます。 1. 葬儀を計画しよう 葬儀の形式や費用をあらかじめ計画することで、自分がいなくなったときの混乱や、残された人々の負担を軽減することができます。 2. 医療の意志を明確にしよう 自分が重病になった際の医療の意志を明確にすることも重要です。例えば、延命治療を希望するかどうかなど、自分の意志を明確に伝えることができます。 3. 生命維持治療について決定しよう 自分が望む生命維持治療の形を事前に決め、それを書面に残しておくことも大切です。 まとめ 遺産の準備と終活は、自分の人生の最後を自分らしく終えるための重要な作業です。独身者であっても、適切な計画により、自分の意志をしっかりと伝え、遺産をスムーズに引き継ぐことができます。遺産の準備と終活を通じて、自分の人生を最後まで自分の手でコントロールし、残された人々に感謝の気持ちを伝えることができます。 一見、遺産の準備や終活は複雑で難しいように思えますが、一歩一歩進めていくことで、心の平穏と安心感を得ることができます。自分が築き上げた財産を大切に扱い、そして自分らしい人生の終わり方を選べるのです。 最後に、遺産の準備や終活は専門家の助けを借りることも大切です。法律家、税務専門家、医療専門家など、各分野の専門家に相談することで、最善の計画を立てることができます。 自分の人生、そしてそれを継承する遺産を大切にしましょう。遺産の準備と終活を通じて、自分の意志をしっかりと形にし、未来を安心して迎えることができます。

  • 遺産に関する資料はどう収集すれば良いの?開示してもらえない場合の対処法も

    遺産相続手続きを適切に進めていくために、欠かせないのが情報収集です。遺産にまつわるさまざまな資料を集め、遺産分割協議を行い、実際に手続きを行っていく必要があるでしょう。 とはいえ、初めて資料を収集する際には、具体的に何をどうすれば良いのか戸惑う方も多いのではないでしょうか。遺産に関する資料を開示してもらえない場合の対処法も解説します。 遺産に関する情報収集は「自分で」が基本 被相続人が亡くなった際に、相続財産に関する資料収集は、相続人が自分自身で行わなければいけません。被相続人が亡くなったからといって、自動で情報が公開されるわけではありません。相続人が情報開示を求め、初めて公開されるものと心得ておきましょう。 一般的には、被相続人の生前の記録から各種資料を収集していきます。家族であれば、「どの銀行に口座を保有していたのか?」「どこに不動産を持っていたのか?」など、ある程度の情報は把握できているでしょう。本人がエンディングノートに情報をまとめてくれていれば、その内容をもとに、遺産情報を確定させていくことになります。 とはいえ、すべての財産を漏れなく見つけ出すことは決して簡単ではありません。たとえエンディングノートに記載されていても、本人でさえ忘れている財産が存在しているかもしれないからです。考えられる相続財産は、ひとつひとつ、コツコツと確認していきましょう。 不動産に関する情報は、「権利証」または「登記識別情報」にて確認できます。固定資産税の納税通知書や法務局で取得できる登記簿謄本でもチェックできるでしょう。預貯金は、口座を開設している銀行に対して、情報開示請求することで財産情報を取得できます。故人の持ち物から通帳やキャッシュカードが見つかれば、その情報をもとに手続きを進めていってください。これらの資料が見つからない場合は、金融機関からの手紙やはがき、カレンダーや記念品といったアイテムが残されていないかどうか確認しましょう。どの銀行に口座を開設していたのか、突き止めるためのヒントになります。 また、近年増えているのが、インターネットバンキングや、オンライン証券会社に残された相続財産が見逃されてしまうケースです。被相続人が普段からパソコンやスマートフォン、インターネットを活用していた場合、該当サービスを利用している可能性も十分にあります。被相続人が使用していた端末にアクセス履歴が残っているかもしれませんから、こちらも忘れずにチェックしてみてください。ログイン情報や取引状況を別途資料として保管しているケースもありますから、家の中を探してみましょう。 故意に隠されてしまうケースもある 相続発生後に注意しなければならないのは、「相続人の中で、遺産に関する資料が故意に隠されてしまう可能性がある」という事実です。見つかった遺産は、遺産分割協議の末に、相続人同士が納得して分配されます。見つからなかった財産はそもそも協議の対象にならず、その存在を知っている人だけが独り占めしてしまうリスクがあるのです。 以下のようなケースでは、「故意に情報を開示していない」可能性も考えられます。特に慎重に行動してみてください。 ・開示された遺産が、不自然なほど少ない・被相続人から話を聞いていた財産が見当たらない・被相続人の口座から、勝手に預金が引き出されている 隠されている情報を開示してもらうためには、まずは相続人同士で話し合うのが一番です。なぜ相続財産に関する情報が隠されていると思うのか、理由を伝えて相手の出方をうかがいましょう。相手の話に納得できなかった場合は、あらためて遺産に関する資料を自分の手で収集していきます。「怪しい」と思う口座や不動産情報など、丁寧に確認していきましょう。相続問題に強い弁護士に相談するのもおすすめの方法です。 「裁判所に訴えればなんとかしてもらえる」は間違い 「裁判所に訴えればなんとかしてもらえる」は間違い 相続人のうちの一人が、故意に財産隠しを行っていた場合、その他の相続人は不利益を被ります。相続トラブルとなり、訴訟にまで発展してしまうケースも珍しくはありません。とはいえ、たとえ裁判にまで持ち込んだとしても、財産隠しに関する状況が有利になるとは限らないため注意が必要です。 遺産隠しトラブルで裁判所に訴えた場合、「裁判所が遺産に関する資料を集めてくれる」「資料を隠している相続人に開示するよう命令してくれる」と考えている方も多いかもしれません。しかし残念ながら、こうした対応は行われていないのです。裁判所が扱っているのは、あくまでも「開示されている相続財産」に関する話し合いのみ。裁判を起こしたとしても、財産調査は自分自身で行うのが基本です。 調査力に不安がある場合や、自分自身で対応できない場合には、専門家への依頼を検討してみてください。財産調査サービスを提供している士業事務所であれば、プロの視点で調査をサポートしてくれるでしょう。 資料を開示してもらうために必要なのは? 銀行や証券会社等で財産に関する資料を開示してもらうためには、手続きする人が相続人であることを証明できる書類が必要です。事前に銀行側に問い合わせた上で、戸籍謄本など必要書類を準備しましょう。 被相続人がすでに亡くなっていることや、相続人である事実が確認できれば、手続きそのものは決して難しくはありません。残高証明書の発行、取引履歴の開示や貸し金庫の契約状況の確認など、遺産相続に必要となる資料を提供してもらえます。 こうした作業を、思いつく限りの銀行で行っていきましょう。口座を保有していたかどうかわからないときには、「名寄せ」を依頼して口座の有無を確認できます。財産隠しが疑われる場合も、そうではない場合も、郵貯銀行や都市銀行、最寄りの地方銀行・信用金庫ぐらいは、確認しておくことをおすすめします。 遺産に関する資料は基本的には自力で収集しよう 遺産に関する資料は基本的には自力で収集しよう 遺産に関する資料は、基本的に相続人が自力で収集しなければいけません。被相続人が必要な情報をまとめてくれていれば良いのですが、そうとは限らないでしょう。各種口座や不動産など、生前のやりとりや故人周辺の情報から、コツコツと調査を進めていきましょう。 相続人同士で協力して調査を進められれば良いのですが、残念ながら、一部の相続人が情報の開示を拒む可能性も。この場合でも、基本的には自力で調査しなければいけません。必要に応じて弁護士等に相談し、できるだけスムーズに各種資料を収集できるように工夫してみてください。弁護士についてもらえば、財産隠しが発覚したあとの手続きもサポートしてもらえるでしょう。

  • 遺産相続をもっと楽に!「法定相続情報証明制度」を紹介

    遺産相続の手続きを進めていくうえで、「書類の提出が大変」と悩む方は少なくありません。相続手続きの負担を軽減するためには、ぜひ「法定相続情報証明制度」を活用してみてください。 具体的にどういった制度でどのような場面で使えるのか、わかりやすく解説します。制度を利用する場合のデメリットも紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。 法定相続情報証明制度とは? 法定相続情報証明制度とは? 法定相続情報証明制度は、2017年からスタートした新しい制度です。これまでは、各種相続手続きを行うたびに、⼾籍謄本の束を提出する必要がありました。亡くなった人の出生から死亡までの戸籍謄本となると、大量になってしまうケースも少なくありません。相続人と手続きをする部署、双方の負担を削減するために、「法定相続情報⼀覧図の写し」が交付されるようになったのです。 戸籍謄本等と相続関係の一覧図を法務局に提出すると、それをもとに登記官が一覧図に認証文を付した写しを交付してくれます。これまで「戸籍謄本の束」を持ち歩かなくてはならなかったのが、一覧図の写しのみで事足りるように。また法定相続情報証明は必要に応じて何枚でも交付してもらえるため、複数の手続きを同時に進めていくことも可能です。 これまでは「銀行Aで手続きをしたのちに、書類の返却を待って銀行Bの手続きに進む」といった手順が必要でした。法定相続情報証明制度を利用すれば、不動産の相続登記や銀行口座の解約、相続税の申告など、さまざまな相続手続きをスムーズに進めていけるでしょう。このほかにも、保険金の請求や保険の名義変更手続き、有価証券や自動車関連の名義手続きにも利用できる可能性があります。 相続財産に複数の不動産が含まれている場合や、財産の種類が多い場合でも、相続人の手間は最小限にできます。現役世代の方が相続人として各種手続きを進めていく場合、「銀行に行くために何度も仕事を休まなくてはならない」といった事態にもなりかねません。法定相続情報証明制度を使って複数の手続きを一度に進めれば、仕事を休んで動く時間も最小限にできるのではないでしょうか。 法定相続情報証明制度の利用方法は? では法定相続情報証明制度は、どのように利用すれば良いのでしょうか。具体的な手順は、以下を参考にしてみてください。 制度を利用するためには、まず市役所などで以下の書類を収集します。 ・被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本・住民票(除票)の写し・相続人の戸籍謄本・住民票の写し・法定相続情報一覧図の保管の申出書 相続人と被相続人の情報をもとに、法定相続情報一覧図を作成。申出書には、申出人の住所・氏名・連絡先のほか、被相続人との続柄や利用目的、必要な通数といった情報を記載します。申し出の日付も忘れずに記入しておきましょう。 必要な書類を準備したら、法務局で手続きします。以下のいずれかの条件を満たしている法務局で、手続きしてください。 ・被相続人の本籍地を管轄する法務局・被相続人の最後の住所地を管轄する法務局・申出人の住所地を管轄する法務局・被相続人名義の不動産の所在地を管轄する法務局 基本的には、被相続人もしくは申出人に関連する法務局ですから、間違わないようにしましょう。法務局に提出した書類は、登記官が確認したうえで返却されます。内容に誤りがないことが確認されたら、法定相続情報証明が交付されます。 法定相続情報証明交付の申し出は、法定相続人もしくは代理人が行います。自分で手続きしたり、必要書類を作成したりする余裕がない場合は専門家に依頼することも可能。 弁護⼠や司法書⼠、税理士や行政書士のほか、⼟地家屋調査⼠や社会保険労務⼠、弁理士などに依頼できる可能性があるので、ぜひ身近な場所で探してみてください。戸籍謄本等の取得から書類提出までワンストップで対応してくれる専門家に依頼すれば、ほとんど手間もかからないでしょう。 法定相続情報証明制度のデメリットとは? 法定相続情報証明制度のデメリットとは? 遺産相続の手間を省くためにスタートした法定相続情報証明制度。積極的に活用したいところですが、実際にはデメリットもあります。利用を検討する場合は、ぜひこちらもチェックしてみてください。 ★ 法定相続情報一覧図を作成しなければならない 法定相続情報証明制度を利用するためには、申し出時に法定相続情報一覧図を作成しなければいけません。こちらは基本的に、申出人が自分で作成するもの。決まったルールに則って、正確に作成するよう求められます。それなりの手間がかかってしまうでしょう。 専門家に依頼すれば一覧図作成もお任せできますが、専門家報酬が発生します。手間やコストが増えてしまう点が、一つ目のデメリットだと言えます。 ★実際に相続手続きをスタートできるまでに時間がかかる 法定相続情報証明の写しは、申し出後にその場ですぐに発行されるわけではありません。申し出から1~2週間後に受け取ることになるでしょう。 必要書類を受け取ることさえできれば、その後の相続手続きはスムーズに進めていけます。一方で、手続きをスタートできるまでに相応の時間がかかるという点もデメリットです。 ★「手続き不可」と判断されるケースもある 遺産相続の手続きは、多岐にわたります。法定相続情報証明書の発行を受けても、手続きのすべてで利用できるとは限らないでしょう。手続き場所によっては、やはり従来通りの手続きを求められる可能性も。苦労して一覧図を作成して証明書を受け取ったとしても、二度手間になってしまうかもしれません。 法定相続情報証明制度は、相続手続きの数が多い人ほどメリットが大きい制度と言えます。利用料は無料ですし、誰でも手軽に利用できるとはいえ、「自分にとってはメリットとデメリットのどちらが大きいのか?」を冷静に判断する必要があるでしょう。行わなければならない手続きの数が限られている場合、「あえて利用しない」と考えるのも賢い選択です。手続き数が3~4つを超える場合は、十分なメリットを期待できるでしょう。 遺産相続では法定相続情報証明制度の活用も視野に 子育てがひと段落した時期は、自身の終活について考え始める時期。またそれとともに、自分自身が「相続人」の立場で動く場面も増えてくる時期でもあります。相続手続きを少しでも楽にするため、法定相続情報証明制度の活用も視野に入れてみてください。 「制度を利用するべきかどうかさえ悩む…」という場合には、その点も含めて、一度専門家に相談してみるのもおすすめです。今後行うべき手続きの内容についても、第三者の視点で明確なアドバイスをもらえるのではないでしょうか。

  • 遺産相続のトラブルを回避しよう!受取人同士で揉めるポイントを解説

    遺産相続には、トラブルも付き物です。ほとんどの人は「できれば円満に手続きを終えたい…」と思っているでしょうが、遺産の受取人同士ですれ違いが生じてしまうケースも決して少なくありません。 遺産相続のトラブルを回避するためには、受取人同士が揉めるポイントを知り、あらかじめ準備を進めておくのがおすすめです。特に揉めやすいポイントと、「争族」を避けるためのコツを3つ紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。 生命保険金 生命保険金 被保険者が亡くなった際に、まとまったお金を受け取れる生命保険。保険金は、契約時に指定した受取人に支払われます。一般的には、配偶者や子どもを指定するケースが多いでしょう。残された家族の生活を支えてくれるお金ですが、保険金をきっかけにトラブルに発展してしまう事例も少なくありません。 生命保険金は、相続財産とは別で扱われます。指定された受取人以外に支払われることはありませんし、またその権利の主張もできません。「生命保険金以外に残された財産がほとんどない」という場合でも、生命保険金の分配は行われないのです。生命保険の受取人は多額の保険金を受け取れても、そのほかの相続人の手元にほとんど財産は渡らないでしょう。 また仮に、相続財産がある程度残っていた場合でも、「生命保険金の受取」と「相続財産の分配」は別物として考えられます。生命保険金を受け取っている人は、それにプラスして相続財産も受け継げるのです。生命保険金の額によっては、相続人の間に不公平感が生まれやすく、トラブルの原因になってしまいます。 生命保険をきっかけに相続トラブルを引き起こさないためには、相続人同士が納得できる環境を作ることが大切です。生命保険金の受取人がなぜその人に指定されているのか、理由がわかるだけでも納得できる人は多いのではないでしょうか。また遺産分割で受取人以外が多めに財産を受け取れるように調整するのも効果的です。「トラブルになってほしくない」という被相続人の思いを伝えやすくなります。 生命保険金の受取人に対する思いや、遺産分割割合の詳細については、遺言書を残すことで相続人へと伝えられます。具体的にどういった内容にすればトラブルの可能性を減らせるのか、専門家に相談してみるのもおすすめです。 不動産 相続財産の中で、トラブルの原因になりやすいのが「自宅」や「土地」といった不動産です。財産の価値が高額になりやすく、また相続人同士で平等に分配しづらいという特徴を持つ不動産。誰がどのような形で相続するのかで揉めれば、なかなか決着がつかない恐れもあるでしょう。 相続人のうちの1人が相続対象である不動産で生活している場合、これまでどおりの生活を続けるためにも「自分が相続したい」と考えるのは自然な流れです。しかし、その他の財産がほとんどなければ、遺産の大半を、その相続人1人だけが受け取ることになってしまいます。 不動産を受け取る相続人がそのほかの相続人に対して、相応の金銭を支払う方法もありますが、不動産の価値によってはあまり現実的ではない可能性も。「お金が支払えないために、結局不動産を売らざるを得ない」というケースも、実は珍しくないのです。 また反対に、誰も住まない「空き家」が相続トラブルのきっかけになるケースもあります。ほとんど価値のない不動産を相続しても、その後の対処困ってしまうでしょう。「売りたくても売れない」「管理の手間ばかりがかかってしまう」となると、相続人同士で該当物件の押し付け合いになってしまう恐れもあります。 こうしたトラブルを回避するためには、生前にきちんと話し合っておくと効果的です。不動産を誰に相続させたいと考えているのか、被相続人の立場で明らかにし、生前から理解を求めておきましょう。「なぜそうしたいのか?」という自身の気持ちも、伝えておくと安心です。 不動産を受け継ぐ相続人も、時間があれば代償として支払う金銭を用意できる可能性があります。寝耳に水の相続にならないよう、あらかじめ準備を整えておきましょう。 相続人同士の関係性 相続人同士の関係性 遺産相続でトラブルには、相続人同士の関係性も関わってきます。 ・もともとあまり仲が良くない・ほとんどやりとりしたことがない・他の相続人に内緒にしている相続人が存在している このような場合、相続人同士のやりとりがうまくいかず、トラブルに発展してしまう恐れがあります。 遺言書が残されていない場合、誰が相続人になるのかは、被相続人との関係性によって違ってくるでしょう。「配偶者と子ども」というケースが一般的ですが、子どもがいなければ孫が相続権を受け継ぎます。直系卑属にあたる人がいない場合、相続権は親もしくは直系尊属、そして被相続人の兄弟姉妹やその子どもへと移っていくのです。子どもや孫がいない場合、被相続人の甥や姪が相続人になる可能性も。普段あまりやりとりしていない場合、遺産分割協議を進めるのも一苦労です。 相続人同士の仲が悪ければ、それぞれの立場を考慮して結論を出すのは難しいかもしれません。どこまで話し合っても平行線で、時間ばかりがかかってしまう恐れもあるでしょう。 相続人同士の関係性に不安がある場合には、遺産分割協議は避けた方が良いでしょう。法的に有効な遺言書にて相続の内容を指定しておけば、相続手続きは基本的に、そのとおりに進められます。相続人同士が集まって話し合う必要もありません。 遺言書による相続対策が必要なのかどうか確かめるためには、まずは「自分の場合は誰が相続人になる可能性があるのか?」という点を、明らかにするのがおすすめです。その結果を踏まえて、どうすればトラブルを回避できるのか検討してみてください。遺言書に何をどう記すべきか悩んだときには、司法書士や弁護士など、遺言書作成についてアドバイスしてくれる専門家にサポートしてもらいましょう。 相続トラブル回避のポイントは主に「遺言書」にあり 相続トラブルの原因になりやすい理由の一つは、「不公平感」にあります。相続人同士が納得できるのが一番ですが、残念ながら難しいケースもあるでしょう。特に生命保険金や不動産は不公平感の原因になりやすいですし、相続人同士の関係性によっては、「見た目だけの公平では納得できない」という可能性も考えられます。 こうしたトラブルの種を把握した上で、相続人を納得させられる遺言を残せれば、相続トラブルを回避できる可能性も高まります。また、自身の思いを正直に伝えておくことも重要です。普段から遺産相続について情報共有しておくだけではなく、ぜひエンディングノートや遺言書についても活用してみてください。

  • 両親が死亡した場合の遺族年金受取人は誰?子どものためにできることは?

    家族が亡くなったときには、遺族年金の受取人になれる可能性があります。両親が共に死亡した場合、子どもは遺族年金を受け取れるのでしょうか。未成年が遺族年金を受け取る場合の注意点や手続き方法、親の立場で子どものためにできることも解説します。 遺族年金とは? 遺族年金とは、国民年金や厚生年金に加入していた被保険者が亡くなった際に、その家族に支給される年金を指します。国民年金に加入していた場合は遺族基礎年金、厚生年金に加入していた場合は遺族厚生年金の受取人になれる可能性があるでしょう。どちらにも加入していて、それぞれの受給要件を満たしていれば、両方とも受給できます。 遺族基礎年金は、亡くなった方によって生計を維持されていた「子のある配偶者」または「子」が受取人です。この場合の「子」とは、18歳になってから最初に年度末を迎えるまでの人(もしくは20歳未満で障害年金の障害等級1級または2級の状態にある人)を指します。遺族厚生年金は、遺族基礎年金よりも受給要件が緩く、親を亡くした子どもは受給要件を満たす可能性が高いでしょう。 両親が共に死亡した場合の遺族年金は? 両親が共に死亡した場合、生前に親が国民年金や厚生年金に加入していれば、子どもは受取人になれる可能性が高いでしょう。子どもが受取人になる場合の、遺族基礎年金・遺族厚生年金の受給金額は、それぞれ以下のとおりです。 【遺族基礎年金】 79万5,000円(2人目の加算額:22万8,700円、3人目以降の加算額:7万6,200円) 【遺族厚生年金】被保険者が加入していた老齢厚生年金の、報酬比例部分の4分の3の金額 子どもが複数人いる場合には、受給できる金額を合計して、人数で割った金額が1人分の受給金額です。 遺族基礎年金で受給できる金額は定額ですが、遺族厚生年金は被保険者の生前の加入状況によって違ってきます。両親が共に亡くなってしまった場合、子どもは「両方の遺族年金を合算して受給できる」というわけではありません。父親と母親、受給金額が多いどちらか一方のみを選択して受給することになります。どちらを選ぶのか決定したら、最寄りの年金事務所にて手続きしてください。 未成年者の各種手続きに必要なのは? 両親が亡くなってしまった場合、子どもが遺族年金を受給するためには、各種手続きを進めていく必要があるます。とはいえ、未成年の子どもが自分で手続きすることはできません。亡くなった親に代わって親権を獲得した人や未成年後見人が、子どもの代理で手続きを進めます。 未成年後見人とは、未成年者に代わって法的契約を結んだり、その財産を管理したりすることを認められている人。親権者がいない場合に、未成年者の利益や権利、そして財産を保護する目的で各種権限を保有しています。親が亡くなったあと、未成年の「親代わり」と言っても良い重要な存在ですが、誰でもすぐになれるわけではありません。未成年後見人を選任するためには、まずは家庭裁判所への申し立てが必要に。未成年者本人もしくは親族が手続きします。 未成年後見人は、家庭裁判所が決定します。親族が選任されるケースもあれば、弁護士や司法書士といった専門家が選任されるケースも。それぞれの子どもの状況を見極めて、最善だと認められる人が未成年後見人に選任される仕組みです。 未成年後見人が選任されたら、子どもの代理人として遺族年金の受給手続きを進めていけるでしょう。支給された遺族年金も、未成年後見人の手で管理されます。幼い子ども自身が動かなければならない場面はありませんので、安心してください。 親として子どものためにできることは? 親として子どものためにできることは? 両親が共に死亡してしまった場合、遺族年金が受け取れるとはいえ、子どもの負担は非常に大きなものになってしまうでしょう。万が一のときでも、子どもの生活をできる限り守るため、未成年後見人を事前に指名しておくのがおすすめです。 先ほど「未成年後見人は家庭裁判所で選定される」とお伝えしましたが、両親が遺言書であらかじめ指定していた場合、その限りではありません。遺言書で指定されていた人が市町村役場で所定の手続きを終えるだけで、後見人として動けるようになります。両親が死亡したあとのさまざまな手続きについても、法的な立場をもって素早く対処していけるでしょう。 未成年後見人を事前にしておくメリットは、ほかにもあります。後見人に指定したい人に対して、両親からあらかじめ話を通しておけるでしょう。信用できる相手を自分で選定できますし、「万が一のときには○○してほしい」と、あらかじめ希望を伝えておくことも可能です。依頼される側としても心の準備ができますし、いざというときには、すぐに行動に移せるのではないでしょうか。子どもの精神面での安定にも役立つはずです。 遺言書で未成年後見人を指定する場合、家庭裁判所は介入しません。同時に未成年後見監督人も指定し、子どもの財産や身上監護上のチェックができる体制を整えておくのがおすすめです。 子どもが遺族年金を受け取る場合のリスクとは? 両親が共に亡くなり、子ども自身が遺族年金を受け取る場合、実際にその財産を管理するのは未成年後見人です。親族等がその役割を担う場合、子どもの財産を私利私欲のために使ってしまう恐れがあります。 本来であれば、子どもの利益を保護するために選任される未成年後見人。本来の役割を果たしていなかった場合でも、子ども自身がその事実にすぐに気付くのは難しいでしょう。特に遺言書で未成年後見人を指名する場合、チェック体制が働きにくいという点も知っておいてください。誰に依頼すれば、子どもの財産を適切に管理してくれるのか、親として厳しい目で判断することが大切です。 子どもも遺族年金の受取人になれる 子どもも遺族年金の受取人になれる 両親が死亡した場合、遺族年金の受取人は子どもです。どちらか一方の遺族年金を選択する必要はありますが、子どものその後の生活を支える助けとなってくれるでしょう。 一方で、未成年である子どもに年金受給のための手続きはできません。未成年後見人を選定し、子どもの代理人として手続きをし、大人になるまでの間は適切に財産管理をしてもらわなくてはならないでしょう。 親として、万が一のときのためにできるのは、「信頼できる相手を見つけ、未成年後見人になってもらえるようあらかじめお願いしておくこと」です。きちんと準備を整え、自身の思いも伝えておきましょう。両親に万が一のことがあった場合、子どもがどういった状況になるのかを想定した上で、何が必要なのか検討してみてはいかがでしょうか。

  • 遺産整理に便利なサービスとは?利用の際の注意点も紹介

    さまざまな手間と多くの時間が必要となる相続手続き。きちんとやるべきとわかってはいても、「現実的に余裕がない…」と悩んでいる方も多いのではないでしょうか。こんなときに頼りにできるのが、遺産整理に関する各種サービスです。遺産整理サービスの内容や利用時の注意点など、ぜひ参考にしてみてください。 遺産整理サービスとは? 遺産整理サービスとは? 遺産整理とは、相続の対象となる財産を明らかにし、必要な手続きを行うことを言います。ひと言で「遺産」と言っても、その内容はさまざまです。現金もあれば不動産もあるでしょう。プラスの資産だけではなく、マイナスの資産が相続財産に含まれる可能性もあります。 相続スタート時点で、どのような財産がどの程度残されているのか、正確に把握できているケースは少ないでしょう。まずは必要な情報を収集し、それぞれの財産について適切な手続きを終えることが重要です。残された遺産が多く、複雑であれば、必要な手間や時間は膨大なものになってしまうでしょう。相続人の負担を軽減する目的で提供されているのが、遺産整理サービスなのです。 遺産整理は、以下のような流れで進められます。 1.遺言書が残されているかどうか確認する2.相続人の範囲を確定する3.相続財産の詳細を調べる4.遺産分割協議で相続の内容を決定する(※遺言書がない場合)5.具体的な相続手続きを行う(各種名義変更や遺産分配など)6.必要に応じて相続税を申告・納付する 遺産整理は、相続人だけで進めることも可能です。自分たちではどうにもならないポイントだけを、それぞれの専門家にサポートしてもらうのも良いでしょう。たとえば、相続の内容を巡って相続人同士で揉めごとに発展した場合、弁護士がサポートしてくれます。不動産の名義変更なら司法書士、相続税申告なら税理士が助けになってくれるはずです。 遺産整理サービスを利用した場合、これらの手続きを一括してお任せできます。相続に必要な手続きを一から丁寧にサポートしてもらえますし、必要に応じて各種士業との連携も可能。遺産整理の専門家が各種手続きを代行してくれるため、相続手続きにかかる時間や手間も軽減できるでしょう。 遺産整理サービスを提供しているのは? 遺産整理サービスは、相続手続き代行サービスとも呼ばれています。具体的には、以下のような企業や事務所がサービス提供を行っています。 ・司法書士事務所・行政書士事務所・弁護士事務所・信託銀行 遺産整理サービスは、提供元によってサービス名が異なります。気になるサービスを見つけたら、具体的に何をどこまで依頼できるのか確認するようにしてください。費用体系についても、契約前にチェックしておくと安心です。 実際に担当者と会って話を進めていくサービスもあれば、ほとんどすべての手続きをウェブ上の手続きと郵送で終えられるサービスもあります。どちらにもメリット・デメリットがありますから、自分に合ったタイプを選んでください。 遺産整理サービスを利用した方が良い人とは? 遺産相続がスタートした段階で、「遺産整理サービスを利用した方が良いのか?」と悩む方も少なくありません。サービスの利用を積極的に検討した方が良いのは、以下の条件に当てはまる方々です。 ・そもそも何からスタートすれば良いのかわからない・できるだけ手間をかけずに手続きを終えたい・相続財産や相続人の関係性が複雑である・相続人同士の関係性が良くない・平日の昼間に動くのが難しい 遺産相続には、さまざまな手続きが関係してきます。自分にとって何がベストなのか、そのために何からスタートすれば良いのかわからないときには、自己流で動くよりもプロの意見に耳を傾けるのがおすすめです。遺産整理全般をサポートしてくれるサービスであれば、「そもそも何を相談すれば良いのかわからない」という状態からでも、適切にサポートしてくれるでしょう。 また相続手続きに必要な書類を収集したり、提出したりするためには、平日の昼間に動かなければならない場面も少なくありません。仕事や介護、子育てなどで時間に余裕がない場合も、ぜひサービスの利用を検討してみてください。面倒な作業をお任せできます。 遺産整理サービスを利用する際の注意点3つ 忙しい方や、手間なく確実に相続手続きを終えたい方に人気の遺産整理サービス。実際に利用を検討する際に、注意したいのは以下の3点です。ぜひ確認してみてください。 ★1.提供元によって得意・不得意がある 遺産整理サービスとは、遺産相続手続きをトータルで代行してくれるサービスのこと。しかし提供されるサービス内容は、どこも同じというわけではありません。提供元によって、得意な分野・不得意な分野は異なるのです。 たとえば、銀行が提供する遺産整理サービスを利用した場合、預金や信託財産に関する手続きはスムーズに対応してもらえるでしょう。一方で、司法書士や行政書士が対応する分野については、「いったん銀行で受け付けた上で、提携先の士業に連絡する」といった対応が一般的。結果が出るまでにやや時間がかかり、オプション費用が発生する可能性もあるでしょう。 遺産整理サービスを利用する際には、何を重視したいのかをぜひ意識してみてください。重視したい分野を得意とする遺産整理サービスを見つけられれば、満足度も高くなります。 ★2.料金体系の確認は必須 遺産整理サービスの料金体系は、提供元によって大きく異なります。すべての手続きをパッケージ化して料金を設定しているところもあれば、一部オプション料金で対応しているところも。自分たちに必要なサービスだけを選び、その分だけ料金が加算されるようなケースもあります。自分が希望するサービスを受けるためには、具体的にどれぐらいの費用がかかるのか、契約前に明らかにしておきましょう。 銀行の中には、一定条件を満たしていれば優遇料金で対応してくれるところもあります。こうしたサービスにもぜひ注目してみてください。 ★3.無料相談で相性を見極めよう 遺産整理サービスを利用する際には、担当者との相性も確認しておくと安心です。亡くなった人の大切な遺産の整理をお任せするわけですから、気持ちよく手続きを終えたいもの。そのためには、円滑なコミュニケーションが必須です。 サービス利用前には、無料相談を活用してみてください。具体的に何をどこまでお願いできるのか確認するとともに、担当者との相性や対応力についても、チェックしておくと安心です。 遺産整理サービスを知り利用を検討してみよう 遺産整理サービスを知り利用を検討してみよう 40代から50代を迎えると、自分自身が相続人の立場になる方も増えてくるでしょう。まだまだ忙しい現役時代。すべてを自分で行うのが難しい場合、遺産整理サービスの利用も検討してみてください。

  • 遺族年金の受取額は子供の年齢に応じて変わる!基礎知識を身につけよう

    一家の働き手であった家族が亡くなったとき、残された人々の生活は非常に厳しくなってしまうでしょう。子供がいる世帯にとっては、その将来にまで影響を及ぼしかねません。こうした人々を支えるため、用意されているのが遺族年金の制度です。子供の年齢に応じて受取額が変わるため、事前に知識を身につけておきましょう。 遺族年金とは? まずは遺族年金の基本について学んでおきましょう。遺族年金とは、国民年金や厚生年金に加入していた人が亡くなった際に、その人によって生計を維持されていた家族が受け取れる年金のこと。年金加入者が亡くなった際に、その家族が路頭に迷う恐れがないよう、整備されている制度です。 国民年金に加入していた場合に、対象となる可能性があるのは遺族基礎年金です。厚生年金に加入していた場合は、遺族厚生年金の対象となります。どちらを受給する場合も、指定されている条件を満たしている必要があります。 遺族基礎年金を受け取れるかどうかは、「子供の年齢」によって違ってくるでしょう。子供がいない場合、残念ながら対象外です。一方、遺族厚生年金はより幅広い家族が受給できます。子供の有無や子供の年齢にかかわらず受給できる可能性があるため、ぜひチェックしてみてください。遺族基礎年金と遺族厚生年金の両方の受給資格を満たしている場合、両方の年金を受け取れます。生活を安定させるため、役立てましょう。 遺族年金と子供の年齢に関係性は? 遺族年金と子供の年齢に関係性は? 遺族年金の受給には、子供の年齢が深く関わっています。遺族基礎年金と遺族厚生年金、それぞれの関わり方は以下を参考にしてみてください。 ★遺族基礎年金の場合 遺族基礎年金の受給資格を持つのは、「子供を持つ配偶者」もしくは「子供」のいずれかです。この「子供」には、「18歳になった年度の3月31日までにあたる」という条件があります。一般的には「高校卒業のタイミングまで」と言えるでしょう。 子供が障害年金の障害等級1級または2級に認定されている場合、年齢条件は「20歳」へと変更されます。通常の場合と比較して、2年間長く遺族基礎年金を受給可能です。 遺族基礎年金は、子供が年齢条件を満たさなくなった場合に支給が打ち切られます。このため、受給開始時点で子供が何歳であったのかによって、支給総額が変わってくるでしょう。0歳のときに受給対象になれば、その分受給できる期間が長くなります。これは、遺族基礎年金の目的が「18歳未満の子供の養育を支えるため」である点に関連しています。 ちなみに、令和4年4月からの遺族基礎年金の支給額は以下のとおりです。 【子供を持つ配偶者が受取人になる場合】 777,800円+子共の加算額/年 【子供が受取人になる場合】 777,800円+2人目以降の子の加算額/年 1人目および2人目の子供には、1人あたり年223,800円が加算されます。3人目以降の子供は、1人あたり年74,600円です。子供が受取人になる場合、上の計算式で求められた金額を子供の数で割った額が、1人あたりの受給金額になります。 ★遺族厚生年金の場合 遺族厚生年金は、亡くなった方に生計を維持されていた方の中で、以下の人々に受給資格が認められています。 第1順位 妻第2順位 子供第3順位 55歳以上の夫第4順位 55歳以上の父母第5順位 孫第6順位 55歳以上の祖父母 受給資格が認められる人のうち、もっとも順位の高い人に支給される仕組みです。 妻に次いで高い順位となる子供ですが、ここにも年齢制限があります。具体的には、遺族基礎年金と同じ「18歳になった年度の3月31日までにあたる」人。障害等級1級または2級の状態にある場合、20歳未満まで認められています。この年齢条件を満たさない場合、順位は次へと移ります。ちなみに、第5順位にあたる孫にも、同じ年齢条件が適用されるため、条件を満たすかどうか慎重に判断してみてください。 もっとも高い順位にある妻ですが、年齢条件を満たす子供がおらず、自身が30歳未満の場合は受給期間が5年間と制限されます。こちらも併せてチェックしてみてください。 遺族厚生年金で受給できる金額は、被保険者が生前に支払った保険料によって異なります。平均標準報酬月額と被保険者期間から求められるため、「毎月の給与が多く、年金加入期間が長い人ほど多くの年金を受け取れる」という仕組みです。 子供が年齢条件を満たさなくなった場合の手続き方法は? 子供が年齢条件を満たさなくなった場合の手続き方法は? 遺族基礎年金も遺族厚生年金も、子供の年齢によって支給状況が違ってきます。子供が18歳を迎えたのち、年度が切り替わったタイミングで遺族年金の支給はストップされるでしょう。 通常、遺族年金の受給権を失ったときには「遺族年金失権届」を提出する必要があります。ただし子供の年齢条件によって受給権を失った場合、この手続きは必要ありません。年金事務所や年金センターで特別な手続きをしなくても、自動で支給はストップするので安心してください。 子供が複数人いる場合、年齢条件を満たさなくなった人は自動的に受給対象から外されます。年齢条件を満たす子供分のみで計算され支給される仕組みです。受給対象の子供がすべていなくなった時点で、遺族年金は受給できなくなります。 子供の年齢が18歳未満でも遺族年金を打ち切られる場合とは? 子供の年齢が18歳未満でも、以下の条件に当てはまる場合、遺族年金の受給資格を失います。年金を打ち切られてしまうので注意してください。 ・亡くなった場合・結婚した場合・直系血族または直系姻族以外の方の養子になった場合 受給権を持つ人が亡くなれば、受給資格は失います。その資格を、別の人が受け継ぐことはできません。18歳未満の子供がいることで遺族基礎年金の受給資格を満たしていた配偶者も、子供が亡くなれば年金は受給できなくなってしまいます。 子供自身が結婚した場合や、養子に出た場合も、遺族年金は打ち切られます。結婚すれば一人前と扱われますし、親の遺族年金で生活を支える必要はなくなります。直系血族または直系姻族以外と養子縁組をした場合も、新たに生活の場が整うため、受給資格を失うでしょう。 遺族年金と子供の年齢の関係性を理解して手続きを 幼い子供を残して一家の大黒柱が亡くなれば、「今後の生活をどうするべきか…」と悩む方も多いでしょう。こんなときには、遺族基礎年金や遺族厚生年金が残された家族の生活を支えてくれます。実際に遺族年金を受給できるかどうかは、子供の年齢によって違ってきます。18歳未満かどうかが鍵となりますから、ぜひチェックしてみてください。子供の年齢条件も理解した上で、手続きや事前準備を進めてみてください。

  • 親が残す資産は事前に把握しておこう!知らない場合のリスクを解説

    子どもが生まれ、自身の生活基盤が整った際に、考えておきたいのが「親が残す資産」についてです。今すぐというわけではなくても、相続はいずれやってくる問題。そのときになって慌てないためには、事前の情報把握が重要です。親が残す資産を把握する方法や、知らない場合に考えられるリスクについて解説します。 親の資産がわからない人は意外と多い 親の資産がわからない人は意外と多い 自身の終活について積極的に考える方は増えていますが、「親がどのような資産を持っているのか詳しく知らない」という方は、まだまだ珍しくありません。親が残す資産の内容は、多岐にわたります。投資ブームの今、株式投資や不動産投資に取り組む方も増えているでしょう。子どもが把握していない不動産を所有している可能性もあります。 親がどのような資産を残すか把握していなければ、何の準備も整えられないまま相続のときを迎えることになってしまうでしょう。「まだまだ先だから…」と思いがちですが、相続のタイミングがいつになるのかは誰にもわかりません。知らない場合のリスクとしては、主に以下の3つが挙げられます。 ★1.相続税の準備ができない 親が残す資産額によっては、相続税が発生する可能性も。相続する資産の中から相続税を賄えれば良いのですが、実際にはそれが不可能なケースもあります。 たとえば親が残す資産のほとんどが不動産である場合、相続税は相続財産以外から調達しなければいけません。相続税が支払えない場合、不動産を売却しなければならない可能性もあります。仮にそれが「現在家族で暮らしている自宅」であれば、相続をきっかけに住む場所を失うことにもなりかねないのです。 親が残す資産額やその内訳を知っていれば、 ・相続税が発生しそうな状況なのか?・相続税の負担がどの程度になるのか? これらの情報を把握できるでしょう。相続税の支払いに向けて、計画的に準備を進められるはずです。 ★2.病院代や葬儀費用の清算で困る可能性がある 親の資産がわからないまま相続のときを迎えたとしても、各種手続きは待ってはくれません。病院代の清算から葬儀費用の支払いまで、多額の現金が必要になる場面は、決して少なくないのです。親が残す資産がわからなければ、子どもが立て替えることにもなりかねません。 親がどこにどの程度の資産を持っているか知っていれば、落ち着いて対応できます。自宅にタンス預金があれば、相続人同士の話し合いの末、支払いに充てることもできるでしょう。 どの銀行口座にどの程度の資産を残しているのか知っていれば、被相続人が亡くなる前に現金を引き出せる可能性もあります。口座名義人の死亡により凍結されたとしても、仮払い制度の利用により、素早く現金を用意できるはずです。 「すぐにでも現金が必要になる!」といった場面で、親の資産について一から冷静に調査するのは難しいでしょう。事前に知っていれば、いざというときでも落ち着いて対処できます。 ★3.遺産分割協議で揉めるリスクがある 相続が発生し、遺言が残されていない場合に必要なのが遺産分割協議です。相続人が複数人いる場合、誰が何を相続するのかで揉めるリスクがあります。 たとえば「遺産のほとんどが不動産で相続人のうち1人が居住している」という場合、どのように遺産を分割するべきか悩むケースも多いでしょう。親族間トラブルを防ぐためにも、親の資産をできるだけ早く把握し、相続人全員が納得できる形で相続の大枠を決めておくのがおすすめです。 被相続人が生きている間であれば、どのような想いで遺産分割を考えているのか、直接聞けます。遺産分割協議で突然知らされるよりも、心の準備ができるでしょう。 親が残す資産を把握する方法とは? 相続にまつわる親族間トラブルは、決して少なくありません。誰にとっても他人事ではないからこそ、親の資産を早めに把握し、必要な対策を講じておくことが大切です。とはいえ、「親が残す資産について話すのは抵抗がある…」と感じる方も多いのではないでしょうか?具体的にどうやって把握すれば良いのか、3つの方法を紹介します。 ★1.相続税をきっかけに聞いてみる 平成27年に、相続税の基礎控除に関するルールが変更されました。それまでよりも基礎控除額が減り、相続税を課税されるケースが増加しています。こうした状況を解説するとともに、親が残す資産について自然に聞いてみてください。 相続税の基礎控除額は、「3000万円+(600万円×法定相続人の数)」で求められます。親が残す資産がこの範囲に収まるのかどうかがわかるだけでも、子どもの負担は軽減できるでしょう。相続税をきっかけに、具体的にどのような資産が残される予定なのかどうか、ざっくりとした話だけでも聞いておくと安心です。 ★2.遺言書やエンディングノートをすすめてみる 親の資産について直接聞くのが難しい場合、終活の一環として、遺言書やエンディングノートの作成をおすすめするのもおすすめです。遺言書やエンディングノートを作成する場合、親自身が残す予定の資産を把握しなければいけません。その過程で、「子どもに伝えておくべき内容」をはっきりと理解する方も少なくありません。 実際に親が遺言書やエンディングノートを作成し始めたら、子どもに対してアドバイスを求める場面もあるかもしれません。無理をせず、少しずつ内容を聞いてみてください。 ★3.家族が集まる機会に話し合いの場を持つ 親が残す資産について聞きたいと思ったら、その他の相続人と協力するのもおすすめです。子どもの立場で相続人になる場合、兄弟姉妹と一緒に、親の話を聞いてみましょう。1人だけではなく、相続人全員で話をすることで、心理的な負担を軽減できる可能性があります。 お盆やお正月は、親族が集まる良い機会と言えるでしょう。親が残す予定の資産についても、話をしてみてはいかがでしょうか。 親が残す資産を知って相続対策を 親が残す資産を知って相続対策を 相続にまつわるトラブルは、決して少なくありません。「自分だけは大丈夫」と考えるのは危険です。あらゆる事態を想定して、生前から準備を進めておくことで、回避できるものも多いでしょう。親がどんな資産を残すのか知ることは、その一歩だと考えられます。 「あてにしていると思われたくない」という気持ちから、親の資産について、聞きづらい…と感じる方は少なくありません。だからこそ、なぜ知りたいのか、知らなかった場合に将来どのようなリスクが発生するのか、親に対してていねいに説明してみるのもおすすめです。親子間のコミュニケーションが深まれば、相続対策の幅はより一層広がります。親自身の生活を守るためにも、意思疎通を心掛けてみてください。

  • 遺産相続で成年後見人が必要な場合とは?成年後見制度の基本とともに解説

    遺産相続をスムーズに進めていくため、身につけておきたい知識の一つが「成年後見制度」についてです。遺産を相続する際に、成年後見人が必要になるケースとはどのようなものなのでしょうか?制度の基礎知識とともに、手続き方法についても解説するので、ぜひチェックしてみてください。 成年後見制度とは?基礎知識を身につけよう 成年後見制度とは?基礎知識を身につけよう まずは成年後見制度の基本について学びましょう。成年後見制度とは、判断能力が著しく低下している人の代わりに後見人が立ち、本人に代わって財産管理や契約の支援を行える制度のこと。判断能力が低下した人の保護を目的にしています。 認知症や知的障害、精神疾患を抱えている人は、財産管理や各種契約において、不利益を被りがち。利益と不利益をより正確に判断するため、成年後見人がサポートする仕組みです。制度を利用して後見人が決まったら、本人や家族であっても、後見人の同意なしでは財産の移動や各種契約が不可能になります。たとえ本人が勝手に契約を結んでしまったとしても、成年後見人であればそれを覆すことが可能です。 とはいえ、成年後見制度も万能ではありません。医療行為における同意や、結婚・養子縁組、離婚といった判断は認められていないのです。また、「介護が必要な場合にヘルパーを契約する」のは可能でも、成年後見人が自ら介護を行うことはありません。できる行為、できない行為をしっかりと把握した上で、制度を利用するべきかどうか判断しましょう。 相続で成年後見人が必要なケースとは? 遺産相続で成年後見人が必要なのは、「相続人の中に判断能力が著しく人」がいるケースです。相続手続きを進めていくためには、遺産分割協議を行う必要があるでしょう。協議では、相続人全員の同意が必要に。判断能力が低下した人が1人でも含まれている場合、分割協議そのものが進まなくなってしまいます。 仮に「判断能力が低下した状態のまま、遺産分割協議書を取り決めた」としても、協議そのものが無効と判断されてしまいます。たとえ家族であっても、遺産分割協議書への勝手なサインや押印は、犯罪になる恐れがあるので注意しましょう。本人が相続放棄すれば、その他の相続人で協議を進めることはできますが、判断能力や認知能力が低下した状態ではそれさえ難しいのが現実です。成年後見人がいれば、成年後見人のサポートのもとで、相続手続きを進めていけます。負債の方が多い場合、相続放棄の手続きも取れるでしょう。 一方で、相続人の中に判断能力が低下した人がいても、成年後見人が必要ないケースもあります。被相続人が生前に遺言を残していて、遺産相続の詳細や遺言執行者を指定していた場合が、こちらにあたるでしょう。 相続が発生した時点で誰に何を相続させるのか明らかになっていれば、遺産分割協議をする必要はありません。相続手続きもスムーズに進めていけます。判断能力が低下した人に財産を相続させたい場合でも、遺言執行者がいれば問題はありません。本人に代わって、相続に必要な手続きを済ませられるはずです。 判断能力が低下している人が相続人になると予想される場合、早めに準備を進めておくのもおすすめです。相続手続きがスタートする前であれば、「本当に成年後見制度が必要なのか?」「制度を利用しなかった場合にどのような不利益が予想されるのか?」といった点について、じっくりと考えられるでしょう。親族間で相談しながら、判断するのもおすすめです。 成年後見人を選任するための手続きは? 相続が発生したあとに、判断能力が低下した人のために成年後見人を選任する場合、親族や相続人が、家庭裁判所に成年後見人の選任を申し立てましょう。すでに判断能力が低下している人の後見人を定める場合、誰が後見人になるのか、判断するのは家庭裁判所です。家族だからといって、自由に後見人になれるわけではないという点を、頭に入れておきましょう。 申し立て時に後見人候補者を立てることはできても、確実に選ばれるとは限りません。本人にどの程度のサポートが必要になるのか、家庭裁判所の判断のもとで決定されます。家族以外の、第三者の専門家が選ばれるケースもあります。専門職に就く人が成年後見人を務めることに決まった場合、報酬を支払わなくてはいけません。司法書士や弁護士に依頼した場合の報酬相場は、月に3~5万円と言われています。 成年後見人になるためには、特別な資格は必要ありません。ただし相続手続きのために成年後見人を選任する場合、「同じ相続人の立場にあたる人は、成年後見人にはなれない」という点に注意しましょう。相続人同士で後見人・被後見人という関係性になると、後見人が自分の利益を追求し、被後見人の利益を阻害する可能性があるためです。 この場合、特別代理人の選任を家庭裁判所に申し立てる必要があるでしょう。特別代理人が必要かどうかは、状況によって異なります。具体的な条件については、相続手続きの専門家に相談するのがおすすめです。 成年後見人を選定する場合の手続き方法 成年後見人を選定する場合の手続き方法 相続手続きを進めるために成年後見人を選定する場合、以下の方法で手続きを進めていきましょう。 1.後見人を必要とする人の所在地にて、家庭裁判所に申し立てをする2.家庭裁判所にて審理が行われる3.成年後見人が選定される4.成年後見がスタートする 後見人を選定するための手続きでは、本人の判断能力の診断が必要です。かかりつけ医などに依頼し、状態を説明できるよう準備しておきましょう。また申し立てに必要な、その他の書類も収拾します。 家庭裁判所の審理では、申立人や後見人候補者はもちろん、本人との面接も行われます。親族の意向も確かめられるでしょう。これらの情報を総合的に判断し、「後見人が必要である」と判断されれば、後見人を選任します。審判の結果が送付されたあと2週間が経過したら、その内容が法務局に登記され、成年後見制度の利用がスタートします。 遺産分割協議を始められるのは、そのあとのこと。相続税の申告・納税期限を考えると、時間的な余裕はあまりありません。必要かどうかを素早く見極め、家庭裁判所に申し立ててください。 遺産相続で成年後見人が必要な場合を知って素早く対応しよう 遺産相続において、認知症などが原因で判断能力が低下した人が相続人に含まれる場合、成年後見制度の利用を検討してみてください。「遺産分割協議が進まない…」と悩む恐れもなくなるはずです。 実際に成年後見人が決まり、相続手続きを進められるようになるまでには時間がかかります。できるだけ早く動き出すことで、相続手続きをスムーズに進めやすくなるでしょう。

  • 遺産として残された預貯金は引き出せない?対処法と手続きの流れ

    身近な人が亡くなった際に、トラブルになりやすいのが「被相続人名義の預貯金の引き出し」についてです。預貯金や遺産として扱われるため、取り扱いには注意しましょう。「遺産として残された預貯金は引き出せない」と言われていますが、実際のところはどうなのでしょうか。対処法や必要な手続きについて詳しく解説します。 預貯金が引き出せなくなるのは口座が凍結されるから 亡くなった人の口座からお金が引き出せなくなるのは、該当の口座が凍結されるからです。これは、銀行側が相続トラブルを避けるために行っている措置。特定の相続人だけが遺産を独り占めしないよう、「銀行側が死亡を確認した時点で口座を凍結する」と定められています。 銀行側が口座名義人の死亡を知るきっかけはさまざまです。 ・家族からの連絡・新聞に掲載されるお悔やみ欄・担当する行員からの連絡 「死亡届を提出すると自動的に銀行に連絡がいく」というのは誤解です。また、名義人死亡に伴う口座の凍結について、銀行側が相続人に対して通知することはありません。「気づいたときにはすでに凍結されていた…」という事態も、決して少なくないでしょう。いつ口座が凍結されてしまうかわからないからこそ、亡くなる瞬間が近づいてきたら、ある程度の準備を整えておく必要があります。 凍結されない場合も預金の取り扱いには注意が必要 相続人が口座名義人の死亡を知らせず、銀行側もその情報を得ていない場合、口座は凍結されません。ATMとキャッシュカード、暗証番号さえあれば、生前と同じように預金を引き出せるでしょう。 葬儀代やその他の出費に対応するため、亡くなった人の口座からお金を引き出すケースは決して少なくありません。それ自体が、何らかの罪に問われるわけではないでしょう。 ただし、安易な出金が、後々の相続トラブルに発展しやすいのも事実です。亡くなった人の預貯金は遺産の一部。特定の相続人が、よくわからない目的で多額の現金を引き出していたら、「預金を独り占めしようとしている」と思われても仕方がないでしょう。トラブルを避けるためには、細心の注意を払って行動する必要があります。 病院代の清算や葬儀で必要なお金を捻出する目的であれば、何にいくら必要だったのか、わかるようにして管理してください。請求書や領収書、必要なメモ書きとともに保管すれば、その他の相続人も納得しやすくなるでしょう。その他の目的で預貯金を引き出したい場合、相続分に留まる範囲で行動しましょう。「自身の取り分から先払いで受け取った」と説明し、相続手続きを進めていけば、問題が起きる可能性は低くなります。 自分一人で隠しておくのではなく、その他の相続人に対して、「どのような目的でいくら出金するのか」を明らかにしておくのもおすすめです。お金の流れをできるだけ明らかにしておくことで、生前の口座管理やその他の出金について、余計な誤解を防ぐ効果が期待できます。 口座が凍結された場合の対処法は? 銀行側が名義人死亡の事実を把握し、口座が凍結された場合、各金融機関にて相続手続きを進めていく必要があります。必要な手順さえ踏めば、凍結は解除され、口座解約とともに預貯金が引き出されます。金融機関から必要な書類の説明を受け、準備したのちに郵送しましょう。 被相続人が遺言書を残していれば、その内容をもとに相続手続きを進めていきます。遺言書の原本や謄本が必要になるので準備してください。残された遺言が自筆証書遺言であった場合、家庭裁判所の検認済証明書も必要に。手続き完了までには少し時間がかかるため、できるだけ早く動き出すのがおすすめです。 遺言書がなかった場合、相続人同士の話し合いで遺産分割協議書を作成するケースもあるでしょう。この場合は、遺産分割協議書を金融機関に提出します。 このほかにも、被相続人や相続人の戸籍謄本、相続人全員の印鑑証明書、所定の届出書など、必要書類は決して少なくありません。相続人それぞれの思いを確認した上で、速やかに準備を進めていきましょう。 凍結された口座からお金を引き出す方法はある? 凍結された口座からお金を引き出す方法はある? 預金口座の凍結から、必要な手続きを経て解除されるまでには、一定の時間が必要になるでしょう。「このままでは葬儀代の支払いができない」「遺産分割協議が進まず、お金が足りない」といったトラブルに発展する可能性もあります。このような場合には、「相続預金の仮払い制度」を活用しましょう。 仮払い制度は、凍結された口座からでも、預金の一部を引き出せる制度です。出金できる金額は「1金融機関あたり150万円を上限とし、預金額の3分の1×仮払いを受ける相続人の法定相続割合まで」と定められていますが、必要書類さえ揃えれば、現金の引き出しが可能です。 仮払い制度を利用するためには、 ・被相続人の戸籍謄本・除籍謄本(出生から死亡まで)・相続人の戸籍謄本(全員分)・印鑑証明書(手続きする人) これらの書類が必要です。金融機関によっては、その他の書類の提出を求められるケースもあるため、事前に確認しておきましょう。 また家庭裁判所を通じて手続きを行った場合、引き出せる金額に上限はありません。少し手間はかかりますが、必要なお金が多いときには活用してみてください。必要性が認められれば、全額引き出しも可能です。 銀行口座はできるだけシンプルにしておくのがおすすめ 被相続人の死後、凍結された銀行口座からお金を引き出すのは、決して簡単ではありません。相続発生後の手間をできるだけ少なくするためには、生前から保有する銀行口座の数を絞っておくのがおすすめです。引き落とし用の口座や普段のお金を出し入れする口座をまとめておけば、相続手続きも楽になるでしょう。 使わない銀行口座を解約しておくことも、立派な終活の一つです。親が終活をスタートしたら、ぜひアドバイスしてみてください。またもちろん、自分自身の終活に活かすのもおすすめ。残された人に負担をかけないよう、しっかりと準備を整えておきましょう。 被相続人名義の預貯金は遺産の一部!慎重な取り扱いを 被相続人名義の預貯金は遺産の一部!慎重な取り扱いを 身近な人が亡くなった時点で、その人名義の預貯金は「遺産」として取り扱われます。たとえ家族であっても、その財産は家族だけのものではありません。相続人全員に受け取る権利があるお金なのです。慎重な取り扱いを心掛けてください。 口座が凍結されれば引き出せなくなりますし、たとえ凍結されなくても、勝手に引き出せばトラブルの原因になってしまうでしょう。どうしてもお金が必要なときには、相続人同士の意思疎通が重要です。しっかりと話し合った上で、仮払い制度の利用を検討しましょう。

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